2006.07.03 レジェンド・オブ・ゾロ ★★★
- 前作「マスク・オブ・ゾロ」から7年経っての続編です。かなり評判は良かったのに、何でこんなに間を空けたのでしょう?
- 前作と同じく、ゾロを演ずるのはアントニオ・バンデラスとその妻は、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。残念ながら、アンソニー・ホプキンスは出てきません。
- 時は、カリフォルニアがアメリカ合衆国31番目の州になろうとしていた1850年の設定。この背景が奏効していて、ややもすると(いや、しなくとも)ウソっぽい設定が、何となく真実味を帯びて見えます。まあ、カリフォルニアの独立を機会に、アメリカ滅亡を企む秘密結社が暗躍したなどいうのは、所詮嘘っぱちでしょうが・・・。
- 全編、夫バンデラスと妻ゼタ=ジョーンズの夫婦喧嘩が描かれて、やや辟易。当然最後は丸く納まるのですが、あちらはこの手の設定が好きなんですね。この展開は、見ていて相当恥ずかしいです。
- 殆どCGを使わないアクションはそれなりに見応えはありますが、不必要に跳躍し、前転しまくるなど、わざとらしさもアリアリです。特典映像によれば、バンデラスは殆どのスタントを自らこなしたのだとか。褒めてあげましょう。疾走する列車上での闘争シーンは、それなりに見ものです。主人公の愛馬・トルネードが列車の屋根に乗っていて、丈の無いトンネルが迫ってくるのを知ったときの目の表情が、この映画の立ち位置を象徴しています。要は、お子様が喜ぶコメディ映画を目指していたのですね。残酷シーンやHシーンは全くありませんし・・・。
- ハリウッド映画での天才的な子役の登場には慣れっこになってはいるつもりですが、主人公夫妻の子供役のアドリアン・アロンソは驚きです。将来、どういう俳優に成長するのでしょうか?
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2006.06.26 シン・シティ ★★★★
- アメコミの映画化作品。と言っても、他のアメコミ実写映画と随分趣を異にしています。
- 実写といっても、「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」と同様に、背景は全てCGとのこと。しかも全編モノクロ。部分的にカラー。部分的にカラーと言っても、かつてのあるジャンルの日本映画のように重要場面になるとカラーになるのではなく(^_^;)、女性の口紅、瞳、ドレスなどだけに着色されているのです。新しくは「シンドラーのリスト」、古くは「天国と地獄」(古過ぎ!)など・・・。
- とにかくコミックを極めて忠実に映像化したようです。しかも、登場人物もメイクを施して、ビックリするほど似せているのだとか・・・。
- 原作者のフランク・ミラーに加えて、ロバート・ロドリゲス及びクエンティン・タランティーノの共同監督というだけあって、雰囲気的には「キル・ビル」に似ているところがあります。フランク・ミラーは白土三平の影響を受けているとのことで、確かにそれも頷けます。
- 映画は大きく3つのストーリーを描いていて、多少それらがあるところで接触を持っているという、群像劇と言っても良いのかも知れません。特にラストが冒頭のシーンにつながるところは、とても印象的。
- バイオレンス、エロチシズム、ユーモアが、3つのストーリーにちりばめられていて、退屈させません。フルカラーであれば正視に堪えないようなグロサも、モノクロがそれらを救っています。
- 何と言っても一番印象的なのは、ミッキー・ロークが醜い大男に扮し、殺された恋人の復讐をするエピソードでしょう。ミッキー、これで落ちていた株が少しは上がろうというもの。
- ベニチオ・デル・トロが絡むエピソードも、彼のブラックなユーモアが発露される演技で大笑い。少し感じが違うと思っていたら、やはり付け鼻だったのですね。
- ブルース・ウィリスのエピソードは、最もブルース・ウィリスらしい男の美学が現れた作品。相変わらず美味しい役回り。
- その他の配役も、とにかく豪華です。ジョシュ・ハートネット、イライジャ・ウッド、クライヴ・オーウェン、ジェシカ・アルバ、マイケル・マドセン、ブリタニー・マーフィ、マイケル・クラーク・ダンカン等々。
- しかし、カーラ・グギーノの登場シーンだけは、フルカラーで見たかったぞい。(^_^;)
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2006.06.19 ロード・オブ・ウォー ★★★
- 「Lord of war」ですから「戦争の王様」というタイトルの意で、この映画では所謂武器商人を指しています。戦争の王は軍人や軍部ではなく、死の商人と呼ばれる武器商人であると・・・。
- 実話に基づいているとのことですが、複数の武器商人のエピソードを繋ぎあわせたものらしく、ニコラス・ケイジ扮する主人公はそのまま実在の人物ではないらしい。でも、ビン・ラディンとかリベリアとか、実名も出て全体的にかなりリアリティのある作りとなっています。
- オープニングは、一つの弾丸にカメラを括り付けにして、それが製造、出荷され、最後はその使用目的を果たす(!)という象徴的なもの。当然反戦映画と思って見始めたのですが、主人公は何やら色々なへ理屈をつけて自分の商売を美化しているのです。主人公はそのために最愛の妻や息子と別れ、また弟とも別れなければならなかったのですが・・・。
- ウクライナからの移民である一介の主人公がどのような人脈と方法で、武器商人として成功していったかの過程の描き方が、やや大雑把で説明不足です。あのような巨万の富を得るには、初期段階でのもっと苦労話があってしかるべき。サスペンスやアクションもやや中途半端で、中盤ややダレ気味でした。
- イアン・ホルム、イーサン・ホークなどが脇を固めています。イーサン・ホーク、久しぶりに見ましたが、かなり貧弱になってしまいましたね。どうしたのでしょう?ヒロインはブリジット・モイナハン。「アイ、ロボット」ではあまり冴えませんでしたが、ここでは輝いていました。
- 最後のテロップが印象的でした。「個人の武器商人では扱う武器の量は取るに足らず、国連安保理の常任理事国である5つの大国が、実は最大手の武器ディーラーである」と・・・。(-.-)
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2006.05.28 フライトプラン ★★
- 予告編を随分見せられて、宣伝費にかなりお金をかけたなぁ、という印象のある作品です。予告編は、一緒に飛行機に搭乗した娘が忽然と姿を消し、乗務員や乗客からそんな娘は乗っていなかったなどと言われ、ジョディ・フォスター扮する母親が髪振り乱して機内を探し回るという、興味深そうな展開を紹介していました。
- で、本編を見てみると、この映画は殆どその予告編の内容だけで成り立ってる作品であることが分かりました。ふ〜む、そんなことまでして実行するかな?というような脱力系のオチが待っています。「ありえないんだけど、ありえないんだけど」と連発する星野卓也(私が気に入っているお笑い芸人の一人)の心境です。エコノミー席が1階と2階に別れているような巨大な飛行機で、多く居るであろう客室常務員の誰一人もが娘を見ていないなどとという設定は、どう考えても無理があります。まあ、「フォーガットン」のようなトンデモ系の結末よりは、まだましかも知れませんが・・・。
