2003.04.21 プロフェシー ★★★☆
- リチャード・ギア様の主演でも何となくB級スリラー的な感じがしましたが、「隣人は静かに笑う」のマーク・ペリントンの監督作品と知って、それならばとの観賞です。
冒頭、ウェスト・バージニア州のポイント・プレザントで実際に起きたお話に基づいている、とテロップが・・・。そうか、では余りヒネリやどんでん返しが無く、ハッピー・エンドでも無いな、と覚悟を決めます。(^_^;)
映画の印象は、「Xファイル」と「サイン」にそっくり。すなわち、そんなバカな的超常現象を扱ったサイコ・スリラーで、謎は謎のままで殆ど解明されません。姿を見せない蛾男(モスマン)によって大災害が予言(プロフェシー)され、ことごとくそれらが的中してしまいます(だから原題は、THE
MOTHMAN PROPHECIES)。ただそうして予言された運命も、その一部は人間の意志で変えることが出来るというのがこの映画のポイントのようです。
中盤の展開が弛んでしまって、やや退屈。その代わりクライマックス・シーンは、お金もかけてかなりの見物です。監督の音声解説によれば、実写、模型、CGを駆使して相当苦労したとのこと。ま、確かにこのシーンがなければ、単なるB級スリラー止まりです。
主人公がギア様でなければいけないかどうかはともかく、共演のウィル・パットンが俄然光ります。少しキレた感じの役などをやらせたら、天下一品ですね。
ギア様の相手役を勤めるローラ・リネイも中々けっこう。鄙びた地にこのような美形で独身の女性捜査官がいる、というのがやや不自然ですが・・・。(^_^;)
49年生まれのギア様。わ、若い・・・。(@_@)
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2003.04.20 9デイズ ★★★
- いわゆる白黒コンビ映画で余り気が進まなかったのですが、サー・ホプキンスがジャケット上で、「見ろ、見ろ」と私を誘ったのです。(^o^)
サー・ホプキンスのコンビの相手役がクリス・ロックで、「リーサル・ウエポン4」に出ていたとのことですが、とんと記憶がありませぬ。いずれにしてもサーの向こうを張るなんて、随分抜擢されたものです。
邦題は、囮捜査で死んでしまったCIA捜査官に瓜二つの男を、9日間でその男に仕立ててしまわなければいけない、というところから来ています。その割には余り緊迫感はないし、きっちり仕上がってしまうところが安易といえば安易。
「アルマゲドン」、「パール・ハーバー」などのジェリー・ブラッカイマーの製作という割には、スケールが小さいし、ストーリーも「ピース・メーカー」の二番煎じという感じ。それでもさすがに、最後まで退屈させずに見せてはくれます。
中盤まではシリアスな展開で進んで行くのですが、後半からはクリスのマシンガン・トークがフィーチャーされてコメディ色が強くなってしまうのは、どうもチグハグな感じです。終始、シリアス路線で通した方が良かったのではないでしょうか?
クリスは同類のウィル・スミスやマーティン・ローレンスなどと比べて没個性的ですし、同じクリスでも、クリス・タッカーのマシンガン・トークとは数段レベルが落ちると思います。(^o^)
サー・ホプキンスはレクター博士の立ち振る舞いとは別の側面を見せてくれますが、走ったり、カー・アクションなどは見るからに息もキレギレと言う感じで、御いたわしい・・・。若手女性捜査官と良い仲になっている、などという設定は粋ですな。(^_^;)
メイン舞台となるプラハの街並みがとても美しい・・・。
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2003.04.14 ゴスフォード・パーク ★★★
- 第74回アカデミー賞で、脚本賞のオスカーに輝いたロバート・アルトマンの監督作品。
舞台は世界恐慌下の1932年、イングランドのカントリーサイドにある貴族の館「ゴスフォード・パーク」で繰り広げられる貴族らと、彼らに仕える執事、メイドらのゴチャゴチャした愛憎とその結果の殺人事件を描いたもの。
この監督のお得意の群像劇ということなのでしょうが、それにしても登場人物がメチャクチャ多過ぎ。私がそれぞれの関係と名前をようやく飲み込めた頃には、2時間17分の映画は終わってしまっていたのでした。(^_^;)
キャストはマギー・スミス、クリスティン・スコット=トーマス、エミリー・ワトソンなど(これ以外は余り判らない(^_^;))、豪華版。
登場人物の殆どが殺人の容疑者になると言えば、アガサ・クリスティの世界。でも、本作品は犯人探しよりもむしろ、貴族階級と労働者階級のドロドロした人間関係の描写がメイン・テーマのようです。使用人をその主人の名前で、「ミス・**」と呼んだり、貴族でも未婚の女性はベッドで朝食を摂ってはいけない、などというしきたりを知るのも一興。
特典映像でアルトマン監督が、「セリフを順番にいうようなことは禁止した」と述べているように、特に前半はまるで多くの登場人物が、各々好き勝手に喋っているような印象を受けます。ま、観ている方は、混沌とした感じで、よく訳がわからないのですがね・・・。(^_^;)
総合的な出来はともかく、あれだけの雑多な要素を取りまとめた演出力に、ただただ驚く映画です。(^o^)
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2003.04.07 まぼろし ★★★☆
- その昔見た「愛の嵐」というイタリア映画。内容は余り覚えていない(テレビで見たのかも)のですが、スチール写真がナチの帽子を被ったトップレスの女性という当時としては刺激的なもので、それだけは鮮明に記憶に残っています。本作品の主人公、シャーロット・ランプリングが、その女性だったとのこと。
愛する人を失った者はそれをどうやって乗り越えるか、というのが本作品のテーマ。主人公(シャーロット)の心理をそのまま忠実に描写していく展開は、時にはホラー映画風にも・・・。自分の知らない夫の過去が判明していく過程は、サスペンス映画風。ハリウッド映画なら、多分「シックス・センス」か「アザーズ」的な映画になっていただろうな、などと途中で思ったりも・・・。
気丈にも懸命に夫の存在を信じ続けようとして、異常な言動をとってしまう主人公が痛々しい。真一文字に閉じられた口が、精神的な強さを象徴しています。
義母とのやり取りが、印象的です。義母の勝ち誇ったかのようなあの顏はどうだ。そのしっぺ返しのように、ベッド・インした男に主人公が「貴男は(体重が)軽いから嫌い」と言うのも、何だかな・・・。
