2000.10.10 アンドリューNDR114 ★★★
- SFの巨匠、アイザック・アシモフの原作の映画化。
人を愛することなどプログラムされていないロボット、アンドリュー(ロビン・ウィリアムス)が自分の中に芽生えた感情に気がつき、人間になろうと努力していくという、近未来SFファンタジー。
ストーリーは、それなりに人間というものを、また人生というものを考えさせられ、中盤以降の展開には泣かされないこともありません。でも、終盤殆ど人間になりきろうとする主人公に対しては、ソコマデスルカ、という感情がどうしてもぬぐえませんでした。
最大の欠点は、ロボット、アンドリューの造形が美しくないこと。16kgのロボットスーツを身に付けたロビン自身が演じているので、やむを得ないことなのでしょうが、頭が大きくてガニマタのアンドロイドは、どうみてもグロテスク。終盤看護婦になる女性ロボットの体形とまでいかなくても、もう少しスマートさが欲しかった。
ただ、こういう(お子様向けとも考えられる)映画で避けがちな、セックスの問題をうまく取り入れているいるのは、感心しました。だって、感情を持つことになったロボットにとっても、大事なコトですものね。
私としては、優しい父親役のサム・ニールの貫録の演技と、老け顔に満足・・・。
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2000.10.09 ザ・ビーチ
★★
- 「トレインスポッティング」で注目を浴びたダニー・ボイルの最新監督作品。レオナルド・ディカプリオの「タイタニック」以来の1年ぶりの映画出演で、彼自身が強くこの作品を希望したということでも話題となりました。
タイに旅行に行った主人公(レオ)は、ある男(ロバート・カーライル)から楽園(ザ・ビーチ)の地図を渡され、ホテルの隣室の男女と3人でそこを目指します。たどり着いたところは初めは確かに楽園に見えたのですが・・・、という冒険サスペンス(?)です。
ボイル監督の持ち味なのかも知れませんが、ストーリー展開はやや精神分裂気味。いとも簡単に殺人が行われたり、主人公の大きく振れる心の描写が十分でなかったり、納得のいかない展開が多すぎます。タイの印象を悪くするようなシーンもあり、ロケのための環境破壊などと相まって、タイの国から猛烈な抗議を受けたこともうなずけます。
終始、悪夢を見ているような感じで、結局この世に楽園なんぞは何処にもない、などというわかりきったことを最後に思い知らされるだけ・・・。
レオ様は相変わらず大人になりきれない子供のように見えますが、途中でキレまくる演技(目つきが完全にイッテいます)などはさすがに巧い。彼のファンなら、ヴィルジニー・ルドワイヤンとの美しい海中のラブ・シーンなども、大喜びでしょう。
ラストでレオ様がインターネット・カフェでウェブ・メール(何故かexciteがスポンサーになっている)を見るシーンがあるのですが、そこでのパソコンは全てがiMacなどのマックで、私としては思わずニヤリ・・・。(^_^)
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2000.09.29 クッキー・フォーチュン
★★★
- 「プレミア」誌が4星を付けた、ロバート・アルトマン監督が得意とする群像劇です。
自殺したクッキーお婆ちゃんの死を、他殺と見せかけたことによる廻りの人間の悲喜劇を描いた作品。
アメリカ南部の小さな田舎町が舞台で、ユックリユックリ流れる時間に合わせて、ドラマもじれったいくらいのテンポで進みます。何せ事の起こりとなる自殺まで、45分もかけているのだ・・・。
やむなく容疑者を捕まえても、「彼は釣り仲間だから犯人ではない」などという警官がいたり、拘置所のドアは開きっぱなしにしてあったり・・・。唯一テンポを崩しているのは、クッキーおばあちゃんの姪役のグレン・クローズ。寄り目の彼女のオーバー・アクションがむしろ心地よく映りました。
終盤はさすがにいくつかのヒネリを加えていましたが、やや取って付けた、という感じがしなくもない・・・。
リブ・タイラーの際立つ美しさはこのムードにそぐわないし、最初はグレていて途中で急に正義に燃える彼女の立場もやや中途半端。ジュリアン・ムーアのボケぶりは、本当にこれで「ハンニバル」のクラリス役が務まるのだろうか、と思わせるほど。(^o^)
