2000.03.13 フー・アム・アイ ★★
- ジャッキー・チェンの監督、主演による最新作。劇場公開時はかなり評判が高かった作品です。
特殊工作員の主人公(ジャッキー・チェン)は任務遂行中に重傷を負い記憶喪失に。徐々に記憶が戻っていく彼は、何故か巨大組織に命を狙われていきます・・・。
まず、ストーリーは工夫もヒネリも無く、展開の面白さは全く期待できません。テレビ・ドラマ以下・・・。
となると見物はやはり、チェンのスタント無しのアクションシーン。ラストクレジットでNG集(これが面白い)が披露されますが、ホントにトリック無し、命綱無しで撮影していることが判り唖然とさせられます。とくにやや傾斜のある高層ビルの屋上から下っていく場面が圧巻。一歩間違えば確実に死に至るという危険技。彼の作品は、毎回が「遺作となる可能性あり」とされる所以です。
カンフー・シーンも長時間にわたって披露されていて、好きな人は楽しめることでしょう。ただNG集を見ると相当苦労して撮影されていることが判りますが・・・。
主人公を助けるミシェル・フェレという日系人と、正体不明な記者を演じる正真正銘の日本人の山本未来が共演しています。ですから撮影の舞台はアフリカとオランダなのですが、何となく日本のテレビドラマを見ているようなオモムキです。
私個人としては、この手のものはどうもね・・・。
(ビデオ)
2000.03.09 オースティン・パワーズ・デラックス ★★
- 007シリーズなどのスパイ映画を、徹底的にパロディー化したコメディ映画。「おばか映画」などという言葉がこの映画から生まれました。本国では、ほぼ同じ時期に公開されたスター・ウォーズ エピソード1と興業成績を張り合ったというのだから驚きです。
60年代ファッションへの回帰指向は好ましく思えても、強烈な下ネタのオンパレードには大きく好き嫌いが別れるところでしょう。前回のネタはそのまま基本的に踏襲しながらも、今回は更にパワーアップしています。またこういう映画の宿命ですが、翻訳者が相当苦労していることは明らか。絶え間なく繰りだされるギャグは、我々がどの位理解して笑えているのかは、はなはだ疑問。
マイク・マイヤーズが、主人公とドクター・イーブルの二役をこなしています。彼のアクションは、何となく洗練されていなくてぎこちなく見えてしまうのですが・・・。
今回の目玉はドクター・イーブルのミニチュアである「ミニ・ミー」ということなのでしょうが、あのような存在をもギャグとして扱えるのはやはりアメリカだからなのでしょう。
バート・バカラックとエルビス・コステロが「I'll Never Fall In Love Again」を演奏したり、ウッディ・ハレロソンなどがカメオ出演しています。
笑いに飢えていて、下ネタの大好きな人にはとりあえずお薦めですが・・・。(-.-)
(ビデオ)
2000.03.06 スリーピー・ホロウ ★★★★
- 「シザー・ハンズ」や「マーズ・アタック」などのティム・バートン監督によるホラー・ミステリー。やや残酷なシーンがあるということで、12歳未満は父兄同伴の制限付き映画になっていました。父兄と一緒なら見てもいい、というのも何か変だけど・・・。(-.-)
「Sleepy Hollow」(「静かな盆地」?)という小さな村で連続首無し殺人事件が起こります。犯人は何と首無しの騎士だとのこと。ニューヨークから警官(ジョニー・デップ)が派遣され、この事件を科学的に解明していこうとしますが・・・。
殆どモノクロに近く、全編暗い色調で描かれる映像がまず素晴らしい。首無し騎士は何かのトリックかと思わせていて、実はホンマモンの亡霊だということが判って唖然とするのですが、この首無し騎士の存在感が抜群なのです。霧がかかった暗い小道の向こうに、彼が大きな馬に跨がって剣をブルンブルン振り回しながら現れると、思わず拍手をしたくなるほどの大迫力。しかも剣さばきがスピーディで、次から次へと首を鮮やかに切り落としていきます・・・。(>_<)
前半はともかく、終盤のたたみかけが素晴らしく、大いに引き込まれてしまいました。
