AVR大研究B
Automatic Voltage Regulator

AVRの保護と負荷の保護

負荷に流れる電流を制御して電源回路自体を保護するには!

電源回路の保護
電源回路の出力端子をショートさせたり、過大電流を流した場合電源回路はどうなるでしょう。 異常電圧の低下が起こりますから電源回路は電圧を規定電圧に戻そうとします。その結果過大電流によりQ1の損傷が考えられます。 今回のように設計負荷電流が1Aであればそれに見合ったトランジスタを使いますから過大電流でQ1は損傷します。

定電流型保護回路
このような過大電流保護には一般的にはフューズが使われますがフューズの溶断までの時間Q1が過負荷の状態になり持たない(損傷する)可能性があります。 そこで動作時間が早い電子的な保護をします。大研究Aの負荷保護用の回路でもその機能を果たすことができます。 設計電流より大きい電流が流れた場合赤線の回路が働きQ1の電流を抑制します。 この動きを負荷側から見ると制限電流を超えると一定電流を維持することから定電流型保護回路といわれます。
この回路はリアクタンス負荷(大きなコンデンサがつながったりモーターなどののコイルがつながる抵抗だけでない負荷回路) に対しても安定に作動します。
しかしQ1には設計最大電流が流れ続けます。さらに出力電圧を最低に設定したときはQ1の損失が最大になり十分な熱設計(放熱設計)が不可欠です。
概略ですが安定化回路の入力電圧が20Vで出力電圧が15VのときはQ1の損失は設計電流1Aですから5Wですが出力電圧が1Vの時は損失は19Wになります。

フの字型保護回路
定電流型保護回路は動作原理が簡単ですがQ1の損失が大きいことが欠点です。
発想を変えて(この場合赤線の回路は無い物とします)ZDに供給する電源を負荷側から取ったらどうなるでしょう。つまりR2を出力側につなぎ換えます。
電源が過負荷状態になるとR2を通して供給されるZDの電力が不足しZDは一定値を維持できなくなり次第に電圧が下がります。 その結果出力電圧が下がりさらにZDの電圧は低下し連鎖的にある一定の電圧に収斂します。
この保護回路は電圧を下げる方向に動作します(結果として電流も低下する)のでQ1の損失はあまり大きくなりません。
この様子を縦軸に電圧、横軸に電流を取ってグラフにするとその変化はカタカナの”フ”の字に似ているところからフの字型保護回路といわれます。
しかし電圧可変範囲を大きくした場合動作条件が難しく実現不能な領域が発生することがあります。
またリアクタンス負荷の場合起動しなかったり(突入電流で保護回路が動作してしまう)することがあります。
負荷の種類が限定できない実験用電源には不向きな場合もあります。

電流制限の考え方

【負荷を保護する電流制限回路は電源の保護にも役立ちます。】
赤線の抵抗を適当にえらべば負荷に流れる電流を抑制するだけでなくQ1流れる電流を設計値以下に抑えることができます。
抵抗を各条件ごとに設定できるようにすれば電流制限器としての機能をはっきできます。これは実験用電源としてとても便利な機能です。

【定電流型保護回路の損失を少なくするには】
動作原理が簡単で広範囲に適合できる定電流型保護回路の欠点は損失が大きくなってパストランジスタ(Q1)の選択に困ることです。 これを解決するいちばん簡単な方法は・・・そうです!
 
入力電圧を下げることです。

 

【 0108 ja1cvf 】

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