2002.05.18 フロム・ダスク・ティル・ドーン ★★★☆
- 新作でなくても、以前から見ようと思っていていつも気になっている作品というのは、ありませんか?私は本作がそのうちの一つ。家電量販店のAVコーナーなどで、デモとして後半のクライマックスの部分がよく流れていて、ホウ、あんな映画か、などと思っていたのでした。
「デスぺラード」、「スパイキッズ」などのロバート・ロドリゲスが監督をし、クエンティン・タランティーノが脚本を担当。タイトルは、「夕暮れから夜明けまで」の意です。
これほど、映画の前半と後半のギャップがある作品はないでしょう。前半は典型的なロード・ムービーで、かつ緊張感溢れるクライム・ストーリーが展開され、引きつけられます。特に国境を越える場面は、見どころ。ところが後半は、一転してハチャメチャなB級ホラー・アクション映画になってしまうのです。それまで真摯で堅物そうなハーヴェイ・カイテルまでが、オイオイな悪乗りをする始末。しかも、いずれのヴァンパイヤ・メイクも如何にもB級風なチープなもの。多分これはロドリゲスの確信犯的演出によるものでしょう。
もちろん、タランティーノの異常さも健在です。デカおでこ越しに、舐めるようにジュリエット・ルイスを見詰めるキレタ目付きは、素(ス)ではないでしょうか?ジョージ・クルーニーもクールな役に徹していて、中々結構。
笑ったのは、やたら*ッシーを連呼するぽん引き男のチーチ・マリン。何と彼は国境警備員や黒幕の3役をやってのけています。後半に突入するための大事な役柄(?)で、超セクシーなダンサーを演じているのはサルマ・ハエック。ロドリゲス映画に常連の彼女は今回はセリフ無しですが、素晴らしい演技をしています。(^_^;) 常連と言えば、ダニー・トレホも。相変わらずこの人は存在感が有り過ぎ・・・。
ま、一粒で二度美味しい映画と言えます。ただし、「2」、「3」を見る元気はないなぁ・・・。
(DVD)
2002.05.12 アザーズ ★★★★☆
- 「バニラ・スカイ」のオリジナルである「オープン・ユア・アイズ」で俄然注目された、アレハンドロ・アメナバールの脚本・監督作品。トム・クルーズがこの脚本を気に入って、当時まだ妻だったニコール・キッドマンを主演に据えて製作総指揮を取ったというもの(って、具体的に何をしたのでしょう?)。
「例の映画」以降、ホラー作品で且つ衝撃のラストなどと喧伝されると、どうしても身構えて見てしまうのは致し方ないこと。騙されまい、騙されまいと目を凝らして見ているのは、本当に疲れますね。(^_^;)
見えない存在、怪しい話し声・物音、ビックリ大音響など、いわゆる古典的な幽霊屋敷的展開でストーリーが進んでいきます。しかし結構恐がらせてくれて、しかもとても安心して(?)見せてくれるのは、やはり演出の巧さでしょうか。怪しい要素は他にもいっぱい。得体の知れない三人の召使い、何かを知っている風の主人公の娘、庭先に隠されている誰かの墓、遺体の写真集、気の抜けた主人公の夫、など・・・。
多分計算づくなのでしょう、ところどころにラストへのヒントが隠されていて(召使いが少女に言う「いずれ全てが反転する」など)、最後に全てが明かされても最初からピッタリ辻褄が合ってしまうしかけになっています。この辺は「例の映画」とは異なる点。ただしどちらも悲しい愛の物語であることは、共通しているところ。特に本作ではオチがスゴイということよりも、新しい境遇で一家三人が絆をいっそう強固にしていくという結末が強く印象づけられます。それにしても悲し過ぎる・・・。(T_T)
ゴシック的なモノクロがかった映像にピッタリはまった二コールは、もうメチャクチャに綺麗・・・(「ムーランルージュ」などよりも遥かに)。ヒステリックな眼、恐怖に引きつる眼、悲しい慈愛に溢れる眼など、演技も言うこと無し。九頭身の肢体も言うこと無し。(^_^;)
娘と息子役はオーデションで選ばれた新人だそうな。娘役が何となく「エクソシスト」の少女に似ていて恐い。いつもシカメ顔の白塗り息子は「例の映画」のパクりか。
それにつけてもつくづく思います。トム・クルーズは勿体ないことをしたと・・・。(^_^;)
(劇場)
2002.05.06 恋する遺伝子 ★★★
- お〜い、この邦題、なんとかしてくれ〜え。
と、言う訳で中身には期待せず、アシュレー・ジャッド(昨今の表記は「ジャド」)と、今を時めくヒュー・ジャックマンを見るための観賞です。
トンデモな邦題は、「二度と同じ雌牛と交尾しないという雄牛の習性から、人間の男にも同じ恋愛遺伝子が組み込まれてる可能性がある」という理論が、このラブコメのテーマだから・・・。ま、気持ちは判りますが、取り立てて言うほどのことでもないような・・・。
何となくニューヨーク版「ブリジット・ジョーンズの日記」という感じです。ヒュー・グラントがグレッグ・ギニア役で、コリン・ファースがヒュー・ジャックマン役と言うところでしょう。
