5〜6分ほどの曲です。最初は弦楽四重奏として作曲され、後に弦楽合奏用に編曲されました。先に弦楽合奏を聴いてみて、その後に弦楽四重奏も聴いてみましたが、この曲の場合は弦楽合奏の方が響きが豊かでしっとりとした味わいがあり、弦楽合奏の方が聴きごたえがあります。
美しく心に染みるようなメロディーが弦楽器で何度も何度も繰り返され、いつまでもどこまでも続くような気がしてきます。聴いているとだんだんと心が落ち着いてきます。精神的に疲れを感じているときなど、安らぎを感じることができると思います。
最後にはティンパニも加わり、控えめではありながらも盛り上がりを感じさせて終わるので、心の奥底で力が湧いてくるようですし、落ち込んだときにも立ち直ることができそうな気がしてきます。大事な決戦の前に心を落ち着かせつつ気持ちを密かに高揚させるために聴くのもよいでしょう。
実に切ない。ただただ切ない・・・。心が締め付けられるようで、初恋の甘酸っぱい感覚が蘇ってきそうです。3つの短い曲からなる組曲です。弦楽合奏にティンパニが加わるのは、アンダンテ・フォスティーボと共通しています。
1. 恋人 Rakastava
2. 愛する人の通る道 Rakastetun tie
3. こんばんは−さようなら Hyvaailtaa,lintuseni
切なさの中で救われた気がするのは、2曲目の「愛する人の通る道」の存在です。心躍りつつも、大騒ぎすることなく静かに、そして軽やかに・・・。ふわふわとして地に足が着いていないような、天にも昇るような気分を感じさせてくれます。
シベリウスの写真を見ると、どうしてこの人がこんなに美しく切ない曲を書けるのかと不思議に思ってしまいます(失礼)。人は見かけによらないとよく言われますが、それを心の底から実感できる曲です(またまた失礼)。
レンミンカイネン組曲の4曲のうちの1曲で、この曲だけ単独で演奏されることが多いようです。
これほどイングリッシュホルンを効果的に使った曲はあまりないと思います。ほかにはドヴォルザークの交響曲第9番第2楽章くらいしか思い浮かびません。薄暗く静かな情景をイングリッシュホルンがぐっとこらえながら独特の音色で奏でます。ときおり光が射したように、そして白鳥が羽ばたいたようにわずかに明るくなりますが、すぐにまた元の暗い情景に戻ってしまい、最後は静かに消えるように終わります。
イングリッシュホルンという楽器は、くぐもったような音色に特徴があります。その音色は同一の楽器であっても音程によって微妙に変わります。あえて極端なことを言えば、ドとレとミでそれぞれ音色が異なるように感じることすらあります。オーケストラで使う楽器として問題があるのではないかと思いつつも、この曲の場合には、それが一層効果的な気がしてくるから不思議です。イングリッシュホルンの魅力を十分に感じさせてくれる曲です。
3曲からなる組曲。第1曲は金管楽器が活躍します。ホルンのゆったりとしたメロディーがトランペットの軽快な演奏に繋がっていきます。そしてまたゆっくりとなってホルンに戻ってきます。ホルンのハーモニーがとても美しい。
第2曲は穏やかなバラードです。木管楽器で始まり、すぐに弦楽器が引き継いで、ゆったりと流れるような憂いのあるメロディーを奏でます。最後の方でイングリッシュホルンが静かに登場します。聴いていると心が落ち着く曲です。
第3曲は行進曲風になり、落ち着きを失わないながらも溌剌としています。そして明るく華やかに終曲を迎えます。