2005.09.25 きみに読む物語 ★★★★
- かなり恥ずかしくなる邦題ですが、まさか原題(The Notebook)どおり、「ノートブック」などとするわけにはいきませんから、これはこれで正解なのでしょう。
とある老人ホームにいる老女性(ジーナ・ローランズ!)に、ある物語を熱心に読んでやっている老男性(ジェームズ・ガーナー)がいました。う〜む、わけありそうで、いいぞ・・・。(^_^;) その物語とは、アメリカ南部の裕福な娘(レイチェル・マクアダムス)と貧しい青年(ライアン・ゴズリング)の恋物語なのでした。
最初は、青年の彼女に対する強引なアタックに辟易しながらも(我慢モードで)見続けていくうちに、読んで貰ってる老女性と同じく、次第にその恋の展開にのめり込まされて行きます。貧富の差を克服できるか、裕福な娘の両親の反対を押し切れるか、隠された365通のラブレター、別の男との婚約後の再開、等々・・・。
中盤以降、何故その老人が老女にその恋物語を読んで聞かせているのか、その老人と老女は誰なのかが、少しづつ明かされて行きます。この少しづつ、というのがこういうマッタリとしたラブ・ストーリーには合うのですね。あっと驚くどんでん返しではいけません。
娘の母親が反対していたのも、結局自分の悲しい経験があったためであることが分かったり、娘の婚約者が少しも嫌味のない善良な男だったりと、この映画には一人も悪人は出てきません。特に青年の父親(サム・シェパード)と青年との関係は爽やかで好感が持てました。
恋が成就したその後の展開が、少し説明されているとなお良かったのではないかと思います。結局青年は事業に大成功して、家のあった敷地にあの老人ホームを建て、オーナーになった?
冒頭の素晴らしい夕焼けのシーンは劇場の大スクリーンで見るべきだったのでしょうね。中盤のアヒル(鴨?)と白鳥のシーンもしかり。
認知症(老人性痴呆症)がこの物語のもう一つのキー。何となく身につまされました。完璧な認知症だった私の母親を思い出すとともに、いずれは我が(我等が)身か、と・・・。(-.-)
(DVD)
2005.09.20 五線譜のラブレター
DE-LOVELY ★★★
- アメリカの大作曲家、コール・ポーターの伝記映画。彼は生涯で840曲を作曲したのだそうな。この数がどれほどのものなのか、試しに「吉田正 作曲数」をググってみました。結果は何と2,400曲。なんだ、コール・ポーター、大したことないじゃないか・・・。(^o^)
- 1920年代、社交界の名士として鳴らした彼(ケビン・クライン)の生き様と、彼の作曲の源泉となった妻であるリンダ・リー(アシュレイ・ジャド)との愛情が描かれています。晩年の彼が、ガブリエル(天使か?)という案内役(ジョナサン・プライス)とともに、舞台で演じられる自分の生涯を客席から見て回想する、という構成になっています。
- 何と彼はゲイだったのですね。あんなに美形の妻を持ちながら・・・。夫婦の愛情物語を謳っている割りには、男へののめり込みも結構描かれていて、正常な私にはどうもしっくりと来ません。そんな夫を余り非難することもなく、半ば公認していた妻の気持ちも殆ど理解できませんし・・・。
- 回想シーンには歌あり、音楽あり、ミュージカル仕立てもあったりして見せ場は次から次へと繰り広げられます。不満なのは、エルビス・コステロ、ダイアナ・クラール、ナタリー・コール、シェリル・クロウなどが出演しているというのに、曲によってしっかりとフルコーラスで見せてくれないこと。
- 特にお目当てだったダイアナ・クラールの歌うシーンがぶつ切りだったのにはガッカリ。あれでは彼女も怒るのではないかな。一番印象的だったのは、シェリル・クロウが歌う「ビギン・ザ・ビギン」。何とマイナー曲にアレンジしてあるのだ。だから少し「ジャニー・ギター」、入っています。(^o^)
- 御大ナタリー・コールの歌う「エヴリタイム・ウィ・セイ・グッドバイ」、流石に素晴らしい。でも、これも最後までしっかりと聴かせてくれません。・・・そうか、サウンド・トラックのCDを買え、ということなんですね。(^o^)
- 特典映像によれば、衣装デザインをジョルジオ・アルマーニが担当したのだそうな。そんな衣装の効用は私にはとんと分かりませんが、晩年のケビンとアシュレイの老けメイクには唸りました。特にアシュレイのあの愛くるしい顏が、あのような老婆の顏に変わってしまったのに驚きです。
- この映画の教訓。「ゲイは身を助く」(-.-)(パクりっぽい)
- (DVD)
2005.09.19 ワンダとダイヤと優しい奴ら ★★★★
- 旧作です。以前から気になっていた作品で、何となくDVDを買ってしまいました。(^_^;)
イギリスのコメディ集団であるモンティ・パイソンのジョン・クリースが、制作、脚本、主演をこなしています。ケビン・クラインは、本作で88年のアカデミー助演男優賞を獲得。ワンダは、原題(A Fish Called Wanda)のとおり、登場するエンゼル・フィッシュの愛称であると同時に、ヒロイン(ジェミー・リー・カーチス)の名前でもあります。
