2009.04.07 フィクサー ★★★
- 「フィクサー」とは「もみ消し屋」のこと。本作の主人公であるマイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)のことを指しています。
- マイケル・クレイトン・・・。う〜ん、「ジュラシック・パーク」などの原作者であるマイケル・クライトンによく似ていますね。(^o^)
- 本作の原題は「MICHAEL CLAYTON」で、主人公の名前そのもの。映画の内容的には、「フィクサー」より「MICHAEL
CLAYTON」が正解です。何となれば、主人公の「フィクサー」ぶりは余り現れていないからです。むしろこの男のダメダメな私生活も含め、弁護士としての際どい仕事ぶりの全体を描写しているので、「MICHAEL
CLAYTON」が正しいでしょう・・・。
- 時間軸が変わったり、主人公の私生活とビジネス・シーンが錯綜した描写が多いので、ストーリーを追うのに結構苦労します。ある男が殺される後半以降、ようやくサスペンスフルな展開となって最後はまあまあのカタルシスが訪れます。
- ただ、薬物汚染を絡めた大企業の告発訴訟がメインになっている割には、原告側の痛みが余り伝わってこないのは、かなりのマイナス点ではないでしょうか?ここをもう少し深堀していれば、ラストはもっと拍手喝采だったことでしょう。
- 更には、主人公が偶然に危機から逃れる展開は、いかにも嘘っぽい。この1点だけで本作品の重厚さを阻害していると言っても過言ではありますまい。
- 訴えられる企業の重役に、ティルダ・スウィントン。彼女はこれでアカデミーの助演女優賞のオスカーを獲得しました。そう出番は多くありませんでしたが、ラストのアワワワワ演技が決め手になったのでしょうか?(^o^) それにしても「コンスタンティン」での中性的な大天使や「ナルニア国物語」での白い魔女とは打って変わって、安定した下半身を持つ完全なオバサンになってしまっています・・・。(-.-)
- ラストのラストで、ジョージ・クルーニーがイエローキャブの運転手に言う言葉・・・。私も一度言ってみたいものです。(^_^)
- (BS-HV)
2009.03.16 ウォンテッド ★★★★
- 「マトリックス」の亜流、あり得ない展開の連続、人命を軽視し過ぎなどとの悪評もありますが、何せアンジー姉(アンジェリーナ・ジョリー)がCMで見せる恐ろしく怖い顔つきと、仰天映像の連続との評判に魅かれての観賞です。監督は「ナイトウォッチ」で注目されたロシア人のティムール・ベクマンベトフで、これがハリウッドでのデビュー作とのこと。原作は同名のアメコミらしい。
- 冒頭の、仕事も私生活も冴えない男の典型である主人公(ジェームズ・マカヴォイ)の説明描写に続く、ビル間、ビル屋上での銃撃シーンから、物理原則を大幅に無視したあり得ないシーンの連続の始まりです。弾道のスローモーション、着弾の血が吹き飛ぶ様、スローモーションでの巻き戻しなど、確かにCGを駆使した映像はみものです。特典映像によれば、大掛かりな回転機械を使って車を宙返りさせるなど、実写にもこだわっているようです。
- ストーリーとしては、平凡な人物が実は隠れた才能を父親から引き継いでいて、訓練によってそれが開花し、すご腕の殺し屋に成長していく、というありがちなもの。当然それだけでは終わらずに、終盤大きなどんでん返しが待っていて、これはこれで秀逸な展開と思います。
- ある人物の未来行動によって大勢の人間が犠牲になるため、事前にその人物を抹殺する、というのは「マイノリティ・レポート」と同種です。あちらはある特殊な能力を持つ人物がそれらを予言したのですが、本作は機織りの縫い目に二進法となってその抹殺すべき人物名が現れる(!)というもの。
- いったい、その縫い目は誰が操作しているのか?などという疑問は、あり得ない映像の連続の前には、大したことではありません。キックされたサッカーボールの如く、弾丸が弧を描いて曲がるなどという着想は、ある意味新鮮です。問題となったのは、一般人が大勢犠牲になってしまう列車の大事故シーン。確かにこの辺はハリウッド的でないかも知れません。
- モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプはやたら渋いのですが、ふむ年を取ったな、というのが正直な感想。アンジー姉は、主人公をサポートする良い役回りで、とびきり奇麗でフェロモンぷんぷん。サービスショットもちょっぴりあります(「ベオウルフ」と違ってこちらは実写)。(^_^;)
- いずれにしてもブルーレイ・ディスクで見るのに、とても適した作品であることは間違いありません。
(BD)
2009.03.02 ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 ★★★
- ハムナプトラ・シリーズの第3作目。今回は舞台を中国に移して、始皇帝もどきの悪の皇帝と兵馬俑がミイラとなって甦るという寸法です。そうであるとすると、タイトルにエジプトの古都であるハムナプトラと付けるのは可笑しいですね。因に原題は「THE
MUMMY: TOMB OF THE DRAGON EMPEROR」です。
- 時代は1946年の設定で、オコーネル夫妻の息子が成人して両親とともに活躍する、というのが今回のキーの一つでしょうか。ハムナプトラ・シリーズは、コメディ要素を散りばめ、仰天VFXをふんだんに取り入れたホラー・アクションがウリだと思いますが、本作もそれらを順当に引き継いでいます。ただし、中国が背景で中国系のジェット・リーやミシェル・ヨーを配しているので、やはり雰囲気的には前2作とは微妙に異なるのも確かです。土の人形であるはずの兵馬俑をミイラとして復活させるというのも、ある意味苦しい・・・。
- その兵馬俑と万里の長城を作らされた罪人などの作業者を大軍団としてワラワラと戦わせるVFXなどは、昨今の眼からはかなり食傷気味。味方する(何で?)雪男やキングギドラもどきのクリーチャーなどにも、最早驚きません。
上海の街(凄いセットです)でのカー・アクションなどでは、インディジョーンズ・シリーズの「魔宮の伝説」を想起させます。まあ、あちらよりははるかにお金をかけてド派手にやってくれていますが・・・。
- 本作から妻役はレイチェル・ワイズから薄〜い感じのマリア・ベロに変わっていて、とても残念。ブレンダン・フレイザーは別の女性と再婚した、と思った方が良さそうです。成人した息子役のルーク・フォードも何となく憎たらしい風貌で、気に入りません。そんな中で妻の兄役であるジョン・ハナーは、相変わらずのピエロ役ですが前作までのような鬱陶しさがなく、彼が登場すると何故かホッとします。
- 特典映像で、監督のロブ・コーエンがジェット・リーは多忙なので・・・てなこと言っていますが、リーの出番が極端に少なく、CGでの代役が多くを勤めています(ギャラをもっとはずみなさいよ)。エジプトが舞台ではないので望むべくもないのですが、やはり前2作のキーパーソンであったパトリシア・ヴェラスケス(みたいなセクシーな女性)には出演して欲しかったと思います。(^_^;)
- ジョン・ハナーが南米に向かうシーンでラストとなります。ということは、次回作はインカ帝国のミイラが復活するのですね、きっと・・・。(^_^)
- (BD)
2009.02.23 マンマ・ミーア! ★★★
- ご存知ABBAの曲を全編に挿入した大ヒットミュージカルの映画化です。ブロードウェイの舞台を見た人からは中々良かったということを聞いていましたし、楽しそうな予告編にも魅かれての劇場鑑賞でした。
- それにしても何という能天気な映画なのでしょう。兎に角出てくる人物がすべてノリノリで、終始大はしゃぎで歌い、踊りまくります。母子家庭に育った娘が自分の結婚式に父親である可能性のある3人の男を母親に内緒で招待をするというイントロに始まり、後は結婚式までのハチャメチャな展開とABBAの名曲で唄い踊るオバサン・パワーを観客は楽しめば良い、という塩梅です。(^o^)
- メリル・ストリープもさることながら、彼女を取り巻くジュリー・ウォルターズとクリスティーン・バランスキーが兎に角芸達者でスゴイ!しかし、聴き慣れたABBAのヒット曲の連続でも、あれだけのハイテンション・パフォーマンスが延々と続くと少々疲れてしまいます。