- 夫の死や娘との関係を序盤でもっと説明するべきです。主人公がその飛行機の設計者というのも、都合が良過ぎだ・・・。
- 一癖ありそうなショーン・ビーンやアラブ人グループが登場した時点で、あ、こいつらが怪しいなどとも思わせてくれますが、その後は何のヒネリもなく、展開に全く絡みません。
- 極めてキャラが似ていて、最後まで区別のつかなかった二人の客室乗務員役を起用しているのも不親切。どちらかを黒人にして下さい。(^_^;)
- ジョディは「パニック・ルーム」以来の主演ですが、相変わらずの熱演で、彼女の奮闘ぶりには拍手を送りたいと思います。神経質そうな表情も相変わらずですが・・・。もう少し、シリアス・ドラマの彼女を見てみたい気がします。
- (DVD)
2006.05.20 ダ・ヴィンチ・コード ★★★☆
- 単行本は大きいので(値段も高いし(^_^;))、文庫本が出るのを待って私は原作を読みました。世界的ベストセラーになるだけあって、一気に読ませてしまうストーリー・テリングの巧さは流石です。映画化されてトム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、ジャン・レノ、及びイアン・マッケランなどが配役されるのを知っていたので、まるで映画を見ているかのような感じを覚えながら、貪り読んだことでした。
- で、映画です。5月20日で世界同時公開なのだそうな。昨今のダ・ヴィンチ・ブームから、かなり混雑することを覚悟して出かけたのですが、私の行くシネコンは田舎(?)だけあって4割位しか席が埋まっておらず、やや拍子抜け。(^_^;)
- 見終えてつくづく思ったのは、やはりあの小説のデティールを描写するのは150分では無理だということ。止むを得ないのでしょうが、総集編、ダイジェスト版という感じが拭えませんでした。
- 原作の面白さは、(1)キリストの聖杯、末裔にまつわる話、(2)数々のパズル的な謎解き、(3)ダ・ヴィンチの作品に隠された(かも知れない)秘密の三つに大別できると私は思います。ところが映画は、一つ目のメインテーマはともかく、二つ目のなぞ解きは、残念ながら細部を省略したあっさりとしたものになっています。三つ目のダ・ヴィンチの絵画にまつわる話は、「最後の晩餐」についてはともかく、興味深い二枚の「岩窟の聖母」については全く触れられていませんでした。
- 更に短くしたことで、オプス・ディ(カトリック教会の1組織)の司教と黒幕との関係などが説明不足になっていて、全体的に原作を読んでいない観客には、かなり分かりづらいのではないかと懸念されました。原作を読んでから、映画鑑賞することをお勧めします。
- 逆に映像化したことで、「ウィトルウィウス的人体図」、「最後の晩餐」、「ローズライン」などにまつわる描写は一目瞭然ではありましたが・・・。
- ヒロイン役がオドレイ・トトゥだと知ったとき、あの「アメリ」のような能天気な印象から明らかにミスキャストだと思ったものでしたが、なかなかどうして、ハードな表情で好演していました。トム・ハンクスは珍しく長髪でしたが、生え際が全体的に後退していて、動作も緩慢でイマイチ冴えません。それに引き換え、やはりイアン・マッケランは巧い。流石にゲイ達者です。(^o^)
- 本作品に対しては、世界各国のキリスト教団体が上映中止や上映期間短縮を求める抗議行動を展開しているようです。そんな訳でエンド・ロールの最後に、「本作品はフィクションであり、作中の組織、団体は架空のものです。」というようなテロップが流れます。でも、「シオン修道会」や「オプス・ディ」というように実在組織の名前が出ているのですがねぇ・・・。(^_^;)
- (劇場)
2006.05.15 ステルス ★★★☆
- 余り評判はよろしくないようなのですが、先日10数年ぶりに買い替えたAVアンプの威力を試そうと、サラウンド・ソースのたっぷり入った(であろう)本作品を鑑賞することにしました。
- 「ステルス」というのは最先端技術満載の無人戦闘機のこと。しかしこれが言葉を話した時点で、やや脱力。とたんにコミック調になってしまうのでした。そういう映画であることを得心しての鑑賞です。(^_^;)
- 3人の凄腕パイロット(ジョシュ・ルーカス、ジェシカ・ビール、ジェイミー・フォックス)に、このステルス君が参加してテスト飛行をしているうちに、困難極まりない実戦の指令が出て・・・、という展開です。で、お約束で(?)ステルス君の優秀な頭脳が感情を持ち始め、人間の言うことを聞かなくなって敵国を攻撃しようとするなどし、米国を窮地に追い込むのでした。
- VFXはさすがに凄い。劇場の大画面で見ていたらさぞかし迫力満点だったでしょう。背景がビュンビュン後方に飛んでいく戦闘機の疾走感や操縦席のパイロットへのズーム・アップなどは見事です。戦闘機が岩壁に激突するシーンをスローモーションで見せてくれたり。ややウソっぽかったけど・・・。
- 能天気な米国万歳的演出が不評を買っているのでしょうが、そう目くじらを立てることはないでしょう。確かに爆撃による一般民間人への影響を気にしているふりを見せながら、結局何もしないなんていう無責任さはありましたが。私はそれなりに楽しめました。
- ヒロインのジェシカ・ビールは、ブレイド3の際と異なってかなり体が重そうに感じられました(特に下半身が)。
- で、新しいAVアンプの威力はというと、画面に気を取られてサウンドの方は従来と余り違いが分からないのでした・・・。(^o^)
- (DVD)
2006.05.06 ザスーラ ★★★☆
- 邦画を含むアジア映画、アニメ、洋画でも本作のような子供向け映画などは基本的に見ないことにしているのですが、VFXが素晴らしいという評に引かれての鑑賞です。
- 絵本を読んでいるうちにそれが現実となる「ジュマンジ」と同じ作者の原作なのだそうな。本作ではアナログ的な宇宙ゲーム盤(「ザスーラ、ZATHURA」)を進めるうちにそれが現実(?)となって、幼い兄弟に幾多の試練が降りかかる、という設定になっています。
- アメリカではよくあるように、親が離婚し、父親と母親とある期間交互に暮らす兄弟が主人公。運動を始めとして能力的に劣る弟と、彼を疎ましく思う兄の関係が冒頭描かれます。で、まあ途中で二人が力を合わせて困難を乗り切り、次第に兄弟愛が芽生えていくストーリーだな、と容易に想像がつきます。結局、そのとおりになるのですが・・・。(^_^;)
- 広大な宇宙空間に一軒の家が放り出され、遊泳していく、というアイディアは他でもあったと記憶していますが、とにかくそのVFXが評判どおりの素晴らしさです。物理法則を完璧に無視した(宇宙空間で、空気?炎?)荒唐無稽のオオボラ話であることは間違いがありませんが、鑑賞中はそれ余り感じさせない点が、この映画の良いところなのかも知れません。
- エイリアンの宇宙船から、銛(モリ)がこの家に打ち込まれるシーンの迫力ある描写はどうでしょう。特典映像で、これが実写であることが分かって、更にビックリ。監督は極力CGを用いないで、実写で撮ることに努力したのだとか。まあ、その分、エイリアンなどはやや動きが稚拙に見えるのは致し方ないところでしょう。
- あとは、途中で登場する宇宙飛行士の正体がやや分かりにくく、説明不足であるところが難点でしょうか。
- 所々にコメディ的要素もちりばめていて、退屈させません。夢オチのようなラスト(落ちてくる自転車がそれを否定)が、余韻を残すことに成功しているようです。
