1999.08.04 ビッグ・ヒット ★★★
- 制作・総指揮がジョン・ウー、監督がカーク・ウォンのバリバリの香港パワー(?)炸裂映画。これ見よがしの曲芸的アクション・シーンや、わざとらしさが残るギャグ・シーンには好き嫌いが別れるところでしょう。
腕は超一流なのですが、私生活ではお人好しで婚約者や恋人からコケにされている殺し屋が主人公(マーク・ウォールバーグ)です。彼は手柄を狡い同僚(ルー・ダイアモンド・フィリップス)に横取りされても決して怒らないし、レンタルビデオショップの店員から返却をしつこく催促されてもじっと我慢・・・。そんな彼が同僚に誘われて、ある日本人の富豪の娘の誘拐を決行するのですが、何とその誘拐した女子高校生(チャイナ・チャウ)の名付け親は、彼らの怖〜いボスだったのです・・・。
プロとしての完ぺきな腕と私生活の哀れさの対比で主人公に同情を買わせようとしているのでしょうが、どうもイマイチしっくりきません。何となくわざとらしさが鼻につくのですね、これが。その点、ルーが演じる狡猾な同僚は徹底してイヤラシク描かれていて、そういう意味ではこのキャラは正解です。
洋画に日本人が出てくると、どうも陳腐で見ているほうが恥ずかしくなるのは、ここでも同様です。切腹のシーンなどは、殆どおふざけ・・・。
マークを見ていると、どうしても「ブギー・ナイツ」での巨*のイメージがつきまとってしまいます。(^_^;) ルーはネイティブ・アメリカンを演じたシリアスなサイコもの(「ペンタグラム 悪魔の烙印」)で熱演していましたが、こういう役もやれる器用な俳優なんですね。チャイナ・チャウは有名なモデルであるティナ・チャウの娘で、これが映画デビュー第一作とのことですが、とても高校生には見えませんでした・・・。(^_^;)
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1999.07.26 アウト・オブ・サイト ★★
- 銃を使ったりしないクールな銀行強盗の主人公(ジョージ・クルーニー)と、それを追う女性連邦保安官(ジェニファー・ロペス)が恋に落ちてしまうという、ラブ&クライム・サスペンスです。
原作は「ジャッキー・ブラウン」などのエルモア・レナード。混血のセクシー女優を使ったり、銃にこだわったりなど、なんとなく映画の雰囲気が「ジャッキー・ブラウン」に似ています。そればかりでなく、同作品に出演していたマイケル・キートンやサミュエル・L・ジャクソンも最後に出てくる始末で、これは完全に意識していますね。
はっきり言って、話の展開は私には退屈でした。というか、フラッシュ・バックが頻繁に入って、どれが現時点なのかよく判らなくなるのです。特に予告編などでも使われていたバス・ルームのシーンは、いったい現実なのか、主人公の妄想なのか・・・。
最後のオチが救いなのですが、でもあんなことするくらいなら撃たなければいいものを・・・。
ジョージ・クルーニーは、この役ではイヤラシイくらいにセクシーです。すなわち殆どいつも助平面なのですね・・・。(^_^;) ジェニファー・ロペスは「Uターン」などとは違ってかなり知的に見えましたが、相変わらずのナイス・プロポーションでした。
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1999.07.23 スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス ★★★★
- C市の200席足らずの小劇場での最終回の鑑賞。20人そこそこの観客で、楽々見れて嬉しいような寂しいような・・・。
旧3部作から時代が30年さかのぼった設定ですので、凛々しい青年のオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)やまだあどけなさの残る少年のアナキン・スカイウォーカー、すなわち後のダース・ベーダー(ジェイク・ロイド)などが登場します。しかもルークやレイヤ姫の母親になるアミダラ女王(ナタリー・ポートマン)も出てきますので、まるでどこかの家族の古いアルバムか、8ミリフイルムを見ているような、ある種の懐かしさにとらわれます。
映像はもちろん旧作より遥かに高レベル。殆ど違和感なく滑らかな動きのCGは、見事というほかありません。結局このCGの凄さに目が行って、ストーリー展開は興味の外になってしまいます。もっともストーリーは、善と悪が戦うという単純な設定で、無きが如しですが・・・。