持って回ったような「かの理論」絡みのストーリーはどうでも良く、相変わらずチャーミングで泣き笑いの表情が豊かな、そして際どい下着姿でチア・リーダーの踊りをサービスするアシュレーと、大型俳優の風格を漂わすヒュー・ジャックマンのクールな演技にひたすら注目。演技派アシュレーを再認識しましたし、ヒューはここでも大ブレイクするであろうことを予感させます。何せこの後、メグ・ライアンと共演する「ニューヨークの恋人」が待ちかまえているのですから・・・。
更に、アシュレーの女性ボス役のエレン・バーキン。ここではやや老けてしまっていてガッカリでしたが、アル・パチーノと共演した「シー・オブ・ラブ」での魅力的なキャラは必見です。
原題は、「Someone Like You」。ハリウッドの製作者側は、この邦題の意味を知ったらどういう反応を示すのでしょうか?(^o^)
(DVD)
2002.05.05 スパイキッズ ★★★
- 予想どおりの、バリバリのお子様向けファミリー映画でした。でも童心に返ればそれなりに楽しめます。
「デスぺラード」、「パラサイト」などのロバート・ロドリゲスの監督作品。お約束で、ギターをバックにラテン・ムードがプンプンと漂います。
誘拐された元スパイの両親(アントニオ・バンデラス、カーラ・グギノ)を救うため、彼らの子供である姉弟(アレクサ・ヴェガ、ダリル・サバラ)が世界征服を企む悪者(アラン・カミング)に立ち向かっていく、というもの。
オバカ映画だし食い足りない、と言ってしまえばそれまで・・・。しかし、遊び心に溢れ、スパイものでありながら流血など一切無い、まさに子供のための映画に徹した作りは好感が持てます(どこかの国の残酷なアニメ映画は見習ったらいかが?)。オモチャ箱をひっくり返したようなVFXを駆使した映像も、昨今の大作に負けていません。
両親に隠れて登校しなかったりする姉やいじめられっ子の弟が、これらの活動を通してそれぞれ成長していく過程も描かれている(ような)のですが、これはやや説明不足で消化不良。
顏や手足が全て親指というサム・サムのキャラはユニークですし、次々に登場するスパイ・グッズも007シリーズを思い出させます。
トホホ役のバンデラスも楽しいし、アラン・カミングも相変わらずの怪演です。加えて妻役のカーラ・グギノが中々良いですね。要注目。(^_^;)
ラスト近く、ロドリゲス監督ゆかりの大物俳優のカメオ出演に、思わずニヤリ・・・。(^_^)
(DVD)
2002.05.04 ムーランルージュ ★★★☆
- だいぶ以前に見たレオナルド・デカプリオ主演、バズ・ラーマン監督の「ロミオとジュリエット」。その余りにもモダン化した作風(何せロミオがアロハ・シャツで登場するのだ)に辟易し、最後まで見ずにビデオを途中で止めてしまったのは、私としては珍しいこと。
そのバズ・ラーマンが本作品を監督していると知って、果たしてどうかな?などと思っていたのでした。確かに、CGを駆使したスピード感溢れる映像、19世紀末の設定であるにも関わらず、エルトン・ジョンやザ・ビートルズ、マドンナなどのヒット曲が次々に飛び出す音楽など、ラーマン監督の独特のポップな世界が演出されています。やっぱ、私は少々肌が合わないかも・・・。
75回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、美術賞、撮影賞のオスカーに輝きました。授賞式での司会者であるウーピーの天井からの登場シーンは、ここでのニコール・キッドマンの真似だったのですね。(^o^)
1900年のパリ、実在のミュージック・ホール「ムーランルージュ」を舞台に、作家(ユアン・マクレガー)と高級娼婦(ニコール)との悲恋を描いたミュージカル作品。ストーリーは映像や音楽とは対照的に、驚くほどベタな展開となっています。
とにかく序盤は、ハイ・スピードで変わるカメラ・アングルや、赤を基調としたコントラストの強いキラキラした映像に、目も回さんばかり・・・。ただし期待していたほど、レビュー・シーンをじっくりとは見せてくれません。爆笑ものの「ライク・ア・バージン」のコーラス・シーンも良いのですが、もっとしっかりしたダンスが見たかったぞ(何せ、「ムーランルージュ」なのですから)。上手いという評判の二人の歌も、数々のヒットした名曲を歌い上げるには、やや力不足。もっとも、二コールのように演技も巧くて超美形の女性が、あれだけ歌えれば御の字でしょうが・・・。
全般的に皆がはしゃぎ過ぎ、という感じ。それならそれで、いっそ二コールを死なせない(ネタばれではありません、冒頭ですぐ明らかになります)で、大ハッピー・エンドにすれば良かったのに・・・。
十数年前初めてパリを訪れ、大枚はたいて「ムーランルージュ」のディナー・ショーを観たことを思い出しました。レビューは素晴らしかったのですが、ステーキが恐ろしく硬くて不味かった・・・。(;_;)
(DVD)
2002.04.22 コレリ大尉のマンドリン ★★★☆
- イギリスでの大ベスト・セラー文芸大作を、「恋に落ちたシェイクスピア」のジョン・マッデンが監督した作品。