癒しの映画、などとも言われていますが、そうではないでしょう。結局主人公は最後までそれを受容できないのです。それを経ちきれないで生きていかなければならないことを暗示するラストシーンには、泣かされます。海岸を走っていく方向が微妙にズレているのも、何だか悲しいし・・・。
シャーロットは御年56才。とてもその年齢には見えない時と、ああ年相応だなと思える瞬間とがあります。何と、目尻の皺にクリームを塗るシーンなどもあったりするのだ。ベッド・シーンでは上述のポスターと変わらぬプロポーションを披露してくれます。なお、あのスレンダーな体型を維持する秘訣は、「食べ過ぎないこと」だそうです。(^o^)
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2003.04.02 イン・ザ・ベッドルーム ★★★
- 74回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、主演男優賞(トム・ウィルキンソン)、主演女優賞(シシー・スペイセク)、助演女優賞(マリサ・トメイ)の5部門にノミネートされたのに、無冠であった本作品。
ストーリーなどの予備知識は全く無く、タイトルから少しはその方面の話かな?などと想像を巡らしつつの観賞でした(全く違っていたのですが・・・(^_^;))。
「イン・ザ・ベッドルーム」の意味は見終えてもイマイチ良くわかりませんでしたが、いくつかの現象を象徴しているようです。エビの捕獲網に2匹までなら良いが3匹目が入ると、どれかのツメが取れてしまうように、親しい間柄に他人が入り込むと、トラブルが生じてしまう、など・・・。
中盤までは淡々と、時には退屈なほどユックリ、ユックリと人間関係が描写されていきます。あることが起きて、嫌な予感が・・・。そうか、これはそういう映画だったのかと。最近「息子の部屋」といい、この手の映画が多いな、などと・・・。
ところが、終盤、全く予想を覆す事態が起きて、ハッキリと締めくくりをせずにこの映画は終わってしまいます(オイオイ、あっけなさ過ぎないか?)。あることをなし終えた夫を、ベッド・ルームで迎え、さりげなく、全てを了解し容認しようとする妻。この映画のクライマックスはこのシーンだと後で気が付きます。
う〜ん、ま、ドンパチ映画の谷間では、この手の映画も一興かな・・・。
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2003.03.31 トリプルX ★★
- 「デイライト」、「ワイルド・スピード」などのロブ・コーエン監督が、ヴィン・ディーゼルを主演として製作したスパイ・アクション映画。タイトル(xXx)は、「過激の3乗」を表すのだとか・・・。
途中まで見て、気が付いたことが二つ。まずは、これは殆ど007シリーズのパクリだということ。地球征服を狙うステロタイプの悪役とその背景、過激なスタント・アクション、数々のスパイ・グッズ、ボンド・ガールならぬ、xXxガールなどなど。007シリーズの最新作「ダイ・アナザー・デイ」が荒唐無稽なアクション・シーンの連続で不評を買っているようですが、本作品も多分負けていないでしょう。どう考えてもあのバイク・アクションはやり過ぎで、滑稽の域を脱していません。橋からのスポーツ・カーのダイビングも、必然性ゼロだし・・・(しかもスタント・マンが一人、死亡したのだとか)。
もう一つは、ヴィン・ディーゼルは意外と大根であるということ。「ピッチブラック」では良い味を出していたと思ったのですが、これでは第二のスティーブン・セガールです。そう言えばxXxガールのアーシア・アルジェントも同様、演技が硬い。唯一頼みの綱のサミュエル・L・ジャクソンと言えば、髪形が気持ち悪く、敢えて顏もあれ以上醜くすることは無いと思うのですが・・・。(^_^;)
仰天アクションが連続する割には、終盤登場する「潜水艇」がいかにもショボイ。それに搭載されている兵器を無効化するしかけも良く判りませんし・・・(逆さまにすれば良い、ってもんか?)。
本国では大ヒットしたそうで、明らかに続編が製作されるのでしょうが、今度はもう少し丁寧に作って貰いたいものです。
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2003.03.22 アバウト・ア・ボーイ ★★☆
- 原作は英国でのベストセラー小説なのだそうな。何でも「ハイ・フィディリティ」も同じ作家の作品とのこと。製作者が同じこともあって、男性版「ブリジット・ジョーンズの日記」などとも呼ばれているらしい。私としては余り食指が動いたわけではないのですが・・・。
38歳の無職の独身男(ヒュー・グランド)と、母親思いの12歳の少年(ニコラス・ホルト)が織りなすハートフル・ヒューマン・ドラマとでも言うのでしょうか。
- ストーリーは平坦で、ちっとも盛り上がりません。あることがお定まりの方向に行くかと思うとそうでもない、という展開ばかり。主人公と少年の母親は結婚しないし、少年は終始苛められっ子だし・・・。レイチェル・ワイズ(本名で出演!)の役割も全くもって中途半端。ま、ある意味、先が読めない斬新なお話とも言えますが・・・。(^_^;)
ラストも「最後だけ、ホラ、まとめたよ!」てな感じで、わざとらしいし。
ひどいファッション・センスで鬱病の少年の母親役が何となく気になりました。終わって調べると何と「シックス・センス」でオスメント君の母親役を演じ、助演女優賞のオスカーにノミネートされたトニー・コレットなのでした。
垂れ目でエへラエへラしているヒューは、この手はハマリ役。ニコラス少年が少しも魅力的でないのが致命的かも・・・。
「ブリジット・・・」は主人公の境遇に共感した女性に大好評でしたが、本作はどうでしょう?だいたい父親の残した印税だけの収入で、フラフラとグウタラ生活を送っている40才近い男に共鳴する男性なんて、いるのでしょうか?(-.-)
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2003.03.17 インソムニア ★★★★☆
- 本作品の注目点は二つ。「メメント」に次ぐクリストファー・ノーラン監督による最新作品であることと、ロビン・ウィリアムスが初めて悪役を演じた作品であるということ。97年の同名ノルウェー作品(私は未見)のリメイクでもあるそうです。
タイトル(「INSOMNIA」)は「不眠症」を指していますが、これ自体は本作品でさほど重要な要素にはなっていなかったような・・・。
ロスの敏腕刑事である主人公(アル・パチーノ)は、アラスカで起きた猟奇殺人事件の応援のため、現地を訪れます。地元の警察官(ヒラリー・スワンク)らと張り込んでいるところへ、犯人らしき人物が現れるのですが・・・。というような導入部は、サイコ・スリラー作品のような雰囲気はではありますが、そうではありません。清濁併せ呑む主人公の過去、偶然起きた悲劇、24時間太陽が沈まない白夜による主人公の不眠症などが相まって、サスペンスフルな心理劇が展開されます。