- 「アクロス・ザ・ユニバース」はザ・ビートルズの曲の歌詞を全く変えずに用いましたが、本作はABBAの曲の歌詞をストーリーに沿って若干変更しています。それもあってか、展開と曲のマッチングに違和感が殆どありませんでした。
- メリル・ストリープの歌唱力は「今宵、フィッツジェラルド劇場で」で確認済みでしたが、ここでも健闘しています。加えて間も無く還暦を迎えようとしているにも関わらず、あのエネルギッシュな踊りやアクションは、どうだ・・・。嬉々として演じている様子が窺えます。ただし、見ようによっては娘の祖母かと思われても仕方がない老けぶりかも知れません。(^o^)
- 父親候補の1人のピアース・ブロスナンは明らかに浮いていました。この映画の雰囲気には合わず、ミスキャストでしょう。しかし、残りの二人の父親候補(コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド)は、ラストがあれでは不憫ですね。
- 青いエーゲ海はもちろん美しかったのですが、何となく1枚フィルターがかかったような映像が少々気になりました。
- 退屈しないエンドロール、良いですねぇ・・・。(^_^)
- (劇場)
2009.02.22 ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 ★★★
- インディジョーンズ・ライク路線で一応ヒットしたと言える「ナショナル・トレジャー」の第2作目。キャストは前作とほぼ同じで、ニコラス・ケイジ、ジョン・ヴォイト、ダイアン・クルーガー、ハーヴェイ・カイテルなど。そこに今回は、エド・ハリス、ヘレン・ミレンが加わるという豪華キャストです。
- 主人公(ケイジ)の祖先がリンカーン暗殺の首謀者だったという疑いがかけられ、それを晴らすために財宝を見つけ出す、というイマイチ関連性が不明なストーリー展開です。(^_^;)
- 見終えて前作も含めて何となく違和感が残るのは何故か?、と考えました。インディジョーンズ・シリーズなどとは印象が異なるのは、時代設定の違いではないかなと思います。時代背景が古ければ、街のど真ん中の地中に宝の山が埋まっていても、バッキンガム宮殿の女王の部屋や米国大統領の執務室にいとも簡単に侵入出来たとしても、不自然さは少しは回避できたことでしょう。かてて加えて現代の米国大統領を拉致する、などと言う余りの非現実さにも、脱力することしきりです。
- この種の映画のキーであるなぞ解きも、テンポが速く(都合が良くとも言う)て置いてけ堀を喰らいがちです。まあ、考えなくて済むので楽といえば楽ですが・・・。
- そんな中でロンドン市中でのカー・チェイスは見応えがありました。街をあんなに壊してよいのか?ひょっとしてVFX?
- 悪役であろうエド・ハリスは、終盤微妙に中途半端。最後は皆が彼のことを気にも止めていなかった様子で、可哀想でした。アメリカ大統領役は、「13デイズ」でJFKを演じたブルース・グリーンウッドで、まあお似合い。でも、これからの大統領役は黒人俳優を当てないと・・・。
- それにしても、今回のニコラス・ケイジのヘア・スタイルはヒドイ。まるで楳図かずお描く、まことちゃんカット状態なのでありました。(^o^)
- (BS-HV)
2009.02.16 アクロス・ザ・ユニバース ★★★★
- 劇場鑑賞したいと思いながらも、ミニ・シアター公開であることもあり、見逃してしまっていた作品です。興味は、ザ・ビートルズの曲を33曲用いたミュージカル的作品であること。アバの曲を使って映画も公開された大ヒットミュージカルである「マンマ・ミーア」を思い出します。
- 冒頭、主人公ジュード(ジム・スタージェス)がアカペラで歌う「ガール」を聴いて、これはイケル!と思いました。内容的には、ベトナム戦争を時代背景とした青春恋愛映画です。
- 登場する人物は、ジュード、マックス、セディ、ジョジョ、プルーデンス、ルーシーなど、殆どがザ・ビートルズの楽曲にちなんだ名前が付けられていて、思わずニヤリとしてしまいます。また、曲は大きくアレンジしてあるものが多いのですが、歌詞は忠実に歌われているので、ストーリー展開上ややこじつけ的なところがあるのは止むを得ないところでしょう。
- ヒロインのルーシーを演ずるエヴァン・レイチェル・ウッドが歌唱力抜群で、とりわけ「イフ・アイ・フェル」が素晴らしい。「カム・トゥゲザー」をジョー・クッカーが特別出演的に歌います。もちろん、「ヘイ・ジュード」も歌われます。(^o^)
全編ザ・ビートルズのカバー曲を挿入した「アイ・アム・サム」がそうであったように、ザ・ビートルズの曲を用いた作品はある層には必ず受け入れられる(はずな)ので、ある意味ズルイ創作意図と言えるでしょう。
- 用いられている曲の中には、アルバムからシングルカットされていなかったり、あるいはシングルのB面だったりして、広く知られてはいない曲も含まれています。ザ・ビートルズの公式録音213曲の中から、こじつけでも少しでも引用出来る歌詞を持った曲を苦労して選定した結果なのでしょう(大変でしょうが、さぞかし楽しい作業だったに違いありません(^o^))。
- ただ、時代背景が60年代とは言え、後半多用されたサイケデリックな映像表現は、私にはやや時代遅れ的な印象が拭えませんでした。
(蛇足)
ブルーレイプレーヤーを買って、そのアップ・コン機能でDVDも見るに耐えられるようになった(と感じた)ので、本作は久々のDVDレンタルによるものでした。(^O^)
(DVD)
2009.02.09 ダークナイト ★★★★
- 記念すべき(?)ブルーレイ・ソフトによる初の鑑賞です。これを最初に選んだのは内容及び画質が素晴らしいとの評判だったから。
- ブルーレイは読み込みに時間がかかるとは聞いていましたが、こんなに長いとは思いませんでした。30秒以上も待たされて、これは読み込みのエラーなのではないか、などと考えましたもの。
- 部分的にIMAX(通常の35ミリフィルムの10倍以上のフィルムサイズを用いている)で撮影していることもあり、映像の澄んだ透明感には驚きました。放送波に乗ったハイビジョン映像よりもかなり美しい、と何となく思ったことでした。(^_^;)
- 本作はタイトルには現れていませんが、クリストファー・ノーラン監督でクリスチャン・ベイル主演の「バットマン・ビギニング」に続く、バットマン・シリーズなのです。「バットマン・ビギニング」のラストで、悪役ジョーカーの存在が示されたのでティム・バートン監督でジャック・ニコルソンがジョーカーを演じた第1作につながるのかと思ったら、そうではありませんでした。
- 因にタイトルは「暗い夜」ではなく、「暗黒の騎士」であり、バットマンのことを指しています。
- 本作でヒース・レジャーが演ずるジョーカーは、とにかく強烈なインパクトがあります。ニコルソンのジョーカーはどこかコミカルでしたが、ここではジョーカーが現れると得も言われぬ恐ろしさに緊張感が走ります。人間性を全く否定した悪魔と見まがう程、と言ってもよいかも知れません。
- 正直言ってひ弱な印象のあるヒース・レジャーが、こういう演技が出来るとは思いませんでした。今年度のアカデミーで助演男優賞にノミネートされているのも、むべなるかなだと思います。
- また本作では、バットマン・シリーズの第3作でトミー・リー・ジョーンズが演じたトゥーフェイスをアーロン・エッカートが演じていて、これまた強烈な個性を発揮します。ただし、反対側の顔は相当気味の悪いVFXを用いていますので、ご用心。
- 本作のテーマは、二者択一の究極の選択を迫られる人間の弱さにつけこむ悪と、いかにして正義は戦うか?でしょうか。悩みながらも少しでも良い方向の解決に向けて取り組むバットマンの行動を讚えるべきなのでしょう。ややじれったさを感じなくもありませんでしたが・・・。
- でも、ジョーカーは必ずしも死んでいないかも・・・。尤もヒース・レジャーはこの撮影後亡くなりましたので、別の俳優となるわけですが、かなり選考は難しいでしょう。
- とにかくシリアスで暗い映画です。かなり滅入ります。なるべく気分の良い時に見るようにしましょう。くれぐれも日曜日の夜などに見ないように・・・。(-.-)
- (BD)
2009.01.19 ベオウルフ/呪われし勇者 ★★★
- 何だか怪しそうな映画です。どう怪しいかと言うと、「パフォーマンス・キャプチャー技術を駆使して、実写とCGを融合させた革新的な映像」などと言われているのです。私は殆ど失敗作と思った、フルCGで実写もどき映画の「ファイナルファンタジー」とどう違うのでしょう?
