☆APPENDIX☆ アナログテスタ(回路計)

自己満足の ガラクタ 博物館 (ja1cvf 0407)

【 何とも 珍しくない ガラクタたち! ラジオパーツに 留まらないのが 珍しい 】 

テスタを肴にチョット暇つぶし

電気の流れ具合を調べるのはどうしたらよいでしょう。

電線に電流が流れるとその周りに磁界が発生します。その磁界の変化をみれば電流の変化が判るのです。 これは電気を見つけたときから知られている測定の方法です。

感度を上げたり見やすくするためにいろいろ工夫がされていますが磁界の変化をみることはどれでも共通です。
その方法によって、可動コイル型、可動磁石型、可動鉄片型、その他、などがあります。 可動鉄片型以外交流は測定できませんので整流器などを併用します。
可動鉄片型は交流も直流も計れますが長時間直流を流すと残留磁気が発生することがあるので注意が必要です。 実際には交流用として使われます。
興味のある方は是非専門書でお調べ下さい。
(0412)


方位磁針の上に電流を流した電線を置くと針が動きます。針の動きから電流の強さを知ることが出来ます。 これが電流計の原理です。

電流計のカバーを外して中身を取り出しました。

この電流計の感度はフルスケール30μA程度。 内部抵抗(コイルの抵抗)はかなり高いモノと推定しています。 (断線したテスタから取り外したモノです)
小さい電流で大きな磁界の変化をさせるために電線をコイル状に巻いています。 太い線では重く、大きくなってしまいますので細い線を使うので抵抗が大きくなってしまいます。
周りを取り囲んでいるのが磁石です。磁石は出来るだけ強力なモノが良いのでコイルとの隙間はとても少なく作られています。 最近は強力な磁石が作れるようになったのでその分巻線が少なくて済みます。コイルの中心に円筒形の鉄心が入っています。 これは磁力線をコイルに対し平均化するためのモノです。
コイルはその狭い隙間の中に嵌め込まれています。 上下には摩擦の少ない軸受けを使い針りが規定の位置から動くようにヒゲゼンマイという時計と同じような部品で平衡をとっています。
最近はこの軸受けを使わずトートバンドと呼ばれる吊り線で上下からつる方法も採用されています。 (軸受けの摩擦を考えなくて済みます)
軸受けのそばに小さな重りが見えます。 これは指針のバランスをとるモノで位置を調整して電流計がどんな角度に向いても針の位置が狂わないようにしています。
その上のレバーみたいなモノは”0位置”調整レバーです。ケースに付いている”0位置”調整ビスに咬み合います。
もう一つ磁石に矢印みたいな金具が付いています。これは磁気アジャスタです。 磁石の先端に重なっているのですがこの重なり具合を変えると磁力を調整することが出来ます。 磁石の強さのバラツキをこれで補正して最終的な感度を調整します。
これに目盛板とケースを付けると見慣れた電流計になります。
目盛板には測定値の表示以外にメータの構造、使用位置、精度、製造年などを書くことになっています。 しかしこの表示を省略しているモノも少なくありません。(0412)

電流計の内部はこのような構造です。



使用中の電流計を不用意に開封しないで下さい。精度など性能を維持できなくなることがあります。
この展示室では内部の構造などをお見せするために適宜開封して展示していますが、 開封して中を見ることをお勧めしているわけではありません。自己責任で開封されることを否定するわけでもありません。

《 第1展示室へ戻る》 テスタとはどんなもの。
《 第2展示室へ戻る》 親戚ですがテスタとは云えないバッテリチェッカです。
《 第3展示室へ戻る》 見慣れた”テスタ”たちが登場します。
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テスタはどうやっていろいろな電圧や電流をはかるのでしょう。

先ほどの電流計はテスタに付いていたものですが実際のテスタはスイッチやプラグを差し替えて いろいろな電流や電圧を測れるようになっています。
先ほどの電流計と直列に内部抵抗(メータのコイルなどの抵抗)と同じ値の抵抗を繋いでみましょう。 抵抗を繋がないときフルスケールになるように調整した電源装置を繋ぐと電流計は半分しか振れません。 フルスケールになるように電圧を調整すると・・・そうです、2倍の電圧にしたらフルスケールになります。
このように抵抗を繋ぐと目盛が2倍になりますからこのような抵抗を倍率器と呼びます。
並列に抵抗を入れると電流の経路を分けることが出来ます。このような使い方の抵抗を分流器と呼びます。 この倍率器、分流器をいろいろ組み合わせればお好みの電流や電圧を測定できます。 交流に対応させるためには整流器を組み込みます。

テスタで抵抗も測れますが!
テスタの機能のうち抵抗測定も重要です。 電池を電源にして抵抗をに流れる電流を抵抗値に読み替えています。
同様に交流電源を併用してコンデンサやコイルなども測定できるように工夫したモノ、 さらに最近はトランジスタの検査が出来るモノもあります。

写真は構造が簡単なプラグ式テスタです。プラグに対応した所に抵抗が付いています。 この抵抗を切り替えるのにロータリSWを使ったモノもあります・と云うより主流になっています。