舞台は第二次世界大戦末期のギリシャの小島。医者の父親(ジョン・ハート)と暮らす主人公(ペネロペ・クルス)と、その島へ進駐してきたイタリア兵(ニコラス・ケイジ)との恋を描いたもの。背景となっているドイツ軍によるイタリア兵士の大量虐殺や大地震は、歴史的事実だそうな。
ややかったるい前半は、すべて後半の展開の大事な布石。我慢して見ることにしましょう。前半と後半の大きな落差がこの映画のポイント。その分、反戦のメッセージは強烈に伝わって来ます。
ペネロペがライフルの代わりにマンドリンを背負ったニコラスを何故好きになったかが良く判りませんが、ラブ・ストーリとしては極めて自然で良く出来ていると思います。ジーンと来るラストはミエミエであったとしても、あれしかないでしょう。
明るく陽気なイタリア兵と、真面目で冷酷無残なドイツ軍がステレオ・タイプに描かれているのが少々気になります。ホントにイタリア軍は進駐先で、あんなふうに飲めや歌えや踊れや、だった・・・?あのような自然の美しい小島では、羽目を外すのは止むを得ないか・・・。
「エイリアン」でのイメージ(お腹、ドバッの乗組員ね)が強く残るジョン・ハートが、中々渋く好演しています。また彼が、愛と恋の違いなど、良いことを娘に色々のたまうのですね。思わずメモを取りたくなってしまいました。
ニコラスはこの役のためにマンドリンの特訓を受けたそうですが、さすがに早弾きは無理としても一応様になっていました。展開が進むに連れて次第にハンサムに見えてくるのも不思議です。
ペネロペの一番の見どころは、何と云っても兵士とのダンス・シーン。私の目から見ても綺麗なステップだと判ります。次はベッド・シーンでの腋毛かな・・・。(^_^;)
この映画でも、戦時中であるにも関わらず、ギリシャ人、イタリア人、ドイツ人がそれぞれのお国訛り(多分)で全て英語を話します(しかもペネロペは当然スペイン訛り)。これがな〜んも気にならない人、手を上げて!
(DVD)
2002.04.21 ポワゾン ★★☆
- アントニオ・バンデラスとアンジェリーナ・ジョリーの超濃厚コンビで、R−18指定と来たもんだ。(^_^;)
ヒッチコックの「裏窓」で有名なウィリアム・アイリッシュの原作の映画化。ベルモンドとドヌーブの「暗くなるまでこの恋を」のリメイクとも言えます。
9世紀後半のキューバ。コーヒー豆栽培で成功した主人公(バンデラス)は、文通していたアメリカ人女性(ジョリー)と初めて対面し、即結婚したのですが、彼女はどうも秘密を隠しているようなのでした・・・。
う〜む、中途半端だ・・・。サスペンス仕立て風ではありますが、脚本がずさんなせいなのでしょう、全然盛り上がりません。先が読めますし、あまりにもオイオイな展開が目立ちます。それにジョリーの正体を早くバラし過ぎ。もっと引っ張って、タメを作らないといけません。
官能映画としても期待外れ・・・。映倫は単に配給会社の宣伝に加担するために、わざわざR-18指定にしているのではないかと勘ぐってしまいます。(^_^;)
とにかくバンデラスが余りにもトホホな役で、苦笑しまくりです。あの状況で「純愛」などを訴えようとしても、無理というもの。悪女に騙される男のバカさ加減を、つくづく哀れに思うだけです(ふ〜んだ)。
ここでのジョリーは、期待したほど何故か美しくありません。使い過ぎなのでしょうか、タラコ唇が益々大きく見えますし・・・。
結末は安易といえば安易。でも、あれで少しは救われるかも・・・。
それにしてもラストにチョイ出の日本人、もう少し何とかなりませんかね。本作の原題は「Original Sin」。ハリウッド映画に出る日本人をいつもあんな風にしか表現できないのは、原罪だと思うのですが・・・。(-.-)
(DVD)
2002.04.14 ブラックホーク・ダウン ★★★★☆
- 第74回アカデミー賞で、編集賞と録音賞のオスカーを獲得した最新話題作。う〜む、リドリー・スコットは昨年に続いて本作品でも最優秀監督賞を逃し、涙を呑みました・・・。
93年10月に実際に起きたソマリア内戦に介入したアメリカの強襲作戦を描いた作品。米軍の攻撃用ヘリコプターである「ブラックホーク」が撃ち落とされ(ダウン)てしまったことから、地上にいた兵士を含む米国側部隊約100人が孤立を余儀なくされて、ソマリアの民兵と血みどろの銃撃戦を行ったというもの。
ここでは「パール・ハーバー」のようなラブ・ロマンスも無ければ、「スターリングラード」のような敵味方の知恵比べも(もちろん、防空壕での濡れ場も)無ければ、「プライベート・ライアン」のようなヒューマン・ドラマもありません。ただ歴史の一場面を忠実に切り取って見せただけ、という感じです。2時間25分の上映時間で、約2時間は壮絶な戦闘シーン。コントラストが強くざらついた映像が、如何にもドキュメンタリー風です。
