2003.09.28 地獄の黙示録 特別完全版 ★★★
- 1979年にカンヌ国際映画祭のグランプリに輝いたフランシス・フォード・コッポラ監督の話題作で、2001年に未公開映像を53分付け加え、3時間23分の長尺となって改めて公開されたもの。「特別完全版」などという仰々しい副題が付いています。1960年代のヴェトナム戦争を背景とした作品。
これほど著名な映画ですから、当然オリジナルは見ていたと思い込んでいましたが、見始めてそうではなかったことに気が付きました。序盤で上官から、主人公(マーティン・シーン、チャーリーのお父さんね)にミッションが言い渡されます。ジャングルの奥に王国を築くなど、常軌を逸した大佐(マーロン・ブロンド)を暗殺せよ、というのがそれ。とても判りやすくて、安心しました。(^_^;)
前半はまさにロード・ムービーそのもの。ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を流しながらのヘリ攻撃や、サーフィンをしたいがために村をナパーム弾で焼き尽くすなど、「戦争の狂気」が描写されながら、主人公の旅が続きます。今回追加されたというフランス村の一族のシーンでは、橋田寿賀子ばりのセリフの長さ。退屈しないようにと、未亡人のサービス・シーンが用意されています。プレイメイトとの絡みも追加になったシーンとか。本当にあんなこと、やったのかな・・・。
で、いよいよマーロン・ブロンド扮する大佐が登場。コッポラらしい光と影のコントラストを駆使したシーンはまるで、ホラー映画です。ところがここからがいけません。途端に、形而上学的なシュールな展開となってしまうのです。何故主人公が生かされていて、突然あんなに元気になったか、何故あっけなく片が付いて、周りが急に変わってしまうのか・・・。特別完全版となって判りやすくなった、との評判でしたが、それではオリジナルはさぞかし難解だったのでしょうね。(-.-)
ハリソン・フォードとローレンス・フィッシュバーン(モーフィアスね)の初々しさにビックリ。
それにしても長い!後半が判らない!
(DVD)
2003.09.17 X-MEN2 ★★★★☆
- ヒュー・ジャックマンやハル・ベリーが未だブレイク前だった第一作目に比べ、さすがに第二作目は豪華な印象となりました。監督は同じく「ユージュアル・サスペクツ」などのブライアン・シンガーです。
人類と共存主義のミュータントと、非共存主義のそれとの闘いが基本であった前作に対し、本作ではそれら両者が一時休戦の様な形で団結し、ミュータント撲滅を目指す人間と闘います。そこに非共存主義のミュータントの恐るべき陰謀が絡む、というのが本作のストーリー。中々奥が深く、良く出来ていると思います。
冒頭に登場する新キャラのナイトクローラー(アラン・カミング)がスゴイ。黒い煙がバッチイ感じですが、彼の空間移動の能力や尻尾を持つ造形は魅力的。ただ肝心のところ(ラスト)でそれが使えない、というのは情けない・・・。
新キャラとしてはこの他に火男や氷男が登場しますが、印象薄し。肝心のハル・ベリーの出番が少なかったのは残念ですが、ファムケ・ヤンセンが代わりに大活躍。第三作目に余韻を残します。
ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)の過去は本作でも明かされず。しかも余り活躍せず。うう、フラストレーションがたまる・・・。
一番嬉しかったのは最強で超セクシーなミスティーク(レベッカ・ローミン=ステイモス)の出番が増えたこと。最早、誰が登場してもみんなミスティークなのではと疑ってしまいます。しかも青蛇のようなメイクなしに、美しい素顔でもちょっぴり登場。彼女が主演の「ファム・ファタール」を見たくなりました。
惜しむらくは、憎むべきミュータントの敵である人間、ストライカーの悪玉としての存在感が薄かったということ。ああいう息子を持つ父親の悲しみが、充分描ききれていなかった・・・。
なお本作品では、前作からの登場人物の紹介が基本的に省かれていますので、第一作目をまずは観賞することをお薦めします。
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2003.09.08 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン ★★★☆
- スティーブン・スピルバーグの製作、監督で、レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスの共演が話題となった作品。16歳から21歳までの間に400万ドルを稼いだという天才詐欺師の実話に基づいているのだそうな。
パイロット、医者、弁護士に成り済まして、偽の小切手でお金を稼ぐ主人公(レオ)を、FBI捜査官(トム)が追っかけるというお話。主人公は捕まりそうになる寸前に、巧い手口で逃げてしまうというところから、このタイトルがついているようです。
オープニングも洒落ていますし、フランク・シナトラやナット・キング・コールなどの挿入歌で、古き良き時代の雰囲気も充分。途中でやや長いとは感じましたが、テンポよくグイグイと引っ張ってくれます。
ただ、あのような細工で本当に騙されるものなのでしょうか?オモチャの飛行機のシールを貼った偽小切手などで。弁護士になることが出来た理由にも驚き・・・。だったら、そのまま弁護士で生きれば良かったものを。まあ、色々脚色はしているのでしょうが・・・。
少年顔のレオは十代の役柄にはピッタリ。獄中のシーンでは、「仮面の男」を思い出してしまいました。トムも悪くはありませんでしたが、何と云っても父親役のクリストファー・ウォーケンが素晴らしい。彼の父親像が、軽くなりがちなこの映画に深みを与えています。
さすがアメリカ、犯罪者を味方に引き入れてしまうとは、そしてそれでまた莫大なお金を稼がしてしまうとは・・・。(^o^)
(DVD)
2003.09.02 ボウリング・フォー・コロンバイン ★★★
- 本作品でアカデミー賞の最優秀ドキュメンタリー賞のオスカーを手にしたマイケル・ムーアが、受賞スピーチで「恥を知れ、ミスター・ブッシュ!」と叫んだのは、余りにも有名。1999年のコロンバイン高校で起きた銃乱射事件を主な題材として、何故アメリカで銃犯罪が多発するのかという問題に取り組んだドキュメンタリー作品です。タイトルは、犯人の少年が事件直前にボウリングをしていたという事実に基づいているのだそうな。
まずは、口座を開くと銃が貰えるという銀行が紹介されます。ムーアが行員に「銀行がこんなことして危なくないですか?」などと質問するのが、ばかばかしくも面白い。スーパー(Kマート)で、銃や銃弾が売られているなどという事実に唖然・・・。ムーアの運動で、段階的にそれらが廃止されるという成果も披露されます。他のスーパーではどうなのかな?
