フライス(X-1)の

スピンドルモータ換装

ja1cvf  0908

フライス盤 X-1 は小型でお手頃価格でかなり人気があったのですが、小型化とコストダウンの結果多くの欠点もあります。
そのため私自身、使いながら改造を加えています。こちらに今までの改造等のlinksをまとめておきます。 直接本体改造ではないモノもあります。
また私の改造は出来るだけ市販品を使うようにして、誰でも作れること、具合が悪ければ元に戻れるように考えています。しかしどうしても元に戻れない改造もあります。

「フライスにデジタルスケールを」 (0408) 送りの読み取り精度向上のために。
「手作りCNCフライスに挑戦」 (0603) 自動化への第一歩です。
「フライス(X-1)の引きネジ改造」 (0810) ドリルチャック交換のために。
「フライス(X-1)専用切断機」 (0906) 正確な切断のためにフライスの利用です。
「コラムシャフトの補強」 (0906) 本体の基本剛性を向上させる改造です。
「スピンドルモータ換装」 (0908) パワーアップのためにモータの換装です。
「送り軸受けスラストベアリング化」 (0912) 送りネジのガタ解消のために。


スピンドルモータの換装でX-1はパワーアップしました。

スピンドルモータを三菱のAC-サーボモータに交換しました。 駆動系もベルトドライブに変更し格段に静かになりました。

題材のBellmex X-1
写真はカタログから引用

【 X-1のスピンドルモータは力不足 】

X-1のスピンドルモータ(主軸モータ)は最初から感じたのですが私の使い方には力不足でした。 それはモータだけの理由ではなく駆動系のギヤにも問題を抱えているように思います。

設計者に云わせれば「規格を超えてる使い方が不具合の原因です」と云う返事が戻ってくると思いますが、どうしても物足りないのです。
ハッキリ言ってHギヤに切り替えて使った記憶は殆どありません。
そして遂にパワー不足を解消するための動力部分の改造になりました。

問題点 その1) プラスティックギヤ強度の不足を感じます。
ギヤは2回ほど交換しました。いずれもギヤのキー溝付近が摩耗していました。ギヤ自体の強度が不足しています。 モータ軸のギヤは金属製(S45C)のギヤに交換しました。
問題点 その2) モータ制御に限界を感じます。
制御基板は安全のため保護回路が頻繁に作動します。私の使い方には耐えられないようです。使い方が過酷すぎるのか?
問題点 その3) モータからの漏洩磁束が多いのでドライバやスパナがモータの筐体に張り付く。 このフライスのスピンドル固定用引きネジがモータのすぐ脇にあるのでスパナが張り付き気分が悪いです。

 本来はもう一回り、あるいは二回り大きなフライスを使用するべきなのでしょう。
私は、作業台(作業室)の広さなどの問題でボール盤は持っていません。フライス盤をボール盤と兼用しています。
そのような使い方の中でいままでの改造や手に馴染んだコトなど検討し大型に買い換えるか、パワーアップ改造を試みるかを迫られました。
結論としてパワーアップ改造をすることにしました。 この改造によって本体の構造的強度限界を超え重大な損傷を招くことが予想されますのでお知らせしておきます。
その中で一番危惧される事項はZ軸スライド機構の破損が考えられます。万一この部分が破損した場合修復は不能と考えます。
この改造を参考にされる場合2次的に発生する障害について充分お考え下さい。
*Z軸(コラムシャフト)の取付け部補強済みです。


次に予想される強度不足部分
Z軸スライド機構部

【 モータの選択 】

X-1のモータは150W DCマグネットモータです。
入力は110V1.8A 約200Wです。
回転制御はPWM(パルス幅制御)です。
PWM制御はDCモータの使い方としては最適な方法かも知れません。 過負荷に対する保護回路も組み込まれておりその範囲で使用するには全く問題ありません。
私の場合過負荷を承知で無理な使い方をしていましたのでフューズが飛ぶこと度々です。 
その使用形態の結果駆動系のギヤなども損傷しています。
いろいろ挙げた問題点は自業自得すべて使い方の問題です。

改造の危険性
私のX-1はあちこち改造しています。このような改造はメーカの保証が得られないのは当然ですが、 強度のバランスが乱れ予想されない応力が加えられ重要部品の破損に繋がることがあります。
けして皆さんに改造をお勧めしている訳ではありません。
遊びの一環として紹介しています。

