2002.09.02 エネミー・ライン ★★★
ボスニア上空での任務中に爆撃され、敵地のど真ん中に不時着した米海軍大尉(オーウェン・ウィルソン)の救出劇を描いた作品。救うのは彼の上官であるジーン・ハックマンです。
「スパイ・ゲーム」とシチュエーションが似ていますが、あちらは頭脳合戦の趣があったのに対し、こちらはひたすら腕力で救出するという単純明解ぶりです。
この作品の監督・ジョン・ムーアは、報道カメラマンとして実際にボスニアの地を踏んだ経験を持っているのだそうな。そのせいかどうか、確かにカメラワークは凝っています。戦闘機がミサイルに追撃され、操縦席が射出されるシーンは、何が何やらよくは理解できなかったのですが、やたらスゴイことだけは判りました。
更には、国防総省の全面協力により使用されたという本物の航空空母での撮影も、流石に迫力満点です。空母の甲板上で、戦闘機を離陸させるあのようなメカニズムも知ることが出来ました。
そういった立派なバックグラウンドは揃っているのですが、どうも脚本がいけません。シーンのつなぎはいい加減ですし、ご都合主義が目立ちすぎなのです。
ツッコミどころは多々あります。ジャージを着たスナイパーがあれだけ主人公を追い詰めておきながら、次のシーンはまたゼロ・クリアされてスタートする、墓場でいつの間にか主人公が死体の下に潜ったりする(このシーンは「プレデター」のパクリか)、あっという間に主人公は衣服を死体と交換する、地雷原であれだけ爆発があっても主人公は無傷、などなど。
ラストも取って付けたかのように、わざわざ戻って例の物を取りに行くことはなかろうに。雪の中に潜ってスナイパーを待つ時間があったのですから・・・。
この手の映画にはよくある「花を添える女優」が一人も出てこなかったのは、良かったような寂しいような・・・。
それにしてもオーウェンのあの鼻は、戦闘で曲がってしまったのでしょうか?
(DVD)
2002.08.27 キリング・ミー・ソフトリー ★★☆
- これだけシツコク予告編を見せられた映画も少ないと思います。例の交差点の信号待ちでの出会いから、首に布巻くSM的なベッド・シーンまで。併せて大方の評判は「火曜サスペンス劇場」か、単なる「エロ映画」か。
「始皇帝暗殺」などの中国人監督、チェン・カイコーがハリウッドに進出して撮った作品。当然 R-18指定映画です。主人公(ヘザー・グラハム)が街で偶然出会って衝動的に関係を持ち、結婚した男(ジョセフ・ファインズ)はどうやら殺人鬼だったらしい、という何処にでもありそうなストーリー。
「覗いてはいけない愛の果て」などという思わせ振りなコピーに加えて、いかにもなテーマ音楽が一層妖しげな雰囲気を盛り上げます。
確かにジョセフの寄り目と緩んだ口元を見たら、こいつはシリアル・キラーかと思ってしまうのも無理からぬ話ですが、それにしてもヘザーはキャーキャー騒ぎ過ぎ。何も裸足で逃げ出すことは無いと思いますが・・・。セックスばかりしないで、もう少しじっくり話し合ったらいかがでしょう。
犯人がすぐ判ってしまうとも言われたのですが、私としてはヘザーのボディに気を取られて土壇場までハッキリとは判りませんでした。それでいいのです。この作品は謎解き映画では無いのですから・・・。(^o^)
この邦題を見るにつけ、ロバータ・フラックが歌い、某コーヒーのCMソングとして大ヒットした曲を私は思い出してしまいます。ついでに「違いがわかる男」や「上質を知る人」は、インスタント・コーヒーなどは飲まないだろうに、などといつものように連想してしまうのでした。(^_^;)
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2002.08.26 ジェヴォーダンの獣 ★★★★
- 18世紀のフランス・ジェヴォーダン地方で、約100人が謎の獣に殺されたという史実に基づいた作品。以前見たNHKの特集番組によれば、この獣は狼などより大きい動物らしいのですが、その正体は最後までハッキリは解らなかったそうです。それを本作品では大胆に脚色して、その獣の正体をあばいています(奇想天外ですが)。劇場に足を運ぼうと思いながら、つい見逃してしまっていた映画でした。
いや〜、ビックリしましたね。これがフランス映画ですか。まあ、「クリムゾン・リバー」や「ヴィドック」など、最近のフランス映画の映像やサウンドはハリウッド的になってきていますが、これは更にスゴイ。映像は驚くほど鮮明ですし、スローモーションや効果音の多用は、むしろシツコイくらい。
一方、政治や思想闘争を背景に、ホラー要素やカンフー・アクション、チャンバラ、ロマンス、近親相姦、エロチックな娼館の描写なども絡めて、内容はかなり盛り沢山。一大エンタメ映画の出来上がりですが、一方でやや散漫な感じは免れません。138分という長さも気になります。序盤のゴシック的雰囲気(雨の中の格闘シーンなど)が最後まで続けば申し分なかったのですが・・・。
残念ながら、肝心の「獣」のCGが全くいただけません。動きがスムーズでなく、とても不自然。ま、あんなものを被せられているのですから、ぎこちない動きでもしょうがないか・・・。(^o^)
主人公(サミュエル・ル・ビアン)に影のように付く、インディアン役のマーク・ダカスコスが光っています。彼は架空の人物で、監督のクリストフ・ガンズの創作によるものということ。
ヴァンサン・カッセルは相変わらずの怪演ですし、実の妻であるモニカ・ベルッチはここでも見事に美しい。
フランス映画は今後、何処まで行くのでしょう。
(DVD)
2002.08.19 息子の部屋 ★★★★
- 息子を亡くして悲しむ家族の物語など、見たくもないとも思ったのですが、何せ「2001年度カンヌ映画祭で観客を総立ちにさせ、パルムドール賞(最優秀賞)に輝いた」が宣伝文句の映画なのですから、見ないわけにはいきません。ただし、前年度のその受賞作品は、身の毛もよだつほど恐くて後味の悪い「ダンサー・イン・ザ・ダーク」。恐る恐るDVDプレイヤーをオンにしたことでした。
「プレミア」誌の評によれば「泣ける映画ではない」とのことで安心して見始めたのですが、それが私にとっては当てはまらないことにすぐに気付かされました。残された家族の各々によって悲しみ方・引きずり方が異なる、残された家族の間で溝が生ずる、といった悲痛な事実を残酷なまでに描写していきます。
映画を見ながらとても辛かったのは、私の身の回りにいる最愛の家族を失った人々のことが思い出されたから・・・。それでもそれらの人々の実際の気持ちは私には解りえないし、この映画の家族が表現しようとしている悲しみや嘆きさえも私には解らないのではないかとも思うのでした。
終盤父母が、バスケの試合があるのに間に合わないと不平を言う娘に苦笑し、息子のかつてのガールフレンドがいち早く立ち直っていることに気付いて、かすかに自分達の明日の光を暗示してラストを迎えるのが、せめてもの救いでしょうか・・・。
ナンニ・モレッティ監督自身が主人公の父親を演じています。母親役はラウラ・モランテ。この女優は今まで知りませんでしたが、中々ノーブルな魅力を持った人ですね。
劇場公開時のコピーは、「生きているときは、開けてはいけないドアでした」で、これが内容を正しく表現していない、とひどく不評を買ったようです。ビデオ(DVD)発売時はそれが無くなり、「もう少し、いっしょにいよう」に変わっています。
(DVD)
2002.08.18 スモーク ★★★
