2004.08.30 ペイチェック 消された記憶 ★★★★
- 「トータル・リコール」、「ブレードランナー」、「マイノリティ・リポート」などと同様、フィリップ・K・ディック原作の映画化作品ということで、要チェック。(^_^;)
タイトルは「報酬」の意。主人公(ベン・アフレック)は極秘プロジェクトに参加して成果を上げ、莫大な報酬を得る代わりに、その期間の記憶を消されることを企業と契約しているITエンジニア。彼が次に取り組んだプロジェクトは今までに無い長期間の3年というものだった・・・、というストーリーです。
監督がジョン・ウーということで、中々テンポの良い展開に終始します。バイク・チェイス、互いに銃を向けあってのポーズ、鳩がスローモーションで飛ぶ、という今までの作品(「MI=2」、「フェイス・オフ」など)でのお馴染みのシーンの登場も楽しい・・・。ただし、二挺拳銃はありません。(^o^)
謎の20アイテムの使い方がキーとなっていますが、これが残念ながら御都合主義の最たるもの。パズルの領域を越えていて、殆ど偶然の産物としか見えません。もう少し合理的な説明が出来なかったものでしょうか?
主人公の恋人役は、ユマ・サーマン。殆ど「キル・ビル」化していて、いつ日本刀を振りかざすのかなどと思って見ていました。(^o^) それにしても、かなり疲れ顏であったのが気になります。
ラストも安易といえば安易ですが、報酬の株券を放棄した経緯からすればあれで納得せよ、ということでしょう。特典映像にあった「もう一つのエンディング」よりは、良いと思います。
(DVD)
2004.08.29 オーシャン・オブ・ファイヤー ★★★☆
- 俳優のキャリア20年にして、ヴィゴ・モーテンセンの初めての主演映画なのだそうな。「ロード・オブ・ザ・リング」でも三作目を見終えた後はともかく、途中まで彼が主役級の配役だとはとても思えないほどの存在感でしたから、それも無理からぬことでしょう。
ネイティブ・アメリカンの血を引く主人公(モーテンセン)が、4,800kmのアラブ砂漠地帯を走破する死者続出の過酷な馬レース(=「オーシャン・オブ・ファイヤー」)に参戦したという、実話に基づく作品。
宣伝では、インディジョーンズ風アドベンチャー作品とか、ハムナプトラ・シリーズに近い作品などとしていましたが、それを期待すると肩透かしを喰らいます。要所要所は結構見どころがあると思いますが、全体的には間延びして締まりの無い作品という印象が拭えないのが、残念。
ヒダルゴ(「Hidalgo」=原題)と言う名のムスタング(野生の馬)が活躍するのですが、安楽死されかかるほど疲労していたのにラストで全力疾走する、という設定はいかがなものでしょうか?アラブ族長(オマー・シャリフ、最後まで私は彼だと気が付きませんでした)の娘の奪還なども含めて、どこまでが実話なのかよく判りません。その娘も顏を隠しているほうが美人なくらいですし・・・。(^_^;)
サポート隊が必ず先回りしているというのも、どういうルート設定なのかしっかり説明して欲しいと思いました。
猛烈な砂嵐やイナゴの大群の襲撃(?)シーンなどで、ハムナプトラ・シリーズを彷彿させますが、VFXはとても控え目です(お金をかけていない、とも言う)。
ところでイナゴは私が幼少の頃、とても大事な蛋白源なのでした。アメリカ人は、イナゴを食べれることを知らなかった?(^o^)
(DVD)
2004.08.23 タイムライン ★★☆
- 余り評判はよろしくないようですが、SFのタイムスリップものと聞いて私としては見逃すわけには行きません。「ジュラシック・パーク」などと同様、マイケル・クライトン原作の映画化作品です。
遺跡の発掘現場に行方不明の教授(ビリー・コノリー)が古代に書いた(らしい)メモが見つかり、救出しようとタイムマシンで主人公(ポール・ウォーカー)らが行った先は、何と14世紀の「英仏百年戦争」の真っ只中で、戻れるまでのタイムリミットは6時間なのでした・・・、というベタなストーリー。(^_^;)
教授の息子である主人公はともかく、その周りの者まで古代に向かうという必然性がハッキリしないまま、無理矢理舞台が中世になり、ダラダラと締まりのない逃走劇が開始されるという按配。それでも後半、序盤に敷かれていた伏線が徐々に生きてくる展開で、少しは挽回されます。片耳の騎士のカップルなどのエピソードなどは、お約束とは言え、納得させられます。
ただ、余りにも安易に人が殺されたり(特に馬鹿正直なフランスのお兄さんね)、平凡な現代人がいきなり剣を持って中世の騎士と互角に戦ったり、ハイテク企業幹部の思惑が不明だったりと、全体的にどうも薄っぺらな印象が拭いきれません。SF作品でありながら、VFXも見るべきものはまるで無し。
加えて、メジャーな俳優が一人もいないという、キャスティング。ヒロインの魅力もイマイチですし・・・。
原作はマイケル・クライトンの最高傑作と言われているのだそうな。一度彼に聞いてみたいものですね、「こんなんでいいの?」と。(^o^)
(DVD)
2004.08.22 ニューオリンズ・トライアル ★★★★★
- 見終えて初めて、ジョン・グリシャムの原作と判りました。そうだとしたら、原作はともかく映画の出来としては、「ペリカン文書」や「ザ・ファーム/法律事務所」などより格段に良いのではないでしょうか?「ザ・ファーム/法律事務所」などは、トム・クルーズの顏を見ているうちに、わたしゃ寝てしまったくらいですから・・・。(^_^;)
もっとも、原作では「タバコ訴訟」だそうで、銃器メーカーに銃乱射事件の責任を問う訴訟に置き換えた本作品は、脚本の勝利と言って良いかも知れません。あとは、(多分)多額のギャラを惜しまなかった豪華キャストの布陣でしょう。ジョン・キューザック、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン、レイチェル・ワイズの4人を主軸に、その他の陪審員などの脇役にも、あちこちで見たことのある俳優ばっかり。これはお楽しみですよ。
ストーリーは、原告側(ホフマン)、被告側(ハックマン)、陪審員側(キューザック)、裏工作設定側(?、ワイズ)の4つの思惑が絡まりつつ進行するという構成。大丈夫、判りにくくありません。(^_^;)
それらに加えて、陪審コンサルタントによる陪審員候補の採択の可否を行う駆け引き、監視・盗聴用のハイテクIT機材、キューザックによる陪審員らへの介入操作、最後まで正体や意図がよく判らないキューザックとワイズなど、面白要素がてんこ盛りです。
終盤のキューザックとワイズの素性が知れる当たりの緊迫感は、圧倒的。見応えがあります。陪審員ものと言えば「12人の怒れる男」を想起しますが、これよりも遥かにエンタメ要素は大きいと思います。
ジーン・ハックマンがこれ以上無いほどのはまり役(悪役)であるのに対し、ダスティン・ホフマンはいささか見劣りが・・・(背の低さはしようがないとしても)。ジョン・キューザックも「アイデンティティ」や本作品などにおいては、単なるトッチャン坊やから脱皮を図りつつあるようです。中々いいぞ・・・。
なお、ここでも制作スタッフにマック愛好者がいたものと思われます。キューザックはデスクトップのマック(本体が何か確認できませんでしたが)を使い、データ保存に何とiPodを使っていたのでした!!\(^o^)/ でもiPodと言われたり、MP3プレイヤーと言われたりしていましたけど・・・。(^_^;)
(DVD)
2004.07.26 英雄~HERO~ ★★
- 75回アカデミー賞の外国映画賞にノミネートされるなど、注目された作品なので興味はあったのですが、これまでレンタルする気は中々起きなかったのでした。そこへNHK-BSで放映するというので、珍しくリアル・タイムでの観賞です。う〜む、吹き替えか・・・。
秦の皇帝を狙う刺客3人を仕留めた男(ジェット・リー)が皇帝に謁見するところから物語は始まります。その男は如何に刺客を殺したかを話始めるのですが、何と作り話を積み重ねているようなのです・・・。いわゆる「羅生門」的展開があって、最後は真実が明らかに・・・。はあ〜、判りにくい・・・。
映像はさすがに華麗。でもあのワイヤ・アクションは明らかにやり過ぎ。思わず笑ってしまいます。滑稽に思わせるようではいけません。あの「マトリックス」でも、そんなバカなと思わせても、滑稽とは映らなかったでしょう?