- 登場シーンは少ないながらも、父親役のティム・ロビンスの存在感が本作に厚みを付け加えています。
- (DVD)
2006.05.05 ハリー・ポッターと炎のゴブレット ★☆
- シリーズ4作目。何を血迷ったのか、2枚組DVDを買ってしまっていたのでした。
- 例の3人組、ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソンの成長ぶりにまずは驚きますが、もっと驚くのがこれが子供向けの映画かい?と目を疑うようなダークで残酷な数々の設定です。
- ホグワーツを含む「三大魔法学校対抗試合」を背景にした、闇の魔王・ヴォルデモートとの対決が今回のテーマ。で、まずは分からないのが、三大魔法学校対抗試合の出場権利は17歳以上であるのに、14歳のハリーが「炎のゴブレット」に選ばれてしまうこと。そんなルール違反を許容してしまう設定が、解せない。
- 対抗試合が如何に過酷と言えども、少年たちの命に関わる設定になっていることも許せません。ドラゴンとの対決はまだ御愛嬌でしょうが(でも、他の3人の対決を何故見せない?)、水中に少年、少女を括り付けて、それを助け出すのが課題、ってそんな危ないことを学校側が行うっていうのは一体何なんだ?しかも、最後に純粋無垢な少年が死に至る展開にはホトホトあきれてしまいました。劇場で、日本語吹き替え版を小学校低学年の自分の子供と一緒に鑑賞していた全国の親御さんの心境や、如何に?(-.-)
- まあ、見せ場はハリーの両親を殺したとされるハリーの宿敵であるヴォルデモートが、初めてその姿を現すことでしょうか?しかし、わたしゃクレジットを見るまでレイフ・ファインズが演じていることに気がつきませんでした。あのメイクでこんな名優を使うなんてね。気がつかないと言えば、脱獄囚を演じたゲイリー・オールドマンも彼であることは忘れてしまっていました。
- エマ・ワトソンの中途半端な成長ぶりが気になりますが、第二のナタリー・ポートマン的存在になるような気がします。
- 本シリーズはあとまだ3作あるとのことですが、益々ダークな世界に入り込んでいくのでしょうか?わたしゃソロソロイチ抜けます・・・。(^_^;)
- (DVD)
2006.04.17 ブレイド3 ★★☆
- シリーズものは余り評判がよろしくなくとも、つい手が出てしまいます。まして今回でシリーズ完結とあっては、尚更のこと。
- 自らヴァンパイアとの混血でありながら、ヴァンパイア・ハンターとして生きる主人公・ブレイド(ウェズリー・スナイプス)の活躍を描いたもの。今回はヴァンパイアの始祖・ドラキュラとの攻防戦です。おお、最終章に相応しいではないの・・・。(^_^;)
- このシリーズの見ものは、何と言ってもスタイリッシュなアクション・シーンとVFXでしょう。今回もヴァンパイアが倒される際は、カッコ良く(?)火の粉を飛ばして焼け崩れていきます。第一作目の埃っぽいものより、はるかに見た目にも、衛生上もよろしい(意味不明)ですね。ただ、これも含めてその他も余り斬新さは無いようです。「プレデター」とそっくりな造形も前作と変わらずですし・・・。
- 一番いけないのは、最大の敵、ドラキュラ。最高に恐ろしいキャラでなければならないのに、ちっとも怖くないし、強くもないのです。せめて、もっとメジャーな配役にすればインパクトが大きかったでしょうに。例えば、クリストファー・ウォーケンとかウィレム・デフォーとか。(^o^)
- その代わり、新しく二人(人間です)のヴァンパイア・ハンターが加わって、色を添えています。ジェシカ・ビールとライアン・レイノルズがその人。ジェシカはマーシャル・アーツを駆使して、しなやかな美しい肢体を披露しています。「セルラー」にも出演していたとのことですが、とんと記憶にございませぬ。とびきりの美女というわけではありませんが、「ステルス」(これも評判が悪いですね)にも出演したり、有望株なのかも知れません。ライアンはコリン・ファレルに似た感じのよい男ですが、役としては殆ど征伐に貢献しない、ピエロ役。でも、けっこう笑わせてくれました。
- 正直言って、本作ではマンネリ気味。最終章で良かった・・・。(-.-)
- (DVD)
2006.04.10 山猫は眠らない3 決別の照準 ★★★
- トム・べレンジャー主演の凄腕のスナイパー(狙撃手)を描くシリーズ三作目です。老いて引退間近ではありますが、かつては米陸軍きっての狙撃手である主人公に、ベトナム戦争時代の命の恩人である友人を抹殺せよとの指令が下ります。他人の手によるよりもと、躊躇しながらもその任務を彼は受けるのでした・・・。
- このシリーズはその武器や狙撃の方法など、マニアックに凝っているのが評判なのだそうな。私には、何やらどでかい望遠鏡付きライフル銃を使っていること、程度しか分かりません。
- ストーリー展開は明らかに説明不足。わたしゃ見終えてからも数回、部分的にリプレイしましたぞい。それでも、ベトナム時代の地下トンネルで具体的に何が起きたのか、とうとう分かりませんでした。終盤も、あんなに大勢の人間が急に態度が変わってしまうというのも、やや納得がいかないなぁ・・・。
- トムの肥満にはビックリしました。動作も重く、スナイパーらしいキレが感じられません。指が麻痺するというのも、取って付けたかのよう。
- 全体的にB級ムードがプンプンではありますが、それでも相変わらず狙撃シーンでは緊張感が高まりますし、今回も巧妙な仕掛けで決着を付けてくれて、飽きさせません。
- 前回も述べましたが、原題の「Sniper」を「山猫は眠らない」というカッコイイ邦題にしたセンスに脱帽です。でも、サブタイトルはやはり要らないなぁ。
- (DVD)
2006.04.09 Mr.&Mrs.スミス ★★
- ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの二大スターの初共演ということでの話題作。二人とも殺し屋であることを隠して結婚、それが次第にバレて双方が壮絶な殺し合いを演ずるという破天荒なストーリーです。本国での興業成績は凄かったのだそうな。
- はっきり言って中盤以降のハリウッドお得意の大爆破シーンとカーチェイス以外は、私には殆ど退屈でした。彼らが如何に殺し合いを行おうとしても、大法螺の茶番劇としか映りません。二人が抱える重装備の武器が空しさを通り越して、滑稽に感じられる始末です。
- 後半、彼らを狙う大勢の追手の銃弾が二人に全く当たらないのも不自然極まりなく、ただただ脱力するばかりです。互いに背を向けあって二挺拳銃で撃ち合うシーンは、ジョン・ウー監督の影響でしょうか?あそこを逃れられたとしても、その後もタダで済むはずがないと思うのですが・・・。いっそ、現代版「ボニー&クライド」にしてしまえば良かったのに、と思ったり。
- 冒頭とラストのカウンセリングのシーンが洒落たつもりなのでしょうが、大体あんなプロの殺し屋が夫婦仲のカウンセリングなんかを受けること自体が、わざとらしい。
- まさか製作者は、今を時めくハリウッド・セレブの二人を同時に拝ませてやっているんだから、おめーら、文句言うんじゃねーぞ!などと思ってはいないでしょうね。(-.-)
- ブラピは益々猿顔度が増していて、スマートさが感じられませんでした。丸刈り頭のせいでしょうか・・・。アンジーは、今回は唇の厚さよりもバストの大きさが唯々目立つのでした。生唾もののボンテージ・スタイルは、大サービスではあります。(^_^;)