このようなユーモア溢れる調子で、重い題材が淡々と取り上げられて行きます。コロンバイン高校の銃乱射事件の他にも、弱冠6歳の男の子による同級生の女の子の射殺事件など・・・。
ムーアの取材は、アポなしで相手構わず申し込んでしまうという乱暴なもの。それでもあのユーモラスな体型と風貌で何となく許されてしまうというところが面白い。不気味な風貌の歌手・マリリン・マンソン(私は知らなかった)が立派(と思える)な意見を述べていたのに比べ、全米ライフル協会(NRA)会長のチャールトン・ヘストンはそれとは対極的です。事件後、無神経にもその地域で全米ライフル協会の総会を開催したり、ムーアの辛口インタビューにタジタジとなり、早々に退散したり・・・(腰の曲がった歩き方が憐れだった)。
何故アメリカがこのようになったかの明解な答えは明らかにされていませんが、見終えてズシリとお腹にこたえる作品には相違ありません。チャールトン・ヘストンのファンは見ないほうが賢明・・・。(-.-)
(DVD)
2003.08.28 パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち ★★★★
- ディズニーランドにはこれまで3回しか行っていませんが、大人の私でも楽しめたアトラクションの一つが「カリブの海賊」。それにヒントを得て映画を製作したという着眼点は素晴らしいと思います。ジェリー・ブラッカイマーが製作したのなら、「アルマゲドン」や「パール・ハーバー」のように大味な作品だろう、などと悪口も言われていましたが・・・。
不思議なことに海賊映画という割には、余りスケールの大きさというか、大掛かりなスペクタクル映画という感じはしません。ウリであるはずの海戦シーンでさえも何故かコジンマリした感じ・・・。特に財宝の山を前にしたシーンなどは、いかにもスタジオ・セットですと言わんばかり。ストーリーにも余りメリハリがなく、ショート・エピソードをいくつも繋げたかのようです。だいたい長過ぎ。もっとコンパクトにまとめて欲しかった。
骸骨のCGにお金を掛けすぎたのかもしれません。これは良く出来ていました。赤ワインを飲んで、ダラダラと骸骨の身体の中を流れてしまうシーン、ああいうのは技術的に難しいのでしょうね。月光下では骸骨になって、太陽光ではならない、というのも何か変ですが。
それでも充分楽しめるのは、豪華キャストのせいでしょう。
圧倒的に印象深いのが、ジョニー・デップのクネクネ演技。わざとらしいメイクの彼の怪演振りに、御大ジェフリー・ラッシュの存在も霞んでしまいます。「ロード・オブ・ザ・リング」で耳の長い弓矢使いのお兄さん、オーランド・ブルームも二枚目振りを充分発揮。中々良いですね。ヒロインのキーラ・ナイトレイも光ります。若干二十歳というから驚き。惜しむらくは貧乳であること。(^_^;)
脇役の個性的な海賊達も面白い。義眼の男はやや度が過ぎたかも・・・。
アトラクションと同じ場面というのは、鍵を持った犬を牢屋の中から骨で誘うシーンですよね、多分・・・。
お約束でエンド・ロールの後にオマケがありますが、あれは不要でしたね。「2」に繋げるわりには意味不明ですし・・・(あれでもジェフリーは復活出来ないはず)。
(劇場)
2003.08.18 8人の女たち ★★★☆
- 2002年のベルリン国際映画祭で、出演女優8人全員に銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)が授与された作品。他に出演者は一人いるのですが、顏も見せないし殆ど演技をしないので、登場人物の殆ど全員に賞が与えられたという驚くべき映画です。「まぼろし」などのフランソワ・オゾンの監督作品。
8人とは、カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、ファニー・アルダン、ヴィルジニー・ルドワイヤン(「ザ・ビーチ」のヒロイン)などのフランスを代表する大女優達です(他の3人は知らない(^_^;))。
全員が犯人の可能性があるというアガサ・クリスティ風の古典的な密室推理劇が、まるで1シーンの舞台劇のような形で展開されます。しかも8人全員が、一人ずつ唐突に歌いだすというミュージカル仕立てなのです。それぞれの歌はお世辞にも巧いとは言えないのですが、フランス語というのは不思議ですねぇ、何となく雰囲気一杯でそれなりに聴こえるのですから・・・。特にわたしゃ、ファニー・アルダンが気だるく歌う「愛がすべて」に痺れました。(^_^;)
ビックリしたのは「ピアニスト」などのイザベル・ユペール。髪を引っ詰め、メガネをかけて如何にもな行かず後家を見事に演じているのです。久本雅美に見えて仕方ありませんでしたが・・・。カトリーヌ・ドヌーヴは余りにもふてぶてしく、貫録が有り過ぎ。これもヒンシュクを買うことを恐れずに言うと、三輪明宏とダブってしょうがありませんでした。m(_
_)m
ストーリーは所々わざとらしさがあるものの、8人全員の隠された秘密が暴露されていく過程は興味深く、ラストの取って付けたかのようなオチもそれなりに楽しめます。
オゾン監督がまるで自分の楽しみのために撮ったかのような作品ですが、フランス映画好きなら必見でしょう。
(DVD)
2003.08.16 アトランティスのこころ ★★★★
- 原作はスティーブン・キングの大ベストセラー、監督はアカデミー賞7部門ノミネートの「シャイン」のスコット・ヒックス、主演は御大アンソニー・ホプキンス、という作品なのに、ビデオ発売時、何となくパスしてしまっていた作品。以前から気になっていたのでした。
