【2-1】不思議な事があるんです-1
■ 息が吐けたら楽になった
その当時20歳過ぎのM君は小さいころから喘息とアトピーで悩んできました。最初はアトピーについて相談を受けました。アトピーに関しては別の臨床例としてまとめるかもしれませんので、ここでは説明しないことにします。
さて、彼はトンとご無沙汰だった喘息に見舞われて再び私の所へやっ来ました。そのときの体の印象は骨盤から下がしぼんでいるのに対して上体は拡がっていて、まるで息が腰から下に入らないといった感じでした。
おもちゃ屋にいろいろなアニメキャラクターの風船状のものが置いてあります。あれに空気を適当に入れて人形の腰から下をギュッと手で絞め付けた感じといえばわかっていただけるでしょうか。
喘息の呼吸を見ていると文字通りいかにも喘(あえ)いでおり、息を吸えないみたいに見えますが実は息を吐けないのです。吐けないものだから、勢い吸う方へ急いで回ってしまうのです。
つまり深く吐くことができると普通の呼吸に近づくのです。それで骨盤の縁(※後ほど説明)の処を押さえましたら、その途端息を吐いたのです。そこでもう1回押さえましたら更に息を吐きました。
その他数カ所押さえましたがそれは補助的なものでそれでもう殆ど良くなってしまいました。大人になってもしつこくつきまとっている喘息はそう簡単に治らない、私はそう思っていたのです。ところがこの時はケロッと良くなりました。私も正直「あれれ?」と拍子抜けして妙な気分でした。
私が学んできた療術では喘息になりやすいタイプを体型から分類しています。ある体型だと必ず喘息になるというのではなく、しわ寄せが呼吸器に偏りやすい体のタイプというのがあるのです。
しかしいくら考えてもそれまでの私の経験と違って、M君がその分類に収まり切らないのです。それでお母さんから後でたずねられたときも「 彼は喘息ではない 」と言ってそのような説明したのです。それで喘息はなりを潜めてしまいました。
■ 喘息やアトピーが出ている時に
バイクや車に乗ると治まることが‥‥
そしてその1〜2年後ぐらいだったか「またヒーが出た」と言って彼が来ました。この例は仕事を始めて4、5年経った頃の古い臨床例なので細かい事を忘れてしまいました。
その時は骨盤の処は効果がなくて難儀しました。やっと股関節の処に硬い塊を見つけ、それを押さえましたらまたガーッと息を吐いて良くなりました。やはり体というのはマニュアル式にはいかないのだとその時思ったのよく覚えています。
実際のところ臨床というものはそういうもので体を読むという作業がうまくいきませんとなかなか効果がありません。 たとえば、お腹のどこかを押さえて腰に響くこともあれば、それが反対側のお乳まで響く事もあります。
先日はある人の鎖骨を押さえましたら「そこから体の中を通って卵巣に突き刺さるように響いた」と言った人がいました。そういった流れを読むのは正直なところ大変難しいです。鎖骨辺りが卵巣と生理学的に関係あるかどうかは知りませんが、とにかくその人にとっては関係あることになります。
ところで話が突然変わりますが、彼が面白いこと言っていました。
私は彼に「 今日はこんなに息が苦しいのにどうやってきたのか 」と尋ねましたら彼は次のように言うのです。
「今日はバイクで来ました。それが不思議な事があるんです。自分はバイクに乗るのが好きでよくツーリングに出かけるのです。ところが以前から喘息やアトピーが出ている時にバイクや車に乗ると治まることがあるんです。だから今日も『大丈夫ここへ来れる』と思いました。
しかし何もすることがなかったりのんびり風呂に入っていたりすると症状がひどくなってくるんです」と、首をかしげ笑いながら話すのです。今でもそのときの表情を私はよく覚えています。
次回・‥…→☆【 野生を肯定する 】
■ 喘息と自律神経
■ シュミレーションされていた野生
■ 体に負担をかけないで汗を誘導する風呂の入り方
// アトピー 呼吸器の弱い人 冷え性 慢性病 //
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■ 喘息やアトピーが出ている時にバイクや車に乗ると治まることが‥