2002.02.18 ハリー、見知らぬ友人 ★★★★
- フランスのアカデミー賞に匹敵するセザール賞で、最優秀監督賞(ドミニック・モル)、最優秀主演男優賞(セルジ・ロペス)など4部門で受賞した作品。フランス本国やアメリカの劇場でも大ヒットしたのだそうな。
バカンスのために家族と別荘に向かう主人公(ローラン・リュカ)は、途中で学生時代の同級生、ハリー(セルジ・ロペス)と出会います。ハリーは懐かしそうに彼に話しかけ、彼との同行を求めるのでしたが・・・。
殆ど予備知識の無いままでの観賞で、タイトルや序盤の展開などから友情を扱ったヒューマン・ドラマの類いかな、などと思って見始めたのでした。ところが中盤以降のトンでもない展開に大仰天・・・。何とバリバリのサスペンス・ホラーと化したのでした。
何と云ってもハリーの奇妙なキャラクターの設定が秀逸。はたは大迷惑でも本人は大真面目の親切心が、次第に常軌を逸していく過程の、ジワジワと恐怖感を煽っていく演出はとても巧い。ラストもハリウッド映画に良くあるような安易な「蒸し返し」も無く、むしろ好感が持てます。まあ、あっさりしすぎという感じもありますが・・・。
主人公がハリーの記憶が殆ど無いというのは何かの布石だろうと思わせておいて、結局何でも無かった、というのはやや拍子抜け。もう少しヒネリがあっても良かったかも・・・。
セルジ・ロペスのニコニコと人懐こい童顔が、突然鬼の顔と化すビックリ演技は受賞資格十分。彼のポチャポチャ、ムッチリの恋人役はどこかで見覚えがあると思っていたら、「倦怠」で冴えなかった少女を演じたソフィー・ギルマン。驚くべき大変身です。
本作もアメリカでのリメイクが決まっているとのことですが、こけおどしの展開にしたり、安易に結末を変えてしまうことのないよう願うのみです。
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2002.02.12 クイルズ ★★
- サディズム、サディストでお馴染み(?)のマルキ・ド・サドの晩年を描いた舞台劇の映画化です。第73回アカデミー賞で主演男優賞、美術賞及び衣裳デザイン賞の3賞にノミネートされた作品。R-15指定ですよ。
タイトル(「Quills」)は、サド侯爵がポルノ小説を書く(^_^;)ための羽ペンのこと。しかし時の皇帝ナポレオンの怒りを買い、その羽ペンを取り上げられるのですが、それでも色々な手段(到底ここでは表現できないような)を講じて精神病棟の中で創作活動を続けていくサド侯爵(ジェフリー・ラッシュ)。そこに彼を陰に陽に支える洗濯女(ケイト・ウィンスレット)と、美徳と悪徳の狭間で苦悩する神父(ホアキン・フェニックス)が絡みます。
見る前の予想を裏切ることなく、ジェフリー・ラッシュの粘っこい演技で、すっかり疲れ果ててしまいました。おまけに見たくもない彼のヌードまでたっぷりと・・・。確かに凄まじい生き様なのですが、何が彼をそうさせるか、というところが良く伝わって来ません。彼を取り巻く人間も含めて、そこまでやるか!という感じが強く、私としてはヒイテしまったのでした。しかも彼はホントにサディストなのでしょうか(変な表現だけど)?あれではマゾヒストではないのかな・・・。
しつこいジェフリーはともかく、ホアキンがここでは好演。むしろ彼が主人公と云っても良いくらいの存在感を示しています。ケイトは汚れ役ながら、やはりハッとするような美しさがありますね。「タイタニック」と同様、ここでも豊満な胸を披露・・・。(^_^;)
まあどっしり見応えはあるコスチューム劇と云えますが、後味は決して良くはありませんのでそのおつもりで・・・。
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2002.02.09 オーシャンズ11 ★★★★
- 「エリン・ブロコビッチ」、「トラフィック」に続くスティーブン・ソダーバーグ監督の最新話題作。原題(OCEAN'S
ELEVEN)が同じ「オーシャンと11人の仲間」('60年、フランク・シナトラ主演)のリメイクとのことですが、大幅に筋立ては変更されているそうな。
刑務所を出所したばかりの主人公・オーシャン(ジョージ・クルーニー)が、各方面のプロを11人集めてラスベガスのカジノの金庫を襲うという、単純明解、目的一直線のクライム・ストーリーです。
「トラフィック」のように混沌とした演出で見せたら許さないからね、という心配も杞憂に終わり、まずはその痛快な後味に満足。後から考えると新鮮味の殆ど無い筋書きとトリックではあるのですが、観ている最中、特に中盤以降の展開にくぎ付けにしてしまう演出は流石です。観客を騙そうとする手口があざといと気付くのは、それにまんまと引っ掛かってからの後の話。
随所に流れるスタイリッシュな音楽も極めて効果的。特にラスト近くのメンバーが揃って(ただし主人公を除く)夜景を眺めるシーンに流れる、ドビュッシーの「月の光」、イイですね。
ただ、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ジュリア・ロバーツなど、豪華布陣の割には全体の印象として派手さは余りありません。多分、冒頭にツカミを設定してないこと、前半のメンバー紹介に工夫が無くダレ気味であること、紅一点のジュリロバが輝いていない(ガニマタで歩くし)こと、などが原因かも・・・。
また「トラフィック」と同様、映像は必ずしも鮮明ではありませんし、字幕が白い背景と重なって殆ど見えないシーンがあったのには、イライラ。