最も印象に残ったのは、アナキンが選手として出場するポッド・レース。そのスピード感に溢れ、スリル満点のシーンには、誰もが「ベン・ハー」を想起したことでしょう。その分、動きの少ない場面が少しでも続くと、弛んでしまいます。特に後半は前半に比べてやや盛り上がりに欠けているように思えました。
可愛いアナキン少年を見ていると、どうしても青息吐息でマスクを脱いだダース・ベーダーがちらついてしまいますが、そのイメージの大きな落差に戸惑ったのは私だけではないでしょう。ナタリーの東洋的なコスチュームは私には殆ど悪趣味にしか見えず、折角の彼女の美しさが損なわれているように思えました。
いずれにしても見終えてから、次の「エピソード2」を早く見たいと思わせるのですから、これは大成功なのでしょうね・・・。
(劇場)
1999.07.19 ダイヤルM ★★★★
- リメイク版の宿命で、どうしてもオリジナルと比較され、こき落とされてしまいます。ましてオリジナルがヒッチコックとくれば酷評も仕方ないかも知れません。でも、私にはこれはかなり楽しめました。
事業に失敗して巨額の借金を負いそうになっている主人公(マイケル・ダグラス)が、巨万の富を持ち、かつ若い男と浮気をしている妻(グウィネス・パルトロウ)の遺産目当ての殺害を計画します。しかも殺人を依頼するのは、なんとその妻の浮気相手なのです・・・。
冒頭からラスト寸前まで、サスペンスを持続させる演出はうまいと思います。病的で狡猾なダグラスと、やや単純で一途なパルトロウとの対比が、華麗で瀟洒な舞台背景と相まって、一種独特な雰囲気を醸し出しているのです。
問題は、ラスト。余りにもお決まりすぎて、あっけにとられました。オリジナルの「ダイヤルMを廻せ」からあれだけ大胆にストーリーを変えたのですから、最後はもっとヒネって欲しかったですね。例えば、最後に残る人物が、実はソレを画策していた、とか・・・。(^_^;)
ダグラスは、この役にぴったりハマッています。「危険な情事」、「氷の微笑」、「ディスクロージャ」と同じように、どうも女性に翻弄される役柄が合っているようですね。
パルトロウもこのような薄幸のヒロインは、いつもながらぴったりです。でも「沈黙のジェラシー」などと同様に、それまでひ弱だったのが何故かラストでは俄然強い女になってしまいますが・・・。
なお、原題は「A Perfect Murder」で、内容的にも「ダイヤルM」はなんら意味を成しません。
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1999.07.14 ルル・オン・ザ・ブリッジ ★★
- ハーベイ・カイテル、ミラ・ソルヴィーノ、ウィレム・デフォー、ジーナ・ガーション。どうです、なかなかの配役でしょう?この映画はこういった俳優そのものと、その演技を見る映画です。
監督は、同じくハーベイ・カイテルが起用された「スモーク」で注目された、ポール・オースター。
ストーリーは、現実的でオーソドックスなラブ・ストーリーと、非現実的で不可思議な物語が並行します。いったいあの物体は何なんで、あの主人公を狙うグループの目的は何なんだろう?と最後まで奇妙な感覚が持続する映画なのです。そしてそれは最後にあっけなくあかされてしまいます。あらら、やられた、という感じ。
この手の手法は、「ディアボロス」などと同趣ですが、あちらと違ってこちらは必ずしも後味は良くありません。得体の知れない切なさが残ります。
カイテルはジャズ・ミュージシャン(アルト・サックス奏者)役で、短い演奏シーンなのですがけっこう様になっていました。サックスの指使いは当然写されませんでしたが。ミラはやっぱり魅力的。ジーナの特徴的な口元は、相変わらずでした・・・。
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1999.07.12 デッド・ゾーン ★★★★
- 旧作ですが、数多くあるスティーブン・キング原作の映画化作品のうちで、ベストの呼び声が高いSFサスペンスです。監督も「ザ・フライ」などのデイビッド・クローネンバーグで、アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭で3部門を受賞しました。
以前から見たいと思っていた作品で、転居先のビデオ・ショップでようやく手にすることができました。(^_^)
