にぎわいの森”コラム
照葉樹の森はまっ暗け?

 林の手入れをしないで放っておくと、やがて常緑樹(冬にも葉がある木。横浜あたりだと照葉樹)が生えてきて、森全体が真っ暗でおどろおどろしくなってしまいそう・・大丈夫、そうはなりません。常緑樹が生えて暗くなる部分も、落葉樹のままずーっと続く部分もあります。どこがそうなるかは、斜面のキツさや、地質や、水はけなどによります。生き物のにぎわいのある森として大事なのは、そういう「いろんなタイプの環境のある森があること」です。

 「いろんな環境のある森」を人力で作りあげるのは、ものすごくお金も手間もかかり大変です。しかし自然の森は、地形や地質の違い、鳥や風が偶然そこにタネをまいたりすることによって、自然に、「いろんな環境」を作りあげてくれます。では、人間は見ているしかないのか・・そんなことはありません。いつもすっきりした林の部分を作るなど、人力でこそできることがあります。また、少しでも早く「いろんな環境のある森」にするために、林の遷移(移り変わり)の手伝いや、自然な種子散布の手伝いなど、やることはいっぱいあるはず。みんなで知恵や力を出し合い、生き物のにぎわいのある森づくりを進めていきましょう!

 あ、それから、照葉樹林の荘厳な大木の下は藪がなくて歩きやすく、特有のランが咲きます。それは林が育つ未来のことですが、今から始めれば、私たちの孫はそんな林を楽しめそうです。



(ふじた・かおる)

「ゴロスケ報々」90号(2003年6月)より抜粋

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