- 映画が始まって、分かりました。要するに実際の俳優に極力似せたCGキャラが動いているのです。すなわち、レイ・ウィンストン、アンソニー・ホプキンス、ジョン・マルコヴィッチ、アンジェリーナ・ジョリーなどとそっくりの人物が活躍するアニメ映画なのです。
- アップではそれなりにリアル感がありますが、致命的なのは眼が死んでいること。眼がうつろなので、活き活きした感じがありません。また遠景で人物が小さくなると、いかにもアニメ的なぎこちなさが出てチープな印象が否めません。
- それでも中ではアンジェリーナ・ジョリーは、比較的実写に近いリアルな映像でした。多分アンジーにはCGデザイナーは特別に注力したのでしょう。気持ちはよ〜く分かります。(^o^)
- 前半現れるクリーチャーは、これでもかというような気持ち悪さ。よくこんなものを考えついたものです。主人公をスッポンポンで戦わせる意図は何でしょう?センス、悪し・・・。
- ストーリー展開としては、それなりに面白いと思います。単なるヒーローものではなく、サブタイトルどおりの呪われた男の悲哀はそれなりに伝わってはきます。
- 映像的には、後半のドラゴンとの攻防が白眉。自分の腕を犠牲にするのは見ていて痛かったし、あそこまでしなければいけない意味はよく分かりません。
- いずれにしても、アンジー姉があんな形で迫ってくれば、男であれば誰しも魂を売ってもよいと思うでしょう・・・。(^_^;)
- (BS-HV)
2009.01.12 レッドクリフ
Part1 ★★★★
- 時には劇場で見たい病が発症して、近くのシネコンへ出かけて行きました。どうせ大画面で見るならスペクタクル物が良いと、レッドクリフの第1作目を選びました。公開から時間が経ったので、小さなシアターに移され、日に2回しか上映されていません。
- 三国志の中のエピソードである「赤壁の戦い」の映画化ですが、ジョン・ウーが監督をしていますから一応ハリウッド映画です(何を断っている?)。三国志は登場人物がやたら多いですし、内容も余り覚えていなかった(知らなかったに近いかも)ので、事前に少し関連サイトで予備知識を仕込んで行きました。
- 冒頭、日本語で解説が流れ、まさか吹替版ではなかろうな?などと少し心配しましたが、そうではなくて一安心。この解説と予備知識のお陰で、更には主要な登場人物は初回だけでなく登場するたびに名前が表記されるので、混乱は全くありませんでした。この辺は配給側の親切な配慮が嬉しいところ。
- 冒頭の曹操軍に追われた劉備軍が撤退しつつ戦う場面、終盤の曹操軍と劉備・孫権同盟軍との赤壁での陸上戦の二つがハイライトでしょう。中盤の孔明が孫権に同盟を提案し、説得するシーンあたりは少し弛れます・・・。
- 趙雲、関羽、張飛など名だたる武将が戦うシーンは、それぞれが一人舞台で漫画チックです。相互で大勢で戦えば良いのに・・・。この辺のリアリティの無さは、やはり三国志だからなのでしょうか・・・(やや意味不明)。
- 戦いのシーンの俯瞰映像はCG臭さが脱けていませんし、アップのシーンでの血飛沫は如何にも後から付けたかのような映像になっています。何よりもマズイのは、エキストラがニヤついたりして、緊張感や覇気がないこと(それほどアルバイト料が安いか?)。
- 周瑜(トニー・レオン)と孔明(金城武)が主人公格。金城武がやたらニヤニヤしていたのが気になりました。周瑜の妻で絶世の美女であるはずの小喬役のリン・チーリンはそうは見えず、ミスキャストでしょう。孫権の妹である尚香を演じたヴィッキー・チャオの方がよほど魅力的でした。
- 周瑜と小喬のラブ・シーンは意味があるとは思えません(夫婦なんだから)。サービスしたつもりなら、あの程度ではかえって欲求不満になるというもの・・・。(^_^;)
- 第1部は、赤壁の戦いのクライマックスである水上戦の寸前であっさり終わってしまいます。この後、第2部の予告編があります、などとエンド・クレジットの前に知らされるので、流石に誰も席を立ちませんでした。その割には、余り内容の無い予告編でしたが・・・。
- でも、ここまで来たら第2部も見ないわけにはいきません。公開は4月とのこと。
- (劇場)
2008.12.30 アイ・アム・レジェンド ★★★★
- 確か、公開当時は余り評判が良くはなかった映画です。この映画も随分CMにお金をかけていました。人類が絶滅してしまった世界で唯一生き残った男が主人公、という触れ込みですが・・・。
- 兎に角、CMでも披露されていた廃虚と化したニューヨークの街並みの描写に驚かされます。もちろんCGなのでしょうが、良く出来ていると思います。これがこの映画の最大の売りかも・・・。(^_^;)
- ハラハラ・ドキドキ的展開はありますが、ストーリーに新鮮味はありませんし、派手なアクションもありません。監督(フランシス・ローレンス)は、孤独な主人公(ウィル・スミス)の心理描写に力を入れていることが分かります。フラッシュバックで過去のいきさつがタイムリーに挿入され、彼の不幸な過去が次第に分かるという塩梅です。
- ただ、彼が何故ニューヨークでただ一人生き残ったのかの説明がないのは何故でしょう? 水や電気、ガスはどうやって供給されている?