パート2を予告するようなラスト・シーンが流れて、ハタと気が付きました。これはむしろ「黄金の七人」のリメイクではないかと・・・。それにしてはジュリロバの役がちっともセクシーでないけど・・・。(^_^;)
(劇場)
2002.02.04 あの頃ペニー・レインと ★★
- 「ザ・エージェント」、最近では「バニラ・スカイ」などのキャメロン・クロウが監督した青春万歳映画。第73回アカデミー賞で脚本賞のオスカーを獲得したほか、ゴールデン・グローブ賞なども受賞した作品です。
- 劇場公開時の大方の評判も上々でしたから、きっと良い映画なのでしょう。曰く「誰もが一度は経験した懐かしく、ほろ苦くそして甘酸っぱい青春時代を思い出し、胸が熱くなる・・・」などと。私はといえば・・・、胸キュンとなるわけでもなく、主人公を始めとした登場人物に感情移入も出来ずに、どちらかというと退屈な123分なのでした。
キャメロン・クロウの自伝的映画で、主人公(パトリック・フュジット)がブレイク寸前のロック・バンドのツアーにその追っかけ女子グループと共に同行し、音楽雑誌のための取材をするという、ロード・ムービーです。ところがこの主人公が15才という設定。そんな年で音楽雑誌としては有名な「ローリングストーン」誌の記事をまともに書けるのか?とまず訝(いぶか)ってしまうのでした。加えてその年頃によくあるような情緒不安定なところが全く無く、終始ヨイコちゃん。シツコク口やかましい母親(フランシス・マクドーマンド)やバンド・メンバーの裏切り等にキレルこともなく、常にニコニコ優等生。ホントかいな、と思ってしまいます。
ただペニー・レインを演ずるケイト・ハドソンは、美しいだけでなく演技力も抜群で、これから大いに期待できると思いましたね。ゴールディ・ホーンの実の娘ということですが、似なくて何より・・・。(^o^)
原題は「Almost Famous」で、ロック・バンドがブレイクする寸前であることを表してると思いますが、この邦題の方がこの映画の内容をより良く表現しています。
こういう映画に対する感受性が無くなるということは、私も年かな・・・。(-.-)
(DVD)
2002.02.03 ドラキュリア ★★☆
- 「スクリーム」シリーズのウェス・クレイヴンが製作・総指揮を取っていると知って、何か嫌な予感がしたのでした。果たして、B級ムードがプンプンと全編に漂う98分です。
原題は「Dracura2000」で、邦題をそのままB級映画っぽい「ドラキュラ2000」などとしなくて良かったですね。「ドラキュリア(=Draculea)」は、原作でのモデルになったルーマニアのドラクル伯爵のことだそうな。
ドラキュラを演ずるジェラード・バトラーは結構ハマッているように思いましたが、ヒロインのジャスティン・ワデルがいけません。ドラキュラの餌食になる女性は、思わず噛みついて血を吸いたくなるような美女でなければ・・・。(^_^;) オリジナルの原作にも登場するヘルシング教授を演じているのが、クリストファー・プラマー。「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐も随分老けてしまいました・・・。
中盤までの展開は、正にテレビ映画という感じがピッタリです。SFXはチープだし、ドラキュラの登場シーンも工夫が無いし、余りにもオイオイな場面が多過ぎるのだ。加えて、「Virgin
Record」がスポンサーなのでしょうが、あれほどシツコク表示されると映画の品格を損ねてしまいます。
ただこの映画には終盤とんでもない展開が待ち受けています。思わず私はのけぞりましたね。ドラキュラは何故に十字架、聖書、銀貨を嫌い、不老不死なのか?この映画は明解にその答えを用意しているのです。劇場公開時のコピーは、「我が名は裏切り」。ふむ、なるほど。よくまあこじつけたものですが、この設定がなかったら、この映画は日本では劇場公開などされなかったに違いありません。
では、ニンニクをどうして嫌いなんだ?などと突っ込むのは野暮というものです。(^o^)
(ビデオ)
2002.01.29 千年の恋 ひかる源氏物語 ★☆
- 邦画でしかもこの手のものを観るつもりは毛頭なかったのですが、成り行きで観てしまう羽目に・・・。(>_<) 東映創立五十周年記念作品で、紫式部が源氏物語を執筆し始めてから丁度千年経っているとのことから、このタイトルがついているのだそうな。
紫式部自身の人生と、彼女に語らせる源氏物語が劇中で並行して描かれていく、という構成を取っています。時々源氏物語のフェーズに、紫式部が登場したりもするのだ。
とにかく布陣は豪華。吉永小百合(紫式部)、天海祐希(光源氏)、森光子、高島礼子、かたせ梨乃、南野陽子、常磐貴子、竹下景子、細川ふみえ、渡辺謙、風間杜夫、風間トオル、竹中直人、片岡鶴太郎、・・・。
源氏物語はともかく、紫式部の生涯が勉強出来たのは収穫でした。父の勤務の関係で福井に住むことになったり、夫との死別で源氏物語の執筆に勢いがついたり、帝の妃(妾?)候補の女子の養育係になって、源氏物語を教科書として恋の手ほどきをしたり、などなど。結局、彼女は日本で最初の「閨秀作家@不倫・ポルノ(?)」だったのですね。(^_^;)
で、問題は源氏物語の方。いくら宝塚の名男役だったからといって、女が演ずる光源氏はどうも気持ちが悪い。女性が裸になっているのに、光源氏は着物が脱げないのだもんな。美形の男優などいくらでもいるだろうに。極め付けはときおり突然現れて唄いだす、松田聖子。いったい貴女は何?
