にぎわいの森”コラム
昔の林と今の林・そしてこれから

  昔の林は、里−里山−奥山とつながっていて、里山には、里の生物や奥山の生き物もやってきて、にぎやかでした。(「やってくる」「行き来する」というのは、タネや花粉が飛んで行き来することも含めます。)里山も連続していました。当時、里山の林は、10〜20年くらいの間隔で木を切っていましたので、いろんな成長段階の林がありました。また、家ごとの管理のクセもあって、花の咲く木を残している林、あまり手入れしないで藪のある林、今年は手入れしない林など、様々な林がありました。




 今の林は、どうでしょう? 分断され、1つ1つが小さな島状になっています。他の林から生き物がやってくるのは、難しくなりました。そういう状況で、管理方法だけを昔の通りに再現しても、昔の林のように、奥山や里山の生き物がやってくるわけではありません。観察の森は大きな緑地なので、上の図のように、少しでも奥山に近い環境をもどし、里山林もできるだけいろんな環境にして、昔のように生き物が行き来できるようにしよう、という試みが、「いきもののにぎわいのある森づくり」です。

(ふじた・かおる)


*「ゴロスケ報々」96号(2004年6月)より抜粋


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