映画、ビデオ短評

★★★★★:満点(五つ星) :半星

1998.6.24〜1998.8.15  1ページ目へ  トップへ

1998.8.15 G.I.ジェーン  ★★

 ある女性軍人(デミ・ムーア)が、男性でも6割は脱落するという過酷な訓練に挑戦する、という軍隊もの。監督はリドリー・スコットです。
 それにしてもデミ・ムーアには、恐れ入ります。「素顔のままで」では、ストリッパー役で本職顔負け(?)のセクシーな踊りを見せたかと思うと、今度は坊主頭(!)とムキムキ・ウーマンになって地獄の訓練に耐えようというのですから。
 しかし、ストーリーが・・・。女性蔑視の軍隊の中で女性の地位向上のために挑戦するというのは、いかにも短絡的で大人げないし、また状況設定から容易に先が読めてしまいましたしね。でも、過酷な訓練描写だけに終始することなく、終盤で実戦シーン(ゴメン、ネタバレです)が加えられたのは、せめてもの救いでした。
 予告編でもお馴染みの、デミが叫ぶ、「Suck my ****!!」は大迫力で、思わず拍手をしたくなりました。(^_^;)
(ビデオ) 

1998.8.13 恋する惑星  

 本国の香港、ヨーロッパ、そして日本でも大ヒットしたウォン・カーウァイ監督の話題作です。
 今を時めく金城武を中心とした第1話と、トニー・レオンとフェイ・ウォンを絡ませた第2話の、2部構成になった、タイトルどおりのトレンディな恋愛作品。
 正直言って、私はこの手の映画はダメなんです。MTV風というか、ビデオ・クリップ風のハンドカメラによる映像は、今様でスタイリッシュということなんでしょうが、やはりしっかりしたストーリーがないと私はどうも落ち着きません。第2話はともかく、第1話はなんか、尻切れトンボじゃないでしょうか。
 でもさすがに金城武は魅力的で世の女性方が騒ぐのも無理はないと思いますし、またフェイ・ウォンは一見平凡などこにでもいる女の子風なのですが、不思議な人を引きつけるキャラクタを持っているとは思います。
 話題作を一応義理でこなした、という感じ。m(__)m
 それにしてもMamas & Papasの「夢のカリフォルニア」は名曲ですね。(^.^)
(ビデオ)

1998.8.7 痩せゆく男  ★★

 スティーブン・キング原作のホラー作品で、135kgもある巨漢の弁護士(バード・ジョン・バーグ)が、あることからジプシーの呪いを受け、ドンドン痩せていく、というお話。原題もズバリ、「Thinner」です。
 主人公が135kgからその半分くらいの体重まで痩せていく特殊メイクは、なかなか見物です。また、バード・ジョン・バーグは実際に太ったり、痩せる努力をしたそうな。でもやはり太っちょよりも、痩せの見せ方が当然ながら難しいわけで、痩せ方にやや限界がありました。
 この話が恐ろしいのは、普通なら最後は改心してまあまあのハピーエンドとなるところが、この主人公は初心を貫いて、行き着くところまでいってしまうところ。スティーブン・キングの面目躍如でしょう。
「ガープの世界」といい、この映画といい、車の中での***は、いけません!(^_^;)
(ビデオ)

1998.8.7 フェイク・ディール 偽札  ★★

 原題は「Traveller」で、ジプシーの様に移動しながら生活をしている閉鎖集団を指しています。この集団に属していて、詐欺で生計を立てている男(ビル・パクストン)が、恋した女性の難病の娘を助けるために、マフィア相手に偽札トリックの罠をしかける、というお話です。
 主人公が善良な町民相手にしかける数々の詐欺には笑ってしまいます。でもストーリー的にはそれだけで、余り訴えるものはありません。集団からの離脱か、恋愛か、などもテーマなのでしょうが、十分描ききれておらず、薄っぺらな印象なのです。結末も、力任せ、という感じ。
 主人公のカモになってだまされ、後で恋に落ちる女性バーテンダーに、「ER 緊急救命室」のジュリアナ・マルグリーズ。彼女が「Love and Happiness」に合わせて踊った、セクシーなダンスだけが印象に残りました。(^_^;)
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1998.8.1 この森で、天使はバスを降りた  ★★★