- 「心に残る良い作品」、「ブルックリン版『一杯のかけそば』」、「嫌煙家でも煙草が吸いたくなる」などとミニ・シアター系での上映で評判となり、ビデオ化されてからも好評を博している作品。以前から気になっていたのですが、私がタバコ嫌いのせいか(?)何となく見逃していたのでした。
ニューヨークのブルックリンでタバコ屋を営む主人公(ハーヴェイ・カイテル)とその店の常連の小説家(ウィリアム・ハート)を中心とした5つのエピソードで構成された作品。各々のエピソードの前にテロップが出るところや、長いセリフでショート・ストーリーを語らせるところなどは、タランティーノの「レザボア・ドッグス」などに雰囲気が似ています。カイテルも出ていますしね。
ただしこちらの中身は、嘘と真実が織りなす人情ばなしに終始します。ユックリと淡々と話が進んで、気の短い御仁からは、一体それがどうした!などと思われかねないのでしょうが、一つ一つのエピソードにシミジミせよ、ということなのでしょう。「タバコの煙の重さの測り方」、「毎日同じ時間に同じ場所で撮る写真」、「親子の冬山での対面」など。極め付けはラストに主人公にセリフで語らせた後、エンド・クレジットとともにモノクロで流れる「クリスマス・ストーリー」でしょう。黒人の盲目の老婆が自分の孫ではないと気付く表情、見逃さないようにしましょう。ただしこれとて真実の話かどうかは定かではありません。何せ製作者は、観客を煙に巻いてしまおうと画策しているようですから・・・。(^o^)
交通事故に遭いそうになる小説家を救う黒人少年(ハロルド・ペリノー)の描き方が、やや散漫で意図や背景が判りにくくなっているのが残念。あの叔母は一体何だったのだろう?黒人少年の嘘で激昂してすぐ静まるフォレスト・ウィテカーおじさんも良く判らないし・・・。
主人公と別れた女(ストッカード・チャニング)の娘役でアシュレイ・ジャドが出てきたのに、ビックリ。スゴイ汚れ役なのですが、最後の表情が素晴らしい。
でこの映画を見終えて、カイテル、ハートの渋い演技には唸っても、決してタバコを吸いたくはならなかった私でした。(^_^)
(ビデオ)
2002.08.17 トータル・フィアーズ ★★★★
- トム・クランシー原作による「恐怖の総和」(THE SUM OF ALL FEARS)の映画化。「レッド・オクト−バーを追え!」、「パトリオット・ゲーム」、「今そこにある危機」に続くジャック・ライアン・シリーズの4作目にあたります。「フィールド・オブ・ドリームス」などのフィル・アルデン・ロビンソンの監督作品。
米ソの核戦争の緊張を描いたサスペンス作品で、おお、とビックリするくらいよくありそうな直球勝負のストーリー。ヒネリもどんでん返しも無縁の展開は、いっそ潔くて私は好きです。この手の映画にありがちな、説明不足で訳がわからないというようなこともありません。そういう意味でもまずは満足。
唯一お金をかけたであろうVFXによる爆発シーンも見応えは十分です。ただし全て予告編で見せてしまっていましたが・・・。唯一の欠点は原爆の被害の描き方。原爆というものの認識不足との指摘もありますが、これは単なるご都合主義と解釈すべきでしょう。爆心現場に主人公や米国大統領が居合わせても何とも無いのは、「風向きのせい」と説明していましたもの。(^o^)
一見、アメリカ万歳映画のように見えますが、必ずしもそうでも無いところも面白い。米国大統領は情けないし、相変わらず側近は好戦家ばかりだし、おまけにロシア大統領に「広島、長崎に原爆投下した国が、他国を非難する資格はない!」などと言わせたりもしている始末・・・。
アレック・ボールドウィン、ハリソン・フォードに続く三代目ライアンのベン・アフレックは悪くはないですが、モーガン・フリーマンに引き立てられていたという感じがしなくもありません。何と云っても一番存在感のあったのは、ロシア大統領役のシアラン・ハインズ。この人は良い俳優ですね。
エンタメ映画と割り切れば十分楽しめます。ただし、いかにも低予算でやっつけで作った、という感じは免れません。
- 多くの指摘のように、邦題は「恐怖の総和」が正解。
- (劇場)
2002.08.12 シッピング・ニュース ★★★☆
- タイトルは、港での船の出入りの新聞記事のこと。原作は大ベスト・セラー小説なのだそうな。「サイダー・ハウス・ルール」などのラッセ・ハルストレムの監督作品です。何故かアカデミー賞には全くノミネートされませんでした。
不幸のどん底に陥った冴えない男(ケヴィン・スペイシー)が、自分の祖先の地(北米のニューファンドランド島)に渡って次第に自己再生を図っていくというもの。
ラッセ監督は例によって大きな盛り上がりを作るのではなく、基本的に小さなエピソードを淡々とつないでいく手法をここでも取っています。主人公の祖先の正体、叔母(ジュディ・デンチ)と父の忌まわしい過去、岩壁に立つ古い家、そしてその家が引っ張ってそこまで移動されてきたこと、等々。シミジミとした語り口で、所々ホラーがかったり、可笑しかったり・・・。まあ、飽きることはありません。
そんな中で、序盤のケイト・ブランシェット扮する悪女(初めは彼女と気が付きませんでした)にまつわるエピソードは極めて強烈。「アイ・アム・サム」の序盤の展開とカブっていましたね。それにしてもケイトはあの役をよく引き受けました(下着を脱がなかったのはせめてもの抵抗か?)。
やや奇異に映ったのは、序盤では殆ど愚鈍のように見えた主人公が、島に渡ってからはドンドン賢くなっていった(ように見えた)こと。あんなに簡単に新聞記事を書けるようになるのは、やや嘘っぽい。ラストで古い家の崩壊をもって、忌まわしい過去を全てクリアし再生の道へのスタート、とするのもやや安易ではないかな。
ケヴィンは相変わらずの好演。私としては常にカツラの出来具合が気になっていましたが・・・。(^_^;) ケヴィンの恋愛相手のシングル・マザーを演ずるジュリアン・ムーアは悪くはありませんが、あのスッピンぶりはどうだ。何もケイトほど厚化粧せよとは言いませんが・・・。
それにしても本作品は、上記俳優の他、ピート・ポスルスウェイト、リス・エヴァンス、スコット・グレンなど、豪華配役陣で驚かされます。
なお特典映像によれば、娘役は三つ子の姉妹を場面によって、使い分けていたのだそうです。どうりで多重人格者的に見えたはずだ。(^o^)
(DVD)
2002.08.11 アメリ ★★☆
- 本国フランスでは余りの評判に、シラク大統領もお忍びで劇場に足を運んだのだそうな。「観る人みんなを幸せにする」などと言われて、日本でも若い女性を中心に大ヒットしたとのこと。「ロスト・チルドレン」、「エイリアン4」などの、独特の世界を醸し出すジャン=ピエール・ジュネの監督作品です。
ストーリーは内向的でやや変人の少女アメリ(オドレイ・トトゥ)が、これまた変人だらけの隣人を悪戯で幸せにしてやったり、懲らしめたり、そして最後は自分のぎこちない恋も成就させてしまう、というもの。
冒頭、登場人物を説明するのに、それぞれの嫌いなこと、好きなことを紹介していくのですが、これがたまらなく可笑しい。「水着が体に張り付くのが嫌」とか「平たい石での水切りが好き」とか・・・。
彼女の悪戯は、倫理上の一線ギリギリというべきもの。働くカフェの同僚と変なお客(ドミニク・ピノン)との恋のキューピッドは良いとしても、未亡人へのウソの手紙などは許されるものではありません。障害者の使用人を苛める八百屋の主人への悪さにいたっては、立派な犯罪だ・・・。