【 コレを踏まえて検討したのは 】

いずれモータ換装の時は来ると、将来に備え検討をしていました。

1) X-1より一回り大きなフライスなどで使っている同種のDCモータに交換。  交換するのが同種であれば、スパナなどの張り付きは解消されない。制御基板のパワーアップも必要。

2) ボール盤などで使ってる2~300WのACインダクションモータに交換。  モータの回転制御が難しい。逆転できない場合がある。タップ立てなどに使いにくくなる。コスト的に有利。

3) 2~300Wの3相インダクションモータに交換。 3相の電力がないのでインバータが必要。 インバータを使うことにより回転制御は簡単。モータの形状が大きい。

4)  産業機器などで使うACサーボモータに交換。
非常に高価。サーボアンプまたはインバータ(変則使用)が必要。モータが小型なので筐体に掛かる負担が少ない。

いずれの場合もモータの大きさが変わりますので、当然ですがすべての改造に於いて駆動系、制御系、重量に対する検討が必要です。 特に駆動系は騒音の問題からベルトドライブに変更したい。さらに正逆運転、回転数制御は必須条件です。
インダクションモータは、重さ、大きさ、の問題でZ軸の構造も考える必要がありそうです。
ACサーボモータは性能的には一番優れ、重さ、大きさの点でも一番良い選択です。 
しかし、コストは高くサーボアンプ(一般的に制御回路をこのように呼称する)などを含めると10万円を軽く超えるものになります。
  今回はサーボ機能はいらないのですがそれはサーボアンプを使うかインバータを使うかの違いです。 
*インバータ使用はアマチュア的使い方で性能は保証されません。

どれにするか「下手な考え休むに似たり」決めかねて無駄な時間が過ぎていました。
X-1もそれなりに動いていたのです。

コストの点、重量の点でDCモータになびきかけた時、友人から良い話が飛び込みました。
「廃番品だけどアンプ付き新品が破格で有るよ」
DCモータより安い価格です。

【 実はこの話にはチョットオマケがありまして 】

前述のようにX-1のモータ換装は以前から考えていたのです。行動に移すのはまだ先と思っていた矢先!
このACサーボモータの話があったのです。 何も準備してなく、他機種との検討もしてなかったのでまだ時期尚早といったんは断ったのです。


X-1のモータが急に拗ねてしまいました。
どこが悪いのかいじり廻してるうちに
ブラシのキャップを壊してしまいした。
故障の原因とは関係ない新たな障害です。

その数日後、急にX-1のご機嫌が悪くなりまともに動かなくなりました。
「シマッタ!断るんじゃなかった!」
でも、もしかしたら、まだ間に合うか!期待を込めて連絡してみました。
OKの返事を貰い急に改造工事が始まりました。
この友人にはX-1のリペア部品をいただいたり、今回の改造に必要な部品の購入にお手伝いただいたり、いろいろお世話になっています。 感謝!

【 入手したモータは 】

新製品発表で廃番品となった
三菱の HA-FF23B MR-J2−20B ACサーボモータセットです。
概要は
三相200Vまたは単相230V出力200W、回転数0〜3000rpm、質量(モータ)2.3kg
*新機種はさらに小型化されています。


入手したACサーボモータ200w
開封、基本動作テスト済み

【 何故単相230Vなんでしょう 】

三相は簡単に使うことは出来ません。 たまに単三(単相三線式)を三相と勘違いする方がいますけれど全く違います。
最近の住宅はほとんどこの単三方式で受電しています。
単三の場合2組の100Vと1組の200Vを取り出すことが出来ます。
ここで気になるのが「単相230V」・・・この電圧は電力会社から受電することは出来ません。 ・・・特殊なモータ・・・使いにくい・・・どうやらこの仕様が安売りの原因だったのかも知れません。
私がnetで見た同じ製品は値段も高い上にモータ単体でした。アンプがないと結構厄介な代物です。
友人が見つけてくれたモノはアンプ付きでモータ単体に近い価格で購入できたのです。
友人は「何かに使える」と確保していたようです。
ジャンクに強い友人の知らせ。私には朗報です。
「230Vは厄介」が私にはラッキーでした。

30Vの違いは15%電圧が低いことになります。 戦後の電力不足時代はもっと電圧が下がったモノです。15%の低下なんて気にしないことにします。
このサーボアンプは三相の時は200V(170〜253V)で働くように出来ています。