「メメント」のようなトリッキーなところは全く無く、骨太で見応えの有る正統的な内容にグイグイ引き込まれてしまいました。ラストの主人公のセリフに感動し、見終えた後も充実感に浸れ、大満足。
「メメント」とはまた違った意味で計算し尽くされた演出を行ったノーラン監督に拍手。いつものようにオーバー・アクト気味でない演技で熱演したアルも好印象。ホントにこの人は、くたびれているのではないか・・・。(^o^)
ヒラリーも次第に「ボーイズ・ドント・クライ」の呪縛から逃れて(もちろん、私の中で)、素直に見れるようになりました。まだ色気不足ながらもキリリとした役どころで、大いに結構。
で、ロビンの悪役はどうだったか・・・。確かに終盤それらしく見えないこともありませんでしたが、やはりこの人は、コメディ、ヒューマン・ドラマに徹するべきではないでしょうか・・・。(^o^)
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2003.03.10 チョコレート ★★★☆
- 昨年のアカデミー賞授賞式では、本作で黒人で初めて主演女優賞受賞のオスカーを手にして狂喜していたハル・ベリーがとても印象的でした。あれからもう早くも1年経つことになります。
複数の人から、この作品はかなり濃厚なベッド・シーンがあるので一人で見た方が良いなどと言われ、それならばと家人の留守を狙って嬉々として(でもないか)観賞したのでした。
扱っているのは、黒人差別、死刑執行、息子の死、親子の確執など、かなり重いテーマ。そこに数々の不幸を各々背負った白人男性(ビリー・ボブ・ソーントン)と黒人女性(ハル・ベリー)の情愛が絡むという仕掛けです。深いテーマでありながら、淡々とストーリーが進み、最後は落ち着くところに落ち着きます。後味もハルの微妙な表情に救われて、悪くはありません。
完璧に良い人間など居ないというのは現実的なのでしょうが、ビリーの息子(ヒース・レジャー)に対する仕打ち(父親への仕打ちはともかく)、ハルの死刑囚である夫に対する態度にイマイチ納得出来ず・・・。あれでは息子は浮かばれません。ま、一番いけないのはビリーの父親だ・・・。息子を失ってからのビリーの心情描写もあれでは説明不足ですし、その変化も説得力に欠けると思いますが・・・。
長過ぎるし、そこまで見せるかなどと言われている注目のベッド・シーンですが、ハルのそれまでの境遇を考えるとあのような情感の解放感、高まりなどの丁寧な描写は必然なのでしょう(一人で見たお陰で、冷静に受け止められたかも(^_^;))。
ここでのハルは他作品のような華はなく、最初に見たときは別人のように見えました。肌も随分黒く見えていましたので、スッピンに近いのでしょうね。彼女、体のある部所に青いアザのようなものが見えましたが、まさか蒙古斑ではないでしょうから、あれはやはりタトゥーなのか・・・。(^_^;)
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2003.03.09 ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 ★★★☆
- 言わずと知れた超大作三部作の第二作目の作品。あちこちでかなりの好評で、期待はイヤでも高まります。アルコールはおろか、水分を極力控えて三時間の長尺作品に臨んだことでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ね、眠い!!この眠さはどこから・・・?
一つ、第一作目でキャラや背景が十分紹介されてしまっているので、おしなべて登場人物、クリーチャーに新鮮味が感じられない。
一つ、善と悪が明確で、それらがただ闘うというメイン・ストーリーが平坦で、メリハリが無い。
一つ、目玉キャラであるフルCGのゴラムも、ハリポのドビーを見た後ではそれほどのインパクトは無いし、第一、あの薄気味悪さはどうも苦手(どこかに似た人が居たような気が・・・)。
一つ、呼び物の砦のシーンのCGは流石にスゴイが、CG臭さをカモフラージュするために映像を暗くし過ぎで、とても見にくい。ワラワラと湧いてくる戦士らは驚きだが、遠景シーンばかりが多過ぎ。サブタイトルは「二つの塔」より「戦いの砦」といった方が似合う。
一つ、アラルゴン(ヴィゴ・モーテンセン)とアルウェン(リブ・タイラー)の死をかけた愛、フロド(イライジャ・ウッド)とサム(ショーン・アスティン)の主従の愛情も深堀されず、イマイチ。
一つ、木のお化けであるエント族登場シーンでは、いきなり「ネバー・エンディング・ストーリー」のようなB級ファンタジーと化してしまう。あの洪水では、根が張っていない木なら倒れるぞ。(^_^;)
など、など。
こうなると、第三部作でそれぞれがどういう決着をつけてくれるのか、気になるところ。何だかんだ言っても、かなり高水準な娯楽作品であることは間違いありませんが。
いずれにしても3時間は長過ぎるし、疲れるな・・・。(-.-)
(劇場)
2003.03.02 ジャスティス ★★★☆
- この主人公、どこかで見た顔だなぁと思いながら最後まで気が付きませんでした。「マイノリティ・リポート」で準・主人公を演じていたコリン・ファレルだと判ったのは、ラスト・クレジットで。この人、少しブラピに似ていますね。
監督は「真実の行方」、「悪魔を憐れむ歌」、「オーロラの彼方に」など、けっこう捻った展開が身上のグレゴリー・ホブリットです。
第二次世界大戦末期のドイツ軍捕虜収容所を背景に展開されるサスペンス・ミステリーで、そこそこ見応えある作品に仕上がっています。緊張感溢れるツカミを経て、拷問、捕虜収容所への入所、人種差別、殺人事件、軍事裁判、脱走計画など、かなり盛り沢山の内容。
それぞれに興味深い展開なのですが、終盤ゴチャゴチャしてやや説明不足の感が・・・。それに主人公(コリン)の思わせ振りな序盤のエピソードが、後半で何にもつながらないのがやや不満。まあ、罪滅ぼしで、最後はああいう行動に出た、とも解釈できますが。
米兵捕虜のリーダーを演じているのが、御大ブルース・ウィルス。演技に感心する前についつい頭髪に目が行ってしまいます。今回のカツラの出来具合はどうかな、などと・・・。しかし「アルマゲドン」といい、ああいうの好きですね、この人。ただ、あれだけで済んでしまうというのはやや不自然かも。関係者全員が処刑されても仕方ないと思いますが・・・。
パッケージ・デザインは鋭い眼光のブルースのどアップ。コリンはどこへいった?
