■ あなたの体が持っている「 バランス感覚と反発力 」


4月中ごろになって「 ひどい下痢をしたのですが大丈夫でしょうか 」と電話をしてきた方がいました。
2月3月に下痢をしたかどうか聞いたら、全然その気配はなかったと。
それに、下痢をする度に不思議と何か体が気持ちよいと。(下痢の話ばかりですみません。^_^;)

桜が満開、春真っ盛りの季節となりますと、そこからいよいよ温かくなっていきます。
当然冬のままの体ではいられません。
体は熱をこもらせてしまう脂肪を捨てようとして時々下痢を起こします。

ごく自然なこととして、体は全体性、恒常性を保とうとする能力を本来持っています。

◆ 寒ければ皮膚を縮めて温度を逃がさないようにする。
◆ 不要なもの、身にとって毒となるものこれらを排泄しようとする。
◆ 疲れが溜まると汗を出す。
◆ 油の濃いものを食べたら油を分解しやすいお茶を飲みたくなる。
◆ 汗が大量に出た後は塩分を取りたくなる。

まだまだ書けばきりがありませんが、人の体は本来自分でバランスを取って安定を保とうとする能力、
何もしなくても健康を維持する力はあるのです。

私は心の面もこれと同様に、現時点でバランス力を感じられなくてもどこかで必ず脈打っていると思うのです。しかし、これを感じるのは本当にムツカシイ。

どうしてか?

感覚そのものが鈍ったり、既に偏った無意識的な適応の癖がついているからです。


だから「 病気、症状を治す、改善する 」このことには、「 どうやって治すか 」以前に、

【 私たちの自然を守り、安定を保とうとしている作用 】=自然性維持力を感じる感覚、

これを鈍らせない、振作する、あるいはそれに従う、このことが先になると私は思うのです。


「 そんなモン、あるはずがない! 」


そう思われる方は、このホームページ(HP)や関連HPを読んでも、
ほとんど参考にならないかもしれません。

私の取り組み方は全てここから出発しているからです。
方法や技術はその後になっています。

私は心身の現象は先にその自然を性維持する力があって、

そこから[変化]→[バランス]→[安定]の流れが起きるという見方をしています。
(というより、師匠の受け売りですが。^/^)



■ 自律神経の張り合い(安定としての反発)


ここでは、極端に簡単な比喩を用いて説明させていただきます。


【 あなたがもし壁を押したら、同時に壁はあなたを押している 】


この原理が、ワークで身体症状や内面の問題を改善していく糸口になります。

例えば、胃が迷走神経の緊張で収縮あるいは分泌が促進されて痛んでいるとします。

その緊張興奮を、「 あなたを押している力、圧迫している力 」と例えると、

「 あなたの中に意識以前に自然と生じてしまう心理的、生理的反発力 」があるのです。

その反発力(ここでは仮に胃を広げる作用を持った胃の交感神経の作用)が
その土俵から押し出されることは、余計に胃が痛む事を意味します。

「 押し出し! 迷走神経の勝ちー!」です。


では、どうしましょう?

「 ヨシ! リベンジだー! 」ときますか?


理想的なことを言えば、迷走神経、交感神経、副交感神経、これらは

過敏になったり鈍ったりしないでそれぞれが正常に力を発揮して、
反発拮抗している方が安定感があります。

そうでないと、例えば寒くなったら皮膚を縮め、暖かくなったら広げというように適応できないからです。
春先に皮膚が荒れたり、ジンマシンが出たりするのは皮膚の迷走神経が興奮しすぎるからです。

ですから、「 張り合いながらの安定 」これは大事な原則です。



ワークではこの一方的な力、偏り、癖になっている力に対して、
意識以前に動いて自然とバランスを取ろうとする働き(欲求)を探るために、

「 自分が何を感じているか 」を頼りに、起きている現象に直接関わってみるのです。

なぜなら、起きている例えば「痛み」は迷走神経の働きそのものではなく、

力のせめぎあっているその場そのものですから、
どこかに反発の分子=交感神経的作用(バランス欲求)が隠れているのです。


ちょっと奇異な感じがするかもしれませんが、この求め方はよく宗教的な分野で使われる言葉
「 トラワレズ、コダワラズ、ヒッカカラズ 」の逆をいくことになります。

つまり、痛みにこだわってみることになります。
高尚な表現に変えるなら、存在そのままを尊重する態度ということになるでしょうか。


「 はてはて、何が起きているのだろう?