心温まるヒューマンドラマという割には、やや後味の悪い結末だなぁ・・・。
一番理解できなかったのはコカ・コーラがこれでもか、というほど画面に現れること。随分お金を出したんでしょうね。何せジュリアンの役名も「コーラ」なのです・・・。(-.-)
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2000.09.24 ダブル・ジョパディー
★★★★
- 4つのオスカーに輝いた「ドライビング・ミス・デイジー」(モーガン・フリーマンが良かったですね)のブルース・ベレスフォードの監督作品。
「ダブル・ジョパディー:Double Jopardy」とは、「誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない」という、全世界(日本でも)で適用されている法律のこと。この一見奇妙な決め事を、巧みにテーマとして活かしたサスペンス映画です。
というような解説を予め聞かされると、この作品の殆どの展開がわかってしまいますし、例えそうでなくても思わせぶりな状況設定で、だいたい先が読めてしまいます。しかしそれでも見ていて引き込まれるのは、ひたすらヒロインのアシュレイ・ジャッドと、彼女を支えるトミー・リー・ジョーンズの魅力。
特にアシュレイの相変わらずの美しさは、どうだ・・・(頭が小さくて、体のラインがキレイ)。こんな美形の妻を陥れる夫は、大馬鹿者です。(^_^;) 彼女の息子に対する愛情の深さもこの映画のもう一つのテーマなのでしょうが、それにしてはあの結末となった息子の生末がやや心配。(-.-)
人を追う役の多い(「逃亡者」、「追跡者」)トミーも余裕の演技。グウタラだけどシンは通すという、アメリカ的正義漢をここでも熱演。
展開にヒネリが無く殆ど先読み出来るのに退屈はしないという、珍しいサスペンス映画です・・・。(^_^)
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2000.09.16 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ ★★★
- 最近の朝日新聞の天声人語でも取り上げられた、音楽ドキュメンタリー映画。映画館ではロング・ヒットし、いつも長蛇の列だったとか・・・。監督は「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダースです。
かつて大活躍をしたキューバの老ミュージシャンの生い立ちと音楽との出会いを、アムステルダムとカーネギー・ホールでのコンサート模様も織り交ぜて、描いたもの。ミュージシャンは全て70歳代から90歳代。特にピアニストのルベーン・ゴンサレス(81歳)、歌手のイブライム・フェレール(73歳)、ギタリストのコンパイ・セグンド(93歳)が印象的でした。
明るいラテンリズムと短調の物悲しいメロディーラインが織りなすキューバ音楽は、極めて魅力的。それを嬉々として演奏するベテラン・ミュージシャンの心意気が見ているこちらにも十分伝わってきて、とてもハッピーな気持ちになります。
- カーネギー・ホールでの演奏を、もう少しじっくり聴かせてくれるともっと良かったのですが・・・。
彼らがニューヨークの街角で有名人の人形を眺めて、サッチモやレイ・チャールズはすぐ判っても、マリリン・モンローや歴代大統領を見て「誰だ、これ?」などと云っていたのが、彼らの生活ぶりを象徴しているようで、面白かった。
おりしも今日(15日)は、敬老の日。今日鑑賞するのに、こんなに適したビデオはないかもね・・・。(^o^)
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2000.09.10 マーシャル・ロー ★★★
- マーシャル・ローとは「戒厳令」のこと。ニューヨークにおけるアラブ人によるテロとそれを阻止しようとするFBI、CIA、軍隊の関わりを描いた作品です。この映画が作成された98年に、多数の死傷者が出たケニア、タンザニア米国大使館同時爆破事件が実際に起きて、注目を浴びました。