- ゾンビ的なクリーチャーは、身体能力がスゴイだけでなく、頭脳的でもあるというところがユニーク。主人公が取った方法と同じやり方で、復讐しようとしたりするのです。また、太陽光線を浴びることが出来ないということが、物語の展開上重要な要素となっています。
- 随分引っ張った前半に比べ、後半の展開はやや小さくまとまってしまった、という感じがします。唐突に現れた彼女(主人公は唯一生き残った男ではなかった!)がああ言っているのに、科学者たる主人公は何故彼女の言葉を信じなかったのでしょうか?この女性を演じたアリシー・ブラガは存在感が薄く、ミス・キャストですね。初めは少女かと思いました。
- 出ずっぱり(当たり前ですが)のウィル・スミスは、孤独にさいなまれて精神が不安定になる表情など、かなりの熱演、好演です。ただ、どう見ても彼は科学者には見えないのだ・・・。(^_^;)
- (BS-HV)
2008.12.10 スターダスト ★★★
- CMに随分お金をかけていたな、という印象がある映画です。「ミシェル・ファイファーがこわ〜い魔女役を演ずるファンタジー」という宣伝効果としては、大成功でしょう。
- 主人公(チャーリー・コックス)と流れ星(クレア・デインズ)との恋、王位継承のために流れ星の持つ首飾りを狙う王子達の確執、永遠の若さを手に入れるため流れ星の心臓を狙う魔女姉妹(ミシェル・ファイファーなど)の執念など、3つのストーリーが描かれ、最後は一つに収束するという構成はお見事。ニール・ゲイマンというファンタジー文学界を代表する天才作家の著作が原作ということなので、なるほど納得です。
- それらに何故か、ロバート・デ・ニーロをボスとした空飛ぶ海賊集団(?)が絡みますが、ストーリー展開上からは、やや浮いているという印象は拭えません。折角デ・ニーロが女装もして頑張っているというのに・・・。
- ステロタイプの子供向けファンタジーということで、細かいところでは変なところも多い(あの壁はどこからでも越えられるぞ、とか)のですが、この手の映画に余り突っ込んでも仕方がありません。思いっ切り童心に帰って鑑賞するのが正解でしょう。ただ、中盤何ヶ所か弛れるシーンがあるのを我慢しなくてはなりません。
- 終盤の、魔女が死んだ王子の体を操って主人公と戦わせるシーンは極めて印象的。カクカクとアクロバティックに動いて、CGでなかったとしたら凄い!ゴーストになった王子達の言動も、とてもコミカルでよろしい。
- ハリウッド映画界の2大**の一人、クレア・デインズは、明らかにミス・キャスト。もっと若くて可愛い女優を使わなければバランスが取れません(因に2大**のもう一人は、言わずと知れたキルスティン・ダンストね(^o^))。
- 最も印象的なのは、何と言ってもミシェル・ファイファーの存在。醜い老魔女から美女に変身し、また次第に、部分的に老いていく(腕のシミなど)のですが、これが何ともリアルなんですなぁ。ミシェル・ファイファーも年齢が年齢だけに、演じていてビミョーだったのではないでしょうか・・・。(^o^)
- (BS-HV)
2008.12.01 ボルベール<帰郷> ★★★★
- 2007年度のカンヌ映画祭で、主演のペネロペ・クルスを始めとする6人の女優全員に最優秀主演女優賞が贈られた(!)というスペイン映画です。「オール・アバウト・マイ・マザー」などのペドロ・アルモドバル監督の作品。
- コメディタッチでありながら、時にシリアス、時にサスペンス的になるというカメレオン的作品。部分的にはヒッチコック的味付けも・・・(あれ、いつかは見つかるよね?)。
- キャッチコピーが、「女たち、流した血から、花咲かす。」と言うことで、見終えてみると極めて巧く表現している(ネタばれしている)ことが分かります。
- 始めは、ああこれはファンタジー作品かなどと思ったのですが、そうではなくて母、娘、孫娘の三代の女性達に絡む因果応報を、伏線を巧くちりばめて描いた、練ったシナリオに基づいた作品であることに気付かされます。
- 個性的な6人の女優の中で、やはりペネロペ・クルスが際立ちます。小顔で均整の取れたスタイルは、別人種のよう。母親役に、「あんた、いつそんなに胸が大きくなったの?」などと言われてもしかたがありません。(^_^;) 解説の今野雄二によれば、アルモドバル監督はソフィア・ローレンのようなデカ尻女優を主演にしたかったそうで、それを聞いたペネロペは尻パッドを付けたのだそうな。(^o^)
- タンゴの名曲「VOLVER」をペネロペが感情を込めて歌うシーンは、曲の美しさとあいまって胸を打ちましたが、あとで口パクと知って、やや興ざめ・・・。
- ビデオパッケージやスチール写真が、真っ赤の背景にペネロペが浮かんでいるという風ですが、劇中でも意識的に赤を基調に使っているようで極めてそれが印象的です。本当にペネロペは赤が似合いますね。
- それにしても男が殆ど、いや全く目立たないという作品で、当然のようにフランソワ・オゾンの「8人の女たち」を思い出してしまいました。
- (BS-HV)
2008.11.25 グッド・シェパード ★★
- フランシス・F・コッポラの製作・総指揮、ロバート・デ・ニーロが監督、マット・デイモンの主演で、CIAの創設期を描いた167分に及ぶ超大作という触れ込みで、期待は嫌でも高まります。ところがです。これだけ条件が整っているにも関わらず、名作とならないのが映画の面白い(?)ところ・・・。
- 時間軸が頻繁に変わりますが、マット・デイモンの老けメイクが変わらないので混乱してしまいます。息子と並ぶ主人公、とても親子には見えないのだ・・・。従って、CIAの創設期を描いていると言っても、何が最初でいつ始まったのかよく分かりません。二重スパイの摘発など、見ものであろうエピソードは幾つか描かれますが、説明不足でイマイチ理解できない・・・。
- 一番の問題は、マットが無表情過ぎることではないでしょうか?あの演技は明らかにやり過ぎ、いや、やらなさ過ぎ。ですから主人公から伝わるものが無く、感情移入が出来ないのです。これは映画としては致命的。
- やり手であろう主人公がそうは見えず、女に弱い小心者にしか映りません。恋人を捨てて、子供が出来た女性(アンジェリーナ・ジョリー)とすぐ結婚。その妻になじられ、タジタジ・・・。
- 冒頭の謎めいたシーンの意味がラストで明かされます。なるほど、あれほど時間をかけて分析をした訳がようやく分かりました。さすがにこの辺の主人公の二者択一の苦悩は、それなりには伝わって来ましたが・・・。
- タイトル(「The Good Shepherd」)は、聖書に出てくる良き羊飼い、すなわちキリストのことなのだそうな。CIAの創設に関わり、米国民のために身を捧げた主人公を指しているらしい。
- マット・デイモンが地味なだけに、アンジェリーナ・ジョリーのケバさだけが、やたらと目に付く映画でした・・・。(^_^;)
- (BS-HV)
2008.11.24 パーフェクト・ストレンジャー ★★★☆
- いかにも適当に付けたかのような日本語タイトルですが、原題(「Perfect Stranger」)どおりなのです。「ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対わからない──。」と言うのがこの映画のキャッチ・コピー。ほう、では騙されてやろうではないの、またハル・ベリーとブルース・ウィリスの共演だから駄作ではないだろうな、などと思っての鑑賞です。
- 政財界の大物のスキャンダルをいつも狙っている女性記者の主人公(ハル・ベリー)は、ある時、幼なじみの女友達が殺された事件の調査に乗り出します。その女友達が出会い系サイトで知り合った大物経済人(ブルース・ウィリス)と不倫関係にあったことから、彼に疑いの目を向けていくのですが・・・、という久々の火曜サスペンス劇場的展開です。(^o^)
- でも、それが結構引き込まれるのです。ハル・ベリーの魅力もさることながら、起伏の多いストーリー展開も退屈させません。伏線もしっかり張ってありますし・・・。まあ、しいて難点を挙げるとすると、あのキャッチ・コピーからすれば真犯人はアイツ以外いないだろう、ということを途中で気がついてしまうところでしょうか。(^o^)
- あの犯人ではルール違反という気もしないでもありませんが、まあいつかの映画のように、隣のたばこ屋の親父がサイコ野郎で犯人だった、などというのとは違いますから、許しましょう。
- 主人公が行うチャットのやり取りも分かりにくいですね。もう少し、親切に解説してやりましょうよ。
- 脇を固めるのが、主人公の友達であるハッカー役のジョヴァンニ・リビシ。この人は強烈な個性の持ち主ですね。いつも何かに取り憑かれたかのような虚ろな目線が、えも言われぬ怪しさを醸し出します。「ギフト」などでの熱演がいまだに思い出される・・・。
- ハル・ベリーのサービス・ショットが少ないのが、不満と言えば不満。
- ブルース・ウィリスには勿体ない役柄でしたね。上手いカツラだなぁ、と常に彼の頭髪が気になる私でした・・・。(^_^;)
- (BS-HV)
2008.11.10 インべージョン ★★★
- タイトル(「The Invasion」)は「侵略」の意。原作は古典的SFスリラーで、本作で4度目の映画化なのだそうな。前3作(「ボディ・スナッチャー」等)はレンタルショップではよく見かけましたが、未見です。
- それでも終始、既視感一杯の展開です。ウィルス感染・汚染の恐怖、人間のゾンビ化などをテーマにした名だたるSFスリラー映画が次々に思い起こされます。「遊星からの物体X」、「アウトブレイク」、「バイハザード」シリーズ、各種ゾンビ映画などなど。
- 4回も映画化する意味があったのか、どうか? 主演がニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ(6代目ボンドね)でなければ、劇場公開も危ぶまれたことでしょう。
- 息子を守る強い母親を演ずるキッドマンが、断然美しい。中盤以降、話の展開が見えた時点から、なおさら彼女の美しさが際立つという状況になります。逃げるシーンなどでも、八頭身、いや九頭身振りに見とれて、恐怖感を忘れてしまうという塩梅です。(^_^;)
- お気楽な設定やご都合主義もかなり目立ちます。冒頭、少女が拾ったシャトルのかけらを安易に手で受け取って良いわけがありません。あんなカーチェイスで車が火達磨になれば、まず助からないでしょう。簡単にヘリに乗れたし・・・。あの息子、絶対あんな簡単に心臓注射は打てっこない。ダニエル・クレイグは膝だったから良かったものの、他の人はあれで良かったのでしょうか?キッドマンの良心の呵責は?