「グリーンマイル」など、ホラー系でないキング作品には独特のファンタジックな味付けがなされたものがありますが、本作品も一風変わった不思議な雰囲気を持っています。併せて、誰もが持つ少年時代の懐かしい出来事を思い出させてくれるような、ノスタルジー溢れる小品に仕上がっています。
デイビッド・モース演ずる主人公が、幼なじみの訃報をきっかけに自分の少年時代を回顧していくところから、物語は始まります。その少年時代を演ずるのは驚異的な演技力の持ち主、アントン・イェルチン。彼が不思議な力を持つ老人、アンソニー・ホプキンスに「今のガール・フレンドとキスをするぞ」と言われたときの、あのリアクションの巧さ。唸ってしまいます。
ホープ・デイビス(殆ど山本陽子)演ずる主人公の母親。あんな旅行に行けば、そうなることくらい判りそうなものを・・・。それにしても嫌な性格ですねぇ。彼女の通報で「あんな結果」になったのに、主人公があっさり彼女を許してしまったり、「あのお金」であっさり車や自転車を買ってしまったのが、やや腑に落ちず。
サー・ホプキンスの不思議な力はもっと発揮されても良かったし、母親が悪く言う父親は実は良い人だったというエピソードはもっと深堀されるべきだと思うし、それよりも何よりも幼女友達とは生きて再会して欲しかった・・・。
タイトルは、幻の国、アトランティスとともに沈んだ心、大人になってどこかに置き忘れた子供の心、というような意味らしい。
それにしても見終えて、しみじみ良い映画を見たと思える作品です。あたしゃ、モノローグに弱いのだ・・・。
(DVD)
2003.08.10 ギャング・オブ・ニューヨーク ★★
- アカデミーのオスカーに監督賞を含む10部門でノミネートされていたにも関わらず、無冠に終わってしまったマーティン・スコセッシ監督の話題作。あんなに有力だと言われていましたのにね。
父親を無慈悲に殺されてしまった少年が、成人してギャング集団を率いて復讐を果たすと言うカタルシスいっぱいのお話で、究極のラブ・ストーリーも絡ませた超大作、というのが私が見る前に描いていた本作品のイメージ。見終えて、そうではないことが判り、落胆することしきり・・・。
折角レオ様(レオナルド・ディカプリオ)を起用したのですから、完璧なヒーローにしてもらいたかったですね。あれでは復讐でも何でもありません。むしろ相手のダニエル・デイ=ルイスをしっかり主役に仕立てた方が良かったと思います。それぞれの位置づけがどうも中途半端だ。
確かにCGを多用せずに1800年代のニューヨークの街並みを再現した映像には目を見張ります。当時の衣装、風俗描写なども多分良く描かれているのでしょう。しかし、いかんせん中盤以降のダラダラ感がいけません。揚げ句の果てがあのクライマックス。しかも160分。疲れます・・・。
おそらく娯楽大作だという意識を持たず、レオ様のヒーローとしての大活躍なども期待せずに、史実に忠実なアメリカ創世記の歴史の一コマとして、本作品を受け止めるべきなのでしょう。それにしてもなぁ・・・。
実質的な主人公であるダニエル・デイ=ルイス。素晴らしい演技です。「ラスト・オブ・モヒカン」で溌剌としたあの主人公役だったのですよねぇ。
「この復讐が終われば 愛のためだけに生きると誓う」、大うそ。「構想30年、製作費120億円」、虚しい・・・。(-.-)
(DVD)
2003.08.04 007 ダイ・アナザー・デイ ★★★☆
- 第一作目の「ドクター・ノー」から40年経ち、第20作目となった007シリーズの最新話題作。劇場公開時、余りにも荒唐無稽過ぎと必ずしも評判は良くなかった作品です。今回の背景は北朝鮮。余りにもタイムリーというか何というか・・・。
例のお馴染みのオープニング、何とCGによる弾丸が付け加えられていました。
序盤、ボンドが捕虜として14ヶ月も投獄され拷問を受けたり、007の資格を剥奪されたりと、およそカッコ良さが身上のボンドには相応しくないトホホな設定となっているのが、新鮮といえば新鮮。髭や髪の毛が伸び放題で、まるでホームレスのようなボンドは初めて見ました。
背景は北朝鮮でも、大掛かりなシステムを使って世界征服を狙う悪人との対決という基本構図は変わっていません。ま、今回は世界ではなく、半島ということでスケール・ダウンしていましたが・・・。
なるほど、消える車、氷壁に宙づりになる車、それに続く大波乗りなど、オオボラここに極まれりといった感じではありますが、まあ、それが007の持ち味ということにしておきましょう。ただ、随分お金をかけたという割には、氷の要塞、飛行機などのCGは、けっこうお粗末。
下ネタ・セリフは相変わらずですし、ミス・マネペニー(007の秘書)の妄想には大笑いです。
50歳の大台にのったというピアース・ブロスナン。さすがにくたびれて来ていますが、やはりショーン・コネリーに次ぐ嵌まり役だとは思います。鳴り物入りのボンド・ガールのハル・ベリー。悪くはありませんでしたが、耳の周りを短く刈り込んだヘア・スタイルは止めて欲しかった・・・。むしろもう一人のロザムンド・パイクが要注目です。
なお、DVDの特典映像にはマドンナが唄うテーマ曲のミュージック・ビデオがメイキングとともに収録されていますが、これが中々ハードで見物です。ただ、音声のデジタル・エフェクトは好みが分かれるところでしょう。
(DVD)
2003.07.28 ゴーストシップ ★★★☆
- 髑髏の顏になっている船のビデオ・パッケージがやや間抜けですが、冒頭にかなりショッキングなシーンがあるというので、楽しみに観賞しました。漂流する豪華客船を曳航しようと、乗り込んだサルベージ船の船員達(ガブリエル・バーン、ジュリアナ・マーグリーズ)を襲う恐怖を描いたホラー映画です。