中盤以降の彼女と変人男(マシュー・カソヴィッツ、何と「クリムゾン・リバー」の監督です)の恋愛劇は、私にとってはとても退屈。あんな回りくどいことをやるか・・・。ガラスの骨を持つ画家とのエピソードも、中途半端に終わっているし。
セックスの最中、あんなおどけた目付きでいられる女性が、「この瞬間に絶頂に達した恋人は15組」、などと空想したりするもんか・・・。
アメリ演ずるオドレイはとてもキュートですし、終始緑色がかった独特の映像やポップな小道具(クジラという名の金魚や世界旅行する小人など)も悪くはありません。でも、観終えた私はそれほど幸せにはなりませんでした。私には、この手の映画はやっぱ、ダメ・・・。
(DVD)
2002.08.05 タイムマシン ★★☆
- 機内映画のメニューに本作品があると知って、嬉しかったような、そうでなかったような・・・。あの予告編にあるようなCG映像を、是非とも劇場の大画面で見たいと思っていたからです。
H.G.ウェルズの余りにも有名な古典SFの再映画化。原作者の曾孫のサイモン・ウェルズが監督したということでも話題となりました。
原作は確か大昔に読んでいたと思うのですが、細かなところはもちろん忘れてしまっています。序盤から中盤までのまっとうな展開には、うん、うん、こんなんだな、などと頷きながら見ていたのでしたが、後半からがいけませんでした。
原作を基本的に変えないということであれば、あの展開もやむなしでしょう。前半での主人公の課題を後半で明解に解決してしまって欲しいところですが、「変えられる運命もあれば変えられない運命もある」のであれば致し方ありません。
地上生活族と地下生活族の描写で、「猿の惑星」を想起させられるのはまだしも、地下生活族の白塗りの親玉が登場すると、益々いけません。突然B級SFホラー映画になってしまいます。ラストの展開は原作でもあんなだったのでしょうか?どうも納得いきません。
というわけで、ストーリー展開よりもこれは映像を楽しむべき映画でしょう。確かにニューヨークの街並みなどが時間の経過とともに変わっていく様は、人の頭越しに見る輝度の低い不鮮明なプロジェクター映像でもそれなりに楽しめました。ただ、ビル群が時間の経過とともにニョキニョキと生えて行っているのに、その上空を何の変化もなく飛ぶ飛行機というのが、引っ掛かりましたが・・・。
主人公のガイ・ピアースも本作品ではやや精彩を欠いていたような気がします。
いずれにしても本作品は劇場の大スクリーンで見るべきでした。(-.-)
(機内映画)
2002.08.04 ジョンQ ★★★☆
- 本作品のようなまだ日本公開されていない映画を観ることが出来るのも、機内映画の楽しみの一つです。全米では2002年2月から公開されており、かなり好評だったとのこと。日本では今秋公開予定だそうな。
タイトルは主人公(デンゼル・ワシントン)の名前です。真面目で労働意欲はあるのに、十分な仕事に就けていない彼。ある時彼の一人息子は心臓移植をしなければいけない難病に罹っていることが判ります。ところが彼には掛けていたはずの保険金が降りず、病院側も高額の手術代が払えなければ手術は出来ないと主張。そこで主人公の取った行動は・・・。
米国での医療制度、医療保険に対する痛烈な批判がテーマ。それに冒頭の交通事故に関わるタイム・リミットや警察側とのかけ引き、もう一つのテーマである親子愛を絡めて、見応えは十分です。ラストの展開がやや強引で、ご都合主義に陥っているのが残念ですが・・・。吹き替えのセリフ回しも、本作でも不自然な部分が目立ちました。
本作品での保険会社、病院及び医者などの言い逃れの仕方、患者をたらい回しにするやり方は如何にもありそうですが、それを堂々と正面から描き切ってしまうのは、アメリカ映画ならではですね。でも、そうでない医療機関からは抗議されそうな内容だなぁ。
デンゼルは「トレーニング・デイ」での悪者とは対極の善良な一市民を演じていますが、やはり彼にはこういうキャラクタが似合っています。終盤息子に話しかけるシーンなどは、演技巧者の彼の真骨頂。泣かされましたね。
医者役のジェームズ・ウッズ、刑事役のロバート・デュバル、院長役のアン・ヘッシュ、警察幹部のレイ・リオッタなど、脇を固めるのもそうそうたる顔触れです。冷徹な役柄のアンには意表をつかれましたし、まるでピエロのようなレイにも笑いました。可哀相にもレイはこういう役柄が定着化しつつありますね。
なお、日本公開時は「ジョンQ 最後の決断」などという余計なタイトルになるようです。(-.-)
(機内映画)
2002.08.04 アイ・アム・サム ★★★★
- 飛行機での機内映画での観賞です。吹き替えだから、画質が悪いから、などと贅沢は言っていられません。何せ封切り映画をタダで見れるのですから・・・(でもないか?)。
お涙頂戴映画、偽善映画などとも評判の、それでも劇場では立ち見が出ているほどのヒット映画のようです。7歳程度の知能しかない知的障害者は、7歳を超える自分の子供を果たして育てられるか、が本作品のテーマ。
確かにあざといと言われてもしようがありません。
まず第一に、屈指の演技派男優であるショーン・ペンに障害者を演じさせていること。あの完璧な成りきり演技を見て、感心しない観客など居ないでしょう。「レインマン」のダスティ・ホフマンはやり過ぎだが、ここでのペンの演技は極めて自然、と、医学の専門家も折紙を付けています。アカデミー賞授賞式には欠席するほどの変人だから、あのような神がかり的演技が出来るのか・・・?(^o^)
第二に、実際に7歳の、天才的演技を行う少女(ダコタ・ファング)を起用していること。あんな愛くるしい子を使うなんて、ズルイ・・・。
第三に、全ての挿入曲にザ・ビートルズのカバー曲を用いていること。ザ・ビートルズのファンには(でなくても)、これはたまりません。しかも、後期の比較的ポピュラーではない曲(「ブラックバード」など)を採用しているところも、憎い・・・。監督のジェシー・ネルソンがリサーチした障害者施設の人々が、実際にザ・ビートルズの曲を好んで聴いていたことに基づくようです。
というわけで、ズルイなぁと思いながらも、私はこの作品の術中に見事にはまってしまいました。ラストはハッキリした結論を示していませんが、かえって現実的で良いかも知れません。
サウンド・トラックCD、多分買います。(^_^)
(機内映画)
2002.07.24 スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 ★★★★★
- 必ずしも評判がよろしくない本作品。それでもこれは見ないでおられましょうや・・・。
「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」から10年後の世界の設定です。
恥ずかしながら、冒頭の例の「遠い昔、ある銀河で・・・」のテロップ(?)が流れた瞬間、私の心は少年のようにワクワク・ドキドキ・・・。
確かにドラマがしっかり描かれていないとか、相変わらず組織や人物配置がよく判らないとか、フリークにしか判らない伏線が張ってあるとか、欠点はあると思います。しかしながら次から次へと繰り出される大迫力のスペクタクル・シーンがそんなことを強引に吹き飛ばしてくれます。CGの使い方は凄まじく、良くも悪くも、もはやこれは実写映画とは呼べないでしょう。ただ等しく戦闘シーンが薄く茶色がかった、乾いた感じになっていたのは何故?