- 感染すると感情が無くなり、戦争など争いごとを行わなくなる人種(?)となるということなので、キッドマンよ、そこまで抵抗しないでいっそ感染したらどうか、と思ってしまったのは私だけでしょうか・・・?(^_^;)
- (BS-HV)
2008.11.09 ファンタスティック・フォー 銀河の危機 ★★★
- 宇宙の放射線の影響で、特殊能力が身に付いた4人の活躍を描いたアメコミ作品の第2段。今回は未知の生命体「シルバーサーファー」なる人物(?)が登場しますが、冒頭解説の今野雄二氏(懐かしい!)によれば、本国ではとても人気のあるキャラらしい。
- 物語は至って単純。「シルバーサーファー」が現れた惑星は8日以内に滅びることが分かり、すわ地球の一大事とばかりに4人がそれを阻止するために特殊能力を活かして活躍するというお話。そこにリーダー格のヨアン・グリフィズとヒロインのジェシカ・アルバの結婚がサイド・ストーリーとして絡みます。
- はっきり言って、少年、少女向けの漫画です(当たり前ですが)。SFXはそこそこですが、全体的にB級的なチープ感が漂います。ただし、他のヒーロー物と違って、ダークな感じ、悲壮な感じが無く、あっけらかんとしているのが本作の特徴です。
- 肝心の「シルバーサーファー」が、フルCGなのですが、出来損ないのT-1000(T2の敵ね)みたいでいただけません。無口な木偶の坊という感じ。第一、彼が現れた背景が説明不足です。終盤、泣かせる展開になるのですが、だったら始めからそうしなさい!と言いたくなります。
- 冒頭とラストは、(多分)日本が舞台のつもりでしょうが、相変わらず誤解された描写で、苦笑せざるを得ません。富士山は銭湯の絵のように現実感がありませんし、ラストの着物姿の女性や女の子は時代錯誤も甚だしい出で立ちです。そこにチャイナ風音楽が流れると、苦笑から爆笑に・・・。(^o^)
- ジェシカ・アルバの美しさは相変わらず際立っていますが、それに引き換えヨアン・グリフィズが相手役としてはイマイチ。彼の体が伸びるのも、いかにも漫画チックでいただけません。
- 例によって、次回作もあるよ、というエンディングですが、どうもなぁ・・・。(-.-)
- (BS-HV)
2008.10.27 幸せのレシピ ★★☆
- ヒットしたドイツ映画のリメイクとのこと。マンハッタンの一流レストランの女性シェフは、腕は立つのですが人付き合いが苦手。そんな彼女は、突然の姉の死で9歳の姪と暮らすことに、また、彼女を慕ってやってきた余りいけ好かない副料理長と一緒に仕事をすることに・・・、というストーリーですが、先が明らかに見えてしまうのがご愛嬌か・・・。
- まあ、特に取り立ててどうのこうのという映画ではなく、休日の空いた時間にまったりと観賞するには持って来いの作品かも。
- ヒロインはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。アップでは流石に年を感じさせられるものの、二人の子持ちには見えないスタイルの良さで、美しい。ただし、いつものようなフェロモン全開のセクシーさを封印しているのが、不満といえば不満。(^_^;)
- 何故か彼女はいつもセラピーを受けているのですが、アメリカではごく一般的なことなのかと、納得させられます。中々心を開かない姪(アビゲイル・ブレスリン)との触れ合いは、切実感を持って訴えます。仕事との両立に現実は結構厳しいだろうな、などと。
- 分け入る陽気な副料理長のアーロン・エッカートが好演。いつも地味な脇役という印象が強いのですが、ここでは中々よい味を出していて、好感度高し。「ミス・リトル・サンシャイン」で、お腹ポコポコのアビゲイル・ブレスリンが、少し大人びていて、横顔も美しくドッキリ。ナタリー・ポートマン二世という感じかな。
- 料理をテーマにした映画の割りには、余りそれがクローズアップされないのは何故でしょう?作る過程が殆ど無く、出来上がりのシーンばかり。唯一アーロン・エッカートが作ったシンプルなスパゲティ(ナポリタン?)がとても美味しそうでした・・・。また、二人が仕事が終わった後の厨房で、残り物(多分)をツマミながら赤ワインを飲むシーンを見て、無性にワインが飲みたくなりました。アル中気味だ・・・。(-.-)
- 「誰も寝てはならぬ」、「ライオンは寝ている」などの超有名曲が挿入されるのも、心地よかったです。
(BS-HV)
2008.10.20 キングダム/見えざる敵 ★★★☆
- サウジアラビアでの米国人へのテロと、それに報復するFBIの面々の活躍を描いたサスペンス・アクション映画。冒頭、サウジアラビアでの紛争の歴史が紹介され、いかにも社会派ドラマの雰囲気が醸し出されますが、それは最初だけ。政府が許可しないサウジアラビア行きを強引に敢行するなど、その後は殆どエンタメ映画としての呈をなします。
- 序盤の外国人居住地での計画的、頭脳的テロにまずは驚かされます。実際にこんなことが起きていいものか・・・。犠牲者にFBI捜査官もいたことから、FBIからリーダ格の捜査官(ジェイミー・フォックス)、爆発物専門家(クリス・クーパー)、法医学調査官(ジェニファー・ガーナー)、情報分析官(ジェイソン・ベイトマン)の4人が、現地に乗り込み、捜査活動(報復活動?)が始まります・・・。
- 後半のテロ組織が居住している地区での銃撃戦は、凄い。どう凄いかというと、敵の弾が全く当たらないのです。(^_^;) どう見ても絶体絶命的状況、形成で銃弾がアラレの如く降り注ぐのに、かすりもしません。迫撃砲も・・・。しかも、捜査官のはずの4人が、バリバリのSWATのような働きぶりです。この辺は、ハリウッド式ご都合主義ということで、まあ見逃しましょう。
- テロリストの首謀格を発見するくだりは、序盤の伏線が活きていて、中々秀逸。しかも、それぞれの最後のセリフが余韻を残し、テロの連鎖を考えさせられるオチとなります。脚本の勝利でしょう。
- 曲者、クリス・クーパーが余り活躍しないのは、勿体ない。「デアデビル」以来のジェニファー・ガーナー、中々いいです。強すぎるし・・・。敵に捕らわれ、あわやというジェイソン・ベイトマン、役立たずだ。純朴な現地警察官を演じていたアシュラフ・バルフムが、一番良い味を出していたと思います。
- (BS-HV)
2008.10.06 恐怖のメロディ ★★★★
- 1971年のこれはクリント・イーストウッドの初監督作品。原題は「PLAY
MISTY FOR ME」、すなわち「私のために『ミスティ』の曲をかけて」です。「ミスティ」はジャズ・ピアニストのエロル・ガーナー作曲の大スタンダード曲。ジャズ好きなクリント・イーストウッドらしいタイトルと言えます。
主人公(クリント・イーストウッド)は、人気ラジオ番組のディスク・ジョッキー。ある時「PLAY MISTY FOR ME」と、ミスティをリクエストする女性(ジェシカ・ウォルター)が現れ、その後バーで出会った彼女と一夜を共にします。しかしそれからというものは、彼女の狂気的ストーカー行為に、彼の恋人とともに悩まされるのでした・・・。