序盤などのサスペンス溢れる爆破シーンは見ものですが、余りにもテンポよく進みすぎて、アラブ人とCIA諜報員(アネット・ベニング)との関係など、前半のストーリー展開がやや判りにくいのが難点(私は巻き戻してもう一度見たのだ(^_^;))。大量なエキストラを使ってのニューヨーク市内ロケ・シーンなどは迫力満点。ただ、どうも軍の責任者(ブルース・ウィリス)の絡みが薄っぺらで、ウソっぽく見えて仕方なかったのは何故でしょう・・・。あんなに簡単に「戒厳令」を発動していいのかな・・・。実際にありそうな(あった)テロ事件を扱っていながら、一方で何となく非現実的に見えてしまうのが、この映画の弱点かも。
相変わらず「誠実さ」が背広を着ているようなデンゼル・ワシントン。いつもこの人は得な役どころだ・・・。しかしアネットはどう見ても、諜報員などには見えなかったナ。光っていたのは、デンゼルの相棒役のトニー・シャルボウブ。この人は「メン・イン・ブラック」で、おかしなエイリアンをやっていたのだ・・・。
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2000.09.04 アフターグロウ ★★★
- 辛口批評の「プレミア」誌が四つ星をつけた作品は、やはり見逃せません。例え「肉屋」のような例があるにしても・・・。(^_^;)
配役によってがらりと風貌の変わるニック・ノルティと、この作品でオスカー候補となったジュリー・クリスティ(「ドクトル・ジバゴ」の主演女優ね)が熟年夫婦を演じています。彼らは、過去に自分たちの娘をめぐるトラブルからすっかり冷えきっていて、それぞれが偶然出会った若い夫婦(ジョニー・リー・ミラー、ララ・フリン・ボイル)と相互不倫を犯してしまうという、ありそうでなさそうなお話・・・。
中盤までは軽薄なラブコメ・ムードがいっぱい。特にララ演ずる欲求不満若奥様には大笑いです。相互のカップルがホテルで鉢合わせになって、ドタバタは最高潮に・・・。しかしその後、熟年夫婦のやり切れない過去が明かされ、娘のエピソードが絡む終盤にはホロリとさせられます。余韻を残したエンディングも上出来。やはり「子はかすがい」なのだ・・・。
ゲーリー・バートンなどのジャズマンが演奏しているテーマ音楽や挿入曲も、とても耳に心地良く響きます。
本作品で、オスカー候補以外にもジュリー・クリスティやニック・ノルティは、数々の映画賞を受賞しています。でも、私としては三つ星止まりだな・・・。
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2000.08.28 奇人たちの晩餐会 ★★★★
- 99年のカンヌ映画祭などで数々の賞を受賞するとともに、ヨーロッパ全土での動員数が「タイタニック」に次いで第二位だったというフランスの大ヒット・コメディ映画。スピルバーグがハリウッドでのリメイク権を獲得し、ダスティン・ホフマン主演で2000年に公開が決定されているそうな。
上流階級の紳士連が週一度の晩餐会に奇人(バカ)を伴って、誰が一番の奇人かを密かに競っています。出版社の編集者であるピエール(ティエリー・レルミット)は、あるときこれぞと思う人物(ジャック・ヴィルレ)を見つけます。ところが彼を晩餐会に連れていく前に自宅に招いたら、さあ大変。彼のハチャメチャな言動が、大トラブルを巻き起こしていきます・・・。
もともと舞台劇だということで、殆どワン・シーンに終始し余り動きはないのですが、とにかくそのセリフ回しに笑えます。後半になるに従い、その可笑しさがどんどんヒート・アップしていくのがスゴイ。単なるドタバタではありませんし、ラストではホロリとさせられるシーンもあって、そのまま納まるかと思い気や、土壇場で一発かまされて、大笑い。(^o^)
結局、バカを笑おうとしていた傲慢な人間が一番バカだった、という教訓ですな。(-.-)
ジャックの演技もさることながら、彼に翻弄されるティエリーの表情が素晴らしい。しかし、私のイチ押しキャラは、ジャックの同僚の脱税査察官役のダニエル・プレヴォスト。ある意味ではジャックを喰っていたかも知れません。
フランス映画を普段は敬遠しがちなお方にも、これはお薦めできます。
それにしてもハリウッド版は、ダスティン・ホフマンより、ダニー・デビートあたりがハマルような気がしますが・・・。
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2000.08.27 氷の接吻 ★★