なるほど。アナキンはこうして悪に傾いていくのか・・・。でもあれは生まれつきの性格だな。だったら「エピソード1」でもその片鱗を見せておいた方が自然だったかも。
今までのフランク・オズが操る人形からCG化されたヨーダ。ヨタヨタ歩いていた彼が豹変して、突然チャンバラ小僧になるのが、可笑しくも頼もしい。ちょっとチョコマカ動き過ぎですが・・・。
今回も様々なクリーチャーが現れて楽しいかぎりですが、相変わらずコミカルな味付けになっています。私としてはもっとシリアスなヌメヌメした感じが欲しいところ(なんだ、それ?)。
とにもかくにも、ポッド・レース以外は印象の薄い「エピソード1」に比べ、見せ場が盛り沢山の本作品には大いに満足。「エピソード3」も楽しみです。
評判のヘイデン・クリステンセンは悪くはないと思いますが、やや演技が固いですね。ナタリー・ポートマンは完璧に美しい。子供も観るのだから、彼らのディープ・キスはどうかな・・・。(^_^;)
壮絶な戦闘シーンのクライマックスを見終えて、ハタと気付きました。そうか、これは紛れもなく戦争映画だったのだ、と。
(劇場)
2002.07.22 リトル・ダンサー ★★★★
- 邦画やアニメは基本的に見ない主義(息子が借りてきた「千と千尋・・・」があっても、それでも見ない)で、洋画でも動物ものと子供ものは苦手・・・。
それでもこの作品は以前から気になっていたり、また薦める人もあったりして、遅ればせながらようやく重い腰を上げたのでした。
1980年代のイギリスの炭坑ストが背景になっていることもあり、「フル・モンティ」や「ブラス!」に似た雰囲気があります。ストーリーは予告編で殆どその全てが判ってしまうほど、ベタな展開。すなわち、炭坑ストで収入のない家庭の少年が、家族の反対を押しきってクラシック・バレエを習い、やがて家族の応援の元にバレエ学校の入学試験にパスし、プロとして成功していく、というもの。
展開は判りきっていても、要所を抑えた演出と父親役のゲアリー・ルイスの熱演と相まって、ジワジワと感動を引き起こしてくれます。父が息子の受験費用を捻出するためにスト破りをするシーンや、ラストの息子の晴れ舞台を見守るシーンには、世の父であれば等しく泣かされることでしょう。
2000人の中から選ばれたという主人公役のジェイミー・ベルは、演技はどちらかというと淡泊で、踊りも決して巧くはないのですが、それがかえって自然な感じがして好感が持てます。
ただ、ラストの晴れ舞台で一気に時間が経過してしまうのが、やや唐突・・・。時間が経った割には、見に来ていた父と兄が老けていなくて、奇異に感じられますし・・・。これはアダム・クーパー(超有名なバレエ・ダンサーなんだそうですね)を出演させるための特別の演出だったのかも知れませんが・・・。
この映画の教訓。子供の素質や才能は素直に伸ばしてあげましょう。そうすれば、立派なダンサーになったり、立派なオカマになったりするのです。(^o^)
(DVD)
2002.07.21 ジーパーズ・クリーパーズ ☆
- フランシス・フォード・コッポラが製作総指揮を摂った作品と知って、名作「ドラキュラ」のような格調高いホラー映画なのでは、と期待して見たのでした・・・。
信じられませんね。コッポラが関わったのがウソでないのだとしたら、彼も焼きが回ったとしか考えられません。これで劇場公開作品というのですから、コッポラの名前を借りた詐欺的行為としか言い様がないでしょう。
各場面の恐怖を盛り上げる演出は拙くはないかも知れませんが、余りにも展開がいい加減過ぎです。最初はパニック系で、次第にサイコ・ホラー系になって、途中で「フロム・ダスク・ティル・ドーン」もビックリのクリーチャーものに・・・。前後の脈絡のない、適当な展開に、途中まで真面目に観ていたのが馬鹿らしくなってしまいます。
途中で登場する意味あり気な超能力者も、ただ騒々しいだけで何の役割も果たさずに消えてしまうし・・・。クリーチャーの造形やVFXもチープで情けないし・・・。
これでまた続編を作る・・・?観客をバカにしてはいけません。
(DVD)
2002.07.15 スパイ・ゲーム ★★★★
- 似た者同志(?)のロバート・レッドフォードとブラッド・ピットの共演で話題を呼んだサスペンス・ドラマ。「トップ・ガン」、「クリムゾン・タイド」などのトニー・スコット(リドリーの弟ね)の監督作品です。
時代は1991年。定年退職日を迎えたCIA作戦担当官(ロバート)は、彼が育て上げた諜報員(ブラピ)が中国政府に捕らえられたことを知ります。その諜報員は独自行動だったこともあって米国政府から見捨てられ、24時間以内に救出しないと処刑されてしまうのでした・・・。
まさにタイトルどおりの頭脳ゲームが主人公と米国政府側との間で繰り広げられ、アクション・シーンなどは過去のフラッシュ・バックで挿入されるという構成です。ツカミも良いですし、途中の見せ場も盛り沢山。ラストのカタルシスも中々のものがあります。
ただ、本作品はしっかり集中して見ることにしましょう。特に大事なのは「**作戦」といった語句。またちょっとしたセリフも重要な伏線になっていますので、途中で止めずにトイレなどに行くのは厳禁です(^o^)。
いずれにしても、もう少し各々のエピソードを判りやすく説明して欲しいと思います。試写などで結末をどのパターンにしたら一番受けるか、などの調査を行っている映画もある位ですから、この手の映画は理解度調査などを事前に行うべきと思いますが・・・。
設定が極めて現実的でドキュメント風である一方、ブラピの中国の刑務所に潜入する理由やロバートの彼の救出のための仕掛けが、非現実的で荒唐無稽という感じがしなくもありません。ただまあ、こういう映画としては止むを得ないのでしょうが・・・。
御年65歳のロバートはさすがにシワクチャ・・・。特に口の周りがいけませんね。髪の毛だけはいつまでたっても青年のまま・・・(^o^)。
最近シュールな役柄の多かったブラピは、久し振りにまともな役に徹しています。ラストで自分が誰に助けられたか気付くシーンや、恋人(キャサリン・マコーマック)と目線を交わすシーンなどは感動もの。
中盤、同時多発テロに酷似したシーンが登場して、ギクリ・・・。(-.-)
(ビデオ)
2002.07.13 ラットレース ★★★★
- 本作品を監督しているジェリー・ザッカーは、「裸の銃を持つ男」などのコメディだけでなく、何と「ゴースト ニューヨークの幻」の監督でもあるのでした。米国では超ロング・ランを記録した作品なのだそうな。
ラスベガスからニューメキシコのシルバー・シティーまで、約1000キロに及ぶレースに懸かった賞金は、200万ドル(約2億円)。偶然このレースに参加することになった6組の男女があの手この手を使い、珍レースを繰り広げるという大ドタバタ・コメディ。
