2001.08.16 アンブレイカブル ★
- 「シックス・センス」で世の映画ファンをアッと云わせたM・ナイト・シャマラン監督が、再び衝撃のラストを用意したというミステリー作品。タイトルは「不死身」というような意味でしょうか。
- 私の行きつけのレンタル・ショップでは、このビデオを借りる一人ひとりにビニールの小袋に入った「裏・解説マニュアル」などというものが配られています。「ご覧になる前には、決して封を開けないで下さい」などと思わせぶりなコメント付きなのですが、果たして?
大列車事故で奇跡的に助かった主人公(ブルース・ウィリス)と、先天的な難病を背負った男(サミュエル・L・ジャクソン)の二人を中心に、ユックリユックリ話が進みます。余りにも展開が少ないので、やや退屈。となると、騙されないように色々な伏線を発見しようと眼を凝らします。ひょっとして、この男は実は死んでいるのではないか?などと考えたりもして・・・。(^_^;)
で最後は・・・?ふむ、ちいーっとも驚かないぞ。それがどうしたというのだ?最近ではよくありそうな話ではないの。と、いうわけで、全くの期待外れ。
アメコミが重要な要素を占めているようですが、どうもピンと来ません。自分と対極の人間を探すというのもイマイチ動機に共鳴できないし・・・。
ウィリスとジャクソンではなくてもっとマイナーな配役であったら、多分日本では劇場公開すら怪しい作品になっていたのではないでしょうか?
二匹目のドジョウはなかなかいないぞ。>シャマラン監督
(購入したての調子が良くない新G4が気になって、余り集中できなかったことをここに白状しておきますm(_ _)m)
(ビデオ)
2001.08.06 オーロラの彼方に ★★★★
- 甘いムードの邦題や予告編などから、「フィールド・オブ・ドリームス」などと同趣の親子愛をテーマにしたお涙頂戴的SFファンタジーかと思いきや、これが大違い。もちろんそういう要素もありますが、タイムパラドックスを駆使したバリバリのサスペンス・ミステリーに仕上がっているのです。
オーロラによる電波障害が原因で、30年間の時を隔てて過去と未来の人間が無線機で交信をする(原題は「Frequency」=周波数)、などという荒唐無稽さに恐れをなしては、この映画は楽しめません。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」と同様のタイムパラドックスを扱っていますが、過去と未来が同時進行して、過去が変わるとリアルタイムで(?)未来も変わっていくというのが、この映画のユニークさ。んな、アホな・・・などとはユメユメ思ってはダメ。
なかなか先が読めない中盤以降の構成も良く出来ていると思いますし、この手のものによくある、難解な展開で頭がコンガラカルということもありません。ただ、結末(最終的な状態)だけは容易に読めてしまうという甘さはありますが、あれは必然の帰結でしょう。
父親が幼い息子に自転車に乗ることを教えたり、一緒にキャッチ・ボールをしたりする、誰でもが共感する要素もそつなくちりばめられています(「フィールド・・・」と違って、泣きはしなかったけど)。
父親役のデニス・クエイド が好演していて、息子役のジム・カヴィーゼル(「シン・レッド・ライン」の主人公ね)を圧倒しています。1970年生まれの母親役のエリザベス・ミッチェルの美しい老け顔がお見事。
この映画も、見終わった後しみじみとハッピーな気持ちにさせてくれる一本です。
(ビデオ)
2001.08.01 コヨーテ・アグリー ★★☆
- ジェリー・ブラッカイマーが83年に製作した「フラッシュ・ダンス」は、主演女優のジェニファー・ビールスや彼女のダイナミックなダンス・シーン(吹き替えだったけど)、テーマ音楽の魅力が故に、私の数少ないLDコレクションの1枚になっています。本作品は同じブラッカイマーが製作した、典型的な青春サクセスものとのことで、期待は大きかったのですが・・・。
タイトル(「COYOTE UGRY」)はマンハッタンに実在していたというバーの名前。そこに女性バーテンダーとして雇われた主人公(パイパー・ペラーボ)が、夢に見ていたソング・ライターとして成功するまでを描いたものです。
