☆【 来てやったぞー1 】
■ 劇的なワーク
【8-1】 来てやったぞー
■ 劇的なワーク
Nさんは一児の子育てをしているヤングママです。本当に何年かぶりに喘息に見舞われて慌てて指導室へやってきました。私はまず整体をして体の様子を探りました。少し体が楽になってきましたがまだ肩で息をしています。
彼女はこの後ワークをしてその後一度も喘息は起きなくなりました。
さて、少しワークの説明をしてからある模擬劇的な会話が始まりました。次に書いてある会話は以下の設定での会話です。
●は喘息に脅かされている彼女としての役割で私が演じます。
○は彼女を脅かすところの喘息の症状としての存在で、Nさんが演じます。
つまり脅かす側と脅かされる側の異質なエネルギー間の会話だと思ってください。
K(私)、Nは役割を演じていないときの会話です。
「喘息と対話するなんてアホらしい」そういう気持ちになる方もあるかもしれません。
大切なことは「喘息の役を演ずる」そういう架空のことだとしてもそれはやはり本人であるということです。分かりやすくするためにもう一度整理しておきます。
●(金光)喘息に脅かされている彼女
○( N ) 擬人化された喘息症状
K(金光)、Nは役割を演じていないときの会話
プロセス1
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
● 苦しいの嫌だからこないでヨ!
○ ゲラゲラ (Nさんは笑いだす)
● あんたがくると困るの。料理もできないし、何もできないわ。
○ キャハハハ (声は更におおきくなる)
● せっかく苦しいのを忘れていたのに。傍に来ないでよ。
○(ますます大笑いする。)
K なんだかそっちの側(喘息の症状)でいるのは嫌じゃなさそうですよ。
N そう、どうしてかわからないけれど、そんなに嫌じゃない???(首をかしげる。)
● 本当に困っているんだから早くあっちへ行って!この息が苦しいのは嫌なのよ。あんたが来たら整体に行って高いお金を払わなければいけないんだから。
(私は、これは失礼な事を言ってしまったと判断して、非礼を謝りました。彼女があまり平然と笑うので悔しくなってちょっとはまり過ぎたのです。それからしきりなおして‥)
● 困るからほんとにもう来ないで。あなたに会いたくないわ。
(この間、○は横目でこっちを見ながら、クスクス笑ったり、妙に楽しそうにしている。
K そっちの側で本当に言いたいことがあったらキッチリと言ってみてください。
N 『来てやったぞー』って感じかな。
K そっちに居ると自分の存在感が出てきているでしょう。
N とても気分が落ち着いてきました。居心地がいいです。
● 苦しいから来ないでっ!(私は本音確認のために突然不意を突いてみました。すると、それに自然に呼応してNさんは)
○ きてやったぞー。
(声は低く温かく恩着せがまさもなく、もちろん威圧感やヤクザな感じもない。)
K こっちと替わってもらえますか。(つまり●と○の役割を替わる事を意味する)
N あっ、それって嫌って感じ。替わりたくない。
(Nさんはすっかりどっしりと喘息という症状の役割の側に落ち着いて座っている。息が苦しそうな様子は微塵もなし。)
結局、交替はしないことにした。
プロセス2
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
K そっち(○=喘息に象徴される人格)の存在の核になっているの何でしょう?
N 本当の自分っていう感じがしてきた。本来のタイプとしての自分に近づいた気がします。そっちが(喘息に脅かされている側が)小さく、心細そうに見えます。
K そっちは(Nさん言うところの本当の自分)今まであまり存在を与えられませんでしたから、生き方として日常の中に近寄せる必要がありますが、片方だけを選ぶのは少し行き過ぎかもしれません。
N こっち「はおう揚であまり考えない自分です。最近眠くて眠くて何もしないで寝てばっかりでした。だから喘息に‥‥。
(彼女は普通ありがちな因果論的な世界、何々したから罰が当たるといった世界に引き込まれようとしてしまう。)
K そう、その眠気はおう揚な自分(エネルギー)の出番が無いものですから、わき役になりすぎてデフォルメされた形で出てきたのでしょう。でもそれはこっちの方も同じなのです。こっちの方もあまり無視すると別の形で神経質になって出るかもしれません。
N 分かるような気がする。
K ではもう一度おう揚な側の「気」になり切って、過敏なこちらにアドバイスしてみてください。素直に何か言ってみるのでも構いません。
○ もっと気ままにしたら‥‥。回りの人の目を気にしないで‥‥。何をピーピー言っているの?神経質に。
N とても体が楽になってきました。
プロセス3
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ここで役割を交替しました。つまりNさんは●(喘息に脅かされている側)の状態。
そして彼女がなぜ自分らしいおう揚な人であることができないのか浮上してきました。
フッと彼女は緊張し泣き始めました。そして何故自分がよく気がつき、細かく考える人でなければならないかを語ってくれました(個人情報を守るためこのプロセスは省略)。ある人との人間関係が裏側にあったのです。
そして私が、おう揚で気ままな性格と神経質で人目を気にしたエネルギーの対比について何気なく話していたら‥‥。
N あっ!今思い出しました。
(と突然声を発して急にキョトンとした顔。そして驚きつぶやくように)
N 父はあまり考えず、おう揚で‥‥、母はしつこくて神経質でいちいちうるさくて父をいつも責めていました。
K 喘息になったことを因果論的に両親との問題にしてしまうとちょっと大変です。そういう求め方が効果的な場合もありますが今はそうする必要はありません。
さて、そうですか‥‥。だったらこっちのエネルギー(○=喘息の裏にある人格)のことを積極的に捉えると、「お母さんの真似をしないでね」と言っていることにもなりますね。
N ‥‥。呼吸がとても楽になってきました。
K また、おう揚な側になってもらえますか。その核の存在になり切ってみて、内側にあるものを言葉でなく行動で表現してもらえますか。
(再度最初の配役に戻る)
●(私) 早くあっちへ行って、苦しいのは嫌よ!
(Nはしっかりした歩みで私の方へ近寄る。私の両肩に軽く手を乗せ「ウン!」と腹にしっかり力をこもらせたような声を発す。続けて)
○ 大丈夫って感じ。
(と一言。このとき目つき<心>、動作<体>、声のトーン<言葉>すべてが一致。)
K そうです。その自分で例のあなたを神経質にさせる人に接してください。相手をどうこうしょうと考える必要ありません。このままでいいんです。
あなたが相手を思いやりすぎて心や動きがバラバラになると相手の反応もおかしくなるのです。それがまたあなたを混乱させます。確かめておきましょうね。また交替してもらえますか。
(私はさっき彼女がしたように歩みより、すべて彼女の真似をしてみた。)
●(N)何か安心した感じ。ああ、すごく体が楽になった。
プロセス1の最後の段階では、Nさんは●(喘息に怯える役割)を受け入れることができませんでしたが、これで結果的には○●両方を受け入れることができました。
次回・‥…→☆【 来てやったぞー の補足 】
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