2001.05.28 チャーリーズ・エンジェル ★★★★
- 日本で77年から82年までオンエアされた人気テレビ番組の映画化です。でも私はこのテレビ映画を見たという記憶が余りありません。かすかにブロンドのファラ・フォーセットのカッコ良さが記憶に残っているだけ・・・。
劇場公開時はかなり好評で、見逃してことを残念に思っていた作品です。
姿を見せないチャーリーからの指示など、設定はオリジナルを尊重しているようですが、こんなオバカ映画では無かったはず。「オースティン・パワーズ・デラックス」と「007」と「マトリックス」を足して3.5で割ったよなうな、オバカで、色気ムンムンで、ワイヤー・アクション満載の大娯楽映画に仕上がっています。見終えて、スカッとすることは請け合い・・・(特に男性ならネ)。
ま、ストーリー展開云々というのは、この映画では野暮というものでしょう。とにかくキャメロン・ディアズ、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューの3人の様々なコスプレと必死のアクションを見ているだけで楽しくなります。
キャメロンが変な日本語を使ったり、日本を小ばかにしているシーン(スモウ・ファイト)も出てきますが、この際、彼女のブリーフ姿のお尻フリフリ・ダンスに免じて許すことにしましょう。しかし、ここでの彼女は余り美しくなく、口も益々大きくなったみたいだけど・・・。
重心が低そうなドリューも必死に頑張っていますが、見ているほうがややツライ場面も。眼が異常につっているルーシーは、「ペイ・バック」からすれば大抜擢。御大ビル・マーレーは、ややもったいない使い方かも・・・。
「2」が出たら、もちろん今度は劇場で観ます。(^_^)
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2001.05.27 ファイナル・デスティネーション ★★
- 「Xファイル」の脚本を書いたジェームズ・ウォンの第1回監督作品。
飛行機事故を寸でのところで逃れた高校生ら7人が、その後も付きまとう死の恐怖と戦う、というストーリー。残虐な連続殺人が展開されるのですが、犯人がジェイソンのような殺人鬼ではないというところが、ミソと云えばミソ。
見始めてすぐ、「スクリーム」シリーズなどと同趣のティーンズ・ホラー映画と判って、嫌な予感が・・・。案の定、わざとらしくて何でもありのストーリー展開です。それもそのはず、犯人は運命=死神なのですから・・・。でも何故、この種の映画はいかにも作り物、という感じが強いのでしょう。SFXもかなりチープ。情けない首の切断シーンには苦笑です。しかもこういった映画にはお約束のセクシー描写も全く無し(^_^;)。全体的に、テレビ映画のスケールを脱していません。
出演者の中では、主人公(デヴォン・サワ)よりも、最初の犠牲者役のチャド・E・ドネッラが好演しています。
特典映像に、オリジナルを試写した結果、ラスト・シーンでの観客の反応が悪かったのでそれを変えたという、解説がありました。心情的に余韻を残すオリジナルのラストから180度変わっていて、確かにこちらの方がスッキリすることはします(?)が・・・。
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2001.05.21 スペース・カウボーイ ★★★★
- クリント・イーストウッドの製作、監督、主演による作品。2000年度のキネマ旬報の洋画部門ベスト1に選ばれています。
かつて宇宙に行く夢を断たれた空軍のパイロットら4人が、40年経った現在でふとしたことで夢が実現するという宇宙アクションもの(SFではありません)。4人(イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームス・ガーナー)の年齢の合計は、何と259才です。
「ザ・シークレット・サービス」や「目撃」などと同様に、ここでもイーストウッドの老いた開き直り精神がプンプンとしていますが、安心して見ていれるという感じはいつものとおり。ただ老人版「アルマゲドン」という趣ではありますが・・・。