単相と三相の切り替えはなく指定の2線を使うだけ、欠相で使ってる感じの接続です。
つまり「200Vでも働くけど電力不足になるからチョット電圧あげて」と云ってるだけでしょう。 仕様書をよく読みますと単相の場合許容動作電圧・AC207〜253Vとなって±10%の変動を保証しています。
保証はされなくても基本的に200Vで動作可能と判断しました。
私の部屋には200Vのコンセントが有りますのでそれを使う予定・電圧が低いのでフルパワーの時、問題が発生するかも知れません。 それはその時考えることにします。

【 200Wの合理性 】

150Wから200Wへの変更。考えようによっては効果が薄いのではないか?  もう一回り大きい方が良いのではと云う疑問も感じます。
出力表記が正しければ約20%UPと云うことになります。
オリジナルの150WDCモータは1/4に減速(Lギヤ)してトルクを稼いでいます。それでもパワー不足になるのです。 実際に150W出力があるか疑問なのです。
X-1に400W3相モータを換装した人がいます。写真で見た限り減速ナシです。ACサーボの400Wを直結した人もいます。 両人とも「快適!快適!」とご機嫌です。「あの150WモータはOOだ」とも云ってたのです。
120Wの小さなインダクションモータを積んだ小型のボール盤1:1のベルト掛けで使っても10mmのキリなら力不足は感じません。
X-1での穴あけでは1/4に減速してるのにあえぎながらの作業になります。

計算では150Wの1/4減速はトルクから考えれば4倍に相当するはずです。 計算通りであればそれほどのパワー不足にはならないはずなんです。

私の場合は200Wを1/1.5の減速、回転数0〜2000、トルク的には300W相当のつもりです。
コレでパワー不足を解決できるかは微妙な選択です。
オリジナルのモータはそんなに効率の悪いモータなのだろうか?
もしかすると制御基板に問題があるかも知れません。
*150Wモータのトルクはカタログに出ていません。

200Wとは云え、今度換装するモータは充分な過負荷率を持った産業用として設計されたモータです。 その性能に期待します。

200Wと400Wの差はトルク的には1.6〜1.8倍位です。
300Wのモータというのは見かけません。本音はこの辺が欲しい。
400WのACサーボモータと換装した人もいます。
しかし、400Wと云われるようなハイパワーモータを載せた場合重量増加や切削時の応力がが フライス本体の構造に大きな危険が発生するかも知れません。
400W化した例を見ると重量及びスペースの問題もありX-1の機能を犠牲にしてる部分もあるようです。
私の場合もギヤによる変速機能は使用せず電気的変速のみで進めます。
200WACサーボの実力を信じよう!
パワーアップもコレが限界と判断し、さらなる力を必要とする時はあっさり諦め大型機にその作業をゆだねることにしましょう。

この微妙な選択を元に200WACサーボ計画を進めることにしました。 万一のパワー不足にはプーリ交換で対応(さらに減速)するのが最後の一手です。

【 電源系統の予定変更 】

予定した200Vのコンセントはチョット離れたところにあります。
近くにコンセントを移転する準備を進めたのですがこのフライスはコンピュータとの連係動作も考えなければなりません。 コンセントが別なのは何となく使いにくいので200Vコンセントの使用を止め 既にある100Vのコンセントを使用し200Vに変換するトランスを付けることにしました。 
実は偶然に220V→100Vと云うジャンクのトランスを入手したのでそれをひっくり返して100V→220Vにして使います。(500VAの容量が必要です)
コレで電圧不足の問題もクリア。 

感電防止のため簡単な木製ケースを造り それに収納します。4隅の角材の枠をベニア板で囲った手抜きの作品です。
それでもちょっと目には結構良くできたと自己満足の作品です。メインSWとLEDの表示灯を付けました。


木製のケースを作りました

このモータには運転用とは別に非常ブレーキ用に24Vの電源が必要です。
電流容量の表記がありませんので測定したところ
150mAほどです。24V500mAのACアダプタを見つけ使用しました。


木の箱にブレーキ用の
24V電源も合わせて組み込みました。

コレは作業台の上に固定するので不要かと思いますが大きさの割のとても重い(約8kg)ので取っ手を付けてあります。

実際に使用した感じで、電圧変換トランスの温度上昇が多いのでチョット不細工ではありますが正面をくり抜いてブロアを付けました。
コンセントの設置等は電気工事士の資格が必要です。資格試験は比較的簡単です。 もし資格をお持ちでないなら取得しましょう。
胸を張って電気工事が出来るようになります。

