2008.06.09 幸せのちから ★★☆
- ウィル・スミスは元々余り好きな俳優ではありません。どうもあのチンピラ然とした風貌が鼻についてしまうのです。
- その彼が実の息子を息子役にして、実話を元にしたサクセスストーリーの主人公を演ずるというのです。そもそも、映画などで夫婦共演、親子共演などというのは、見ている方としてはかなり恥ずかしい思いにかられます。どんな気持ちであんなセリフを言っているのだろう・・・、とか。
- ということで余り食指は動かなかったのですが、折角の有料放送ですから、取り敢えず見ておこうということに。(^_^;)
- 財産投げ打って投資した医療器具が中々売れない、というのが不幸の始まりとなっていて、それは何より一獲千金を夢見るあんたが悪い!とまず突っ込みを入れます。(^o^)
- しかも家賃は払わない、託児所費用は滞納する、タクシーは乗り逃げする、貸した14ドルを返せと言って友人を無くす、無料宿泊施設の順番待ちでケンカを始める、などかなり人間としては欠点だらけの主人公なのです。
- 見るも哀れな不幸の積み重ねを、強引な努力(走力?)と一か八かの賭けの結果で乗り越え、成功を収めていくという展開です。ストーリーとしては退屈はしませんし、それが実話であるところに驚きはします。ただ、幸せのちから(「THE
PURSUIT OF HAPPYNESS=幸せの追及」)って、賭けの結果などでたまたま強運に導かれたことで良しとするものなのでしょうか?もっと地道に働く道を選びなよ、と妻も盛んに言っていたではありませんか・・・。
- 事実を変えて脚色しているところはあるようです。息子は実際は2歳だった、ルービックキューブのエピソードは作り話、インターンシップでは無給ではなく1000ドル支払われていた、等々。
- 致命的なのは、駅の公衆トイレで息子と寝泊まりをするような極貧の主人公を演じているのが、大富豪のハリウッド・スターなんだよ、とどうしても思ってしまうこと・・・。(^o^)
- 別れる妻役を演じていたタンディ・ニュートン。怖いほど憎々しげでしたね・・・。
- (BS-HV放送)
2008.06.01 ゴーストライダー ★★
- 黄金バットのハリウッド・リメイクです・・・というのは冗談。(^o^) それにしても主人公がニコラス・ケイジというのは、製作者側も思い切ったことをするものです。アメコミのヒーローとしては、どうみてもトウが立っていると言わざるを得ません。
父親の命と引き換えに悪魔に魂を売ったバイク乗り(ニコラス・ケイジ)が、悪魔の世界の反逆者グループと対決していくというお話。奇抜(お笑い)なのは、悪に立ち向かう時には燃える頭骸骨となってしまうということ。しかも、バイクの通った道は火がメラメラと燃え盛るというような塩梅。
- VFXはそこそこ。ゴースト・カウボーイ(?)と並走するシーンは色彩の対比がとても奇麗でした。
悪魔とその反逆者である悪魔達の動機がイマイチハッキリしませんし、何故か反逆者である悪魔が見かけよりずっと弱いのです。アクションが売り物の一つであるはずのアメコミ映画が、これではいけません。
- ともかく脱力しまくりの人物キャラとストーリー展開なのですが、ヒロインのエヴァ・メンデスが唯一光ります。ラテン系のドスコイ体形ながら、中々魅力的。久しぶりにピーター・フォンダを見ましたが、最後はアレ?という感じでした。
ニコラス・ケイジは当然髪を増量して頑張りますが、何と言っても43歳なのです。オーバーアクトは仕方ないとしても、どうもシャキッとしません。続編あります!というラストでしたが、次回はもっと若い誰かに(シャイア・ラブーフなど)譲ったらいかがでしょう。(-.-)
- (BS-HV放送)
2008.05.19 ミスト ★★★★☆
- 久々の劇場鑑賞です(未だ見切れていないBS-HV放送の録画作品がいっぱいあるにも関わらず(^_^;))。
- 名作「ショーシャンクの空に」、「グリーンマイル」と同じく、原作がスティーヴン・キング、監督がフランク・ダラボンの作品であることから大いに期待をしていましたが、ラストが衝撃的(「震撼のラスト15分」という触れ込みです)ということで、身構えての鑑賞です。
- 比較的早い時期に、いかにもキング作品らしい非現実的なモンスターが次から次へと登場し、その都度観客をビックリさせてくれます。隣の中年の夫婦は毎回声を上げて驚いていた・・・。(^o^)
- しかし、途中から怖いのはそれらのモンスターではなく、人間であるということが分かってきます。パニック状態に陥った人間の弱さ、怖さをこれでもかと、見せつけてくれます。特に皆を扇動していく狂信的女性は、マーシャ・ゲイ・ハーデンの名演技と相俟って強烈な印象を与えます。極めて鬱陶しく、ああなってくれてすっきりしました・・・。(^_^;)
- モンスターはそれぞれ既視感がありますし、見ようによっては滑稽な感じもしたります。「エイリアン2」のパクりかと思われるようなシーンも・・・。
- で、問題のラスト・シーンですが、こういう結末は近年のハリウッド映画には極めて珍しいのではないでしょうか。「人間、早まってはいけない」などという単純なメッセージではなく、人間の原罪がもたらす何かを暗示しているかのようです。それにしても、ガツンとくるほどの後味の悪さ。隣の夫婦は、主人公と一緒に大声を出していました・・・。(^_^;) キング作品では、「ペット・セメタリー」以上の後味の悪さです。
- エンド・ロールは、途中から音楽ではなく、サラウンド効果を駆使したヘリやトラックの音。これらがまた、打ちのめされた観客の心に追い打ちをかけるように響くのでした・・・。
- フランク・ダラボン監督は、「ショーシャンクの空に」で希望を描き、本作品でその対極の絶望を見事に描き切りました。それにしても、酷過ぎやしませんか?ダラボンさん・・・。(-.-)
- (劇場)
2008.04.20 不都合な真実 ★★★★
- アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞のオスカーを獲得した作品と言うことで、注目していました。
- 元アメリカ副大統領のアル・ゴアが、自身のライフ・ワークとも言える環境問題、とりわけ地球温暖化の警告と対策を訴え、全米を始めとした世界各地での講演活動の模様を紹介するドキュメンタリーです。彼はこれらの活動による「地球温暖化の認知を高めた」功績で、ノーベル平和賞を受賞しました。
- 冒頭、「一瞬アメリカ大統領になったアル・ゴアです。」などと、聴衆を湧かせます。(^o^)
- 彼が熱心に環境問題に取り組んでいることは明確に伝わってきますし、多彩なデータを駆使した完璧なまでのプレゼンテーション力には驚かされます。地球温暖化の事実そのものは私達にとっては殆ど既知の問題ではありますが、彼の巧みな話術と視覚に訴える映像やグラフ、数字などと相俟って、十分な説得力を持った見応えある内容になっていると思います。
- 余り広くない講堂での講演会での映像が中心ですが、交通事故で九死に一生を得た息子に関するエピソード(それが取り組みのトリガになったらしい)や、父親が煙草を栽培していた関係もあって姉が肺ガンで亡くなったことなど、私生活の一部も披露されます。
- 皮肉にも彼は京都議定書に批准しないアメリカを批判せざるを得ない訳ですが、終盤には幾つかの州がそれらの対策に乗り出し始めたことを紹介し、希望があることを示します。また、我々一人ひとりが温暖化防止策を取っていけば、地球を守るには決してまだ遅くはないことなどを訴えます。ただし、この対策がやや具体性に欠けているので、エンディングが締まらない印象となってるのが惜しいところ。