映像は度が過ぎて如何にも作り物、という感じ。全ての場面に花が額縁状態になっていて、不自然です。平安京などのCGも稚拙。何故か全体的に紙芝居のようなチープさが漂います。
米国でも上映されたとのことですが、あちらではどう映ったのでしょう?・・・あ、いかん、「ムトゥ 踊るマハラジャ」を思い出してしまった。(^o^)
- (劇場)
2002.01.28 王は踊る ★★☆
- 「カストラート」(音楽好きならこれは必見)のジェラール・コルビオ監督による音楽・ダンス劇。フランス国王・ルイ14世と音楽家・リュリとの葛藤物語です。
ルイ14世と云えば私にとってすぐ頭に浮かぶのが、「鉄仮面、三(四)銃士、ヴェルサイユ宮殿」などですが、何と彼はダンサーだったのですね。しかもバロック・ダンスという何となく見ていてフラストレーションがたまってしまうようなキレの悪いダンスを踊るので、あれでは「王は余り踊らない」っていう感じです。(^_^;) ただし、このバロック・ダンスがクラシック・バレエの原型となったのだそうな。
この映画は、ルイ14世(ブノワ・マジメル)のために3,000曲余りを作曲したというイタリア出身の宮廷音楽家・リュリ(ボリス・テラル)が主人公。彼の目を通してルイ14世の生き様、彼への偏執的な愛情、そして自身の栄光と挫折が描かれています。
歴史の一部分を平坦に切り取ったという感じで、各エピソードは深堀はされません。王に憧れ、王に近づき、王の側にいて、ただひたすら王を崇める彼は一体何がそうさせたのでしょうか?この映画は見ていてどうもその辺のところが良く伝わって来ないのです。
王の行くところ、全て生演奏のBGMが付きます。閨房さえも・・・。やらされる方はたまったものではないでしょうね。(^_^;)
その音楽は、古楽アンサンブルのムジカ・アンティクヮ・ケルンが担当しているとのことで、さすがに聞き応えがあります。ただ折角きらびやかなシーンが多いのに、映像は暗めで画質が全般的に良くないのが残念でした。
- なお、本作品は「仮面の男」などと違って、ルイ14世が英語を駆使したりせずに全員がフランス語を話しますので、とても安心して見ることが出来ます。(^o^)
(ビデオ)
2002.01.21 エグゼクティブ・デシジョン ★★★★☆
- 映画を愛するばさらさんのHPの、3万ヒット記念でいただいたDVDでの観賞です。96年製作の映画で、私は新作ビデオで見ているはずですので、それから既に4、5年は経っていると思います。当然ながら(?)細部の記憶は飛んでいますので、今回もまた大いに楽しめました。
しかも改めて見ると、昨年9月に発生した同時多発テロと酷似しているのに、ビックリ。米国ではテロ発生後、「スパイダーマン」を始め、類似あるいは関連した映画の幾つかが公開中止になっていますが、本作品の公開時期が同期していたならば即刻お蔵入りとなったことでしょう。
そういう現実的な問題はあるとしても、本作品は紛れもなく立派な娯楽大作と云えると思います。テンポが小気味よく、こういう映画にありがちな御都合主義もギリギリ許容範囲。公開時話題となった序盤で重要人物が消えることも、意外性があって面白い・・・。
主演はカート・ラッセルですが、むしろ脇を固めていた特殊部隊のリーダ格のジョン・レグイザモが好感度高し。更にはテロ集団のボス役のデビッド・スーシェーが素晴らしい存在感を示しています。あの鋭い眼で睨まれてもビビらなかったスッチー(ハリィ・ベリー)、貴女はエライ!