【 今回はサーボ機能を使いません。 】

単にスピード制御するだけです。
今回のモータ換装でACサーボモータを使ったのは、形状の割にトルクが大きいこと、を主眼に決めただけです。
その他便利な機能として可変抵抗でスピード制御が簡単に出来る、 ”正逆回転がSWで切り替えられる”等の機能も選択の要素になっています。
サーボモータの一番の機能である回転数をフィードバックして実回転数を制御する機能は使っていません。
比較用のアナログ電圧を変えて回転数制御するだけです。
全くもったいない使い方ですが安かったので気にしません。

サーボアンプとモータの結線は譲り受けた時テストしたままの結線です。 不勉強ですが接続回路についてはほとんど理解してないので教えられたままです。


X-1のモータはギヤボックス上に載っています。
見納めのオリジナルの状態。

【 プーリとベルトの注文 】

モータの位置が決まりましたので駆動用のプーリとベルトを注文します。
注文に当たってベルトのサイズや種類を決めなければなりません。net上にメーカの計算ツールが有りましたので計算は簡単にできました。 しかし専門用語が多くその結果に自信が持てません。
そのデータを持っていつも利用しているN商会へ。
追加加工があることでN商会では対応できないとのコト。それでも図々しく計算の確認だけはして貰いました。 どうやらOK、親切に感謝!

結局プーリとベルトの調達は友人に頼むことになりました。

私の計算に間違いなければ取付けは簡単なはずです。 うまく行くことを願って部品の到着を待ちます。


到着したプーリとベルト
予想通りの品が届き一安心。

廃番品とは云えモータは正規品・ プーリも付属のキーもピッタリ!当たり前のことですが気持ちが良い物です。
ところがスピンドル側はキーの規格が合いません。これは最初から承知していたことですがスピンドルの再加工は困難です。 プーリをキー無しで注文するか迷ったのです。
今回スピンドル側プーリにも不適合を承知でJISキー溝を入れて貰いました。
スピンドルは“中華規格”なんでしょうか、キーが少し細いのです。
コレに合わせてキーを加工することにしました。この加工はそれほど難しいモノではありません。
ホームセンタでスペアのキーを買って加工しました。


一般的にキーは右図のようにシャフトとプーリの間に嵌められた四角いモノです。
今回は左写真、左図のように凸型にしてあります。

加工そのものはフライスがあれば簡単なことです。
しかし、わたしの場合スピンドル改造工事中のフライスそのもので加工するのですから大変です。
フライス解体→寸法出し→フライス組み立て(原型)→加工→解体→加工品仮組確認→ 解体→組み立て(原型)→次の加工→・・・・・・・→
次の台座合わせも含めて、すべての部品が出来るまでこの行程の繰り返しです。

【 ベルトテンション調整機能付き台座 】

ギヤボックスの上に載ってるモータですが今度は取付後の調整が楽なベルトドライブにします。
そのためいままでのような取付は出来ません。ギヤボックスの中に入っているギヤと制御基板をすべて取り出します。 このボックスを作り替えることも考えましたが制御用SW類の取付、操作性を考えそのまま使うことにします。

*改造しても出来る限り原形を保ち、 場合によっては戻るコトが可能な方法を考えています。


ベルトの張り具合を調整出来るようにしたモータ台
気になる強度・ダメなら造り直そう。


台座金具とモータフランジの間に
段差解消リングを挟む。3mmベーク板で加工
コレは放熱の点で問題有り・アルミ板が望ましい


いろいろな方向からストレスが掛かるモータ台座
2mmのアルミ角パイプでは強度不足が気になります
締め付けは平鉄で作った補強金具です。


ギヤボックスに入っている制御基板と
問題のプラスティックギヤを取り外します。

ケース内部にモータ台座をつけ蓋は後から被せます。
この状態でモータとスピンドルの軸間は約80mm(調整可能)確保できます。薄手のタイミングベルトを組み込むことが可能です。
また、ベルトの張力をを調整できるようにモータ台座の片側を長穴にしています。
しかしこの台座の部材はあまりにもひ弱です。無負荷の場合は問題ないでしょう。 しかし衝撃的な負荷が掛かった場合どれほどの耐久性を持つか不安があります。試運転では安定していることを確認しています。
今回の使用法ではベルトのすべりは問題になりませんからVベルトでも良いのですがスペースの点でタイミングベルトを使います。 コスト的には割高です。

