【3-1】喘息と自律神経・背骨

         -- 主に気管支炎・気管支喘息-- 


■ 求め方としては医学と同じ

この症状では、呼吸器や気管支の収縮作用を持った上部胸椎の迷走神経、あるいは副交感神経の働きが興奮しすぎていています。そして反対の作用つまりそれらを広げる作用を持った交感神経の働きが鈍っています。

したがって喘息を改善するには、要はその働きが回復されれば良いことになります。もう少し詳しく説明します。 

唾液でもそれを支配している神経の働きのうち迷走神経の働きが優位になると分泌が増し、交感神経の働きが優位になると唾液が出なくなってカラカラに乾いてくるのです。

実はこの時、唾液腺に神経が出ている首の椎骨もそれに応じた現象が起きていると思ってまず間違いありません。電気のスイッチか、途中の配線が壊れているのに電気がついたらおかしいです。

胃袋の動きが悪いとき、胃袋に関連した背骨も動きが悪くなっているのです。そうでないとしたらそれこそ不自然だということになります。ただ、ここには何故胃袋の動きが悪いのかの問題も同時に存在します。

数珠状につながった各背骨にはその【 働き=役割 】があります。背骨の中には頭から尾骨のところまで神経の束が通っていて、それが各背骨のところから枝分かれしていてそこから各内臓へと分布していきます。

特に呼吸器の関係は肩甲骨の間のせまくなっているところの【 胸椎3番 】と呼ばれる処が中心となります。

いろいろ特例もありますが基本的には各内臓や器官には、その器官を収縮させる作用をもった迷走神経と、それに準ずる似た作用を持った副交感神経と、これらと全く逆の作用つまりその器官を拡張させる働きを持った交感神経が届いています。

背骨を後ろから見ると交感神経は背骨よりもずっと外側に位置しています。だからもし、この神経をちょん切ったりしたらその神経が持っている働き(指令)は内臓に届かずその機能は失う事になります。

普通はそういうことはありませんから、とにかく喘息に関して言えば気管支や呼吸器に至る交感神経の働きが正常に作用すればいいことになります。
 
この発想自体は、方法は別として医学的な求め方と殆ど同じだと思います。


■ 背骨の面白い作用 

私達は食べ物を咽に詰まらせた時、どんなことをしますか?胸をドンドンドンと叩いたり、背中を叩いてもらったりします。そうすれば食道が開く事を手は知っているのかもしれません。またこういうとき眼を大きく開いてしまいます。

いわゆる「 目を白黒させる 」と表現される状態です。これは交感神経が異常に亢進した状態です。つまりそのレベルを上げることに総動員しているのです。

実は「 背骨の何番を叩けばどの器官が開くか 」そういう研究をした療術家達はいるのです。その元の発想はそういう私たちが本能的にやってしまうことへの畏敬の思いがあったのだと思います。

叩きかたも重要です。ドンドンドン、「 すみません急用です!」と戸を叩かれると開けてしまい、小さくそぉーっとトントントントーンと叩かれると警戒して開けるのを拒みたくなります。体というのはそれと似た生々しさがあるのです。

子どもさんが、喘息発作を起こし始めた時、座らせて背中へ回り、肩甲骨が内側へ張り出している処の直ぐ内側を手刀で連続的にやや強めにダダダダダッと
叩き、ちょっと間を置いてまた繰り返しすると少し呼吸が楽になります。

/ \ これは背中です。左右に対称的にあるのが肩
/ \ 甲骨です。矢印の処が肩甲骨の内側に張り出
▽ した箇所です。
― ^ ▽ ^ ―
〜‐\ ▼ 3 /‐〜 この図では肩甲骨が低めになっています。
〉 ▽ 〈 ←←← 呼吸器が辛いと肩が上がりますから実際には
▽ 3番の辺りが矢印の位置になるでしょう。
ヽ ▽ 〃
∨ ▼ 7 ∨ 強さ、位置はよく分からなければ本人に聞い
| ▽ | たらいいです。左右とも3回行ないます。
| ▽ | これはあまり続けすぎてはいけません。
| ▽ |
| ▽ | 一つの刺激を連続的に続けると逆刺激になる
▽ からです。

叩打法をおこなってから、先で紹介する蒸しタオルを行なうと呼吸が楽になりますのでこれも覚えておいて損はありません。


■ 体は隅々までつながっているなま物

何故自律神経の働きが乱れてしまうのかは、前述の例の口の乾きについては、心理的要因によるものだと答えは既に出ています。 

体自体は意識以前に適応して反応しているのですが、この場合、人の意識はほとんどパニックとして感じてしまうのが実際です。 

このケースですと、同じ経験を何度も積みながら慣れていくなり、セラピーやメンタルなトレーニングでの改善が考えられます。 

また古来から東洋で尊ばれてきた呼吸法やヨガなどによる自己開発的トレーニングでも克服可能であろうと思われます。

特に東洋では古人は呼吸を介して自律神経の働きを整える知恵を体得していました。呼吸は通常無意識に行われていますが、意識してのコントロールが可能だからです。

白隠禅師は呼吸がツカエて体を患い、今で言うイメージ呼吸法に当たる呼吸法を創案して克服した人として有名です。

腹式呼吸法やイメージ療法がいろんな分野で用いられ、生理科学的にも価値があることを説明した本が書店に並んでいることを白隠さんが知ったらなんていうでしょう。

もう世の中は元気な人や悟って悠々とした人ばかりだろうと喜び驚嘆するのではないでしょうか。昔は今ほど情報はないかも知れないですが、見つけた良いことをじっくりやりつづける集中度はあったのかもしれません。

