写真とクラシック音楽などなど・・・

見たくなかったもの



 子供の頃、絶対に見たくないものが二つあった。そのうちの一つは現実に存在するもの。もう一つは現実には存在しないはずのものである。


1.オオサンショウウオ

 これは現実に存在する。だから本に写真が載っていて、子供の頃にそれを見てしまった。見た瞬間、心臓が止まりそうになった。写真を見たことを後悔したし、現物は絶対に見たくないと思った。

 サンショウウオは、普通のサイズならあまり問題ない。決してかわいくないし、少し気持ち悪いが、見るだけなら問題ない。小さな普通のサンショウウオなら許してやってもいい。

 しかし、オオサンショウウオの大きさはなんなのだ。なぜあんなに大きくなってしまったのだ。普通のサンショウウオに比べて桁違いであり、あまりにも大きい。大きすぎる。「サンショウウオ」に「オオ」をつければそれで良しとするのは安易に過ぎる。そしてグロテスクだ。あの容姿であんなに大きくなるのは反則としか思えない。

 大人になってから、テレビで動くオオサンショウウオを見たことがある。子供のときに比べて拒否反応は少なくなったが、今でもできれば見たくないという気持ちに変わりはない。


2.半魚人

 子供の頃、ウルトラQというテレビ番組で見てしまった。魚と人間との中間的な存在であり、夜になると海から陸に上がってくるのだ。とても気持ち悪かった。

 当時の私の住んでいた家は海から1Kmほどのところにあったから、半魚人がやってきてもおかしくない場所だった。夜になると近くの道路を歩いているかもしれないのだ。なぜやってくるのかはわからない。やってくる理由がどうであれ、実際に存在するか否かも関係ないのであって、とにかく会いたくなかったのである。暗いときに道であったら卒倒してしまうだろう。絶対に存在してほしくない。

 テレビで見て以来、夜の道を一人で家に帰るときは「半魚人と会いませんように」といつも祈っていたのだった。