チャンチャンバラバラとせわしなく動いて、相手を仕留めるところでスローモーションになって、やけにあっさり剣が体を貫通する、というパターンが多過ぎ。決めのポーズを取って、目をつぶる、というパターンが多過ぎ。葉っぱが多過ぎ。矢が多過ぎ。その矢を舞いながら切り落とすのは、明らかに無理。水上での鬼ごっこも、明らかにやり過ぎ。
マギー・チャンはともかく、チャン・ツィイーにちっとも魅力を感じないのですが、変でしょうか?(「初恋のきた道」も録画してありますが、見ずじまい)
「西の『マトリックス』、東の『HERO』」などというキャッチ・コピー、気に入りません。(-.-)
(NHK-BS)
2004.07.20 ミニミニ大作戦 ★★★★
- 69年の同名映画のリメイク作品です。それにしても、このトホホな邦題をリメイク作品で変えようとする提案はなかったのでしょうか?原題はオリジナル作品と同じ、The
Italian Jobです。
典型的な古典的クライムストーリーで、極めて分かりやすく、テンポの良い展開に終始します。
冒頭の奇想天外な金塊強奪シーン、御約束とも言える仲間の裏切り、そして再度復讐のための金塊強奪計画を立て紆余曲折の末に、というように既視感たっぷりなストーリー展開ではあるのですが、私は最後まで引き込まれ、全く退屈しませんでした。折角リハーサルもして計画を立てた作戦なのに、障害が起きたので中止、変更するなどというリアリティに富んだ(?)展開もあったりします。
情けない邦題は、強奪の手段にミニ・クーパーを用いるところから来ていて、終盤のこれら3台と、バイク、ヘリとのチェイスは見ものです。また、序盤のベニスでのボートによるチェイスにも度肝を抜かれました。余りにもそれが凄まじかったということで、この後ベニスの水路での映画ロケは、禁止されてしまったのだそうな。
配役はマーク・ウォールバーグ、エドワード・ノートン、シャーリーズ・セロン、ドナルド・サザーランド、ジェイソン・ステイサムなどと、豪華この上なし。ただ、このメンバーのうち、誰が裏切るかがすぐばれてしまうのが欠点といえば欠点。そう、ノートン君です。(^_^;)
それぞれのメンバが、金庫破りのプロ、爆薬のプロ、すけこましのプロ(^_^;)などと、役割分担されているのも、お約束ながら、楽しいしかけです。コンピュータの天才で、ナップスターの真の開発者を名乗るメンバ(セス・グリーン)もいたりするのですが、その拘りの意図がよく分かりませんでしたが・・・。
シャーリーズ・セロンは、何故かこの作品では余り綺麗に見えませんでした。「モンスター」のメイクが落ちていなかった?(^o^)
(DVD)
2004.07.19 ハリウッド的殺人事件 ★★
- 原題のHollywood Homicideを、普通なら「ハリウッド殺人事件」とするところを、「ハリウッド的殺人事件」として、コメディタッチの内容と合致させたということなのでしょう。
御大ハリソン・フォードと、ブレイクしそうで中々しないジョシュ・ハートネットの、いわゆる刑事物バディ映画です。
冒頭に殺人事件が起きるのですが、これが人物、背景ともに説明不足で、私にはよく分かりませんでした。繰り返して見る気も起きなかったし・・・。前半、ダラダラとした展開が続き、後半の追跡劇が始まって、さあと思ったのも束の間、要所が締まらずどうもピリッとしないのです。
コメディなのですから、カーチェイスの最中にサイド・ビジネスの電話に夢中になるのは構わないのですが、どうもイマイチ乗れません。ハリソン・フォードが老体に鞭打って頑張っているのは分かるのですが・・・。
フォードの恋人役としてレナ・オリンも登場させるのですが、占い師で、フォードを狙う内部監察官が恋敵となる、などという込み入った設定・・・。おまけにハートネットのやはり警官だった父親の殺人と絡ませるなど、色々欲張って、益々散漫さに拍車がかかります。
チャイニーズ・シアターの手形のシーンなど、いわゆるハリウッド紹介観光映画的要素がふんだんに盛り込まれていますが、これもいまさらなあ、という感じです。
もっとコメディ色に的を絞って、シンプルに展開した方が良かったのでは・・・、などとブツクサ文句を言いながら、特典映像もまるで見る気が起こらず、そそくさとDVDをレンタルバッグに戻したことでした。(-.-)
(DVD)
2004.07.18 スパイダーマン2 ★★★☆
- 史上最短の興行収入1億ドルを突破、とか、全米興行収入歴代5位、などと騒がれています。一作目に続いてサム・ライミがメガホンを取った話題大作。
スパイダーマンとして世の悪を成敗することに忙しい主人公(トビー・マグワイア)は、自分の私生活を犠牲にせざるを得ず、その両立に悩みに悩みます。その苦悩をどう乗り越えるか?が今回のテーマ。
また、本作の悪役は極めて強烈。「才能は天からの恵みなのだから、世のために使うべき」などと諭す科学者(アルフレッド・モリナ)が、いきなり悪の権化と化します。この4本のアームを持つ怪物のキャラクターは魅力的ですし、その造形のVFXは見もの。ただし、遠景になると漫画チックになるのが、少々難ではあります・・・。
一作目で話題となった、クモの糸を駆使して摩天楼を疾走し、舞うシーンは今回も健在。ただし、予告編で殆ど見せられてしまっていた感じがして、新鮮味に乏しいのが残念です。加えて夜のシーンが多くて、全体的にはっきりしないし・・・。
エレベータのシーンなど、全体を通じてかなりコミカルな味付けがしてありますが、叔母さん(ローズマリー・ハリス)とのやりとりがしみじみとして、対称的です。またこのハリスが巧いのだ・・・。
暴走する電車を止めるシーンでは、インディ・ジョーンズの魔宮の伝説を想起し、またそのラストではマトリックス3のパクリかと思ったのは、私だけでしょうか? はたまた、スパイダーマンの正体を皆に明かしてしまったのですが、三作目の展開上、それでいいのかな?