うむ、「危険な情事」に非常によく似た展開です。これが元ネタかも・・・。ストーカー相手が***カットするところなど、状況がそっくりですもの。
展開は、古風な美女が登場するところなど雰囲気的にはヒッチコック作品的とも言えます。影や暗いシーンを多用し、ジリジリと恐怖感を演出する技法も巧い。それにも増して、ジェシカ・ウォルターの鬼気迫る切れ方演技は恐ろしいです!グレン・クローズに勝っています。(^o^)
ストーリー展開から離れて、しばしの休息的扱いで主人公と恋人(ドナ・ミルズ)が絡むシーン。この延々と長いラブ・シーンのバックに流れるのがロバータ・フラックの歌う「The First Time Ever I Saw Your Face(愛は面影の中に)」なのですが、これがまたたまらなく良いのです。映画館からレコード店に直行する観客が多かったのだとか(うむ、「ボディ・ガード」の「I
Will Always Love You 」みたいだ)。
舞台となったのがカリフォルニアのカーメルということで、モントレー・ジャズ・フェスティバルの模様が挿入されます。何と懐かしくもキャノンボール・アダレイのグループ演奏が披露され、これは私には嬉しいおまけでした。
- 兎に角、行きずりの火遊びはしてはいけません、と徹底的に指導される教育映画なのです。(^o^)
(BS-HV)
2008.09.29 カンパニー ★★
- 本作は映画ではなく、ブロードウェー・ミュージカルの舞台を収録したものであり、トニー賞最優秀ミュージカル・リバイバル作品賞に輝いた人気作品とのこと。 NHK
hiでの放送です。
その日が35歳の誕生日であるニューヨークに住む独身男性が主人公。 彼を取り巻く友人夫婦や3人のガールフレンドとの付き合いを通して、
結婚生活や愛を模索していくというストーリー。
- 通常のミュージカルと異なり、シーンの展開などは一切無く、最後まで同じ舞台で演じられます。また、主人公を除く出演者は全員が楽器を持って自ら演奏するというユニークな構成です。
- 楽器を演奏しながら歌い、セリフを言う出演者は皆揃って達者な人達ばかり。それは分かるのですが、ストーリーにどうもついていけません。もちろん、日本語字幕は付いています。しかし、劇場の聴衆が笑うシーンには必ずしも同調できません。やはり、ネイティブでないと分からないニュアンスがあるのでしょうか。
- 友人の夫婦のエピソードが順番に披露されますが、はっきり言って退屈。主人公とガールフレンドの絡みもかったるい・・・。
- カメラワークや美しい映像は申し分なし。
- (BS-HV)
2008.09.15 世界最速のインディアン ★★★★☆
- 陸上100mを9秒フラットで走るアメリカ先住民の話、ではありません。(^o^)
- 「インディアン・スカウト」というオートバイに若いころから取り憑かれた63歳の男(アンソニー・ホプキンス)が、ニュージーランドからはるばるアメリカへ渡り、世界最速記録を打ち立てるまでの実話に基づくお話です。
- 年金暮らし彼の夢は、アメリカのボンヌヴィル塩平原(ソルトフラッツ)でオートバイの最速世界記録に挑戦すること。しかし彼には持病の心筋症、前立腺肥大があり、お金も余りなく、あるのは車のメカの知識と技術、それに夢に支えられた不屈の魂だけなのでした。
- 前半は、ニュージーランドからロスアンゼルスに海で渡り、そこから中古車を買って「インディアン」を牽引し、目的地を目指すロード・ムービーとして描かれます。その間のトラブルを含めた幾つかのエピソードが、極めて面白い。登場する人物はことごとく彼に親切で、悪人は誰一人として登場しません(まあ、ロスでの花売りが例外か)。それも少年のような心を持った主人公の気持ちが、相手に投影されるからなのでしょうか。
- レース場に到着してからも、事前登録を忘れていて参加が認められないなどの危機に陥ります。しかしこれも周りの支援でクリアされるのですが、ややこの辺は嘘っぽく感じられます。実話に基づいてると言っても、これらエピソードは殆どがフィクションなのではないでしょうか。
- と思いつつも、やはり純朴な気持ちを持つ主人公のキャラとサー・ホプキンスの演技力が、それらを納得させてくれます。いきなり出会った未亡人と一夜を共にしてもです。(^_^;)
- 肝心の時速300km超の記録樹立シーンは迫力満点。劇場で見るべき場面でしょう。でも、足にアスベストを巻いてはいけません。
- サー・ホプキンスは、63歳という設定の割には老け過ぎていますし、レーサーというイメージでもありませんが、まあこの人の起用が決まった瞬間にこの映画は成功したも同然。相変わらず、演技していない風の自然さで、堂々と演技しています。他では隣家の少年が可愛らしく、またモーテルの受付嬢(?)が極めて魅力的でした・・・。(^_^;)
- (BS-HV)
2008.09.14 イルマーレ ★★★
- 韓国映画のリメイクということなので余り食指は動かなかったのですが、懐かしくも「スピード」でのコンビ、キアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロックの共演ということで、ま、いっか、という感じでの鑑賞です。
- お話としては、典型的なタイム・パラドックスを絡めたラブ・ストーリー。郵便ポストが2年の時空を飛び越える手段となるという、一発アイディア的な展開です。この郵便ポストのしかけをアホらしいと思ったら、この映画は楽しめません。そんなバカなと思っても、我慢して見続けることにしましょう。(^o^)
- 2年しか時間の違いがないのですから、逢えてもよさそうなのに、中々逢えません。一番不思議なのは、ダンスしてキスまでしているのに、腕の中の男性が彼だと気がつかないヒロイン。まあ、これがキーとなるエピソードなので、仕方がないと言えばそれまでですが・・・。
- キアヌと父親との関係がサイド・ストーリーとなっていて、秀逸。父親役はあのエーデルワイスを歌うクリストファー・プラマーです。(^o^)
- 悲劇で終わらせないハリウッド方式のエンディングは、やや取って付けたかのよう。昨今では、悲劇のままの終わりもあっても良いかも。その方が余韻が残るでしょう。
- 何とも可哀想なのは、サンドラの婚約者。彼女の身勝手な行動に翻弄される彼には、同情を禁じえません。
- キアヌは役柄もあり、ややくたびれた感じではありましたが、かつてのダイコンさ加減は薄れてきているように思います。サンドラは意外と老けていませんが、相変わらずの整形顔はどうも好きにはなれません。
- 邦題の「イルマーレ」は劇中に出てくるレストランの名前ですが、原題(「THE LAKE HOUSE」)どおり、「レイクハウス」で良いのでは?