(DVD)
2003.02.24 エンジェル・アイズ ★★☆
- ジェニファー・ロペスの主演作品というだけで、借りてしまいました。監督は、「メッセージ・イン・ア・ボトル」や「ぼくの美しい人だから」などのルイス・マンドーキです。
レンタル・ショップの店内放送では盛んに「ラブ・サスペンス」と宣伝していましたが、そうではありませんね。DV(家庭内暴力)で家族との絆が危うい警察官の主人公(ジェニファー)と、交通事故で妻子を失い、記憶喪失にまでなっている男(ジム・カヴィーゼル)が、それぞれの苦境を乗り越えつつ愛し合っていくというラブ・ストーリーです。
ふむ、そういうこともあるだろうな的な展開で物語は淡々と進みます。ひとつ一つの描写はイヤになるくらい、キメ細やかで丁寧。ただ彼らの状況に共感できるか否かが、この映画にのめり込めるかどうかのポイントでしょう。
- 謎めかして引っ張っていた男(ジム)が、実は想像どおりだったというのはややがっかり。国立公園であんなこともしてもらいたくないし・・・。まあ、最後はあれで良いのでしょうが・・・。いずれにしても本格的な謎解きやどんでん返しなどを期待すると、ガッカリします。
ジェニファーのマッチョな体型は、婦警役にはピッタリ。ときたまハッとするような美しい顔をします。演技も巧いし、この人はやはり天才ですね。
いつも眠っているようなジムは、本作品でも損な役どころかも・・・。イメージの悪い映画が続いているなぁ・・・(「ペイ・フォワード」の浮浪者、「ハイ・クライムズ」の**)。
彼がトランペットで演奏する「ネーチャー・ボーイ」は素晴らく、印象的なシーンですが、アテレコの運指が余りにもデタラメ過ぎ。あんな手抜きは、いっきに映画の格を下げてしまいます。
(DVD)
2003.02.23 戦場のピアニスト ★★★★☆
- (少々ネタバレあり、ご注意)
何とタイミングのよいことか、日本公開直前に第75回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞など7部門にノミネートされた超話題作。既に昨年のカンヌ映画祭で最優秀作品賞(パルムドール)を受賞しています。
実在のユダヤ系ポーランド人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの、まさに奇跡ともいうべき戦争体験を綴った作品。監督は自身もユダヤ系ポーランド人で、ワルシャワでナチの侵攻を実体験したロマン・ポランスキーです。
主人公、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は見かけどおりのひ弱な男。勇気を持って拳銃でドイツ兵を撃ち殺すわけでもなし、同僚のユダヤ人を助けるわけでも無し・・・。ただオロオロと逃げ、隠れ、ヒョロヒョロと食べ物を漁るだけ・・・。そう、これは紛れもない実話なのです。
それだけに主人公が、ユダヤ人警察に一人逃され、ドイツ人将校(トーマス・クレッチマン)に食べ物や衣服を与えられるのは、やはり奇跡としか言いようがありません。
終盤、ドイツ将校の前でピアノを弾く場面では、涙滂沱と流れたことでした。主人公のそれまでの悲痛な悲しみや絶望感をあのショパンの曲(バラード第1番)にぶつける様に、ただただ感動。ピアノの上に大事に缶詰を置き、弾き終わってまた大事にそれを抱える主人公に、吹き出しそうになりながらも・・・。
代役無しにピアノを弾いたという、エイドリアン・ブロディはエライ。因みに冒頭と終盤のピアノ曲はショパンのノクターン第20番。エンド・クレジットのバックは、ショパンの「アンダンテスピアナートの序奏と華麗なる大ポロネーズ」だそうです。蛇足ながらショパンはドイツ人ではなく、ポーランド人。
事実なのかも知れませんが、神様の如く善人に見えたドイツ人将校に、最後にあのようなセリフをしゃべらせてはいけません。あのエピソードの代わりに彼には、ロシアの捕虜収容所でラジオから流れるシュピルマンのピアノを聴かせて欲しかった(余りにもベタか・・・)。
この映画の教訓、「芸は身を助く」。あの場面で「猫踏んじゃった」を弾いたら、たちどころに撃ち殺されていたことでしょう・・・。(^_^;)
(劇場)
2003.02.16 レッド・ドラゴン ★★★★★
- 大昔(でもないか)、「羊たちの沈黙」の前作である第一作目を映画化したという「刑事グラハム/凍りついた欲望」をビデオで見たことがあります。配役もメジャーではないし、「羊たちの沈黙」には比べるべくもない作品だった、というような記憶しかありません。この「レッド・ドラゴン」は言わばそのリメイク作品。すなわちトマス・ハリス原作の時系列としては、「レッド・ドラゴン」→「羊たちの沈黙」→「ハンニバル」となる訳です。
余り期待はしていなかったのですが、某新聞で激賞している論評を見たりして、それならばと劇場に足を運んだのでした。
見始めて数分、これは期待できるぞと思ったことでした。「ハンニバル」の雰囲気を引き継ぐかのような(嬉しい)序章を経て、すぐさまFBI捜査官の主人公(エドワード・ノートン)とレクター博士(アンソニー・ホプキンズ)の緊迫した攻防のシーンが展開されます。これには興奮させられました。
よくよく考えると最後まで目新しいことは何もなく、ウリである「プロファイリング」も今となっては余り新鮮味はありません。しかしながら脚本が計算し尽くされているのでしょう、その展開に破綻は皆無で、安心して見ることが出来ます。こういう真正面から取り組んだ正統派サスペンス、良いですねぇ。グロさも許容範囲ですし。
しかも「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」に引き継がれるレクター博士の背景などが明らかにされて、とてもスッキリもしました。ま、レクター博士が前二作より老けて見えるのは仕方ありませんが。