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2006.03.22 マザー・テレサ ★★★
- 私にとっては未だに「ロミオとジュリエット」のジュリエット役のイメージが強く、布施明の元妻である(関係ないか)オリビア・ハッセーが、如何に「マザー・テレサ」を演ずるかという興味と、あんな老け役のオリビアなど見たくないという気持ちが交錯する複雑な思いでの鑑賞です(というほど大袈裟ではありませんが)。
- インド・カルカッタのカトリック修道院の女子高で教鞭をとっていたマザー・テレサが神の声を聞き、「神の愛の宣教者会」を設立し、その生涯を閉じるまでを描いた伝記映画。
- いきなり中年の修道女時代から映画はスタートしますが、あのように私欲を捨て、生涯を慈善活動に注ぎ込んだモチベーションがどうやって幼い時代に育まれたか、知りたい気がしたものでした。
- 彼女の頑固で強引なやり方は当然批判も多かったようです。劇中、「あんたが全世界の貧民を救えるのか!」というようなセリフは、愛猫家でも有名な某日本女性フラメンコ・ダンサーの、自分の連れていた猫を飛行機の貨物室でなく客室に入れろという主張に、乗務員が言ったという「あんたが世界中の猫を救えるのか!」という言葉を思い出しました(極めて個人的なお話)。
- 映画はマザー・テレサの一連のエピソードを淡々と並べていて、文芸作品的な香りは一切なし。彼女の足跡を知る格好の教育映画と言って良いかも知れません。
- 36歳から87歳までのマザーを付け鼻を付けて演じたオリビアはどこまでがメイクなのか、よく判りませんでしたが、特典映像の素顔を見る限り、まだまだそう老けてはいなかったので、少し安心したことでした。(^O^) 因に彼女は51年生まれですから、54歳です。
- 最後に自分の不徳を恥じて、彼女の聖なる言葉を・・・。
- 「健康な人や経済力の豊かな人は、どんなウソでも言える。でもね、飢えた人、貧しい人は、握り合った手、見つめあう視線に、本当に言いたいことをこめるのよ。本当に分かるのよ、死の直前にある人でも、かすかに震える手が『ありがとう』って言っているのが。貧しい人ってホントに素晴らしいわ。」m(_
_)m
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2006.03.20 ブラザー・グリム ★★★
- いわゆる「グリム兄弟」なのですが、監督がテリー・ギリアムですから、まっとうに描かれるはずはありません。「ジャックと豆の木」、「赤ずきん」、「ヘンゼルとグレーテル」などを思わせるシーンは出てきますが、これらは単にそれらのモチーフを拝借した程度のもの。グリム兄弟がなんと詐欺師として描かれ、偽の魔女狩りをしているうちに本物の魔女を退治しなければならない羽目に陥ると言うストーリー。
- VFXを駆使したダークなムードは、「ヴァン・ヘルシング」に極めてよく似ています。VFXによる狼男が登場するところなども。ただし、この狼男のCGの仕上がりがチープで、全体のバランスを壊しています。井戸から現れる漫画チックなクリーチャーも同様。魔女が住む塔や怪しげな森など、他の映像が良くできていただけにこれは残念。
- 序盤の偽魔女狩りエピソードまでは良かったのですが、その後は何でもありのハチャメチャな展開。最後はハリウッド的な大ハピー・エンドを迎えるのも、まあ止むを得ないでしょう。
- マット・デイモンとヒース・レジャーが兄弟を演じています。ここでのマットはさすがにジミー度は陰を潜めていて(^O^)、堂々たるヒーローぶりです。ヒースはやや毒気を抜かれた感じで、余り存在感無し。ヒロインはレナ・ヘディで、キーラ・ナイトレーをより骨太にしたという感じの美女。恐ろしい魔女は、これ以上ないほどハマッているモニカ・ベルッチ大姉御。素晴らしいとしか言いようが無く、彼女が出ていなかったらこの映画の価値は半減していたことでしょう。(^O^)
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2006.02.13 シンデレラマン ★★★★☆
- とにかくボクシング映画です。(^o^) 「ミリオンダラー・ベイビー」にあやかって、オスカー狙いにいったのかも知れませんが、助演男優賞(ポール・ジアマッティ)以外はメイン部門ではノミネートされませんでした。最後の展開が「ミリオンダラー・ベイビー」のようにならないことを祈りつつの観賞です。
- アメリカ恐慌時代に実在したボクサー、ジム・ブラドックの奇跡ともいうべき半生を描いたもの。監督のロン・ハワードは、アメリカン・ドリーム、サクセス・ストーリーの典型を何のヒネリも無く、直球で勝負していますのでので、安心して見ていることができます。ただし、「ミリオンダラー・ベイビー」のラストのようにならないことを祈りつつ(しつこい?)、ヒヤヒヤしながら・・・。
- 主人公のジム(ラッセル・クロウ)は、全ての面で聖人君子的で、ほんまかいな、状態。試合前の自分は空腹でお腹が鳴っているのに、幼い娘に自分の食事を譲ったり、ファイトマネーが入ると市民救済で借りたお金をわざわざ返したり・・・。まあ、少なからず脚色はしているのでしょうが、この手の映画の主人公は完璧なまでにそう描写するのも、ありでしょう。
- いくつかの試合のシーンは、やらせと知りながら(当たり前だ)も手に汗を握らせます。特に最後のヘビー級チャンピオンとの試合の盛り上げ方は、巧い。
- ラッセル・クロウがボクサー役というのは、余りピンと来ませんでしたが、特典映像での実写の試合を見る限り、ジム・ブラドックはあのような比較的細身の体の持ち主だったようです。私は終始、井上順が演じているよう見えて仕方がありませんでしたが。(^o^)
- 妻役のレネー・ゼルウィガーも好演。ただし、あの下膨れの顏は極貧の家庭の主婦には見えません。むしろ、へレム・ボナム・カーターあたりが適任だったのでは?もっとも一番光っていたのはトレーナー役のポール・ジアマッティでした。オスカー、是非ともあげて下さい。(^o^)
- (DVD)
2006.02.12 チャーリーとチョコレート工場 ★★★☆
- 監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップという、よくある組み合わせの話題作です。どうやら4度目とのこと。原作は大ベストセラー、映画としてはリメイクらしい。
- 子供向け作品かと思ったら、そうではありませんでした。かなり強烈な風刺が効いていてブラックな雰囲気は、「シザー・ハンズ」などと同様にティム・バートン独特のものです。チョコレート工場に入った瞬間の映像は明らかに「オズの魔法使い」を意識していると思いますし、「2001年宇宙の旅」の映像がそのまま使われたりもしています。
- 私としては、チョコレート工場に行くまでの主人公の少年(フレディー・ハイモア)を中心とした家族の描き方がとても気に入りました。4人の寝たきり(?)ジイジ、バアバがとても可愛く、特にそれまで意地悪そうだった父方のジイジが少年を諭すシーンにはウルウル・・・。
- ただし気になったのは、あんなに正直で正義感が強そうな少年がそれまでの言動と一転して、拾ったお金を使ってしまうこと。日本ではこれをネコババと言いますが、あちらでは許されるのでしょうか?