倍率器や分流器の詳細は別のコラムでお話しする予定です。 (0412)

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テスタ買うなら
アナログ?それとも
デジタル?
テスタは電気を相手にするようになると最初に必要になる測定機です。
はっきり云って入門の時、電気のことも良く判らないし測定機の使い方もよく判らない、 そんな時にその判断をしなければならないので選択に苦慮するわけです。
そんな人に聞かれたら、 いろいろな条件がありますから一概には云えないと云って逃げるのが楽なんですがそれではこのコラムは成り立ちません。

ズバリ! ”ディジタル” をお勧めします。

でも、私がいつも使うのは慣れ親しんだアナログです。 もちろんディジタルも持っていますがアナログが好きなだけです。
手持ちのディジタル型は4桁半(5桁でも2.9999迄しか表示しない)と呼ばれるデスクトップ型と3桁表示の安物ポケット型です。
チョット正確に読みたい時はこのデスクトップを使います。 と云っても定期的な校正をしていませんから”正確に”というのはいささか疑問ですが。
そのほかのポケット型はあまり使い勝手が良くないので使う機会がほとんどありません。
最初に買うなら”auto off 回路付き”のディジタル・ポケットテスタでしょう。 auto off というのは使わないと自動的に電源SWがoffになるモノですが、SWの切り忘れは私だけではないと思います。
auto range 機能付きの場合はある程度高級なモノをお勧めします。切り替わりが遅かったりスムースでないモノがあります。(0502)

アナログの良いところ、悪いところ 電源SWの切り忘れがない。
基本的に電源SWがないので切り忘れの心配はありません。抵抗値を測定している時だけ電池を使います。
ゆっくり変化する値を測定できる。
調整などで最大にセットしたり、規定の値にセットしたりアナログ的調整には便利です。
誤差が発生しにくい。
読み取り誤差と云うことではなくテスタそのものの構造上経時変化が少ないです。 ただし衝撃には弱いので丁寧に取り扱いましょう。

被測定回路に与える影響が大きい。
針を動かすエネルギーは被測定回路から貰います。それが測定誤差になります。 内部抵抗(入力抵抗)20kΩ/Vなどと表示されていますがこれが小さいと影響が大きいのです。 最近はポピュラになった20kΩ程度が使いやすいでしょう。(それ以上の内部抵抗では応答性が悪いモノがあります)
一般的に交流レンジは直流レンジより内部抵抗は小さくなります。
また、抵抗測定時に流れる電流が部品にダメージを与えることもあります。低抵抗レンジほど電流が大きくなります。
読み間違いが多い。
高機能器は目盛板が複雑なので読み間違いが多いです。特に抵抗測定は倍数の勘違いが多く初心者は苦労するモノです。
衝撃に弱い。
機械的動作をするメータが衝撃に弱いので落下事故には細心の注意をしましょう。(0502)

ディジタルの良いところ、悪いところ 被測定回路に与える影響が少ない。
入力インピーダンスが高く高周波特性も比較的良い。
読み間違いが少ない。
数字で表示されるので読み間違いが少ないです。 ただしその値が絶対的なモノではなく常に誤差が含まれていることを忘れないように!
視力が衰えてカラーコードが読めない人にはありがたいです。

電源SWの切り忘れ。
auto off 回路を持たないテスタはSWの切り忘れで肝心な時使えないことがよく有ります。(私の反省)
数値が絶対的なモノと勘違い。
はっきりと数値で示されるため計器の誤差を忘れることがあります。安いモノでは誤差が5%に及ぶモノもあります。
変化量を読みにくい。
数値が変化する時は表示が安定せず読みにくいときがあります。オートレンジの場合、閾値に近いとさらに読みにくくなります。(0502)

どっちもどっち! アナログとディジタル、その良さも相反するようです。 しかしディジタルの欠点は、それをバックアップする機能が付加されてますます使いやすくなっています。 誤差の問題でもデジタルに歩がありますが構造が複雑なだけそれを維持するための”校正”と云う手続きを忘れてはなりません。

テスタ本来の目的は回路に流れる電流、電圧、を知るための測定機ですが 電子回路が高度になった現在複雑な波形の電流、電圧、 をテスタで高精度に測定するには無理があります。テスタの機能は簡便に電流、電圧、(抵抗)、 を測定するモノと割り切る必要があると思います。
たとえば6桁、7桁の表示をするモノには正確に測定するための技が仕込まれています。 もはやそれはテスタと気軽に云えるモノではありません。
インピーダンスの高い回路ではFETや真空管を使った電子電圧計・真空管電圧計(バルボル)と呼ばれるものをつかいます。
このような高級機でも複雑な波形の電圧は正確に読むことは出来ません。その場合はオシロスコープなどを使わなければなりません。オシロスコープがとても高価だった頃はバルボルが人気者でした。しかし手軽にオシロスコープが使える現在、電子電圧計の人気は下降気味のように思います。

