AVR大研究@ 
Automatic Voltage Regulator

AVRの動作原理を考えよう

AVR(Automatic Voltage Regulator)すなわち定電圧(安定化)電源のことですが電子機器を扱ったり電子工作をしたことにある人は、 自作にしろメーカー製にしろ1台くらいはお持ちだと思います。

そんなわけでいまさら作る必要もないかもしれません。
真似して作っていただけばそれに越したことはありませんが読んでいただければトランジスタ回路の理解が深まること間違い無しです。

真空管時代には特別な場合以外定電圧電源というのは必要ありませんでした。
しかしトランジスタ時代になると電圧の変動は不安定動作の要因となり定電圧電源は不可欠なものとなりました。

その理由は回路のインピーダンスの違いによるものと覚えていても大きな間違いにはならないでしょう。
たとえば配線の抵抗が1Ωあったとします。100Vのラインで1A流すと電圧降下が1V発生します。これは1%の電圧変動です。 しかし10Vのラインで同じように電流を流すと電圧降下は同じ1Vですが変動率は10%になります。 これを電力の考えで行けば100Vラインのときは同じ電力を供給するとき10Vラインの10分の1の電流しか流れませんから電圧変動はもっと少なくなります。 これを回路の抵抗成分(インピーダンス)から見れば抵抗成分が大きいということになります。

低い電圧で動作させるためには配線の抵抗とともに電源の電圧変動が大きく影響することが理解いただけましたでしょうか。

いよいよ本題です。
一般的な乾電池の電圧をテスターで測ってみると約1.5V新しいときは1.7V位あります。そのまままめランプをつないで見ると電圧が少し下がります。 下がり具合は古い電池のほうが大きく下がります。これは電池の中に抵抗が直列に入っていると考えてください。これを内部抵抗といいます。 この抵抗は電池が古くなると大きくなる性質があります。そのため古い電池は電圧が下がってしまうのです。その結果ランプは暗くなってしまいます。

今ここに1.5Vでちょうどよく光るランプがあるとします。
新しい電池は電圧が少し高すぎますのでそのまま使うとランプが切れるかもしれません。そこで直列の抵抗を入れてランプの電圧を調整してみましょう。 しばらく使うと電池の電圧が下がってきますから調整用の抵抗は小さくしなければなりません。 このようにして抵抗を調整しながら使えばランプは具合よく点灯することができます。

このようなことを自動的にするのがAVR(Automatic Voltage Regulator)です。

先ほどの例では直列に可変抵抗を入れました。このような方式をシリーズレギュレータといいます。 抵抗を負荷に並列に入れる方法もあります。 それをシャントレギュレータ SWの on,off で電圧を一定にする方法をスイッチングレギュレータといいます。
スイッチングレギュレータは効率もよく、入力より高い電圧を取り出すこともできるため実用機にはたくさん利用されています。 しかし回路が複雑であったり、上手な設計をしないとノイズを発生させたりすることがあります。 

この大研究では調整範囲が広く原理が簡単なシリーズレギュレータについて考察します。 しかし抵抗損失が大きいのでノイズのないきれいな電源を必要とする実験用電源以外の使用は少なくなっています。

AVRの原理

【AVRの副産物】
AVRには強力な帰還がかかっています。その結果として電源に含まれるノイズやハム(リップル)を低減する作用があります。 しかしこれを期待しすぎて大容量のコンデンサなどを不用意に使用すると負荷変動の応答性が悪くなることがあります。

【直流回路の理解】
AVRの主要部分は直流回路です。そのため回路の動作を手順追って考えれば比較的簡単に動作を理解できます。電子回路を理解する上で最適な教材といえます。
しかし現実には長時間動作点変移(長い時間使用したとき動作点が狂ってくること)など難しいこともあります。

【 0107 ja1cvf 】

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