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交響曲第5番 「宗教改革」



 この交響曲は祈りの曲です。第1楽章の冒頭から数分間は、心を込めて静かに、そして真摯に祈っているようであり、自然と敬虔な気持ちになります。私はキリスト教徒ではありませんし、宗教心に篤いわけでもないのですが、この部分はじんわりと心に響いてきます。
 続く第2楽章は、明るくて軽やかです。まるで天国を夢見ているかのようで、そこは自由であり、心休まる世界です。メンデルスゾーンは、このような幸福感を表すのが実にうまいと思います。
 そして第3楽章に入ると、音程が下降していく悲しげなメロディーが始まります。残念ながら現実に引き戻されてしまったようです。とても悲しいことがあったのか、それとも深刻な悩みを持っているのか・・・。いずれにしても、そんなときは真摯に祈るしかありません。
 最後の第4楽章は、また静かな祈りで始まりますが、途中から活発になっていきます。気分的に吹っ切れたようで、進むべき道が定まり、力強く歩んでいく姿を思い浮かべます。勇気が湧いてくるような終わり方です。

 私のおすすめは、サバリッシュ指揮、ニュー・フィルハーモニー管弦楽団。「祈り」の気持ちがこもった丁寧な演奏であり、心に染み入るようです。熱すぎず冷たすぎず、大げさすぎず淡白すぎず、ちょうど良いのが好印象です。