相変わらずエへラエへラしているマグワイアは、それでも本作ではかなり表情に変化が出てきたと思います。肝心な場面では、しっかりとしたヒーロー面になりますもの。
で、問題はやはり大ブスのヒロイン(キルステン・ダンスト)。せめて前作のようなセクシーさがあれば、まだ許せるのですが・・・。(-.-)
(劇場)
2004.07.04 パッション ★★★★☆
- 凄まじい残酷描写などという評判に恐れをなし、敬遠していたのでした。しかし、やはり大画面で見ておきたいと、既に都心でもわずかになった上映館に足を運びます。
キリストの受難(パッション)の最期の12時間を描いたメル・ギブソンの監督作品。米国での公開時に、観賞中にショック死した人が出たとか、犯罪人が自首したなどというウソのようなお話は、余りに有名。あのプレミア誌でも、「暴力描写に辟易しながら劇場を後にした」などと論評されていました。かなりの覚悟でスクリーンに目を凝らします。(+_+)
キリスト役のジム・カヴィーゼルの本来青い瞳を茶色にし、また俳優らにアラム語を話させ、英語字幕にするなど、リアルな描写が売り物なようです。でも、蛇を使ういかにもなサタンが登場もしたりはしますが・・・。それでも基本的に聖書の記述にかなり忠実に映像化されているようです。ユダの裏切り、ペテロの3回の否定、裁判、鞭打ち、十字架を背負っての道行き、ゴルゴダの丘での磔、そして復活。中でよく分からなかったのが、道行きでキリストに顏をふく布を差し出す女性のエピソード。「ベン・ハー」では、ベン(チャールトン・ヘストン)が水を差し出していましたが・・・。
で、問題の残酷描写です。覚悟して見たせいか、私としては思ったほどではありませんでした(大丈夫か?)。肉片は派手には飛びませんし、折れた骨が皮膚を破って突き出たりはしませんから・・・。(-_-メ)
母マリア(マヤ・モルゲンステルン)が息子の受難を嘆く姿が涙を誘います。館内のあちこちですすり泣きが・・・。私はペテロの3回の否定のシーンで、バッハのマタイ受難曲での「主よ、憐れみたまえ」が想起され、胸に込み上げるものがありました。
- この映画が反ユダヤ主義を煽る、などという批判は如何なものでしょう?聖書に忠実に映像化しただけと言われればそれまでです。
キリストのセリフは私には難解ものが少なくないのですが、極め付けは十字架上でキリストが叫ぶ「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」(「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」)です。どなたか無宗教の私が納得をする説明をしていただけませんか?(^_^;)
(劇場)
2004.06.28 ラブ・アクチュアリー ★★★
- 冒頭、ヒースロー空港の到着ゲートで、夫婦、恋人、親子、友人らが再会を喜んで抱きあうシーンを背景に、「実際、愛はあらゆるところにあるんだよ」(Love actually is
all around)などとテロップが流れます。う〜む、やや押し付けがましいか・・・。
9組の愛の形を群像劇風に描いた作品。「ノッティングヒルの恋人」や「ブリジット・ジョーンズの日記」を制作したスタッフの作品ということで、大体の雰囲気が想像できます。ゴールデン・グローブ賞の作品賞と脚本賞にノミネートされたイギリス映画。
群像劇風といっても、ゴチャゴチャとした分かりにくさは全く無し。9組全てが何らかの形でつながっているのですが、やや無理して関連づけていると言う感じが無きにしもあらず。
配役はヒュー・グラントを始めとして、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、コリン・ファース、キーラ・ナイトレイ、ローラ・リニーなどと豪華版です。あのローワン・アトキンソンもチョイ役で出演し、笑わせてくれます。
ポルトガル人のメイドと恋に落ちる小説家(コリン・ファース)のお話が、一番アトラクティブかな。結末はかなりわざとらしいのですが・・・。エマ・トンプソンとアラン・リックマンの夫婦のエピソードの結末がイマイチ明確でないのが、不満。まあ、中々ケリを付けにくい不倫の話ではあります。
手を抜いたと思われるのは、ナンパ目的にアメリカに渡る男のお話。まるで夢のようにまんまと性交、いや成功して帰国するのですが、何のヒネリもありません。
ヒュー・グラントが英国首相というのは笑わせますが、ビリー・ボブ・ソーントン演ずる米国大統領を相手にケンカを売るシーンがあって、ビックリ。英国での反米感情が根強いことを窺わせて、面白いエピソードです。
いずれのお話も退屈はしませんし、見終えてホノボノするのも確かです。でも、愛ってそんな簡単なものではないよな、というのが正直な気持ちかな。(^_^;)
(DVD)
2004.06.21 デイ・アフター・トゥモロー ★★★☆
- 最近はこの手の映画はパニック映画などと言わずに、ディザスター映画などと呼ぶのだそうな。「インデペンデンス・デイ」でエイリアンとの攻防を描いたローランド・エミリッヒ監督の最新話題作。VFXに納得いくまでお金をつぎ込んで、エミリッヒ監督の自信作となったらしい。
地球温暖化が海流の流れを変えて、それが北半球に氷河期を到来させるという理屈なのですが、本当ですかね?そういった専門家の予言を政府側が耳を貸さずに手遅れとなってしまうという、典型的なパターンが採られています。
流石に映像的には見どころが一杯です。ロスでの巨大竜巻、マンハッタンに押し寄せる大津波、瞬時に(でもなかった、次第に)地表やビルの外壁が凍りつくスーパー・フリーズなど・・・。特に大津波は良くできたCGだと思いました。ただ、これらの殆どを予告編で見せられてしまっているので、インパクトの強さではイマイチ。
あとはこの手の映画ではお約束の人間ドラマの登場です。孤立した息子(ジェイク・ギレンホール)達を主人公である父親(デニス・クエイド)が救出に行くという設定なのですが、ちょっとこれが鼻につきます。父親が同僚を犠牲にして出向かなくても、結局彼らは助かったのですよね。薬のために船を持ち出したり、狼(こんな映画に狼なのだ!)に襲わせたりするのも、かなりわざとらしい。
東京が一シーンとして出てきますが、これがまたおかしな東京なのです。見ている方が恥ずかしいくらい、変・・・。いつも思うのですが、こういうシーンを何故日本人にしっかり監修をさせないのでしょうか?