殆ど期待はしていなかったのですが、いやあ笑わせてもらいました。少しかったるい序盤を我慢しつつも、レースが始まるやいなや、大爆笑モードに突入。ラストはややあざとい感じがしなくもありませんが、しんみりとさせてもくれます。
特にお気に入りのシーンは、家族持ちの父親を演ずるジョン・ロヴィッツのヒトラー・ネタと、このレースの勝者を賭けている富豪達が、暇つぶしにコール・ガールを呼ぶシーン。思わず大声で笑ってしまいました。大勢のルーシー達も楽しい限りです。ヘリの女性パイロットの豹変ぶりも気に入りました。
Mr.ビーンのローワン・アトキンソンは、このような作品では異質な感じがしてしまうのは、何故でしょう?御大ウーピー・ゴールドバーグは全くもって控え目。勿体ない起用です。キューバ・グッディングJr.は大熱演なのでしょうが、どうも私はこの人はダイコンに思えてしようがないのです(オイオイ、オスカー俳優だぞ)。
むしろ間抜けな兄弟を演じたセス・グリーンとヴィンス・ヴィーラフが好感度高し。舌ピアスをした人の喋りって、あんなになるのでしょうか。もう一人ベテラン・オスカー女優がカメオ出演して、画面から姿を消した後も大きな存在感を示します。
とにかく2時間弱、この世の憂さを忘れさせてくれること、請け合いです(もちろん、憂さなんか無い人はより楽しめます)。
(DVD)
2002.07.08 トレーニング・デイ ★★★☆
- 何と云ってもデンゼル・ワシントンが主演男優賞のオスカーを獲得した作品ですから、期待はいやでも高まります。
新しく麻薬捜査課に配属された若手刑事(イーサン・ホーク)が、ベテラン刑事(デンゼル)に訓練を受けるため、朝家を出るところから夜帰ってくるまでの1日(だから「トレーニング・デイ」)のお話。
ハッキリ言ってこの映画は、かなり後味の悪い作品です。
「綺麗ごとだけでは世の中の犯罪は無くならない。狼から羊を守るためには自分も狼になれ!」などとうそぶいて、カリスマ的な悪徳刑事を演じているのがデンゼル・ワシントン。どんなにワルかというと、新米のイーサンに麻薬を無理矢理吸わせる、交通量の多い交差点の真中で車を停め、怒った後ろの車に向かって「ウルサイ!」と銃を向ける、勤務時間中に愛人宅にしけこむ、レイプ未遂犯を半殺しにして、麻薬と金は自分の懐ろに入れる、等々。
いつもは優等生を演ずることの多い彼ですから、どんなに悪者ぶっても、実は良い人なんだろうな、などと勝手に思わせてしまいます。多分それが本作のキーポイントで、製作者側の意図的な配役だったような気がします。
そんな彼が実はホンマモンの大悪人だったというオチ(ゴメン、ネタバレです)で、しかも最後はあんなことになってしまうのですから、後味が良かろうはずがありません。
あのような仕打ちを受けたイーサンが、嫌気がさして交通課に戻るか、麻薬捜査課で正義を貫くか、はたまたデンゼルよろしく悪徳の道に手を染めるか、といった将来も気になるところです。
まあ、そうかといって、イーサンをしっかり指導せんがために全て仕組んだことで、青いイーサンも一皮むけて最後は大ハッピー・エンド、というのでは余りにもありきたりですが・・・。
デンゼルの演技は、ところどころオーバー・アクト気味になるところを除けば、言うこと無し。
トム・ベレンジャーが情けないほどのチョイ役で、勿体ない・・・。
(DVD)
2002.07.07 ヴィドック ★★★
- 「ヴィドック」は実在の人物で、フランスでは相当な有名人とのこと。ジャン・ヴァルジャンのモデルでもあり、世界で最初の私立探偵なのだそうな。
この映画は、19世紀の狂乱のパリを舞台に主人公(ジェラール・ドパルデュー)が鏡の仮面の怪人と闘う、というゴシック・スリラーです。フランス本国では随分ヒットしたとのこと。デジタル・カメラによる世界で最初の作品ということでも話題となりました。
「デリカテッセン」、「ロスト・チルドレン」でビジュアル・クリエイターとして貢献した、ピトフの監督作品です。
ふむ、終始暗めの琥珀色がかったオドロオドロしい映像は、劇場公開時に言われたように正に江戸川乱歩か横溝正史の世界ですね。コントラストの強い背景は、まるで絵画を切り取ったかの如くです。カメラは目まぐるしく切り替わり、アップが多用されます。これらの判りにくい映像は、好き嫌いが別れるところでしょう。
犯人が高所から飛び降りるシーンや格闘のシーンなどは、とてもCGくさくて、そこまでやる必要があるのかどうか・・・。
ビジュアル面に気を取られていると、ストーリーをしっかり追えなくなるので、要注意。私は二度ほど巻き戻し(DVDだから、そうは言わないか)ました。部分的に超常的になったりして、ああこれはオカルト作品なのか、などと思ってしまいます。処女の血で鏡の仮面を作るなどという件(くだり)がそれ。
ドパルデューは重い体に鞭打って、アクション・シーンを熱演。それにしても彼のケツ顎ならぬケツ鼻は、相変わらずスゴイ。
ま、いずれにしても昨今のフランス映画は「クリムゾン・リバー」といい、本作品といい、映像が鮮明になってきていて、私としては嬉しいかぎり。何よりも、キチンとフランス語を話しているのが素晴らしい・・・。(^o^)
(DVD)
2002.07.06 パニック・ルーム ★★★★
- 劇場公開が終わる寸前で空いていて、ゆったりと中央のベストポジションで観賞できました。音響効果もかなり良く、劇場ならでのサラウンド感を堪能。「セブン」、「ファイト・クラブ」などのデビッド・フィンチャーの最新監督作品です。
タイトルは、豪邸の一角に設けられた泥棒よけなどのための堅牢な部屋のこと。監視モニタなどが完備されており、もちろん外側からは絶対に開けることができません。マンハッタンのど真ん中にあるそんな豪邸に引っ越してきた母娘(ジョディ・フォスター、クリステン・スチュワート)を、ある目的を持った3人の男(フォレスト・ウィテカー、ドワイト・ヨーカム、ジャレッド・レト)が襲います。
例によってオープニング・クレジットが凝っています。マンハッタンのビル群などをバックに文字が浮かび上がるというしかけ。最初は実写のように見えました。
フィンチャー作品としては、クセの無いストレートな作りです。終始緊張感溢れる展開なのですが、終盤にもっとヒネリが欲しいですね。余りにも工夫が無く、アッサリしています(逆に裏をかかれた?)。ただ家の複数階をワン・カットで見せたり、到底カメラは通り抜けられない狭い空間を一気に貫いて見せたりする、カメラ・ワークには驚かされます。