クライマックスはありきたりといえばそれまでですが、ああでなくては・・・。思わず体に力がはいりました。ラストも「羊たちの沈黙」を見た人への嬉しいサービスが待っています。いいね、こういうの。
エドワードはいつものようなクセのあるキャラではなく、淡々とした演技に終始しています。やや物足りないかも。それにしてもこの人は不死身だな。
- サー・ホプキンスは言うに及ばず。エミリー・ワトソンが何故か存在感を示します。この人の風貌は何というか、女版ショウちゃん(腹話術の人形)という感じ・・・。
「ハンニバル」でがっかりさせられたお方にも、本作品はお薦めです。
(劇場)
2003.02.12 ウインドトーカーズ ★★★★
- 「フェース/オフ」、「M:I-2」などのジョン・ウー監督の最新作。劇場で見たいと思っていながら見逃していた作品です。
第二次世界大戦の趨勢を決定づけたサイパン島での米国と日本の壮絶な戦いを背景としたもので、一応史実に基づく、ということにはなっています。しかし、敵が日本人というのは見ていて複雑・・・。(-.-)
冒頭のモニュメント・バレーのシーンに続いて戦闘が始まるシーンは、「T2」の序盤のシーンにソックリ。ビックリさせられた後、笑ってしまいました。
とにかく戦闘シーンでの火薬の使用量は凄まじいものがありますし、人間が爆風で吹き飛んだり、着弾するシーンなどはリアルすぎて、痛いくらい・・・。オーバー・アクション好みのウー監督の面目躍如と云う感じです。流石に二挺拳銃は出てきませんでしたが・・・。(^o^)
ただこの映画の最大の欠点は、米国の先住民、すなわちインディアンである暗号通信兵(アダム・ビーチ)を主人公(ニコラス・ケイジ)が守るという設定をイヤというほど予告CMで見せられ、かつ映画が始まると二人の暗号通信兵が登場することから、大方の先が読めてしまうというところでしょう。主人公のあのトラウマによる布石を経た、彼のラストもしかり。
ツッコミどころは他にも沢山。主人公と看護婦とのロマンスが中途半端ですし、日本兵がやけに太っていることや、米兵の一般日本人への不自然な優しさなども気になります。「ホリョダ」のエピソードに到っては、途端に嘘っぽくなってしまいます。クリスチャン・スレイターの扱いもあれではなぁ・・・。
総じてやや冗長という感じがしなくもありませんが、それでも最後まで飽きることはありません。戦闘シーンばかり目立ちますが、勇敢なアメリカ先住民への賛辞が最大のテーマであることを見終えて気付かされます。ラスト・シーンはとても清々しい・・・。
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2003.02.03 ゴースト・オブ・マーズ ★★
- SFホラーの大傑作(と私は思っている)「遊星からの物体X」のジョン・カーペンター監督の最新作品。彼の最近作の「ヴァンパイア/最期の聖戦」、「エスケープ・フロム・LA」、「光る眼」などはいずれも「遊星からの物体X」に比べると数段物足りません。本作品はどうでしょうか?
タイトルどおり、火星を舞台にした人類と原住生物との闘いを描いたホラー・アクション映画で、SF色は殆ど無し。むしろ白人とインディアンとの西部大活劇のような趣があります。
CGも殆ど使っておらず、セットとミニチュアで撮影された本作は良くも悪くもB級ムードがプンプン。そこに殆どストーリーらしきものがなくて、ひたすらスプラッター的な殺戮シーンが延々と続きます。最後もオチらしきものは無いし・・・。これはもうカーペンター監督の確信犯的演出なのでしょう。観客がついて来れるかどうかは意に介さず、という感じです。私といえば途中の何のヒネリも無い展開に、だいぶ退屈してしまいました。
ヒロインは、「スピーシーズ」シリーズでその肢体だけが印象的だったナターシャ・ヘンストリッジ。ここでも十分エイリアン的ですが、今回はヌードは無し。(^_^;) 「ジャッキー・ブラウン」のパム・グリア姉御も、途中で具合でも悪くなって降板したかのように早々と、しかも情けない最後で姿を消してしまうのが残念。何かをしでかすのではと期待を持たせつつ何もしない、アイス・キューブもつまりません。「パラサイト」のクレア・デュバルも、あなた何のためにいるの?状態でしたが、最期だけは見物でした(**がスパッと(>_<))。
「遊星からの物体X」を越える作品に期待、です・・・。
(DVD)
2003.02.02 海辺の家 ★★★
- 本作品は、「SWEP2」のアナキン・スカイウォーカー役のヘイデン・クリステンセンが出演していることで話題となりました。ただし監督のアーウィン・ウィンクラーは、彼がアナキン役に選ばれたことを知らずに起用したとのこと。先見の明があったのか、単に運が良かったのか・・・。
癌で余命数ヶ月と宣告された主人公(ケビン・クライン)が、離婚した妻(クリスティン・スコット=トーマス)と暮らすグレた息子(ヘイデン)とともに古い家を壊し、新しい家を自力で建てる物語。そう、いかにもな映画なのです。
離婚、グレた息子、リストラ、セックス、死といった要素をサラリと描写していて、予定調和で大団円を迎えます。何か物足りないような、それで良いような・・・。
もう少し丁寧な描写が欲しくもあり。例えば、息子がどういう心境の変化でああいう風に変われたのか・・・(いつの間にピアスを取った?)。特にラストのエピソードは手のひらを返したようで、何となくなぁ。
逆に主人公の最期については、直接的な描写を避けていた(モト妻だけの表情、空のベッドなど)のは良かったと思いますが・・・。