- 「氷の微笑」を意識した陳腐な邦題に嫌な予感を覚えながらも、今や大ブレイクしたアシュレイ・ジャッドとユアン・マクレガーに惹かれての鑑賞でした。
諜報員の主人公(ユアン)は、張り込み中に謎の美女(アシュレイ)が殺人を犯すのを目撃します。その後彼は彼女の尾行を続けるのですが、彼女は次々と不可思議な殺人を重ねていきます・・・。
序盤はかなり期待できる雰囲気だったのですが、中盤以降雲行きが怪しくなって、最後は完全に裏切られてしまいました。彼女の殺人の動機が全く説明されていないし、主人公が彼女を追いかけるのも単なるストーカーの域を脱してなく、捨て身で彼女を警察から救おうとする心情も理解できません。
起承転結がハッキリしない、シュールなサスペンス・ミステリーを描こうとしているのなら、これはこれで成功していると云えないこともないと思いますが・・・。
しかし、私はアシュレイ・ジャッドを見れたからそれでいいのだ。「世界で最も美しい男女50人」に選ばれただけあって、本当に彼女は美形ですね。カツラを被って変装し、ヴァレンチノの衣装で身を固める彼女のファッションにも注目。もちろん、衣装を全く付けないシーンもあります。(^_^;)
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2000.08.21 ストーリー・オブ・ラブ ★★
- 「恋人達の予感」のロブ・ライナー監督の最新作。
結婚15年目を迎えた夫婦(ブルース・ウィリス、ミシェル・ファイファー)は、子供たちの夏の合宿を契機に別居生活に入ります。果たして二人は離婚の危機を乗り越えることができるか・・・、という何の変哲もない(?)テーマを扱ったもの。
婚約時代や結婚初期の甘い蜜月のシーンと、言い争いが絶えない、倦怠期のシーンとが、執拗に交互に繰り返されます。まあ、つまりどこにでもあるような夫婦の関係を描写しているだけなのですが・・・。ただ、別居するというのはそれ相応の理由があるはずなのですが、それが余りここでは明確になっていないのです。トキメカナクなった、などという理由だけなら、世の殆どの夫婦が別居しなければならないでしょうにね。
- しかもああいう結末になるのも、やはり何か明確なきっかけがあってああなったわけでもないし・・・。どうも釈然としないなぁ・・・。
おまけに夫婦を演ずる二人の御大も、ややオーバー・アクション気味で、見ていて疲れます。特にラストのミシェルの長いまくし立てには、思わず「ハイ、降参!」と云いたくなりました。
- ただし、エリック・クラプトンがこの映画のために作曲し、自ら演奏しているテーマ曲「アイ・ゲット・ロスト」は泣かせてくれます。
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2000.08.19 救命士 ★★
- 名作(と云われている)「タクシードライバー」のマーティン・スコセッシ監督の最新作。実際に救命士をしていた著者のベストセラー小説の映画化だそうです。
ニューヨークで日夜救急車に搭乗し、人命救助に当たっているある救命士(ニコラス・ケイジ)の3日間を描いたもの。
明確なストーリー展開はなく、「バックドラフト」での消防士、「グランド・コントロール/乱気流」や「狂っちゃいないぜ!」での航空管制官などと同じように、「救命士」という職業の紹介映画と考えたほうがよさそうです。人命を救うより救えない方が遥かに多い救命士というものが、いかに過酷で精神的に追い詰められる職業であるか、ということが切々と訴えられています。一番救わなければならないのは救命士である彼なのではないか、などと・・・。
ところが、最後に主人公のとった行動が余りにも不可解。あれでこの映画のテーマが全く判らなくなりました(一体どういうつもりなんだ?)。
ニコラスの実際の妻であるパトリシア・アークエット(初共演とのこと)もここでは余り冴えないし、相棒役のジョン・グッドマンやトム・サイズモアの好演も何か虚しい・・・。印象的だったのは、病院の黒人の警備員。自分の責任と権限全うしようとするキャラ(はた目には滑稽なんだけど)が極めて巧く描かれていました。
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2000.08.14 トゥルー・ナイト ★★★
- 「ゴースト・ニューヨークの幻」などのジェリー・ザッカー監督による「アーサー王と円卓の騎士」の物語群をベースとした、ラブロマンス活劇。