- しかし殆ど全編米国側の視点で描き切ってあって、米国万歳的になっているのは致し方ないところ。だからといってこの手の映画によくありがちな、相手方の状況が描かれていないのは不公平だなどという批判は、御門違いというものです。敵側捕虜に、「ソマリア人同士の戦いなのだから、米国が余計な手出しをするな」などと語らせて、チラと自己批判もしているではありませんか。
一応ジョシュ・ハートネットが主人公となっているのですが、とにかく戦闘が始まったら誰が誰やら判らなくなります。ユアン・マクレガーなどは、途中でどこにいるのか全く判らなくなったりする始末。ただトム・サイズモアだけは、いつも不自然に落ち着いていたので、区別がつきましたが・・・。
銃撃シーンの臨場感は、「プライベート・ライアン」の方が勝っていたと思います。あちらは容赦なく多数の米兵が撃ち殺されるのに対し、本作はソマリア人に比べてなかなか米兵に銃弾が当たらず(?)、やや非現実的に見えたからかも知れません。まあ実際、死者は米兵18人に対し、ソマリア人は1,000人ということなのですが・・・。
戦闘シーンのリアルさに比べると、この作戦の目的である敵方最高幹部の二人の拉致が成功したのかどうか、捕虜になったブラックホークのパイロットがどのような経緯で釈放されたのかなどが、描かれていないのがやや不満。ま、歴史を勉強せよ、ということなのかも知れませんが・・・。(^_^;)
いずれにしても1,800円を投資して、劇場の大スクリーンで見るに十分値する作品。それにしてもあのロケをどうやって敢行したのか・・・。うん、やはりリドリーにオスカーをあげるべきでした。(^_^)
(劇場)
2002.04.08 ソードフィッシュ ★★★★
- 「ミスディレクション」(わざと欺くこと)を売り物にしたクライム・サスペンス作品。「マトリックス」と同じプロデューサーが更に大掛かりなフローモーション撮影を採用したことから、『「マトリックス」を凌ぐ』などとも形容されました。また、内容が内容だけに昨年のテロ以降であれば、米国では完全にオクラか公開延期になっていた作品でしょう。
冒頭、話題のシーンのツカミがあって、時間がそれから4日前にさかのぼります。元天才ハッカーの主人公(ヒュー・ジャックマン)があることを企むグループの首謀者(ジョン・トラボルタ)に、親権を争っている娘を取り戻すことを条件に渋々雇われるところから、ストーリーが始まります。
冒頭の600台ものスチル・カメラを駆使して撮影した爆発シーンは、流石に見応えあり。劇場ではさぞかし大迫力だったことでしょう。ただし「マトリックス」に匹敵するVFXはこのシーンのみ。後は首謀者の真意は何かといった謎解きや、タイムリミットの厳しいハッキングの成否、バスの宙吊りシーンなどが興味の的となります。もちろん、大小の「ミスディレクション」もありますが、昨今の作品の中では、敢えて宣伝するほどのものでもありますまい。
「X−メン」で狼男を演じたヒュー・ジャックマンが、中々良い男に仕上がっているのにビックリ。もっと注目されてよい俳優ですね。トラボルタ、信念の男を自信をもって演じている様子がアリアリ。車の屋根から体を出しての二挺拳銃も絵になっています。
後は、謎めいたグループ側の女を演じているハル・ベリーに注目。第74回アカデミー賞で主演女優賞のオスカーを手にした彼女は、大胆にもトップレスや際どい下着姿になっての熱演です(オスカーを貰った後だったら、脱いだかな?)。
DVDの特典映像には、本編と異なるエンディングが二つ収録されていて、それぞれの趣旨を監督が解説をしています。
なお★の数が多少甘めなのは、私がこのDVDを購入したことと、オスカー女優のヌードに敬意を表してのことであります。(^_^;)
(DVD)
2002.04.06 ブリジット・ジョーンズの日記 ★★☆
- 世界23カ国で翻訳、500万人以上の女性を夢中にさせたというベスト・セラー小説の映画化。何でもロンドンでは「とってもブリジッド的(very Bridget Jonesy)」などという言葉が流行になっているのだそうな・・・。
32才で独身の主人公(レニー・ゼルウィガー)が、良くも悪くも等身大で描かれていて、それが同年代や同じ境遇の女性の共感を呼んだ、ということのようです。確かに「うん、そういうこと、あるだろうな」というふうに思う部分もありましたが、私のようなオッサンにとってはそれ以上の共感は得られませんでした(当たり前か)。ま、下ネタが多いのは良いとしても・・・。(^_^;)
この役のために6キロ体重増やすなどの努力が認められて、第74回アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたレニーは、この度の授賞式模様で見るかぎり、体重も元に戻してまるで別人のような美形ぶりです。基本的にこのようなハリウッドの美人女優が、ドジでオッチョコチョイで、デカパン穿いて恋人に恵まれない主人公を演じているわけですし、しかも最後には結局ハッピー・エンドになるわけですし・・・。真冬に下着姿で表に出てしまう、そんな主人公に世の女性はホントに共感できるものなのでしょうか?