ジョニー・デップ演じる主人公は、二枚目かと思いきやこれがトホホの三枚目。おどおどした目つきは「シザー・ハンズ」を彷彿とさせます。バスト以外はあどけなさの残るクリスティーナ・リッチも、ゴシック的なメーキャップで好演。
難点は、前半の謎解きが説明不足で判りにくかったこと。ビデオなら巻き戻してもう一度見れるのですがね・・・。それに森に住む老婆のマンガチックなキャラクター。この部分でかなり作品全体の雰囲気を壊してしまっていたのが残念。
総指揮をフランシス・コッポラがとっているせいか「ドラキュラ」と酷似した雰囲気がありますし、また「エイリアン2」のパクリともいえるシーンも出てきて、愛嬌です・・・。
(劇場)
2000.02.28 サイコ ★★★
- これだけ不評の映画を見てみる勇気も時には必要です。
ヒッチコックの「サイコ」(1960年)のこれは完全再演版。いわばモノクロをカラーにしただけで、俳優の演技、カメラの動き、音楽まで全てコピーで、果たして映画化の意味があったのかなどと云われています。「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のガス・ヴァン・サントの監督作品。
私はオリジナルの細部までは余り記憶していないのですが、さすがにかの有名なシャワー室シーンなどは、カメラアングルなどを含めて全くのコピーだと判ります。しかし当然ながらというべきか、オリジナルのモノクロ画面が織りなすゾクゾクするような不気味さ、恐怖などは残念ながらこの作品には感じられません。また殺され役のアン・ヘッシュ(バスタブでのあの格好は可哀相!)はまだいいとしても、殺人鬼、ノーマン・ベイツを演じるヴィンス・ヴォーンは、オリジナルのアンソニー・パーキンスとイメージが余りにもかけ離れていて戸惑ってしまいます。その他、オリジナルには無かったシーンもいくつか挿入されているようです。ノーマンが隣室の着替えを見ながら自慰するシーンなどがそうですが、これなどは次につながる意味が全くないことから、追加しても中途半端なだけだと思うのですが・・・。
そうはいってもオリジナル未見の人であれば、これはこれで楽しめるのではないかと思います(実は私は今回でもけっこう引き込まれました)。そして次にサイキック・ホラー映画の原点であるオリジナルを見て、ヒッチコックの偉大さを思い知ればいいのではないでしょうか。
(ビデオ)
2000.02.27 シンプル・プラン ★★★★
- かつてこの原作本を読んだ時は、主人公らの余りの不運や悲惨な設定に辟易し、いっそ途中で読むのを止めようかと思ったほどでした。その映画化作品をまた懲りずに見てしまう私・・・。(-.-)
原作者はスコット・スミスで、この作品はスティーブン・キングが絶賛したということもあり、世界的なベスト・セラーになっています。「死霊のはらわた」、「クイック&デッド」などで有名なサム・ライミの監督作品。
真面目な主人公(ビル・パクストン)と冴えないその兄(ビリー・ボブ・ソートン)と友人の3人が、犯罪絡みの大金を偶然見つけます。それに端を発して静かにジワジワと進行する、彼らの悪夢と惨劇を描いたサスペンス・ミステリーです。
原作者が脚本を書いているだけあって、原作をほぼ忠実に映像化しているな、というのがまず第一印象。結末は判っていても、終盤の緊張感の引っ張り方がうまく、けっこう引き込まれてしまいました。やはり主人公らがどんどん悪い方向にハマっていく過程や悲惨なラストには、見ていて気が重くなります。一番悪いのは、主人公の妻(ブリジット・フォンダ)。女はホントに無理を言うんだから・・・。(-.-)
ここでのビリー・ボブ・ソートンの演技が評判になりましたが、彼の気張らない自然な表情はホントに素晴らしいと思います。ビル・パクストンもビリーに触発されて好演しています。
この映画は思いっきり気分が良い時に見ることをお薦めします。気が滅入っている時などですと、多分しばらく立ち直れなくなります・・・。(-.-)
(ビデオ)
2000.02.21 踊れトスカーナ! ★★★
- とにかく一度聴いたら耳に残って、つい口ずさみたくなるような軽快なテーマ音楽が魅力のイタリア映画。