 96年サンダンス映画祭で、熱狂的なスタンディング・オベーションが5分間も続き、「観客賞」を受賞した作品です。泣ける映画というもっぱらの評判でした。
 刑期を終えたある若い女性が、メイン州の田舎の町のレストランに住み着き、周囲の人とのふれあいの中で自分を見いだしながら、周囲の人々をも変えていく、というヒューマン・ドラマです。
 原題は「The Spitfire Grill」(スピットファイアというのは戦闘機のこと)、で、主人公が住み込むレストランの名前なのですが、これにこだわらずにこの長い邦題を付けた人は、エライ! 見終えると、この邦題の意味がわかります。
 ただ私は終盤の悲劇の必然性にイマイチ納得がいきませんでした。他に手はあったろうに、とも、平凡なハピー・エンドで良かったのに、とも思います。
 レストランの女主人を演じたエレン・バースティン(北林谷枝に似ている、というと年がばれますね)の演技が、完全に主人公のアリソン・エリオットを喰っていました。
(ビデオ)

1998.7.30 L.A.コンフィデンシャル  ★★★★

 今年度のアカデミー賞で「タイタニック」の向こうを張って、最優秀助演女優賞と脚本賞に輝いた超話題作です。
 L.A.(ロス・エンジェルス)の市警の3人が、マフィアがらみの事件を追う途中で、その裏に隠れた巨悪が次第に暴露されていき、それに巻き込まれていく、というサスペンス作品。
 関係なさそうなプロットが、終盤でドンドンつながっていく展開は見事で、最後まで引き込まれます。また登場人物のそれぞれの人物像がしっかり描かれていて、とても現実味があります。うん、こんなもんなんだろうな、と納得させられる状況設定になっています。
 また、それらの登場人物の名前を、しっかり顔と一致させて覚えておくことを是非お薦めします。それを怠ると話の展開を見失いかねません。けっこう、複雑な謎解きなのです。
 主人公グループの中では、やはりケビン・スペイシーが相変わらず謎めいた雰囲気を漂わせていて存在感、抜群。でもラッセル・クロウケビン・スペイシーを同時に使ってはいけませんね。余りにも二人が似ていて、複雑なストーリーと相まってけっこう混乱させられてしまいます。
 キム・ベイシンガー、相変わらずセクシーですがすっかりオバサンになってしまいましたね。(-.-)
(劇場) 

1998.7.27 メン・イン・ブラック  ★★★

 スポンサーが湯水のごとくお金をつぎ込んで大々的に宣伝した映画でしたが、興業成績の方はどうだったんでしょう?
 黒一色に身を固めた、エイリアン事件を扱う最高機密機関の男達が、エイリアンの地球侵略を阻止するために戦う、というSF(&コメディ)作品。
 エイリアンが地球上に住み着いていて、普通の人間として暮らしている、というアイディアは以前から良くありますが、ただそれだけの状況設定で、ストーリーは無きに等しいもの。後はCGを多用したSFXを楽しむべきなのでしょう。でも私はエイリアンそのものが余りにも漫画チックで醒めてしまいました。まあ、原作が漫画ですからしょうがないのでしょうが・・・。
 人間の皮を被ったバグの役を演じたビンセント・ドノフリオの熱演は特筆もの。トミー・リー・ジョーンズがいやに老けていたのが気になりました・・・。
(ビデオ)