相手役のヒュー・グラント、段々顏も崩れてきていて役柄にピッタリです。もう一人のコリン・ファース、地味過ぎ・・・。父親役のジム・ブロードベントは、この度のアカデミー賞で助演男優賞(「Iris」)のオスカーを獲得しました。流石に巧い俳優です。
この映画は劇場公開時、R-15指定だったとのこと。何故でしょう?・・・まさか、レニーの大きなお尻のどアップ・シーンではありますまい?(^o^)
(DVD)
2002.03.25 蝶の舌 ★★★★
- 「衝撃のラスト」、「必ず泣ける」というフレコミで、単館公開ながらロング・ヒットしたスペイン映画。スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞で13部門にノミネートされた作品です。
1936年のスペイン内戦の直前の時代、主人公の8才の少年(マヌエル・ロサノ)の眼を通して見た大人の世界の現実と、内乱を背景とした人間のひ弱さと醜さ、彼の恩師(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)に対する素直な心情を表したヒューマン・ドラマ。
蝶には蜜を吸うためのグルグル巻の舌があることや、「ティロノリンコ」というメスに花を贈る鳥が存在することなどを教える心優しい先生のエピソード、サックスを恋する女性のために吹く少年の兄のエピソード、少年の父の隠し子である女性のエピソードなど、いくつかの小ストーリーが展開されます。それらは同一原作者の三つの短編をまとめたということもあり、必ずしも前後の脈絡はあるわけではありませんが、全て少年の眼を通すということで定まった視点で語られることになります。
終盤、内乱勃発のために少年がある重大な選択を迫られる、というのがこの映画の最大にして唯一のクライマックス。ただし、監督のホセ・ルイス・クエルダは、それを淡々と描き切ります。例えば、ラストで二つの重要な言葉を叫ぶ少年の目に涙が浮かんでいたら・・・、その言葉を聞いた老先生が笑顔でうなずき返していたら・・・、さぞかし見る者の心は晴れ晴れしたことと思います。しかしながら本作品は、そのような安っぽいセンチメンタリズムをバッサリ排して、クールにそのシーンを描き切っているところが、何ともムムムです(意味不明)。(^_^;)
主人公のマヌエル・ロサノはこの作品のために2,500人の中から選ばれたとのこと。う〜ん、ヘタウマですね。老先生役のフェルナンド、見れば見るほど、大滝修治に酷似しています。ただし、演技力は雲泥の差がありますが・・・(もちろん、フェルナンドが上)。
映像はヨーロッパ映画としては比較的綺麗ですし、物悲しいテーマ音楽と相まって、「衝撃のラスト」では間違いなく泣かせてくれること、請け合いです。(T_T)
(ビデオ)
2002.03.24 ロード・オブ・ザ・リング ★★★★★
- 映像化は不可能と云われていたファンタジー大作の映画化。ま、監督のピーター・ジャクソンの努力もあったのでしょうが、結局CG技術の恩恵が大きかったのでしょうね。いずれにしてもあの予告編を見せられて、見たいと思わない映画ファンはいないでしょう。
本作品は今年度アカデミー賞で13部門にノミネートされていますが、ファンタジー作品で作品賞のオスカーに輝いたものはかつてない、という点が興味深いところ。それも間もなく(3月25日)明らかになります。
それにしてもこの作品ほど映画らしい映画は無いのではないでしょうか。明解なストーリー、善と悪、勇気と友情、連続するアクション・シーン、美しい自然とダークなシーンの対比、ダイナミックな俯瞰映像、多彩な登場人物、見るもおぞましいクリーチャーとモンスター、等々のオモシロ要素がてんこ盛り。
オープニングのナレーションによる背景の説明が実に判りやすく、その壮大なスケールの冒頭シーンからグイグイと引き込まれてしまいました。3時間の上映時間があっという間に過ぎ、気が付いたらエンヤの歌うテーマ曲「May
It Be」と共にエンド・ロールが流れていた、という感じ・・・。
「過去を振り返るより、今何をすべきか考えることが大切」という古臭いテーマも説教めかず、説得力をもって聞こえてくるのも不思議です。また、三部作の一作目であることが予め判っていれば、決して不満の残るエンディングではありません。
CGと実写でイメージが違いすぎるクリーチャー、イザというときに自分を助けられない魔法使い(^_^;)、画面が暗すぎて所作がよく判らないCGを駆使した場面、などのツッコミどころもありますが、それらの点を頓着せず、力づくで最後まで押し切ってしまった、という感じではあります。