イタリアのド田舎のトスカーナ地方に、道に迷ったスペインのフラメンコ舞踊団がやって来ます。地元の会計士である主人公(レオナルド・ピエラッチョーニ、監督も)は、なかでもとびきりの美女であるダンサー(ロレーナ・フォルテッツァ)に一目惚れ。さてその恋は成就するか、というこれ以上ない単純明快なラブ・コメディ。
舞踊団が登場するまでけっこう時間をとっているし、題名の割にはダンス・シーンはたった2回しかありません。スーパー・モデル級の5人のダンサーが群舞する、セクシーなダンス場面がとにかく素晴らしいのです。ストーリーは単純なんだから、もっとサービスしなくてはね。(^_^;)
この映画も主人公をとりまく登場人物が、極めて愉快に描かれています。能天気で好色でメチャクチャ明るい、典型的なイタリア人ばかり。特に主人公のレズの妹が、不美人であるが故に逆に存在感あり。平凡な主人公を強力にバック・アップしていました。
劇中、声のみで姿は見せないジーノなる人物がややミステリアスに描かれていますが、終盤正体が明かされ、彼の最後の掛け声とともに、例のテーマ音楽が流れ出すラスト・シーンが圧巻です。
(ビデオ)
2000.02.16 ワールド・イズ・ノット・イナフ ★★★★
- 全米でMGM映画史上最大のヒットとなった007シリーズの最新作。ボンドは前作に続いてピアーズ・ブロソナンです。
今回のボンドの敵は、元KGBのテロリストで脳に銃弾を受け、身体のあらゆる感覚を失った(!)冷酷な男(ロバート・カーライル)。その二人に絡むボンド・ガールは、最後までミステリアスな存在の大富豪の娘(ソフィー・マルソー)と核研究の権威である女性博士(デニス・リチャーズ)です。
ストーリー展開や毎度お馴染みの秘密兵器などには余り斬新さは感じられませんでしたが、やはり007シリーズ独特の小気味よいテンポや雰囲気が横溢していて、私はそれなりに楽しめました。
更には何と云ってもこの映画は、キャスティングの魅力でしょう。「フル・モンティ」や「FACE」などの渋い演技で抜群の存在感を示した、イギリスの個性派俳優のカーライルが、ボンドを圧倒します。もう一人はソフィー。33才になった彼女も相変わらず魅力は失われていません。ただ、いわゆるボンド・ガールのイメージとはちょっと違うかな、という気がしないでもありませんでしたが・・・。その点、とうてい博士には見えませんが、いかにもボンド・ガール的なのがデニスでした。
どうにもいただけないのが例のポスター。首輪をはめられてトホホ状態のボンドはないでしょう。(-.-)
お約束のラブラブのラストシーンで、ボンドがデニス扮するクリスマス・ジョーンズ博士に云う、「クリスマスは年1回だけ来る(come)ものだと思っていた・・・」というセリフには、脱帽です。(^_^;)
(劇場)
2000.02.13 ミス・ダイアモンド
- 初めて星無し、登場。(^_^;)
せっかく「バンディッツ」や「ラン、ローラ、ラン」など、最近好評なドイツ映画が、このような作品で評判を落としてしまうのは残念です。
「エントラップメント」ばりの女宝石泥棒と宝石商の策略を描いたドイツ映画ですが、とにかくヒドイ・・・。構成も演出も展開もアクションも殆ど子供だまし・・・、といったら子供に失礼なほど。
全員が吹き替えのような英語を喋っていたのも気になりました。
よくまあ、最後まで見たもんだ・・・。(-.-)
(ビデオ)
2000.02.12 真実の囁き ★★★
- 劇場未公開ながらも「プレミア」誌で四つ星が付けられた作品。脚本でオスカーにもノミネイトされました。
テキサス州での37年前の白骨死体をめぐって展開される謎解きとミステリー、それを取り巻く様々な人間模様を描いた、いわば群像劇。あっと驚くような展開もなく、淡々と過去と現在が交互に描写されて、それらの接点が次第に明確になっていきます。主人公(クリス・クーパー)の小さい頃からの恋人(エリザベス・ペーニャ)との再会と恋愛がサイド・ストーリー的に描かれていくのですが、ラストでそれが重大な意味を持っていることが明かされます。しかし、その秘密を知った主人公らのリアクションは、私には納得いきませんでしたが・・・。あちらではあんなことはそう問題にはならないのでしょうか?