ふ〜む、流石に見応えのある冒頭のシーンです。「バイオハザード」、「CUBE」、「セル」などを連想させますが、思わず何回もリプレイして見てしまいました。ホントかいな?とも思いますが、多分物理的には可能なのでしょうね。
その後の展開はいわゆるお化け屋敷的で、平凡といえば平凡。しかし映像はしっとりと綺麗ですし、VFXも中々見応えがあり、退屈はしません。荒れ果てた船内の様子は雰囲気が良く出ていますし、朽ちた室内が次第に復元されていくシーンなどは見物です。女性歌手の幽霊も魅力的で、誰でもああなってしまうでしょう。(^_^;)
終盤、いきなり宗教的な展開になってしまいますが、私は好きですね、こういうの。ラストも洒落ていて、90分程度の長さも丁度良いと思います。
ただ、中盤の展開をもう少し丁寧に説明して欲しかったですね。途中で救助した船の船員と金塊との関係、殺し合いの首謀者はそもそも何が目的だったのか、などなど。
冒頭のシーンのインパクトが大きすぎて、後の印象が薄くなってしまっているのが難点か・・・。
(DVD)
2003.07.26 チャーリーズ・エンジェル フルスロットル ★★★★
- 前回の約束どおり(誰との?)、今度は劇場の大スクリーンで観賞しました。
やあ、大満足、大満足。前回以上にオバカで、セクシーで、楽しい天使達に、外は梅雨空で鬱陶しいにもかかわらず、気分は爽快となりました。
予告編でお馴染みの巨大ダムからの落下シーンに始まって、モトクロスでの曲芸(映像が汚かったけど)、ハイウェイで疾走するリュージュ(一人乗りのソリね)、大波でのサーフ・ライドなど、これでもかというアクションシーンの連続。それに加えて、相変わらずカラフルで可愛い(?)コスプレが満載。下ネタも盛り沢山ですし、ストリップ・ティーズの踊り子に扮するなど、セクシー度も格段にアップしています。キャメロン・ディアスの例の男物パンツも健在。(^_^;)
で、ストーリーはというと、「証人保護プログラム」などという厄介なものが出た途端、頭が混乱してしっかりとは付いていけなくなりました。でも「プレミア誌」にもあったように、本作に関しては気にすることはありません。天使達のノリノリに身も頭も任せて、ただただ楽しめば良いのです(フー、汗)。
ドリュー・バリモア、ルーシー・リューに比べると、確かにキャメロンは一つも二つも抜きんでています。今や押されもせぬ大コメディアンヌになってしまいましたね。
元チャーリーズ・エンジェルという設定で、悪役のデミ・ムーア。何か硬そうな身体でサイボーグみたいになっていました。ほっぺの縦じわは、整形でも取れなかったのでしょうか?(^_^;)
初めは気が付かなかったのですが、ブルース・ウィリスがカメオ出演していました。何か未練がましいぞ・・・。
3人が余り年をとらないうちに、「3」が出ることを切に願います。(^o^)
(劇場)
2003.07.20 ターミネータ3 ★★★★
- 「T2」公開から、早12年。製作権のゴタゴタの影響で随分時間が掛かったようですが、それにしても待ちくたびれました。前2作のジェームズ・キャメロンに代わって、「ブレーキ・ダウン」、「U-571」のジョナサン・モストウが監督をしています。
お話としての時間経過は、「T2」から10年後。人類の救世軍のリーダ、ジョン・コナーも立派な大人になりました(ニック・スタールなどというバッチイ男を使わないで、前作と同じエドワード・ファーロングを起用すれば良かったものを)。何故か「審判の日」(人類最後の日)はまだ来ていない設定になっています。そこへ、待ってました!!御年55歳のシュワちゃんの登場です。(^o^)
今回の監督は、「T2」を楽しんだファンに相変わらず同じような楽しみを与えようとしたようです。シュワちゃんの登場シーンを前作そのままに踏襲して、かつコメディの要素を付け加えました(花形サングラスはやり過ぎでしたが・・・)。
前作でのT-1000型ターミネータに代わる今度のシュワちゃんの敵は、身長180センチの女ターミネータ、T-X(クリスターナ・ローケン)です。ただ、インパクトの強さはT-1000型には負けていますね。折角(?)女性なのに、余りセクシーではありませんし、やたら足の長いのだけが目立ちました。
ストーリーとしては、いたって明解。昨今の複雑怪奇な大作と違って、私の頭でも楽々理解できました。(^o^) シュワちゃんとターミ姉ちゃん(無断引用、ゴメン)のひたすら壮絶な闘い(カー・アクションは「リローデッド」を超えています)を楽しんで、最後のオチで、「なぁ〜んだ」と言えばそれで良いのですから・・・(それにしても、あれからまた人類が繁栄するには時間がかかり過ぎますが・・・)。
この「T3」を「T2」と比べては多分いけないのでしょう。余りにも「T2」は良く出来すぎていました。しかし本作品も言わば同窓会的視点で温かく見てやれば、それなりに楽しめること、請け合いです。
(劇場)
2003.07.15 トランスポーター ★★★
- リュック・ベッソンの製作、脚本による作品。タイトルは「運び屋」の意。
主人公(ジェイソン・ステイサム)が、足のなが〜い女性(スー・チー)を担いでいるスチール写真(死語か?)が印象的です。
つかみは、充分。主人公のこだわりがユーモアたっぷりに披露されます。その後のカー・チェイスなどの展開も飽きることなく見せてくれますが、後半に入って段々おかしくなります。特にスーの父親役が出てきてから、とたんに火サス状態のいかにも安っぽい展開に・・・。東洋に拘っているベッソンの趣味なのでしょうか?