肝心かなめのロシアの通信衛星の措置が説明不足(何が起きたのかよく判らない)であること、ラストがいかにも非現実的(いくら何でもトミーはあんな形では居られないでしょう)であることなど、気になるところはありますが、見終えて爽やかな感動が残る作品に仕上がっていると思います。NASAが全面協力をしたというだけあって、トレーニング・マシンを用いるシーンなども説得力があります。
若いイーストウッドやトミーをよく似た俳優が演じていますが、声は彼らの吹き替えなんだそうな。
トミーが得な役回りもあって、好演しています。女性を片っ端から口説くドナルドのキャラに、爆笑。ジェームスはやや存在感なし。
ラストに流れる「Fly me to the moon」が、これ以上なくキマッテいます。
(ビデオ)
2001.05.20 レッド・プラネット ★★★
- 劇場公開時余り評判は良くなかったようですが、キャリー=アン・モス(「マトリックス」のトリニティ)の出演作でなおかつSF作品ということで、私にとってはマスト・アイテムです。
地球汚染の打開策として火星での居住の可能性調査を6人のクルーで行うという、ありきたりのストーリー。しかし同じ火星を扱った「ミッション・トゥ・マーズ」などと違って、けっこうシリアスな本格的SF映画になっています。
SFXは平均以上ですし、凶悪エイリアンを出現させない代わりにエイミーという探査ロボットが敵になるというアイディアも悪くありません。しかもこのエイミー(多分全てCGでしょう)の動きがすこぶる滑らかで、驚きです。
終盤を除けば、中々先が読めない展開に終始していて、私は結構楽しめました。とくに火星へのランディングの方法には笑いながらも感心してしまいました。なるほど、あれなら上手くいくかも・・・。もちろん、火星表面の地球からの遠隔モニタが何故できないのか、とか、あの火災のダメージにも関わらず結局宇宙船は運航できてしまう、とか、何故簡単にロシア製ロケットが制御できてしまうのか、など突っ込みを入れたくなるところは多々あるのですが・・・。
ヴァル・キルマー、トム・サイズモア、テレンス・スタンプなど、脇を固める俳優はそれなりに豪華なのですが、ここでは余り存在感無し。
キャリー姉御は一人あがきの感が無きにしもあらず。ヴァルを心臓マッサージなんかではなくて、またキスで甦らせば良かったのに・・・。(^_^)
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2001.05.13 バトルフィールド・アース ★
- ビデオ・パッケージに「ゴールデン・ラズベリー賞七部門制覇」などと表記されていました(そんなことをウリにしてどうする!)。ジョン・トラボルタが信奉している新興宗教の教祖が書いた小説を、進んで製作、主演した映画。1000年もの先の地球で、宇宙からの侵略者と地球原人(?)との攻防を描いたSF作品です。
ウーン、おもしろくない!ご都合主義満載で、ストーリーに工夫もヒネリもな〜んにもないのだ。脚本も相当デタラメ。エイリアンの出世欲や上司と部下の足の引っ張り合いなどを見せられてもなぁ。SF版の「サラリーマン専科」など、見たくないよ。
宇宙を征服した高度な知性生命体という割には、相当間抜け。金の発掘を命じられた地球人が、金の延べ棒をどこからか運んできても、それを発掘した金塊を加工したものと簡単に思い込んだりするのですから・・・。
そもそも「レゲエ版太古の戦士」みたいな宇宙人のイデタチがいただけません。鼻毛を伸ばしたような呼吸器を付けた面相は、グロで汚らしいだけ。クレジットを知らなければ、ジョン・トラボルタとは気が付かないでしょうね。でもフォレスト・ウィテカーはしっかり判ります。笑福亭鶴瓶がメークしているように見えますから。地球人のリーダ、バリー・ペッパーの演技は、終始ハイテンションで見ていて疲れます(そんなに頑張るほどの映画ではないよ)。
トラボルタが最低主演男優賞を獲得すれば、共演した妻のケリー・プレストンも最低助演女優賞に輝く始末。彼はヤケになって、俳優辞めてやる、などと言い出さないかな?