- チョコレート工場に行ってから以降のシーンは、正直ヒイテしまいました。グロテスクだったり、ブラック過ぎたりと・・・。可愛かった人形を焼いて、目ん玉ドロリって、それでいいのかい? 特に一人の人間が演じているであろうピグミーの「ウンパ・ルンパ族」。もっと可愛いキャラに出来なかったものでしょうか?いかにもCG的な集団踊りも、センスが悪過ぎです。
- ここでのジョニー・デップのとぼけたキャラは、「スリーピー・ホロウ」や「カリブの海賊」と近いものがあります。彼の持ち味なんですね。白塗りでやや気色悪し。
- チョコレートと言えば、間も無くバレンタイン・デー。この映画でチョコレートは辟易ですので、私はもう要りません(と、負け惜しみ)。(^o^)
- (DVD)
2006.02.02 ステップフォード・ワイフ ★★
- 気になりつつ見逃していた作品です。何せ、ニコール・キッドマン、マシュー・ブロデリックはともかくとして、ベット・ミドラー、グレン・クローズ、クリストファー・ウォーケンなどという曲者が脇を固めているのです。75年にキャサリン・ロス主演で映画化された「ステップフォードの妻たち」のリメイクなんだそうな。ただしこのオリジナルは本邦未公開。つまり売れるような映画ではなかったということですね。
- TV局の敏腕プロデューサである主人公(ニコール)は、担当したTV番組のトラブルの責任を負わされ解雇されます。そして彼女は夫と子供と新しい土地で新生活をと、ステップフォードという街にやってきました。しかし、この街は何か変だ・・・。という、サスペンス・コメディ。原作は「ローズマリーの赤ちゃん」と同じ作者ということでスリラーなんだそうな。75年版もそのトーンだったとのこと。
- 本作は、雰囲気的には「シザー・ハンズ」や「マーズ・アタック!」と極めて似ています。原色を多用したり、わざと稚拙なSFムードを醸し出したりなど。つまり、ティム・バートンの世界なんですね。なお、本作品の監督はフランク・オズ(例のヨーダを操っていた人)。
- 夫にとって理想の妻とは・・・、というのが本作品のテーマでしょうか?ポップな雰囲気が、余りそういった深刻なテーマを考えさせることを阻害させているようです。ニコールの美しさ、とりわけ黒髪から金髪への変身とか、ベット・ミドラーの飛びぶりとかが・・・。
- 最大の欠点はネタばらしのタイミングが早すぎること。その後の展開が平坦で退屈してしまいます。何となく散漫というのが全体を通しての感想。
- 結局、ニコールの美しさ(しつこいぞ)とグレン・クローズのアクの強さ、クリストファー・ウォーケンらしい引き際が見どころの映画と言えそうです。(^_^;)
- (DVD)
2006.01.26 アナライズ・ミー ★★★
- NTT東日本のフレッツサービス加入者は、旧作ながらCM表示やそれによる中断がない映画が無料で視聴できます。余り日頃はフレッツ・スクウェアにアクセスすることは無いのですが、たまたま入ってみたらロバート・デ・ニーロの本作があったので、何となく見ることに・・・。
- パソコンでの映画の視聴は、DVDなどのそれと違って、何となく力が入らない状態で見るのが正しいようです(意味不明)。
- ニューヨークで強大な力を誇るマフィアのボス(ロバート・デ・ニーロ)が、原因不明の息が苦しくなるストレス性発作に悩まされ、精神科医(ビリー・クリスタル)の診断を仰ぎます。精神科医にとってはありがたくない患者なのですが、次第に否が応でも巻き込まれ、親密な関係が生じていくという、コメディ映画なのです。
- ビリーとのやりとりでのデ・ニーロのセリフがとにかく笑えます。ビリー:「何で浮気なんぞするんだ?」。デ・ニーロ:「だって、可愛い子供にキスをする女房の口に・・・。」(^o^)
- マフィアの大ボスにしては女々しすぎる感じはしますが、やはりこの人の何気ないセリフの数々は名人芸と言わざるを得ないでしょう。デ・ニーロの前にはビリーも全く形なしです。ビリーの婚約者役のリサ・クードロウ、華が無さ過ぎ、愛嬌無さ過ぎ。
- 明らかに「ゴッド・ファーザー」をパロっていて、イタリア系のデ・ニーロのイタリアへのトリビュートが随所に現れています。最後にイタリア系の大ジャズ歌手も登場して、エンドロールにつながるという演出もニクイ。この続編が「アナライズ・ユー」。こちらは第一作より余り評判はよろしくないようです。
- それにしても、無料だったのにちっとも得をした気にならないのは何故だろう・・・。(-.-)
- (ウェブ映画)
2006.01.23 ヒトラー 〜最期の12日間〜 ★★★★
- 2005年度アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされた話題作。何が凄いって、この時代に本家本元のドイツ国が制作し、ヒトラーの秘書で生き証人的なユンゲ女史の手記に基づいたものですから、ここでの描写は嘘偽りの無いものということ。美化などしていません。ドイツ本国でも相当問題となったというのも頷けます。
- まずは映像のクリアさに驚かされます。まるでVTR撮影したかのような画質ですから、ドキュメンタリーを見ているような感じ。悪く言えばTV映画のようかな・・・。
- 映画は、ユンゲがヒトラーの秘書に採用されるシーンから始まります。秘書候補一人ひとりに話しかけるヒトラーは、その後の狂気さを微塵とも感じさせない優しそうなオッサン。しかし、ベルリンへのソ連軍の侵攻が本格化していくと、ヒトラーは正常な感覚を失ったまさに怪物として描かれていきます。
- 戦局は明らかにドイツ国が不利で、兵士のみならず一般国民までが続々と犠牲になっているにも関わらず、自国の挽回、勝利を信じ続け、激高するヒトラー。側近は彼がおかしいことを知りつつも、忠誠を誓ったということでなすがままになっています。この辺の忠誠心は、日本国のかつてのそれに大いに似ていますね。投降しないで、殉職を選ぶところなども。
- 最後に覚悟を決めたヒトラーは愛人だったエヴァ(直前に結婚式を挙げたのでヒトラー夫人か)とピストル自殺をし、遺体を大量のガソリンに焼かせたのでした。
- 冒頭にユンゲ女史本人のナレーションがあり、ラストには彼女が出演して語ります。「あの要塞の中では、ユダヤ人虐殺の事実は分からなかった。後から知ってとても驚いた。だが、若かった、知らなかったというのは言い訳にならない。」と。まあ、全てを知っていた彼女がその後も無事に生き延びられたということも、驚きではあります。
- 56歳であるヒトラーを演ずるブルーノ・ガンツはやや老けて見えるので、実際の年齢をしらべたら何と64歳。やはりね。
- ユンゲ役のアレクサンドラ・マリア・ララは、かなりの美形。地下要塞でのまさに掃き溜めに鶴、という感じです。
- それにしてもハリウッド映画と違って、ヒトラー他が全員英語ではなくドイツ語を話していたので、とても安心して見れたことでした・・・。(^o^)
- (DVD)
2006.01.16 ハイド・アンド・シーク
暗闇のかくれんぼ ★★
- ロバート・デ・ニーロが主演だから駄作であるはずがない、しかもダコタ・ファニングのとの共演だから、さぞかし見応えがあるだろう、などと思っての観賞でした。
序盤はいかにもサスペンス的な雰囲気。好きですね、こういう感じ。これから起こるであろう興味深い展開を期待させてくれます。BGMもそれらしいですし。
ところが中盤にさしかかると次第にシーケンスに無理が生じてきて、嫌な予感がしてきます。ああ、またあの手か?