この映画の見どころは、主人公が自分が死に行くことを息子に打ち明けるシーンでしょう。息子のあの反応にかえってジーンときてしまいました。
アナキン役では演技が硬く見えた平田君、もとへ、ヘイデン君。ここでは意外と良かったですね。序盤のメークが気持ち悪かったですが・・・。(^_^;)
「イングリッシュ・ペイシャント」のヒロイン、クリスティンが老けてしまっていたのにビックリ。殆ど***、しかし演技は流石でした。
ああいう風光明媚な海辺の家で暮らすのは気持ち良いでしょうね。ただし塩害には覚悟が必要です。日本海の海端にある私の田舎の家は、錆だらけ・・・。(;_;)
(DVD)
2003.01.26 バイオハザード ★★★★
- 「ファイナルファンタジー」や「トゥーム・レイダー」と同じTVゲームの映画化作品と知って、殆ど期待せずに観賞しました(しかし、パソコンで「ばいおはざーど」と入力すると全く一つの単語として変換されるます。それほど有名ってことか)。人類を脅かす新型ウィルスとの戦いを描いたホラー・アクション映画で、「イベント・ホライゾン」などのポール・アンダーソンが監督しています。
TVゲームには殆ど無縁で背景やキャラクタなどの予備知識は全く無い私でしたが、これが意外に楽しめました。特に主人公(ミラ・ジョヴォヴィッチ)を記憶喪失にして、その記憶が戻るに従って謎が解かれてゆくという構成は、観客と主人公の気持ちを共有させるという点で巧い手法だと思います。
印象深かったのは、序盤での殺人ビーム光線のシーン。「CUBE」にも同様なシーンがありましたが、かなりショッキングです。それに引き換え、ワラワラと現れる大量のゾンビらは何故かとてもショボくて全く恐くなし。せめてマイケル・ジャクソンの「スリラー」のそれくらいにならなかったものでしょうか?フルCGのモンスターも、思わせ振りな割にはツメが甘く迫力に欠けます。
そういう点や数々のご都合主義の展開を帳消しにしているのが、ひたすらミラ・ジョヴォヴィッチの魅力です。「フィフス・エレメント」や「ジャンヌ・ダルク」などとはまた違った印象で、一段と美形に仕上がっています。「マトリックス」のトリニティばりのアクションも痛快。最初と最後にサービス・ショットもありますし・・・。(^_^;)
DVDの特典であるミラとポールらの音声解説は楽しく、ミラが「ほら、乳首を出して頑張っているのよ」などと言ったり、ポールがミラに「次回作は豊胸手術をしてから出演してよ」などと言っているのには笑ってしまいました。
(DVD)
2003.01.20 遠い空の向こうに ★★★★
- 米国で口コミで大ヒットし、日本でも単館上映ながら随分話題となっていた作品でした。
科学エンジニアとしてNASAに務めたホーマー・ヒッカム・ジュニアが、ロケット少年としての自らの体験を綴った「ロケット・ボーイズ」という自伝的小説に基づいた作品。監督は「ジュマンジ」などのジョー・ジョンストンです。
本映画の原題の「OCTOBER SKY(10月の空)」を並べ替えると、原作の「ROCKET BOYS」になるというのも面白い。この邦題も悪くはないと思いますが。
最初は誰が主人公か判らないほど、存在感の薄いジェイク・ギレンホール。それが物語が進むに連れてドンドン成長し、猫背ながらも最後は立派な青年に見えてしまうのだから、スゴイ。
背景が錆びれゆく炭坑の町ということで、「リトル・ダンサー」、「ブラス!」、「フル・モンティ」などと雰囲気が共通しています。実話なので奇を衒(てら)った演出は全くなし。父親も簡単には死にません。(^_^;)
唯一気になったのはラストのロケット打上げが失敗したらどうしよう、などとということ。お約束で父親も参上してめでたしめでたし。殆ど乗せられていると判っていながら、感動がじわじわと押し寄せて来るのは演出の巧さでしょうか?参りました。
しかし父親役のクリス・クーパー、巧いですね。クセのある悪役などの多い彼ですが、眼の表現力がとても豊かです。教師役のローラ・ダーン、この人は美人ではなかったのですね。(^_^;)
レンタル・ショップで「心に染みる感動作」の代表みたいに祭り上げられている本作品。以前から気になっていた一本でしたが、見て良かったと思います。
(DVD)
2003.01.19 オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー ★★★
- 「おバカ映画」などという言葉を生んだ人気シリーズ三作目。劇場まで足を運ぶ気はしませんが、レンタル・ショップまでは行く気がします。(^_^;)
初っぱなから大笑いさせられました。その部分の予備知識無しで見て、大正解。莫大な製作費をかけているというのは、これだったのですね。このオープニングとラストに★★★★★を献上しましょう。(^o^)
後は、相変わらず007(特に今回は日本を舞台にした「007は二度死ぬ」)を始めとした数々の映画のパロディのオン・パレード。確か本作に対して、007シリーズ本家のMGMが訴訟を起こしていましたね。
相変わらず日本語字幕でギャグの意味を理解しようとするのはホトホト疲れますが、下ネタ(特にお尻方面)や差別ネタは益々パワー・アップしています。この下品さに閉口するようではこのシリーズは楽しめません。お馴染みのシルエット・ネタや重ねネタも健在ですが、やや新鮮味が薄れてきました。字幕ネタが新に登場しましたが、随分苦労していますね。
本作のポイントは、オースティンやドクター・イーブルの青年期(ソックリの俳優がそれぞれ演じている)のエピソードと、ドクター・イーブルのアッと驚く(でもないか)ルーツが明かされることでしょう。次回作への布石も完璧です。
主演のマイク・マイヤーズも四役をこなして大張きりですが、少しくたびれてきた感じがしなくもありません。この人は何歳なんでしょう?