ともかく未見の方は、DVDでなくとも(^_^;)是非ともご覧になることをお薦めします。
(DVD)
2002.01.20 フロム・ヘル ★★★★
- 1888年のロンドンで5人の娼婦が惨殺され、世の人々を震撼させた「切り裂きジャック」事件に基づく小説の映画化です。
冒頭の燃えるような夕焼けに染まるロンドンの街並みの映像を見て、コッポラの「ドラキュラ」を連想してしまいました。この映画も終始一貫して暗くて重苦しいトーンで展開されます。「ネオ・ダーク・スリラー」などと云うのだそうですが、雰囲気出ているなぁ・・・。
ストーリー展開もこの手の映画としては難解ではなく、近頃流行りの「どうとでも解釈できる」などというまどろこしさの無いのがよろしい。正統的謎解き手法に、2時間強、しっかり引き込まれます。
- 5人の異常なまでの残酷な殺され方が有名ですが、本作の描写では一ヶ所だけを除き、まあ許容範囲と云えるでしょう。それでも本国ではR-17指定とのこと。
この事件は実際には迷宮入りしているわけですが、本作ではしっかり犯人が明らかにされています。当然その動機も・・・。しかし、良いのですかね、王室のスキャンダルを絡めたりして・・・。実際そういう噂もあったらしいのですが、あそこまで決めつけてしまうのはさすがにハリウッド映画です。
時代が同じということなのでしょう、懐かしくも(?)エレファント・マンことジョン・メリックも登場します。わたしゃ、こちらの方がよっぽどエグかった・・・。
ラストは「ショーシャンクの空に」風かと思いきや、そうではなく中盤の伏線を活かした悲しい味付けがなされていて、むしろ余韻を残します。
犯人を追う警部を演じているのがジョニー・デップ。「スリーピー・ホロウ」とは違ってトホホでもなく、ニコリともしない寂しそうな顔付きに終始し、「シザー・ハンズ」を彷彿とさせます。デップが恋する娼婦を演じているのが、ヘザー・グラハム。眼が異常なまでに大きい・・・。
イアン・ホルムが貫録の演技で脇を固めていますが、私は今でもこの人には「エイリアン」のサイボーグのイメージが強烈に残っているのです。どう見ても生身の人間に見えないのだ・・・。
(劇場)
[蛇足]
「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」の予告編が上映されていました。今度はもっぱらアナキンとアミダラ王女の恋物語か?それにしてもナタリー・ポートマンは随分綺麗になりました・・・。
2002.01.15 クロコダイル・ダンディーin
L.A. ★★☆
- 大ヒットした86年の第一作目の「クロコダイル・ダンディ」、88年の第二作目の「クロコダイル・ダンディ2」に継ぐ本作品は、これらから十数年経って舞台をNYからタイトルどおりLAに移したもの。私が第一作目を見たときは、正に抱腹絶倒、大笑いしたものでした。
この第三作目が楽しめるかどうかは、かなり微妙です。第一作目で、初めてオーストラリアからNYに出てきた主人公(ポール・ホーガン)が、道行く人々に挨拶をしながら歩くなどという大カルチャー・ギャップ・コメディのインパクトは、本作品では当然ながら薄らいでいます。ミステリー仕立てのストーリーも摂ってはいるのですが、いかんせんそれは添え物。
むしろ前二作品を見た者にとって、女性ジャーナリストのスー(リンダ・コズラウスキー )と相変わらず仲良く暮らしていたり、その二人の間に9才の息子が生まれていたりする状況を、まるで遠い親戚の近況を知るような懐かしさを感ずる方が大きいのでは・・・。
フリー・ウェイにいたスカンクを助けるために、交通を止めてしまうシーンは見ものです。この撮影のための交通封鎖の交渉で、数ヶ月をかけたとか。
第一作目で、主演と同時に脚本手がけたポール・ホーガンは、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞に輝き、アカデミー賞脚本賞にもノミネートされました。40年生まれですから、本作品の撮影時は61才。さすがに老けましたが、まだまだ元気です。私も頑張らねば・・・。(^_^;)
(ビデオ)
2002.01.13 すべての美しい馬 ★★☆
- 日本語として何となく変に感ずる一方で、オシャレな響きもある邦題ですが、原題が「All the pretty horses」ですから、ほぼこれは直訳ですね。カメレオン男優こと、ビリー・ボブ・ソーントンが「スリング・ブレイド」に続いて監督した作品。ただし、彼自身は出演していません。
原作は全米図書賞、全米批評家協会賞を受賞した名作とのこと。1940年代後半の米テキサス州とメキシコを舞台とした、カウボーイである主人公(マット・デイモン、以下、ジミー君(^_^;))のいわゆる青春葛藤物語です。
エピソードはイヤというほど盛り沢山で、結構重いテーマも扱ったりしているのですが、淡々と物語が語られていく感じ(特に前半はやや退屈)で、全体として平坦で散漫な印象になっているのが残念。
モノローグを挿入するなど、こういう青春ものにはピッタリのジミー君。ただし、16才には到底見えないぞ・・・。今を時めくペネロペ・クルスとの恋も、中途半端で燃えません。ここでのペネロペは、やけに目じりのシワが目立ったり、脱ぎっぷりが悪かったりでイマイチ。(^_^;)
一番印象的なエピソードは、旅の途中で合流した少年(ルーカス・ブラック)にまつわる悲劇。「スリング・ブレイド」でも好演したルーカス・ブラックの名演技は、ジミー君をも圧倒するのでした。
相棒を演ずるヘンリー・トーマスは、「E.T.」のエリオット少年とのことですが、名子役は大成しないというジンクスの典型のように、没個性の演技に終始します。