中盤までは良い調子なのですが、後は何とは無しにダラダラとした感じ・・・。ある難関を乗り越えて、花開くというお定まりのコースなのはまだ良いとしても、その難関が、ステージ恐怖症というのはどうもねぇ。だって、バーではカウンタの上から皆の前で、しっかり歌えているではないの。頑張ります!というのではなく、どうもグダグダしているのだよ、このヒロインは。同年代の女性でもこの主人公には、なかなか感情移入できないのではないでしょうか。
ま、ナイス・プロポーションの他の3人の女性バーテンダーのダンスがそれらの弱点を補ってくれてはいますが・・・。
パイパー・ペラーボ(変な名前だ)の魅力はイマイチ。恋人役のアダム・ガルシアはひょっとして大ブレイクするかも。父親役のジョン・グッドマン、実生活でもフライド・チキンを大食しているのでしょうか・・・。
(ビデオ)
2001.07.30 バーティカル・リミット ★★★★
- 盛夏に厳寒の山岳アクション映画を見る、これ正解かも知れません。(^_^;)
世界第2位の山、K2(チョゴリ)でクレバスに落ち遭難した3人の、困難極まる救出劇を描いたもので、マーティン・キャンベル(「マスク・オブ・ゾロ」など)の監督作品です。タイトル(Vertical
Limit)は「高度限界」の意で、山岳である高さを越えると呼吸困難や肺水腫などにかかってしまうことを指しているのだそうな。
売り物は、VFXによる畳み掛けるように連続するアクション・シーン。今までに無いようなアングルで、手に汗握る迫力映像がこれでもか、これでもかとサービスされます。物語に深みが無い、人物描写が弱い、ご都合主義満載、などの欠点を帳消しにしていると思うのですが、どうでしょう。私はけっこう楽しめました。
そうは云っても、予告編でお馴染みの物理法則を無視した岩壁への大ジャンプや、22時間というタイムリミットはどうなったのか、とか、下山は一体どうやったのか、などはどうしてもツッコミたくなってしまいます。ま、それも楽しみのうちと思えばいいのでしょうが・・・。
印象がおしなべて薄い出演陣の中で、謎の登山家を演じているスコット・グレンが渋く、唯一好印象。
何も考えずに気楽に映像を追って、適度にハラハラ・ドキドキすれば、しばし暑さを忘れること、請け合いです。もちろん、高所恐怖症の方は絶対見てはいけません。(^_^)
(DVD)
2001.07.29 PLANET
OF THE APES/猿の惑星 ★★☆
- 「衝撃のラスト」と云う言葉が一番ピッタリくる映画は、68年に公開されたチャールトン・へストン主演の「猿の惑星」だと、私は今でもそう思っています。このSFの大傑作をティム・バートン監督(「スリーピー・ホロウ」など)が、リメイクではなく「リ・イマジネーション」(よう判らん)したという最新話題作。「APE(S)」とは類人猿のことです。
主人公(マーク・ウォルバーグ )が漂着した惑星は、言葉を話す猿が人間を支配、虐待している、とか、主人公に好意的なメス猿(ヘレナ・ボナム=カーター)がいる、というような背景は基本的にオリジナルと全く同じ。人間社会を強烈に風刺し(というか、殆どオチョクっている)、人類の文明を痛烈に批判しているのも同様です。
違っているのは、今回登場した500匹の猿を全て違う顏に作り上げたというメイク技術と、余り衝撃でないそのラスト・・・。監督の意図するところがしっかり伝わっていないような気がします。やけにあっさり主人公だけが旅立つのも気になりました。ま、猿が英語を喋る理由が明確になったことは評価しますが・・・。
マークの一本調子の演技がマイナス・ポイント。オリジナル作品のへストンのように、少しは苦悩してみたらどうだ?可愛らしく作ったつもりなのでしょうが、ヘレナを始めとしたメス猿のメイクが全く不自然。オリジナル映画のメス猿の方がずっと猿らしかった。ただ、ティム・ロス演ずる悪役チンパンジー将軍は、さすがに凄みが効いています。でもいつもあんなに白目を剥いていたら疲れるでしょうけど。
猿役でカメオ出演しているチャールトン・へストンはすぐ判りましたが、ジョージ・クルーニーは判りませんでした。
(劇場)
2001.07.23 背信の行方 ★