ヒロインはグラミー賞受賞の人気歌手のビヨンセですが、この人は演技がまるで素人。締まったボディに免じて許しますが・・・。
オープニングだけが目立ってしまった本作品。さて次回はどうするのでしょう?
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2003.01.14 クライム&ダイアモンド ★★☆
- 「クライム」の付くタイトルの映画を、何故か連続して見てしまうのでした。ただし、こちらはコメディ・タッチで、いかにも映画好きな監督が撮った作品という感じです。
殺し屋(ティム・アレン)に捕まってしまった詐欺師の主人公(クリスチャン・スレイター)は、その殺し屋から「クライアントから入金されるまでに面白い話を聞かせたら、命を助けてやってもよい」などと言われます。そこで主人公は、刑務所仲間(リチャード・ドレイファス)との大仕事の顛末を語り始めるのですが・・・。
何となくタランティーノ・タッチの導入部です。フラッシュ・バックが多用されますので、時間軸に気を付けて見る必要があります。特に若い頃のリチャードを、余り似ていない別人が演じている(これは明らかにキャスティング・ミス)ので、彼らが同一人物であることを早めに気が付かなければいけません。けっこう、疲れる映画なのだ。
引用される映画は、「脱出」、「レベッカ」、「深夜の告白」、「ラスト・シューティスト」、「天国から来たチャンピオン」、「愛と追憶の日々」、「マルタの鷹」、「サンセット大通り」、「特攻大作戦」、「ティファニーで朝食を」などの比較的古いものばかり。全部知っていれば面白さも倍増でしょうが・・・。ややこねくり廻した感が否めず。
クリスチャンは悪くはないと思いますが、主人公を張るのはチト厳しい(ま、好き嫌いの問題ですが)。リチャードも早々に居なくなりますし・・・。ヒロインのポーシャ・デ・ロッシもやや魅力に乏しい。その分、映画好きのヒットマンを演ずるティムが得な役回りです。特にラストのあのシーンは、拍手喝采もの(少々やり過ぎかも)。
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2003.01.13 ハイ・クライムズ ★★★☆
- 「コレクター」でのコンビである、モーガン・フリーマンとアシュレイ・ジャドが再び共演した軍事法廷サスペンスです。原作はベストセラーで、タイトル(「High Crimes」)は「死刑に値する重罪」の意とのこと。
敏腕弁護士である主人公(アシュレイ)の夫(ジム・カヴィーゼル)は、あるとき海兵隊入隊時での殺人罪で逮捕されます。主人公は夫の冤罪を晴らすべく、軍事法廷での経験を持つ弁護士(モーガン)とともに闘おうと決意します・・・。
所々わざとらしさが残る演出ながら、サスペンス、謎解き、法廷もの要素が絡みあって、途中まで引き込まれてしまいました。特に軍事法廷という特殊なルールの蔓延(はびこ)る閉鎖社会で、主人公らがいかにその壁を打ち砕いて行くか、というような点が興味津々といったところ。
ところが、唐突に裁判が終わってしまった以降がいけません。突然、先の読める陳腐な展開になってしまいます。言い古された表現ですが、火曜サスペンス劇場風に・・・。何かの都合で終盤は手っ取り早くまとめてしまった、という感じ。原作でもそうなのでしょうか。
振り返ると納得がいかない点も。そうであれば今更何故、軍は夫を逮捕したのか、しかも夫は相手の取引を何故飲まなかったのか、などなど。
アシュレイは相変わらずコケティッシュな魅力に溢れています。でももう34才か・・・。
「オーロラの彼方に」で好印象のジム・カヴィーゼル。ここでも観客を混乱させ不安にさせるような名演技(?)です。でもこの人の眼は白内障か?(^o^)
モーガンも悪くはありませんが、やや老けすぎてバッチクなって来ましたね。さすがにアシュレイの恋の相手にはならないようです。でも、あのラストは・・・?(^_^;)
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2003.01.06 ワンス・アンド・フォーエバー ★★★
- 「仮面の男」などのランダル・ウォレスが監督をした、ベトナム戦争初期(1965年)にアメリカ軍部隊400名がベトナム兵2000人に包囲された「イア・ドランの3日間の激戦」を描いた作品。リアルな戦闘シーン、米兵の家族の感情や北ベトナム側敵兵の感情までも描き出した初めての作品というのがフレコミです。
主演は原作者であるハル・ムーア大佐役のメル・ギブソンで、彼の妻をマデリーン・ストウが演じています。
確かに戦闘描写はリアルそのもの。銃弾で飛び散る血飛沫は、肉片が混じっているかのような重量感(?)がありますし、血糊が撮影カメラのレンズに飛び散ったりするのです(これって、映画としてはミスですよね)。
前線での兵士の恐怖でパニクる、或いはパニクる一歩手前の気持ちがビンビンと伝わってくる一方で、止むを得ず無益な戦闘を仕掛けている虚しさ、愚かさもヒシヒシと・・・。そういう意味では、反戦映画としてはひとまず成功。
しかしながら、この映画に全編漂う偽善的な匂いは一体何なのでしょう。「戦地では最初に降りて、一番最後まで残るのは俺だ」とメルが宣う大演説が、こそばゆく聞こえてしまうのです。そんな大見えを切っている場合か・・・。死にゆく兵士が「妻に愛していると伝えてくれ」という(よくある)名セリフも、何故か虚ろに響いてしまう始末。妻のマデリーンが、代表して近隣の官舎に戦死の電報を配るエピソードもしかり。戦死した家族の気持ちを逆なでしてはいませんか・・・。
北ベトナム兵側の描写も極めて中途半端です。あのメガネの兵士の取った行動は、何?そこから故郷の恋人へ繋ぐシーンも、いかにも取って付けたかの如くです。