特徴的なマスクをしていて脇役専門のようなクリスが、ここでは中々いい味を出しています。エリザベスも爽やかな色気を振りまいていて好演。マヒュー・マコノヘイがチョイ役で出ていますが、ややもったいないような・・・。
(ビデオ)
2000.02.07 シュリ ★★★
- 以前から韓国映画や香港映画を、どうも私は敬遠しがちです。そんな中、この映画の評判に背中を押されて都心の劇場まで出かけました。な、なんと封切りされて随分たっているというのに長蛇の列。いつものごとく若いカップルばかりの間に、一人うつむいて並びます。(-.-)
本国の韓国では「タイタニック」を遥かに越す動員数を記録したそうですし、日本でも封切り初日の動員数は「シックス・センス」や「エンド・オブ・デイズ」を上回ったんだそうな・・・。
爆弾テロを目的として潜入した北朝鮮側の工作員と、それを阻止しようとする韓国側諜報員の攻防を描いた作品です。タイムリミット・サスペンスあり、派手なアクションあり、壮絶な銃撃戦あり、悲しいラブ・ストーリーあり、と大サービス(セクシーなシーンは皆無です、念のため)で、これらが息つく間もないハイ・テンポで展開されます。底を流れているのは南北問題の悲哀。そこへ大悲恋を絡ませるものだから、ラストではあちこちですすり泣きが・・・。(-.-)
全編に流れる音楽もハリウッドばりの響きがあり、とても効果的です。気になったのは、やや強引で雑な展開や御都合主義が見られたことと、やたら主人公らに決めのポーズをとらせること。映像も暗めでやや見にくい。
え?あなたが主人公なの、と最初思わせたハン・ソッキュ(島田紳助、入っている)が、ラストでは堂々としたいい男に見えたのが不思議。悲劇のヒロイン、キム・ヨンジンは、やや演技が硬かったナ。
(劇場)
2000.02.05 オープン・ユア・アイズ ★★★★
- 98年度東京国際映画祭でグランプリを受賞した、珍しくもこれはスペイン映画。監督は弱冠26歳のレハンドロ・アメナーバルです。
ハンサムで裕福な若者(エドゥアルド・ノリエガ)が経験する摩訶不思議な世界を描いた作品。現実と虚構の世界が交錯するという点では「マトリックス」に通ずるものがあり、謎解きやSF的な要素も加わって、かなり見応えのある作品になっています。後半、やや冗長かなと思える部分はありましたが、最後まで引っ張ってラストで明快に答えを出してくれています。最後の最後は・・・、あれは余韻。
この手のヨーロッパ映画としては、珍しく映像も鮮明で美しい。ただ、これはかなりの低予算映画でしょう。もう少しSFXなどビジュアル面にお金をかけても良かったのではと思います。
ヒロインのベネロペ・クルスが素晴らしい。スペインのエマニュエル・ベアールという感じ(ボディもね(^_^;))。
ハリウッドでこの映画のリメイク権をめぐってかなりの争奪戦があったようですが、最終的にトム・クルーズが勝ち取ったとのこと。例によって湯水のごとくお金を注ぎ込んで、このオリジナルを越える作品ができ上がりますかどうですか・・・。
(ビデオ)
2000.02.01 ノッティングヒルの恋人 ★★★
- 原題の「Notting Hill」とは、ウエスト・ロンドンの小さな街の名前。そこを舞台にしがないバツイチの主人公(ヒュー・グラント)が、何と今を時めくハリウッドの大女優(ジュリア・ロバーツ)から惚れられてしまうという、大逆玉ラブ・コメディです。アメリカで大ヒットした作品。
よく「ローマの休日」と比較されます(男女の立場は逆だけど)が、あちらより遥かに非現実的な設定だけにかえって楽しめる要素があります。彼女は何であんな男に一目惚れしたか(誰でもチャンスはあるんだ)とか、彼女の心変わりはひどいじゃないか(女はみんなそうなんだ)とか、あの二人では長続きしないだろうな(続いたら承知せんぞ)、とか・・・。そういう心配のむきに用意された、ホノボノとしたラストシーンが心憎い・・・。