- (BS-HV)
2008.09.01 ボビー ★★★
- ボビーとは、1968年に暗殺されたアメリカ大統領候補のロバート・F・ケネディのこと。本作は、暗殺現場となったロサンジェルスのアンバサダーホテルに偶然居合わせた人々の、悲劇の前の16時間を描いた群像劇です。
- とにかく、豪華な出演陣です。アンソニー・ホプキンス、ハリー・ベラフォンテ(!)、ウィリアム・H・メイシー、マーティン・シーン、ヘレン・ハント、クリスチャン・スレーター、ローレンス・フィッシュバーン、シャロン・ストーン、デミ・ムーア、ヘザー・グレアム、シャイア・ラブーフ、イライジャ・ウッド、等々。超メジャー級ではないとしても、大した布陣です。これらの名優陣を見ているだけで、満腹感が・・・。(^_^;)
- RFKの暗殺を背景とはしていますが、それらとは全く関係ないような人物の、何でもないエピソードが綴られていきます。退屈しそうで、そうでもない。それぞれの人間模様が順番に浮かんだり、沈んだり・・・。
- 特にフレディ・ロドリゲス演ずるコックのエピソードが、RFKの演説の冒頭につながるくだりは巧い演出だと思います。これに絡むローレンス・フィッシュバーンはここでも名演技。巧い俳優だと思います(黒人でなければオスカー貰えています)。
- RFKの演説はもちろんのこと、その他のTVニュースなども実写映像を用いていて、臨場感も十分です。暗殺の巻き添えで銃に打たれた何人かの人物をそれまでクローズアップしていたことが、最後に分かり、ああそういうことだったのかと・・・。しかし、全員命は取り留めたとのテロップに救われはします(イライジャ・ウッド、殆ど死んだように見えた・・・)。
- 圧巻はやはり、ラストの混乱シーンに流されるRFKの心を打つ演説でしょう。全国民が、新しいアメリカ、変わるアメリカを彼に期待していたのでしょう。折しも、米民主党の大統領候補に正式指名されたオバマ氏の演説と重なります。また、ヒラリーが本事件を引き合いにして、あたかもオバマ暗殺を期待したかのような暴言も記憶に新しいところ。
- ハリー・ベラフォンテはそのハスキー・ボイスに益々磨きがかかっていました。シャロン・ストーンは途中まで彼女と気がつかないほどの老けぶり(わざと安っぽい厚化粧だったのかも)。「氷の微笑」で妖しく足を組み替えた彼女はいったいどこに行ったのでしょう?サイボーグがかったデミ・ムーア、落ち目の歌手役がピッタリでした・・・。(^_^;)
- (BS-HV)
2008.08.24 崖の上のポニョ ★★
- どうせ見るならアンパンマンの方がましかなと思ったのですが、YUMAはポニョがいい、とのことでした。しかもYUMAは劇場初デビュー。予告等を含めて約120分の上映時間に、集中力と耐オシッコ力が持続できるかどうか・・・。
- ポニョの造形やCGを使わない手書きアニメの自然な美しさは、マル。他の宮崎作品に見られるようなオゾマシさも一応排しているのでまあOK。
- しかし、相変わらずテーマがよく分かりません。まず、海を支配しているポニョの父親という得体のしれない男。この男は一体何をしようとしていたのか?後半、月が近づいている危機を回避しなければいけないと言う訳あり的なシーンが一瞬ありますが、その前後の説明が一切無し。
- 後半ポニョの母親という、巨大なマリアさんみたいな女性が登場しますが、これも目的がよく分かりません。一番分からないのが、これらの父と母を海に残して(捨てて)、人間になろうとするポニョの気持ち。まだ5歳なんですよ・・・。
- 海の生物を水道水に入れる、ハムやチキンラーメンが好物になる、自分の両親を名前で呼び捨てにする、などの子供が増えるのでしょうな・・・。
- エンド・クレジットがカラフルで、かつ短くて助かりました。エンド・クレジットが終わるまで席を立ってはいけない、と躾けるつもりでしたから。
- とにかく、YUMAは途中で飽きたから外へ出よう、とも、オシッコ!とも言わず、無事に見終えたのが、何よりでした。
- でもYUMA、ホントにこれ、面白かったのかなぁ・・・。(-.-)
- (劇場)
2008.08.09 あるスキャンダルの覚え書き ★★★
- 原題は「Notes on a scandal」ですから、まんまの邦題ですね。主人公の周りに起きた出来事を日記に綴り、それをモノローグで説明していくという手法を取っています。原作はベストセラーなのだそうな。
- 予備知識は殆ど無かったのですが、これはサスペンス・ドラマというべきでしょう。ただし、終盤は殆どホラー映画的な趣になります。
- 興味は何と言っても2人のオスカー女優の演技合戦というところでしょうか。ジュディ・デンチ御大(?)が、屈折した老女性教師を迫真の演技で演じています。「鬼気迫る」とは、このようなことを指すのでしょう。とにかく恐ろしい・・・。一番恐ろしかったのは、彼女の入浴シーンだったかも。(^o^)
- ケイト・ブランシェットは何と15歳の教え子と関係を持つ女性教師を演じています。昨今、情況的にはよくある話なのでしょうが、ケイトがそのような役を演ずるのはやや違和感があります(贔屓目か)。それにしてもインディ・ジョーンズの最新作での敵役と同一人物には中々見えません。一瞬似たようなメイクをするシーンがありましたが・・・。
- 脚本は良くできていて、テンポ良く展開されます。92分という短さも実によろしい。ジュディの過去に関係した女性教師とのエピソードを、最後はもう少し明した方が良かったかも知れません。その方が、ラストシーンの恐ろしさが倍増したと思います。また、日記の書き損じを不用意にごみ箱に捨てておく、という杜撰な状況設定はよろしくありません。
- ケイトの夫役は、あのデイヴィ・ジョーンズことビル・ナイで、ここでも良い演技をしています。妻の不倫が分かって、「年寄と不倫するならまだ許せるが、何であんな若造と!」と嘆き悲しむシーンは見ていてとても辛かった・・・。(-.-)
- (BS-HV)
2008.07.22 あるいは裏切りという名の犬 ★★★★☆
- この邦題、凄いですね。考えた人もさることながら、それで行こう!と決めた人の英断に敬意を表したくなります。原題は「36
QUAI DES ORFEVRES(オルフェーヴル河岸36番地)」というパリ警視庁がある場所を示しているだけなのですから。スター・チャンネルの予告編に魅かれての鑑賞なのでした。
- 監督(オリヴィエ・マルシャル)がかつては実際に警察官だったり、脚本家が元刑事だったりということで、彼らが経験したエピソードを中心に、実在の事件や人物をヒントに描き出した警察組織内部の裏を描いた作品です。
- フランス映画でありながら、雰囲気としては殆どハリウッド映画そのもの。銃撃戦などの迫力は、我が家の貧弱なサラウンド・システムでも十分堪能できます。複数のエピソードが複雑に絡まりますが、脚本が良く練られているので混乱はしません。全く退屈しない展開で、見応え十分。3連休の弛んだ頭をガツンと刺激してくれます。(^o^) 110分の時間とは思えない、長尺物を見たような充実感が残ります。
- 誇張はもちろん有るのでしょうが、清濁合わせ持つパリ警視庁内部の様々なエピソードには何となく納得させられます。特に終盤のミス・リードの巧さに唸るとともに、ホッとしました。(^_^;)
