フライス(X-1)のコラムシャフト補強

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フライス盤 X-1 は小型でお手頃価格でかなり人気があったのですが、小型化とコストダウンの結果多くの欠点もあります。
そのため私自身、使いながら改造を加えています。こちらに今までの改造等のlinksをまとめておきます。 直接本体改造ではないモノもあります。
また私の改造は出来るだけ市販品を使うようにして、誰でも作れること、具合が悪ければ元に戻れるように考えています。しかしどうしても元に戻れない改造もあります。

「フライスにデジタルスケールを」 (0408) 送りの読み取り精度向上のために。
「手作りCNCフライスに挑戦」 (0603) 自動化への第一歩です。
「フライス(X-1)の引きネジ改造」 (0810) ドリルチャック交換のために。
「フライス(X-1)専用切断機」 (0906) 正確な切断のためにフライスの利用です。
「コラムシャフトの補強」 (0906) 本体の基本剛性を向上させる改造です。
「スピンドルモータ換装」 (0908) パワーアップのためにモータの換装です。
「送り軸受けスラストベアリング化」 (0912) 送りネジのガタ解消のために。

私のフライス・おもちゃと云われる超小型。
コラムシャフトは後から支えるだけでどうも剛性に欠けます。

厚手のアングルで三方に補強を追加しました。
この改造でベースから250mmの位置でコラムシャフトの揺れが10/100mm以上もあったのが何と5/100mm以下に、横揺れは3/100mm以下になりました。
ヘッド部分を手で押したり引っ張ったりのいい加減なテストですが補強の効果を確認できます。

題材のBellmex X-1
写真はカタログから引用

【 コラムシャフトは片持ちなんです 】

小型フライスX-1はコラムシャフトの取付方法によりいくつかのバリエーションがあるのです。
その中で私のはどういう訳か悪名高き首が曲がるチルトタイプ。
一見便利そうなのですが重いヘッドを手作業では傾けられない。そしてそのチルト機構があるため他の機種に比べ剛性が極端に悪いらしい。ヘッドを正面から手で押すと1/10mmくらい動くのです。

この原因として考えられるのはコラムシャフトの取付方法がシャフト全体を支えるのではなく後側から支える・これが災いしてるのでしょう。


この様にチルト金具に横から固定されています

背面のネジをゆるめるとコラムシャフト全体を傾けることが出来ます。
ところが実際には位置出しピンが嵌めてありそのピンを外さなければチルトできません。
と云うことは設計段階ではチルト機構を考えたのですが実際には剛性不足になってしまった為か便利そうなチルト機構は幻となって使えないのです。
それで、チルト機構のないタイプが存在することになったのでしょう。


横から見るとこんな感じです
後だけしか固定されてないコラムシャフトの
前面、両サイドにアングルをアテ補強します
ビス穴は材質チェックのため開けて見ました

多くの方がいろいろな方法でこの補強に挑戦しています。そして皆さん成功してるようです。
その方法は足元を固めるコトにつきるようです。
私の技量では大きな鉄ブロックを加工するには力量不足です。
すべての補助金具すべてを作るのではなく、なるべく既製品を利用して補強に挑戦します。

足下の四方を固めるためには・・・既に固定されている後面以外の三方を固めましょう。
建材用アングルはカネ(直角)が出ていないと云われますが敢えてこれを利用します。
私が加工するよりマシでしょう。
なるべく加工を少なくして原型復帰も可能な状態で改造に掛かります。
足下のクリアランスとアングルの規格表を調べながらなるべく大きい部材を探します。
どうやらそこに使える最大のモノは10X90X90のアングルです。必要量は加工シロも含めて160mm程。ホームセンタで最低単位・1m(1000mm)買うのも大きすぎますけど仕方がないでしょう。
売り場を探して愕然としました。「そんな大きいサイズは有りません定尺(5500mm?)なら取り寄せでます」と云われて困ってしまいました。

netの端材屋ではもっと薄いモノしか有りません。こうなったら何処かの工場の隅にコロガッテル端材を探すしか有りません。掲示板に書いてみました。
「もう一回り小さいのなら有るけど」
「ウチの倉庫片付けたばかり」
「仲間の倉庫みてあげるからチョット待って」
窮すれば通ず。岩手の友人から、
「20センチ程で良ければ端切れがあるよ」との朗報。


