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吹奏楽コンクール

2010年1月18日UP


 私は中学生と高校生のときに吹奏楽部に所属して、トロンボーンを吹いていた。吹奏楽部にとって年に一回の最大のイベントは、コンクールである。コンクールで良い演奏をするために、一年間の長きにわたって部員は練習を重ねているのである。田舎の学校であったから、部員があまり多くなく、全国大会のあるA編成には出場できなかった。A編成よりも人数の少ない組での出場ではあったが、それでもコンクールが最大のイベントであることに変わりはなかった。

 多くの観衆の前で演奏する機会はあまり多くない上に、それまでの練習の成果を出さなくてはならないとの思いが強すぎて、コンクールではとても緊張したことを覚えている。晴れ舞台のはずなのに、精神的には、とても苦しかった。今から考えてみれば、苦しさを感じた時点で負けだったのかもしれない。

 それから20年以上たって、同じような、いや、もっと強い緊張と苦しさを経験することになるとは想像もしていなかった。私の二人の子供が中学校で吹奏楽部に入部し、やはりコンクールに出場したので、それを聴きに行ったのだ。二人合わせて5回も聴きに行った。観客席で聴いていて、指の先まで含めて全く身動きできないくらい緊張した。自分が出場したときの緊張感とは比べものにならなかった。こんなに苦しい思いをするくらいなら、自分もステージの上で演奏した方がどれだけ楽なことかと思ったほどである。聴き終わった後は、とても疲れてぐったりしてしまい、肩も凝った。5回のうちの3回目は二人の子供が両方とも出場していたから、疲れも2倍だった。

 当時、私は東京都内に住んでいて、二人の子供も東京都の中学校に通っていた。大編成のA組に限り、東京都の予選は普門館で行われる。と書くと、吹奏楽コンクールのことを知っている人は「えええっ!!!」と驚かれるに違いない。普門館は、全国大会が行われる場所だからである。高校野球にとっての甲子園と同じだと考えれば良い。そんな素晴らしい会場で予選が行われるのだから、東京都の生徒は恵まれている。私としても、そんなことで普門館に行くことになるとは予想もしていなかった。そのために、よけいに緊張したのかもしれない。

 最近になって知ったことがある。私の部下であり就職してまだ数年の若者である I 君が、中学生のときと高校生のときに吹奏楽コンクールの全国大会に出場し、普門館で演奏したことがあるということなのだ。素晴らしい!。私の子供とは違い、東京都の予選で普門館に行ったのではなく、全国大会で普門館に行ったのだ。それを聞いただけで、私のとっての I 君の評価は誰にも負けない「三つ星」である。厳密に書けば、中学から高校にかけての I 君の評価ということかもしれないが・・・。