メキシコ移民の規制や発展途上国への経済援助を皮肉っているのは、面白い。京都議定書にも触れており、エミリッヒ監督が環境保護について、かなり真剣に考えているということは伝わってきました。
終盤で急にご都合主義的展開になってしまうのが、残念。まあだからといって全人類凍死では後味が悪過ぎでしょうが・・・。
(劇場)
2004.06.14 アンダーワールド ★★
- 「パール・ハーバー」ではパッとしなかったケイト・ベッキンセールが、黒のボンテージ衣装に身をつつんでアクション映画に挑戦しています。予告編の、高いビルから飛び降りるスタイリッシュなシーンに吊られての観賞。
- 要は、ヴァンパイア一族と狼男(「ライカン」などと言うのだそうな)一族との攻防を描いたもので、ケイトはヴァンパイア一族の女戦士。終始眉間に皺寄せた険しい顔付きのケイトは、とても「パール・ハーバー」での能天気ヒロインと同一人物とは思えません。
- ストーリーは後半に一応ヒネリがあって、おう考えていますね、と言う感じなのですが、なんだか序盤の地下鉄での銃撃戦から終始ゴチャゴチャした感があって、どうも疲れてしまいます。ユーモアというか、遊び心が全く無く、くそ真面目に展開されているせいかも知れません。
- ヴァンパイア側は殆ど変身しないのですが、狼男は人間の姿からVFXで大きく変わります。この造形が余りいただけません。実写との組み合わせ映像が、どうも中途半端に騙し絵的なのです。
- ケイト以外の人物が余り個性的でないのも、本作の印象を薄っぺらにしているのかも知れません。
- ラストは続編があることを明らかに示しますが、私としてはもう結構と言う感じ・・・。予告編の降下シーンが一番の見どころだったのだ。(-.-)
- 監督はレン・ワイズマンという人物ですが、何とこの映画がきっかけで、ケイトと婚約をしたのだそうな。↓といい、監督というものは・・・。(-_-メ)
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2004.06.13 シモーヌ ★★★
- 全編フルCGの「ファイナルファンタジー」が制作された時、これからはCGが俳優に取って代わる、などと論じられました。そういう意味では本作品のアイディアは、もっと早く出てきてもおかしくなかったと思います。
売れない監督(アル・パチーノ)はスター女優に愛想をつかれ、あることをきっかけにCG女優を作り出すのですが・・・、というストーリー。その監督の名は、ヴィクター・タランスキー。そう、この映画はコメディとして見るべき作品です。(^o^)
最大の難点は、シモーヌの造形が世界一の美女というほど魅力的でないこと。人間臭くない女優(レイチェル・ロバーツ)を優先して選ばざるを得なかったのでしょうが、あれでは余り説得力がありません。しかも、ホログラフのライブ・コンサートでは、ばれないはずがありませんし、車の並走シーンはまるきり子供騙し・・・。実写とCGの合成映画では観客を騙せたとしても、あれではねぇ・・・。(-.-)
アカデミー賞受賞のスピーチで監督への謝辞を言わなかったエピソードでは、お!これは突然ファンタジーになるのかな、などとも思ったのですが、そうではなし。結末も強引にハッピー・エンドに持ち込んだ、という感じです。ま、それほど退屈はしないのですが・・・。
アル・パチーノが若返っているのに、ビックリ。いつものようなオーバー・アクトでないので、見ていてそれほど疲れません。(^o^) 我が儘女優役でのウィノナ・ライダーは、明らかにあれは地(じ)ですね。個性的なプルイット・テイラー・ヴィンスも、何かやりそうでいて結局腰砕けの役柄であるのが、残念。
「ガタカ」や「トゥルーマン・ショー」も手がけたアンドリュー・ニコルが本作品の監督ですが、なんてことはない、レイチェル・ロバーツと結婚をしてしまったのですね(なんだ、それ(-.-))。
(DVD)
2004.06.07 マグダレンの祈り ★★★☆
- アイルランドに実在し、1996年に閉鎖されたマグダレン修道院を舞台にした、実話に基づく作品。2002年ヴェネチア国際映画祭で、金獅子賞を受賞しています。
マグダレン修道院は、キリストによって改心した娼婦マグダラのマリアにちなんで名付けられ、性的に堕落した女性を矯正するために作られた施設だとか。カトリックでは、私生児を産むとか婚前交渉をするなどというのは、殺人と同等以上の罪なのだそうな。本作品ではそこまでやるか!というような過酷で陰惨な修道院の実態が次々と明らかにされていきます。
まあ脚色もあるのだろうと思ったのですが、特典映像の元収容者である女性達が涙ながらに語る生々しいインタビューが、この映画がフィクションでないことを証明しています。96年までそんなとても信じられないような実態が許されていたということに、愕然。私は何となく「ショーシャンクの空に」を連想してしまいましたが、ある意味、刑務所より劣悪だったのかも知れません。
冒頭でのアイルランド独特の楽器や歌をバックにした結婚式シーンが、とても印象的です。それに続く事件が起きた後の、音声を敢えてカットした会話シーン(?)も特徴的。
3人の主人公の中では、やはりビデオ・パッケージの写真の主であるノーラ=ジェーン・ヌーンが一番個性的。まだ20歳というのに、随分堂々とした演技です。顏の濃さも抜きんでているし・・・。(^o^) 他には何と云っても、姉に預けた子供を心の支えとしながらも、精神を病んでいく収容者を演じたアイリーン・ウォルシュが光ります。
本作品はVHSビデオではなく、DVDをレンタルしてその特典映像のドキュメンタリーも併せて見ることをお薦めします。いずれにしても見終えてずっしりとお腹に応え、そしてつくづく自分達が無宗教で良かったなあと思わせてくれる作品。(^_^;)
(DVD)
2004.05.30 トロイ ★★★★☆
- 帆船の大軍団などが印象的な予告編など、随分以前から大々的に宣伝をしていました。配給元の力(金)の入れようがわかります。「エアフォース・ワン」、「パーフェクト・ストーム」などのウォルフガング・ペーターゼン監督の最新話題作。