それでも意表をつく二つの爆破シーンには、ビックリさせられはします。特に二つ目のヤツには、そのあまりにも奇想天外さに大笑い。でもこういうの、好きです。斬新なカメラ・アングルや不自然な弾道・・・。多分「マトリックス」を意識していますね。
いずれにしても順調な前半に比べて、次第にストーリーが破綻していく(ついていけない、とも言う)後半が残念。ただ、油のヌルヌル・アクションは見物かも。
ステイサムの動きは凄い・・・。ワイア・アクションを用いているのかも知れませんが、あまりそれを意識させません。しかし、いかにも薄いオツムが心配です。第二のブルース・ウィリスか・・・?(^o^)
台湾のスー・チーも中々良い味を出しています。サービス・ショットもありますし・・・。(^_^;)
オリジナルはフランス語のはずですが、英語の吹き替え(?)になっているようです。変なの・・・。(^_^;)
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2003.07.07 運命の女 ★★★☆
- 妻を寝取られた可哀相な夫をギア様が演ずるというので、それを楽しみに見ました。(^o^)「危険な情事」などのエイドリアン・ラインの監督作品。
「危険な情事」は「浮気の代償は大きいぞ」という警告、兼エロチック、兼ホラー映画でした。本作品もエロチックな浮気警告映画ではありますが、ホラーの要素は殆ど無く、代わりにしっとりとした心理描写にも重点を置いた見応えある作品に仕上がっていると思います。
冒頭の映像と音楽が美しい・・・。お、これはいいかも、と期待をさせられます。その割にはそれに続く強風の中での男女の出会いが、ややわざとらしい。しかし、恵まれていて何の不満も無いはずの主婦(ダイアン・レイン)がズルズルと若い男(オリヴィエ・マルティネス)にただ一つの目的(判りますね?)のためだけにのめり込んでいく様は、けっこうリアルです。
ギア様が妻の相手の男に会った以降の展開には、一瞬「危険な情事」の逆バージョンかと思いましたが、そうではありませんでした(^o^)。終盤の苦悩するギア様、確かに可哀相ですねぇ・・・。ま、結局ダイアン演ずる妻が全て悪いのですが・・・。
終盤の興味はただ一点。彼らはどういう決着をつけるか?でしたが、余韻を残したラストに唸りました。結局アレしかありませんね。
ただこの邦題はいただけません。何が「運命」なのか、意味不明です。(原題は「unfaithful」=不貞)
本作品でオスカーにノミネートされた他、数々の賞を受賞したダイアンの演技は流石です。特に男と初めての情事を列車の中で思い出すシーン。凄いですねぇ、リアルですねぇ・・・。(^_^;)
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2003.07.01 K-19 ★★★☆
- 劇場公開時、見ようと思っていたのに見逃してしまっていた作品。随分大々的に宣伝していましたね(3DのK-19の文字から泡がブクブクと・・・)。
見始めてから、これはテレビ映画「敵対水域」のリメイクだと気が付きました。でも少しずつ設定が変わっていますし、当然スケールは大きくなっています。
1961年の米ソ冷戦中に、アメリカの海域で起きたソ連の原子力潜水艦の、ある危機を描いた作品で、実話に基づいています。従って、同じ潜水艦ものでも「U-571」のようなアクション大作というよりも、艦長(ハリソン・フォード)と副館長(リーアム・ニーソン)の確執を中心としたヒューマン・ドラマといった趣があります。
ただ、ちょっとわざとらしい演出が鼻につかないこともありません。フォードは完全な悪役として振る舞うのですが、終盤何故か突然良い人になってしまうという、ありがちな設定になってしまっています。しかもニーソンがトウトウと彼を庇う演説をぶって、ホラホラ感動しろと訴えます。極め付けは、それから年月を経た後の墓地でのシーン。「シンドラーのリスト」しかり、「プライベート・ライアン」しかりで、ハリウッドが好きなエピローグですね。
核の恐怖が描けているという点では、この作品は大いに成功しているのではないでしょうか。「アナタは入れますか?」「入れませ〜ん(^_^;)。」こういう史実をよくロシアは公開したものです。劇中でも、ガガーリン以前に宇宙飛行士が居たが事故死したために歴史上から抹殺された、などというお話が披露されます(つくづく、暗い・・・)。
なお、本作品もご多分に漏れず、ロシア人全員が英語を話しますので、覚悟して見ましょうね。しかし、フォードは1/4はロシアの血が混じっているそうですから、許すことにしましょう。(^o^)
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2003.06.29 ボーン・アイデンティティ ★★★★
- ベストセラー小説の映画化なのだそうな。主人公の名前がジェイソン・ボーン。で、記憶喪失になった彼が自分のアイデンティティ(日本語にしにくい言葉ですね、これは)を探し求めるお話、というところからこのタイトルが付いています。