ジョディはこの撮影時、第2子を妊娠していたとのことですが、そんなことを微塵とも感じさせない大熱演。瞬間、クラリスがダブって見えました(「ハンニバル」、断らなければよいものを)。娘役のクリステンは、中性的で可愛げがなく、少年と見まがうほど。彼女は重い糖尿病の設定なのですが、説明不足で最初は状況が飲み込めませんでした。
フォレストが中途半端に善人なので、スリル感を削いでいるのは事実かも。そんなら初めからガスなど使うなよ、と言いたい。ラストで彼の減刑のシーンが挿入されても良いと思いますが・・・。
ジョディの元夫は、何のために現れたのか良く判りません。第一、どう見てもジョディの父親にしか見ないけど。
中盤まで見ていて、どうも他の映画に似ているなと思ったことでした。そう、これは大人版「ホーム・アローン」なのでした。(^o^)
(劇場)
2002.07.01 ハートブレイカー ★★★
- 「Heartbreakers」とは、ここでは男たちを虜にしては次々に失恋させていく女性を指しているらしい。シガニー・ウィーバーとジェニファー・ラヴ・ヒューイットが母娘の結婚詐欺師を演じるラブ・コメディ。テレビ・アニメの「シンプソンズ」(私はこのキャラはどうも好きになれない)などを手がけるデヴィド・マーキンの監督作品です。
結婚直後に離婚に持ち込む方法、タダで高級料理を食べる方法、タダで車に給油する方法、タダで高級ホテルに泊まる方法などが次々に披露されて、楽しい限り。とても古典的な手法なのですがね・・・。
加えてとても49年生まれとは思えないシガニーや、細い体にアンバランスなバストの持ち主のジェニファーの着せ替え人形的ファッションが楽しめます。さすがにシガニーの総レース下着姿は気色悪かったけど・・・。
結婚詐欺のターゲットとなるのは、レイ・リオッタとジーン・ハックマンの御大。レイは中盤まではトホホ男に徹しますが、その後は真実一路的良い男を熱演。やはり良い役者ですね、この人は。それに引き替え、ジーンの扱いはひどすぎるぞ。あの後、一体どうしたというのだ?あれでは済まないでしょう・・・。
- ジェニファーが心底惚れてしまう相手役は、ジェイソン・リー。どうも印象が薄いね、この人は。もっとハッキリせんかい!
シガニーがロシア料理店で、ザ・ビートルズの「Back
in the USSR」を歌うシーンに思わずニヤリ。洒落た演出です。
最後まで退屈させずに笑わせてはくれますが、この手の映画としては2時間を超えるのはチト長すぎます。
- 結局、女性の幸せとはお金ではなく、愛なのですね(ほんまかいな)。
(ビデオ)
2002.06.30 ロック・ユー! ★★★★
- 「L.A.コンフィデンシャル」、「ペイ・バック」などのブライアン・ヘルゲランドの監督・脚本作品。
- 14世紀のイギリスで、馬上槍試合で勝ち進んでいく主人公(ヒース・レジャー)とその仲間たちの闘いの日々を描いたコスチューム活劇。
- 冒頭でいきなりクイーンの「We Will Rock You」が合唱されるなど、衣装も含めて時代考証を無視しまくりの映画なのですが、意外と違和感を感じさせないところが不思議です。ヒネリの全く無い直球勝負の展開であるものの、これぞまさしく映画と言う感じで、私は好きですね。中盤はややダレますが、終盤への盛り上げ方はさすがに巧い。予定調和の先が読めても、興奮させられます。
- メイン・ネタである馬上槍試合が、そのカメラ・アングルの巧さもあって、大迫力。特典映像では、槍が折れた際に破片が勢い良く飛び散るような仕掛けはしてあるものの、スタントが実際に演技していることが判ります。ようやりますな・・・。
- 緊張感溢れる槍試合の合間に、主人公の恋や生い立ちなどを絡ませるなど、緩急つけた演出も冴えます。盲目となった父親との再開シーンでは、泣かされた・・・。
- 「カンタベリー物語」など中世英国文学の大家であるジョフリー・チョーサー(ポ−ル・ベタニ−)が狂言回し的役割で出てきますが、ポールの演技の巧さと相まって、中々効果的。二人の従者役もそれぞれに好演しています。
- 主人公が恋する貴婦人役のシャニン・ソサモンは本作品が映画デビューとのことですが、浅茅陽子似で余り美形でない彼女はハッキリ言ってミス・キャストでしょう。むしろ女鍛冶屋役のローラ・フレイザーと全く入れ替えたほうがハマルと思ったのは、私だけではありますまい。
- 最初は無個性な感じに見えたヒース・レジャーですが、次第に主人公らしく見えて来て、最後は中々良い男に仕上がるといった按配。彼は「パトリオット」でメル・ギブソンの長男役を演じていますね。
- なおエンド・ロールが終わった後にワン・シーン入りますが、これぞまさしく蛇足というものでしょう。(^o^)
- (DVD)
2002.06.24 ゴースト・ワールド ★★★
- アメコミの映画化といってもヒーローものではなく、一人の自立できないワガママ娘のお話です。ジョン・マルコヴィッチの製作によるもの。
高校を卒業した後も、何もすることもなく遊び呆けている主人公(ソーラ・バーチ)とその友達(スカーレット・ヨハンソン)。ある日二人は、新聞の出会い広告欄に載っていた中年男(スティーヴ・ブシェミ)をからかおうと呼び出すのでした・・・。
少し昼寝をした後の観賞だったので、眠らなくて済みました。(^_^;) それくらいトロトロとした展開で前半は進みます。中盤以降は、主人公の不運な境遇に同情してしまうこともあり、次第に引き込まれていってしまいます。
ラストはいきなりファンタジーがかって驚かされますが、このシーンの解釈はいかがでしょう?スティーヴがセラピストのカウンセルを受けるシーンが引っ掛かりますが、悲劇的な結末と摂るのは、いかにも辛い。彼女の画家を目指しての新たな旅立ちと思いましょう。
ソーラは「アメリカン・ビューティー」でケビン・スペイシーの娘役を演じた女優ですね。ここではまるでクリスティーナ・リッチと見間違うようなポチャポチャ・キョニュウ・ブス。メガネ越しの眼の演技が巧い。
スティーヴもいつもの不気味さは余りなく、なかなか魅力的。恋人のために大事にとっていたシャンペンを主人公に開けられてしまっても、少しも怒らないあの穏やかな性格を、私も見習わなければ・・・。(^_^;)
同世代の女性で身に覚えのある人なら、しっかり感情移入してしまうことでしょう。単館上映でヒットしたということ、頷けます。そう、これはいかにも単館上映にピッタリな、カルト的映画なのです。
(DVD)
2002.06.23 マリー・アントワネットの首飾り ★★★
- つい最近まで劇場公開されていたような気がしたのですが(実際は3月下旬まで)、もうビデオ・レンタル開始です。ただあのTSUTAYAでこの手の大作っぽい作品が、たった1本しか置いていないのは、何故?