この手の歴史物は予備知識がある程度あった方が良いのが普通なのですが、本作品では全く心配いりません。ストーリーは極めて分かりやすく、主要な登場人物も余り多くないので混乱することも無し。「トロイの木馬」を始めとして、ラストでは「アキレス腱」の由来が可笑しいほど、明確に提示されます。(^o^)
大軍団同士の戦闘シーンは、「ロード・オブ・・・」などで見慣れた感がありますが、本作品のハイライトは何といっても冒頭、中盤、終盤に3回ある、勇者同士の一騎打ちシーンでしょう。特に冒頭での、ブラピ演ずるアキレスの
(多分)ワイヤ・アクションでない跳躍による一撃には唖然。このシーンはつかみとしても十分です。終盤のアキレスとヘクトル(エリック・バナ)との闘いも、手に汗握る大迫力。大軍団が相対峙しての戦い方、勇者同士の一騎打ちなど、日本の戦国時代の戦い方に通ずるものがあります。
ただ、肝心の木馬を作る過程が余りにもアッサリし過ぎ。それに、あれで中に人がいることをトロイ軍が疑わないというのも、やはり変です。「名を残す」ことに固執するアキレスに共感はするものの、ややくどすぎ。しっかり後世に名が残っていますって・・・。(^o^)
トロイ戦争勃発の元になったヘレンを演ずるダイアン・クルーガー、流石に奇麗ですが、やや冷たい感じが・・・。オーランド・ブルームは終始トホホな役ですが、ラストでレゴラスと化して、弓の名手となるのが
面白い。エリック・バナも「巨大緑色男」の時とは全く異なる存在感を示していて、大変結構。
全体的に重みや深みが無いと言えなくもありませんが、劇場鑑賞に堪えうる立派なエンタメ作品に仕上がっていると思います。上映時間は160分。事前に水分の摂りすぎは禁物です。
私の前に座った女子中学生グループさん。ブラピのヌード・シーンが出るたびに騒ぐのは、どうかやめてね。(-.-)
(劇場)
2004.05.23 コール ★★
- 「アイ・アム・サム」での名子役であるダコタ・ファニング 、「モンスター」で美貌をかなぐり捨てた(?)シャーリズ・セロン、「ミスティック・リバー」で久方ぶりに良い男を演じたケビン・ベーコンらが共演する誘拐サスペンスということで、大いに期待をしたのでした。
全米でベストセラーを記録した小説を、原作者が自ら脚本を手掛けて映画化したとのことですが、そうだとしたらこの原作者は自ら脚本力の無さを露呈してしまいました。
序盤のサスペンス溢れるムードが、進行するに連れてドンドン雑でチグハグな方向に向かってしまい、最後のハイウェイ・シーンに至っては、全く別の映画か?と思わせるような異質な展開に・・・。犯人グループはいったいお金目的なのか、復讐なのか、はたまたエッチ目的なのか・・・?それとも、最後にチラリと暗示されたことが狙いだったのか?
もしこれらがミス・リードのための要素だとしたら、観客をバカにしているとしか思えません。喘息という設定も、ああ、またか!という感じ・・・。確かに、過去4回成功したということも頷かされる、誘拐の手口ではあるのですがね。
セロンの恐怖と嫌悪にひきつる表情など、オスカーを獲得した演技力は確かにここでも光っています。お尻の割れ目に手術用メスを忍び込ませる勇気にも、拍手!(関係ないか(^_^;))。ベーコンは、またエッチなワルに戻ってしまいましたね。一番この手のキャラが似合っているのかも知れません。夫役のスチュワート・タウンゼンドとケビンの妻役のコートニー・ラヴの絡みも焦点が合わずイマイチだなあ。
本作の原題は「Trapped」で、罠にはめられて、とか、騙されて、という意味だと思いますが、正に観客の期待がそうされる作品なのでした。(-.-)
(DVD)
2004.05.17 ビッグ・フィッシュ ★★★★
- ティム・バートン監督の最新話題作。プレミア誌が随分早い時期に特集を組み、評者7人が全て四つ星(満点)を付けていたもので、要チェックです。ただし、アカデミー賞の選からは漏れてしまいました。タイトルはズバリ本作でのキーとなる「大きな魚」を指していますが、「大物、有力者、重要人物」という意味もあるとのこと。
- 一人の男のホラ吹き話で塗り固められた人生と、そんな父親にウンザリして距離を置いている息子との愛憎が描かれます。雰囲気的には「シザー・ハンズ」や「スリーピー・ホロウ」に似たシーンが幾つも出てきて、いかにもバートン的ではありますが、暗さや悲壮感は全くありません。ほのぼのとしたユーモラスなエピソード(ホラ話)が次々と語られます。
- 確かに息子でなくとも途中で、「ま、いい加減にしたら・・・」などと思わなくもありません。しかし、これらのホラ話はすべてラスト・シーンのためにある布石と言って良いでしょう。息子(と観客)のそれまで鬱積した思いが一気に晴れてしまうという、巧妙な大団円を迎えます。
- 自分の人生に関わった多くの人々に祝福されて最期を迎える、これほどの幸せはありますまい。特に川縁でのシーンには泣かされました(私もかくありたい・・・)。
- 老いた父親役のアルバート・フィニーも悪くはありませんが、若き日の役を演ずるユアン・マクレガーともう少し似ている配役にして欲しかったですね。その点、母親役のジェシカ・ラングの若き日役は良く似て(似せて)いました。
- エピソードのうち、巨人(何故か「ドリフの全員集合」を思い出してしまった(^o^))や双生児(差別描写、スレスレか?)が特に印象的。ラストの葬儀のシーンで、あの大きさの巨人は車に乗っては来れない、とか、周りに比べて老けていない、などという突っ込みは野暮というもの。(^o^)
- 私もあのように、人生に関わった人々に祝福されて最期を迎えたいなどと、本気で思ってしまいました(ちょっと、ヤバイか・・・)。(^_^;)
- (劇場)
2004.05.10 ジョニー・イングリッシュ ★★★
- テレビ・シリーズ「Mr.ビーン」のローワン・アトキンソン主演によるスパイ・コメディ映画。テレビ・シリーズの延長上にあった「ビーン」はともかく、「ラットレース」ではかなり違和感があったアトキンソンでしたが、今回はどうなんでしょう?
