【5-1】私も喘息だった1


■ 焦り

私も子供の時に喘息を患っていましたのでこの病気がどんなものであるかは分かります。また私は耳鼻咽喉の症状、アレルギー、皮膚病、循環器症、ひどい慢性下痢症、こういった慢性症を持っていました。まるでお宝みたいに。
 

これらへの対処はほとんどがいわゆる西洋医学的なもので、私は随分と薬や注射のお世話になりました。

子供の頃といえば昭和32年から10年間くらいのことでしょうか。この時代だから可能だったのかもしれませんが、私の家は医者の家ではないのに注射器とそれ用の薬が用意してありました。

ハッキリ言ってこれは違法行為です。でもどうか許してやって下さい。両親にとっては注射や薬は「 ひかえ!オロウ 」と、病魔、その悪代官をやっつける水戸黄門様の印籠みたいなものだったのです。 
 
症状がひどくなると父が注射器を煮沸して、薬の入った小さなガラスのあの入れ物の首をパキッと折り、不器用な手と真剣な眼差しで注射してくれたのを良く覚えています。薬の名前も今でも忘れていません。 

中学生の時には手術も経験しました。このように常に慢性炎症を抱えた体のせいか、体力、集中力がなく、何かにつけ自信がないのでそのコンプレックスが強かったのは当然です。

おまけに小学校の時には毎年10センチ前後身長が伸びていましたので常に一番背が高くて目立ったものです。

何と言っても目立つのは運動会で、かけっこで必ずビリになるものですから「 落第したみたいで格好が悪い 」と親にさんざん文句を言われたものです。

その当時は自分にとってどんな事が起きているかサッパリ分かりませんでした。後年心と体の関係が分かってきたときには結構悔しい思いをしました。

年を経てくると、どうも大変ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。お父上様、母上様。と、そんな感じですが、仕事をする自分としてはつまらないことが繰り返されないようにの思いが強くあります。

とにかく、そういう体の弱さと劣等感はなかなか解消できませんでした。中学の時には「 背が高すぎるから上から叩いてもらえ! 」ということで剣道部に入部しました。

とても短絡的なこの発想を今振り返ると、もう喜劇に思えて笑い涙さえ出てきそうです。

剣道の練習は頑張りました。しかしあるときとんでもなく嫌な目に会います。竹刀を後ろに振り上げて前に振り下ろすとき上体が前後にぶれるのです。自分では分かりませんでした。客観的な目というのは素晴らしく価値があります。

先生に「 お前はどうしてそんなに体をブラスのか 」と笑われると同時に叱られました。これは肋間が固くて全体が板状になっているから、肋骨の無い腰のところで運動系の遊びをとっていたのだと今では分かります。

あの当時は自分では普通にやっているつもりでした。後でどうしてそういうことが起きるのか疑問に思いました。そういう「あれっ?」というショックは残るものです。

先日「 腰が板状になったと同時に痛みを感じる 」と言う人がいらっしゃいました。腰はその回りが胸の様に肋骨で援助されていない分、前後、左右、捻る、という動きがとれるように出来ているのですから板状になったのではまずいのです。

これだと脚も前に出にくくなるのです。放っておくと今度は肩や膝、足首を患うようになるでしょう。そこを余分に動かして無理しているからです。

私達は症状にこそ自然と注意を集めてしまいます。けど、例えば徐々に体が一ヶ月前よりどこか動きが悪くなっていても、それをカバーするために具体的にどこを無理させているかは自覚できていません。

これは単純に運動力学的な補助現象なのです。
 
喘息の人、あるいはそれに近い症状を持っている人は上胸部を中心とする動きが抑制され硬くなっています。肺と外とが別物ということはまずありません。全く別物だったらそっちの方が壊れた状況に近いでしょう。それが自然というものでしょう。

しかし、例えば胸部が硬いとしてそれと連動して骨盤その他あるいは背骨の何番がおかしくなっているかなどは殆どの人は分かりません。当然あの頃の私にもからだの運動系的な原理など分かるわけがありません。

さて、剣道部は止めることにました。「 剣道の武具を買って自分のを持った方がよいといわれた 」と親にいうと、すぐOKがでました。現金な親です。

「 じゃあ今度はその背の高いのを活用しろ 」ということでバスケットボール部に入部しました。

背が高いのを活かすという発想は、背が伸びるのを竹刀で叩いて止めようというのよりは、少なくともポジティブシンキングだったと思う。私の心中は、また背が余計に伸びるのではないか‥‥の不安はありましたけど。

このクラブのとにかく走る、跳ぶの基礎訓練の厳しいことには面食らいました。おかしなことに限界まで体を使うと耳の中で何かが起きて聞こえなくなったりしていました。

走ったり跳んだりすることと耳は関係ないはずなのです。でも、何度も同じ経験をしました。 

限界まで走って倒れると全身が痺れてくることもありました。あまり辛そうにするので友達が心配してくれましたが、どうにもこうにも回復するのが遅かったです。痺れは胸椎7番というところと主に関係があります。

脚が痺れて立てなくなった時、ここをドンと叩くとスーッと取れてしまいます。またここは副腎皮質ホルモンに関係していて喘息の体を整える時にも用いるところです。 
 
耳は小学生の時急性中耳炎を何度も患い、医者は鼓膜の奥にある膿を、ブスッと鼓膜に注射針を刺してとっていました。これは強烈に痛いです。なんせ耳の中に注射針を突っ込んでいるので体を動かすわけにはいかない。これが辛い。

お転婆娘の私の妹は、一度だけ中耳炎を患った時、この治療を受けて先生の金の玉をおもいっきり蹴ってしまった。カウンターキック!