- ニック・ノルティ、シャロン・ストーン、ジェフ・ブリッジスという豪華な顔触れと、何となく期待できそうな邦題に惹かれての観賞です。が、見事に期待は裏切られてしまいました・・・。
現代アメリカ演劇界の最高峰と云われている(らしい)サム・シェパードの舞台劇を映画化したものだそうな。原題は「Simpatico(シンパティコ)」で、これはジェフ演ずる競馬主が所有している三冠馬の名前。若い頃、競馬で八百長を仕掛けて成功した上記3人が、次第に自己崩壊に追い込まれていく姿を描いたものです。
ふむ、テーマが少しも見えません。彼らの思惑が全く判らず、不可解な行動を取っているとしか思えません。ニックが何をしようと思って過去の話を持ちだそうとしているのか、ジェフも今更何をそんなことにオロオロしているのか・・・。
この映画も、原作やオリジナルの舞台劇を知っている一部の人間が、そのバリエーションを楽しむためのものなのでしょうか。馬や競馬好きの人なら、もっと違った見方が出来たのかも知れません。
せっかくのニックやジェフの熱演も空回りとしか映らず、勿体ない。後半やっと登場するシャロン・ストーンは、疲れ顏でオーバー・アクションに終始します。かつてのあのフェロモンはいったい何処へ?これでは「氷の微笑2」は、期待薄です・・・。
(ビデオ)
2001.07.22 プルーフ・オブ・ライフ ★★★★
- 監督のテイラー・ハックフォード(「ディアボロス」など)が、この映画が「米国で興行成績が振るわなかったのは、ラッセル・クロウとメグ・ライアンの不倫のため」と放言して、ラッセルが激怒したといういわく付きのサスペンス・アクション映画。そんな舞台裏に関係なく、映画そのものは上出来で、私は楽しめました。
南米で反政府ゲリラに誘拐された米国人技師(デービッド・モース)の身代金交渉と、その救出劇が物語の中心。で、その交渉のプロがラッセル・クロウで、舞台裏と同様、メグ・ライアン演ずる技師の妻との恋を絡ませます。
今や実際に世界中で身代金目当ての誘拐事件が頻発しているだけに、現実的で緊張感あふれる画面に思わず引き込まれてしまいます。冒頭のツカミの救出シーン、技師の誘拐シーン、脱走シーン、終盤の救出シーンなど、アクションものとしても見どころは盛り沢山。特に誘拐シーンはインパクトがあります(おお、こわ!)。交渉の過程も、緊張感一杯。ただ、ラッセルは結局無償奉仕だったのかどうか、という点が説明が無く気になるところです。ラストもやや無難にまとめ過ぎ、という感じがしなくもありません。
二人のラブ・シーンが、試写でモニタに評判が悪いとカットされたお陰で、ラブ・ストーリーとしては何とも薄っぺら。唯一のキス・シーンはいかにも唐突ですし、ラストの二人の感情表現にも深みが出ません。
ラッセルは相変わらずニコリともせずに、ニヒルな(死語)な暗い演技に終始しますが、ま、これが彼の持ち味なのでしょうね。デービッド・モースが渋く、好感度高し。メグ、DVDのせいか、小皺がやけに目立っていました・・・。
(DVD)
2001.07.21 13デイズ ★★★★
- 1962年に世界を震撼させた所謂「キューバ危機」を扱った作品。タイトル(Thirteen
Days)は、事態勃発から解決された(ネタバレではありませんよね)1962年10月16日から28日までのことを指しています。
当時ウン才だった私には、全面核戦争が勃発したかも知れない人類史上最大の事件の記憶は余りありません。子供心にも世界はどうなるのだろう?と思った、などという一つ年下の知人もいたりしますが・・・。
大統領ジョン・F・ケネディ(ブルース・グリーンウッド)、弟で司法長官のロバート・F・ケネディ(スティーブン・カルプ)、大統領補佐官ケネス・オドネル(ケビン・コスナー)の3人と軍幹部との対立と苦悩が、史実に基づいて描かれています。残されていた録音テープを始め、膨大な資料から書き上げられたという脚本は説得力十分で、見応えある2時間半となっています。
ただ、当然ながら幾つもの事態が矢継ぎ早に提示されるので、集中して見ていないと置いて行かれてしまいます(何回か私はビデオを巻き戻した)。また、ホントにこれは事実に基づいている?と思われるエピソード(偵察機が攻撃されなかったなどとウソの報告がなされた、など)もあったりします。