(ビデオ)
2001.05.07 TAXi2 ★★☆
- 「レオン」、「ジャンヌ・ダルク」などの監督、リュック・ベッソンが製作・脚本を手がけたカー・アクション&おバカ映画。前作「TAXi」は未見ですが、それに優るというので遅ればせの鑑賞です。
スピード狂のタクシー運転手(サミー・ナセリ)が、来仏中にヤクザにさらわれた日本の防衛庁長官を助けるという話で、ストーリーは単純明解。で、見どころは超弩級のド派手なカー・アクションと日本をネタにしたギャグのオンパレードということに・・・。確かに、実際に数百台のパトカーを潰したというカー・スタントには、お口がアングリです。お約束の空飛ぶ自動車がここでも出てきますが、「60セカンズ」でのそれよりもよほどこちらの方が現実味がありました(羽根が生えている分だけネ)。
日本や日本人を誤解した描写も、敢えて意識してそうしたと思えばかえって笑えます。今どき芸者を両脇に侍らせて、床の間を背に座っているヤクザの親分が居てたまるか・・・。(^o^)
この映画で私が最も気に入ったシーンは、冒頭で主人公の運転するタクシーが登場するところ。洒落ています。できれば女性刑事の配役はもう少しグレードを上げて欲しかった・・・。
本作品は、フランス映画史上でナンバー・ワンの観客動員数を記録したということですが、ホントですかね。
頭が疲れていて考えながら見るのはイヤ、という時にはピッタリの一本。(^_^)
(ビデオ)
2001.04.30 タイタス ★★★★
- 舞台劇「ライオン・キング」で、あの仮面劇とも人形劇ともつかないユニークな演出で、女性として初めてトニー賞を受賞したジュリー・テイモアの監督作品。シェイクスピアの戯曲中最もショッキングな作品で、上演されることが極めて少ないという「タイタス・アンドロニカス」の映画化です。
古代ローマの武将タイタス(アンソニー・ホプキンス)と、長男を生贄にされたゴート族の女王タモラ(ジェシカ・ラング)の二人の復讐の仕合いっこがテーマ。では、「グラディエーター」などと同趣の正調活劇かというとさにあらず。正統的な演出では面白くないと(多分)、テイモア監督が遊び心と独特のビジュアル感覚で、かなり濃いめの味付けを施しているのです。
まず時代考証がトンデいます。オートバイやオープンカー、マイクとスピーカーなどが当たり前のような顔をして現われて、ビックリ仰天。衣装も、背広にネクタイ、カクテル・ドレスなどで、デタラメ。でもセリフはいかにもシェイクスピア的であくまでも重々しく・・・。
内容もシェイクスピアに相応しく、様々な残酷メニューが揃っています。特にタイタスの娘に対する仕打ちとその描写には背筋がゾォ〜。また、人食いと手首切断、そしてサー・ホプキンスとくれば、これはまさしく「ハンニバル」そのもの。こちらの米国公開は1999年ですから、リドリー・スコットがこれを意識した可能性は大ですね。
とかく長いセリフ回しが延々と続いて退屈がちな他のシェイクスピア映画と違って、これには最後まで十分引き込まれてしまいます(162分もあるけど)。
新皇帝サターナイナスをアラン・カミングが好演していますが、それにしてもあのメイクとキャラは・・・。テイモア監督は、志村けんのバカ殿のファンに違いありません。(^o^)
なおこの映画の後も、3日間は挽き肉料理が食べれなくなりますから、そのおつもりで・・・。(>_<)
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2001.04.29 ホワット・ライズ・ビニース ★★★☆
- ロバート・ゼメキス監督が、「キャスト・アウェイ」の撮影でトム・ハンクスの体重が25kg減るのを待つ間に撮ったという作品。
ヒロイン(ミシェル・ファイファー)はある時隣人の不可解な行動を目撃します。それからというものは彼女には亡霊が見えるなどの超常現象が起きるのですが、夫(ハリソン・フォード)は一笑に付して、彼女にカウンセラー行きを薦めます・・・、というサスペンス・スリラー映画です。
ヒッチ・コックへのオマージュ映画ということで、バスタブのカーテンがビリビリや双眼鏡での覗きなど、どこかで見たようなシーンがチラ・ホラ・・・。前半をやや我慢して見ていると後半にかけて盛り上がって来ます。ただ、演出はいかにもあざとい・・・。来るな、と思っているとベタな恐怖サウンドとともに期待にたがわず必ず来ます。ただ「ディアボロス」にもあった、CGによる瞬間芸は効果抜群で、かなり仰天はさせられますが。ラストのCGもああ変わったり、こう変わったりで巧い作りです。
「スリーピー・ホロウ」のでの意外性に類似しています(ネタバレ、ゴメン)が、それぞれの事象が観客をミス・リードするための仕掛けなのか、ホンマモンなのか、はっきりしないところがややじれったい・・・。その意味では、ポスターなどの「バスタブからの手」は判ってしまえば、なぁ〜んだ、です。
ミシェル・ファイファーの演技の巧さを再認識。オーバー・アクションでない表情の豊かさは流石だと思います。ハリソン・フォードはイメージをこれで少しは変えたのでしょう。お腹の筋肉が弛んでいたのが気になりました。
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2001.04.24 ひかりのまち ★★★
- 「バタフライ・キス」(恐ろしい!)などのマイケル・ウィンターボトムの監督作品。最優秀英国映画賞などを受賞しています。
ロンドンの普通の家族(父、母、3姉妹)のそれぞれの週末を切り取った作品。彼らに共通しているのは、それぞれが悩み、寂しさを湛えているということ。離婚して6歳の息子を育てている長女、伝言ダイヤルでロマンスを追う次女(ジーナ・マッキー)、出産間近なのに夫が失踪した三女、全てに不満な母親、何事にも意欲を失った父親など・・・。
彼らの退屈で何でもない日常が、ハンディ・カメラで淡々と映し出されていきます。エキストラを一切使わないという演出は、ひょっとして俳優が演技しているのではなくて、普通の一般人を撮影しているだけなのでは、と錯覚してしまうほど・・・。あの出産シーンはホンモノ?