心の面でのトラブル現象に対しても最近はこれまでの医学的方法だけでなく現在は現実的にいろいろな立場での取り組みがなされてきています。
 
スポーツ選手へのイメージ訓練もプロが指導しているようです。これだと運動も筋肉だけが行っているのではないことになります。

実際これは綿密に指導するこの道の仕事人がいるそうで、オリンピックで賞を獲得した影にヨガ、姿勢科学、メンタルトレーニングが総合的に指導されていたケースもあります。

こういったことは表には出てきにくいです。競争の世界だからだと思います。

呼吸法もイメージを応用加味したものもいろいろ工夫されています。そういった類のものの中には願望達成、ビジネス成功目的のものもあります。

それらのほとんどは重心が上がり気が頭に行き過ぎるのを調和するため、座禅のように静かな呼吸をさせ、腹部副交感神経の働きを高める方式をとっています。

このように、体への関わり方には単に部分的な見方だけではなく、いろんな切り口、接点があるのは否定できないことだと私は思います。

喘息で息の通りが悪くなるのは気管支が狭くなるからで、それは胸部の迷走神経あるいは副交感神経の働きが余分に亢進してしまうからだと説明しました。

となると自律神経の働きのバランスを取るにあたり、呼吸そのものに取り組まなくてもヨガのポーズのライオンのポーズのようにそれを通して雄雄しいエネルギーのエッセンスに姿勢、呼吸、イメージに同化することで喘息が改善されることがあっても不思議ではないと思うのです。


ところで、気管支炎、喘息を患っている人の中で、夢の中にそういった野獣っぽいイメージが登場してくる人はいませんか?

ご自分がそれになってみるのも一方法なのです。ライオンでなければならないという必要はありません。これも神経的な作用とつながっているのです。もし
夢の中に自分を恐がらせるような野性味のある存在が登場するようでしたらそれは活用の価値があります。

呼吸器で活かされなくてその領域から締め出されたエネルギーの分散が、情報性を伴って夢の中に立ち現れてくるのです。これは体のタイプによって分散しやすいところとそうでないところがありますから必ず夢であるとは限りません。

子供が(大人も)アニメや物語のアクティブなキャラクターなど非日常的な世界に出会うとき、その刺激によって野性性を締め出さないようにしていることもあるのです。もちろん単なる娯楽の場合もあります。

俳優達が一つの役柄にハマルのは気持ち良いといいます。これは私の仕事においては大変参考になる話です。もし呼吸器の弱い人が、ある役にハマルことで胸がすっとするようなことがあるなら、臨床に役立つ可能性があるからです。

役の延長線上には神話や昔物語があります。これらは強烈な内容が多いです。こういう創作はきっと人間がいろいろのエネルギーに対して受容性をたかめるために自然にやってきたことなのだろうと私は考えています。

もし、ある神様の様相を真似してみて呼吸器が広がるような感覚が得られるならその神に象徴されているエネルギーは喘息の改善に役立つかもしれません。

繰り返しになりますが、これら夢や外部環境で上胸部の迷走神経の働きをを抑制できる要素を持つ内容は、喘息の改善に役立てられる可能性があります。

方法としては、いわゆる夢の中のエネルギーの強い部分、日頃気を引かれている存在に意識的にハマッてみて、体に感じことを調べてみてください。コツは「 喘息を治す 」という意識を横に置いてやることです。

どうしてかというと、現時点でのプロセスに集中密度を濃くするためには目的さえも脇に置いた方が分裂しにくいからです。

でも、やるかやらないか、体で何らかを感じるか感じないかの差は大きいので、とにかくやってみる価値は充分あります。

どうしても恐い人、まだ原理がイメージ的にも飲み込めない人はやめておきましょう。

このような方法を幼稚だと思われる向きの方もあると思います。かつて昔私もそうでしたから分かります。この方法については臨床例のところで再度説明いたします。

ここではひとまず、神経系といえどそれは部分だけのことではなく、体はなま物で隅々まで全部つながっていることを雰囲気的にでもつかんでいただければと思います。



次回・‥…→☆【 喘息の体の特徴 】

       ■ 体には連動性がある

        ・皮膚を患うと胸も弱くなる
        ・膀胱の不調が胸にくることもある
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■ 体は隅々までつながっているなま物
\喘息 のち 晴れ!/
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