中学の英語(その二)

………ここでは主として文章組み立て、即ち文法に関すること………
英語は単語と文法

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中学の英語(その一)
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中学の英語(その二)
《T》…教科書の単語
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    【前置詞句について】 【前置詞句…一年】
    【前置詞句…二年@】 【前置詞句…二年A】
    【前置詞句…三年@】 【前置詞句…三年A】

前置詞句について

中学生が英語の文構造を理解する場合、いわゆる五文型の理解は構造が単一
であればそう苦労することはなく、ここに取り上げる前置詞句が副詞的に使
われているか形容詞的に使われているか適確に把握することが一番難しいよ
うである。前置詞句が適確に把握できれば、文構造の理解も適確になるのは
当然のことである。たえず「なんだもんで?」という疑問意識をもとう。

          [1]前置詞とは何か
          [2]前置詞の種類
          [3]前置詞句の用法
          [4]前置詞の目的語
          [5]前置詞の位置
          [6]前置詞の省略
          [7]前置詞と副詞・接続詞との比較


[1]前置詞とは何か

   名詞の前に置かれる故、前置詞といいます。英語の prepositionの pre-は接
   頭辞であり「先の」「前の」「以前の」の意味を表わします。positionは、も
   ちろん「位置」であり名詞の「前に置かれる品詞」だから前置詞といいます。
   従って前置詞とはふつう、名詞・代名詞またはそれに相当する語句の前に置い
   て、これらと文の他の部分との関係を表わす語であります。この場合前置詞の
   後にくる名詞・代名詞またはそれに相当する語句を、「前置詞の目的語」とい
   い、他動詞の目的語と同様に目的格にします。
   前置詞句の用法をマスターしますと、英語の文構成の仕組みが見分けられるよ
   うになり、英文読解力はめきめきと身についてまいります。基本事項をよく理
   解して、前置詞が出てきたら、どう使われているのか調べていきましょう。

[2]前置詞の種類

   前置詞は形のうえから次の5種類に分けられます。
 1 単純前置詞
   1語でできているもの。
   at,in,on,of,to,for,from,etc.
 2 複合前置詞
   語源的に数個の語に分けられるもの。
   between(=by+twain[=two]),without(=with+out),into(=in+to),upon(=up+on)
 3 分詞状前置詞
   現在分詞を前置詞として用いたもの。
   during(〜の間)、respecting(〜に関して)、
   considering(〜の割りには)、excepting(〜を除いて),etc
 4 2重前置詞
   2つの前置詞が並んで1つの前置詞のように用いられるもの。
   from under(〜の下から)、from behind(〜の後から)
   till after(〜の後まで),up to(〜まで),etc
 5 句前置詞
   成句をなすもの。
   in front of(〜の前に)、insted of(〜の代りに)
   because of(〜のために),at the back of

[3]前置詞句の用法

 1 形容詞句になる場合
  (a)名詞の直後においてその名詞を直接修飾する。(限定用法)
    The book(on the desk)is a story (by Soseki).
       机の上にある本は漱石が書いた(によって書かれた)物語である。
  (b)動詞の補語として用いられる。(叙述用法)
    The cherry blossoms are (at their best).(主格補語)
       桜の花は満開です。
    He kept his dog (on the chain).(目的格補語)
       彼は犬をくさりにつないでおいた。
 2 副詞句になる場合
  (a)動詞を修飾する。(副詞句としての前置詞句は、この場合がもっとも多い)
    He cut some bamboos (with a knife).
       彼はナイフで竹を切った。
  (b)形容詞を修飾する。
    She is good (at mathematics).
       彼女は数学が得意です。
  (c)他の副詞を修飾する。
    I considered his plan a part (from my self-interest).
       私は私欲を離れて彼の計画を考えてみた。
  (d)文全体を修飾する。
    (On the whole),this is the best novel that he has ever written.
       全体から見て、これが彼が今まで書いた中で最高の小説である。