タイトルの割には、余り馬に焦点が当たっていません。むしろ、テキサスの雄大な景色の方が美しかった・・・。
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2002.01.07 ドラゴンハート ★★★★
- 10世紀のイングランド、一人の騎士(デニス・クエイド)とドラゴンが力を合わせて暴君の圧政に苦しむ農民を救う、というドラゴン伝説ファンタジー。「デイライト
」などのロブ・コーエンの監督作品です。
興味があったのはアカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされた、ILMによるフルCGのドラゴン。その滑らかな動作や豊かな顏の表情には驚くばかりです。暗い夜などのシーンでCG臭さをカモフラージュしている「ゴジラ GODZILLA」などと違って、白日の下に丸々その全貌を表してくれます。
しかもその声をショーン・コネリーが担当していて、メチャクチャ喋りまくるのです。字幕を英語にするとセリフと口の動きがピッタリとシンクロしているのが、ハッキリと分かります。ただ、ドラゴンが草原を低空で飛翔しているのに草が少しも風でなびかない、などいう手抜きもありましたが・・・。
それにも増して驚いたのは、そのサラウンド・サウンド効果。ドラゴンが画面を中心にグルグル旋回するシーンでは、私の貧弱なAVシステムでもどこを飛んでいるのかハッキリ分かります。思わず何回もリピートしてしまいました。このDVDは5.1chサラウンドのデモ用として、買いですな。
タイトル(Dragonheart)はこれ以上なくこの映画のテーマを表していて、それにまつわる感動的なラストが待っています(小学生が見たら泣くだろうな)。ただ中盤、騎士とドラゴンがグルになって賞金稼ぎをするなどというコミカルなシーンがあって、それはそれで良いのですが、どうも正義を重んずる騎士道精神を主題にした本作としては、ややチグハグな感じが否めません。
統一感の無い展開が残念ですが、素晴らしいCGと音響効果に★二つ追加・・・。(^_^)
(DVD)
2002.01.05 バニラ・スカイ ★★★☆
- 好評を博したスペイン映画「オープン・ユア・アイズ」(97年)のリメイク権を獲得したトム・クルーズがプロデュースし、自ら主演した話題作。もう一つの話題は、オリジナルと同じ配役のペネロペ・クルスが出演してトムと恋に落ち、二コール・キッドマンと離婚させてしまったということ。(^_^;)
タイトル(Vanilla Sky)は、劇中話題となる名画(モネ?)に描かれている乳白色の空のことですが、幻想の世界をも暗示しているようで、ラストでも美しくそれが現れます。
前半のラブ・ロマンス、中盤の現実と夢が交錯するシーン、終盤のあっと驚くSF的終結など、私が記憶している限りではオリジナルにかなり忠実にリメイクがなされていると思います。ただ、ペネロペ・クルスの役柄は、オリジナルはもっとフェロモンがムンムンだったと思うのですが。キャメロン・ディアス扮する恋敵が、ペネロペを指していみじくも云った「毛虫のような女」は、言い得て妙・・・。
トムはかなりこの映画に惚れ込んで(ついでにペネロペにも)力を入れている感じはしますし、単なる彼のスター映画としていないところは流石と思います。ただ、トムのフリークにとっては、中盤以降は見ていて辛いでしょうね。何せあの水も滴るハンサムな顏が・・・。
「プルーフ・オブ・ライフ」のラッセルとメグのように、この映画でもトムとペネロペが絡むと、「そうか、私生活でもあんな風なのか・・・」、とつい下世話なことを想像してしまうのは、やむを得ますまい。(^_^;)
で、オリジナルの「オープン・ユア・アイズ」を越えられたか・・・?現実と夢の織りなす摩訶不思議な世界を描いて、観るものに一種独特の奇妙な感覚のインパクトを与えるという点では、オリジナルの勝ち。本作が勝ったのは、主人公の顔のメイク、無人の街のVFXと超ビッグなカメオ出演者(スピルバーグ監督、他?)だけかも知れません。
(劇場)
2001.12.25 ギフト ★★★★
- 無名だった頃のビリー・ボブ・ソーントンがもう一人の脚本家と共同で書いた脚本を用い、「シンプル・プラン」などのサム・ライミが監督したサスペンス・スリラーです。
タイトル(The Gift)は、神から与えられた超感覚的な才能のこと。そのギフトを持った女性が、それを持ったが故に苦悩しつつも殺人事件の真犯人を突き止めていくというお話。
ストーリーはそうヒネってあるわけでもありませんし、犯人もすぐ判ってしまいます。しかし独特のゴシック的な美しい映像や古典的な演出、ラストの癒しのエピソードなどで全く退屈はさせません。しかもところどころ、「シックス・センス」や「ホワット・ライズ・ビニース」に類似した手法で、ギャッと云うくらい驚かされてしまいます。日本の古典的怪談(お岩さんね)に影響されたのではないか、などと思ってしまうシーンも・・・。ま、ラストのエピソードが御都合主義と云ってしまえばそれまでですが・・・。
母子家庭での子供の孤独、DV(ドメスティック・バイオレンス)、幼児虐待など、重いテーマを包含しているのも、この作品を単純なオカルト映画とすることなく、厚みをもたらすことに貢献しています。
主人公のケイト・ブランシェットを始め、キアヌ・リーブス、ヒラリー・スワンクなど、出演陣も極めて豪華。特にケイトの豊かなそして大袈裟とならない表現力は素晴らしいの一言。もう一人、幼時の虐待で精神を病むジョヴァンニ・リビシーの鬼気迫る演技が特筆ものです。この人は巧い!