1998.7.26 ブルー・ベルベット  ★★

 懐かしいヒット曲、「ブルー・ベルベット」がオープニングで流れますが、この曲のイメージとは懸け離れたなんとも摩訶不思議な、狂気の世界が始まっていきます。監督がデビッド・リンチで、主演がカイル・マクラクランとくれば、殆ど「ツイン・ピークス」の世界。
 家族を軟禁されている女性をめぐって、主人公が奇妙な事件に巻き込まれていきます。狂気の悪役を演じているのはデニス・ホッパーで、この人のキレ方は一見の価値あり。小さな子供などが、いつも枕やタオルなどを離さないでいることがよくありますが、この人は、そう、青いベルベットの布きれを離せないでいるのです。(-.-) 中盤からのストーリー展開に私はついていけなかったのでなおさらですが、見終えて頭の中が???だらけになってしまいました。
 わざわざ「無修正最終版」などと銘打ったバージョンのビデオでしたが、最近では無修正だからといっても別にどうってことなくなりましたね。(^_^;)
 カイル・マクラクランはこの頃は、初々しかった。
(ビデオ)

1998.7.21 12人の怒れる男  ★★★★★

 このように出来のよい映画が、日本で劇場未公開だったとはもったいない。1957年にヘンリー・フォンダが主演した「12人の怒れる男」の、これは完全リメイク版です。
 父親殺しの裁判での12人の陪審員の審議過程を描いたもので、冒頭、法廷での容疑者が少し映るだけで、後は全て狭くて暑苦しい小さな部屋の12人のやり取りだけに終始して、物語が進んでいきます。最初は有罪と無罪が11人対1人なのですが、議論を進めるうちにどんどん話が展開していき、大方結末は予想されるものの、演出の上手さと、12人の個性的な役者のそれぞれの熱演で、最後までグイグイと引き込まれてしまいます。
 12人が勝手に動き回ったり、好き勝手なことを口走ったりと、極めて自然な演出が巧妙です。終盤、無罪に転じる人間の動機がやや説明不足のところもありますが・・・。
 何と言っても、最初に無罪を主張するジャック・レモンと、彼に真っ向から反対するジョージ・C・スコットの入魂の演技が見ものです。
 それにしても俳優のギャラは別にして、これだけ低コストの映画も珍しいでしょうね。なにせ、殆どが汚い一部屋だけでの撮影に終始しているのですから・・・。
(ビデオ)

1998.7.18 マッド・ドッグス  

 出演者が目茶苦茶豪華な割には、ストーリーがイマイチパッとしないギャング映画。
 リチャード・ドレイファス(「未知との遭遇」)、ジェフ・ゴールドブラム(「ロスト・ワールド」)、エレン・バーキン(「シー・オブ・ラブ」)、ダイアン・レイン(「ホワイトハウスの陰謀」)、カイル・マクラクラン(「ツイン・ピークス」)、グレゴリー・ハインズ(「タップ」)、ポール・アンカ(歌手)など、この他にも有名スターが目白押しです。
 何がいいたいのか、よくわからないストーリーもさることながら、やたらもったいぶったような演出が鼻について、興醒め。ポール・アンカの歌う「マイ・ウェイ」だけが救いでした。
(ビデオ)

1998.7.18 イル・ポスティーノ  ★★★

 イタリアの小さな島に亡命してきた世界的に著名な詩人と、その島に住んでいてその詩人の専用の郵便配達人を引き受ける青年との交流を描いたもの。劇場公開時は比較的評判の高い映画でした。
 主人公のマッシモ・トロイージがこの映画の撮影終了12時間後に急死した事実を私は知っていたので、そのことと、象徴的なストーリーとがオーバーラップして仕方がありませんでした。風采は上がらないけれども、詩や恋に一途な青年を演じているマッシモ・トロイージの演技は、特筆モノです。また小さな島の美しい風景と全編に流れる物悲しい音楽に心を打たれます。
 こういうイタリア映画を見ると昔の学生時代のことが思い出されます。授業の間に(あるいはそれをサボって(^_^;))、名画座などでよくヨーロッパ映画を観たものでした。
(ビデオ)