【 ギヤボックスの加工 】

ギヤボックスの所定の位置に穴加工が必要です。
6mmのバカ穴4個だけです。そんなに難しくないと云うより簡単な作業です。


溶接された金具を外したところにさび止めを。
用意してなかったのでペイントマーカを塗ったら、
この始末。見えなくなるとは云え恥ずかしい。

ところがこの加工にはボール盤(X-1フライス)を使うことが出来ません。
手持ちの電気ドリルでの作業です。
多少のズレは吸収できるようにモータ台座の方に工夫していますから何とかなるでしょう。


アルミ角パイプによるモータ台座
その下には高さ調整用5mmの塩ビシート使用。

台座スライド機構によりモータとスピンドルのプーリ掛け、張力調整等が簡単にできます。
ベルトの張り具合はカタログにはいろいろ書かれていますが測定も出来ず(方法も判らない)コレは“適当”に納めています。
試運転して振動など確認します。
プーリに書かれた不細工な6本の線。コレは回転数確認用・「テスタで回転計」の測定用ライン。 2000回転で異常震度もなく静かに廻ります。
参照:テスタで回転計


モータはギヤボックスの後側、制御基板があったりに治まります。
制御基板は外部のサーボアンプに変更され、
後の壁につきます。

モータが付いたらギヤボックスのカバー(オリジナルではカバーにモータが載っている) を加工しなければなりません。
カバーはモータの部分を四角く切り取るフライス作業になりますので最後の作業になります。


切り抜かれたギヤボックスカバー
上部の欠けた丸穴は旧モータの取付け部分。
四角の切り欠き部分にモータが入ります。


回転制御の可変抵抗(左)と正逆切り替えSW(右)
必ずしも良い選択ではないが使えるものは使おう。


ギヤボックスの後側・今までと同じ場所に
可変抵抗と正逆切り替えsっを付けました。

普通の使い方なら逆回転は殆ど使いません。
私の場合このX-1が唯一の工作機械と云っても過言ではなく逆回転も必要です。たまに使うタップ立てのために。そのためにも充分な低速運転が必要です。


こんな具合につきました。
前の方にある丸いモノこの改造には関係ない
メモ挟みのマグネットです。

モータの取付け・うまく纏まったつもりですが、フランジのスペーサも含めて放熱の問題では不利な条件となっています。取説ではかなり大きな放熱番を要求しています。特に作業が長時間に及ぶCNC加工では要注意です。


組み上がった新?X-1
作業台はますます狭くなりました。

作業台の上だけでは足りず、壁に張り付いているモノが多くなりました。
左上の半分しか見えない四角い箱が100V→220Vの変換トランス、その少し右側黒いケーブルが飛び出しているケースがサーボアンプ、 今後の活躍を期待します。

今回のモータ換装はチョットした思いつきがキッカケでスタートしたのですが何も判らずはじめてしまったことにモータ調達、 結線の方法、 駆動系部品の調達など助けていただいた「マイクロロボ」さん他に心より感謝申上げます。

【 調子は上々 】

わずか30%・150W→200Wのパワーアップ。そして全減速比の低下・1/2、1/4→1/1.5。
コレを見る限り総合的なパワーアップは出来るはずがない・コレが常識的判断でしょう。

コレを顧みずモータ換装計画をす進めたのはモータ自体のパワー不足より駆動系の脆弱性、 漏洩磁束により引きネジなどを廻す時、工具が張り付くことに嫌気を感じたからかも知れません。
いずれにしても計算上の出力は原型の約1/2、駆動系のロスを計算しても少し改善される程度。
あとは、モータの過負荷率の見方です。しかしオリジナルモータにはコレについて
何の記述もなく???
今までの経験からホビー用の場合70〜80%と見るのが安全と考えています。

【 アマチュア的能力試験です 】

「案ずるよりは産むが易し」 6mm厚の平鉄に6mmの穴を開けてみました。
今まではこのレベルの作業ではLギヤで800回転位またはそれ以下の設定でゆっくり穴あけしていました。 これ以上速くするとギヤ鳴りが酷く心配が先に立ちスピードダウンしていました。
今回は減速比固定です。回転数は1500くらい。気持ちよく廻ります。 ハンドルを強く押し青いキリコが出る位の強切削をしても回転が落ちることはありません。
あっという間に穴開け完了。
「気分爽快」です。 

