6.金利と為替
○現代の錬金術?
無から有を生み出す、というのは中世時代の錬金術で研究されていたことですが、実は今現在
正に無から有を生み出す取引が世界中で、しかも日本円を使って行われています。
例示:日本円→ 受取利息の相場 1%・支払利息の相場 2%
ドル → 受取利息の相場5%・支払利息の相場 10%
為替は1ドル100円とします。
いま、皆さんの手元には全くお金がないとして、金利の相場がこのような状態だとしたら…
1.日本の銀行で1億円ほど借りてくる。
2.その1億円を売り、100万ドルを買って、そのままアメリカの銀行に預ける。
3.1年経つと、5%の金利で5万ドル、日本円で500万円が手に入る。
4.その500万円を使って、日本の銀行に200万円の利息を支払う。
如何でしょうか、全くお金がなかったのに、何と300万円を手に入れることが出来ました。
話はここまで単純ではありませんが、今このような取引が世界中で行われているのです。
この取引を円キャリー取引といいます。
○原因は日本の超低金利
上記の仮定では、為替は1ドル100円のままでしたが、
円高ドル安になればもちろん損失が出てしまいます。
しかし、日本の超低金利の状態が解消されない以上、
金利差を狙った円キャリー取引は簡単には収束しません。
むしろ皆そろって円キャリー取引を始めたことにより、
円は益々売られ、外貨は益々高くなり続けます。
最近では、日本円建ての住宅ローンという商品が外国で売られているくらいです。
(但し、いずれかの時点でこの異常な円安も収束するという指摘も数多くあります。)
再々度になりますが、現在の世界経済は実体ではなく
金融の方が大きいということを覚えておいて下さい。
世界経済の主役は、企業や産業ではなく、資本、つまりお金なのです。