フランス革命を引き起こす原因ともなった「首飾り事件」の映画化。原題は「AFFAIR OF THE NECKLACE」で、マンマですね。
政敵によって没落させられた名家ヴァロア家の生き残りのジャンヌ(ヒラリー・スワンク)が、オイオイな大策略で192億円もするダイヤの首飾りを騙し取るという、奇想天外なお話。あの程度の計画で巧くいくというのは、アンビリバボです。どう考えてもすぐにばれて足がつきそうだと思うのですが・・・。
冒頭の裁判シーンで、ジャンヌは裁判長に、「自分の人生を取り戻したいと思っただけだ」と述べるのですが、家を取り戻すために単にお金が欲しかっただけ、と見えてしまうのは、私だけでしょうか・・・。
泥棒を意味する「VOLER」の頭文字Vの焼印を押されて投獄された主人公が、その後イギリスに渡って、自伝を出版して成功する、などというのも、ホントかいなと思ってしまいます。
ストーリーはテンポ良く、とても判りやすい展開で終始します(アルコールなどが入っていなければ、多分)。「ベルサイユの薔薇」的雰囲気も十分。
- 会話は例によって英語なのに、手紙などはフランス語で書かれているのには、笑ってしまいます。
ヒラリーは不思議にもハッとする程美しく見える時と、やっぱり男っぽく見える瞬間が入り交じります。さすがにオスカー女優だけあって、演技は安心して見れますが・・・。
事実は小説よりも奇なり。(-.-)
(ビデオ)
2002.06.17 ワイルド・スピード ★★★
- 車好きでもなく、「ゼロヨン」(400mを如何に速く走るか)などという言葉も知らなかったのですが、「ピッチブラック」で大きな存在感を示していたヴィン・ディーゼルの出演ということでの観賞です。
「デイライト」や「ドラゴンハート」などのロブ・コーエンの監督作品。
日本車の改造車が沢山使われていたということですが、私には見分けがつかず。NOSなるニトロ噴射装置の加速の威力もとんと判りません・・・。とにかく最初から最後まで爆音が鳴り響いてやかましい限りです(劇場ではさぞかし凄い音響だったのでしょうね)。
主人公(ポール・ウォーカー)らのセリフはぎこちなく、演技もかなり固い・・・。トラック・ジャックのための囮捜査をメインにしたストーリーも、細部はかなりのご都合主義だ。
それでも最後までまあまあ飽きさせないで見せてくれるのは、眠気も覚ます壮絶なカー・スタントのせいでしょうか。終盤のちょっと捻った展開も効果的ではあります。
車好きでなくてもそのスピード感にしばし身を委ねれば、そこそこストレス解消にはなるでしょう。
- (マックの調子が悪いと、ビデオ観賞の集中力にも影響します。病気だな・・・。)
(DVD)
2002.06.11 ブロウ ★★★☆
- 1970〜80年代にアメリカ全土に麻薬を流行らせたという実在の男・ジョージ・ユングの半生を描いた作品。「プレミア誌」での評価はイマイチでしたが、ジョニー・デップとペネロペ・クルスの共演とくれば、要チェックです。
タイトル(「Blow」)は、ドラッグの吸引を意味する俗語だそうな(Jobが続くと別の意味になります)。デッド・デミの監督作品。
何回も逮捕されて、釈放されるとすぐまた麻薬の売買に手を染める主人公の生き様がスゴイ。ただし麻薬王の物語と言ってもスリリングな展開は期待できず、むしろ親子愛を主軸にした人間ドラマの趣が強い作品と言えます。優しい父親(レイ・リオッタ)との交流や、自分の娘との面会のエピソードなどでは泣かされます。
恋人役のフランカ・ポテンテは、「ラン・ローラ・ラン」で赤い髪してひたすら走りまくったローラ。ドイツ人の彼女の、ハリウッドでのデビュー作品だそうな。
ペネロペの、妖艶な女から我が侭キレマクリ妻への豹変が見事。ジョニーを罵る顏が夏木マリに見えた・・・。
役柄とはいえ、下腹の出っ張ったジョニーは醜いかぎり(私も少し減量しよう)。彼のここでの演技は、無表情で平坦・・・。
DVDの特典映像に、ジョージ・ユング本人のインタビューが納められています。本編の最後にチラリと出る顏(あれでは全くの悪人顔だ)よりもハンサムで、この映画は自分の半生に極めて忠実であることや、ジョニーを始めて知ったが良い男だ、などと言っているのが面白い。
ユングの刑期は2015年までだそうで、彼は73才になってしまうことになります。麻薬の売買は犯罪です、ハイ。(-.-)
(DVD)
2002.06.09 オー・ブラザー! ★★★☆
- 「ファーゴ」や「ビッグ・リボウスキ」など、一風変わった独特の世界を演出するコーエン兄弟の監督作品。なんでも本映画は、古代ギリシャ叙事詩の「オディッセイ」をベースに作られたのだそうな。それでコピーが、「構想3000年」。(^o^) 本作品も多分好き嫌いが別れる、奇妙な作品であることには間違いありません。
1930年代のアメリカ南部が舞台。3人の脱獄囚人(ジョージ・クルーニー、ジョン・タトゥーロ、
ティム・ブレイク・ネルソン )の逃避行を描いたコメディ・ロード・ムービーです。終始セピア色のトーンで統一された映像が、その時代の雰囲気を上手く醸し出しています。
「オディッセイ」を基にしているだけあって、何やら盲目の預言者や3人の妖しげなニンフ、そして片目の男( ジョン・グッドマン)が現れて、最後は留守中に妻(
ホリー・ハンター )に言い寄る男を蹴散らしたり・・・。ま、「オディッセイ」のパロディと言えなくもありません。しばしば度を外してオイオイな展開になるのは、ご愛嬌でしょう。
時々何処かで見たようなシーンが現れます。例えば、少年が靴を上げ底にして車を運転し、難局を乗り越えるシーンとか・・・。そう、「インディ・ジョーンズ・魔宮の伝説」ですね。
ジョージが演じるポマードとヘア・ネットに拘る奇妙な男のキャラの設定が可笑しい。彼はこの作品で、ゴールデン・グローブ賞最優秀主演男優賞を受賞しています。でもそれにも増して魅力的な愛すべきキャラを演じているのが、相棒のティム。トボケたいい感じ、出しています。彼の前にはカメレオン俳優こと、ジョンもやや影が薄いような・・・。