アーサー王(ショーン・コネリー)、第一の騎士・ランスロット(リチャード・ギア)、王妃グィネヴィア(ジュリア・オーモンド)の、要は三角関係を描いているのですが、どうもいわゆる「アーサー王伝説」に忠実な展開ではなく、ハリウッド的なご都合主義でまとめられているようです。戦闘シーンなども「ジャンヌ・ダルク」や「グラディエーター」などと比べるとチャチで、薄っぺらな感じは免れていません。それでも、全体的にはそれなりに楽しめるエンターテインメントにはなっているとは思いますが・・・。
ここでのギア様のカッコ良さも、さぞかしこのお方がお喜びになったのでしょうが、コネリーを始めとして濃い顏の騎士役の面々の中では、どうもウイテいたような気が・・・。(^_^;)
主役のギア様より、二人の不義に悩み、あのような結末を迎えるコネリーにむしろ同情してしまいます。天下のコネリーをあのように悩ませては、いけません(・・・意味不明)。王妃を演ずるジュリアは美女ではありませんが、土臭い庶民派的な雰囲気が出ていて中々好感が持てます。
原題は「First Knight(=第一の騎士)」で、これを「トゥルー・ナイト」などと称しても何のことか判りませんな。最初は「真実の夜」かと思いました・・・。(^o^)
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2000.08.13 海の上のピアニスト ★★
- 大西洋の船の中で生まれ育ち、ピアニストとして天才的な才能に恵まれながら、生涯船の外の世界へ踏み出すことをしなかった男の物語。彼は1900年に産まれたので、ナインティーン・ハンドレッドと名付けられています(変なの)。原作は独り芝居の戯曲なのだそうな。監督は、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「イル・ポスティーノ」などのジュゼッペ・トルナトーレです。
何となくエピソードがぶつ切りの感じがして、物語がスムーズに流れていません。個々のシーンは、例えば嵐の時にピアノのストッパーを外してくるくる廻りながら演奏するなど、美しく印象的なものが多いのですが・・・。生涯船から降りなかったということも、彼の心情が必ずしも明確に表現されていないので、共感することも余り出来ずじまい・・・。
私が一番納得がいかなかったのは、いくら天才とはいえ、他人の演奏を聴く機会が殆どないのに(例えあったとしても)、見様見まねであれほどのテクニックを会得できるかということ。それと実在のジャズ・ピアニストの巨匠、ジェリー・ロール・モートン(彼を「ジャズの創始者」というのは言い過ぎだけど)を演奏で打ち負かすなどというのは、殆どウソっぽくていただけません。(と、云いながら一方でウソっぽいSFは大好きな私ですが・・・)
主人公のティム・ロスは全くピアノが弾けず、弾いたふりをするための猛訓練を行ったとのこと。さすがに巧く演じられていて、これについては脱帽です。
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2000.08.12 ラストタンゴ・イン・パリ 無修正完全版 ★★
- 1972年に公開された当時、その性描写(バターを塗る、とか・・・)とスキャンダラスな内容から各国でセンセーショナルな話題を呼び、イタリアなどで上映禁止となった作品です。監督は「シャンドライの恋」などのベルナルド・ベルトルッチの31歳の時の作品。何ともスゴイ表現の「無修正完全版」として、再登場です。(^_^;)
妻に自殺されて落ち込んでいる中年男(マーロン・ブランド)と、行きずり的に出会った奔放な若い娘(マリア・シュナイダー)との性愛と破滅を描いていますが、ストーリーは殆どなきが如し。結末も、やはりなぁ、と言う感じ・・・。
無修正完全版といってもセックス描写は大したことはなく、まして当時云われたようなポルノでも何でもありません。マリアの濃いめのアンダー・ヘアが数回見えるだけ・・・。二人の奔放な愛の「カタチ」を芸術表現と感じられた人は、エライ・・・。
何と言っても「ゴッド・ファーザー」のイメージが強いマーロン・ブランドが、ここではとても若々しく見えます。退廃した役柄なのですが、何故か新鮮味が感じられるから不思議です。
