●英語の発音ではだれしも苦労したとおもいます。それどころか私など、今でもどう読んだものか迷う単語がいくらでもあって、どうもわからない。このフォニックスを手に入れ、はじめて「基本的なつづり字のルール」の全貌がはっきりしてきました。ほんとに有難いことでした。
考えてみますと、戦前の学校ではほんのわずかな英語しか教えてもらえなかったんです。そのことがどんな意味をもち、どんな結果をうむようになったかなど少しも気がつかず、みんな平気で少年時代を過ごしてきました。いまでいえば高校三年の年齢になって、いきなり、私にとっては難解な英語を教わりはじめました。すべての単語は辞書で調べ、すべてノートに書き出しました。二年目には 「EASIER ESSAYS」 という何篇かのっている本で習いました。
Literature is more than books. Boohs are only its shell;
and may be its prison unless they are regarded aright by readers.
これはその本の最初にあった 「The Art of Reading」 の冒頭の文でした。先生になってからは、当時はわりと先生には自由な時間があり、スチブンソンの 「DR.JEKYLL and MR.HYDE」 とか 「THE MURDER OF ROGER ACKROYD」 など読みあわせで読みました。
ところで、発音関係にはとても苦労しました。英語に接しているうちに、発音には何かきまりがあることに気づき、岩波の英和辞典の基本語 2888 の中からいくつかの項目をきめて全部書き出し、整理して「発音の法則」を作り出しました。それは昭和三十四年のことでした。
いまここに、研究社から出された「英語のつづり字と発音の指導」の要約をつくり希望者に渡すことが可能となりました。原本だと細かすぎて利用しにくいので、要約プリントにしたわけです。「つづり字と発音の指導」とありますが、学習者の手元にあったほうが都合がよいと思われます。この要約をできるだけ利用して、英語の学習に役立ててください。
英会話とともに、英語学習の第一段階では、英語が読める、英語の意味がわかる、英語が書ける、「よめる、わかる、かける」というこの三つが基本的に大切であるといえます。この中の、「よめる、かける」の橋渡しをしてくれるのが「発音の法則」即ち、ここにまとめたフォニックスです。英語専門の研究となればいざしらず、中学、高校、大学での学習には、充分役立つことと思います。 (平成二年十月)
次の子音字は発音されない。(黙字)
@語頭 kn-の k :know[nou]〜を知っている
gn-の g :gnaw[n :]かじる
ps-の p :psychology[saik l i:]心理学
wr-の w :write[rait]書く
A語尾 -mbの b :climb[klaim]登る
-mnの n :autumn[ :tm]秋
-gnの g :sign[sain]合図
-ghtの gh:night[nait]夜