- なお、アル・ゴアはマック(MacBook Pro)使いであることが分かりました。(^o^)
- 数年前に、ニューヨークのマンションに住んでいる私の娘夫婦宅を訪れ、真冬であるにも関わらず室内はTシャツ1枚で過ごせるような温度設定になっていること、電気代以外の光熱費は徴収されていないこと(つまり、ガスやお湯は使いたい放題)などに、とても驚きました。これではアメリカは京都議定書には反対するはずだと、つくづく思ったものでした。(-.-)
- (BS-HV放送)
2008.04.14 ハーモニーベイの夜明け ★★☆
- アフリカのジャングル奥深くで殺人を犯したとされ、アメリカへ強制送還された大学の元教授(アンソニー・ホプキンス)。彼は高名な人類学者でもあり霊長類学者であったのですが、アフリカを訪れたまま行方不明になっていました。心を閉ざし沈黙を押し通す彼は精神異常と見做され、重罪犯刑務所〈ハーモニーベイ〉に投獄され、さらにその中の精神異常者用の施設に隔離されます。この特異な事件に興味を持ったのが、若き精神科医(キューバ・グッティング、Jr.)であったのですが・・・、というお話。
- 刑務所が舞台で、囚人同士の虐め、看守の虐待、囚人の処遇改善、そして結末など、「ショーシャンクの空に」を想起せずにはいられません。おまけに、立場の違う人間が演ずるのですが、雨の中を天に向かって手差し伸べるシーンなどは、明らかにパクリでしょう。
- 前半の謎に満ちた展開へ期待しすぎると、後半の凡庸な結末に肩透かしを喰らいます。もっとヒネリを考えられなかったものでしょうか・・・。サー・ホプキンス演ずる謎に満ちた男の正体も何故か中途半端。本当に精神を病んでいるのか、何故精神科医だけに心を開いたのか、何故あそこまで暴力的なのか、などなど不明点がいっぱい。
- サー・ホプキンスの演技は相変わらず素晴らしい。逃走シーンの動きも年の割には敏捷過ぎ・・・。(^o^)
- キューバ・グッティング、Jr.は私に言わせればミスキャスト。演技がクサ過ぎて、熱演すればするほど白けてしまいます。あれではサー・ホプキンスの向こうを張れません。マット・デイモンくらいでいかがでしょう。(^o^)
- 「ショーシャンクの空に」が改めてつくづく名作に思えたことでした・・・。
- (BS-HV放送)
2008.04.07 ホリディ ★★
- 貴重な休日の時間を、恋愛映画に費やす気は余りなかったのですが、キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラックという豪華な顔ぶれに魅かれての鑑賞でした。
- イギリスとアメリカで、期間限定ながら住まいを交換するという「ホーム・エクスチェンジ」なるものが背景となっており、そのこと自体は興味深く、新鮮だったのですが、それ以外がどうもいけません。恋に破れた女性が、新しい環境でまた恋に落ちる、という何ともヒネリもない展開に、いくら2大女優の出演であっても、退屈、退屈・・・。
- 第一、ジュード・ロウとキャメロン・ディアスのカップル、ケイト・ウィンスレットとジャック・ブラックのカップルなど、嘘臭くていけません。むしろ逆の方がしっくりくるのではないでしょうか?
- ジュード・ロウはもっと裏のあるようなキャラ設定が必要だったのでは?あれでは素直過ぎます。ベッドで下着を付けたままのキャメロン・ディアスの根性の無さにもがっかりですし・・・。(^_^;)
- ケイト・ウィンスレットがハリウッドの老脚本家と絡むエピソードは気分転換にはなりますが、さして重要な位置づけにはなっていなかったと思います。レンタル・ビデオショップのシーンで、超有名男優がカメオ出演していましたが、さほど効果的とも思えず・・・。
- 第一、135分などというのは、どう考えても長過ぎ。90分位で十分な内容です。
- ただし、イギリスの寒村と太陽が燦々の西海岸との対比は良かったですね。わたしゃ、西海岸の方が好きだけど。
- フルハイビジョンで見るキャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレットのアップは、小皺がいっぱい・・・。ある意味、残酷です。(-.-)
- (BS-HV放送)
2008.03.17 ブラッドシンプル ザ・スリラー ★★★★
- 第80回アカデミー賞においては、コーエン兄弟が「ノー・カントリー」で作品賞、監督賞、脚本賞の主要3部門のオスカーを手にしました。本作品はそのコーエン兄弟の初監督作品である1984年の「ブラッド・シンプル」を、1999年にコーエン兄弟自身が再編集したもの。冒頭に解説を加えたり、映像のデジタル処理や5.1チャンネル・サラウンド化などがなされているようです。
- コーエン兄弟の作品は「バートン・フィンク」、「ファーゴ」、「ビッグ・リボウスキ」などに代表されるように、得も言われぬ一風変わったムードを持っているものが多いのですが、処女作である本作品から既にいかにも、という感じです。
- 序盤はやや退屈ムードですが、次第に意外な展開となり、観客の恐怖心を煽る演出に反して苦笑せざるをえないようなねじれ感が横溢します。
- ボタンの掛け違いが取り返しが付かない事態を招き、その結果行き着くラストの緊張感の描写は流石です。壁の向こうから弾丸が発射され、複数の開いた穴から光線が洩れる・・・。巧い演出ですねぇ。ただ、ラストの洗面台から落下しようとする水滴はいったいどういう意味だ?
- 写真に簡単にはデジタル処理ができない時代に、あれで騙されてしまう依頼人も間抜けといえば、間抜け。愛人の仕業であることを確かめもせずに、証拠隠滅を図ろうとする間男も基本的に脱けている。人間の持つこういう弱さが次から次へと悲劇を生んでいくというプロットは、見ていて何ともやり切れ無さを感じさせられてしまいます。
- しかし、流石に処女作だけあってすこぶる付きの低予算映画になっています。セリフも少ないから、役者も楽だったでしょうし・・・。(^o^)
- 「ファーゴ」で妊婦の警官を演じたフランシス・マクドーマンドが何とも若々しく、綺麗です。まだ27歳で、特徴的な口元も余り目立っていませんでした。(^_^;)
- 「ノー・カントリー」も早く見たい・・・。
- (BS-HV放送)
2008.03.10 トリスタンとイゾルデ ★★★★☆
- 「トリスタンとイゾルデ」と聞くと、ワーグナー作曲の音楽作品を思い出しますが、本作品はリドリー・スコットの制作・総指揮の一大歴史大作として見応え十分な重厚な作品に仕上がっています。
- イングランドの若き騎士トリスタンと、敵対するアイルランド王の娘イゾルデの切なくも悲しい愛の物語がテーマです。「ロミオとジュリエット」の設定によく似ていますが、それが原作ということでは無いようです。
- 映像はリドリー・スコットらしいややくすんだ色彩ですが、海や山の風景描写が極めて美しいのが印象的です。戦闘シーンは抑え気味で派手さはありませんし、お城の様子などが華麗ではなく貧弱なのが、逆にリアルとも言えます。
- 愛と忠誠のはざまで悩むトリスタンの切ない気持ちがヒシヒシと伝わってきて、ラストまで引き込まれます。許されぬ恋物語を主軸にして、領土争い、師弟愛、同胞愛などの要素がてんこ盛りで飽きさせません。
- ただ残念だったのは、アイルランド王が提案する領土と娘を賭けて戦わせる試合の設定が、やや漫画チックであったこと。史実に忠実なのでしょうか?