当時大ヒットした、ジャズ・サックス奏者のガトー・バルビエリの手がけたテーマ音楽が、今聴いても素晴らしい・・・。なお、ガトー(GATO)とはスペイン語で、「猫」という意味。そういえばそんな名前のお店が何処かにあったような気が・・・。(^_^;)
(DVD)
2000.08.08 13F ★★
- レンタル・パッケージの、超美形のグレンチェン・モル(「ラウンダーズ」など)の写真に誘われての鑑賞。(^_^;)
現在と過去のパラレル・ワールドを扱ったSFサスペンスなのですが、暑さで頭がついていけなかったようで、ストーリーが殆ど判らずじまい・・・。(-.-)
DVDでの鑑賞でしたので(?)、グレンチェンの美しさはまた格別でした。それと1930年代のロスの街を再現したセットが凄かった・・・。
ということで、本作の星の数は参考になりません。(^_^;)
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2000.07.30 ジャンヌ・ダルク ★★★★
- 英仏百年戦争において窮地のフランスを救った伝説のヒロイン、ジャンヌ・ダルクの生涯を史実に忠実に描いた歴史映画。「ニキータ」、「レオン」、「フィフス・エレメント」のリュック・ベッソン監督の最新作です。ジャンヌを演ずるのは、「フィフス・エレメント」でアンドロイドのような「リールー」役で評判となったミラ・ジョヴォヴィッチ。彼女はこの映画の撮影の途中まで、ベッソンの恋人だったらしい・・・。
冒頭で神の啓示を受け、フランスを救う使命をひたすら全うしようとして、終始、取り憑かれたかのような行動をとるヒロイン(ミラ)が凄まじい・・・。ただ、ときたま「彼女の良心(ダスティン・ホフマン、など)」が現れて、本当に神の使命なのかどうかなどを問い掛ける、という手法をとっています。一歩退いてみると、過度の妄想狂で、キレまくった少女と見えなくもありませんが・・・。(^_^;)
前半までの、凄まじい戦闘シーンと勝利への過程がとにかく圧巻。英国側の奇抜な兵器の数々も目を引きます。それに比べて、ジャンヌが捕らわれの身となって、宗教裁判にかけられ御存知の結末までの展開が、どうもカッタルイ。じっくり時間をかけて、ジャンヌの揺れ動く心理を描写しているのですが、前半がテンポが良かっただけにもっとコンパクトにまとめて欲しかった。
ミラは、「リールー」役のクールな彼女とは別人のような体当たり演技でビックリさせられます。ただし、色気は全くないけど・・・。脇を、ジョン・マルコヴィッチ、フェイ・ダナウェイ、ダスティン・ホフマン、ヴァンサン・カッセルなどの名優が固め、安心して見ていられます。
しかし、英語を終始話すジャンヌを見て、フランス人は一体どう思うのでしょう・・・(シツコイ?)。
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2000.07.24 アンナと王様 ★★★★
- 「Shall we dance?」で有名なミュージカル版の「王様と私」が制作されたのは、1956年。少なくとも1回はこのオリジナル版を見ているはずなのですが、内容は殆ど記憶に無く、残っているのはユル・ブリンナーの完璧なスキンヘッドとニコリともしない怖い顔。でもこのハリウッド版「アンナと王様」は、それとはまた別に十分楽しめる大作に仕上がっていると思います。
19世紀半ばのシャム(現在のタイ)を舞台に、国王(23人の妻と42人の側室と58人の子供がいるのだ!)と王室付きの家庭教師となった実在の英国人女性、アンナ・レオン・オーウェンズの実話を基に、二人の淡いロマンスを機軸に描いた作品です。恋愛以外でも両者の異文化交流、一夫多妻制
の家族の愛、外国の干渉との戦い、内乱の危機、橋の大爆発シーンなど、内容も盛りだくさんで飽きさせません。
本作も御多分に洩れず、「王家が封建的に描かれ国王に無礼」とタイ国内での撮影の許可が降りず、結局マレーシアでロケを行ったということ。随分お金をかけたのでしょう、華麗な宮殿や屋外のシーンが素晴らしい出来になっています。
王様を演じる韓国映画の大スター、チョウ・ユンファはさすがに重厚な演技で素晴らしい。余り私はそれまでは好きなタイプでは無かったのですがね。一方のアンナ役のジョディ・フォスターは、知性と教養に溢れ、かつ勝気な英国ビクトリア時代の女性を、完璧にこなしていると思います。拍手大喝采!