この映画も主人公らを取り巻く人々がとても魅力的に描かれています。特に主人公のルームメイト(リス・エヴァンス)はとてつもなく変なのですが、彼はひょっとして私生活でもああなんではないか、と思わせるほど。主人公の友人やその妻、妹、ホテルのフロントマンの絡ませ方も、心憎いばかりの演出です。
映画ファンなら思わずニヤニヤしてしまうセリフもいっぱい出てきます。
それにしてもジュリアの口は、年々大きくなっているのではないだろうか・・・。(^o^)
(ビデオ)
2000.01.29 恋のためらい フランキー&ジョニー ★★★
- アル・パチーノとミシェル・ファイファーの共演による、やや辛口のラブ・ストーリー。旧作です。
刑務所帰りのジョニー(アル)がようやくコックの職を見つけたのは、マンハッタンの安レストラン。彼はそこでウェイトレスとして働くフランキー(ミシェル)を見初め口説くのですが、彼女は過去の男のトラウマがあって、心を閉ざしているのでした・・・。
序盤でのレストランの経営者、コック、ウェートレス、その仲間たちの人物描写や彼らの猥雑な生活風景がとても面白い。ウン、居そうだな、こういう人、へぇー、あんな人も居るのか、などと、私はこの部分だけでも十分楽しめました。
肝心のラブ・ストーリーの方はどうかというと・・・、私はどうもこの二人には最後まで感情移入が出来ませんでした。ジョニーは唐突にフランキーを口説き始めるし、彼女は過去の傷を負っていて中々彼になびかない。相次ぐ執拗な攻勢にやっと落ちたかと思うと、また反発。それでもしつこく、しつこくジョニーは口説き続ける。フランキーは拒否し続ける・・・。しまいには、紳士の私でも「おめーら、いい加減にしろよ」と悪態をつきたくなってしまいました。
で、最後にようやく収拾したかに見えたのですが、多分あれではまた壊れるのだろうなと想像しつつ、欲求不満に陥りながらやっと見終えたのでした・・・。(-.-)
ミシェル・ファイファーは役柄で仕方がないのですが、終始疲れ顏で可哀相。
(BS>ビデオ)
2000.01.24 奇蹟の輝き ★★★
- 死んで天国と地獄の間を飛び交う主人公(ロビン・ウィリアムズ )の夫婦愛、家族愛を描いたファンタジー作品。ILMのCGによる天国と地獄の描写が話題となりました。
この映画はおそらく予備知識は無いほうが感動深く見られるのではないか思います。したがってストーリーは割愛。原題は「What
Dreams May Come」で、ハムレットでのセリフ、「死の眠りに就いたなら、どんな夢がやって来る」から引用されているのだそうな。
全編を貫き通す主人公の妻への、そして子供たちへの深い愛情はとても感動的なのですが、余りにも安易なラストで腰が砕けてしまいました。残念・・・。あれだけ引っ張ったのだから、結末はもっと説得力を持たせてくれないと・・・。
肝心のSFXですが、名画の風景画のようでユニークではありましたが、私にはそれほど目を見張るという感じはありませんでした。天国の概念が、その人(死人ですがね)の意識の仕方で現存世界と接点を持ちうる、などという新しい解釈で描かれていたのが興味を引いたところ。ただ、天国をあれほど美化してしまっていいのか、という思いは残りましたが・・・(あちらに早く行きたい、などと思う人が出なければいいのですが)。
いつもと打って変わって、落ち着いたロビンの演技が泣かせます。案内役のキューバ・グッディング・ジュニアも好演。
この映画の教訓。「命あっての物種(ものだね)」。(-.-)
(ビデオ)
2000.01.21 メビウス ★
- アリソン・エリオット(「この森で、天使はバスを降りた」のヒロイン)の主演ということで、期待して見たのですが・・・。
以前から得体の知れないフラッシュ・バックに悩まされている主人公(アリソン)は、夫とともに故郷のアイルランドに10年ぶり帰省します。故郷の屋敷には彼女の祖母と叔父(クリストファー・ウォーケン)が住んでいるのですが、そこの地下室には何と2000年前に沼に沈められたという魔女の死体が横たわっていたのでした・・・。