1998.7.14 ゴジラ GODZILLA  ★★★

 その姿を公開すること無しに秘密裏に製作を進め、封切りされるやいなや余りにもオリジナルと違う姿に皆がアッと言わせられた、ハリウッド版ゴジラ映画です。
 序盤は予告編のつなぎあわせで、中盤ではいきなり「エイリアン2」と「ジュラシック・パーク」になって、終盤でようやく見せ場が現れる、という展開です。全編CGで造られたゴジラはそれなりに迫力があり、見モノではあります。しかし、CGくささをカモフラージュするために、夜間や薄暗い地下のシーン、雨のシーンが多かったのはしょうがないのでしょうね。
 納得のいかない御都合主義のところも結構ありました。例えば、どう考えても絶体絶命の状況なのに主人公グループなら無傷で逃げることができてしまうとか、ゴジラは追われるヘリからは楽々と逃げられるのに、主人公の乗ったタクシーには中々追いつけないとか、くわえたそのタクシーを中々かみ砕かないとか・・・。
 ストーリーは、序盤の展開など一応オリジナルを尊重しているところもあるようですし、付きものの人間側のサイド・ストーリーもまあまあといえるでしょう。でももっとじっくりゴジラそのものを見せて欲しかった、という思いは残りました。
 人間側の主人公は、とっちゃん坊やのマシュー・ブロデリック。人気のジャン・レノも出演していますがあまりパッとしません。
 それにしても、洋画に日本人が出てくるとなんであんなに滑稽に映るのでしょう?
(劇場)

1998.7.11 沈黙の断崖  ★★

 スティーブン・セガールの「沈黙」シリーズの最新作ですが、なんでも「沈黙」と付ければいいってもんじゃないですよね。「沈黙の断崖」って一体何なんでしょう?
 ある地域の環境汚染を調査している政府機関の捜査官と、その地域に巣くう有害物質垂れ流しの悪徳会社のオーナーとその手先達との対決を描いたアクション作品です。
 ストーリー自体は特にヒネリもなく、取り立ててどうのこうのということはないのですが、今までのシリーズでは恋などしなかった主人公が、今回はその地域に昔から住んでいる訳ありの女性といい仲になります。それが本題よりもむしろ新鮮に映りました。またこの女優(マーグ・ヘルゲンバージャ)は若くはないのですが、なかなか魅力的なのです。(^.^)
 相変わらず、セガールは向かうところ敵なしで目茶苦茶強い。余りにも危なげが無くて、観ている方はかえってシラケてしまいます。
 セガールの無機質な演技は、相変わらずですし。(-.-)
(ビデオ)

1998.7.9 ブラス!  ★★★

 閉鎖間近な炭坑の労働者が結成しているブラスバンドが、難航する会社側との交渉、貧困にあえぎ崩壊しかける家庭、バンドのメンバになった会社側の調査員との関係などを折りまぜて、ロンドンのアルバート・ホールへの出場までを描いた作品です。劇場公開時は、かなり評判は良かったようです。イギリスの実在のバンドがモデルになっているのだとか。 
 炭坑閉鎖の悲哀を乗り越え、バンド演奏に生き甲斐を見いだし成功していく感動ドラマということも出来るでしょう。ただ、この映画を音楽映画として観るかどうかです。私はバンド演奏や音楽そのものを、もっと丁寧に扱って欲しかったと思いました。演奏会での演奏は余りにも完璧で、そこに行き着くまでの努力の過程などがもっと描かれていると良かったのですが。
 更に残念だったのは、画質が予告編並に悪かったことと、音楽映画であるにも関らず音質も良くなかったこと。(-.-)
 ただ序盤での「アランフェス協奏曲」の演奏は素晴らしく、心を打たれました。
 病気持ちの指揮者を迫真の演技で演じたのは、アカデミー賞候補にもなったピート・ポスルスウェイト。「父の祈りを」や「ユージュアル・サスペクツ」などにも出ていますが、この人はいい役者です。
(ビデオ)