送られてきたアングル早速切断しました。

使うのは小間切れにした3枚のアングルだけです。写真では小さく見えますがこれをディスクグラインダで切りましたがかなり危険な作業です。10mmというのはずいぶん厚いモノです。
真似しないように切断中の写真は敢えて伏せました。
切断後の整形は頼りないX-1ですが頑張って貰いました。


チョットあててみました・こんな感じになります

両サイドの高さはオリジナルの90mm、手前は3mm程削って87mmこれが他に影響を与えず補強できる最大の大きさです。
このアングルを固定するのは6mmビス。8mm程度を予定したのですが無理して鋳鉄のコラムシャフトが割れては元も子もありません。(鋳鉄は割れやすい)
手前のアングル固定ビスの頭がY軸テーブルの下端を通過できるのは17mmが限界。それ以上ならビスを沈めなければなりません。これは厄介です。
やはりビスは6mmがちょうど良い。

穴開けやその他加工は他に道具がある訳ではなくこのフライスでやるのですから大変です。
正確に作図して正確な加工が出来ればよいのですがフライスをバラシタし待ってはそれは不可能。
X-1本体は分解せずそのまま加工していきます。
もちろん分解しなければ穴あけなど加工できない部分もあります。その辺は臨機応変に!

アングルにケガキを入れとりあえず取り付け用の下穴として3mmの穴を開けます。この穴を基準にして本体側の穴開け位置とします。アングルの穴はボール盤代わりのX-1で開けますから難しくはありません。
それをフライスのベースにクランプを総出で固定します。
アングルの3mm穴をガイドにコラムシャフトやベースに穴あけします。当然のことですが手持ちのドリルで開けなくてはなりません。
写真で見えるコラムシャフトの側面は比較的簡単です。
しかしコラムベースの方は手持ちドリルの首が当たって垂直にドリルを立てられません。ロングドリルを使ってもまっすぐにキリをおろせません。キリのシナリを使って何とかごまかします。
貫通させようとせずマークを付ける程度でもOKです。あとはコラムベースを外して貫通穴を開けます。そしてさらに5mmのキリを通します。
6mmビスで固定しますのでコラムシャフト、コラムベースは6mmのタップ立て、アングル側はさらに7mmのキリを通します。
「緩すぎるんじゃあないですか」 ピッタリの穴を開けたいのはよく判りますけど手持ち作業の私の腕ではこれが精一杯です。余裕がないと嵌らなくなりそうです。
それでもヤスリで修正したところもあります。トホホです。

同様にフライスのベースとコラムシャフトの補強を付けましょう。これも手持ちドリルです。
こちらはテーブルを外せば少しは楽になります。

【 タップの垂直出し 】

タップの垂直出しはダイス程難しくはありません。上手なひとは目見当でやってのけますが私には難しいのでヤゲンを横にして谷のところにタップを沿わせて立てます。少し入ればあとは成り行きでも大丈夫です。

【 次なる弱点が目に付きます。 】

コラムシャフトが補強されるとヘッドを支えるレールが気になります。アリ溝の有効長は約90mm幅は約45mm。これはいかにも可哀想。
Z軸の移動はアリ溝をロックしてクイルを上げ下げすればアリ溝のブレは小さくなると思いこんでいたのですがエンドミルで研削する時はクイルをロックしなければならない別の問題が出てきたのです。
今まで気がつかなかったのは私だけか。使い方が悪いのか、またひとつ難問が発生しました。
この対策はまた次回に!

 

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