見終えてみると、寂しいような、それでいて懐かしいような何とも不思議な感覚に陥ってしまう映画です。次女が、伝言ダイヤルで知りあった男と同衾した帰りのバスで流した涙に共鳴した女性は、多かったのではないでしょうか?(私もこの場面にはウルウル・・・)
原題の「WonderLand」は「不思議な国(のアリス)」を意味していますが、この邦題は大正解でしょう。マイケル・ナイマンの美しい音楽に包まれた、ロンドンの街の灯や花火が心に残ります。
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2001.04.23 60セカンズ ★★☆
- 「ザ・ロック」、「コン・エアー」に続くジェリー・ブラッカイマー(製作)とニコラス・ケイジのコンビ作品の第3作目です。タイトルは「60秒で1台の車を盗む」ということを意味しているらしい。
かつての伝説的な車泥棒(ニコラス)が弟の命を助けるために、24時間で50台の高級車を盗むことを強いられるという、タイム・リミット・アクションです。
スピード溢れる展開は良しとしますが、ご都合主義と強引な粗い展開にやや辟易・・・。おまけにラストの甘さには笑ってしまいました。強面刑事役のデルロイ・リンドーが、あんな台詞を言ってもなぁ・・・。
見せ場の一つは、タイトルどおりの素早さで車を盗む手口なのでしょうが、車の知識の殆ど無い私にとっては、その凄さは判らずじまい。機械的にこじ開けるなど、結構ローテクっぽかったのですがね・・・。
後半のカー・チェースは見どころ。当然壮絶なカー・クラッシュ・シーンがあるのですが、ワザワザ運転者は死んでいない、ということを観客にアピールしたりするのは、製作者のこだわりが感じられて面白い部分です。ただ、お約束の空飛ぶ自動車には、苦笑させられました。
- アンジェリーナ・ジョリーは髪の毛をプラチナ・ブロンドに染めて魅力的ではあったけれど、何のためにあなたはいるの?状態で、あの使い方では勿体ない。
全体的に古風な雰囲気が漂うのは、リメイク作品のせい?・・・ま、疲れた頭で何も考えずに見るには持って来い、というところでしょうか・・・。
(ビデオ)
2001.04.22 ワンダー・ボーイズ ★★☆
- 「L.A.コンフィデンシャル」でオスカーを獲得したカーティス・ハンソンの監督作品。「Wonder
Boy」とは、人生の早い時期から成功した、言わば神童を意味しているらしい。
売れない作家で大学教授の主人公(マイケル・ダグラス)、その教え子で一風変わった、しかし文才のある学生(トビー・マグワイア)と、仕事がとれなくて首になりそうな編集者(ロバート・ダウニー・Jr)の3人が織りなす、3日間のおかしな出来事を描いたもの。原作はベストセラーとのことで、中高年が新しい人生の生き様に目覚めるというテーマなのでしょうが、ストーリー的には取り立ててどうこういう感じではありません。コメディとしてみてもイマイチ物足りない。ラストも強引にハピー・エンドに持ち込んでいるし・・・。
その分、上記3人の光る演技が際立ちます。「トラフィック」同様、エロ気抜きのマイケルは、枯れた感じが好印象。「サイダー・ハウス・ルール」と同じく、何とも不思議な微笑みを浮かべるトビーが、自閉症気味のキャラを好演します。ロバートも麻薬中毒から立ち直れたのでしょうか、とても生き生きしています。
マイケルの上司の女性学長を演ずるのは、「ファーゴ」でアカデミー賞主演女優賞受賞を獲得したフランシス・マクドーマンド。彼女がマイケルの不倫相手というのは、どうもね・・・。
とにもかくにも、オープニングとエンド・クレジットで流れるボブ・ディランの「THINGS HAVE CHANGED」は味わい深く、73回アカデミー賞主題歌賞の獲得も納得です。
(ビデオ)
2001.04.21 トラフィック ★★★☆