テスタを買う時は”テスタは簡便な測定機”と云うことを念頭に考えるべきです。 そうすれば自ずと予算も決まります。
必要以上に高級なテスタは必要ありません。高精度の測定をテスタにゆだねることは危険です。(0502)

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今は3−6系(3V−6V)レンジが主流です。

4-8系というのも僅かですが存在します。


私が勝手に付けた呼称です。 古めのテスタは5−10(5V-10V)系です。(海外の製品では考え方の違いから別の系列が見られます。)
 ラジオとともに発展したテスタは電池の時代、エリミネータ(交流電源)の時代、トランジスタの時代と変化しました。 使用される部品により電源電圧が変わってきたのです。 初期の時代にはバッテリの電圧がラジオの点検で重要な要素でした。 交流電源が普及するに従いエリミネータという言葉も使われなくなり、バッテリチェッカーやポケットメータの時代は終わりました。そして何も言わなければ交流電源を使うモノとなりました。真空管も高い電圧の回路が多くなりTV回路に至っては普通には測定出来ないような高電圧も使われました。一方、トランスレス回路も多くなりました。ラジオやテレビの回路が複雑になるとテスタは高機能型になって内部抵抗も高いモノが要求されるようになりました。 トランジスタが使われるようになると急に低い電圧を測定する必要に迫られました。 それらが見やすいようにと現れたのが3−6系レンジです。(0412)
テスタにはマンガン電池をお勧めします!

 

単3型は漏れやすい?

電池の高性能化が進んでビックリするパワーがあります。 今はアルカリ電池全盛といえるようです。
しかし小電流間欠負荷の場合はマンガン電池で充分と云われてます。 アルカリ型電池を使っても容量が増えただけ使用時間が延びることもなさそうです。 もちろん大電流負荷の場合はアルカリ電池は威力を発揮します。 適材適所と云う言葉がぴったり合います。 大型テスタや低抵抗を測定するテスタは大きな電池を使うように配慮されている機種がほとんどです。

もう一つ理由があります。
私の実感ですがマンガン電池の方が液漏れしたときの被害が少ないことです。 乾電池の液漏れはメーカもいろいろ研究してるようですが未だ不完全です。 液漏れしない電池というのは何回も発売されては消えています。 ”液漏れしたら機器を交換します”と云ったメーカもありましたがいつの間にかその文字は見られなくなりました。 あるメーカの方は”仕方がないんです”と云います。

どんなときに漏れるんでしょうか。
異常負荷(過大電流、ショートなど)のとき。過放電をしたとき。 放電した電池を長期間放置したとき。こんな時液漏れをするようです。液漏れすると電解液の影響で金属が腐食します。 アルカリ電池の場合はプラスティックのケースなどもボロボロになり修復不可能になることがあるのです。
そんな理由から時計やテスタにはマンガン電池が向いています。
先のメーカ氏”アルカリの方が漏れやすい”と云ってました。
私は別のコラムでアルカリ電池は逆転の発想で漏れを止めていると書いてしまいました。 でも漏れるんです。漏れたら始末が悪いんです。(0412)

単3型は漏れやすい?
経験的なモノですがどうも単3型は漏れやすいようです。 電池は異常があった時ガスを発生するのですが、その圧力に耐えかねてガスと一緒に電解液が漏れるのです。 小さい電池はガスを吸収する余裕がない(少ない)のでしょう。
中古のテスタなどを入手した時最初に電池をチェックします。 ほとんどの単3型は液漏れしています。それに比べ、単1型は滅多に液漏れしていません。(0507)

テスタはどこが壊れる

ここに展示してあるテスタは原則的に私が使っていたモノ、 中古品を譲り受けたモノです。その多くが故障した状態で私の所に来ました。
故障部位を見ていくうちに特徴的な傾向があることに気が付いたのです。
ケースや外観の故障は意外に少ないのです。皆さん丁寧に使っているのでしょう。

電池の液漏れで電極や配線が腐食している。  
アルカリ電池を使って長期間放置されたモノは金属だけでなくプラスティックのケースまで腐食しています。
*単1とか単2のような大型の電池は液漏れの被害が少ないようです。

電流測定レンジの分流器の焼損が多いです。  
テスタの分流器は小型のモノが多く誤操作で焼損してるものが多いです。倍率器の焼損はほとんど見かけません。
※テスタではなるべく電流レンジを使わないようにしましょう。
電流レンジで分流器が焼損すると結果としてメータに過大電流が流れます。 メータ焼損に至事故は思うほど多くはないのですがチョット間違えば焼損に繋がります。
最近は、フューズ、ダイオードなどでメータを保護しています。

巻線抵抗の断線。
巻線抵抗の防湿処理が悪いせいか腐食により断線してるモノが多いです。
メーター断線は意外に少ないです。指針の曲り、バランス不良はかなりあります。(0412)

テストリードの接触不良
これは故障とは云えないかも知れませんがテストリードのプラグが接触不良を起こす場合があります。 バナナ型の太いモノは比較的このての障害は少ないようです。(0507)

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