主人公のイライジャ・ウッドの脅えた青い瞳がとても印象的。彼は「パラサイト」なんかに出ていたのですね。魔法使い役のイアン・マッケランは助演男優賞にノミネート。老体(?)にむち打ったあの熱演にオスカーをあげて・・・。(^_^)
なお、本作品の観賞前には水分は極力摂らないようにすることをお薦めします。終盤、集中力に影響が出始め、我慢できずにエンド・ロールを最後まで見ないで席をたってしまったのは、私でした。(>_<)
(劇場)
2002.03.18 ファイナルファンタジー ★
- 興業成績が振るわず130億円の赤字を出して、製作会社(「スクウェア」)をして映画界から撤退すると云わしめたフルCG映画とは一体どんなものなのでしょう・・・。
冒頭、アキという女性の主人公が登場した途端、あ、これはダメだと思ってしまいました。まるでデパートのマネキン人形が演技をしているようにしか見えないのです。コンピュータで6万本の髪の毛を動かしたとのことですが、どうみても油で固めたような髪の束がユッサ、ユッサと揺れるようにしか私には見えません。
男のキャラが数人登場してからは、懐かしくも「サンダー・バード」(う、古い)を思い出してしまう始末・・・。実際の人間の動作をモーション・キャプチャで取り込んだという割には、巷で見かけるTVゲームの域を脱してないようにしか思われないのですが、いかがでしょう。確かにところどころ実写かと見間違うシーンも無いこともありませんが、薄っぺらな質感しか表現されない多くの部分がそれらを台無しにしてしまっています。
一方、人間のキャラ以外の背景や地球を侵略しようとするファントム(エイリアン)などは、余り違和感なく見れます。「ジュラシック・パーク」などの恐竜がリアルに見えることなどからして、人間以外のものは誤魔化せても、人間の手足の微妙な動き、ましてや繊細な感情表現をする顔の表情などをフルCGで描ききることは、まだまだ不可能だということなのでしょう。
この映画の封切り時に、「やがて我々俳優達はCGに職を奪われるだろう」と語った男優がいたとのことですが、大丈夫、絶対さようなことはありません。私が保証します(って、私が保証してもしょうがないけど・・・)。
157億円の製作費をかけるなら、アキにどこか似ているウィナノ・ライダー(あ、留置所か)や男のキャラにそっくりなベン・アフレック、シド博士(これは比較的良く出来ている)の声を担当したドナルド・サザーランド本人など、その他メジャーな俳優を山ほど使って実写版を作れば良かったのです。
では、ストーリーの方は・・・? 映像が気になって集中出来ず、よく判りませんでした。(^o^)
(DVD)
2002.03.17 スコア ★★★☆
- 何とも豪華にロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、マーロン・ブランドの新旧名優をキャストにしたフランク・オズの監督作品。オズはS.W.のヨーダなどを操る人形師でもあるのだそうな。タイトル(The
Score)はここでは「ヤマ」というような意味とのこと。
足を洗おうとしている金庫破りの主人公(デ・ニーロ)が、恩ある手配師(ブランド)から頼まれ、うさん臭い男(ノートン)を相棒にして、いやいや大きなヤマに取りかかるというクライム・サスペンスです。新鮮さは余りないのですが、このような「金庫破り」という定番プロットの作品は安心して見ることが出来ますね。ただ、昨今のハイ・テンポな作品が多い中ではいかにもユックリとした展開で、中盤まではややだらけ気味。ま、これはこれで良いのかも知れませんが・・・。
この手のものでは、如何に厳重な警備をかい潜るか、そのテクニックが興味の的になりますが、目新しさは一切無し。デ・ニーロの年甲斐もない力仕事(中高年版「ミッション・インポシブル」)であったり、今どき珍しいローテク(単に映像を切ったらヤバイと思うけど)であったり・・・。ラストのオチはご都合主義のタマモノ・・・(少しでも身軽にしなければならないはずなのに)。
3人の中で、何と云っても光っていたのがエドワード・ノートン。彼の最初の登場シーンは強烈なインパクトがあります。ダスティ・ホフマンのあの手の演技と向こうを張っているな。
ここでのデ・ニーロの演技は、いつものようなオーバー・アクトがなく好感が持てます。それにしてもマーロン・ブランド、相当醜悪に肥満しているけど、大丈夫?