[4]前置詞の目的語

   前置詞の目的語は、これまでの例文で見てもわかるように、主として名詞と代
   名詞(目的格)であるが、その他に次のような語句が前置詞の目的語として用
   いられる。ただし、これらの語句が全治の目的語になる場合には、いずれも名
   詞的用法と考えられる。
 1 動名詞
   She closed her letter by wishing me succcess.
      彼女は私の成功を祈って手紙を結んでいた。
 2 不定詞 
   原則として不定詞は、前置詞の目的語にはなり得ない。ただし aboutとbutは、
   次のような慣用的表現の場合にかぎり不定詞を目的語にとる。
   The candle is about to go out. 蝋燭がいまにも消えそうである。
   Nothing remains but to die.  死ぬことよりほかに何も残っていない。
 3 過去分詞
   過去文詞が前置詞の目的語になるのは、次の2つの場合だけと考えてよい。
   I take it for granted that he has fallen ill.
      私は彼が病気になったのを当然のことと思う。
   He gave up his son for lost.
      彼は息子を死んだものとあきらめた。
 4 形容詞
   形容詞が名詞的な働きをして前置詞の目的語になるのも、次のような慣用的表
   現の場合だけです。
   She is far from (or anything but) kind to me.
      彼女は私に対して親切どころではない。
   Things went from bad to worse.
      事情はさらに悪化した。
   Margaret is called Maggie for short.
      マーガレットは略してマギーと呼ばれています。
   ※類例 in short(要するに),in general(概して),in private(ひそかに)、
    in particular(特に),of late(最近),of old(昔は)、in full(全部),etc.
 5 副詞
   前置詞の目的語になる副詞は名詞的な働きをしており、「時」および「場所」
   を表わす副詞に限られている。従ってこの場合の前置詞は from,till,untill,
   since,forなどが多い。
   Tourists came to the town from far and near.
      観光客はあちこちからその町に来ました。
   He will stay in Tokyo till tomorrow.
      彼は明日まで東京におります。
   I have been good friends with him since then.
      その時以来私は彼と仲がよい。
 6 前置詞句
   これは2重前置詞の場合であります。
   The boys played baseball till after sunset.
      少年たちは日没後まで野球をした。
 7 節
   You must not judge a man by what he seems[to be].
      人をその外見によって判断してはいけない。
   なお that-clauseが前置詞の目的語になるのは
   in that(〜という点:〜なので=because)、
   but that(〜ということがなかったら=unless)、
   except that(〜である以外は)の3つの場合だけであると考えてよい。
   I like the teacher in that he teaches all his pupils fairly.
      すべての生徒を公平に扱うという点で私はあの先生が好きだ。

[5]前置詞の位置

   前置詞は原則として、その目的語の前に置かれるが、次の場合には、前置詞は
   ひの目的語から離れて、文または節の終りに置かれることがある。これを分離
   前置詞といいます。
 1 疑問詞が前置詞の目的語になる場合
   この場合口語では、前置詞を後にまわすのが普通です。
   Whom are you waiting for?  誰をを待っているのですか。
   Where does she come from? 彼女は何処の出身ですか。
 2 関係代名詞が前置詞の目的語になる場合
   とくに関係代名詞が thatである場合や、関係代名詞を省略する場合には、前
   置詞は必ず文尾にまわさなければならない。
   He is a man [whom] we can rely upon. 彼は我々が信頼できる人だ。
   Where is the tea house [that] you often go to? 君がよく行く喫茶店はどこ。
 3 形容詞的用法の不定詞が修飾する名詞が、その不定詞に含まれる前置詞の目的
   語になる場合
   この場合の前置詞は、常に後にまわされる。
   We had nothing more to talk about. 我々はもはや話すことがなくなった。
   I have no pen to write with.    私には書くペンがない。
 4 前置詞を含む動詞句が1つの他動詞として用いられて受動態になる場合
   All his friends laughed at him. 彼の友達は皆彼を笑った。
    → He was laughed at by all his friends.
   You must make much of your time. 時間は大切にしなければならない。
    → Your time must be made much of.
 5 強調のために前置詞の目的語を文頭にだす場合
   Such a fellow I look down upon. あんな奴を私は軽蔑するのだ。