- で、真犯人が明かされる前にからくりが分かりました。やや、脱力・・・。その後はすっかり興味が失せてしまいました。殆ど暗やみで何が何だか分かりませんでしたし・・・。
一番納得がいかないのは、ダコタ扮する娘がその事実を知ってから何故それに対する行動を取らないか、ということ。味方であるファムケ・ヤンセン扮する心理学者もいることですし、あの年齢なら電話での連絡も出来たはずです。主人公(デ・ニーロ)に好意を寄せる近所の女性(エリザベス・シュー)のあのシーンでの驚き方も、腑に落ちない(驚かないで嬉しそうな顏をすべきだ)。
訳ありで怪しげな隣人夫婦、不動産屋、警官(ディラン・ベーカー、中々良い)などの設定も、かなりわざとらしい感じ。あんなことで今どきの観客は騙されませんぞ。
ということで、前半の雰囲気と、名演技かどうかは余り良く分からないデ・ニーロの存在感、終始不気味なダコタの表情で持っている(?)ホラー映画です。
中盤でダコタが大人の女性のようにドレスアップして登場するシーンがあります。「レオン」のナタリー・ポートマンを想起しました。(^o^)
(DVD)
2006.01.10 キング・コング ★★★★★
- LOTRの監督、ピーター・ジャクソンが1933年作のオリジナル作品に多大な敬意を捧げつつ、制作したという超話題大作。76年にリメイク作品がありましたので、二つ目のリメイク作品ということになります。本作は是非とも劇場の大スクリーンで見たいと思っていたのですが、公開3週間後にしてようやく実現しました。
- 突っ込みどころ、ご都合主義は満載(主人公らが少しも負傷しない、他)ですが、それら全てをパワフルな映像とヒロインであるナオミ・ワッツの美しさが吹き飛ばしてくれます。ナオミって、こんな美形でしたっけ?(^_^;)
- LOTRのゴラムと同様に、アンディ・サーキスの動作を元にキング・コングが映像化されているとのこと。やはり、アンディ・サーキスは只者ではありません。
- 188分もの長尺で、コングが棲みつく髑髏島への到着までと、髑髏島での恐竜、巨大昆虫類を交えたアクション部分、そしてニューヨークを舞台にした終盤と、3つのパートに別れていると考えて良いと思います。この最初のパートがとても長いのですが、背景描写、人物描写のためには致し方ないのかも知れません。でもコングが現れるまで、1時間も待たされました・・・。(-.-)
- 2つ目のパートはまさに「ジュラシック・パーク」のパワー・アップ版という感じで、これでもかというほどにコングと恐竜等とのアクション・シーンを見せてくれます。フルCGでしょうが、とにかく凄い迫力。でも、やや食傷気味かも。正視に堪えないようなグロテスクな生物(よくあんな造形を考えつくものだ・・・)も出てきますし。
- 3つ目のニューヨークを舞台とした場面では、街中でのコングの暴れ具合と、何と言ってもエンパイア・ステート・ビルでのシーンが見どころ。かなり正攻法で撮ったというか、オリジナルの雰囲気を大切にしているという印象があります。76年版では落下したコングの心臓の鼓動が次第に消えていくという印象的な部分がありましたが、今回はそれはなし。その分、ややあっけなく終わったという感は免れません。
- 不可解だったのは、ジャック・ブラック扮する映画監督が最後に叫ぶセリフである「コングを殺したのは彼女だ!」。つまり、「彼女との愛にコングは死を選んだのだ!」というような意味であろうと観賞後は思ったのですが、あれだけ直球勝負の映画で、ラストでそんな婉曲表現を使われてもねぇ・・・。
- ともあれ、お腹一杯の満足感です。DVD待ちかな、などと思っているそこのあなた、劇場で観なかったことを後悔しますぞ!(^o^)
- (劇場)
2005.12.31 セルラー ★★★★
- 2005年の最後の鑑賞です。「セルラー」というのは、携帯電話のこと。その携帯電話を小道具として巧みに使い、伏線が活きた秀逸なサスペンスに仕上がっています。恐ろしく低予算映画ですが・・・。(^o^)
ある理由で誘拐された女性(キム・ベイシンガー)が壊れた電話で何とか発信した先は、お調子者の青年(クリス・エバンス)の携帯電話。青年は最初は無視するのですが、次第に事の重大性に気がつき、のめり込んで行きます・・・。
バッテリー切れ、弱電波での不安定な通信など、携帯電話には付き物の事象を上手く使って展開を盛り上げて行くのは脚本の勝利。ただ、携帯電話の混線は余りは無いと思うけど・・・。ラストは、なるほどと思うような携帯電話の使い方で決着がつきます。「刑事コロンボ」でも同様なネタがあったことを思い出しました。
引退間近な警察官(ウィリアム・H・メイシー)の海藻パック、嫌みな弁護士からの車の乗っ取り、リッキー・マーティンの命名など、コメディ的要素も取り入れて飽きさせません。
ただ、誘拐されるきっかけとなった事件との時系列、時間感覚がハッキリしないのがやや不満。携帯電話ショップで青年があんなことをしたのに、警察に追われないのが不思議。27年も発砲経験が無いのに、あんなに銃撃が上手いのが腑に落ちない・・・。(^o^)
クリス・エバンスはこの氏名と同じくらい非個性的ですが、ブレイクするのでしょうか?キム・ベイシンガー、老けましたねぇ、汚くなりましたねぇ。(--;) 変にハイ・テンションでしたし・・・。
- 悪役のジェイソン・ステイサム、「トランスポーター」で主役をはっていましたよね。でも、悪役の方がこの人にはピッタリです。
エンド・ロールも「セルラー」だ。(^o^)
(DVD)
2005.12.11 ホステージ ★★★
- 何が驚くかって、冒頭の長髪に髭面のブルース・ウィリスの胡散臭さ・・・。「ザ・シークレット・サービス」の犯人役のジョン・マルコヴィッチも真っ青という感じです。その後の展開は可愛そうなほどの惨めさ。で、一転してスキンヘッドのブルース・ウィリス。うん、こうでなくては・・・。
原作は大ベストセラーなんだそうな。どおりで色々しかけがゴチャゴチャいています。でも脚本が悪いのでしょうね。折角面白そうな要素が設定されているのに、それが全然生きていません。
気になる点を幾つか上げると・・・。
その1:セキュリティ完備の大邸宅が舞台なのに、それが展開に殆ど貢献していない。
その2:DVDを狙う悪玉組織の実態が説明されないので、ああまでする理由が納得できない。
その3:DVDを狙う悪玉組織がああまでしたのに、結局最後は自分たちが行動を起こしている。主人公を追い詰めたのは、いったい何だった?
その4:チンピラグループの悪玉は、真に悪過ぎ。人間はああまで悪くなれるか?
その5:いくらPGと言えども、人を殺し過ぎ。後味が悪いこと、悪いこと。
ブルース・ウィリスの実の娘(すなわちデミ・ムーアの娘)、ルーマ・ウィリスが出演しているとのこと。おお、これか、クリスティーナ・リッチを可愛くしたような感じで将来が期待できるぞ、と映画が終わるまでそう思っていました。ところが、後で調べたら彼女はミシェル・ホーンという新進女優。ルーマ・ウィリスは、ブルース・ウィリスの娘役を演じていた方でした。ああ、あの**か。何で両親のどちらにもに似ないの・・・(脱力)。
ブルース・ウィリスは本作品では泣き過ぎ。明らかに自分の演技に酔っていますね。
(DVD)
2005.12.05 アイランド ★★★★
- これは帰りの機内映画です。帰ったらDVDレンタルがリリースされていました。う〜む、得をしたのか、損をしたのか・・・。
この映画は、かなりお金を掛けていたのでしょうね、予告編を大分前から随分見せられた、という印象があります。
クローン人間が普通に生み出される世界の、クローン人間の悲哀を描いたもの、ということでしょうか。感情を持ったロボットの悲哀を描いた数多くの作品と共通項があるようで、新鮮さは余り無いテーマではあります。映画の雰囲気は、「マトリックス」、「トータル・リコール」や「ガタカ」などと似ているところもありますし・・・。
ただし、そういった使い古されたテーマの展開に、車吹っ飛びシーン、看板落下シーン、空飛ぶバイクなどといったダイナミックなアクションシーンをこれでもかというほど付け加えてくれることで、時差ボケの頭でも眠らせてくれないようなエンタメ映画に仕上げてくれています。んな、ばかな、というようなご都合主義満載でもありますが、最後まで息をつかせない展開はお見事。小さなディスプレイでも、そのダイナミズムは十分堪能することができました。
見どころは、ユアン・マクレガー演ずる正規の人間(?)とクローン人間が対峙するシーン。予告編でもお馴染ですね。
スカーレット・ヨハンソンも、こういった映画で新境地か・・・。やはり「真珠の耳飾りの少女」のようなクラシカルなムードが、この人には合っているような気がします。
- ショーン・ビーン、スティーブ・ブシェミという脇役は大変結構。重厚さが増します。