オカルト・ホラーというの設定なのでしょうが、構成がメチャクチャで訳がわからないということもあって、ちっとも怖くないのです。魔女は人間の体に次から次へと乗り移って転生を繰り返したいようなのですが、それが過去の怨念を晴らすことになるのかどうかも説明されないし・・・。
結局訳がわからないままに終始してしまうのでした。製作者の意図は一体何だったんだろう・・・。(-.-)
アリソンは、「この森で・・・」の時よりややふっくらしていて貫録がついていました。今回は魅力的にはイマイチ。ハリウッドの平幹二郎こと、クリストファー・ウォーケンは、相変わらずの怪演で、ホントにこういう役がピッタリです。
(ビデオ)
2000.01.17 ヴァイラス ★★
- 「アビス」の視覚効果でアカデミー賞を受賞した、ジョン・ブルーノの監督デビュー作品。
高度知的生命体である電磁波(!)が、人類を有害な生き物(ウィルス=ヴァイラス)として抹殺し、地球征服を狙うというSFホラーです。
「トゥルーライズ」のジェイミー・リー・カーテイス、ウィリアム・ボールドウィン、ドナルド・サザーランドといった渋い面々が出演しているというのに、B級ムードがプンプンと漂っているのは何故でしょう。設定が「ザ・グリード」、「遊星からの物体X」、「エイリアン」などからのコピーで、全く新鮮味が無いということと、知的生命体が作ったという割にはクリーチャーの構造が余りにもお粗末(うまく出来てはいるけど)であること、意志を持つ電磁波の意図が明確には感じられないこと、これみよがしの威しが多いこと、などからでしょうか。
「T2」や「ジュラシック・パーク」と同じスタッフによるSFXの出来が良いだけに、これは勿体なかった。
ジェイミーの折角の大熱演も、あれでは空しい・・・。(-.-)
- (ビデオ)
2000.01.10 エンド・オブ・デイズ ★★★
- 心臓を手術したアーノルド・シュワルツェネッガーの、復帰第一作目の話題作。
千年紀の終わりに復活し、ある女性と(ロビン・タニー)交わって新千年紀を支配しようとするサタン(ガブリエル・バーン)と、それを阻止すべくその女性を守ろうとする主人公(シュワちゃん)との攻防を描いたSFアクション。
聖書を題材にしたストーリー立ては興味深いですし、オカルトチックな導入部も中々良かったのですが、その後はヒネリに欠けた単純明快な展開で、結末も含めて先が殆ど読めてしまいました。おまけにご都合主義や理不尽な点が目立ちすぎ。サタンはライフルでは殺せないし、第一肉体を滅ぼしても他の人間に乗り移れるのに、何故大騒ぎして銃撃したか、とか、シュワちゃんだけ何故中々殺されないか(主人公だから当たり前か)、とか、サタンは何故あんなにエッチなのか(^_^;)、とか・・・。
少々のことでは驚かなくなっている眼には、あの程度のSFXやアクションシーンは平凡。ただ、気前の良い爆発シーンだけは印象に残りました。あれはCGでなく実写なのでしょうか、火薬の量が気になります。
サタン役のガブリエル・バーンの演技がスマートだけに、シュワちゃんのぎこちない演技が目立ってしまっていました。新星ロビン・タニーは、若き日のデミ・ムーアにそっくりで、これからが楽しみ。一番インパクトのあったのは、女性に絡む浮浪児。あれは強烈なキャラでした。
Y2Kと同様、2000年明けのタイミングがこの話のキーとなるだけに、昨年のうちに見た方は正解だったでしょうね。
(劇場)
2000.01.04 肉屋 ★★
- 映画雑誌「プレミア」で、珍しくも四つ星がついたイタリア映画。世界的なベストセラー小説が原作だそうな・・・。
医者から肉食を勧められたヒロイン(アルバ・ピアレッティ)は、美術館の館長をしている人妻。旦那はオーケストラの指揮者で、演奏旅行に出かけていて留守。彼女は近くの肉屋に肉を買いに行きますが、いつしかそこの主人(ミキ・マノイロビッチ)の性的魅力の虜になってしまいます・・・。