- 第73回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、監督賞(スティーヴン・ソダーバーグ)、助演男優賞(ベネチオ・デル・トロ)、脚色賞、編集賞(これは何だか良くわからないけど)の4部門でオスカーを受賞した超話題作。私にとっては珍しい、試写会での鑑賞です。
「Traffic」の幾つかある意味の一つである「不正な取引」が代表しているように、米国とメキシコ間で麻薬を密売する側と、それを取り締まる側の攻防を描いた作品。複数のストーリーが同時並行で描かれ、最後は一つにまとまるという群像劇的な手法を取り入れています。
- 全編ハンディカメラによる撮影(落ち着かない、私は嫌い)で、メキシコ側のシーンは黄色で、米国側のそれは青みがかったざらついた映像でなので、まるでドキュメンタリー映画のような雰囲気です。字幕も白い背景に乗っかってしまって、見にくい部分も・・・。
ゾクゾクするようなストーリー・テリングを期待すると、肩透かしを食らいます。淡々とドキュメンタリー風に、麻薬で病んだアメリカ、そこに付け入るメキシコの密売組織の暗躍と、それを取り締まる政府側の無益なイタチゴッコの駆け引きが、延々と描かれていきます。ソダーバーグ監督の言う「ただスナップ写真を撮って見せ、『今起こっているのはこんなことです』と言いたかったんだ。」
というような目的であれば、この映画はこれで大成功なのでしょう。
マイケル・ダグラス扮する麻薬取締本部長が、皮肉にも麻薬に溺れた娘と再会するシーンは、世の娘を持つ父であれば落涙ものでしょう(私は我慢強いのだ)・・・。
原田芳雄入っているベニチオに注目。開会挨拶で提供元である「プレミア」編集長のグレゴリー・スター氏が、「ベニチオの好きな方!」っていったら随分(女性が)手を挙げていました。特徴ある目元は、世の女性を引き付けるのでしょうね(私には怖い顔にしか見えないけど)。
マイケルとキャサリン・ゼタ・ジョーンズ夫妻の競演といっても、両者の絡みは全くなし。キャサリンも疲れ顔でした(本当に妊娠していたもんね)。
ま、取り敢えず話題作をこなしたと云うことで・・・、しかもタダで・・・。(^_^;)
(試写会)
2001.04.16 ウィットネス・プロテクション ★★★★
- テレビ用映画ながら、ずしりと重くて見応え十分な作品。ゴールデングローブ賞作品賞、主演男優賞にもノミネートされています。
「Witness Protection」(証人保護)とは、「犯罪者に不利な証言を行う人物とその家族らの安全を保証する」という米国政府の極秘プログラムのこと。闇組織のボスの殺人などを証言することを前提に、やむなくこの契約を行い、プログラムの遂行を余儀なくされる主人公(トム・サイズモア)とその家族の葛藤と愛憎を描いた作品です。
このプログラムの実態がとても興味深い。まず極秘場所で5日間の言わば初期研修が行われ、その後は姓名を変え、一切の過去を断ちきって地方都市で全く新しい生活を始めなければならないことなどが、明らかにされます(いいのかね、極秘と云っているのに)。
今までのきらびやかな生活を捨て、薄給の暮らしをせざるを得なくなる主人公とその妻、高校での優秀な成績が全てクリアされる息子の、それぞれの苦悩が痛いほど画面から伝わってきます。
トムもさることながら、妻を演ずるメアリー・エリザベス・マストラントニオ(「アビス」、「パーフェクト・ストーム」など)が凄い!鬼気迫る演技というのはこういうのを指すのでしょう。
刑事役は笑福亭鶴瓶にそっくりさんのフォレスト・ウィテカーですが、「バード」でのチャーリー・パーカー役にガッカリして以来、この人の演技を私は買いません。
米国では年間16,000もの家族がこのプログラムの対象になっているとのこと。ほんにアメリカは恐ろしい国じゃわい・・・。(>_<)
(DVD)
2001.04.15 ディープ・ジョパディー ★★
- アシュレイ・ジャッドの主演第二作目の93年の作品。サンダンス映画祭で絶賛され、グランプリを獲得したのだそうな。原題はRuby