一触即発の状況や好戦的な軍幹部の進言に苦悩し、ある面人間的な弱さを見せるJFKの描き方は好感が持てます。また、彼を演ずるグリーンウッド(「ダブル・ジョパディー」のアシュレイの夫役ね)が、よく似ていること!特にあの髪型というか頭の形がね。
当時JFK、RFK、オドネルは、それぞれ、45才、36才、38才(ケビン、とてもそうは見えないぞ)の若さ。こういう人に最高指揮権を与える米国は、やはり偉大というべきでしょう・・・。
よく云われているように、私も「ソ連から見た13デイズ」を是非見たいと思います。
(ビデオ)
2001.07.16 倦怠 ★
- イタリアでの同名のベストセラー小説の映画化で、フランス映画です。本国で絶賛され、最も革新的な映画に贈られる賞も受賞したのだそうな。ただ私にはこの作品を受け入れる感受性がまるでなかったことを、最初に白状しておきます。(-.-)
妻と別居中の大学教授の主人公(シャルル・ベルリング)は、ふとしたことで知りあった17才の少女(ソフィー・ギルマン)と関係を持ちます。ところがその少女には別の恋人がいることが判り、彼のストーカー的行為が始まります・・・。
ふむ、こんなに展開の少ないストーリーでもベストセラー小説になるのですか・・・。描かれるのは乾いたセックス・シーンと、主人公の機関銃のような喋りと気違いじみた付きまといだけ。少女も何が楽しくて主人公と関係を持つのか、何を考えているのか・・・。
ま、よくあるシチュエーションであることは間違いなく、現実的な描写に終始したということかも知れません。少女役が美女でもなくスタイルも良くない(ハッキリ言って、デ*)新人を使っていることも、その証かも。
ではストーリーがダメならR-18指定映画であるシーンに期待をする、というのは早計です。前戯も愛の言葉もない即物的なベッド・シーンは、少しも官能的ではありません。ビデオ・パッケージのうたい文句はユメユメ信じてはいけないよ(誰に言っているのだ)。
原題はL'ennui(アンニュイ)で「退屈」という意味もあります。そうか、そういうことだったのですね。(^o^)
(ビデオ)
2001.07.15 A.I. ★★★
- 話題作「パール・ハーバー」の公開初日だったので、こちらは空いているだろうと高を括って劇場に行ったら、長蛇の列だったのでビックリ。それもそのはず、公開初日や1週間観客動員数で、日本新記録をドンドン塗り替えているのだそうな。ビッグ・ネームが名を連ね、徹底した秘密主義で撮影、日米同時公開という宣伝効果が当たったのですね。
高度な人工知能(A.I.=Artificial Intelligence)を持つロボット(ハーレイ・ジョエル・オスメント)が、人間の母親の愛情を受けるために、ひたすら人間になりたいと願う(Please make me a real boy...)映画。スタンリー・キューブリックが長年暖めて実現できなかった企画を、スティーブン・スピルバーグが引き継いで脚本を書き、監督したファンタジー作品です。
私がヒイテしまったいくつかの理由。
(1)バラバラな印象:最初はホーム・ドラマ的なコメディ・タッチ、次は「グラディエータ」に近い残酷なショー・タイム、次第に哲学めいて(退屈になって)きて、最後は完璧なファンタジー。
(2)観客対象が不明確:基本は子供向けのつもりなのでしょう、お陰でセックス・ロボット(ジュード・ロウ)が出てきてもそんなシーン(どんな?)は全くなし、その割には残酷なシーンが多すぎ。
(3)ハーレイ君は幸せになれたか?:ひたすら母親の愛を得ようとするのが見ていて不憫、ラストもあれでは結局まやかしではないか?
ま、キューブリックだけあって何となく奥が深そうで、色々な見方ができる作品であることは間違いありません。SFXも斬新さはありませんが、そこそこ見せてくれます。
天才的超名演技と云われているハーレイ君も「シックス・センス」のときようなインパクトには欠けていたような気がします。食べ物を食べると故障するのに、プールや海に落ちても絶対壊れない貴男はエライ!でも、涙は流せるのに瞬きが出来ないのは、何故?