いかにも運動神経が悪そうで、色事には無縁のイメージのある彼には、「007」シリーズのパロディ演技はやはり無理があると感じました。ま、それを逆に狙っているということなのかも知れませんが・・・。加えて映画「ビーン」でもそうでしたが、饒舌な彼はどうも似合わないのです。
- ギャグはそれなりには笑えますが、「勘違い行動を取った結果の始末の付け方は?」というワン・パターンのオン・パレードで、先が容易に読めてしまうのです。特に二つのビルに降下するシーンなど。それでも回転寿司シーンでの彼の日本語には、大いに笑ってしまいました。誰がああいう語句を発想するのでしょう・・・。(^o^)
感心したのは英国(女王)の犬好きや、フランス嫌いを自ら徹底的に茶化してしまっているということ。いいのかね、あそこまでヤッてしまって・・・。
悪役は、これ以上のはまり役はないという感じのジョン・マルコビッチ。フランス語訛り(多分ね)の英語を駆使し、長髪のカツラを着けて、ここでも怪演します。
ま、雨の日曜日の午後にお気楽に見るには適した作品と言えるでしょう。ただし、食事をしながら本作を鑑賞することは、絶対にお勧めしません。(+_+)
(DVD)
2004.05.09 ファム・ファタール ★★★
- いつまで待ってもいっこうにDVDがレンタルにならないので、久方ぶりのVHSビデオによる観賞です(それにしてもDVDセルはあるのに何故レンタルがないの?)。
「ミッション・インポッシブル」、「スネーク・アイズ」などのブライアン・デ・パルマ監督の最新話題作。タイトルは「運命の女」というような意味です。
何と云っても興味の的は、「X-MEN」で可哀想なほど全身真っ青なペンティングを施されたセクシーなミスティーク役のレベッカ・ローミン=ステイモスが主演していること。「X-MEN2」ではわずかながらハッとするような美しい素(ス)の顔と身体を垣間見せてくれておりました。本作ではもちろん全編、素なのです。(^_^;)
期待に胸を膨らませて見始めたものの、前半の雑で強引な脚本に脱力することしきり(もっと丁寧な納得のいく展開にしてくれよ!)。それでも、蛇型の下着(「ビスチェ」と言うのだそうな)を付けたセレブ役の美女(殆ど裸)やレベッカの白や黒の下着姿やセクシー・ダンスに、眠気は飛んでおりましたが・・・。(^_^;)
で、問題のオチがやってきます。オイオイ、全くのルール違反だろうが!と半ば怒りながら、それでも見続けます。さすがにそれで終わることなく、その後の終盤の展開は伏線を活かしたまあまあ、納得出来るもの。ヤレヤレです。運転手のオジサンは可哀想ですが・・・。(-.-)
レベッカの美形ながらもやや険の有る風貌は、本作のような悪女役にはピッタリ。下着姿になったり、セクシー・ダンスをする必然性は全くないとは思いますが、デ・パルマ監督の趣味には従わざるを得ませんね。
ここでもトホホ役を演じるアントニオ・バンデラスは、余り良いところなし。もっと役を選べよ・・・。
でも、廉価版DVDが出たら、多分購入します。(^o^)
(VHSビデオ)
2004.05.06 イン・アメリカ 三つの小さな願いごと ★★★
- 機内スクリーンから大分後方の席で、しかも日本語吹き替えだったので見ないでおこうと思ったのですが、冒頭のシチュエーションを見て、見続けることにしました。アイルランドから移民してきた家族が、ニューヨークのハーレムのアパート住まいを始めるという設定。私が訊ねようとしている娘家族の住まいも、ニューヨークのハーレムに近いアッパーウエストの古いアパートなのです。(^_^;)
- アイルランドから不法入国した小さな姉妹を持つ4人家族が、ニューヨークで末弟の死を乗り越え、貧しいながらも精一杯新しい生活を切り開いて生きていく、という若干ファンタジーがかったヒューマン・ドラマ。「願いごとには願っていいことといけないことがある。そして、願えるのは三つだけ」というのがキーワードとなっていて、小さな姉妹の目をとおして自分の両親や奇妙な隣人達の行動が描かれていきます。
- 姉(多分10歳くらい)の言う「私がこの家族を支えてきたのよ!」という言葉には、やや引いてしまいましたが、確かに冷静に大人の行動を見据え、三つの願いをタイムリーに使う彼女の言動が大きくこの物語を支配しています。加えて妹(7歳とのこと)の天才的演技での愛くるしさが華を添えます。ただし、吹き替えであるのがやはり残念。
- 家族に絡むミステリアスな隣人(ジャイモン・ハンスゥ)が重要な役割となってはいますが、行動がややチグハグ。他人を拒絶していた彼が安易に姉妹の入室を受け入れたり、終盤の行為もややわざとらしい。でも結局彼が、どこかスティーブン・キングの小説にあるような、ほのぼのとしたハッピー・エンドをもたらします。
- 妻役は、「マイノリティ・レポート」からそのまま抜け出して来たかのような坊主頭のサマンサ・モートン。巧い役者さんだと思います。余りにも憐れで同情を禁じえない夫役には、
パディ・コンシダイン。
- それにしてもこの映画によれば、ニューヨークの夏はかなり暑いらしい。早速、娘達にエアコンを買うことを勧めたことでした。併せて、米国での出産費用はいくら異常分娩とは言え、3万ドル!!二人目も日本で産むように>娘家族。(^o^)
- (機内映画)
2004.04.26 キル・ビル vol.1 ★★★★
- クエンティン・タランティーノの久々の監督作品。vol.2も既に劇場公開されていますね。
私としては冒頭のクレジットで流れるナンシー・シナトラの「バン・バン」に感激。懐かしさが込み上げ、しかも歌詞の内容が冒頭の状況にピッタリ合っているのにも驚きました。
結婚式の日に夫や子供を殺され、自身も殺されかけた主人公(ユマ・サーマン)の復讐譚ということになるのでしょうか。少なくともvol.1に関しては、そのようです。
とにかく、タランティーノのぶっ飛び具合は凄まじいものがあります。お得意のテロップ、画面割り、時系列の逆転に始まり、アニメを挿入したり、邦画の主題歌(梶芽衣子?)を挿入したり、航空機の機内で主人公に日本刀を持たせたり、と好き勝手のし放題。深作欣二監督の「仁義なき戦い」を始めとした元ネタがたくさんあるようなのですが、なに、知らなくとも充分楽しめます。
ただし、首を始め、手足がゴロゴロ切られて血飛沫がこれでもかと、飛びまくりますので、ある程度覚悟して見る必要があります。スプラッターが駄目なお方は、多分5分と持たないでしょう。(^_^;)
流麗なワイヤ・アクションやカメラワークを見せたかと思うと、一方でチープ感が漂う場面も多し。エレキバンドをバックに集団で踊っている日本の料亭などの描写は明らかに、変。千葉真一の演技やセリフ回しも明らかに、変。飛行機は模型そのものですし、生首ももう少し巧く作れば良いものを・・・。(^_^;)