中盤まで見ていて、同趣の「ロング・キス・グッドナイト」(ジーナ・デイビス主演)を思い出しました。ただあちらのような派手なドンパチやトリッキーな部分は全くありません。正統的なスパイ・サスペンスものに仕上がっていて、これはこれでとても好感が持てます。私は大いに楽しめました。
しいて派手なシーンを上げると、軽(?)自動車によるカー・チェイスと、ら旋階段での銃撃戦くらいでしょうか。両シーンは中々見応えがあります。
残念だったのは、ジミー君が任務に失敗する理由。バリバリに鍛え上げられたスーパー級のスパイが、あれはないでしょう。それと結末が説明不足だったこと。ああいう落とし前をつけるのであれば、それが主人公の身の安全を保障することに何故なるのか・・・。
ハリウッドのジミー・大西こと、マット・デイモンがアクションものを演ずると知って、大丈夫かと思っていたのですが、どうしてどうして目にも留まらぬ敏速な動きをしているのに、ビックリ。まさか、VFXではないでしょうね。ジミー君の新境地です。ただ、しばしばマーク・ウォルバーグとダブってしまいましたが。
相手役は「ラン・ローラ・ラン」のフランカ・ポテンテ。悪くはありませんが、ジミー君がジミ(^o^)なだけに、もう少し華のある女優を配して欲しかった・・・。
ジミー君のボス役は、これ以上はまりようがないくらいのクリス・クーパー。この人が登場すると画面が引き締まります。
それにしてもやっぱりジミー君は、どうもスパイには見えなかったなぁ・・・。
(DVD)
2003.06.22 マトリックス リローデッド ★★★★
- 言わずと知れたウォシャウスキー兄弟の超話題の最新作。ようやく見ることが出来ました。過剰な期待は禁物ということは百も承知なのに、例の緑色のカタカナ混じりの文字列が現れるオープニングでは、少年のように胸がワクワク。私もまだ若いな・・・(ヨウチとも言います)。
仮想世界のマトリックスと対極の現実世界にある地底都市「ザイオン」に、大量の殺戮マシーン「センティネルズ」(例のイカの化け物ね)が迫ります。ネオ(キアヌ・リーブス)、トリニティー(キャリー=アン・モス)、モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)らは、それらを食い止めることが出来るか・・・。
噂どおり、第一作よりアクション・シーンはパワー・アップしました(お金をかけたという意味で)が、哲学めいた冗舌なセリフ回しはストーリーを難解にしてしまいました。モーフィアスの大演説も何故か白々しく聞こえてしまう始末。そのため、アクション・シーンとセリフ・シーンが分裂気味になってしまったのは、残念。脚本のまとまりの問題でしょうか?
それでも、100人のエージェント・スミス(ヒューゴ・ウィービング)との闘い、邸宅風の吹き抜け(?)での闘い、ハイウェイでの凄まじいカー・バイク・チェイスなど、思わず身体に力が入りました。しかし、一作目で以後の映画で次々に真似をされたと言う、フロー・モーション撮影のインパクトに勝るVFXは無かったと言い切れます。
恋愛映画度は確実に高まって、子供の観賞は大丈夫か?という感じに・・・。ネオとトリニティーはいつから、ああなった?(^_^;)
モニカ・ベルッチが相変わらず「掃きだめに鶴」的存在で、ギラギラとしたデジタル的雰囲気を優しく癒してくれます。その対極が、イラつく存在の双子のニール&エイドリアン・レイメント。意外と弱くて拍子抜けでしたが・・・。
一作目の「マトリックス」の仕掛けの解明、ネオの救世主としての自覚、そして運命は自ら切り開いていくという悟り、などの展開の新鮮さに勝るものは、この二作目には残念ながらありませんでした。
個人的には、一作目のオペレータ役で良い味を出していたタンク(マーカス・チョン)が出ていなかったのが、かなり残念。(-.-)
(劇場)
2003.06.16 クイーン・オブ・ヴァンパイア ★★☆
- 店頭でパッケージの解説をチラと見たら、ヴァンパイアがロック・スターになる、などとあったので、一時は敬遠していたのでした。それでもヴァンパイアものが好きな私としては、気を取り直しての観賞です。トム・クルーズとブラッド・ピットの共演で話題を呼んだ「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア」の続編とのこと。
ヴァンパイア(スチュアート・タウンゼント)が100年の眠りから覚めるきっかけはロック・ビートだった、というのはマジなんですね。原作もそうなのでしょうか?何となくバンパイアもの特有の湿った恐怖感からは、ほど遠いような・・・。終始、MTVのような感じです。
人間と共存しようとする種族と、人間を絶滅しようとする種族の戦いというのは、「ブレイド」や「X-MEN」のシチュエーションそっくり。まあ、判りやすくて良いのですが・・・。