(劇場)
2001.07.14 ダイナソー ★★☆
- 出張の際の機内映画による観賞です。比較的スクリーンに近い席だったのですが、残念ながら機内の明るさと3管プロジェクターでは十分に発色されず、折角1億3000万ドルもかけたCGの素晴らしさが判らずじまいでした。しかも吹き替え版・・・(江角マキコとかいう女、私は嫌いだし)。
6,500万年前の白亜紀、巨大隕石群の飛来で壊滅した土地を離れ、新天地を目指して大移動を行うダイナソー(恐竜)らの物語です。「ジュラシック・パーク」などと違って恐竜が言葉を話したり、感情豊かな表情をしたりするのは、いかにもディズニー的。ストーリーもファミリー向けに無難にまとめられています。「みんな仲良く協力し、団結すれば不可能も可能になる」というメッセージなど、教訓めいたところが強調され過ぎていて、鼻につかないこともありません。
かつて予告編を見たときは、実写と区別がつかないほどのハイレベルなCGに仰天をしたものでした(背景は実写とのこと)。卵をくわえた翼竜が飛翔する場面など、実にほれぼれとしてしまいます。ただ、主人公のイグアノドンの顏がやや平面的で、眼が上部よりの位置であるせいか、少々間抜け顏に見えてしまうのが、気になりました。
卵から孵った主人公を育てるのがキツネザルなのですが、この時代にこんなフサフサとした体毛を持つ猿類などの哺乳動物がいたのでしょうか?(教材にも使われそうな映画ですから、ウソはだめですよ)
(機内映画)
2001.07.08 コンフェッション ★★☆
- キューバ・グッディングJr.が製作・主演した謎解きサスペンス。
著作活動が中々進まない元弁護士である主人公は、亡くなった老人の書いた小説を盗作し、それが大ベスト・セラーに。ところがその小説と全く同じ殺人事件が起きていて、彼はその事件担当の刑事(トム・ベレンジャー)に逮捕されてしまいます。果たして無実の罪を晴すことが出来るか?というのがストーリー。
前半はかなり快調で、謎解きもそこそこ楽しめます。中盤以降に真犯人が判ってからは、やや展開が強引に。犯人はわざわざそんな手の込んだこと、するかね?。ベレンジャー演じる刑事もあんなことでは、単なる阿呆だし。ラストも説明無しに、無理に持って行ってる感じ・・・。
そもそも主人公が弁護士を辞めたのは、担当した事件で正義を通したからであり、そんな彼が安易に盗作をする設定も無理があると思います。
グッディングJr.は自分がプロデュースしているだけあって、女編集者役との大胆な絡みシーンを入れるなど、けっこうやりたい放題ですね。お陰でR-15指定にされてしまっていますが・・・。(^_^;)
彼はオスカー俳優ですが、私はこの人の演技は巧いとは思いません。それに比べると情けない役柄でもベレンジャーは流石ですし、更には真犯人役のマーク・ペリグリーノの熱演が光っていました。
原題は「A Murder of Crows(カラス達の殺人)」で、これは盗作した小説の題名。それをわざわざ「コンフェッション(告白)」などというカタカナの解りにくい邦題に変えるセンスが、私には理解できません。
(ビデオ)
2001.07.02 追撃者 ★★☆
- 1971年に公開された「狙撃者」のリメイク版。例のゴールデンラズベリー賞で、最悪主演男優賞(シルベスター・スタローン)と最悪リメイク賞に輝いた(?)作品です。
取り立て屋の主人公(スタローン)が、弟の事故死に疑問を抱き、その真相をあばくために闇の組織と対決していくというストーリー。
じれったいほどにユックリ、ユックリお話が進んでいきます。多分編集の仕方によってはこの半分の時間で済んでしまうでしょう。でも、その割には説明が中途半端。何故、縁を切ったも同然の弟の死に突然疑問を持ったのか?宿敵(ミッキー・ローク)は死んだのか?情婦に手を出して狙われているベガスのボスはどうなったのか?など、判らないことが多すぎます。
弟の死の真相も判ってしまえば、なぁ〜んだ、そんなことか・・・。もったいぶっていた割には、ヒネリも何にもありません。
オリジナルの主役を務めたオスカー俳優のマイケル・ケインがチョイ役で出演。こういうことにこだわるのが如何にもハリウッド的(意味不明)。ロークは醜悪以外の何ものでもなし・・・。アラン・カミングが「タイタス」でのキャラと殆ど同じ、というのが面白かった。
そんな中で一際目を引いたのが、姪役のレイチェル・リー・クック。この人は超美形ですね。情婦役のグレッチェン・モルも霞むほど。
髭を蓄えたスタローンはそれなりにカッコ良く、ポール・マッカートニーに益々似ているのでした。(^o^)
(ビデオ)
2001.07.01 シックス・デイ ★★★
- 映画が始まってから、タイトルは「旧約聖書において神が6日目に人間を創造したことに由来する」ということだと判りました。それなら「シックスス・デイ」ではないか、などというのは野暮というもの。確かに原題は「The
6th Day」ですが、邦題にはよくある省略の決め事です。
シュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー)が、「エンド・オブ・デイズ」から1年ぶりに取り組んだ近未来SFアクション作品。今回は「人間のクローン」がテーマです。
- 殆ど期待しないで見たせいか、意外と私は楽しめました。ただ、シュワちゃんの主演作である「トータル・リコール」と雰囲気的にはソックリ。シュワちゃんのダイコンぶりも相変わらずです。
クローンは動物では既に実現しているので、あり得ない話ではないでしょう。ペットのクローンを造る「リペット」などという商売も実際に出現しそうです。近未来の描写も、ネット冷蔵庫や指紋照合など、大いに現実的。でも、視覚がビデオ画像のように記憶されていた(これには笑った)り、脳の記憶が小さな光ディスク1枚に収められたり、人間のクローンが2時間足らずで出来たりするのは、この手の映画では突っ込んではいけないとは思いつつも、どうもね・・・。
折角お金をかけた(1億2,000万ドル!)のですから、脚本にもっとヒネリが無いと勿体ない。シュワちゃんのクローンが何故造られたかということを終盤まで引っ張っていて、「あれ」はないでしょう。ただ、予定調和を裏切るラストはポイント高し。
それにしてもあの「シム・ドール」とかいう気持ち悪い人形は、なに?
