【1-1】整体と心身セラピー


■ 整体と心身セラピー

 私は日本発祥の自然健康法的な整体と、個人のプロセスを重視したセラピー技術をもって臨床に当たっております。ここでは、タイトルのとおり、「喘息・気管支炎にテーマを絞ってご紹介します。

整体、この言葉は規制がなくて一人歩きしていますし、その上にセラピーというと、多少ならずいぶかしい気持ちが生じる方があるのではないでしょうか。

そこでまず最初にこの二つの取り組み方、体への求め方について簡単に説明しておきます。


● 整体

体が自ら生理的にバランスを取ろうとするその力、本来持っている自然治癒力を引き出すことにより、症状の改善あるいは潜在的な力を発揮できるように導く誘導的な技術。

心理的なツカエに対して多少メンタルな指導も含むが、自然治癒力の円滑な働きをジャマしている筋肉の細かい緊張(動きのツカエ)を、手技や運動力学的な原理に基づいた体操で弛めます。


● 心身セラピー - NRTワーク -

NRとは自然性回復、Tはセラピーの略称です。心身がその症状を通して「 どのように変わろうとしているのか 」を気づきを通して探り、自然治癒力の働きに意識的に協力するためのポイントを見つけ出します。

意識下でバランスをとろうとしているその欲求を感じ取ることが中心となります。これは心と体が密接につながっていると前提した上での自覚的な作業となります。

特徴は心理的な分析を行なわないことと心身を分離して扱わないことです。表出するイメージ、身体感覚、体の動き、夢など全て知覚できる現象を個人的な事実、価値あるサインとみなして改善の方向性をみつけだします。

これまでの実例では気づきと同時にその場で症状が改善されたケースもあります。

※ ワークとは作業の意そのままで、主に心理セラピーに近い分野でボディーワーク、○○ワークとエクササイズと共に使われているようです。

◎ 焦点

結局整体、NRTワークどちらの方法をとったとしても、その人を支えている自然の働きに焦点があることには変わりありません。



■ 自然の働きに協力する

私は、自然性維持力、自然性回復、これらの言葉をよくつかいます。それは症状を改善していく力そのものを外的な刺激ではなく、その人の中に見いだしていきたいからです。


  // バランスを取ろうとする働きに協力するだけで

                   病が改善することがある //


あるとき、臨床においていろいろなケースの喘息が改善されていることに気がつきました。私は喘息だけを臨床の対象としているわけではありませんので、整理しないでいたのです。

ネットで喘息を検索しましたら、同様な取り組み方と治り方をしている情報に出会えませんでした。

このとり組み方の特徴は、メンタルを切り口にする、またはココロとからだを一括りにしながら取り組むことです。そして【 病気の原因を追求する 】これにとらわれてはいません。とにかく改善されればいいのだからです。

原因を限定しなくても病が改善されることは事実あるのです。


以前、あるフランス人に「 高校生の息子の喘息をなんとかしてくれ 」と頼まれた事がありました。私は片言英語しか喋れませんし、ましてやフランス語はサッパリです。

どうしよう‥‥と心細かったのを今でも良く覚えています。英語は喋れなくても会話だけでも頑張っておけばよかったと不勉強を悔やみました。

伺ってみると、彼は上の学年に上がるための年度試験の勉強に追われていました。フランスの学校制度は上の学年に上がるのはきつく、それ自体が受験に匹敵するのです。

だから彼も必死に勉強していました。それで2回目に行った時「 自分の頭はバ
ッドメモリー。何か良い方法はないか 」と聞かれて記憶力を増進する体操とい
うのを教えました。

この手の体操は頭が過敏になることがあるのでちょっと躊躇しました。でもやり方の注意点を身振り手振り、あの手この手で何度も説明して教えてみました。

なんと!次回行ったらとても喜んでいまして、「グッドメモリー!」「ありがとう!」を連発。とにかく彼は一ヵ月後の試験にパスすることが出来、これにて一件落着。いや二件です。 


そう、喘息も起きなくなった。喘息に関しては一、二回骨盤を中心に少し整えただけでした。

この時私は「 果たして喘息の操法だけで治ったのだろうか 」と思ったのです。整体を行なって呼吸は大まか楽になってはいたもののはっきりした自信がもてなかったからです。

もしかして記憶力を増進する体操を行なったことも同時に援助したのではないか、そう思ったのです。 

つまり体操そのものが効いたというよりも、

[ 記憶力が良くなったような気がする ]→[ 意欲が出る ]→[ 自力に自信が持て始める ]→[ 胸部交感神経の働きがノーマルになる ]

こんな具合に、彼の【 内的な動きの変化 】が、症状下の潮流にマッチしていたことが、喘息の改善に効果をもたらしたのではではないか、そんな気がしたのです。

症状があってそれと闘ったり焦っていると、生命の側の都合といいますか、症状下にある潮流としての流れには気づきにくいものです。本人も不安定な心理状態にありますし、時に指導側もそれに巻き込まれてしまうこともあります。

まあ、ですから私にとって彼のケースは瓢箪から駒がでたようなものです。


このフランス人の場合メンタルな取り組み方をしたのではありませんでした。

この臨床例はかなり古いもので、その当時まだ整体のみでした。しかし、適確に自然治癒力に響くメンタルな指導方法があればもっと自分の理想的な指導ができるのではないか、そんな思いがよぎったのは確かです。

私たちはバランスを失って倒れそうになったとき、考えなくてもサッと手を出したり、それなりの本能的ともいえる行動をとっています。

だから、それと同じような心理的といってよいかどうか分かりませんが、ひとまず病的な状況に対してバランスをとって改善に向かう、内的は勢いあるいは欲求が奥にはあるのではないかと私は思ったのです。

その欲求を生じさせるものが何かは私にも分からないのですが、言葉としては自然性維持力としか言いようがないかと考えています。

NRTワークではこの潮流に気づくことにウエイトを置きます。それで大変な近道ができることがあるのも事実なのです。


次回は喘息の臨床例ではありませんが、母親の夢を活用した例をご紹介します。




次回・‥…→★ 【 症状下の潮流 】

         ■ バランス欲求は夢にも現れる
         ■ 整体と心身セラピーの融合
.
Top             ←戻る          上↑             次→ 
< 整体と心身セラピー >

■ 整体と心身セラピー
■ 自然の働きに協力する
\喘息 のち 晴れ!/