[6]前置詞の省略

   次の場合には、慣用的に前置詞が省略されて、その目的語だけで前置詞句の働
   きをします。
 1 副詞的目的格の場合
   この場合とくに「時」「場所」「程度」を表わす語句に多く、副詞句を導く。
   [At] What time does your school begin? 君の学校は何時に始まりますか。
   He runs [for] twenty miles every day.  彼は毎日20マイル走っている。
 2 [of+名詞]という形の形容詞句において ofが省略される場合
   この場合は ofの目的語の[名詞]だけで形容詞句の働きをするわけで、とく
   に叙述の目的格とよばれる。これは補語として用いられることが多く、年齢、
   色彩、形状、寸法などを表わします。
   The two boys are [of] the same age.その2人の少年は同年である。
   [Of] What color is the bus.    そのバスは何色ですか。
 3 [with+名詞(A)+前置詞+名詞(B)](AをBに〜して)という付帯条件を表わす
   句において withが省略される場合があります。この場合名詞(A) および名詞
   (B) についた冠詞や所有格も同時に省略されることに注意しなさい。
   A hunter came out of the woods,[with a] gun on [his] shoulder.
      銃をかついで猟師が森からでてきた。
   My father is now reading a newspaper,[with a] pipe in [his] mouth.
      父は今パイプを口にくわえて新聞を読んでいる。
 4 次のような慣用的表現においては、動名詞の直前の inがしばしば省略される。
   Father is always late [in] coming back. 父はいつも帰るのがおそい。
   She is slow [in] moving.        彼女は動作がのろい。
 5 that-clauseが前置詞の目的語になる場合
   その前置詞は省略される(ただし in,except,butは例外)。
   I am afraid that it will rain tomorrow.
      明日は雨になるのではないかと心配だ。
      cf.I am afraid of making mistakes.私は間違うのがこわい。
   I am sorry that you are ill in bed.
      君が病気で寝ているのは気の毒だ。
      cf.I am sorry for you.      君が気の毒だ。

[7]前置詞と副詞・接続詞との比較

 1 同一の語が前置詞としても副詞としても用いられる場合が多いが、前置詞の後
   には必ず名詞または名詞相当語句の目的語がくるのに対して、副詞は単独に用
   いられて、その後に目的語がくることはないという観点から両者を区別すれば
   よい。
   cf They went along the river. 彼等は川にそっていった。(前置詞)
     They went along.      彼等は進んでいった。  (副詞)
   cf He ran about the garden.  彼は庭を走りまわった。 (前置詞)
     He ran about till now.   彼は今まで走りまわった。(副詞)
   なお、これらの例では、発音するとき副詞には強勢がおかれるが、前置詞には
   強勢がおかれない。
 2 「他動詞+副詞」という形の動詞句が、名詞を目的語にとる場合には、その名
   詞は副詞の前後いずれにおいてもよいが、目的語が代名詞の場合には、必ず他
   動詞と副詞の間におかなければならない。
     Show in the lady.(その婦人を通しなさい)
   cf Show the lady in.
     Show her in.
     Put on your hat. (帽子をかぶりなさい)
   cf Put your hat on.
     Put it on.
   上の各組の第1文は、いずれも副詞の直後に名詞がきているから、副詞を前置
   詞と混同しやすいが、いずれも動詞が他動詞であることに気づけばその混同を
   防ぐことができます。つまり、これらの例の名詞は、それぞれの他動詞の目的
   語であります。
 3 同一の語が前置詞としても接続詞としても用いられる場合も多い。この場合、
   前置詞の後には語句がくるのに対して、接続詞の後には[S+V]という形が
   くることから両者を区別すればよい。
   cf It began to blow after sunset.  日没後風が吹き始めた。(前置詞)
     It began to blow after the sun had set.同上      (接続詞)
   cf He had lived in Kyoto till the end of the war. (前置詞)
     He had lived in Kyoto till the war ended.   (接続詞)
       彼は戦争が終わるまで京都に住んでいた。

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