- トリスタンを演ずるジェームズ・フランコは、「スパイダーマン・シリーズ」での悪役の印象が強すぎて損をしているかもしれません。ここでも終始眉間に皴寄せて、陰気なキャラを演じています。イゾルデを演ずるソフィア・マイルズは余り個性的ではありませんが、まあ無難にこなしているといった感じ。どこかで見た顔だと思ったら、先日スターチャンネルで部分的に見るともなく見ていた「アートスクール・コンフィデンシャル」のヒロインでした。
- これらの主人公らを完全に喰っていたのが、人間的に大きな魅力を見せるマーク王を演ずるルーファス・シーウェル。眼光するどく、時には優しく、こんな良い男なら、イゾルデよトリスタンを諦めな、とも言いたくなります。(^o^) ルーファス・シーウェルは悪役を演ずることが多い印象がありますが、素晴らしい俳優だと思いました。
- それにしてもイングランドとアイルランドの敵対関係は、こういう歴史があれば止むを得ないとつくづく感じさせられます。(-.-)
- (BS-HV放送)
2008.03.03 カポーティ ★★★
- 「ティファニーで朝食を」の作者、トゥルーマン・カポーティが「冷血」を執筆する過程を克明に(しつこくとも言う)描いた作品。
- 見ものは、本作でアカデミー賞の主演男優賞に輝いたフィリップ・シーモア・ホフマンの成りきり演技です。高い声色と嫌みな話し方で、カポーティにそっくりです(わたしゃ実際のカポーティは知りませんが、多分似ています、似ているはずです・・・(^o^))。何となく、ジョン・マルコビッチも彷彿とさせるなぁ。
- 映画は、カポーティがカンザス州の田舎で起きた一家4人の惨殺事件の真相を取材しようと、賄賂を使ってまで刑務所に取り入り、死刑囚と接触してその事件の真実を引き出そうとする様を描いています。犯人に同情するフリを装い、かつ嘘を巧みに取り入れて彼らから真実を引き出そうとする作家としてのエゴは、見ていて余り気持ちがよいものではありません。しかしこの辺が実話に基づいた妙味なのかも知れませんが。
- それにしても、いくらお金を握らせたからと言って死刑囚と同じ檻の中で話が出来るなどというのは、随分時代を感じさせられます。
- 後半は殆ど「デッドマン・ウォーキング」と同じ展開になります(ああ、そう来るのか、という感じ)が、大きく違うのは、スーザン・サランドン演ずる心清らかなシスターとカポーティとのその辺の心情の違い・・・。終盤で主人公が次第に自分の身勝手な行動に自己嫌悪に陥っていき、首まで真っ赤にし顔面静脈を浮き出させて慟哭するシーンの迫力では、オスカー獲得も納得できます。
- 死刑囚との交流や肝心の殺害の動機解明など、今一歩突っ込んだ描写が欲しいところです。ただこの死刑囚役のクリフトン・コリンズ・Jrの演技が素晴らしい。
- 現地の捜査官に曲者クリス・クーパーを起用していますが、残念ながら余り存在感ある役柄ではありませんでした。
- カポーティの幼なじみで行動を共にするネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)は映画「アラバマ物語」の実際の作者。彼女との関係も怪しいようでイマイチよく分かりません。ただ、カポーティはゲイだったとのことですから、そういう関係ではなかったのでしょう(何故か安心したりして(^_^;))。
(BS-HV放送)
2008.02.17 スネーク・フライト ★★★
- 米国で大ヒットしたとか、サミュエル・L・ジャクソンが主演などという予備知識が無ければ、TV放送と言えども到底見る気がしないような、B級ムードがプンプンのタイトルと内容です。
- 殺人現場を目撃した証人を抹殺するために、証人が搭乗した飛行機に大量の毒蛇を放つという大胆な一発アイディアの作品。恐れ入ります。しかも飛行機パニック映画の定番的展開を臆面もなく網羅しています。ホラー、サスペンス、パニック的要素を盛り込みながらも、おふざけ度も十分。H度はチョビッと。(^_^;)
- ウジャウジャの毒蛇はオールCGかと思い気や、そうではなく、毒蛇に類似した無害な蛇や、毒蛇の牙を抜いたもの(それでも怖い・・・)を、蛇の調教師がコントロールしているのだとか。もちろん、人間を襲うシーンはCGでしょうね。結構エグイシーンもあって、PG-12となっています。
- 機内に犬は持ち込めるか?搭乗してからファースト・クラスは満席ですって?、毒蛇の毒はあの程度で防げるか?など、もちろん突っ込みどころは満載ですが、それがB級映画と言うものでしょう。
- パニックの要素が毒蛇の襲撃だけでなく、他の要素が複数同時進行するところが、エライ。退屈しません。ただし、最後の着陸シーンがあっさりしすぎなのが、残念。最後の最後も、サミュエルは敵だったのか?などとドキッとさせられます。
- エンド・ロールも凝っています。
- それにしてもあの東洋人は、もっと簡単に狙撃するとか、爆弾をしかけるとか出来なかったものでしょうか?(^o^)
- (BS-HV放送)
2008.02.04 今宵、フィッツジェラルド劇場で ★★★
- ザ・プレイヤー、ショート・カッツ、ゴスフォード・パークなど、大作ではなく比較的地味な映画作りが特徴のロバート・アルトマン監督の遺作となった作品。ロバート・アルトマンは2006年11月にガンのために亡くなっています。
- 本作もキネマ旬報の2007年度外国映画ベスト・テンで第3位に選ばれていることからも、地味な作品だろうと容易に想像ができます。(^o^) もちろん、公開はミニ・シアターであったはず。
- ラジオのための音楽ライブ・ショーを行ってきた劇場が、大手企業の買収のために閉鎖されてしまいます。最終日の公演となる日、そこの出演者達の様々な人生模様が描かれるという群像劇です。それにしてもセリフが雑然と交錯する舞台裏でのやり取りなど、まるでドキュメンタリー的な実写かと見まがうほどの自然な描写です。
- もっとも原題の「A PRAIRIE HOME COMPANION」は実在のラジオ番組であり、そこでの実際の司会者であるギャリソン・キーラーが原案、脚本を手がけ、また彼自身を演じて(?)いるのですから、さもありなんです。
- テーマはそのものずばり、クロージング=「死」ですね。このラジオ番組を聞いていて運転を誤って死亡した美女(ヴァージニア・マドセン)の幽霊(天使?)が出たり、老いた出演者が突然死したり、買収者(トミー・リー・ジョーンズ)が最後に交通事故死したり・・・。
- その美女が、「老人が死ぬのは悲劇でない」などと宣うのです。思わず大いに納得。(-.-) こういうセリフが聞けるから、映画は止められません。(^o^)