フーム、痛いけどよく感じてみると冷たく刺すような感触があるぞ 」

このように、熱い感じがある、縮まる感じ等々、起きていることそのままを感じるだけです。

時にそれはふとした手の動きや顔の表情にも表現されます。
イメージになってハッキリ見える人もあります。

イメージその他のサイン(感じ方)は既に意識以前にあなたの自然を守ろうとして、
肯定的に起きていることなのです。

それらは意識して作ったものではありませんので、例えそれが一瞬のことでも
意識そのものよりも自然性維持力の影響を受けているのです。

ある部分を感じいってみて、黒い色のイメージがでたときは既にその影響を受けているの意味です。



こうやって丁寧にこの作業を進めていくと、
メンタル、姿勢動き、言葉、神経の働き、全てが一致したバランス欲求が表面化してきます。

その反発分子=「 リベンジだー! 」にあなたが寄り添えばいいのです。

それは胃の例えですと、土俵際に追い詰められたエネルギーの側に
あなたが協力的に立つことを意味します。

押し出す側ではありません。
土俵際に立って中心に向かい、2対1になるのです。お間違えのないように。



胃が大変痛んでいたあるご婦人は、胃の痛みからイメージが湧き、それを動作に変えているうちに、
一つの言葉が出ました。その瞬間胃の痛みは止まりました。

胃の痛みが止まるには、交感神経と同質のエネルギーでなければここは成り立ちません。

胃が痛むほどに自分を抑圧していた他人を原因化するのも一つの道ならば、
体において痛みの演出者の側になるのも彼女に許されていいはずの道です。

しかし、間違えないで下さい。まずはそこに立つことに意味があります。
拮抗して張り合いが回復の兆しを見せればいいだけなのです。

立ったときにそれがどういうことなのか体ではっきり分かります。



「もし、彼女の言葉が強烈に人を傷つけるような言葉だったらどうするのか?」
こういう疑問も生じます。実際彼女の言葉は結構激しかったです。

この場合単純なバランスの原理でいうと、彼女の胃が痛むほどに抑圧した人の側では、
胃の迷走神経とそれに加担する働き=胃を引き締める作用が鈍っている可能性があるのです。

この意味では彼女から相手へのフィードバックは匙加減は別として、
相手にとっても価値がある、はずなのです。

ここには、他人ではなく、彼女の中で胃の交感神経の働きを抑えていた隠れた存在もあり、
そのことも取り上げなければ分かりにくいのですが、

症状に直接関わることで、現状を変えていく拮抗的なエネルギーに出会えることについてのみをテーマとさせていただきます。



このように器質的な問題を持っている身体症状でなければ、
それだけで症状がピタリと止まり、持ち主共に直ぐに改善されることさえあります。

これは同様の原理で、夢、煩悶、感情問題、対人関係、生活習慣病、無意識的動きに対して
使う気になれば全て使えます。

なぜ心理的なテーマにも使えるかと言いますと、

体に生じたツカエも、心に生じているツカエという緊張も
似たような原理で成り立っている傾向があるからです。

イノチの働きの目に見えるものが体で見えないものが心と仮定できるなら、
一方に使える原理が一方に使えなかったらオカシイです。

それに脳は脊髄神経を介して体とつながっています。
「意識以前に反発しバランスを取ろうとしている力」

これに協力すると、生理的にも心理的にも改善されてくる
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説明がくどくなったので結論を先に書きます。細かい説明を望む人は下の説明をお読みください。
痛み・自然に出る体の動きなどの身体症状、内面的な問題、人間関係

これらの現象を変化への一過程として、その奥にある個人的意味を把握する、

あるいは活かすと、生理的にも心理的にもバランスがとれてトラブルが

改善される。
■ ワークが成り立ってしまう原理を自律神経を軸にまとめてみました