瀕死の重傷を負った交通事故をきっかけに、特殊な予知能力を備えた主人公(クリストファー・ウォーケン)が、大統領候補者と接触していくうちにその男の恐るべき将来の行動を予知してしまいます。そして主人公がそれを阻止するために、ある行動をとろうとするのですが・・・。
交通事故をきっかけに特殊な能力を身に付けるという、いかにもB級然とした設定で、前半はややだらけてしまいましたが、大統領候補者が登場する中盤以降、俄然見応えが出てきました。主人公のかなわぬ恋も絡ませて、最後は泣かせてくれます。
冷酷で狂気じみた役をやらせたらこの人の右に出る者はいないというクリストファー・ウォーケン(ハリウッドの平幹二郎という感じ(^o^))が、ここでもサイコ的で非運な主人公をうまく演じています。私は余りこの人は好きでないのですが、今回はかなり感情移入してしまいました。
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1999.06.24 6デイズ/7ナイツ ★★★
- 大統領(「エア・フォース・ワン」)から一転して風采の上がらぬ酔いどれパイロットになったハリソン・フォードと、「ボルケーノ」や「ワグ・ザ・ドッグ」のアン・ヘッシュの共演作。冒険ラブ・コメとでもいうのでしょうか。
婚約者とバカンスで南の楽園マカテア島へ来たヘッシュが、急なビジネスでタヒチに行かざるを得なくなります。ヘッシュは、小型飛行機のパイロットであるフォードに頼み込んで、タヒチに飛び立つのですが、凄い暴風雨に遭遇し、そして・・・。というわけで、不時着した孤島での二人の6泊7日を描いたものです。
予告編などからだいたいのストーリーは想像できますし、実際に見てもそれ以上でもありませんし、それ以下でもありません。ご都合主義があちこちに出てきますし、無理やり出現させた海賊がらみも平凡。
でも、こういう映画はストレスがたまっている時などに、何も考えずにボーッと見るのに向いています。なにせ、難しいストーリー展開などは皆無ですから、ただただ二人のドタバタを楽しめば良いのです。ラストもミエミエでしたが、まあ、あれしかないでしょうね。
フォードはなんと56歳。さすがに老けました・・・。この映画でのもう一つの話題は、ヘッシュのお胸のシースルー。「恋愛小説家」でのヘレン・ハントも評判になりましたが、こちらの方がマサッていました・・・。(^_^;)
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1999.06.21 ワン・ナイト・スタンド ★★
- 好評だった「リービング・ラスベガス」のマイク・フィギス監督による、大人の恋と死をテーマにした作品。
ロスに住む主人公(ウェズリー・スナイプス)は、出張でニューヨークを訪れ、またHIVに感染したかつての親友(ロバート・ダウニー・ジュニア)を見舞うのですが、その際一人の女性(ナスターシャ・キンスキー)と運命的な出会い(都合のいい言葉ですね)をして、一夜を共にします。一年後、様態が悪化した友人を見舞うため、再度ニューヨークを訪れた主人公が、友人の病室で見たのは、なんと・・・。
場面の暗転を頻繁に繰り返して、時間の経過や状況の変化を描写しています。美しい音楽にも助けられて、見方によってはスタイリッシュな映像ということなのかも知れませんが、ああ頻繁ですとややうっとうしくも感じます。一目惚れによる不倫と、エイズ感染による死を同時並行的に描いているのですが、あまり両者を結びつける必然性も乏しく、唯一意味のある、ある出来事もやや取って付けたかのような感じが免れません。
極め付けは、ラスト。あれでは、ギャグそのもの。一気にこの作品を薄っぺらなモノにしてしまいました。
スナイプスが、こういう役柄に適任かどうかは、議論が分かれるところでしょう。デンゼル・ワシントンあたりが良かったように思いますが、愛妻家(恐妻家?)の彼は映画でのセックス・シーンは拒否するとのことなので、やっぱり駄目ですね。mimiさんもキンスキーの年齢を気にされていましたが、彼女はなんと39歳なんだそうな!アンビリバボです。
二人のベッド・シーンに、ふん、こんなものか、と思ったあなた。その次のシーンでは、ボリュームを控えめにしないと、近所迷惑になりますよ・・・。(^_^;)
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1999.06.18 FACE ★★★★★