「 おーっ痛いのう! 」と言いながら手元が狂うといけないので先生も動けなかった。考えただけでも辛そう。

結局あのようなことをしても耳そのものは治ってはいなかったのです。

耳は首の4番という骨が深く関わっているのです。同時に胸椎の5番というところが急処でもあります。5番は体温調節を司っている処ですから耳の故障は幼少期に薬で熱を急激に下げたりしたことも関係しているのです。 
 
この胸椎5番も喘息、気管支炎の克服には深く関与してきます。猫背の姿勢ではここが飛び出して硬くなっているのです。喘息の人の姿勢は猫背の人が多いですが、マラソンの選手でもくたびれてくるとやや猫背気味になり顎を上げてきます。

これは疲れて動きが悪くなった肋骨が下がってくるからです。

バスケットボールの訓練はきつかったですがそれでも結構頑張りました。特にロングシュートは好きでした。走るのを横着できるのがよかった。あの網をボールが抜けるときの、スッと溜飲が降りる感じが心地よかった。

でもこういった体の弱さは高校へ進んでもあまり解消できず、むしろ逆に回りの人たちとは余計にギャップは大きくなった感じがしました。高校生ともなると男性は皆男臭くなり、自然と体ができてきます。

さして運動していない者でもそうなることに私はとても不思議さと不公平さ、不満を感じたものです。そうやって私はいつも焦りとコンプレックスを感じていました。


■ 喘息に有効な運動法1

   ★★★ 免疫力を高める【 リンパ体操 】★★★

この体操は免疫の中枢である胸椎7番を刺激してその機能を活発にするので、癌などの予防体操としても有効。7番は副腎皮質と関係することから解毒機能も司り、腹筋の緊張とも連動性があります。

加えて肋間を強く広げるので呼吸を深くさせ、肋間にまとわっているリンパの流れを促進する作用があります。近年リンパの価値が見直されていて、女性雑誌等でもリンパマッサージが紹介されています。

マッサージには心地よく触られて安心する心理効果があるのは私たちも充分認めています。でも、整体にはマッサージはありません。リンパの流れは体操をすることで充分解決できるからです。

◆ 動作は勢いをつけないでゆっくり行ないます。

1.仰臥(慣れてくると膝立ちでもよい)。足幅を骨盤の幅。

2.手の指を腹の上で組み、手の平を向こうに返す。

3.軽く肘を伸ばしたまま、手をゆっくりと頭上方向に上げる。

4.腕の動きが自然と止まったら、じわーと手首を突き出して腕を伸ばす。

5.それまでの緊張を保ったまま、肩甲骨を寄せると少し胸がでる。

6.腰がそっているのを弛めないこと。

7.脇の下の外のラインを左右どちらかをゆっくり伸ばす。グーッと伸ばし   たところでちょっと耐えてフッと脱力します。(交互に2回ずつ)

  !注意 伸ばされる実感がわき腹や腰であってはいけません。脇の下の外     の縁、肩甲骨外側ラインです。

乳癌の手術後にひどい肩凝りに見舞われていた看護婦さんにこの体操と蒸しタオルを教えてあげましたら、それですっかり取れたそうです。その後一度も来室されていません。

癌と喘息を同じ土俵で語るのは違和感があるかもしれません。しかし、硬くなった肋間を弛め、血行、リンパの流れを促すという目的ではこの体操が使えるのです。

これは井本整体・井本邦昭先生創案の体操です。私も臨床で度々使っており、いろいろな症状に使っているのでかえって何に効くかという説明が難しいですが、慢性病、生活習慣病全般と癌予防に効用があります。


◆ 体操のポイント1 ◆

動作はゆっくりおこないます。

速い動作、瞬発力を使う動作は大まかな筋肉の使い方しかできなくて、細かい緊張を浮き出させてその異常緊張を弛めることには向きません。

筋肉に細かい異常緊張ができているということは、そこを軸にいわゆる血液や
リンパ液の流れの交通渋滞状態を起こしているのです。弛めるにはゆっくりし
た動作が向いているのです。

速い動作や激しい運動が、健康のジャマをしている緊張を弛めるとは限りませ
ん。負荷や消耗率を下げてしかも効果をあげるには、ゆっくり且つ気持ちを集
中し緊張点という的に焦点を定めるような運動が良いと思います。

硬く古くなったゴムをギューと引っ張って一気に脱力すると筋肉に弾力が戻ってきます。これはマッサージ的に弛めるのとは異なります。


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       ■ 執着
       ■ 感覚が回復すること
       ■ 喘息に有効な運動法 
        ★ 腕・肩・胸にかけて同時に弛める体操
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■ 焦り 
■ 喘息に有効な運動法1
\喘息 のち 晴れ!/