全編くまなく挿入され、3人も歌うカントリー・ミュージックが素晴らしい。ただ、本人達が歌っているようには見えないのが、難ですが・・・。(^o^)
見終えて何とは無しに物足りないと思うのは、やはりコーエン兄弟作品の常連、スティーブ・ブシェミが不参加だからでしょうか・・・?(^_^)
(DVD)
2002.06.03 エボリューション ★★★
- 「ゴースト・バスターズ」のアイバン・ライトマン監督が、殆どそれと同じノリでメガホンを取ったSFコメディ。このような作品は「オバカB級映画」と割り切ってみることにしましょう。それなりに楽しめます。
アメリカのアリゾナ州に落下した隕石に潜んできたエイリアンとの攻防を描いたもの。猛烈に進化スピードの速いその地球外生命体を迎え撃つのは、大学教授役のデヴィッド・ドゥカブニーとオーランド・ジョーンズ、それに政府調査官役のジュリアン・ムーアです。
ストーリー展開は余り期待できませんので、興味の的はSWなどの視覚賞でオスカーを獲得したフィル・ティペットが担当したという特殊効果。ただし、ここでのSFXはチープさが入り交じったもので、マンガチックなところは「マーズ・アタック」などと同趣です。ただ後半登場する翼竜は、カメラ・アングルのせいもあって中々見応えのあるものになっています。ラストの巨大クリーチャーは工夫がなく、興ざめ・・・。
X-ファイルでのモルダーのイメージが強いデヴィッドは、ここではコメディアンとしても健闘。お尻が見れて喜んでいる女性も多いでしょうね。黒人の相棒役のオーランドは、第二のクリス・タッカーという感じで中々良かったと思います。
ドジなキャラのジュリアン・ムーアが楽しい。結構器用な面もあるのですね。役柄が殆ど展開に絡まないというのは、勿体ない気がしますが・・・。
日曜日の午後あたり「サザエさん症候群」の予防として、頭を空っぽにして気楽に見るビデオとしては、うってつけでしょう。(^o^)
(DVD)
2002.06.02 バンディッツ ★★★
- 全く同名の映画(「バンディッツ」と)は珍しいですね。脱獄囚のロード・ムービーという点は同じですが・・・。
実話に基づいた映画ということですが、キーになる結末は創作でしょう。出来過ぎですもの(SWATに取り囲まれていてあんなことをすれば、間違いなく狙撃されますって)。
脱獄した二人の男(ブルース・ウィルス、ビリー・ボブ・ソーントン)と途中で偶然行動を共にすることになった女(ケイト・ブランシェット)が、大胆な銀行強盗を働いていくというクライム・ストーリーです。ただし、全くのコメディ・仕立て。派手なアクションは期待できません。
名作「レインマン」でオスカーに輝いたバリー・レビンソンの監督作品です。
実際に彼らが行ったという「お泊まり強盗」というのが、面白い。銀行の支店長の自宅に押し入り一晩泊まって、翌早朝その家族とともに銀行に入ってお金をいただくという手口なのです。
緊張感ある冒頭シーンはラストへの大きな伏線。ただし、ラストのトリックは使い古されたもの。それでも、この手の映画はこうでなくてはならないでしょう。途中がややだれ気味になるのが残念です。
演技派のビリーですが、ここでは彼の持ち味が100%出ていないように思いました。ブルースとの相性が悪いのかな・・・。
ケイトの登場シーンの一人コンサート(「ブリジット・ジョーンズの日記」のパクリか)、中々インパクトがありました。初めは全く別人のような超美形に見えるのが、次第に彩度が落ちていってしまうのは、どうしてでしょう。二人の男を愛するのは判りますが、もう少し決まりを付けてもらわないと。あれでは単なる浮気女です。
それにしてもブルースの髪の生え際が、終始気になってしまう私なのでした。(^_^;)
(DVD)
2002.05.19 スパイダーマン ★★★★
- 米国で公開当初3日間の興行成績が「ハリポ」を超えた、という超話題作。昨年の同時多発テロにより、公開が延期されていたのでした。何でも9月11日以前の予告編では、世界貿易センターの二つのビル間に、巨大なクモの巣を張り巡らしているシーンがあったそうな(う〜ん、見たかった)。
90年の「ダークマン」に続くサム・ライミ監督のアメコミ・ヒーロー作品です。それにしても「シンプル・プラン」や「ギフト」などとはかなり路線が違うなぁ・・・。
アメコミに疎い私としては、前半の蜘蛛男の誕生までの過程は興味深く見ることが出来ました。平凡な苛められっ子(トビー・マグワイア)が、逞しく生まれ変わっていく様はお決まりとは云え、極めて爽快。「マトリックス」に明らかに影響された格闘シーンも面白い。かといって完璧な超人となるのではなく、精神的な弱さも見せる主人公は、むしろ実在感があります。
ただし、スパイダーマンに成りきって、悪役グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)と闘い始める後半以降は、普通のヒーローものの平凡な展開になってしまうのが残念。高笑いしながら登場するゴブリンのキャラも、そのコスチュームとともに安っぽくて興醒めです。
評判となった、NYの摩天楼をクモの糸を使って飛び交うシーンのスピード感と浮揚感は確かにスゴイ・・・。ただし、これほどスタントマンを使いやすい映画はないでしょうが・・・。
どなたかがいみじくも言った「おばん顏」のヒロイン役のキルステン・ダンスト。ふむ、確かにどうひいき目に見ても19才などには見えないセクシー・ブスだ。m(_
_)m
到底似合わないと思えたトビー・マグワイアも、もともと普段は何処にでもいるような平凡な青年という設定に合っていますね。相変わらずエへラエへラとミステリアスな笑顔を浮かべています。
見終えて一番納得が行かなかったのは、壁に吸い付き歩きするのに手袋をはめていて大丈夫か?ということでもなく、次々に繰りだされる大量の蜘蛛の糸は体の何処で作られているのか?ということでもなく、あの蜘蛛男スーツは一体誰がいつ作ったのだろう?ということなのでした。(^o^)
(劇場)
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