メルはいくら死なない設定だからといって、戦地ではもっと身を低く保っていなければいけません。記者を演じたバリー・ペッパーの迫真の演技を見習うべきです。
それにマデリーンは多分ミス・キャストですね。5人の幼子とともに夫の帰りを待つ貞淑な妻には、あの妖艶なイデタチはとても似合いません。(^_^;)
(ビデオ)
2003.01.05 バーバー ★★★☆
- 「ビッグ・リボウスキ」、「オー・ブラザー!」などのコーエン兄弟の監督で、2001年カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した作品。劇場公開時はモノクロ映像だったのですが、ビデオ、DVDはカラー版も発売、レンタルされていて、私が見たのはそれでした。
寡黙な床屋である主人公(ビリー・ボブ・ソーントン)は、ある投資のために一つの策を考えます。それは自分の妻の不倫相手をユスルこと。ところがそれは彼の人生の階段を踏み外す始まりとなるのでした・・・。
し、渋い・・・。カラー版でありながら殆どセピア色の映像で、終始苦虫を噛み潰したようなビリーの顏に彼自身の抑揚の無いモノローグが被さります。感情に乏しい彼は、黙々と髪を切り、妻の不倫を責めることもせず、自分の企てがあらぬ方向に進展してもそれを是正しようともしないのです。
そんな彼の言動に終始不安を抱かせ、どんどん泥沼に落ちていく彼の境遇にストレスを感じさせられるのも、コーエン兄弟の術中にハマッタということなのでしょうか。巧いもんです。
終盤の交通事故は「ガープの世界」を想起させられました。スカーレット・ヨハンスンさんよ、可愛い顏して運転者にアンナことをしてはいけません。(^_^;)
全編に流れるベートーベンのピアノ・ソナタは悪くはありませんが、やや安っぽく感じられました。ま、「悲愴」には間違いありませんが・・・。
コーエン兄弟作品ではお馴染みのフランシス・マクドーマンドが、ここでも好演。この人は口元がもう少し美しければ・・・。また、ジェームズ・ガンドルフィーニが強烈な存在感を示します。ただ、冒頭で彼の語る「日本人云々」は、不愉快。
カメレオン俳優のビリーは、必ずしも彼の特長が出ていたとは思えません。それにしても髪を切りながらタバコを吸うのは止めてもらいたいものです。(-.-)
(DVD)
2003.01.03 スコーピオン・キング ★★★
- 「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」での出演が好評だったプロレス界のスーパー・スター、ザ・ロック様。その彼を切り出して、ヒーロー・アクション映画に仕立てたのが本作品です。ザ・ロック様のファンであれば、彼の肉体美とその華麗な動きに満足することでしょう。私のように彼を知らなかった者からすると、それほどのキャラかな?などと思ったりするのですが・・・。(^_^;)
本作品を見る限り、「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」との関連は余り考えなくて良さそうです。と言うか、あの延長上のSFXやモンスターの登場を期待すると、少々ガッカリするかも知れません。
次から次へと繰り出されるアクション・シーンに退屈はしませんが、ヒネリも何もないストーリーには物足りなさは否めません。ラストも敵役が大見えを切った割には、あっさりヤラレてしまいますし・・・。
ザ・ロック様のあの細くて冷たい目は、どうも私は苦手。演技が硬いのは仕方がないとしても・・・。
注目すべきは、敵方の預言者役のケリー・ヒューでしょう。ギリギリの衣装での大サービス。しかもあっさり主人公側に寝返ったり、毒を吸い取ってくれたりと、ご都合の良い展開に大いに貢献しています。
それに引き換え、敵役のスティーブン・ブランドはやや物足りません。とても邪悪で野蛮な支配者には見えないのです。むしろ、主人公側に付く戦士役のマイケル・クラーク・ダンカンあたりの方がハマっていたかも・・・。
お屠蘇気分で、何も考えず気楽に観賞するにはお薦めの作品です。(^_^)
(DVD)
2003.01.01 ノー・マンズ・ランド ★★★★
- まずは、2002年アカデミー賞外国語映画賞受賞を始め、その他にも多くの映画賞を受賞していることに驚かされます。日本でも単館上映でありながら、全国ロード・ショー作品を越える興行収入を上げたのだとか。
タイトルの「No man's land」とは、戦闘中のボスニアとセルビアの中間地帯のこと。そこに取り残された両国の兵士と、彼らに絡む国連軍の将校らの滑稽で残酷な攻防を描いた作品です。
監督のダニス・タノヴィッチは、1992年に勃発したボスニア紛争の最前線で映像取材した経験を基に本作品を手がけたとのこと。従って、余りにもユーモラスな、ホンマかいななどと思うシーンも多々あるのですが、ふむ、さもありなんと妙に説得力を持って伝わってくるのです。
特に中立である国連軍の描き方が面白い。現地に赴く軍曹一人を除いて、後はぜ〜んぶコトナカレ主義。大尉に到ってはミニスカ秘書を連れ廻す始末。執拗に取材しようとするマスコミ陣も、強烈に皮肉られています。
昨今の戦争映画は、冒頭に壮絶な戦闘シーンを持ってくることが多いのですが、本作品でも例外ではありません。かなり驚かされてしまいました。
また本作品でも「衝撃のラスト」などと喧伝されていたようですが、「あのままにしておいた」ということより、最後に「大尉が秘書に指示したこと」の方を指していると思った方が良いのでしょう。いずれにしても、あっと驚くどんでん返しなどということではないので、「衝撃のラスト」の安売りは避けてもらいたいものです。
見終えてからも、反戦メッセージがズシンと腹に応える作品です。年始の、弛緩した頭を刺激するのに最適な1本かも・・・。(^o^)
(DVD)
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