.
【 1-2 】症状下の潮流


■ バランス欲求は夢にも現れる

例えばこんなことがありました。膝が腫れて痛くて足が棒のようになった少女がいました。一度体を看ましたら少し良くなりましたがやはりはかばかしくありません。それでもう一度診ました。

しかし、膝が悪い人特有の腰の骨3番にはあまり異常がありません。そこで母親と何度か電話やメールで連絡を取り合っていました。そして少しずつ母親の気持ちに変化が起きて彼女との関係性が変化していきました。

それから、しばらくして彼女は歩けるようになりました。この間一ヶ月くらいかかりました。ほぼ歩けるようになってから彼女が来て次のように言いました。

「 一時期は、もうこのまま歩けなくなるのかと思った。でも、治り始める少し前に友達と皆でかけっこしている夢を見たの 」

この話をどう受け取ればいいのでしょうか、夢は膝が治ることを確実に暗示しています。

彼女の日常的な意識の上には膝が治るという予感は生まれてきてはいませんでした。しかし、無意識を表す土俵としての夢にかけっこをしている彼女の姿があった。このことに対しての受け取り方は大事だと思います。

私は夢を自然性維持力のバランス欲求の現れとして受け取ることにしています。

実は少女の母親もそのとき夢を見ていました。この母親は自分の母に沢山叱責を受けた過去がありその葛藤を抱えていました。

しかし見た夢は、小さな子どもの自分がでコタツに胸まで入っていて、そばには何も言わないでニコニコしながら一緒にコタツに入っている教師が居たというものでした。

それで私はとにかく可能な限りその教師の役を演じてみるようにと指示を出しました。できたら、膝を患っている子を相手にその教師として振舞ってくださいと申し上げました。

「あまり上手くいきません」と彼女はしばらくして言っていました。それはそうでしょう。そう楽チンな作業ではないです。子どもの膝を治すためにやらないで下さい。あなた自身のためにと、私が難しい注文をつけたからです。

結局この子の膝は回復していきました。これでは何が原因で膝が悪かったのかは判明していません。しかし、このお母さんは私に次のような内容のことを話されていました。

「 下の子が出来てからこのことじっくり付き合った時間を持たなかった。下の子はアトピーということもあり、強くしたの子に気がいってしまっていた。この子とじっと一緒にいることは嫌で感情的になったりもしました。

でも、上手くいえないけど、まだまだほんの少しだけどあの子を受け入れる気持ちが生まれてきました。 」

ここでご理解いただきたいのは、夢が治したとか、母親の行為が膝を治したということではありません。また、母親が至らなかったことを原因化したいのでもありません。

現状より何らかのバランスが取れるように、それぞれの意識下で働いている潮流とでもいいましょうか、常にそこに着目していることが要点です。

その自然性維持力が働いている変化の方向性を私はバランス欲求と呼んでいます。夢、イメージ、身体感覚、無意識の運動などはこのバランス欲求の現れと受け取ることにしています。

膝を治すには医学的外科的処置、民間療法などいろいろあります。それらの何らかの方法で短期間に膝を治すのは不可能ではなかったとその気持ちは私にもあります。

しかし、その場合この親子にとっての新しい関係性が生み出さる率は少なくなります。二人が過ごした時間を凝縮して薬化するのはやさしいことではありません。

この母親のじっくりした態度、彼女の夢の中に現れた教師に私はありがとうの気持ちで一杯です。

喘息の体の改善に当たってこのような説明では今ひとつピンとこないと思います。

しかし私の場合、喘息以外にもいろいろな方をみていますので、まずは全てに共通な作業であることを、簡単にでも説明させていただいた方がいいかと思いました。



■ 整体と心身セラピーの融合

融合となると併用と異なり少し誇大な表現かもしれません。ここではまず併用に近い例を紹介します。

その前に、実用的な内容について分類してみます。

 ◆ NRTワークによるバランス欲求(症状の下の潮流)へのとり組み 
  ・バランス欲求の運動法化
    これは結構パワフルですが、ワークそのものを行なわないと何をどうするかは決定できま
せん。それこそオーダーメイドの世界。
  ・ワークと整体運動法の併用

 ◆ 運動法のみ
    整体やヨガの中からその人の体に合うものを選び行います。

 ◆ 手当て法
    家庭でただ同然でできる療法、害がなくて効果的


バランス欲求につきましては臨床例をご紹介しながら説明します。バランス欲求の運動法化は、例えば表出したイメージからさらにその人にとって価値ある部分を見つけ出し、それを運動法として形化させる方法です。

「 ○○には××が効く 」式のマニュアル形式では決してないことになります。
これが一番融合的です。これに関しては臨床例の紹介が終ってから少しご紹介する予定です。

この方法は心の協力が必要です。何故なら喘息の体を改善する力をマニュアル化しないで自然に表出する力イメージや無意識の動きなどに求めるからです。

それから、もしかしたら内面の大切さを説明しながら体操や運動法を紹介するのはちょっと変な感じがする人もいらっしゃるかと思います。

一つの方法で治るならどうして他の方法が必要なのかと。

確かに、それも一理あるのです。でも、運動法の価値も見逃せませんし、セラピー的な方法を理解するにも役に立つのです。


こんな方がいました。パニック症でデパート、レストランなどどこへもいけなくなり、家族と一緒に車にも乗れなくなったご婦人がいました。

整体操法を行なおうと思っても、急に息が荒くなって、立ちあがって歩き始める始末で、整体操法は不可能でした。

しかし感情安定体操を一つやってもらいましたら、「これは恐ろしく気持ちがいい」そう言われましたので、毎日寝る前に一回だけ行なってもらいました。驚いたことにそれでパニック症が急に軽くなっていったのです。

後は回を重ねるごとに回復していきました。

このようなことがあるので、私はどうしても複合的に指導を行なうようにしているのです。それとこの人はセラピーにはまだ入っていけないと正直に訴えていました。

体という私に運動法からでしか着手できないのは、まぁ一般的ではあります。

体操から入っても、からだを支えている「 自然性維持力の働き 」への理解が深まることもあります。そのほうがセラピーで何が起きているのか分かりやすい人もあるようです。


臨床的な説明の中に多少からだについて生理面、神経作用、についても説明していきます。手当て法や、運動法についもできるだけ分かりやすく書くつもりです。可能であれば実習されてみてください。

私が臨床で痛切に感じていることは体の持ち主だけではなく、体もそれ自体が回復しようとしていることです。少しでも皆さんがご自身の体を信じれることへの役立てれば幸いです。



次回・‥…→★ タイトル【 不思議な事があるんです-1 】

       ▲ 息が吐けたら喘息が楽になった
       ▲ 喘息やアトピーが出ている時にバイクや車に乗ると治まることが‥‥
Top             ←戻る          上↑             次→ 
< 症状下の潮流 >

■ バランス欲求は夢にも現れる
■ 整体と心身セラピーの融合
\喘息 のち 晴れ!/