ラストの展開はあれしかないのでしょうが、それにしてもあの開放されたクローン人間と正規の人間が混在するという事実は、その後どう解決するのでしょうか。気になります。(・・;)
(機内映画)
2005.12.04 ファンタスティック・フォー ★★☆
- 久しぶりの機内映画です。最近では遠方のプロジェクタではなく、前の座席の背にディスプレイがあって見易くなってはいますが、何せ画面が小さい・・・。
で、「ファンタスティック・フォー」です。宇宙線の異常磁気の影響で、超能力が身に付いた4人のお話。透明になってしまう女(ジェシカ・アルバ)、体が伸びる男、火だるまになる男、岩石になってしまった男・・・。原作はアメコミなのだそうな。
画面が小さい上に日本語吹替えのせいもあって、スケール感に乏しく、まるでテレビ映画を見ている感じです。
超能力を身に付けるまでの過程に随分丁寧に時間をかけて描いています。ややじれったい。で、ようやくそれぞれの体に異常が・・・。
- 超能力の表現はやはり限界があって、どうしてもマンガっぽくなってします(だから、マンガですってば)。特に体が伸びる男の方。「あそこも伸びるの?」などという際どいセリフもあったりして、これは子供向けではなかったのかい?(^_^;)
半分寝ながら見ていたのでストーリー展開ははっきり覚えていませんが(^_^;)、そこだけ迫力があった橋のシーンと、童顔のジェシカ・アルバの美しさだけは印象的でした。
- それにしても、エコノミー席の機内食、もっと美味しくならないものか・・・。(-.-)
(機内映画)
2005.11.22 フライト・オブ・フェニックス ★★★☆
- 1965年に制作された「飛べ!フェニックス」のかなり忠実なリメイクなのだそうな。このオリジナルは私は未見ですが、アカデミー賞の助演男優賞や編集賞にノミネートされたとのことですから、それなりの作品だったのでしょう。
石油会社の輸送機が、砂嵐に巻き込まれて砂漠に不時着しますが、航路を離れたために、救助隊の到着は期待できません。灼熱地獄の砂漠を舞台に、男たちがあるアイディアで命がけの脱出を試みます・・・。
前半の見せ場は、何と言っても飛行機の墜落シーン。当分飛行機には乗りたくなくなるほどの迫力です。原因となった砂嵐も当然CGなのでしょうが、不自然さは余り感じられませんでした。でも、不時着シーンはあれだけの衝撃なのに全員無傷というのが、やや不可解。
その後は、絶望的な状況からの脱出方法が延々と描かれていきます。しかし、阻害要因が次から次へと出てきて、それをその都度どう切り抜けていくが興味の的。脚本や演出がよく練られていると感じられる一方で、やや経過をカットしたようなちぐはぐなシーンもあったりします。砂嵐で埋まったはずのアレが、次のシーンではしっかり現れていたり・・・。
キーとなる脱出の方策も、物理的にはホンマかいな、すぐさまバラバラになるのではないの、という感じ。「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」ほど荒唐無稽さは無いにしても、発想は殆ど同程度。何回もエンジン始動を試みる場面や遊牧民族が襲うタイミングもギリギリを狙うなど、わざとらしさは否めません。
とは言うものの、最後のカタルシスには十分満足。拍手喝采です。
デニス・クエイドが、人間的には色々な弱さを持つ主人公を好演。紅一点のエオウィン姫(「LOTR」)のミランダー・オットーですが、色気皆無で存在感なし。むしろ、怪しげなオタクを演じているジョヴァンニ・リビシが光っていました。頭も金髪でしたし・・・。(^o^)
- (DVD)
2005.11.21 フォーガットン ★★★
- 相当悪評な映画のようですが、ジュリアン・ムーア主演ですから私としては一応チェックしなければいけません。予告編では、サイコ・スリラーという感じでした。
- 確かに前半はそんな風に展開するのですが、後半、え?え?え?という感じになります。まるでナイト・シャマラン監督作品かと思うような展開で、「サイン」に感じが良く似ています。それまで丁寧な心理描写に終始していた作風を、後半一気にトンデモ系に変えてしまう潔さに感心しました。堂々たる強引さです。
- 途中で3回ほど、大音響と視覚効果(「大空の彼方に」・・・)で仰天させられます。劇場で観たらすごかったでしょうね。心臓には余りよろしくないかも。
- 主人公が「大空の彼方に」とならないのはご都合主義だと思っていたのですが、しっかり説明がつく展開だったので、納得です。まあ、展開の強引さはあるものの、ジュリアン・ムーアの名演技でこの映画は救われています。母親の子に対する強い思いがヒシヒシと伝わってきます。腕のソバカスには引いてしまいましたが・・・(あれ、よく本人がOK出したものです)。
- もう一人、私の好きな俳優が出ています。訳あり風な役をやらせたら天下一品のゲイリー・シニーズ。ホントにこの人は存在感があります。余り年を取らないようですし・・・。ただ、本作では展開に余り深く絡まなかったのが、ちと不満。
- 本作品のコピーは、「『シックス・センス』以来、最も衝撃的なスリラー」。明らかに言い過ぎですが、さりとてそれほど酷評するのはちと可哀想・・・。
- (DVD)
2005.11.07 シャル
ウィ ダンス? ★★★★
- 邦画のハリウッド・リメイクが大流行りです。「リング」などのホラー映画のリメイクは全く見る気がしませんが、周防監督のヒット作品「Shall
We ダンス?」のリメイクはオリジナルにかなり忠実に作ってあるということで興味を引きました。
- 役所広司の役をリチャード・ギアが、草刈民代の役をジェニファー・ロペスがそれぞれどう演ずるか、などということではなく、田口浩正、竹中直人、渡辺えり子の3人をどう配役しているか?ということでした。(^o^) 竹中の役(スタンリー・トゥッチ)、渡辺の役(リサ・アン・ウォルター)は中々健闘していると思いますが、やはりオリジナル配役の勝ち。田口役の黒人の大きいお兄さんに至っては、田口の大勝ち。(^o^)
- そうは言っても、やはりリチャード・ギアとジェニファー・ロペスの好演が、本作をオリジナルに劣らない作品に仕上げていると思います。特にジェニファー・ロペスの前半の悲壮感漂う演技と、まるで分厚いガードルを付けているのではないかと思わせるお尻に痺れました。(^_^;)
- オリジナルのジメジメと汗臭い感じがなく、いかにもゴージャスな感じは明らかにハリウッド的。賛否両論あった夫婦愛を全面に押し出した構成は、私にはやや鼻につく感じがしないでもありませんでした(ひがみ、とも言う)。
- しかし、どうしても違うのは、日本では中年のサラリーマンが夜毎社交ダンスを練習しているということは恥ずかしいということが前提になっていることに対して、アメリカではダンスするのは別に恥ずかしいことでも何でもなく、当たり前ということではないかと思います。だから、家族にばれて競技会に失敗した後に、ああまで卑屈になる主人公の心理がよく分かりませんでした。
- それにしても妻役のスーザン・サランドン、若くて綺麗でした。ええと、年齢は・・・?げっ、46年生まれだから、59歳か!!
- (DVD)
2005.11.06 バットマン・ビギンズ ★★★☆
- 「バットマンの始まり」、ふ〜む、そのまんまです。何故、彼が蝙蝠男になったのか?、空を飛べるのは何故か?、何故彼は裕福なのか、?何故ゴッサム・シティが背景なのか?などが全て合理的っぽく解き明かされます。「スパイダー・マン」などと違って、ある時突然超能力を身に付けたなどというのではなく、全て彼自身の努力、鍛練の賜物などという設定が面白い。
- その分、前4作のようにコミックをそのまま映像化したような感じは余りなく、かなりシリアスでダークで重い内容になっていると思います。好き嫌いが別れるかも・・・。また、序盤の渡辺謙が登場するシーンは、カンフー映画の趣で、個人的には余り好きではありません。しかも主演のクリスチャン・ベールが何となく東洋系の顔にも見えてしまいます。
- 主人公の子供時代の恐怖体験と両親の死が大きく彼の人生に影響したという背景を元に、前半は哲学的な雰囲気を醸し出しています。さすが、クリストファー・ノーラン監督・・・。やや、展開を小難しくしている感は免れません。渡辺謙が出てくる理由が余りよく分かりませんし、すぐ居なくなりますし・・・。(^_^;)
- 本作の布陣は豪華そのもの。マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、ケイティ・ホームズという顔ぶれです。しかし、ゲイリー・オールドマンは明らかにミスキャストですね。あんな毒っけのない役では、彼自身も不満なのではないでしょうか。むしろ、リーアム・ニーソンの役と交替すれば良かったのではないかと思います。
- ラスト近くで、悪者ジョーカーの存在が示されますので、その後は第一作目につながるという設定でしょうか?