キアヌはノー・ギャラで良いから使ってくれとライミ監督に頼んだとのことですが、それほどの役とも思えません。オスカー女優のヒラリーも何かイマイチ・・・。
なお、本作品は音量を通常より抑え目にしておかないと、時々心臓が飛び出しそうになるので、注意が必要です。(^o^)
(DVD)
2001.12.24 マレーナ ★★☆
- 少年達が好奇の視線で見詰める前を、まるで鶴のような美しい姿で目線を落としてユックリ歩くマレーナ(モニカ・ベルッチ)。この予告編のワン・シーンで、是非とも見なければいけないと思っていた映画でした。
「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」のジュゼッペ・トルナトーレの監督作品です。そこにお約束のように、エンニオ・モリコーネのハマッた音楽が絡みます。
思春期の少年(ジュゼッペ・スルファーロ)の目を通して、この世のものとも思えないような美しい、しかし薄幸な一人の女性の運命が描かれていきます。少年と女性の実際の接点は少なく、女性側の心情はセリフが殆どないこともあって多くは語られません。従って、閉鎖的なシチリア島の住民の彼女に対する残酷な仕打ちは、少年の性的な願望と同様、誇大妄想であると受け止めても良いかも。そうでないと、ラストでの住民の手のひらを返したような態度は説明がつきません(マレーナが太ってシワが増えて庶民的なオバサンになったから、というのだけでは説得力が無いと思うけど・・・)。
彼女への惨いリンチを目の当たりにしても、何もしてやれない少年の態度は現実的ではあるのでしょうが、あれでは観客は一気にヒイテしまいます。ラストにミカンを拾ってやっても、完全に手遅れ・・・。少年を単なる変態ストーカーにしない設定が、もう少し欲しかった。
「イタリアの宝石」と云われているスターモデル出身のモニカ・ベルッチが、とにかく美しすぎ・・・。上述した「鶴歩き」のシーンや身を落とすために髪を染めて登場するシーンには、少年ならずとも生唾ゴックンです(ヴァンサン・カッセルめ、うまくやったな・・・)。
(DVD)
2001.12.18 テイラー・オブ・パナマ ★★☆
- 原作は「寒い国から帰ってきたスパイ」などで知られる英国のスパイ小説作家、ジョン・ル・カレのベストセラー小説です。
パナマに左遷された英国のスパイ(ピアース・ブロスナン)が、現地で仕立屋を営んでいる英国人(ジェフリー・ラッシュ)を利用して、米国の軍事介入にまで発展しようという悪事を企てる・・・、というお話。
冒頭、ラッシュ演ずる仕立屋が洋服の生地を裁断していくシーンが映し出されますが、その見事な手さばきにまずは感心。訓練したとは云え、流石にオスカー俳優です(関係ないか)。
スパイ物には間違いないのですが、スリリングなアクション・シーンなどを期待すると肩透かしを食います。また、二人の男のかけ引きを中心とした展開は、どこまでが事実でどれがでっち上げかをしっかり見極めないと、置いてきぼりを喰ってしまいます。こういう映画は集中して見ましょう。間違っても年賀状作りの片手間になんぞ、見てはいけません。(^_^;)
終盤の展開は飛躍があって少々興ざめ。話自体は興味ある要素がちりばめられていますので、そこそこ退屈はしないのですが、作り方次第でもっと面白くなっても良かったような・・・。
007の5代目ボンドを演ずるブロスナンが、良心や忠誠心のカケラもない対極のスパイを楽しそうに演じているのがとても面白い。ただし、女たらしであるのは両者に共通しています。「君には二つの選択がある。一つはこのままベッドに直行すること。もう一つはこのまま別れて後で悔やむことだ。」などと・・・。
仕立屋の妻役をジェイミー・リー・カーティスが演じていますが、この人は最早完全なオバハンになってしまいましたね。頭がドンドン小さくなって、豊満な体と益々アンバランスになっています。
仕立屋の夫婦の息子役が、何と今を時めく「ハリー・ポッターと・・・」の主人公・ハリーを演ずるダニエル・ラドクリフなのにビックリ。見終わるまで私は彼とは気が付きませんでした。丸い眼鏡をかけていなかったからです。(^o^)
(ビデオ)
2001.12.08 ハリー・ポッターと賢者の石 ★★★☆
- 全世界で1億部以上も売れているという、イギリスの女性作家J・K・ローリングの大ベストセラー小説(私は未読ですが)の映画化。製作に150億円もかけたというだけあって前宣伝も華々しく、見ておかないと取り残されてしまうような気持ちにさせてしまうところがスゴイ。久しぶりに大行列に並んでの劇場観賞でした。
物語は、魔法使いとして生まれた11才の少年、ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ、ジョン・レノンの子供版)が、魔法使い養成学校の生活を通じて自己の能力に目覚め、自立していく過程を描いたもの。