- 「フルモンティ」で大ブレイクしたロバート・カーライル主演のクライム映画。監督は女性のアントニア・バード。
主人公率いる犯罪グループが現金強奪を計画し実行しますが、思った程の金額を手にすることが出来なかったばかりか、仲間の誰かの裏切りでそのお金が次々に盗まれ、仲間も殺されてしまいます。主人公はその裏切り者を突き止め、お金を取り戻そうとするのですが、事態はどんどん悪い方へ・・・。
イギリス映画独特の重いムードが全編漂い、女性監督とは思えないほどの骨太で重厚な仕上がりとなっています(これ、差別発言ではありませんよね)。一方で各エピソードに時間をかけた丁寧な描写は、女性監督ならではでしょうか。特に中盤から終盤にかけて、俄然見応えが出てきます。
少々トロイ相棒の若者をいたわり、古くから知り合いの老夫婦を大切にし、政治運動を行っている恋人に想いを馳せる主人公の、何とかして事態の収拾に努めようとする涙ぐましい姿に、同情を禁じえません。すっかり主人公に感情移入してしまい、最後にはウルウル。(T_T)
この手の犯罪もので事態がどんどん悪くなっていくストーリーは、ベストセラー小説の「シンプル・プラン」(こちらも映画化されるとのこと)を彷彿とさせます。
ロバート・カーライルが、さすがに素晴らしい演技をしています。母親にお金の無心をする表情の情けないこと・・・。
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1999.06.14 恋に落ちたシェイクスピア ★★★★
- アカデミー賞13部門にノミネートされ、作品賞、主演女優賞など7部門を受賞した超話題作。
遅ればせながらの劇場鑑賞でした。土曜日の最終回でしたが、お客の入りは6割位。そろそろ受賞熱も冷めてきたのでしょうか。
舞台劇の筆が遅々として進まないシェイクスピア(ジョゼフ・ファインズ)が、ヒロインのヴァイオラ(グウィネス・パルトロウ)と運命的な出会いをして恋に落ちます。それがきっかけとなって創作意欲が湧き、「ロメオとジュリエット」のプロットを思いつきます。そして幾多の困難を乗り越え、舞台劇を完成させるところまでを描いた作品です。
ヴァイオラ(架空の人物とのこと)との恋を単なる恋愛物語とせずに、実際の恋と舞台劇の同時進行として見せたのは、素晴らしい手法だと思います。いくつかの伏線が後半で生きて、中盤以降の盛り上げ方が巧みです。例のシェイクスピア独特のもったいをつけたセリフ回しがどんどん出てきて、楽しませて(?)もくれますし・・・。
以前この邦題を見たとき、一般的には「恋するシェイクスピア」とするのが普通じゃないかな、と思っていたのでしたが、映画を見終わって納得しました。シェイクスピアは妻子持ちでしたし、身分の違うヴァイオラとの関係を考えると、このタイトルで正解です。
オスカーを受賞したパルトロウが、やはり素晴らしい出来です。今までの出演映画と違って表情がとても豊か。意外と胸が大きいのも判りましたし・・・。(^_^;)
ジョゼフ・ファインズは、「イングリッシュ・ペイシャント」のレイフ・ファインズの弟ですが、兄よりいい俳優かも知れませんね。
- 何と言ってもこの映画の私のイチ押しキャラは、エリザベス女王役のジュディ・デンチ。役柄に完全にハマリきっていた彼女は、わずか7分間の出演で、見事助演女優賞のオスカーを獲得したのでした。
恋が成就せずに(ゴメン、ネタバレです)、「十二夜」(ヒロインは「ヴァイオラ」)への創作につなげていくラストが秀逸です。
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1999.06.08 トゥルーマン・ショー ★★★
- 生まれたときから30年間ノンストップで、一日24時間の行動をテレビ放送され続けた男の「悲劇」をコメディ・タッチで描いた作品。
何せ本人以外は周りの住人はおろか、妻や母親まですべて俳優、もしくはエキストラで、舞台は他のエリアから隔離された巨大なセットの島なのです。ある時本人は自分の周りの不可思議な状況から、自分の置かれている立場に気づき始め、そこからの脱出を図ろうとするのですが・・・。