コッポラの名作「ドラキュラ」に代表されるように、ヴァンパイアものは大抵その運命の深い悲しみが描かれることが多いですし、それがまた魅力なのですが、本作品はそれが希薄です。ヴァンパイアの女王(アリーヤ、本作品が遺作)もインパクトがあったのは、クネクネダンスの登場シーンだけ。最も邪悪で最強のヴァンパイアという割には、その後は余り存在感がなく、あっけなく粉々になってしまいます(ここのVFXは見物かも)。
タウンゼントは、それなりに良い雰囲気を出しているとは思います。しかし、トム・クルーズの役柄を引き受けるには荷が重かったようです。
それにしてもビデオ・パッケージのアリーヤは良く撮れていますね。合掌。
(DVD)
2003.06.09 ハードキャッシュ ★★★
- 「現金を中々手に入れられない」、という意味らしいタイトルからの印象は、B級ムードがプンプン。それでも立派な劇場公開作品で、クリスチャン・スレーター、ヴァル・キルマー、ダリル・ハンナという豪華布陣に誘われての観賞です。
現金強奪のプロ(スレーター)とその仲間達が繰り広げるトリッキーなクライム・ストーリー、というところでしょうか。
序盤から中盤にかけては、すこぶる好調です。小人のヴァーン・トロイアー(あの「ミニ・ミー」ね)が現れる件(くだり)と、馬券売り場の強盗シーンのその後の顛末などは、おお、そう来たか、と感心してしまいました。
しかし、その後がいけません。カーチェイスは平凡でフラストレーションがたまりそうになりますし、現金輸送車の襲撃シーンも工夫がなく、船上のクライマックス・シーンも何となく「火サス」風(って、「火曜サスペンス劇場」など子供の頃以降、全く見たことがないのですが)。やはりこの手のサスペンスは、ネタに新鮮味がないといけません。子役を絡ませ、正義を重んずるという、いかにもハリウッド風な結末は良しとしても。
スレーターは好演なのでしょうが、あの狐目を私はどうしても好きになれません。イマイチ主人公としての重みに欠けるというか・・・。
キルマーも、序盤から訳の判らないゴタクを並べるばかりでいっこうにうだつが上がりません。太めになって動作にキレがなくなったような・・・。ハンナは手足の長さが強調されるばかりで、顏の表情が見えません。もっと良い女優のはずなのですが・・・。
「オースティン・パワーズ」シリーズでは全くセリフのない、ヴァーン・トロイアーの声が聞けたのは、収穫でした。(^o^)
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2003.05.25 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ ★★☆
- アンジェリカ・ヒューストンが居るせいで、何となく「アダムス・ファミリー」を連想させるカバー・ジャケットです。そこに写っている、一クセも二クセもありそうな人間ばかりの「ロイヤル・テネンバウムズ一家」の家族再生の物語。3人の子供達やその妻との関係がバラバラになってしまったトホホ男が、20年ぶりに家族の絆を取り戻そうとするお話、ということでしょうか。
ヘンチクリンなのは登場人物だけでなく、ドラマの雰囲気もそうです。コメディなのでしょうが、独特の虚脱感のある変なムードが漂います。脈絡の無いショート・コントを、いくつか繋げたような感じもしたりして。監督の指示なのでしょうが、敢えて感情表現を抑えようとしているキャストを見ていると、何かしら欲求不満がたまるような・・・。
服装にはかなり拘っているようで、ベン・スティラーとその子供達の赤ジャージ姿が、葬儀の時は黒ジャージに変わったりします。グウィネス・パルトロウのパンダ・メイクは凄まじく、指の件には独特のブラック・ユーモアが漂います。アンジェリカとダニー・グローバーの恋は、何故かしっくりしません・・・。ピッタリきたのはジーン・ハックマンと、彼の孫に関わる数々のエピソード。ジーンの心情を思うとジーンと来ました。(^o^)
ニューヨーク・タイムズ紙が「2001年ベスト・ムービー」に選んだのを始め、米国ではマスコミからの評価がかなり高く、劇場でも大ヒットしたとのこと。ま、米国人は「家族再生テーマ」がお好きですからね。しかし日本ではどうだったのでしょう。この映画の持つ独特の世界観は、中々受け入れられなかったのではないでしょうか?
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2003.05.19 ディナーラッシュ ★★★
- タイトル(「Dinner Rush」)は、文字通り「夕食時の混雑」を表しています。ニューヨーク・トライベッカの実在のイタリア料理レストラン「ジジーノ」を舞台にしたサスペンス・タッチの群像劇。監督のボブ・ジラルディは、この店のオーナーだとのこと(何だ、お店の宣伝か・・・)。日本ではミニシアター系で大ヒットを記録したらしい。
劇中でも盛んにトライベッカが強調されるので、調べてみました。何と世界貿易センタのすぐ北側の地域でした・・・!大丈夫だったのでしょうか?