(DVD)
2001.06.25 グリーン・デスティニー ★★
- 第73回アカデミー賞の10部門でノミネートされ、外国語映画賞を始め美術、撮影、作曲の4つのオスカーに輝いた香港映画の話題作。監督は台湾出身で「アイス・ストーム」などのアン・リ−です。
二組の男女を中心とした剣術及び恋愛を基本とし、「マトリックス」のアクション監督を務めたユエン・ウ−ピンによるワイアー・アクション満載のカンフー・ファンタジー映画。
とにかく脚本が良くないと思います。タイトル(=碧名剣)は太古のパワーに満ちた秘剣のこと。最初はこれが話の中心になるかと思いきや、結局添え物にしかすぎない、という変な構成(ま、原題は剣とは関係ない「CROUCHING
TIGER, HIDDEN DRAGON(虎は臥し、竜は潜む)」だからしょうがないか・・・)。しかも主人公(チャン・ツィイー)の全ての行動の動機が、私には殆ど理解できませんでした。アナタは一体何のために剣を盗み、闘わなければならないの?
多分リー監督は、復讐劇や恋愛物語に精力を注がず、ひたすら壁を駆け上がり、屋根を疾駆し、宙を舞う華麗な剣術士らのアクションを披露したかったのに違いありません。
ただその御自慢のワイアー・アクションがどうもいただけません。「マトリックス」でも、跳躍中にいきなり90度違う方向へ向きを変えるなどという、余りにも物理法則を無視した描写はなかったはず。しかもワイアーはデジタル処理で消せても、吊られていることがいかにもアリアリ。見せ場であろう終盤の竹林の格闘シーンでは、主人公と闘うチョウ・ユンファに思わず同情してしまいました。若くない(46才)のにさぞ、苦労しただろうな・・・。
香港映画の頂点が本作あたりにあるとしたら、私は益々この手の映画から今後も遠ざかることになると思います。
ヨ−ヨ−・マのチェロが泣いています・・・(ホントに)。(-.-)
(ビデオ)
2001.06.24 ダンサー・イン・ザ・ダーク ★★
- 2000年のカンヌ映画祭で、パルムドール(最高賞)と主演女優賞(ビョーク)を獲得したデンマーク映画。劇場公開時、「見終えた観客がみんな泣きながら出てくる」、「カメラ・ワークで完璧に酔う」などという悪評(?)に恐れをなして行かずじまいなのでした。
チェコからアメリカに移民した主人公(ビョーク)は、遺伝性の眼病のために殆ど失明寸前。一人息子も同じ病気で、彼の手術代を稼ぐために視力が無いことを偽って昼夜働きづめ。そんな彼女の唯一の安らぎは、「サウンド・オブ・ミュージック」のミュージカルを演ずることでした・・・。
うう、暗い・・・。暗すぎます。結果的に誰一人、救われないではありませんか。主人公の愚かな選択に、最後は腹立たしくもなる始末です。そうまで彼女を苦しめる監督(ラース・フォン・トリアー)の意図も理解できません。
ミュージカル映画の体裁をとっていますが、歌い、踊るシーンが全て主人公の空想の中でのみ展開されるというのがユニーク。本来楽しいはずのそういったシーンも、悲壮すぎる現実が裏に見えていて、ちっとも楽しくないのだよ。
後半は思いっきり「デッドマン・ウォーキング」状態。監督は、観客のかすかな望みもあざ笑うかの如く断ちきって、とどめを刺してくれます。
やはりあのハンディ・カメラの映像はどうもいただけません。劇場の大画面ではなおさらツラかったでしょう。
ビョークは本当にプロの歌手?本作でも、アカデミー賞授賞式での歌でも、ビブラートのコントロールが出来ない素人にしか聞こえなかったのですが。それにもう少し美しく撮ってやらないと・・・。「はきだめに鶴」状態と化していたカトリーヌ・ドヌーブを見ると、とてもホッとするのでした・・・。
(ビデオ)
2001.06.18 ピッチブラック ★★★☆
- B級ムードがプンプンのタイトルとビデオ・ジャケットで、だいぶ損をしていますね、これは。こう見えてもれっきとした全国劇場公開映画です。ただし一週間だけだったけど・・・。(^_^;) タイトル(「PITCH