周りの俳優が、何の脈絡もなくスポンサーの商品を無理やり誇示したり、日本人家族を含めた全世界の熱狂的なファンの、主人公の言動に対する一喜一憂など、徹底したコメディ・タッチで色付けしているのですが、私はどうも真から笑うことは出来ませんでした。考えてもみて下さい。寝ているときも、食事をしているときも、用をたしているときも、***をしているときも、ぜ〜んぶ世界中のお茶の間で見られている、男の立場を・・・。(-_-;)
結末も私にはイマイチ納得がいきませんでした。彼の心情と次のアクションを、もっと描ききって欲しかったと思います。
主人公役のジム・キャリーはいつものようなオーバー・アクションではなく、彼としては終始抑えた演技で好感が持てました。前回のアカデミー賞授賞式のプレゼンテータとして登場した彼が、「何で俺が賞を貰えないんだ?!」と泣き崩れた(もちろん、ジョークで)ことも、さもありなんと思わせる出来でした。
この番組に精魂込めるプロデューサー役のエド・ハリスが、素晴らしい演技をしています。でも、彼には常時ベレー帽を被っていて欲しかったけど・・・。
それにしても気になるのは、妻役の女優さん。見られていると承知で、夜も・・・?。(^_^;)(^_^;)(^_^;)
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1999.06.04 ヴァンパイア/最期の聖戦 ★★★
「遊星からの物体X」など、度肝を抜く恐怖映像が売り物のジョン・カーペンターの監督作品。
現在でも生き続けているヴァンパイアと、バチカンの命を受けてそれらを退治するスレイヤー(始末人)との攻防を描いたサスペンス・ホラーです。
ここに出てくるヴァンパイアは、とてもユニーク。昼間は棺桶に入っていたりせずに、地面にそのまま埋まっているのです。ですから出てくるときは、顔はもとより全身土まみれ・・・(俳優さんも大変です)。しかも全員同じ方向を向いてしばらくポーズをとってくれるという、大サービスぶりです(^o^)。退治には十字架やニンニクや聖水は役に立ちません。殺すためには、ワイヤの付いた銛(モリ)を体に打ち込み、ウィンチでワイヤを巻いて(!)屋内から表へ引きずり出して太陽光に当てるのです。そうすると体が発火して物凄い勢いで燃え尽きてしまいます。
ストーリーは単純明解ですし、西部劇を意識したという映像はとてもスタイリッシュ。売り物のSFXは、序盤のヴァンパイアのボスが人間を襲うシーンなどでは、まるで人間版ターミネーター2という感じで、目を見張らさせますが、その他のシーンでは意外と地味でしたね。また、快調にとばす前半から中盤に比べると、後半がややだれ気味で、特にラストが盛り上がらなかったのが残念です。もう少し最後は引っ張ってもらいたかった・・・。
スレイヤーのボスを演じているのは、ジェームズ・ウッズ。その相棒はボールドウィン4兄弟の次男、ダニエル・ボールドウィン。貴公子のような(?)ヴァンパイアのボスは、トーマス・イアン・グリフィスで、この人は役にハマリきっていました。
そのボスに噛まれてヴァンパイアと化す、娼婦役の青白い顔をどこかで見たことがあると思っていたら、「ツイン・ピークス」で美しい死体を演じた(?)シェリル・リーでした。
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1999.06.02 X−ファイル ザ・ムービー ★★
- テレビ・シリーズのXファイルが始まった頃は、実在のUFO現象や超常現象を元ネタにしていてそれなりのリアリティがありましたし、モルダーとスカーリーのキャラクタやテーマ音楽の魅力もあって、大変興味深く見ていました。ところが回を重ねるごとに次第にその内容が荒唐無稽の領域に入り込み、余りにも大ボラ話的な内容での展開になってしまったので、私としてはその後は殆ど見ることを止めていたのでした。
そして、今回の劇場版。確かにスケールは大きくなったし、お金もかけているようですが、その荒唐無稽さは益々度を増しているように思います。誰もが突っ込みを入れている「何で急に南極なんだ?」とか、証拠を抹殺するためにわざわざビルを爆破するか?とか・・・。ストーリーの展開も私にとっては難解で、政府側と地球外生命体との関わりなど、細部の説明が不足していたように思います。原始人や地球外生命体の造形がチープだったのもいただけません。唯一迫力があった南極の氷の大地の陥没シーンと比べて、いかにもアンバランス。意味のよく分からないトウモロコシ畑では、「フィールド・オブ・ドリームス」を思い出しました。トウモロコシ畑は、何か神秘的な要素があるのでしょうか?