ヒロインが肉屋の主人にあっけなく参ってしまって、その後も二人の間での会話が殆ど無く、ただひたすら情事に耽る極めて官能的なシーンからは、文芸的、文学的要素などは殆ど感じることが出来ません(感じなくていいのかナ・・・)。主人公夫妻に子供が出来なくて、養子を貰う過程が描かれたり、ヒロインの英断で無名のアーチストの個展を開くエピソードが挿入されたりしますが、本筋と全く関係なし。旦那の指揮するオーケストラの演奏と、情事の場面をダブらせるラストが、ただ皮肉的でした。
う〜ん、困りますね、こういう映画は・・・。見ようによってはAVそのもので、家族と一緒に茶の間で鑑賞、というわけにはとてもいきません。R指定でなくていいのかなぁ。
アルバ・ピアレッティのふっくらした唇が何ともエロチックで、最高でしたが・・・。(^_^;)
(ビデオ)
2000.01.01 ゴールデン・ボーイ ★★★★
- スティーブン・キングの同名の短編小説が原作で、「ユージュアル・サスペクツ」(超お薦め)、「パブリック・アクセス」(お薦めしません)のブライアン・シンガーが監督した作品。原題の「Apt
Pupil(=優秀な生徒)」を「ゴールデン・ボーイ」などと陳腐に和訳してしまっています。
スポーツ万能で成績も優秀な高校生の主人公(ブラッド・レンフロ)は、あるとき元ナチの党員であった老人(イアン・マッケラン)の正体を見抜き、彼に近寄ります。そして、警察に通報しない代わりにアウシュビッツでの残虐行為を話して聞かすよう脅迫していきます・・・。
抑制の効いた語り口で展開される心理作戦を、やや退屈と思いながらも我慢して見ていると、中盤以降、俄然動きのあるサスペンスに富んだ展開となり、大いに引き込まれてしまいました。キングの原作もさることながら、やはりシンガーの巧妙な演出によるところ大でしょう。特に少年と老人の運命を対比させながら、ハイ・テンションで描写されるラストは、秀逸だと思います。後味が悪いと言われているこのラストは、キングの原作と変えられてしまっているのですが、私としてはこちらを好みます。
71回アカデミー賞で主演男優賞にもノミネートされた、イアン・マッケラン(三国連太郎、かなり入っています)の抑えた演技が最高。彼は私生活でゲイのカミング・アウトをしているのだそうですし、レンフロはやけに裸を見せるし、オチもゲイがらみですし、う〜む、何か変だ・・・。(-.-)
(ビデオ)
1999.12.27 ライフ・イズ・ビューティフル ★★★
- 第71回アカデミー授賞式で、本作品が主要三部門のオスカーを受賞し、はしゃぎまくっていたロベルト・ベニーニが印象的でした。
この映画は前半と後半でガラリと趣が変わります。前半はユダヤ系イタリア人の主人公(ロベルト・ベニーニ)が、「お姫様」と呼ぶ恋人(ニコレッタ・ブラスキ)と結ばれるまでを描いているのですが、これがビックリ、殆どドタバタのコメディなのです。エディ・マーフィーも真っ青なマシンガン・トークにグッタリ・・・。そして後半は、場面は打って変わっての暗黒のアウシュビッツ。ところが主人公は、息子に自分たちの運命を悟られないために、前半と同じノリで嘘を付きまくります。特に、ドイツ語をイタリア語にメチャクチャに通訳するシーンは抱腹絶倒。ちょっとやり過ぎだなぁ・・・。結局息子のために嘘を突き通した彼は、その破天荒ぶりが裏目に出ることに・・・。
主人公の捨て身の息子と妻へのひた向きな愛は、万人が心を打たれることでしょう。終盤現れた戦車を見て無邪気に大喜びする息子が、何とも哀れでした。アウシュビッツでの残酷なシーンは全くありませんし、また顛末の悲劇をもサラリと描いていて、それはそれでこの映画としては正解なのでしょうが、やや消化不良の感も無きにしもあらず・・・。
妻役のニコレッタは、実生活でもベニーニの奥さん。子役の演技(驚いた顏など)がややぎこちなかったのが、少々気になりました。
(ビデオ)
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