- そういうテーマに反して、音楽は明るく能天気なカントリー・ソングばかり。特にウディ・ハレルソンとジョン・C・ライリー演ずるカウボーイ・ユニットの下ネタ満載の歌は抱腹絶倒もの。驚いたのは抜群の歌唱力のメリル・ストリープ。本当に吹替ではないとしたら、大したものです。最後に娘役のリンジー・ローハンのデビュー・シーンも中々感動的ではありました。
- 全体的に悪くはありませんが、正直言って退屈といえば退屈。やはり、あのキネマ旬報が押す作品だけあります・・・。(^o^)
- (BS-HV放送)
2008.01.28 ブロークバック・マウンテン ★★
- 16日間の無料視聴を開始したスターチャンネルHVで、最近急死したヒース・レジャーの追悼として本作品を放映していました。
- アカデミー賞の監督賞、作品賞などの三冠に輝いた話題作でしたが、純愛ゲイ映画とのことなので、私としてはこれまで気にしつつも敬遠していたのでした。
- ヒース・レジャーは本作で主演男優賞にノミネートされており、「サハラに舞う羽根」などに代表されるように余り派手さはありませんが、中々良い俳優だったと思います。薬(ドラッグ?、睡眠薬?)の飲み過ぎということですが、まだ28歳の若さなのでした・・・。(T_T)
- ということで、多少の気持ち悪さは我慢することにして、正に追悼の意味での鑑賞です。(^_^;)
- 主人公(レジャー)とロデオ好きな青年(ジェイク・ギレンホール)は、ワイオミングのブロークバック・マウンテンの農牧場に季節労働者として雇われ、運命の出逢いを果たします。山でキャンプをしながら羊の放牧の管理を任された2人は、大自然の中で一緒の時間を過ごすうちに深い愛を築いていく、というお話です(おお、気色ワル・・・)。
- とにかく、ハイビジョン映像で描かれるワイオミングの雄大な自然、羊の群れなどの背景が素晴らしい。ギター主体の音楽も邪魔にならない程度の鳴り方です。これらがあるからまだ救われるのであって、テーマである男同士の純愛、性愛は、やはり私には生理的に受け付けられません。ただし、アカデミー賞で8部門にノミネートされたことからも、多分アメリカではそう珍しいことではないのかも知れませんが・・・。
- 夫の浮気現場(相手は男ね)を見てしまった妻(ミシェル・ウィリアムズ)の苦悩はどうだ・・・。このシーンはミシェル・ウィリアムズの名演技と相俟って、本当に切ない場面です。
- 監督のアン・リーは、そのようなテーマの割には淡々と時間の経過を描いてゆく演出で、意図的に感動的なシーンで盛り上げるということもありません。ヒース・レジャーも敢えて抑えた演技をしているかのよう。終盤の朴訥な老け振りも巧い。本当に惜しい俳優を亡くしました。合掌。(-.-)
- (BS-HV放送)
2008.01.21 アニー・ホール ★★☆
- 旧作ですが、名作の誉れ高い作品ということで、以前から気になっていました。何せ、77年のアカデミー賞で「スター・ウォーズ」を押しのけて作品賞、監督賞(ウディ・アレン)、主演女優賞(ダイアン・キートン)、脚本賞の4つのオスカーを獲得しているのです。
- 私としてはウディ・アレンと言えば映画監督としてよりも、ジャズ・クラリネット奏者としての印象が深く、「誘惑のアフロディーテ」などから分かるように、個性的な(独りよがりの)演出を好む印象があって、余り好きなタイプの監督、男優ではありません。
- 本作品でも、冒頭に自分の主義の紹介をしたり、過去の回想シーンに現在の人物を同時に映したり、突然観客向かって(カメラ目線で)話しかけたり、登場人物が思っていることを字幕に現したりと、奇抜な演出が目を引きます。その後の幾つかの映画が影響を受けていると思いますが、この辺の手法は好き嫌いが別れるところでしょう。ふざけ過ぎとしか映らないシーンもあったりします。
- 最も違和感を感ずるのは、黒縁の度の強い眼鏡をかけたハンサムでない(しかも頭頂ハゲの)小男(アレン)が、ヒロイン(キートン)を始めとした美女達にとてもモテルという設定(殆どヒガミですが・・・)。しかし、実生活でもキートンと恋人であったり、ミア・ファローと同棲したり、ファローの養子の女性にちょっかいを出したりと、この映画を地で行ってるところを見ると、女性からは魅力的な何かがあるのでしょう。
- 劇中、ユダヤ差別のシーンがいくつか出てきて、これはユダヤ系であるアレンの強烈な風刺ですね。他にも洒落た会話が満載で、余り深く考えなければそこそこ楽しめるラブ・コメディと言って良いと思います。
- キートンが本当に歌っているとしたら、素晴らしい歌唱力の持ち主です。ダニー・デビートかと見まがうポール・サイモンが愉快。ブレイク前のクリストファー・ウォーケンが清々しい。
- クレジットを見るとシガーニー・ウィーバーやジェフ・ゴールドブラムの名前がありますが、とんと気がつきませんでした。もう一度見る気にもなりませんし・・・。(^_^;)
- (DVD)
2008.01.07 プレステージ ★★★
- 「メメント」などのトリッキーな作品を提供するクリストファー・ノーランが、奇術師を描いた作品を手がけたということを聞いて、果たしてどんなビックリ映画なのだろうと思ったことでした。原作は世界幻想文学大賞を受賞しているということ。脚本が忠実であればしっかりした作品に仕上がっているはず・・・。
- 19世紀末のロンドン、奇術に憑かれた2人のマジシャンが激しいライバル心を持って、より高い位置に辿り着こうと私生活も含め攻防を繰り返していくという展開。ノーラン監督のことですから時系列が入り乱れ、最初はやや混乱しますが、不思議なことに見ているうちに何となく分かってきます。それでも過去と現在とでせめてメイクを変えるなどの気配りが欲しい・・・。アカデミー賞で撮影賞と美術賞にノミネートされただけあって、映像はしっかりと落ち着いた深みのあるもの。
- 凝りに凝った演出のつもりなのでしょうが、中盤でオチが読めてしまう(ような人物を登場させる)のは、いかがなものでしょうか?古風な雰囲気とSF的な趣向を取り混ぜるというのも、本作品に限ってはやや座りが悪い感じがします。どうしても「フライ」を想起させられます・・・。
- 奇術(偽装ともいいます(^o^))のために私生活と自分の肉体を犠牲にして、そこまでやるか!的なヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベイル演ずる二人のマジシャンに、どれだけ感情移入ができるかが、本作品の評価の分かれ目でしょう。
- ヒュー・ジャックマンはぴったりの嵌まり役だと思いましたが、クリスチャン・ベイルがいけません。何であんなに小太りでチンピラ然としているのだ?
