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The Decca Sound



 デッカ栄光の録音史から厳選した豪華50枚組とのことです。「TheDeccaSound」という商品名からして力の入りようがわかります。ネットで検索してみると、いわゆる名演とされているものも多く含まれているので、ボックスセットの中でも特にお買い得だと思います。1960年前後の古い録音のものから比較的新しいものまであり、古いものでもきれいなサウンドであることに感心しました。
 50枚のCDの中から、いくつか紹介します。



メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲
(チョン・キョンファ(ヴァイオリン) シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団)

 この曲はあまりに有名であって有名すぎるくらいなので、以前は積極的に聴こうとは思いませんでした。TheDeccaSoundに収録されていたので聴いてみたところ、とても素晴らしい演奏でした。素晴らしすぎて困ったことになってしまいました。(こちらのページ


ブルッフ: ヴァイオリン協奏曲第1番&スコットランド幻想曲
(チョン・キョンファ(ヴァイオリン) ルドルフ・ケンペ指揮、フィルハーモニア管弦楽団)

 このCDでブルッフが作曲した曲を初めて聴きました。ヴァイオリン協奏曲だけではなく、スコットランド幻想曲も気に入りました。幻想曲と名付けられていますが、ヴァイオリン協奏曲と同じようなものと言って差し支えないと思います。冷え冷えしたスコットランドの草原で、とても熱い演奏を聴いているかのようです。独奏ヴァイオリンが素晴らしく、オーケストラもヴァイオリンをしっかりと支えています。


ドヴォルザーク: 交響曲第8番&第9番
(イシュトヴァン・ケルテス指揮、ロンドン交響楽団、ウィーン・フィル)

 ドヴォルザークの交響曲といえば第9番「新世界より」がとても有名です。このCDで熱演を聴くことができ、最後まで気が抜けません。その中にあって、家路のメロディーで知られる第2楽章は意外にも淡々としています。それによって全体的なバランスが保たれているのかもしれません。第4楽章後半のホルンのソロは、高音が美しくてほれぼれとしました。終曲の音がデミネンドで最後は静かに終わります。アメリカにいたドヴォルザークの思いが遠い故郷まで届かないかのように・・・。
 第8番も9番に劣らず、いや、9番以上に良い曲だと思います。私は9番よりも8番の方が持っているCDが多いですし、聴く回数も多いです。全体的に美しくて気持ちの良い曲であり、その中でも特に第3楽章はとても優雅なメロディーで、誰でも踊りたくなることでしょう。私のお気に入りの楽章です。


メンデルスゾーン: 交響曲第3番「スコットランド」
(ペーター・マーク指揮、ロンドン交響楽団、)

 交響曲第3番「スコットランド」は、第1楽章から情緒豊かで、スコットランドには行ったことがないのに、その風景が思い浮かぶようです。第4楽章のコーダの迫力もなかなかのものです。
 この演奏を聴いたことがきっかけで、メンデルスゾーンの5曲の交響曲をすべて聴きたくなり、カラヤン指揮とアバド指揮の交響曲全集を買ってしまいました。1番から5番まで、どれも聴きごたえがあります。交響曲第2番は第1楽章がトロンボーンで始まるというなんとも珍しく、かつ、うれしくなる曲でした。


チャイコフスキー: 弦楽セレナード
(サー・ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団)

 この曲の冒頭部分が何年か前にテレビのCMで使われていましたので、その部分は誰でも聴いたことがあるはずです。聴けばわかります。ずうっと前からカラヤンの指揮するこの曲を何度も聴いていました。今回はマリナー指揮で聴いてみて、カラヤンとは違う良さを感じることができました。カラヤンの場合は濃密な演奏で充実していますが、聴き終わるとぐったりと疲れます。マリナーはもう少し軽い感じで気持ちよく聴くことができるので、これからはこちらを聴こうと思います。
 波間を漂い、そして流れるような旋律の第2楽章が私のお気に入りです。なぜ第2楽章はわずか4分間ほどで終わってしまうのでしょうか? 残念でなりません。


ボロディン: 交響曲第2番
(ジャン・マルティノン指揮、ロンドン交響楽団)

 ボロディンは「ダッタン人の踊り」が有名ですが、交響曲も3曲書いています。交響曲第2番のこの演奏では、第1楽章の冒頭は力強く、独特な響きでダイナミックに飛ばしていきます。第3楽章の最初のホルンのソロは、柔らかな音で、情感豊かなメロディーを奏でます。ボロディンはホルンの使い方がうまいと思います。そして後半に入ると、広大な中央アジアの景色が思い浮かぶような、オーケストラ全体の合奏が始まります。実に雄大で、ロシアの大平原が目の前に拡がっているような感覚を覚えます。


サン=サーンス: ピアノ協奏曲第2番、第4番、第5番
(パスカル・ロジェ(ピアノ) シャルル・デュトワ指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 フィルハーモニア管弦楽団)

 第2番は曲が始まってから1分以上もピアノ独奏が続きますので、ピアノ協奏曲であったことを忘れそうになります。美しいメロディーがどこまでも続きます。第2楽章と第3楽章も楽しく聴くことができます。
 第4番は悩んでいるような、ちょっとふざけているような、おもしろい雰囲気が漂います。そして、美しい洒落たメロディーが続いていきます。最終楽章である第2楽章の終曲に向けての盛り上がりはなかなかのものです。