モルダー(デイビッド・ドゥカブニー)とスカーリー(ジリアン・アンダーソン)の魅力は相変わらずです。聞きなれた風間杜夫の声もいいのですが、肉声もやっぱりいいですね。今回はキス寸前までの描写もあったのですが、製作者はどうしても二人を決定的な仲にしたくないらしい・・・。まあ、それがファンを引きつける手なのかな・・・。
あと、あの特徴的なテーマ音楽が使われていなかったのも残念。
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1999.05.29 レッド・コーナー 北京のふたり ★★★★
- リチャード・ギア、久々の主演映画。ギア様としては「ジャッカル」でブルース・ウィリスと共演したのですが、余り評判がよろしくなかったのでこれで巻き返しを図った、ということなのでしょうか。
北京でエンターテインメント分野のプロモータをしている米国人の主人公(ギア)が、ある中国人女性と一夜を共にした翌朝、その女性の殺人容疑で逮捕されます。彼は否認しますが、制度が大きく異なる中国では死刑が免れない状況に陥ります。そこに中国人の女性弁護士が現れ、最初は罪を認めたほうが刑が軽くなることを主張するのですが、次第に事件の真相が明らかになるにつれ、身を捨てて彼の弁護に務めていきます・・・。
逮捕の直後から、言葉の壁や刑法の制度の違いにうろたえる主人公に、同情を禁じえない、寒々とした気持ちにさせられます。本作は、アメリカでは在米中国人の間で公開中止の運動が起こったということですが、ギア様曰く、この映画はまだまだ本物の中国に比べたら手ぬるい描写になっているとのこと。実際はもっと、「***」なんでしょうね、きっと。(***は検閲が入ったため伏せ字です(^_^;))
私生活でもチベットと中国問題に首を突っ込んでいるギア様は、再三の申請にも関わらず中国への入国を許可されないため、ハリウッドに巨大な北京の街のオープン・セットを作って(!)撮影したのだそうです。また、女性弁護士役のバイ・リンは中国政府に逆らう役柄を演じたということで、永久に中国への帰国を禁じられる可能性があるとのこと。あな恐ろしや・・・。(>_<) 映画の中でも、ラストの彼女の身の処し方には、泣かされます。
本作は、犯人探しの謎解きの部分はともかくとして、法廷物としては中々サスペンスに富む作りになっていると思いますが、むしろ上述のような映画の周辺事情の方が興味深い、というのも皮肉な話です。
中国では死刑判決が下りると、1週間以内に銃殺刑が執行されかつその銃弾の代金が遺族に請求される、ということを聞かされたギア様のポカンとした顔が、可笑しくも哀れでありました・・・。
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1999.05.25 沈黙の陰謀 ★
- スティーブン・セガールの「沈黙」シリーズには、なにやかにやと文句を付けているのに、新作が出ると懲りずに見てしまう私でした・・・。そして結局、見たことを後悔するのです・・・。
相変わらず自然に優しく、悪者にはめっぽう強いセガールの監督、主演作品で、なんと今回は細菌科学のお医者さんに扮します。
愛国者を名乗るテロリストが致死性のウィルスをばらまき、付近の住民が次々に倒れていきますが、なんとテロリスト・グループ自身も感染してしまいます。ところが、セガール扮する細菌医学の専門家とその家族は何故か感染を免れることから、テロリスト・グループから抗体を採取するために狙われてしまいます。その追及をかわしながら、抗ウィルスを発見して住民を救おうとするセガールですが・・・。
状況設定としては、ダスティ・ホフマンの「アウト・ブレイク」にそっくり。しかし、至るところでストーリーの破綻が目立ってしまい、興味をそがれてしまいます。例えば、テロリスト・グループは何故抗体を持つ少女をもっと真剣に追わないのか、とか、主人公の実家での敵の襲撃を何故もっと警戒しなかったのか、など。そして揚げ句の果てに抗ウィルスを持つものが、「あんな」ものだとは・・・。ちょっと観客をバカにしていませんかね、セガールさん。(-.-)