基本的に「愛と勇気と正義、バンザイ!!」の映画ですね、これは。原作に極めて忠実に映像化されているということがうたい文句になっていますが、わたしゃストーリーが良く読めませんでした。ハリー少年の額のキズ、両親の死因、ヴォルデモートとかいう悪者魔法使いの企みなど、もっと説明して欲しかった(ま、原作を読んだり次回作を見よ、ということなのかも知れませんが)。カタカナの(当たり前)専門用語や人名などが山ほど出てきて、何を指しているのかよく判らないということもありましたし・・・。いくら日本語吹き替え版で見たとしても、原作を読んでいない小さな子供がこの映画を理解するのは難しくないかな。
報復心(いじめられた叔母夫婦や従兄への)、高級ブランド指向(魔法の箒の!)、点数化による勝ち負けなどの対抗意識、差別意識を、やたら煽っているのも情操教育上、いかがなものかと・・・。
もちろん、次々に繰り広げられる視覚に訴えるシーンはそれなりに見もので、「クィディッチ」とかいう空中サッカーのような試合のシーンはさすがに迫力満点。ただし、SFX技術は昨今の映画の中で突出しているとは思えませんでしたが。
実は中盤に私は物凄い睡魔に襲われたのですが、聞くところによるとこの映画では上映中に寝てしまう人が結構いるとのこと。どうやら魔法にかけられて眠ってしまうらしい・・・。(^_^;)
(劇場)
2001.12.03 ショコラ ★★☆
- ビデオの冒頭、誰もが知っているM製菓のチョコレートのCMソングが、まるでプロローグのように挿入されていました。
第73回アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、助演女優賞など5部門にノミネートされた話題作。ただし、不思議なことに(?)オスカーは一つも受賞できませんでした。監督は「サイダー・ハウス・ルール」などのラッセ・ハルストレムです。
あるフランスの田舎町にやってきた母親(ジュリエット・ビノシェ)と娘が開いたチョコレート店が皆を幸せにしていく、というファンタジーです。
まるで絵本に出てくるような街並みやそれにマッチした音楽のお陰で、お伽話的雰囲気を巧く醸し出しています。画面を賑わすチョコレートも綺麗で如何にも美味しそう。ただし、扱っているテーマは宗教的、排他的なことなどで結構重く、ホンワカ・ムード一杯だけの映画ではありません。
結末は明らかに予想される展開なのですが、それまで呆れるくらい包容力があると思っていた主人公がしまいにはキレてしまって、それを収拾するのが主人公以外の人間というのも、なんとなくまとまりが悪いと思うのですが・・・。
ジョニー・デップとジュリエットが恋人同士というのは、何故かしっくり来ませんね。ジュリエットが大分年上に見えてしまうせいかも知れません。ジュディ・デンチはさすがに貫録の演技です。普段の汚い恰好とパーティ用の正装時の変貌ぶりに唖然。キャリー=アン・モス姉御は、役柄もあってクールな演技に終始していました。
なおこの映画でもフランスの田舎が舞台であるにも関わらず、何故か皆が英語を話します(シツコイ?)。
見終えた後、必ずチョコレートが食べたくなるとの評判でしたね。私も本当にあんな効用があるのなら、山ほど買ってきて食べたいと思います。(^_^;)
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2001.12.02 パール・ハーバー ★★★★
- 「アルマゲドン」を製作したジェリー・ブラッカイマーとマイケル・ベイによる超話題大作。劇場に足を運ぼうと思っていたのですが、行かずじまいとなっていました。
「プレミア」誌が「聞きしに勝る愚作である」と酷評した他、大方の評判もイマイチ。曰く、戦闘シーンは見れるが、ラブ・ストーリーが不出来。時代考証がデタラメ、史実に反している(零戦の機体色が違う、奇襲のあった朝早い時間に少年野球をしている、など)。日本人の描写が変(野外で戦略会議をしていて、隣で子供が凧揚げをしている!)。などなど・・・。
で、私の場合は戦闘シーンだけでもいいや、と期待しないで見たせいもあるでしょうが、結構引き込まれました。確かに陳腐な恋愛劇ではありますが、少し(いや、かなり)我慢すると、今までにないアングルとリアルな描写での大迫力の戦闘シーンが待っています。いやあ、この40分のシーンだけでも劇場の大画面で見たかった・・・。
ただ、終盤の東京空襲以降のエピソードは無くても良かったかも。運良く不時着して・・・、というのはそれこそ陳腐です。あの結末に持っていくには、真珠湾の攻撃シーンの中でも出来たはず。そうしたら183分という時間を短縮できて、もっとコンパクトな仕上がりになったでしょうに・・・。
ベン・アフレックの相棒のジョシュ・ハートネットが不評のようですが、私は悪くないと思いましたね。トミー・リー・ジョーンズを若くした感じで・・・。むしろミス・キャストだと思ったのは、神経質そうなヒロインのケイト・ベッキンセール。もっと華のある女優を配して欲しかった。