余り運動神経はよろしく見えないユマ・サーマンが、バッタバッタと日本刀で数十人もの敵を切り倒して行く、エネルギッシュな殺陣がこの映画の命。ヤクザの姉御役のルーシー・リューも貫録負けです。
vol.2を是非とも見たくなるようなエンディングがニクイ。
(DVD)
2004.04.26 S.W.A.T ★★☆
- 昔のテレビ番組の劇場映画版らしい。中学1年生は無料で観れるというのがうたい文句でした。何でも中学1年生が最も映画を見ない世代なのだそうな。その年代の客層を劇場に呼ぶのが目的だったとのこと。私なんぞ、周りが全部中1でうるさかったら嫌だななどと、劇場観賞を敬遠(ま、それだけが理由でもありませんが)。(^_^;)
確かに残酷なシーンは殆どありませんでしたし、セックス・シーンやヌード(その瞬間、後ろ姿になったりして)もなし。そういう意味では健全と言えるでしょう。しかし、映画の出来は決して良いとは言えないと思います。
S.W.A.T.(Special Weapons And Tactics)に関して丁寧に説明し、隊員を募る前半が長すぎて、ハッキリ言って退屈。隊員の個々のキャラクタを説明した割には、肝心の後半にそれらが活かされていません。前半と後半でまとまりが悪く、二つの短編を見せられたようにも感じられます。
主演のコリン・ファレルはともかく、折角個性的なサミュエル・L・ジャクソンやミシェル・ロドリゲスらが登場しているのに、ちっとも活躍しないという有り様。
逮捕された麻薬王(オリヴィエ・マルティネス)が、「俺を逃がした奴に、1億ドル払う」などと言ったことを受けて、街のギャングなどの有象無象が彼を逃走させるために暴動を起こす、などというのも非現実的。もっとヒドイのが誰かさんの裏切り。前半の丁寧な説明を、一挙に台無しにする雑な脚本です。
どうもチグハグな感じが最後まで付きまとうのでした。
(DVD)
2004.04.12 永遠のマリア・カラス ★★★
- ミニ・シアター系で上映され、評判の良さで異例のロング・ランとなった話題作。マリア・カラスが華やかなステージから姿を消した晩年時代を描いたもの。カラスの親しい友人でもあったフランコ・ゼフィレッリの監督作品です。
カラスを演ずるのは、「8人の女たち」での記憶が新しいファニー・アルダン。カラスのポートレイトなどを見るにつけ、イメージ的にはこれ以上の適役は居ないのではないでしょうか。なんでもグレン・クローズ、メリル・ストリープ、アンジェリカ・ヒューストン(冗談でしょ!)なども候補だったとか・・・。(・・;)
カラスの復活を企画するプロモータ役はジェレミー・アイアンズですが、ゼフィレッリ監督自身が投影されているとのこと。それかどうか、アイアンズはホモの設定になっていて、敢えてカラスとは恋仲ではないという説明がなされているようです。(^_^;)
アイアンズ演ずるプロモータの目論みは、声が出なくなったカラスに、かつての全盛期の録音で口パクさせながら、カルメンを演じさせようというもの。渋々承諾したカラスはそのオペラが作品的に大成功したものの、最後に自身の意思によってお蔵入りさせてしまう、という展開となります。私としては、最終的には没となってもそんなことをよくカラスが納得して演じたものだ、お蔵入りした映像が発掘されれば高く売れるだろうな、などと貧乏根性で思ったのですが、こられは結局フィクションとのこと。納得です。(^_^;)
晩年のカラスが孤独だったことはヒシヒシと伝わってきましたが、声が出ないということに対してはそれほど悲壮感は感じられませんでした。だって53歳ですし、かつての栄光があるのですし、パリであんな豪華な住まいを構え、シャネルを次から次へと着倒している生活なのですから・・・。(-.-)
(DVD)
2004.04.11 フォーン・ブース ★★★☆
- 公衆電話ボックスに入ったのはいつが最後だったでしょう?今となってはすっかり無縁となってしまった、そんな公衆電話ボックスを舞台にしたサスペンス・スリラーです。一発アイディアの勝利ですね、これは。
芸能界専門の宣伝マンである主人公(コリン・ファレル)は女友達に電話するために公衆電話ボックスに入ります。そこに何故か電話の着信ベルが・・・。思わず受話器を取った彼に電話の主は、何と電話を切るなら彼を撃ち殺すと威すのでした・・・。(公衆電話の着信番号は、普通は知りえないはずなんだけどなぁ(^_^;))
そんなばかな・・・、という設定ではありますが、それが正当であることを狙撃犯人は説明をし始めます。この犯人の声がやけに落ち着いていて、とても不気味。しかもよくある受話器を通した歪んだ音声ではなく、ごく普通の音声であるところも、良い。この後は、ひたすら主人公と犯人のやり取り、駆け引きが延々と続くのですが、演出の巧さで最後の最後まで緊張感が持続します。思わず体に力が入って、見終えてドッと疲れが・・・。
もう一つのポイントは、ひたすらボックス内で受話器を手にし、百面相の独り芝居を行うファレルの演技力。これは文句無しですね。駆けつけた刑事(フォレスト・ウィテカー)と主人公のやりとりは極めて滑稽ではあるのですが、ファレルの迫真の演技の前では、笑っては悪いような・・・。(^o^)
結末に工夫が無いのが残念。誰も彼を犯人だなどと思わないでしょう。
- しかし、女友達に電話する時に、結婚指輪を外すような純朴な男を、あんなひどい仕打ちに遭わせてはいけませんよ。(^o^)
(DVD)
2004.04.05 セクレタリー ★★
- な、なんだ、これは!などとビックリするようなビデオ・パッケージどおりの内容の作品です。一風変わったラブ・ストーリーの体裁をとったソフトSM作品、といったら言い過ぎでしょうか・・・。
とは言うものの、サンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞し、主演のマギー・ギレンホールは数々の賞を受賞したという話題作なのです。
自傷癖があって精神病院を退院したばかりの主人公(ギレンホール)は、とある弁護士(ジェームズ・スペイダー)の秘書として初めて就職します。弁護士のSMチックな秘書教育にいつしか快感を覚えた彼女は、次第に彼を愛している自分に気が付いていくのですが・・・、というストーリー。
うう、何故か欲求不満に陥ります。いえ、その手の描写が物足りない、などということではなく。(^_^;) 主人公も弁護士も、何故もっと素直に、ストレートに自分の感情を表現し、行動に移さないのでしょうか?あれもひとつの愛の形?割れ鍋にとじ蓋?う〜ん、理解できません。
主人公や弁護士のトボケっぷりも中途半端。奇妙な味、というところまでも行かないし・・・。
たしか「プレミア誌」でも評判は良かったはず。専門家諸氏にはこの手のストレートでない作品が受けるのでしょうか?