余りにもあきれ返ってしまって、セガールの実の娘である藤谷文子がゲスト出演していたということですが、見逃してしまいました。
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1999.05.23 ダークシティ ★★★★
- 暗黒の街の風景に「バットマン」の「ゴッサム・シティ」を思い出してしまいましたが、この映画は「クロウ/飛翔伝説」と同じアレックス・プロヤスの監督作品。
異邦人(ストレンジャー)が、人間の記憶をコントロールして地球を征服しようとたくらむSFスリラーです。記憶のコントロールという点では、シュワちゃんの「トータル・リコール」と同じテーマですが、こちらの方が遥かに映像も、話の展開も暗い・・・。
- ストーリーも、宇宙の外敵の侵略を防ぎ、神のごとく世界を創造し直していくという荘厳なスペース・オペラと見るか、それとも奇想天外で荒唐無稽なオオボラ話と見るかは、人によって分かれるところでしょう。クライマックスの超能力合戦も、展開の必然と納得するか、幼稚なお子様風シーンとバカにするか・・・。
映像のSFXはかなりのものです。きめ細かさにはやや欠けるかも知れませんが、街が縦横無尽に変化していく様や、終盤の街(世界)全体の俯瞰映像には驚かされます。
ラブ・ストーリーも絡ませ、ラストに一気にカタルシスに導いていく手法もうまいと思います。
主人公は(余り有名でない)ルーファス・シーウェルで、やや個性に欠けていますが、その脇を、ウィリアム・ハート、キーファー・サザーランド、リチャード・オブライエンなど、ベテラン陣が固めています。特に、サザーランドは怪しい科学者役を好演。この人は器用な人ですね。ヒロイン役のジェニファー・コネリー(例のLUX、SUPER RICHのお姉さん)も、演技はともかく美しさは相変わらずでした。
(ビデオ)
1999.05.17 ハーフ・ア・チャンス ★★
- 映画の宣伝文句によれば、「今世紀最後の、夢のキャスティングがついに実現!」ということで、あのジャン・ポール・ベルモントとアラン・ドロンが、「ボルサリーノ」以来28年ぶりに共演したフランス映画です。
車泥棒で服役していた若い女性が、母親からの遺言テープで父親の可能性のある男性が二人いることを知らされ、どちらが本当の父親か探ろうとします。ところが彼女は偶然、マフィア絡みの大金強奪事件に巻き込まれ、マフィア側から追われる羽目に・・・。父親かもしれない二人はその娘とともに、果敢にマフィアの攻撃に対抗していきます。
メリハリのついたハリウッド映画を見慣れていると、どうもフランス映画の独特のムードに違和感を感じてしまいます。往年の超ビッグ・スターの共演ですし、派手なカーチェイスはあるし、カジノの大爆発はあるし、けっこうお金もかけている作品なのですが、フォーカスの甘い画像に象徴されるように、どうも今一つのインパクトに欠けているのです。
とくに終盤のマフィアのアジトに乗り込むアクション・シーンなどは、何となく古めかしい感じがしてどうもいただけません。
ベルモンドはすっかり髪が白くなって、だいぶ風ぼうも変わった(親爺っぽく)ように思います。でも、ドロンはさすがです。眼光のキリリとした鋭さは失われておらず、相変わらずのハンサム・オジサン。
娘役のヴァネッサ・パラディも適度に危なそうで、個性的な魅力がある女優です。彼女は間もなく封切られる「奥様は魔女」(かつてのテレビ・シリーズとは無関係の作品)でもヒロインを演じています。
(ビデオ)
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