- 主人公を演ずるのは、ダニエル・オートゥイユですが、私はこの人を余り知りません。後で調べたら、昔みた名画「愛と宿命の泉」の主人公なのでした。相手役のジェラール・ドパルデューは、何とここでは嫌われ役。この人がこのような役柄を演ずるのは珍しいのではないでしょうか。
- あのミレーヌ・ドモンジョが老娼婦役で出演していたことを後で知りました。老け過ぎですもの・・・。また、彼女のパトロン役はオリヴィエ・マルシャル監督が演じていたとのこと。
- 早速、ハリウッドはロバート・デ・ニーロでリメイクするのだそうな。確かに、ダニエル・オートゥイユはデ・ニーロに似ていますね。(^o^)
- (BS-HV)
2008.07.12 こわれゆく世界の中で ★★★
- アカデミー監督賞を受賞した「イングリッシュ・ペイシェント」を始め、「リプリー」、「コールド
マウンテン」などを手がけたアンソニー・ミンゲラの制作・脚本・監督作品です。
- ロンドンを舞台に、それぞれに問題を抱えた子供に苦悩する2人の女性と、そんな2人と恋に落ちた男の葛藤を描いたヒューマン・ドラマ。出演はジュード・ロウ、ジュリエット・ビノシュ、ロビン・ライト・ペンという豪華な顔ぶれです。
- 暗い、切ない、やり切れないという「イングリッシュ・ペイシェント」を彷彿とさせる展開は、ミンゲラの持ち味と言うべきなのでしょうか?ゆっくりとしたテンポで淡々と描かれますが、まあ退屈はしません。
- ジュード・ロウが唐突に恋に落ちるジュリエット・ビノシュが老け過ぎで、どうもしっくり来ません。ベッド・インの前に「私の体を貴方が好んでくれたら嬉しいわ」などと言ってもです。(^_^;) 恋敵を助けた上で、それに怒り狂うロビン・ライト・ペン演ずる女性の心情も不可解です。一番分からないのはジュード・ロウの我儘さ加減、身勝手さ加減。
- 兎に角、皆が悩んで迷っている、でも頑張って生きていこう!と勇気づけられる作品・・・、とまではいかない仕上がりです。でも、3人の演技だけは流石に凄い。
- それにしてもジュリエット・ビノシュがオバサンになっていて、ビックリしました。脱ぎっぷりは相変わらず良いです・・・。(^_^;)
- アップルがスポンサーになっているのでしょうか?ここでもマックが大活躍(?)。ハリウッド映画のマックの登場率は高いとつくづく思います。
- 原題(Breaking and Entering)から、この邦題を付けた人は素晴らしいセンスの持ち主というべきでしょうか?それとも単に、気取り過ぎ?(^o^)
- (BS-HV)
2008.06.30 コーラス ★★★
- 本国フランスで驚異的に大ヒットした作品とのこと。何となく知り得た情報からは、概ねのストーリーは予測できます。すなわち、問題児ばかりの寄宿舎に赴任した元音楽教師の舎監(指導員)が、子供たちにコーラスを教えることを通じて彼らを矯正して行くという、いわゆる学園もの音楽映画です。
鬱陶しい雨の日曜日の午後は、せめてこのような清らかな映画を見て過ごそうと、取り貯めておいた作品から選びました・・・。(^_^;)
- 母親の葬儀に田舎に戻った世界的な指揮者(ジャック・ペラン)の前に現れたのは、かつて寄宿舎で一緒だった男。その男が、指揮者に一冊の古い日記を渡します。その日記は、かれらの舎監であった男(ジェラール・ジュニョ)のものでした・・・、という冒頭から時代が遡ってお話が始まります。
- このジェラール・ジュニョが、ハゲで風采が上がらない男なだけにとてもリアル(^_^;)で、良い味を出しています。問題児の指導はこうあるべき、という正に模範的理想的な方法で彼らを導きます。少年の母親に恋心を抱くのは、ご愛嬌。
- この手の映画で必ず登場する憎まれ役は大抵が組織の長で、ここでは校長先生(フランソワ・ベルレアン)。性悪ながら、ある意味毅然とした彼の態度は喝さいものでした。
- 本作品は敢えて感動を盛り上げようとしないサラリとした、むしろ淡泊といってよい演出になっています。それでも最も盛り上がるのは、伯爵夫人の前でコーラスを披露する際、それまでソロを取ることを許されていなかった主人公の少年(ジャン=バティスト・モニエ)が、その場でそれを許され、喜びに満ち溢れた顔で歌い出す瞬間・・・。しみじみと音楽の喜びを共感できるひとときです。
- 唯一の不満は、お別れの紙飛行機を全部は拾わなかった舎監と、冒頭のシーンで大恩師であるはずの人物の名前を忘れてしまっていた指揮者。それらは薄情過ぎというものです・・・。(-.-)
- (BS-HV)
2008.06.16 インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 ★★★★☆
- 洋画ファンから最も続編が待ち望まれていたのは、ターミネーター・シリーズと本作でしょう。前作の「最後の聖戦」から何と19年が経ちました。ハリソン・フォードも66歳。そんなに時間を置いた第4作目はさぞかし練られているだろう、またお爺ちゃんインディはどんなだろうと、先行上映での鑑賞です。(^_^;)
- スターウォーズ・シリーズなどでも同様ですが、映画が始まると何故か同窓会的感覚に見舞われます。例の帽子が映し出され、シルエットでインディが登場すると、遥か昔(27年前)に劇場で観てその面白さに仰天した「レイダース/失われたアーク」の記憶が甦るのでした。
- 脚本やストーリーが練られているかというと、必ずしもそうではないかも知れません。万年少年であるジョージ・ルーカスとスティーヴン・スピルバーグが自分の好みで、あれもこれもと詰め込んだおもちゃ箱と言ってよいのでしょう。ですから、1957年という冷戦の時代の米軍基地にソ連軍がいとも簡単に入り込めたり、簡単に核爆発起こしたり、と何でもありの展開です。
- 「未知との遭遇」的、つまりSF的要素が盛り込まれ、特に後半からは「ハムナプトラ・シリーズ」的になっていきます。まあ、エンタメを追及すると行き着くところは同じということなのかも知れません。とにかく楽しめますが、主人公を始め、スタッフも年老いているので、柔らかな目線で撮影されているように感じました。
- ハリソン・フォードは、スタントを使っていたとしても年を感じさせないアクションで安心して見れます。女適役は眼がきつすぎるし、若すぎるのでケイト・ブランシェットに似ているが別の女優だろうと思っていたら、エンド・クレジットで本人と分かりました。完璧な(?)ロシア訛りの英語を駆使しての活躍です。(^o^)
- 「失われたアーク」でのヒロイン役のカレン・アレンが登場するのも懐かしい。でも、さすがに老けました・・・。ブレイク中のシャイア・ラブーフも中々良いです。ただし、この二人の現れ方は、やや唐突ではありますが・・・。
- ラストで、地面に落ちたインディの帽子をシャイア・ラブーフが拾おうとしますが、すんでのとろでハリソン・フォードが先に拾います。インディはお前にはまだ譲らん、ということでしょうか。とすると第五作があるかな?(^o^)
- (劇場)
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