ラストのダンス・シーンが美しく、ジーンと来ます。でも音楽が無くて踊りづらそうだったけど・・・。
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2000.07.23 ノイズ ★★
- ジョニー・デップ扮する宇宙飛行士は、スペース・シャトルでの作業中に不可思議な事故に遭い、瀕死の状態で帰還してきます。彼の妻(シャーリーズ・セロン)は、回復した彼に何か異常を感じ始めます・・・、というSFホラー作品。
予告編などで、九割位のストーリーが読めてしまう平凡な展開で、まず退屈・・・。しかも「宇宙での空白の2分間」、「ノイズ」、「胎内の赤ん坊」、「謎の生命体」など、興味の対象となる要素がちりばめられているにも関わらず、全くその正体が明かされないのです。邦題にわざわざ「ノイズ」と付けた(原題は「The
Astronaut's Wife=宇宙飛行士の妻」)のだから、もう少し何か深い意味があってしかるべきだと思うのですが・・・。肝心のラストも、ヒネリも工夫もなくて、ガッカリ。
役柄か、本来美形であるはずのジョニー・デップがここでは余り冴えない。反対に、シャーリーズ・セロンの美しさが映像の質の良さもあって、際立っています。演技も中々巧いですし、彼女をじっくり眺めるには格好の映画でしょう。「パラサイト」で怪演したクレア・デュバルが、セロンの妹役で出演していますが、この二人が姉妹というのは、無理があるなぁ・・・。(^o^)
本作も、良い俳優を使っても脚本が悪ければ何にもならない、という典型です・・・。(-.-)
(ビデオ)
2000.07.21 M:I-2 ★★★
- 今を時めくジョン・ウーが監督して話題を呼んだ最新作。
「お早う、ハント君」でお馴染みの、実行困難な指令(ミッション・インポシブル)により物語が始まるのは紛れもなくM:Iなのですが、デ・パルマが監督した前作とは印象がまるで違います。ジョン・ウーのお得意な、曲芸的カー・アクション、ガン・アクション、カンフーがこれでもか、というほど満載されています。冒頭のトム・クルーズのロック・クライミングも、一部を除いてスタントなしで行ったというだけあって、大いに見せてくれます。
ところが肝心のストーリーはというと、猛毒とその解毒剤を絡ませたタイムリミット・サスペンスがテーマなのですが、全く斬新さが無く、いただけません。まるで、古き時代のテレビ・ドラマを見ている感じ、と言ったら言い過ぎか・・・。添えられるラブ・ストーリーも何となく、古風で冴えない・・・。
やはり一番の弱点は、ヒロイン(「「シャンドライの恋」のサンディ・ニュートン)が魅力薄ということではないでしょうか。やはりこのシリーズのヒロインには、前作のエマニュエル・ベアール位のオーラが欲しい・・・。アクションも「マトリックス」をかなり意識しているようでしたし、ややシツコク食傷気味。トムは一生懸命頑張っているんだけどね。
お馴染みのテーマ音楽は、よりロック調にパワーアップして、これはかなりカッコイイ。
もし、M:I-3が制作されるのなら、今度はジョン・ウー以外が監督して欲しいナ・・・。(-.-)
(劇場)
2000.07.18 ディープ・ブルー ★★★★
- 「ダイハード2」、「クリフハンガー」、「ロング・キス・グッドナイト」など、ハラハラ・ドキドキが身上のレニー・ハーリン監督の最新作。
アルツハイマーの病理研究のために脳に遺伝子操作が施されて、知能が高くなってしまっ た鮫がある目的のために人間を次から次へと襲っていく、という海洋パニック・ショッカーです。「ジョーズ」の足元にも及ばないという酷評もありましたが、私はけっこう楽しめました。
- まず、CGとアニマトロニクスと実写を駆使したという鮫の素早く、ダイナミックな動きと姿が素晴らしい。余りにも早い動きで、CG臭さはかなりあるのですが・・・。
観客の予想を覆す、先の見えない展開にも引き込まれます。大物俳優が早い時期に餌食になって(ゴメン、ネタバレです)、あっけにとられてしまいます。この手の映画によくありがちな「こけおどし」や、ご都合主義もギリギリ我慢ができると言えましょう。ラストは、もうワンエピソードありそうに思わせておいて、あれで済ませてしまうのも納得。
- 主役格のトーマス・ジェーン、いいですね。それに比べるとヒロイン(サフロン・バロウズ)がやや魅力薄かも・・・。
- いずれにしても余り細かいことを気にせずに見れば、しばし暑い夏を忘れさせてくれること、請け合いです。
- (ビデオ)
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