In Paradiseです。
家出をした主人公のルビー(アシュレイ)が、フロリダの観光地(パラダイス)で働きながら自分を見つめ直し、人生の意義を見いだしていくというヒューマン・ドラマ。いかにもアメリカン青春ノベルの映画化といった趣です。
それなのに二匹目のドジョウ狙い(一匹目はこちらね)がミエミエの「ディープ・ジョパディー」などという邦題を付け、見当違いも甚だしい「セクシャル・ムービー」をうたい文句にしている配給元は、許せません。ビデオ・パッケージだけを見て、勘違いする人間がいたらどうするつもりなんだ!彼女の脱ぎっぷりの悪さに腹を立てたらどうするつもりなんだ!(^_^;)
ストーリーとしては、大きな事件が起こるわけでもなんでもなく、淡々と主人公の心の動きがモノローグとともに描かれていきます。まあ、退屈といえば退屈・・・。
しかしこれはアシュレイを見つめるための映画でしょう。見つめながら思わず、「頑張れ!」と声をかけてやりたくなる、そんな作品です。
(それにしてもこのビデオ・パッケージの表記は、完璧な詐欺だ・・・)
(ビデオ)
2001.04.13 ハンニバル ★★★
- 「エイリアン」、「ブレード・ランナー」、「グラディエーター」などのリドリー・スコット監督の最新超話題作。トマス・ハリスの同名の小説の映画化で、「羊たちの沈黙」の続編。あれから10年後の設定になっています。
う〜む、何か盛り上がりに欠ける・・・。この作品に関しては原作を読まない方が良かったかも知れません。原作のようなしっとりした情感がない、丁寧な描写がない、説明不足、などというのは長編小説を凝縮した130分の映画では、せん無いことなのでしょうが・・・。
原作のようにハンニバル(アンソニー・ホプキンス)をやたら正当化せずに、クラリス(ジュリアン・ムーア)との甘いラブ・ストーリーを廃した筋書きは、「羊たちの沈黙」との連続性という意味では正解なのでしょう。ただ、いかにもまた更に続編があります、というラストはやや鼻につきます。
メイソン(ゲーリー・オールドマン)の顏剥ぎシーンや豚の襲撃シーンはやけにあっさりしていたのに、例のディナー場面はしっかり描写されていて、相当のグロさ・・・。大の男でも正視に堪えないかも・・・(私はかろうじて見れた)。(>_<) ジョディ・フォスターが降りたのは、この残酷さが耐えられなかったからとのこと(ギャラが折り合わなかっただけ、という説も)。
- クラリスがネット・アクセスで使っていたのは、明らかにマック。ただ、プラチナ・アピアランスではなかったような・・・。
サー・ホプキンスに関しては云うこと無し。ジュリアンは終始血の気の失せたような疲れた表情で、ジョディのようなキリリとしたところがありません。私はやはり彼女はミス・キャストだと思う・・・。ゲーリーもあのメーキャップでは、演技のしようがないなぁ。
肉料理のお好きな方、この映画の後は3日間位肉類が食べれなくなりますので、それを覚悟の上で・・・。(^_^;)
(劇場)
2001.04.09 ダンサー ★★☆
- 「レオン」や「ジャンヌ・ダルク」などを監督したリュック・ベッソンが、原案と脚本を手がけたダンス映画です。「フィフス・エレメント」でミラ・ジョヴォヴィッチの動きを指導したミア・フライアが、聾唖というハンディを背負った黒人ダンサーを演じます。
「フラッシュ・ダンス」と「コーラス・ライン」をミックスしたような構成。そこに主人公のダンスにインスピレーションを受けた科学者が、ダンスの動きにより「音」を発生する機械を発明する展開が付け加えられます。でもこのエピソードが極めて中途半端。主人公の聾唖という障害をその機械が克服しているようには、到底見えません。
ミア・フライアのダンスの凄さが、こちらに余り伝わってこないのも、どうもじれったい。特にラストの踊りは短すぎて、あっけなさ過ぎ。従ってストーリー的にも盛り上がりに欠けてしまっています。