- 科学者役で出演したデヴィッド・ボウイにビックリ。クレジットを見なければ彼とは気がつかないような老け振りですが、演技はしっかりとしていました。どの映画に出ても必ず大きな存在感があるマイケル・ケイン、文句無しに素晴らしいです。スカーレット・ヨハンソンは何故か背の低さだけが目立って余り冴えはありませんでした。
- 原題(Prestige)の意味を冒頭でマイケル・ケインが説明しています。奇術の一つ目はPledgeで、観客にタネも仕掛けも無いことを確認させること、二つ目はTurnで、その仕掛けの無い道具で期待以上の驚き(物を消し去るなど)を見せること、三つ目がPrestigeで、もう一度予想を超えた驚き(再度物を現すなど)を提供すること。それがプレステージ(偉業)だ、と。
- ただ、私なんぞはPrestigeと聞くとどうしてもかつての偉大なジャズ・レコード・レーベルを思い出してしまうのでした。(^_^)
- (DVD)
2007.12.15 アポカリプト ★★★★
- メル・ギブソンの、キリストの最後を描いた「パッション」に続く監督作品。今回はマヤ文明を背景にしたアクション映画です。タイトル(「APOCALYPTO」)は、ギリシャ語で「序幕、新たな時代」という意味だとのこと。
- ジャングルで妻子とともに平和な暮らしをしていた狩猟民族の主人公(ルディ・ヤングブラッド)は、ある日部落が何者かに襲撃され、仲間と一緒に捕らえられます。縄で繋がれ、行き着いたところには恐ろしい生け贄の儀式が待っていたのですが、間一髪難を逃れ、妻子が待つ故郷の村へ走りに走って逃げる、というお話。
- 「パッション」では俳優全てにアラム語を話させていましたが、本作でも同様で、全編マヤ語で通すというメルらしい拘りです。また同じく残酷描写も半端ではありません。それらが相俟ってリアリティに富んだ作品に仕上がっています。
- 冒頭がやや冗長な感じがしなくもありませんが、捕らえられてからの身の毛もよだつ生け贄の儀式や野に放たれる人間狩りなどのシーンは見応え十分。恐怖や痛みがヒシヒシと伝わってくるような臨場感です。「ブレイブ・ハート」のラストの拷問シーンを思い浮かべたり・・・。
- 中盤以降の森を駆け巡り、目も眩むような滝つぼに飛び込み、自分のテリトリーである森に入ってからの色々なツールを使っての逆襲は、まるで「ランボー」か「プレデター」の世界。それにしても延々と走るシーンを見続けた印象が残ります。でも、矢でお腹を射ぬかれて、あんなに疾駆できるか?(^o^)
- 残った追手との結末が曖昧であったり、深い縦穴の中の妻子をどうやって救出したかが描かれていないことに不満は残りますが、総じて見応え十分なエンタメ作品と言えると思います。
- マヤ文明の記録は余り残っていないとのことなので、どのくらい正しいかは分かりませんが、それらしき褐色の人々を多数集め、それらしき髪形、入れ墨、顔飾りなどのメイクを丁寧に施していて、この辺でもリアリズムを追及するメルの姿勢が窺われます。
- 俳優陣はほぼ全員が映画初出演だとのことですが、そういう風には見えません。ルディ・ヤングブラッドはネイティブ・アメリカンらしい。それにしてもみんなマヤ語をよくもマスターしたものですね。もっとも間違っていても誰も分かりませんが・・・。(^o^)
- (DVD)
2007.11.26 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ★☆
- シリーズ第五作目。これまで前四作を文句を言いつつも見続けてきていると、殆ど義務感に駆られてしまいます(前回、いち抜けると言っていたのに・・・(^_^;))。果たして見終えてやはり後悔が・・・。本作の鑑賞には、益々原作を読んでいることが大前提になってきているようです。
- 売り物だったVFXや、主役3人組(ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン)が大人っぽく成長していることなど、もはや慣れっこになり驚きは全くないのですが、何せ肝心の展開がよく理解できない・・・。いや、さっぱり分からないと言ってよいかも・・・。小学生などは吹き替え版などで見ているとしても、このストーリーについていけているのでしょうか?
- ファンタジーとしてのほのぼの感、ワクワク感、可愛らしさなどは殆ど無し。では、大人向けかというとそうでも無い。話題となっていた
ハリーのキス・シーン。彼が東洋系の少女に何故キスをしたのか、それがその後の展開にどう絡んだのかなど、全く理解できず。 ハーマイオニーがそれに嫉妬しないであっけらかんとしているのも不思議・・・。
- タイトルの不死鳥の騎士団とは、ハリーが結成した ダンブルドア軍団のことを指すのか?あんな素人集団で宿敵 ヴォルデモートを倒せるのか?などなど、分からないことがいっぱい・・・。
- それでも今回のハイライトはスター・ウォーズのヨーダよろしくチャンバラを披露するダンブルドア(マイケル・ガンボン)
でしょうか。それと憎まれ役であるピンクのおばさん、アンブリッジを嬉々として演じているイメルダ・スタウントンの名演技でしょう。彼女は原作のイメージとピッタリなのではないかと想像します(違うかな?(^o^))。
- ただ、第四作のような残酷性が薄れているのはせめてもの救いかも。
- しかし、こんな調子で第七作まで進むのでしょうか? 主役3人組が成長し過ぎるなどという心配より、わたしゃレイフ・ファインズ、アラン・リックマン、ゲイリー・オールドマン、エマ・トンプソン、ヘレナ・ボナム=カーターなどのベテラン俳優陣がいち抜けるのではないかと、それが心配・・・。(-.-)
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2007.11.19 クィーン ★★★☆
- 邦画は殆ど見ていないので正しくはないかも知れませんが、私が知る限り戦争映画などで日本国天皇が登場するシーンはお顔を直接は写さずに、後ろ姿などのみの描写が殆どではないかと思います。それが誰でもが認める日本的マナー。ところが本作は、英国のエリザベス女王やチャールズ皇太子が登場し、ダイアナ元妃の事故死という厄介な事柄に苦悩する王室一家の7日間が生々しく描かれるのです。彼らの皮肉たっぷりなセリフとともに・・・。(^o^)
- チャールズ皇太子との離婚後も世界中の注目を集め続けたダイアナ元皇太子妃が、自動車事故に遭い他界します。悲しみに暮れる英国国民の関心は、不仲が取り沙汰されていたエリザベス女王へと向けられます。しかし、既に一民間人となったダイアナ元妃に対し、女王は追悼コメントを発表しません。そのような女王の態度は、国民の目には薄情としか映らず、メディアの煽りもあって女王は窮地に立たされてしまいます。そこで首相に就任したばかりのトニー・ブレアは、国民と女王の間に立ち、事態の収拾に乗り出します・・・。というお話。
- エジンバラ公(女王の夫ね)の、ダイアナの死を悲しむ国民に対して、「どうして皆、会ったこともない人の死を、そう悲しめるのか?」とか、ダイアナの国葬の参列者リストを見て、「なんだ、芸能人とホモばっかりじゃあないか」とか、マーガレット王女(女王の妹ね)の、「ダイアナは、生きていても死んでも厄介」等々の名言、珍言が満載で楽しめます。共和主義者(という設定)のブレア首相夫人が、女王との謁見を皮肉たっぷりに小馬鹿にするなどの名場面も・・・。
- しかし、このようなパロディ映画的ネタを扱っておきながら、それらとは違う次元の映画に仕上げているのは、ひとえに女王の立場とそれに伴う苦悩を客観的に描いており、また女王とて弱さを持った一人の人間の側面を見せる(エンストして鹿に遭遇し、涙する場面ね)ような演出にあるのではないかと思います。もちろん、本作で主演女優賞のオスカーを手にしたヘレン・ミレンの凛とした演技に負うところも大でしょう。