1998.7.8 ミミック  ★★

 原題の「Mimic」とは「擬態」という意味で、昆虫などが敵から身を守るために、相手の体に自分を似せてカモフラージュすることを差すのだそうです。
 昆虫学者がある目的のために遺伝子操作を施した生物が、短命であるはずなのが生き永らえて人間を襲う、というバイオ・ホラー映画です。そう、擬態されるのは人間なんです。
 この手のホラー作品は、製作者側が意図しようとしまいと、「エイリアン」や「エイリアン2」の模倣になってしまうのはしょうがないのでしょうね。「エイリアン2」とそっくりな状況が出てきて驚いてしまいました。それと、大事な人物は襲われても絶対死なない(当たり前か)など、かなりご都合主義の展開になっているのも気になりました。
 主人公はミラ・ソルビーノで、「誘惑のアフロディーテ」での能天気なコールガールと違って、知性あふれる昆虫学者を演じています。でも折角の美貌が随分汚されていて可哀想でしたね。
 この映画も見終わってすぐ食事をしないほうが無難です。(-_-;)
(ビデオ)

1998.7.6 セブンイヤーズ・イン・チベット  ★★★★

 オーストリアの実在の登山家、ハインリッヒ・ハラーが、7年間滞在したチベットで若きダライ・ラマとの心の交流を描いたヒューマン・ドラマです。
 退屈しそうだとか、ブラピ・イン・チベットだ、とかいう噂に尻込みをして劇場では未見でしたが、136分という長尺ものにもかかわらず、最後まで十分引き込まれてしまいました。利己主義的で傍若無人な主人公(ブラッド・ピット)が、幾つかの挫折を経た後、ダライ・ラマとの交流を通じて大きく人間的に成長していく過程が、チベットの美しい自然とともに描かれていて、なかなか感動的でありますよ。
 チベットを侵略する中国がいかにも悪く描かれていましたが、あれでは中国でこの映画が上映禁止になったのも無理はありません。でも所詮、戦争で侵略をするということは、どこの国でも(もちろんかつての日本軍も)あんなもんなんでしょうけど。
 若きダライ・ラマを演じた少年は、全くの素人を起用したのだとか。笑顔がとても魅力的です。
 見終えてからは、今なお中国との和平に努力しているダライ・ラマを、心から応援せずにはいられなくなります。
(ビデオ)

1998.7.4 ゴースト・オブ・ミシシッピー  ★★★

 1963年、米国ミシシッピー州のある黒人の活動家が射殺されますが、その容疑者である白人至上主義の男は不平等裁判によって2回も評決不能となり、釈放されます。それを30年経ってから主人公である検事(アレックス・ボールドウィン)が、幾多の困難を乗り越えながら再審にこぎ着ける、という法廷サスペンスです。
 実話ということで特にトリッキーな展開はなく、よくありがちなお話ではあるのですが、構成が綿密でありクライマックスである法廷シーンまで、十分引き込まれてしまいます。アメリカ南部の人種差別の実態を再認識させられるとともに、主人公の言う「自分にだって未だに家に食事に来てくれるような黒人の友人はいない」という台詞に、人種問題の難しさを今更のように痛感させられました。
 気になったのは、主人公の再審へのモチベーションの説明がやや不足していると思われたことと、被害者の妻のウーピー・ゴールドバーグが、30年経ってもちっとも老けてなかったこと(^.^)。アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされた容疑者役のジェームズ・ウッズがあんなにうまく、憎らしげに老けていましたのにね。
(ビデオ)

1998.6.30 もののけ姫  

 私は従来から基本的に邦画とアニメーション映画は見ないことにしているのですが、この度これを見てやっぱり今後もその信念を変えることはないな、と思いました。多くの「もののけ姫」ファンには申し訳ありませんが、この映画がなんであんなにヒットしたのか、私にはわかりません。(-.-)
 テーマが「人間と自然の共存」ということはよく理解できました。でもなんであんなに色々状況設定をわかりにくくしているのか、それぞれの造形物がなんであんなにおどろおどろしく、気持ち悪い存在になっているのか、私には理解できません。小さな子供の観客もいるでしょうに、首や腕がふっ飛んだりする相当残酷なシーンの必然性にも、首を傾げざるを得ません。
 また序盤で主人公のアシタカにかけられた呪いが後で解けるのかどうか、ということがもう一つのキーになっているにもかかわらず、終盤で殆ど説明がないままそれが解けてしまったことも納得できません。
 映像も、ディズニーのアニメ映画などと比べて特に優れているということもなさそうです。
 「風の谷のナウシカ」の二番煎じ、といったら言い過ぎでしょうか?m(_ _)m
(ビデオ)