BLACK」)は「漆黒の暗闇」という意味だそうな。
一言で言えば「エイリアン」の亜流のSFホラーということになるのでしょうが、色々ひねりがあって私は結構楽しめました。
不時着をした惑星には太陽が三つもある(!)ので、そこはいつも昼間。ところが22年に一回それらと月が直列して日食が起き、真暗闇に。そこに、光に弱く暗闇でしか動けないエイリアンが次々と人間を襲っていく、というよくある生き残りゲームが展開されます。しかもそこでは特殊能力を持った極悪殺人犯(ヴィン・ディーゼル)が護送途中で、副船長(ラダ・ミッチェル)を始め他の人間はダブルで危険にさらされる、というしかけです。
低予算映画であることはアリアリで、不時着シーンなどは悲しいほどオソマツですが、それでも壮大な日食の光景には眼を見張らされました。CGのエイリアン(空飛ぶイカ?)も暗くて良く見えないこともあり、合格点です。(^o^)
ジョークなど誰も一言も発しないシリアスな展開なだけに、御都合主義が目立ってしまうのが残念。明らかにヤバイ状況なのに生き残る人間は中々殺されない、とか(当たり前か)。
ラストの意外性がポイントでしょうが、やや後味悪し・・・。
(ビデオ)
2001.06.16 ハムナプトラ2/黄金のピラミッド ★★★★★
- 「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」の言わば正統的な続編で、第一作目の配役、背景をそのままにその8年後を描いたもの。この5月に米国で封切られた際は、ハリウッド史上2番目の興行成績を上げたのだそうな(一番は「ロスト・ワールド」)。
いやあ、痛快、痛快。CGをフルに駆使して畳み掛けるような見せ場の連続に、最後まで大いに楽しめました。普通の映画なら一つだけで十分なクライマックスとなるシーンが、三つも、四つも同時進行していくという贅沢な構成。前作から文句なくスケール・アップ、パワー・アップしています。
- 主人公ら(ブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ)の一人息子を始め、強大な悪の化身(スコーピオン・キング=ドゥエイン・ジョンソン)、ピグミー・ミイラなどの新キャラクターや、レイチェルの隠されていた宿命などのエピソードも追加。第一作目のキーとなるシーンが挿入されているのも、楽しい限りです。
前作では残念ながら出番が少なかったイムホテップ(アーノルド・ボスルー)の愛人・アナクスナムン(パトリシア・ヴェラスケス)がフル出場することも嬉しい(ただ顔つきがだいぶ変わって見えたけど)。レイチェルのメイクがやけに濃くなっていたのは前世の宿命のせいなのでしょうが、彼女の終盤の出来事とともに、このエピソードは取って付けた感がなきにしもあらず・・・。
- とにかくI.L.Mによる全編にわたるCGが凄まじい。特に冒頭や終盤の大軍隊による戦闘シーンのスケールの大きさに、口アングリ状態です(えらく時間をかけたのだろうな)。ただ、終盤のスコーピオン・キングの顏は菊人形に見えていたけど(^o^)。ラストのイムホテップの涙には、心から同情・・・。
この映画は第一作目を見てからの観賞をお薦めします。そうすれば主人公がミイラと戦う前に言う「ミイラにはもうウンザリ」などというセリフが、俄然面白く聞こえるはずです。
これで「インディ・ジョーンズ4」の製作者は、プレッシャーがかかっているだろうな・・・(^o^)。
前売りチケットも安くなった(1,300円)ことですし、これぞ劇場の大スクリーンで見るべき映画ですよ。(^_^)
(劇場)
2001.06.10 処刑人 ★★★★
- B級然とした邦題(原題は「The Boondock Saints」=田舎の聖者)に余り期待しないで見たのですが、大いに楽しめました。アメリカでは過激な描写のために上映禁止となった州が多かったとのこと。特に他の映画と較べて突出している感じはないと思うのですが・・・(ひょっとしてあの猫のシーンか?)。