- 女王の寝室場面や、広大な私邸であるお城の敷地内で、女王自らが車を運転するようなプライベートなシーンも、とても興味深いところです。
- 一番美味しい役どころはブレア首相でしょう。首相就任直後のトラブル・シュートとあって、それらの解決に精力的に奔走する姿が好意的に描かれています。ブレア首相を演ずるのはマイケル・シーン。あのニッと歯を出した笑い顔を鏡の前で十分練習した努力が窺えます。(^o^)
- 見終えてつくづく思いました。製作者の何という勇気、英国王室の何という寛大さ!!(^o^)
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2007.11.18 ボーン・アルティメイタム ★★★★☆
- 「ジェイソン・ボーン」シリーズの三作目ですが、タイトル(Ultimatum=最後通告)からして完結編なのでしょう。意外に評判がよろしいということで、劇場鑑賞です。
- 一作目、二作目から続いているように、記憶を失った元CIA諜報員のジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が自らの過去を取り戻そうと世界中を駆け巡り、正体不明な敵と攻防を繰り広げるというお話。そして本作でついに彼の素性が明らかにされます。
- このシリーズでの見ものは何と言っても、マット・デイモンの別人かと見間違うかのようなスピード溢れるアクションでしょう。もはや完全に脱ジミー・大西を図った(^o^)マット・デイモンの男気と、カメラの早回しのようなキレの良い動作は本作でも健在。身体能力だけでなく、頭も良いようで、相手(観客)の裏をかいて自分に運を引き寄せます。
- 冒頭からラストまで、弛れることのないシリアスなアクション・シーンの連続で、コミカルなところは一切廃しているのが、他のスパイ映画と一線を画しているところ。見ていて体に力が入ります。
- まるでドキュメンタリーのようなハンディ・カメラによる揺れる映像が多く、カット割りが多用されています。したがって時折、カー・チェイスでのクラッシュ・シーンなど、何が何だか分からない目が回るようなシーンもあったりします。
- それにしても彼は不死身です。ビルの屋上から車ごと落下しても、敵が瀕死の重症を負うようなカー・クラッシュに遭ってもビクともしません。それでいいのだ、文句あっか!というような監督の開き直りの声が聞こえてきそうです。(^o^)
- 世界各地でのロケも活きています。特にモロッコでの屋根から屋根へと巡る追跡劇は、スリル満点。実際の民家を使ったのでしょうが、さぞかし迷惑だったことでしょう。それにしても各地への飛行機代など、軍資金は大丈夫だったか?(^o^)
- 終盤、彼の記憶を抹殺したCIAの極秘計画「トレッドストーン」なるものが明かされますが、イマイチその全貌はよく分かりません。正義感溢れる彼が、如何にしてその計画への参加を志願したのかなどをもっと説明して欲しかった・・・。
- ラストで、それまでニコリともしなかった本作でのヒロイン(ジュリア・スタイルズ)が微笑みます。良いシーンです。もう少し余韻を残してくれると更に良かったかも・・・。
- エンド・ロールで、Stunt Performers(スタントマン)が山のごとく列挙され、驚かされます。まあ、全員がマット・デイモンの代わりではないのでしょうが・・・。
- 「シリーズものは回を追うごとに悪くなる」という定説は、どうやらこのシリーズには当てはまらないようです。(^_^)
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2007.11.13 ザ・ビートルズ ヘルプ! ★★★★★
- 本作品をここで取り上げるのが適当かどうかは分かりませんが、一応劇場映画ということで・・・。1965年に公開された際は「HELP!四人はアイドル」などという邦題でした。多分私はリバイバル公開も含めて3回は劇場で見ていると思います(記憶が定かではない・・・)。
- その後DVDが発売されましたが、長らく廃盤となっており、かなりのプレミアがついて中古市場にわずかながら出回っている状態でした。この度、映像がデジタル修復され、音声がDTS
5.1chサラウンド化されたグレードアップ版で再発売されたのでした。
- 私が購入したのは、特典映像を含む2枚組の定価5,800円のスタンダード・エディション版。通常、最新公開映画の2枚組DVDが4,000円程度であることを考えると、かなり高めの強気な設定ではあります・・・。
- この映画は、カラーで動くザ・ビートルズが見れる、ということだけでその価値が判断されます(のはずです(^o^))。リンゴがはめていた指輪を巡って邪教集団と4人が攻防するというストーリーは、あって無きがごとし。ギャグ満載のハチャメチャな映画なのです。
- 名曲「ヘルプ!」に始まって、「涙の乗車券」を含む7曲が挿入されています。当然オリジナル音源の口パクで、古風なMTV風ではあるのですが、例えば「恋のアドバイス」などのイントロで、リンゴがくわえ煙草を燻らせながらロール・インするシーンは今見てもゾクゾクします。
- 映像は見た瞬間、ハッとするような美しさです。ノイズが無いのはもちろん、深みの濃い発色で高クオリティな画質と実感出来ます。特典映像で、このデジタル修復の苦労話が披露されていますが、修復前の画質を見せて比較して欲しかったと思うのは、私だけではありますまい。音声の5.1chサラウンド化は、まあ「LOVE」で経験済みなので、そうインパクトはありません。
- ヒロインのエレノア・ブロン(「エリナー・リグビー」の元ネタとなった人ね)が特典映像で色々コメントしていますが、きれいに老けたものです。監督のリチャード・レスターが特典映像で「もう時効だからいいと思うけど、4人は覚醒剤でラリって撮影されていた」などと告白しています(オイ!)。時効の問題ではないと思いますが・・・。そう言えば、ポールが成田空港で大麻所持で逮捕された事件を思い出しました。
- で、あとは映画「レット・イット・ビー」のDVDが出てくれれば、もう言うことはありません。(^_^)
- (DVD)
2007.11.05 ブレイブ
ワン ★★★★
- 久し振りのジョディ姉の主演映画ということで、劇場鑑賞です(やや意味不明)。
- 結婚間近の幸せな生活が暴力によって一瞬のうちに壊されたラジオ・パーソナリティの主人公(ジョディ・フォスター)が、その悪夢と失意から立ち直ろうと努力する中で次第に勇気有る者(「The Brave One」)(?)に変貌していく様を描いています。
- 冒頭から終始ジリジリした緊張感が続いて、ジョディ姉の鬼気迫る演技と相俟って、最後まで息をつかせません。エンドロールが出たところで、どっと疲れが・・・。
- N.Y.の治安が今もこのように悪いのかどうかは疑問ですが、銃があのように簡単に手に入ることなど、ありうる状況なのでしょう。ただし、主人公のその後の行動は、そうはならないでしょう、非現実的でしょうとも言えます。劇中にあるように「女性はこのような行動は取らない」のが正しいと思いますが、そうであれば物語にならないので、敢えてその展開として暴力の理不尽さを訴えたかったのが製作者の意図なのかも知れません。
