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交響曲第2番



 シベリウスの交響曲の中で最もよく知られている曲だろうと思う。シベリウスという作曲家の名前を知らない人でも、第4楽章の始まりの部分など、どこかで聴いたことがあるのではないだろうか。

 第1楽章の始まりは、何か素晴らしいことが始まるようでもあり、ちょっと困ったことが起こりそうでもある。期待と不安が入り混じっている。北海道から東京に出てきて就職した頃の気持ちが思い出される。

 第2楽章の気持ち良さそうなトランペットのソロ、第3楽章のオーボエから始まる憂いを帯びたフレーズ、第3楽章から第4楽章への高揚感をもったつながり、豪華な第4楽章など、聴きどころが多い。第4楽章の終盤、八分音符の上がり下がりが繰り返される伴奏が弦楽器から始まり、途中でフルートが加わって華やかに、そして一気呵成に終曲に向かっていくところも素晴らしい。最後の盛り上がりはシベリウスの7つの交響曲の中でも最高であり、聴き終わった後の充実感は圧倒的である。とても良い曲だと思う。

 ただし、贅沢と思いつつもほんの少し残念に思っていることを書かせてもらうと、この曲は、絶対にシベリウスにしか書けないと思うような曲ではない。ひょっとするとチャイコフスキーなら似たような曲が書けたかもしれないと想像する余地が残ってしまうのだ。そのことが惜しい。

 このことは、最初に書いた、第2番が最もよく知られているということと関係があると思う。よく知られているということは演奏される回数が多いということであり、それはつまり多くの人が気に入る曲ということなのだが、裏返して考えれば、他の作曲家とは全く違うシベリウス独特の雰囲気が好きな私のような人間にとっては「ちょっと物足りない」となってしまうということなのだ。面倒くさい話をして恐縮である。許されたし。