その後、3mm厚の鉄板に23φのホルソを廻したところさすがに耐えきれずモータ停止。 再起動して切削量を少なくして穴開け成功。
これまたアマチュア的過負荷試験です。
サーボモータが過負荷になった時どういう振る舞いをするか知りませんでした。
ある瞬間、回転が落ちたと感じた直後モータは停止しました。
一般的なモータのように止ったまま“うなってる”ことはないようです。
負荷を外してもサーボアンプからはエラー表示が出て静かに停止しています。 自然に起動することはないようです。電源を落として再起動し切削量を落し23φの穴あけは完了しました。
*保護回路が完全に働き本体にダメージを与えることはないようですがこのような使い方はしまいようにしましょう。 障害が発生しても一切責任は負いません。

【 どうしてこんなに力強いのでしょう 】
* 過信しすぎたDCモータのPWM制御 *

元気よく廻るんだから良いじゃないですか! っていわれそう。
嬉しいのですが気になります。
大事なことに気がつきました。
DCモータはPWM制御で回転数を変えていると書きました。PWMはモータの通電時間をパルス状にして制御しているのです。 速く廻す時は通電時間が長くゆっくりの時は通電時間が短いのです。その時の電圧は一定です。
回転を半分にしたら通電時間も半分近くに減っているのです。 つまり電圧制御よりトルクの低下が少ないとは云え供給電力が減ってるのですから当然トルクも落ちるのです。
回転数を落として廻してると云うことは150Wのモータが80Wとか50Wの小さなモータに変わっていることになります。 目で追える位にゆっくり廻すと、手で押さえても止ります。通電時間が少なくなっているのです。
DCモータの限界がここにあったのです。
「PWM制御のDCモータは電圧制御に比べ トルクの低下が少ない」教科書にはこのように書いてあると思います。
しかし回転数を下げると云うことは確実にモータの出力が小さくなっているのです。
貧弱な駆動系のギヤ鳴りが気になり低速運転をしていたのでいつもパワー不足になっていたのでしょう。
汎用機が面倒なベルト掛け替えやギヤ交換して適切な速度で運転するのはやはり理にかなっているのです。

サーボモータの場合回転制御は周波数制御です。 供給電力は変わらないので回転を下げてもトルクは落ちないのです。
力強いモータを再認識しました。

今までのモータはすぐに熱くなりました。何℃まで使えるかは不明です。 それにもまして保護回路がすぐに働き、禁断の細工と飛ばないフューズ化をしていました。
*危険なことなので詳細記載は致しません。
モータがいつ焼けるか、制御基板がいつ焼けるか、ギヤがいつ壊れるか、と云う危険な過負荷使用の連続でした。

お陰様でこれからは100%の負荷では24時間運転も出来ます*。駆動系は200%で計算しました。
*モータの選定には多くの要素があり今回のテーマは必ずしもすべての条件を正しく理解していませんので間違いがあるかも知れません。 特に取付け方法は放熱に関して不適切な要素(放熱不足)があります。
この内容を参考にされる場合お気を付け下さい。

モータ出力比較 X-1に類似のモータの定格を比較してみました。
カタログの表示方法が違うため必ずしも適切に比較されているとは限りません。 私はフライスをボール盤代わりに使うことが多くその状態を含めての感想です。 主観的要素が強いので他の人と違う評価となる可能性があります。
X-1 150W(出力) DCモータ(4000rpm)
0〜1000、0〜2000rpm
低速運転・Lギヤでもトルク不足を感じる。プラスティックギヤ2段変速。
電圧制御よりトルク低下が少ないと云われるがPWM制御の限界を感じる。
プロクソン
16000
100W(消費電力) DCモータ 定格使用時間30分 小型で使いやすいとの評価がある。PWM制御と推定。
ホームセンタのボール盤 125W(250W消費電力) ACインダクションモータ 10mm程度のキリでも充分なトルク有り
ベルトドライブ、逆転不可。6段変速の効果を生かしている。
HA-FF23B 200W(出力) ACサーボ(3000rpm)
0〜2000
X-1に換装 ベルトドライブ1/1.5減速
低速でもトルクの低下を感じない。

 

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