キューバ・グッディングJr.が如何にもハリウッド的な美味しい役で登場。しかも「ザ・ダイバー」と完璧にカブってしまうのが笑えます。山本五十六役のマコ、さすがに老けましたね。
監督は映画史に残る大作を作りたかったとのこと(ポスターがまるで「風と共に去りぬ」や「タイタニック」ですもの)ですが、それはともかく少なくとも反戦のメッセージは強烈に伝わってきていたと思います。
奇襲の報復のために東京を空襲することを上官が宣言すると、米兵達が一斉に喜びの叫びを挙げたシーンを見て、一瞬不愉快に・・・。やはり日本人なんだなぁ・・・。(^_^;)
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2001.11.26 15ミニッツ ★★★
- タイトル(「15minutes」)は、ポップアートのアンディ・ウォーホールの言葉である、「人は誰でも、その生涯の中で15分間は有名になれる」からの引用だそうな。
ニューヨークでマスコミにも超有名な敏腕刑事(ロバート・デ・ニーロ)と生真面目な放火捜査官(エドワード・バーンズ)の二人と、東欧からやってきた狂気じみた殺人犯の二人(カレル・ローデン、オレッグ・タクタロフ)との攻防を描いたサスペンス・アクション映画です。
よくあるコンビ刑事ドラマ的に展開されるかと思いきや、途中で強烈なメディア批判に入り込んでいってしまうので、なにやらまとまりの悪さは否めません。しかしながら、中盤であっと驚くことが起きたり(TVスポットではネタバラシをしていたようですが)、カー・チェイス、市街銃撃戦、猛火からの脱出劇などバラエティに富んでいて、最後まで退屈はしません。犯人がこだわるハンディ・ビデオ・カメラの使い方も洒落て(?)います。
主役級の一人が、これまで余り馴染みの無い放火捜査官(消防局員)というのも、新鮮。この職業では銃や手錠を携帯でき、逮捕権も持っているのだそうな。
ただ、アメリカのマスコミがここまで堕落しているかどうかは判りませんし、犯人が使おうとした「ダブル・ジョパディ」も可能なのかどうか・・・。停職を喰らっている主人公が終盤で取った行為は、法的に許されるのかどうか・・・、などという疑問を無視するかのようにテンポよく物語は進み、ラストは中盤の意外性とは逆にバリバリの予定調和で完結するのでした。ただし、後味の悪さは最後まで残りますが・・・。
デ・ニーロ、最近出過ぎですね。だからあんなことにしたのかな。エドワード・バーンズ、いいですね。監督もこなしているとのことですが、俳優としても大ブレイクしそうです。ギア様や小泉首相に似ているなどという噂も・・・。これまた出過ぎ(カメオ出演ですが)のシャーリーズ・セロン。監督の趣味でしょうか。
でも何と云っても、一番存在感のあったのは、犯人役のカレル・ローデン。チェコでは超有名な舞台俳優とのこと。彼の鬼気迫る迫真の演技に脱帽です。
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2001.11.25 天使のくれた時間 ★★★
- 誰もが一度は思う、「あの時違う選択をしていたら、自分の人生はどう変わっただろう?」を無理矢理やってのけたラブ・ファンタジー。監督は「ラッシュ・アワー」などのブレット・ラトナーです。
典型的な仕事人間で富と名声を得ている主人公(ニコラス・ケイジ)は、ある朝目覚めると、極く平凡な別の人生に入り込んでいた、という最近のハリウッド映画にはよくありそうな展開。天使が黒人(ドン・チードル)というのも、如何にも今風です。ただ、これらを余りにも強引で、非現実的な設定と感じてもしかたないかも・・・。
この映画のテーマは、自分が見失っていた人生を再発見する、ということなのでしょう。でも、仕事がバリバリ出来てリッチな男が、いくら幸せな家庭が築かれているといって平凡なマイ・ホーム・パパ的生活を本当に良いと思うかどうか・・・。邦題がいみじくも示しているように、主人公にちょっとした別の人生を夢として垣間見させて、今の生活を更に大切にするように、と教訓を垂れていると考えた方がよさそうです。
尤も、もう一つの人生とてあのような美しい妻(ティア・レオーニ)や可愛い娘(この幼子は天才ですね)がいて何の問題もないのですから、贅沢というものでしょう。
ケイジはこういうファンタジーがホント似合いますし、改めてつくづく巧い俳優だと思います。
それにしてもこういう内容で2時間15分は、ちと長過ぎます。
ところで、誰にとっても「人生で最良の時は、今」であるということをご存知ですか?何となれば、誰でもこれまで何かを選択しなければならないとき、自分が必ず良いと思う方を選択しているはずであり、そういう最良の選択の積み重ねで今の自分の人生が成り立っているからなのです・・・(ホントだよ!)。
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