- シリアスな展開の割には、主人公に絡む刑事(テレンス・ハワード)のラストの行動が脱力的(ハリウッド的とも言います)です。勇気有る者とは、主人公ではなく、彼のことを指しているのかも知れません。(^o^) 他にも、暴漢に取られた指輪が戻ったら被害者に即返さないで入手ルートを洗えよ!などと突っ込みどころも幾つか見られます。主人公がいやに早く銃の腕前が上がる、とか・・・。
- 主人公と同じアパートの黒人女性の存在が一服の清涼剤になっています。「死ぬ方法はたくさんある、生きる方法を探して」などという気の利いたことを宣うのです。うん、居そうです、こんな人。
- ジョディ姉のピリピリした神経質そうな表情は相変わらず。ハスキーで女性ながらにドスの利いた語り口も健在です。本作を見て、またつくづく思いました。「ハンニバル」シリーズの次回作は、また是非ジョディ姉にクラリスを演じて貰いたいと。
- 見終えて気がついたのが、えらく低予算映画であるということ。お金がかかるようなセット、CG、撮影は皆無でした。恐らくジョディ姉の出演ギャラで、製作費の大方が消えたに相違有りません。(^o^)
- (劇場)
2007.10.29 ラストキング・オブ・スコットランド ★★☆
- ジャズの巨人、チャーリー・パーカーを描いた「バード」で初めてフォレスト・ウィテカーを知ったのですが、余り演技が巧くないという印象がありました。その他の「プラトーン」や「クライング・ゲーム」などでも同様で、彼の表情に何となくぎこちなさを感じていました。
- その彼がなんと本作品で主演男優賞のオスカーを手に入れたのです。ということで、ひたすら彼がどのような演技をするかという興味一点での観賞です。(^o^)
- 悪名高いウガンダのアミン大統領(フォレスト・ウィテカー)の生き様が背景にありますが、中心に描かれるのは、偶然彼の主治医になったスコットランド出身の若き医師(
ジェームズ・マカヴォイ)なのです。ただし、彼の存在はフィクションで、何人かの実在の人物をモデルにしたのだそうな。
- 主人公はどう見てもこの青年医師。彼が偶然アミンに気に入られ、主治医となった栄光と挫折が、アミンの暴君振りと並行して描かれるという塩梅です。この青年医師の節操のない行動が、悲劇を産むのですが、余りにも愚かな行動であり、感情移入が全く出来ません。第一、序盤のアミンの拳銃に手を触れた瞬間に射殺されてしかるべきでしょう。アミンの第三夫人と不義を働くなどというのも、いくらフィクションとは言え、かなり非現実的な展開です。
- 終盤の逃亡劇も、ご都合主義の産物。いくら実際に起きたエンテベ空港でのハイジャック事件を引用していると言っても、ここでの脱出劇はいかにも嘘臭い。結局この青年医師はなんだったのか、彼の愚行は何故なのか、作者の意図はなんなのか、よく理解できません。
- ここでのフォレスト・ウィテカーは、熱演と言えば熱演。 笑福亭鶴瓶が、ぎこちなくふざけていると言う風にも見えます。
(^o^)
- ジェームズ・マカヴォイはどこかで見た顔だと思ったら、「ナルニア国物語」のフォーン役なのでした。むしろウィテカーより彼の演技の方が光って見えました・・・。
- 驚いたのは「Xファイル」のスカーリ役のジリアン・アンダーソン。随分イメージが変わっていて、クレジットを確認するまで彼女とは分かりませんでした。
- アミンと言えば、一昨夜BSで「あみん」の再結成コンサートが放映されていました。(^o^) 岡村孝子ではないもう一人の方の老け振りに驚くとともに、「待つわ2007」よりオリジナルの方が良かったと思ったことでした。
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2007.10.22 ザ・シューター 極大射程 ★★★★
- 中国映画かと間違うようなサブタイトルが付いていますが、これは日本でもベストセラーになった小説の映画化です。「山猫は眠らない」や「スターリングラード」などのような凄腕のスナイパーを主人公にしたもので、大統領暗殺や政治的陰謀などが絡む、スリル溢れる作品に仕上がっています。
- ツカミから迫力溢れる狙撃シーンが見られますが、ああこの相棒は死ぬなと思っていたら、案の定死んでしまいました。(^o^) 3年後に山奥で暮らす主人公(マーク・ウォールバーグ)の元に、大統領暗殺計画の阻止の依頼が舞い込むところから、長い物語の始まりです。うん、中々興味深い展開です。
- こんな背景では主人公に全く分が無いだろうと絶望的に思わせる前半から、じわじわと勝機を掴んでいく様や、孤高のスナイパーの男の美学(うう、恥ずかしい)にはたまらないものがあります。
- また、こういう映画にありがちなご都合主義が余り見られないのはポイント高し、です。主人公が陥穽に嵌まってからの逃亡劇などは、リアリティ溢れる設定になっています。まあ、銃弾雨あられでも主人公には一つも被弾しないのは止むを得ないとしても・・・。死んだ相棒の妻(ケイト・マーラ)と少し距離を置く関係なども実によろしい。安易にくっつかなくて、実によろしい・・・。
- 残念なのは芝居がかってしまうラストシーン。悪代官と越後屋が「おぬしもワルよのう、ふっふっふっ・・・。」てな感じです(^o^)。これには笑いました。第一、ダニー・グローヴァーがそんなに悪者には見えない・・・。
- 最初は間抜けで後半に人が違うような活躍をするFBI役にマイケル・ペーニャ。「ワールド・トレード・センター」などより若作りで、最初は彼だとは気付きませんでした。相変わらず、良い味を出しています。
- マーク・ウォールバーグは作品を追うごとにドンドン良くなってきていますね。猿顔から少しずつ脱却しているようで、渋味が増してきています。ただ、似たような役柄(「ジェイソン・ボーン」など)を演じているマット・デイモンとイメージがダブっても来ていますが・・・。
- 秀逸な娯楽大作と言えるでしょう。
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2007.10.09 トスカーナの休日 ★★★
- 旧作です。そこそこ評判の良い映画ということで、以前から気になっていた作品。封切り当初は、女性で劇場が一杯になった日が続いたとのこと。原作は、「世界的な」ベスト・セラーなのだそうな。
- 離婚して傷心の主人公(ダイアン・レイン)が旅先のトスカーナで衝動的に家を購入し、それらにまつわる人々との交流を通じて再生していく様を描いた作品。と、聞いただけで退屈しそうな感じがありありですが、まあCGギンギンの映画の合間にはたまにはよろしいのではないかと・・・。オードリー・ウェルズ監督は、敢えて無理に感動的シーンを作らずに、女性の視点でさらりと描いているように思えます。
- トスカーナと聞いただけで、明るい太陽、青い空、広野に咲き誇る花々、ワイン、それに恋する男女などが連想されますが、本映画もそれらのイメージを壊しません。そのようなイタリアに憧れる人であれば、この映画は大いに見る価値があると言ってよいでしょう。
- ドラマチックな展開は皆無で、何となく主人公の日記を覗いているような雰囲気です。それでも、傷心の主人公を癒す人々、恋する人々、飛んでる(何だか訳の分からない)女性、家を修理するポーランド人達とのエピソードなどが次々に描かれ、まあそれほど退屈するというほどでもありません。特に祠に花を手向ける老人とのエピソードの終わりかたは、如何にもな感じがしないでもありませんが、心を和ませてくれます。
- ダイアン・レインは撮影当時、38歳。いい感じの老け具合です。やや惚れっぽいところが気になりましたが・・・。主人公に思いを寄せる不動産屋(ヴィンセント・リオッタ)が中々良い味を出していました。「あなたが早く立ち直ってくれないと、(同情で)愛してしまいそうになる」などというキザなセリフを吐くのです。この、イタリア野郎が!!(-.-)