- 因に、蛇足ながら過去4作のデータを。
- 第一作 監督:ティム・バートン、バットマン:マイケル・キートン、悪役:ジャック・ニコルソン
- 第二作 監督:ティム・バートン、バットマン:マイケル・キートン、悪役:ダニー・デビート
- 第三作 監督:ジョエル・シューマカー、バットマン:ヴァル・キルマー、悪役:トミー・リー・ジョーンズ、ジム・キャリー
- 第四作 監督:ジョエル・シューマカー、バットマン:ジョージ・クルーニー、悪役:アーノルド・シュワルツェネッガー
- やはり、ジャック・ニコルソンやダニー・デビートのような個性の強い悪役が登場しないと締まらない・・・。
- (DVD)
2005.10.24 サハラ 死の砂漠を脱出せよ ★★★★
- 何でも原作は「ダーク・ピット」シリーズという大ベストセラーらしい。あの「タイタニックを引き揚げろ」もこのシリーズとのこと。
- マシュー・マコノヒーが海洋学者兼トレジャー・ハンターに扮して、南北戦争時代の金貨を探すと同時に、WHOの医師であるペネロペ・クルスとともに疫病の原因を突き止めていくという冒険映画。頭を使わずに楽しめる典型的なエンタメ映画に仕上がっています。
- 宝物探しと、疫病の原因探求という二つの要素を並行して展開しながら、最後にそれを一つにまとめていくというストーリー・テリングの巧さはさすがにベストセラー小説を原作としていることはあります。ただ、折角特徴的なヒーローとヒロインを立てておきながら、二人がバラバラに行動しているのでまとまりの悪さは否めません。その分、ヒーローのもう一人のコンビであるスティーヴ・ザーンが良い味を出して、マコノヒーを引き立てていました。なかなか良い役者ですね、この人は。
- 「サラマンダー」での変貌ぶりに仰天したマコノヒーですが、ここではまた以前の彼に戻っています。ペネロペ・クルスがここでは余り魅力的に映ってないのが、残念。彼女でなければならない理由は無い、どころか、ミスキャストと言っても良いかも。
- 前半ややグズグズします(眠くなったぞい)が、その後はご都合主義満載ながら、まるで西部劇を思わせるアクション・シーンあり、007シリーズのようなハイテク・パニックシーンありで、最後まで飽きさせません。多分CGを多用しているのだと思いますが、余り不自然に見せていないのも好感が持てます。まあ、ボロ飛行機の砂上ヨットは明らかにやり過ぎですが・・・。(^o^)
- アフリカのナイジェリアやマリでの(本物らしい)ロケ・シーンが多用されているのも楽しみの一つ。住民は英語ではなくきちんと現地語を話していますし・・・。
- 与太話:「マシュー・マコノヘイとは、俺のことかとマコヒー言い。」(^o^)
- (DVD)
2005.10.10 ビヨンド
the シー 夢見るように歌えば ★★★★
- 何故「the」だけが英語なのかよく分かりませんが、本作も最近多いミュージシャンの伝記映画の一つです。あのケビン・スペイシーが、ボビー・ダーリンを演じました。しかも、制作、脚本、監督も務めていて、彼の熱の入れようはタダならないようです。御年45歳のケビンが、20代、30代のボビー・ダーリンを演じて、しかも「マック・ザ・ナイフ」、「ビヨンド・ザ・シー」を始め、挿入歌をすべてケビン自身が歌っているのですから、恐れ入ります。(^_^;)
- 本作品もよくあるように少しファンタジーがかっていて、少年時代のボビー(これがまた素晴らしく芸達者な少年!)と成人したボビーが同時に登場し、ミュージカル仕立てで進行して行きます。単なるきらびやかなサクセス・ストーリーを追うだけではなく、最近のこの手の映画によくあるように、表には出ていなかった事柄が暴露され、それが後半の重要なテーマとなっています。終盤、彼がステージ上から自分にとって重要な女性を紹介するシーンでは、かなり泣けましたぞい。
- ケビンの歌はヘタウマ。踊りはヘタ。(^o^) でも、勢いでぐいぐい引っ張ってくれるパワーが感じられ、彼ののめり込み度合いが分かります。私はボビー・ダーリンを余りよく知りませんが、ケビンの演技はかなり似ているとのこと。この辺を見ても、似ているかどうかはよく分かりませんが・・・。それにしても口パクではなく自ら歌い、演奏し、踊れるのは、ハリウッド映画では当たり前になりましたね。厳しいものです。
- ケビンがボビーを演じていて最もピッタリだったと思うのは、ボビーは髪が薄くて早くからカツラを被っていたという事実。ケビンは素(す)で演じられます。(^o^) 多分、このことも彼がボビーを演じようと思った理由の一つなのではないかな(・・・違うか)。劇中で、妻のサンドラ・ディー(ケイト・ボスワース)に、「あ、カツラがずれている!」などと言わせています。(^o^)
- ボビーは晩年に反戦意識に目覚め、フォークソングを歌ったりするのですが、その辺の心情描写をもう少し丁寧に描いて欲しかったと思います。
- エンド・ロールで、「ボビーは37歳の時、心臓手術中に死亡」とありました。それって、オペミスということですよね。(・・;)
- 蛇足。「ビヨンド・ザ・シー」は、シャンソンの名曲である「ラ・メール」に英語の歌詞をつけたものです。
- (DVD)
2005.09.26 ザ・インタープリター ★★★
- モノクロでニコール・キッドマンの1/4の顔しか写っていない、いかにもなパッケージが印象的です。サスペンスだぞ、これは!シリアスだぞ、これは!という感じ・・・。(^o^)
アフリカのマトボ共和国(もちろん、架空の国ですよ)出身で、ニューヨークの国連本部で通訳(インタープリター)として働いている主人公(ニコール・キッドマン)は、ある日、マトボ共和国の大統領暗殺を企てる会話を偶然聞いてしまいます。彼女の安全を守るためにやってきたシークレット・サービスの男(ショーン・ペン)は、彼女が嘘をついてるのではないかと疑うのですが・・・、という社会派サスペンス映画。雰囲気的には、クリント・イーストウッドの「シークレット・サービス」(これは必見ですよ)と似たところがあると思ったぞい。
観客は、主人公が嘘をついているのではないことを知っているのに、やけにそれをしつこく追求する設定が、何か変。民族闘争で家族を失い、自ら闘争に加わった過去を持つ人間を、国連が雇っているという設定も、だいぶ変。終盤のあんな状況下で、主人公がいとも簡単に大統領に近づけてしまう設定も、かなり変。でもそんな不都合を全て帳消しにしてしまうほど、ここでのキッドマンは美しいのです。老けも全く感じさせないどころか、かえって若々しく映っています。変だ、40歳近いはずなのに・・・。
一方、ショーン・ペンは、最近妻を事故で無くした男の悲哀を滲ませつつ、警護の仕事に打ち込む真摯な男を、文句無しに演じ切っていました。傷つき、疲れた主人公をそっと肩に抱いてやるシーンは、名場面ではないでしょうか?彼の同僚を演ずるキャサリン・キーナーもあちこちの映画で見かける女優ですが、とても良い雰囲気を醸し出していました。
バスのシーンの緊張感の高め方はとても巧い。時節的には嫌な感じですが・・・。それに比べて大統領狙撃シーンは、何だか分からないうちにああなっていた、という風です。もっとタメを作って、盛り上げて貰わないと・・・。
得点映像で「もう一つのエンディング」が収録されていました。全体が必ずしも明確ではありませんが、こちらの方が現実的かも知れません。
(DVD)
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