ただ、オーディションを落とされた彼女を、聾学校の子供たちが手話で慰めるくだりにはジーンときました。これ以外は彼女の境遇を割とクールに描いているのは正解でしょう。
カメラ・ワークがダイナミックで素晴らしい。しかし、時には余りにも目まぐるしく変わるアングルにしつこさを感じてしまうことも。
アラが目立ち過ぎの映画ですが、リュック・ベッソンがいっそ監督もしていたら、もっと良くなっていたのかも・・・。
それにしても、主人公のあのメドゥーサのような髪型は、なんとかならないものでしょうか・・・。
(ビデオ)
2001.04.08 セクシャル・イノセンス ★
- アカデミー賞に輝いた「リービング・ラスベガス」や「ワン・ナイト・スタンド」のマイク・フィギス監督の自伝的作品。なんでも構想に17年をかけたのだそうな。原題は「The Loss
of Sexual Innocence(性的無垢の喪失)」で、R-15指定映画になっています。
フィギス監督自身の幼少期から成人した時期までに体験した(性的)出来事をベースに、それぞれエピソードが綴られます。これらは必ずしも脈絡は無く、私には意図も明確ではありませんでした。ラストにややショッキングなエピソードが紹介されますが、殆ど???状態で幕を閉じます。
さらに解らないのが、しばしば挿入されるアダムとイブのからみ。禁断の実を食べて、性に目覚め、楽園を追放される二人が、現代的背景で描かれるのですが、メイン・ストーリー(というものも無いけど)との関連が解らずじまい・・・。
- 場面の暗転が執拗に繰り返されるのは、「ワン・ナイト・スタンド」と同様の手法です。
結局、「リービング・ラスベガス」の成功で資金的に余裕の出たフィギス監督が、自己満足のために撮った作品としか私には映りませんでした。
性描写も評判ほどでなし・・・。まあ、アダムが黒人というのが面白かったのと、バックに流れるクラシックの美しいピアノ曲が、せめてもの救いなのでした・・・。(-.-)
(ビデオ)
2001.03.31 ザ・セル ★★★
- 「羊たちの沈黙」以降、誘拐被害者を探しだすというプロットを持つサイコ・ホラー映画は、全てその焼き直しにしか見えなくなっています。本作も基本的にはその例外ではなく、他人の心の中に入り込むというアイディアも、そう斬新さがあるとも思えません。しかしこの映画にはアッと驚く奔放なビジュアル・エフェクトがあるのです。
美術を担当したのは、コッポラ監督の「ドラキュラ」でアカデミー賞デザイン賞を獲得した石岡瑛子。「ドラキュラ」での独特の摩訶不思議なイメージ世界を、ここでは更に大胆に拡げて見せます。
オープニングに、広大な砂漠をバックにしてヒロインのジェニファー・ロペスが現れますが、これが極めて美しいシーンとなっています。監督のターセムは、これらをCGで合成することなしに、わざわざジェニファーをアフリカのナミビア(どこだか知らないけど)まで連れて行って撮ったのだそうな。
被害者の居所を探すために犯人の心に入り込むシーンがメインとなりますが、ジェニファーがそれに寄与することなく、トラウマを持つ犯人の心の解放にのみ関わる構成が、私にとってはやや変に映りました(あんなきっかけで居場所が判るなら、何もあんなことをしなくても済んだものを・・・)。
異常な連続殺人犯を演ずるのは、「メン・イン・ブラック」でも極悪エイリアンを熱演していたヴィンセント・ドノフリオ。ホント、気色悪いよ、この男は・・・。
被害者を探すFBI捜査官は、リメイク版「サイコ」でノーマンを演じたヴィンス・ヴォーン。ちっとも冴えないよ、この男は・・・。
出演映画によって七変化する(ように私には見える)ジェニファーは、今回はヒスパニック度は最も薄いように思えます。衣装がちっともデンジャラスでなかったのが私としてはやや不満でしたが・・・(今回のアカデミー賞授賞式でのドレスは相当過激だったらしい・・・)。
(劇場)
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