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交響曲第5番



 この曲の評価は難しく、私にとって、特に好きな曲だというわけではない。感情の揺れが激しすぎて、聴いていて疲れるのが原因だろうか。暗く陰鬱な第4番から美しい第6番につながる曲と考えれば、この曲を理解しやすいのかもしれない。

 日の出の情景が思い浮かぶような明るいホルンの音で曲が始まるが、ほどなくして現実に引き戻され、ファゴットの悩みを抱えたような旋律が続く。苦悩から抜け出そうともがいているうちに立ち直りの兆しが表れ、だんだんと前途が明るくなる。第2楽章は心の平穏を取り戻し、活力を蓄えているかのようだ。最終楽章である第3楽章ではいよいよ元気を出して吠え始め、最後は自らを鼓舞するように力強く終わる。

 他の曲に比べて、管楽器が多くの仕事をしている。第3楽章では金管奏者の力量が試される。その点、カラヤンが指揮するベルリン・フィルの演奏は圧巻である。鮮やかに、そして豪快に決めてくれる。



ブロムシュテット指揮 サンフランシスコ響

 明るく、着実・堅実な演奏であり、安心して聴くことができる。この曲の模範的な演奏なのではないかと思う。
 第1楽章のファゴットのソロは、弦楽器の伴奏とともに哀愁を感じる。無理に表情を出そうとしていないところがいいと思う。その後のトランペットは高音がとても伸びやかで美しい。
 第2楽章は多用される弦楽器のピッチカートが心地よい。
 第3楽章は金管楽器の出来映えが鍵を握る。前半のホルンは丁寧で美しい響きを聴かせてくれる。中盤の弦楽器の響きは透き通っていて美しく、心を打つものがある。後半のトランペットは余裕があり、決して乱れない。抑制された中にも力強さを感じる。


第5番 カラヤン指揮 ベルリン・フィル

 この曲に関して語るときは、カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏を無視するわけにはいかない。第3楽章の金管楽器の演奏は圧巻である。ここまでやるかと思うくらい、鮮やかに、そして豪快に決めてくれる。