少なくとも私には、SMの気は全くないということがよ〜く判りました。(^_^;)
(DVD)
2004.04.04 ティアーズ・オブ・ザ・サン ★★★★
- 「ティアーズ・オブ・ザ・サン(Tears of the Sun)」、タイトルが如何にもで、素晴らしい。予告編などで、内容や結末が殆ど判ってしまうのも、素晴らしい。(^o^)
ブルース・ウィリスはともかく、取って付けたかのようなキャストで、とてもアフリカ現地の女医には見えないモニカ・ベルッチも素晴らしい。(^o^)
当初本作は、「ダイ・ハード4」の脚本として書き上げられたのだそうな。余りにも深いテーマ性を持ったので別作品にしたのだとか。確かに「ダイ・ハード」シリーズには、深いテーマなどありません・・・。(^_^;)
上述のように少々小馬鹿にして見始めたのですが、中々どうして、最後まで引き込まれてしまいました。イラク紛争など、昨今の状況下ではこの手の映画はやはり考えさせられます。鼻持ちならない米国正義、米国帝国主義万歳映画、予定調和過ぎるなどという批判は、すればキリがないでしょう。割り切って、純粋なエンタメ映画として楽しむ手もあります。
主人公(ウィリス)率いるアメリカ海軍特殊部隊に課せられた新たな任務は、内戦下のナイジェリアで難民の治療にあたる女医(ベルッチ)一人の救出。ところが途中で主人公は、女医とともに30人の難民も一緒に救出することを決意します。ベテラン兵士である彼が、何故簡単に軍の命令に背き、自分や部下の命を犠牲にすることに翻意したか?「自分でも判らない」と言ったウィリスさん、ずばり、モニカの涙でしょう?(いや、胸の谷間か)(^o^)
自分の意思に反する上官の命令に、ウンザリ、辟易顔のウィリスさん、その気持ち、よ〜く判ります。(^o^)
お約束の最後の空爆は、安易といえば安易。でもああでなければ終わりません。それにしても、ああも綺麗に敵味方を区別できるのかが、良く判りませんでしたが・・・。
(DVD)
2004.03.28 アマロ神父の罪 ★★★☆
- カトリック神父は牧師と違って妻帯が許されない、ということが如何に人間性を阻害するかを描いた作品。(などと言い切っていいのかな・・・。しかし、アメリカでは神父のエイズ感染率は国民平均の4倍なのだそうな。(-.-))
1875年、ポルトガルで発表された小説を、現代のメキシコを舞台に置き換えています。75回のアカデミー外国語映画賞にノミネートされた他、メキシコ・アカデミー賞(アリエル賞)で作品賞を含む主要部門を独占した作品。
ただし、主人公の神父が信者の16歳の少女と肉体関係を持ち、司祭にも愛人がいて、おまけに教会が資金洗浄に手を貸すなどという内容ですから、各国で上映禁止運動が起こるのも無理からぬこと。その点、日本は呑気というか、平和ですね。
終盤までは、そうだよ、人間というものはそういうもんなんだよ、などと妙に納得して見ていたのですが、ラストはその分、ショッキングでした。確かに大罪ですな、これは。神父の素知らぬ顔のエンディングは、確信犯的ないさぎよさがあります(意味不明)。
メキシコ映画といえば、黄色がかって粒子の粗いザラついた映像という印象がありますが、本作は驚くほど鮮明で美しい映像です。
主人公を演ずるのは、「アモーレ・ぺロス」で好演していたガエル・ガルシア・ベルナル。甘いマスクが魅力的です。いずれハリウッド映画に出ることになるでしょう。信者の少女役は、実年齢22歳のアナ・クラウディア・タランコン。清潔な色気が素敵です。二人とも、もしハリウッドに進出する場合には、どうかもっと覚えやすい名前に変えて下さいね。(^_^;)
それにしてもメキシコ映画に何故、清川虹子が出演しているのでしょう?(^o^)
(DVD)
2004.03.22 トーク・トゥー・ハー ★★☆
- 見終わって初めて、あの「オール・アバウト・マイ・マザー」のペドロ・アルモドバル監督作品だと知りました。なるほど、そんな雰囲気です。75回アカデミー賞で脚本賞のオスカーを獲得したスペイン映画。
昏睡状態に陥った二人の女性とそれぞれに関わる二人の男性を巡る物語です。設定は極めて非日常的と言わざるを得ないでしょう。大体昏睡状態になっているとは言え、未婚のうら若き娘の生理の始末を若い男の看護士にやらせるか?結局、この看護士が最後にもたらす結果は、そういう環境に置くことを許した周りが悪かった、ということなのではないでしょうか?
良くも悪くも一つの愛を描いたということなのでしょうが、私は共感できませんでした。愛は盲目というけれど、自分の犯した罪をも自覚できない看護士が哀れなだけ・・・。
劇中に登場する無声映画「縮みゆく恋人」も極めて挑戦的。古いトーキー映画を装っていますが、何せ巨大な女性器が出てきたりする始末なのです。これにはビックリしました。アルモドバル監督の面目躍如といったところでしょうか。
私にとって印象的だったのは、「ククル・クク・パロマ」のライブ演奏と、チャップリンの娘、ジェラルディン・チャップリンの出演。当たり前ですが、彼女、随分老けてしまいました。そう言えば先日1,500円で購入した「ドクトル・ジバゴ」のDVDを見なければ・・・。(^_^;)
(DVD)
2004.03.15 リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い ★★☆
- 主人公のショーン・コネリーを前面に押しだして、大々的に前宣伝をしていた作品。予告編を見るかぎりは、期待が持てそうでした。
ネモ船長、ジキル博士&ハイド氏、透明人間、トム・ソーヤ、ミナ(ドラキュラ)などの有名人(?)でグループを組ませ、一致団結して悪と戦うという奇抜なアイディアには敬服。でも冒険家アランやドリアン・グレイなどがどういう人物なのか、予備知識が無いと少し辛い部分があります。
見ものはこれらの設定と、序盤の各々の特異なキャラクタの紹介シーンのみ。こんなに恐い集団が相手をするには存在感が無さ過ぎる悪者であることに加え、後半の展開がストレート過ぎて面白みが無いのです。ノーチラス号の内部はアナログっぽくて良いのですが、海を走る俯瞰映像はいかにもアニメ的でいただけません。ハイドが最後に戦う敵は、まさに漫画そのもので大いに減点対象。ま、ハイドへの変身シーンも「ハルク」そのものでしたが・・・。
コネリー演ずる冒険家のアラン・クォーターメインは、「キング・ソロモンの秘宝」の主人公だったとは知りませんでした。結局、コネリー以外でメジャーな俳優が居なかったということもマイナス要因でしょう。例えば、ネモ船長にティム・ロス、ジキルにアラン・カミング、ミナに、レベッカ・ローミン=ステイモス・・・、いかん、これではX-MENになってしまいます。(^o^)
(DVD)
2004.03.15 マッチスティックメン ★★
- 潔癖症の詐欺師のお話です。リドリー・スコット監督作品ということで、かなり期待したのですが・・・。タイトル(「Matchstick
Men」)は「詐欺師」の意味のようです。
床に落ちているどんなに小さなゴミも気になり、ドアは必ず「1、2、3」で開けるという主人公(ニコラス・ケイジ)。彼と相棒(サム・ロックウェル)との詐欺の手口が少しずつ披露されますが、そう大したことはありません。生まれて初めて再会した主人公の娘(アリソン・ローマン)との絡みを経て、あっと驚く大団円を迎えるという趣向なのですが・・・。
まずは「恋愛小説家」の敷居が踏めないジャック・ニコルソンを思い出してしまいました。しかし、あちらと違ってどうも違和感を覚えるのです。詐欺師という主人公に潔癖症という設定は、どうも合わないような気がします。しかも、ケイジのチック症などの演技もイマイチだし・・・。
ラストの大どんでん返しも、はい、そうでしたか・・・、という感じ。余りにも用意周到過ぎて、現実離れしています。
一番ビックリしたのは、25歳のローマンが、14歳の少女役を演じたということ。どう見てもガリガリの少女にしか見えませんでした。つまり、彼女が一番の詐欺師だったのですね。(^o^)
う〜む、リドリー・スコット、焼きが回ったか・・・。
(DVD)
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