世の中のためにならない悪人を処刑(?)していく、敬虔なクリスチャンの兄弟(ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス)の二人が主人公。そこにFBIの捜査官(ウィレム・デフォー)が絡みます。
コメディ・タッチでテンポの良い展開は、最後まで飽きさせません。一つのエピソードの結論を先に示しておいて、後からその経過を描写する、という手法も面白く、見るものの想像力をかき立てます。ただ、そのシーンに語り手(デフォー)も同時に写しだすというのは、やり過ぎだと思うけど・・・。また、謎の殺人マシンの正体は、あざとい感じが無きにしもあらず・・・。
悪人だから殺してもいいのかという引いた見方をする観客には、エンドロールのバックのインタビューでその答えが用意されています。監督のエクスキューズですね、これは。
兄弟を演ずる二人は今後ブレイクするでしょう。特に弟役のノーマンはモデル出身なのだとか。どうりで、サングラスとコート姿がキマッテいるはずです。
デフォーは「レオン」のゲーリー・オールドマンを思わせるキレぶりが見事。珍しくも彼の女装が楽しめましたし・・・(意外とイケテルのだ(^_^;))。
(ビデオ)
2001.06.04 イギリスから来た男 ★★★
- 「トラフィック」でオスカーに輝いたスティーヴン・ソダーバーグの監督作品。原題は「The
Limey」で、ライムを好んで摂る英国人の蔑称だとか(変なの)。
- アメリカで死んだ娘の真の死因を探る英国人の復讐劇、というのがこの作品のストーリーですが、ソダーバーグ監督はそれよりもテレンス・スタンプを使って新しいヒーローを作り上げたかったように思われます。「レッド・プラネット」では存在感の無かったスタンプですが、ここでは彼演ずる一見紳士風ながらトンでもないジジイが、とてつもなくスタイリッシュに描かれています。与太者にヘロヘロにぶちのめされた直後、立ち上がって向かっていく序盤のシーンには笑ってしまいました。
- 一風変わったフラッシュ・バックを多用している(編集に苦労しただろうな)かと思えば、スタンプの若かりし頃の映画で主人公の回想シーンを描いたりしているのも、とてもユニーク(私は随分似ている若い俳優を探したものだ、と思っていました)。
- ソダーバーグ作品では常連のルイス・ガズマンが相棒役。この人はいつ見ても強烈な印象ですね、もちろんあの風貌が。ピーター・フォンダを見たのは、久しぶりでした。
- スタンプは御年61才。ウン、私らまだまだ頑張らなくては・・・。(^_^)
- (DVD)
2001.06.03 シャフト ★★☆
- 1970年代にブラック・ムービーとして大ヒットした「黒いジャガー」(私は未見)をベースにした作品。「アルマーニ」のレザー・コートに身を包んだ象徴的なファッションの刑事・シャフトをサミュエル・L・ジャクソンが演じています。
ふむ、ヒーローそのものや導入部などカッコ良さもあってそこそこ見せてくれるのですが、ストーリーがまるで平坦で最後まで盛り上がらない。敵役が簡単に再逮捕されたり、強大な力を持っているはずの麻薬王が意外と間抜に見えたり、どうも脚本が練られていないという感じです。
テーマ音楽は70年代調でアレンジされており、当時の雰囲気が横溢した作りになっていて、その辺は私には楽しめました。
オリジナルのシャフト役のリチャード・ラウンドツリも出演していますが、ただのオッサン。ブラック・ビューティのヴァネッサ・ウイリアムズもここでは、ミスコン女王を返上しなければいけないほど(実際にヌード問題で返上せざるを得なかったのだけど)。一方全くセリフの無かった被害者の青年の母親役は、とてつもなく存在感がありました。
いずれにしても、この続編(作られそうな雰囲気、ありあり)はツライでしょう・・・。
(ビデオ)
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