マフィア映画のような冒頭から一転して、舞台はレストランの厨房と客席に変わります。この店のオーナー(ダニー・アイエロ)と息子でその店のシェフ(エドアルド・バレリーニ)との確執、ギャンブル好きの副シェフとウェイトレスとの恋、マフィアによる店の乗っ取りの陰謀、戦争のような状態の厨房、得体の知れないカウンタ席のお客、などのエピソードが並行して描かれていく典型的な群像劇。最近流行りですな、この手は・・・。
ただ99分という短さの中では、それぞれの人物像やエピソードが深堀されず、やや中途半端な感じ。特にオーナーとチョコ・ケーキを食べる女性との関係や、刑事をわざわざ登場させた理由などがよく判りません。
グズグズとしたイマイチ盛り上がらない感じが続いて、最後に一気にカタルシスに持っていこうとする手法が成功したかどうかは、観客の受け止め次第。何もあそこであんなことせずに、外ででもやれば良いものを・・・。(-.-)
- 臨場感溢れる厨房の描写は流石と言うべきでしょうが、何故か料理の出来栄えは余り美味しそうではなかった・・・(あのソーセージ料理とかね)。
狐目のバレリーニが印象的。日本のタレントの誰かに似ているのですが、思い出せません。料理評論家役の女優さん、そのもの凄い形相にのけぞってしまいました。(^_^;)
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2003.05.04 チェンジング・レーン ★★☆
- タイトルや、「たった一度の無謀な車線変更、その瞬間、見知らぬ2人の男の人生が交差した・・・」などというコピーから、「スライディング・ドア」のような作風の映画かな、などと想像していました。そうではなくて、二人の男(ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン)が憎しみ合い、仕返しし、そしてまた後悔し、を延々と繰り返していく、という映画でした。(^_^;)
上記コピーほど大袈裟な車線変更ではなくて、あれは単なる接触事故ですね。まずはそれで拍子抜け・・・。その後もスピード感もなく、盛り上がりに欠ける展開に終始します。
しかも状況設定に無理や不合理がありすぎ。第一、あの事故が無かったらホントにお二人は間に合っていた?また、ジャクソンの白人二人への暴行、銀行での器物破損、ボルト抜きなどが、お咎めなしのはずがありません(完璧な殺人未遂ですよ)。
一方のアフレックも、呆れるほどの悪人で、感情移入は全く出来ず。あんなに利己的であくどい男が、最後には全くの善人になってしまうというものなんだかなぁ。
扱う材料は、離婚、不倫、汚職、アルコール依存症などをちりばめてはいますが、深堀されません。また、脇役にウィリアム・ハートやトニ・コレットなどの名優を用いていながら、余り効果的に絡んで無いような気がして、もったいないと思います。
折しも連休中。交通事故にはくれぐれも気を付けましょう。不幸にして起きてしまった場合でも、ユメユメ相手を罵倒して怒らしてはいけません。(^_^;)
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2003.04.30 イナフ ★★
- 本作品を監督したマイケル・アプテッドの前作は、「ワールド・イズ・ノット・イナフ」。よほど「ENOUGH」がお気に入りとみえます。(^o^)
TVでの予告編を随分見せられていましたので、見なくてもストーリーはおおよその見当がつきます。主人公(ジェニファー・ロペス)は、裏切り暴力夫(ビリー・キャンベル)からいかにして逃げ、いかにして決着をつけるか・・・。
前半、全く想像どおりの展開で殆ど面白みは無し。サスペンス仕立てのつもりなのでしょうが、わざとらしい演出が鼻に付くばかり。ジュリエット・ルイスがよくこんな脇役で出演したな、意外と彼女は美形なんだな、などと集中できません。(^_^;)
ところが中盤以降、ジェニファーが突然、女ランボーと化していくのには、ややビックリ。それでも分かりきった布石で先が読めてしまう展開に、相変わらず白け気味ではあります。要は脚本が雑なのですね。
結末も、ワン・サイドからの一方的な視点で強引に決着をつけるやり方に納得できません。オイオイ、それはバリバリの**ではないのかね?
ジェニファーの幼い娘役は、例によってハリウッドの子役の層の厚さを見せつけて、天才的演技を披露。後半の表情の変化は恐ろしくもあります。大悪役を演じたビリーは、何と「ロケッティア」の主人公役だったのですね。よくこんな役を引き受けたものです。
本作品は、DVの解決マニュアルとして見るならば、価値があるのかも知れません。(-.-)
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2003.04.27 シカゴ ★★★☆
- 第75回アカデミー賞で作品賞、助演女優賞(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)など6つのオスカーに輝いた超話題作。1975年に初演されたボブ・フォッシー製作による舞台ミュージカルの映画化です。
1920年代のシカゴを舞台に、ダンサーとしての成功を夢見る二人の女性(レニー・ゼルウィガー、キャサリン)と悪徳弁護士(リチャード・ギア)が絡むサクセス・ストーリー、とでも言うのでしょうか。
とにかく構成が凝っています。ストーリー展開の、ある部分がいきなりミュージカル・シーンで同時並行するのです。最初は戸惑いましたが、見ているうちには慣れっこに・・・。でも、これは好き嫌いが分かれるかも知れません。私は恐怖の(^_^;)ミュージカル映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を想起してしまいました。
冒頭、キャサリンが踊り始めるまでのスピード感に圧倒され、その後も終始映像はきらびやかでダンス・シーンはとてもダイナミック。でも何故か途中で、モーレツな睡魔に襲われてしまいました。これはストーリーを追ってはいけない映画だなと、気を取り直して、ひたすらミュージカル・シーンに没頭することに・・・。(^_^;)
アカデミー授賞式での妊婦姿がちらつくキャサリンは、確かに存在感は十分。でもすっかり重心が下がったような体型に、ややガッカリ。「マスク・オブ・ゾロ」や「エントラップメント」のような清楚で可憐な感じは、いったい何処へ?
レニーはまさに姿、声までがモンローそっくり。貧乳を除いて・・・(「ブリジット・ジョーンズの日記」のあれは偽物だった?)。
ギア様がタップ・ダンスを披露したのには、ビックリ。でも、舞台ミュージカルの経験はあるのだそうな。
ラストの二人ダンス・シーン(「Nowadays」〜「The Hot Honey Rag」)には圧倒されましたが、部分的に映像をデジタル処理していたのがやや残念。
(劇場)
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