カサンドラ・ウィルソンやモーズ・アリソンの演奏シーンがチョッピリあって、ジャズ・ファンは儲けた気になります。(^_^)
(ビデオ)
2002.03.11 レクイエム・フォー・ドリーム ★★★★☆
- ドラッグで破滅していく4人を描いた重いテーマの映画ということで、余り食指が動かなかったのですが、見てみてかなりの衝撃を受けてしまいました。単なる麻薬撲滅映画でも、ましてやホラー映画でもありません。とにかくその内容も映像もそしてサウンドも、胸の奥底にビンビン伝わって来て、自己の人生での夢や望みとは何かを否が応でも考えさせられてしまうのでした(大袈裟だぞ>TT)。
「π」(98年、私は未見)で注目を浴びたダーレン・アロノフスキーの監督作品。主演のエレン・バースティンは73回アカデミー賞の主演女優賞でオスカーを逃しましたが、ここでの彼女の鬼気迫る演技を見ると、ジュリロバではなく彼女が受賞するべきでした。
タイトルの「for」は「four」にもかけられていて(多分)、ダイエットのために薬物中毒になる初老の母親役のエレン、その息子役で麻薬に溺れるジャレッド・レト、その友達のマーロン・ウェイアンズ、息子の恋人役のジェニファー・コネリーの、4人の夢と破滅が描かれます。何とジェニファーは、麻薬欲しさに性を売るという汚れ役なのだ(ヘア・ヌードもあります(^_^;))・・・。
ドラッグを打つ場面が定型化されるなど、スピーディでスタイリッシュな映像が新鮮です。加えて誰もが止めることの出来ないような、奈落への落下感覚と絶望感を味わうことができます(^_^;)。
母親役のエレンが息子に自分の切ない心情を吐露する場面では、その名演技と相まって図らずも私は泣かされてしまいました。加齢とともに最近では、映画を観て落涙するなどということは滅多になかったのですが・・・。
落ちるところまで落ちた4人が、最後に等しくベッドでまるで胎児のように体を丸めるそれぞれのシーンで、何故か安らぎを感じてしまうのが不思議でした。
未見のお方は体調が良い時、出来れば日曜の夕方を避けてご覧下さい。(^o^)
(DVD)
2002.03.10 サベイランス/監視 ★★★☆
- 「スライディング・ドア」のピーター・ホーウィットの監督作品。B級然とはしていますが、これでも立派な劇場公開映画です。
ガレージでソフト開発を行っていた若手プログラマーである主人公(ライアン・フィリップ)と、画期的な通信システムで全世界を制覇しようと企む大手コンピュータ会社の社長(ティム・ロビンス)との攻防を描いたサスペンスです。
- ソフトウェアのソース・コードを公開しないで独占を目論む大会社と、それはアンフェアで技術や知識は全ての人間のものと主張する若手プログラマーの対決がテーマ。誰がどう見てもマイクロソフト社を揶揄しているのは明らかです。おまけにティム扮するカリスマ的社長が、ビル・ゲイツそっくりなので笑ってしまいます。
そこそこ退屈はしないサスペンス仕立てにはなっているのですが、どうも現実離れしたウソっぽい設定であるのが気になります。既に成功した頭脳明晰なビジネスマンが、あそこまでやるか・・・?いくらビル・ゲイツでもあのような危ない橋は渡りますまい(でもないかな?(^_^;))。
サン・マイクロシステムズ社が技術的な監修を行ったとのことで、IPアドレスといった類いの専門用語が幾つか出てはきますが、比較的分かりやすい設定になっていると思います。ただその割には、パソコンの使用履歴で不正使用がすぐ分かってしまうことや、バック・アップでソフト・コピーがすぐバレルてしまうことに触れられてないなど、細かいツメがなされていません。
デジタル・アニメ風美女のレイチェル・リー・クックや、美形でも適度に顏下半分のバランスが崩れているクレア・フォラーニが脇で華を添えています。
ティム扮するビル・ゲイツもどきが開発を企んだのは、複数の通信衛星を用いて全世界のすべての電子ワイヤレス機器を通信させるというグローバル・コミュニケーション・システム。ふむ、彼が焦らなくとも実現するのは近いでしょうね(?)。(^o^)
(ビデオ)
2002.03.04 裏切り者 ★★☆
- 濃い化粧のシャーリーズ・セロンが目を引く、いかにもハラハラ・ドキドキ展開のサスペンス風のビデオ・パッケージですが、そのような期待をすると肩透かしを喰ってしまいます。これは実話を基にした、重くて暗い社会派ドラマなのです。
原題の「The Yards」とは、この映画の背景となる地下鉄の操車場のこと。地下鉄公共事業の汚職事件や殺人事件に巻き込まれる主人公(マーク・ウォルバーグ)やそれに絡む人間達の葛藤を描いた作品です。
私が見終えてやり切れない気持ちになってしまったのは、「地獄の沙汰も金次第」であることを再確認したからではなく、主人公の取る行動に全く共鳴出来なかったから・・・。母親や親戚思いであっても、余りにも行動が軽率で考え無し。あれではあのように追い詰められも同情の余地はありません。終盤の行動も単に正義に目覚めたとは思われず、まさに「裏切り者」そのものです。
事実に基づきリアルな描写を追ったということなのかも知れませんが、母親と主人公の関係以外にもう少し救いが無いと見ていてツライ・・・。
印象的だったのは、取っ組み合いシーン。主人公らの真剣さが伝わってくるリアルさに驚きです(日本のTVドラマなんか、もっと見習ったら・・・)。
キャストは超豪華。ホアキン・フェニックス、シャーリーズ・セロン、ジェームズ・カーン、フェイ・ダナウェイ、エレン・バースティンという布陣です。ウォルバーグは相変わらず淡々とした演技で、これが彼の持ち味ということでしょうか。それに引き替え、フェニックスはダークな感じの本領発揮で、彼は本作品他でいくつかの賞を受賞しています。
それにしてもセロンはどうしてあのようなド派手なパンダ・メイクをするのでしょう?十分綺麗なのに・・・。