- 最近よく目にするアジア系ハリウッド女優のサンドラ・オーが、脇を固めます。最初は(日本の)身近にいそうなブ*姉ちゃん顔の彼女が、見ているうちにドンドン味わい深くなってくるのは、「サイドウェイ」と同様に不思議でした。(^_^)
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2007.10.01 ラッキーナンバー7 ★★★★
- 豪華キャストの割には何とは無しにB級ムードが漂うのは、この能天気な邦題の所為でしょう。原題は、「LUCKY NUMBER SLEVIN」ですから、「7」とは何の関係も無いのです。「スレブン」くらいで十分だと思いますが・・・。
- 序盤は互いに全く関係ないような幾つかのエピソードを展開していきます。主人公(ジョシュ・ハートネット)が登場してからは、コメディ・タッチの路線も。ところがそれらの伏線が終盤で徐々につながっていき、ラストでしっかりまとまってしまうという練りに練った構成となっています。
- そう大きな意外性はありませんが、最後はほどほどのカタルシスが感じられ、後味は悪くありません。
- 一方で、観客をミスリードするためにやや作り過ぎ、という感は否めません。冷徹なはずの殺し屋が他人の復讐劇に加担してどうする、とか、その手段とは言え、双方の息子など罪の無い人間が殺され過ぎ、とか。特に女性を巡るエピソードでは、胸ではなく腹を撃たれたらどうするつもりだった、とか・・・。
- R-15指定は、あの程度のバイオレンス・シーンで?それとも、あの程度のベッド・シーンで?(^_^;)
- ハードボイルドな殺し屋を演ずるブルース・ウィリスは、ここでもぴったしの嵌まり役。惜しむらくは、若い時をもっと若々しくメイクして欲しかった。(^o^) 悪役のモーガン・フリーマンとベン・キングズレーが、少しも悪役に見えないのはいかにも辛く、勿体ない。例えばジョー・ぺシなど、見るからに憎らしい悪役俳優は他にも沢山いるというのに。
- 紅一点のルーシー・リューは珍しく、可憐な女性を演じています。こういう側面もあったのですねぇ・・・。
- これまでの天候とは打って変わって冷たい雨の降る休日。部屋に閉じこもって鑑賞するのは持って来いの作品です。(^_^)
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2007.09.24 パフューム ある人殺しの物語 ★★★★☆
- 随分予告CMなどでお金をかけていたという印象がある作品です。原作は大ベストセラーなのだそうな。
- 超人的な嗅覚の持ち主である主人公(ベン・ウィショー)が、ある特殊な香水を作るために連続殺人を犯していくというお話。監督は「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァです。
- 序盤の主人公が生まれ落ちるパリの魚市場の描写には、少なからずヒイてしまいました。この作品では終始あたかも臭いや香りがしてくるような錯覚に陥るのですが、特にこの魚市場のシーンでは、明らかに臭いがしてきます。しかも強烈な・・・。(@_@) これだけでこの映画は成功していると言ってよいのかも知れません。
- 成長した主人公が若い女性の体臭に目覚め、それを香水として保存しようと次から次へと若い美女を殺していくという展開は、ややありきたり。しかし、その保存の方法というのが、ありきたりではなく、エロティックかつおぞましい・・・。しかし、くどいようですが魚市場のシーンに比べたら、割とあっさりとした描写になっています。この辺は、R指定を意識してのことかも知れません。
- 冒頭、この主人公が投獄されており、間も無く残忍な方法で処刑されることが予告されるシーンがあるので、観客は最後は主人公が捕まり処刑されることを知ることになります。ところが、この映画は巧妙かつ荒唐無稽な方法でそれらを裏切るのです・・・。(・・;)
- 終始観客をのめり込ませるような、映像とカメラワーク、程よいミスリードなどで、見応え十分と言ってよいでしょう。終盤、多分エキストラであろうにあんなことを一斉にさせていいのかい?というようなビックリシーンも登場します。
- ただラストシーンは余り納得がいかないのですが、まあ余韻を残すためには止むを得ないのかも知れません。
- ベン・ウィショーは、屈折した超人を巧く演じていると思います。脇を固めるのが、ダスティン・ホフマンとアラン・リックマン。特にアラン・リックマンは存在感のある良い演技をしていました(でも可哀想・・・)。
- フランスが舞台なのに、みんな英語を話している。ハリウッド映画ならしょうがないと思っていたら、なんと本作はドイツ/フランス/スペインの合同制作なのでした。むむ・・・。(-.-)
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2007.09.10 オーシャンズ13 ★★★☆
- 余り評判はよろしくないようですし、敢えて劇場で観るまでもないかななどと思っていたのですが、成り行きで映画館で鑑賞。(^_^;) 前半テンポが良くない部分がありましたが、総じて私はそこそこ楽しめました。やはりシリーズものは同級会的安心感が何となくあるようです。
何と言っても本シリーズは、メジャーな俳優を数多く出演させるというところがセールスポイントでしょう。ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ドン・チードル、バーニー・マック等々。今回は、そこに更に悪役としてアル・パチーノ御大が登場します。加えて今回は前2作と異なり、ストーリー展開が極めて分かり安くなっています。第1作と同様、舞台がラスベガスに戻ったのも嬉しいところ。監督は前2作と同じくスティーヴン・ソダーバーグです。
悪徳ホテル王(アル・パチーノ)に騙されて健康を害し瀕死のオーシャンズの1員(エリオット・グールド)のために、オーシャンズの面々が一致団結して復讐を行っていくというもの。その復讐の方法(カジノで客が勝つような方策を取る、ホテルに格付け審査員に悪印象を与える、など)を楽しみ、伏線が色々と活きていく過程を楽しんで、溜飲を下げるというのが、本作の観賞方法なのでしょう。
ただ女性陣は、前2作のジュリア・ロバーツやキャサリン・ゼタ=ジョーンズは出演していないのがちと寂しい・・・。その代わり、というのかどうかですが、エレン・バーキンが悪徳ホテル王の情婦(?)役で登場します。私としては、彼女はアル・パチーノと共演した「シー・オブ・ラブ」で、少し曲がった唇と退廃的なセクシーさで強烈な印象が残っています。しかしそれは18年も前のこと。さすがに本作でのエレン・バーキンは辛いものがあります(特に顔のクローズ・アップ)。マット・デイモンとの絡みも、じれったいくらい何もしないし・・・(あの薬、どこかで売っていますか?(^o^))。ミスキャストと言わざるを得ないでしょう。
- 今回一番の活躍は、付け鼻で変装した(雰囲気が随分変わった)マット・デイモンでしょう。ただ、本編が始まる前に予告編があった「ジェイソン・ボーン」の三作目とは別人のようでしたが・・・。アンディ・ガルシアがいきなり味方についたことと、ヴァンサン・カッセルが別人かと見間違うようなチンピラ顔であったことが、どうも解せませんでした。
- スモウ・レスラーが登場したり、お酒のクボタで乾杯したりと、何故か日本がフィーチャーされていましたが、あれは一体何だったのでしょう?
(劇場)
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