1998.6.29 ジャッカル  ★★★★

 「ジャッカルの日」のリメイク(?)ということでストーリーや結末がある程度分かっていて、なおかつ予告編などからジャッカル(ブルース・ウィリス)の変装が見もの、と云うようなことが分かっていても、これだけ楽しめるのですから世間で言うほどの失敗作ではないでしょう。私は最後まで飽きることはありませんでした。
 ある要人の暗殺を依頼された超弩級の殺し屋、ジャッカルと、それを阻止するためにFBIが刑務所から仮出獄させたIRAのテロリスト(リチャード・ギア)の攻防を描いたサスペンス作品です。
 やはり「ジャッカルの日」のリメイクといっていいでしょう。要所、要所に類似のシーンがちゃんと出てきます。違うのは、ジャッカルの存在が極めてハデハデであるということと、阻止する側がFBIだけでなく、IRAのテロリストと、ロシアの女性捜査官を絡ませたところ。エンディングも「ジャッカルの日」ほどあっけなくはなく、あの位は引き伸ばして正解でしょう。意外な人物が登場してちょっと都合が良すぎた感じはありますが。
 嬉しいことにこの映画でも、ジャッカルが使っていたのは、Macでした。ディスプレイはAppleVision1710AVのように見えましたが・・・(850AVかも)。 
 ジャッカルのいくつかの(7回!?)変装は一見の価値ありですし、何よりもブルース・ウィリスのその時々の表情が素晴らしいのです。特製の機銃の試し撃ちの後、耳を掻くしぐさや、リチャード・ギアと対面した時の薄ら笑いの表情など、観客を唸らせてくれます。
 50年の懲役刑のIRAのテロリストを演じたリチャード・ギアが、いやに善人然としていたの気になりましたが・・・。FBIの副長官役を演じたシドニー・ポワチェ、やはり老けましたがいい味出しています。
 そうそうもう一つ、「ジャッカルの日」との違いがありました。女性の裸が一つもなかったことです(^_^;)。
(劇場)

1998.6.24 ディープ・インパクト  ★★★★

 巨大な彗星と地球との衝突と、それを巡る人間ドラマを描いたSFパニック映画。制作総指揮はスティーブン・スピルバーグで、監督は「ピース・メーカー」で名をはせたミミ・レダー(女性)です。
 アメリカでは公開から3日間の観客動員数は、タイタニックやミッション・インポシブルを抜いたとか!(ホント?)
 序盤が何ともカッタルイのです。そんな回りくどいことしないで早く話を進めんかい!という感じです。だいぶこれで集中力を削いでしまいました。あと不満だったのはノアの方舟の、入り口のみで内部の映像がなかったということと、地球側からのミサイル作戦の失敗理由の説明が何もなかったこと。核弾頭を積んだロケットでもぶつければ何とかなりませんでしたかね。(-.-)
 彗星爆破用宇宙船「メサイヤ」をめぐる一連の展開は中々見応えがありました。彗星地表での作業場面はスリリングでしたし、アメリカ好みの演出だとは判っていても、最後のシーンは中々感動的でした。(;_;) それとこういうパニック映画には付き物のサイド・ストーリーも、取って付けたような感じはなく、それなりに納得のいくものでした。
 前評判の高かったI.L.M(Industrial Light & Magic、米国の大手CGプロダクション)による彗星衝突シーンや大津波の映像は、さすがに目を見張るものがありましたね(ただ、彗星の俯瞰映像だけは薄っぺらでいただけませんでしたが)。これらのCG映像を見るだけでも、価値があるのではないでしょうか。
 やけに落ち着いた米国大統領を演じたモーガン・フリーマン、相変わらずカッコイイですね。
(劇場)