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2002.03.03 クローン ★★★★
- 「トータル・リコール」(LDを持っています)や「ブレード・ランナー」(DVDを持っています)などと同じく、フィリップ・K・ディックの原作に基づく近未来SF・サスペンス。原題は「IMPOSTOR」で、「他人の名をかたる人」というような意味。「クローン」などと安っぽい邦題を付けずに、素直に「インポスター」とかにすれば良いものを・・・。(-.-)
時は西暦2079年。兵器開発者である主人公(ゲイリー・シニーズ)が、保安局に捕らえられるところからストーリーが始まります。主人公が妻(マデリーン・ストウ)と家庭でくつろぐ冒頭のシーンは、「トータル・リコール」とそっくり。あちらはシュワちゃんとシャロン・ストーンですから、ケバサでは負けてしまっていますが・・・。
序盤から中盤にかけてのサスペンスあふれる展開、イイですね。前述2作品と似ているなぁと思いながらも大いに引き込まれてしまいました。残念ながら中盤以降の展開に工夫が無く、ややだれ気味。どなたかのように眠りはしませんでしたが・・・。ラストは大方の読みの上を行くオチが付いて、私としては大満足。
最初に何故スキャンしなかったか?、何故代わりに少女が見つかってしまったのか?、等、ご都合主義が目立つのも事実。でも基本的にこの手のSFが大好きで、私のイチオシ男優のシニーズが主演と来れば、★の数が甘めになるのは致し方ありません。(^_^;)
ラストの展開が序盤での前提と異なる(ネタバレ注意:長官と接近していないのに爆発した)ことが取り沙汰されていますが、原作では明解に説明されている(ネタバレ注意:偽物と自覚すると爆発する設定となっていた)のだそうな。
この手のSF作品、もっと無いかな?(^_^)
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2002.02.25 テルミン ★★★★
- 「テルミン(Theremin)」という史上初の電子楽器を発明したロシアの物理学者、レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン博士の半生を綴ったドキュメンタリー映画で、単館上映されたものです。
「テルミン」は奏者が楽器に直接触れるのではなく、振りかざした手により周辺に形成されている電磁場を変化させることによって、発振音の音程や音量をコントロールする楽器で、いわばシンセサイザーの祖ともいうべきもの。古い時代のSF映画やホラー映画などで、ヒョロ〜ロ〜ロ〜ロなどという効果音によく使われているので、聞けばすぐ判ると思います。伐採用の大型ノコギリを楽器として使った時のサウンドに酷似していますね。(^_^;)
この映画は、世にも不思議なこの楽器を発明したテルミン博士の開発秘話にとどまらず、彼の優れた科学者ぶり(やや奇人がかってはいるが)、愛弟子クララ・ロックモアとの恋愛、黒人との結婚、ロシアでのスパイ活動(?)、収容所での強制労働、晩年までの研究活動など、数奇な運命を綴ったもので、観る者を飽きさせません。
「テルミン」の優れた奏者であったクララ、正真正銘のシンセサイザーの開発者であるロバート・モーグ、及びビーチボーイズのB・ウィルソン(大ヒット曲「グッド・バイブレーション」にも使われていたのですね)などの証言は、とても興味深い。テルミン博士自身やクララなどによりカーネギー・ホールでコンサートが行われたり、音楽CDも発売されているようです。
晩年のテルミン博士とクララが半世紀ぶりにN.Yで再開するシーンは、感動的。「ハイ、ここまで。カット!」などとクララが最後に言うのには、彼女の気丈ぶりが表われていて、笑ってしまいましたが・・・。
ただし、この楽器はその完成度という点ではイマイチだと私は思います。クララなどの熟練奏者をもってしても音程が不安定になりがちで、純粋なソロ楽器としては相当ツライものがあります。その形状や発音原理、奏法の奇抜さ以上の音楽性を求めるのは、所詮限界があるように思ったのですが、いかがでしょうか。
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2002.02.24 シャドウ・オブ・ヴァンパイア ★★★
- ニコラス・ケイジが製作し、怪演技ぶりでは両者引けを取らないジョン・マルコビッチとウィレム・デフォーが共演しています。73回アカデミー賞で最優秀メイクアップ賞、最優秀助演男優賞(ウィレム・デフォー)にノミネートされた作品。
今から約80年前に、ドイツの天才監督F.W.ムルナウ(マルコビッチ)が撮った名画「吸血鬼ノスフェラトゥ」。この作品でオルロック伯爵役を演じた俳優マックス・シュレック(デフォー)は、実はホンマモンの吸血鬼だった・・・、というトンデモ映画なのです。
アイディアとしてはありだとは思いますが、予備知識がなくとも初めからデフォー役が吸血鬼であることが分かってしまうので、登場後の展開にサスペンス性が全く無くなってしまっているのが辛い。しかもムルナウがこれ一本で監督生命を終わらせるならともかく、あの結末ではその後も活動を続けていたという現実味が無くなってしまうし・・・。
となると興味は、数々の賞を受賞したデフォーの仰天メイクとその怪演ぶり・・・。いやあ、堪能しました、満足しました。拍手喝采です。この手の映画にありがちなシツコイまでのVFXなどとは無縁というのも、潔くてヨロシイ・・・。
それに引き替え、マルコビッチはいつもの毒々しさが不足しています。ただあのしっかり発音をする独特の話し方は健在。
モルヒネで胸ペロンのヒロインを演ずるのは、何と「娼婦ベロニカ」のキャサリン・マコーマック。どうしてあんなにクタビレテしまったのでしょう・・・?
(ビデオ)
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