ダイヤを強奪した4人組が、そのダイヤを巡って仲間割れを起すというドタバタ喜劇。身障者への差別や動物虐待など、かなりブラックなギャグが連発されるので、人によって好き嫌いが別れるかも知れません。しかし、練り上げられた脚本と、ジェミー・リー・カーチスのセクシーさやジョン・クリースの爆笑演技で、最後まで私は楽しむことが出来ました。
イタリア語やロシア語を聞くと欲情する女(ジェミー)、バカと言われると切れる男(ケビン)、殺人は出来ても動物愛護精神一杯の男(マイケル・ペイリン)、優秀な弁護士であるが恐妻家の男(ジョン)など、そのキャラの設定もストーリー展開にマッチしていて、脚本の上手さが感じられます。
弁護の途中で惚れてしまったワンダの名前を思わず言ってしまい、「ワンダ、ワンダ、・・・アイ・ワンダー」などと誤魔化すシーンや、借りたつもりのマンションで裸ではしゃいでいる最中に借り主の家族が現れるシーンでは、大爆笑。ジョン・クリースの演技力が光ります。
一方、ケビンはテンションの高いオーバー・アクトな演技に終始していますが、私にはやや鼻につきました。まあしかし、コメディではオスカーは取れないという常識を覆したのですから、あっぱれというべきでしょうが・・・。
- 2時間にも及ぶ特典映像、まだ見きれていません。(^_^;)
- (DVD)
2005.09.05 ネバーランド ★★
- 第77回アカデミー賞7部門でノミネートされた、伝記ドラマ。受賞したのは作曲賞だけでしたが・・・。劇作家のジェームズ・バリ(配役はジョニー・デップ)が、あのファンタジーの名作「ピーターパン」をいかにして作り上げたかを描いた作品です。
- 映像は綺麗です。時々「ピーターパン」化して、ファンタジーがかる映像も面白くないとは言いません。でも、全編に渡って、どうもウソ臭い・・・。
- 4人の男の子とその母親(ケイト・ウィンスレット)との交流を通じて「ピーターパン」の物語のアイディアを得て、構想を練っていくという設定になっているのですが、しっかり結びついているようには見えません。あれだけあの家族にのめり込んで、ケイト扮する未亡人がフェロモン全開しているのに、そういう関係を微塵も描いていないというのも納得できません。自分の妻が浮気してしまうほどほったらかしにしてまで、子供達と遊ぶ主人公こそ、大人になれない「ピーターパン症候群」そのものということなのでしょうか?(やや意味不明)
- 全編に渡って展開に起伏が無く、ハッキリ言って私には退屈でした。本作のミエミエのお涙頂戴、感動の押し売りにはどうも乗れません。
- ジョニー・デップのとぼけた感じは悪くはありませんが、私には最近見た旧作の「僕の妹」の演技の方が数段上に感じられました。「ピーターパン」のモデルとなったピーター少年役のフレディ・ハイモアが、老人のような眼をしていたのが気になりました。子役は可愛くなければいけませんよ。未亡人の母親役のジュリー・クリスティ、流石に年取っていましたが存在感はありました。それに比べて、ダスティ・ホフマンはどうでも良いって感じ・・・。
- しかし「ネバーランド」というと、どうしてもマイケル・ジャクソンのあの遊園地のような豪邸を想起してしまうのは、私だけでしょうか?(^o^)
- (DVD)
2005.08.29 ナショナル・トレジャー ★★★☆
- 「インディ・ジョーンズ」シリーズ と同趣の宝物探し冒険映画です。主人公(ニコラス・ケイジ)の父親(ジョン・
ボイド)が絡むという点からは、「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」と似ていると言えるかも知れません。 むしろ歴史考察という点では、「トゥーム・レイダー2」に近いかも・
・・。
- 派手好きでエンタメ精神旺盛なジェリー・ブラッカイマーの制作です。ただし、ディズニーが配給会社になっているせいか、残酷シーンやお色気シーンは皆無です、残念ながら・・・。(^_^;)
- 「インディ・ジョーンズ」シリーズと似ていると言っても、時代設定は現代ですし、舞台はジャングルではなく、ワシントンDCやニューヨークで、「アメリカ合衆国独立宣言書」や「100ドル紙幣」が道具として使われるなど、かなり現実感溢れる設定となっています。実際の博物館や歴史的建物が多く出てきて、アメリカ・ツアー的気分にもさせられます。もちろん、毒蛇もおぞましい虫達も登場しません。まあ、それでも途中から地下の洞窟などが舞台となって、お約束のハラハラ・ドキドキのそれらしくはなるのですが・・・。
- 宝物探しの謎解き展開は、特に新鮮さはなく既視感たっぷりなもの。御都合主義には目をつぶりましょう。夏時間かどうかということよりも、季節はいつだったか確認しましたか?(^o^)
- ニコラス・ケイジは、お腹が重くて走るのが遅いこと、遅いこと。あの髪の毛は明らかにカツラか植毛ですね。いいや、CGかも知れません。(^o^) ダイアン・クルーガーは「トロイ」の時よりも随分綺麗に見えました。冷たそうなのは相変わらずでしたが・・・。悪役がとても似合う、ショーン・ビーン。次第に間抜けになっていくのがやや可哀想でした。刑事役のハーベイ・カイテルの登場はめっけもの。
- 子供にも大人にも楽しめる映画を狙ったために、その分刺激に乏しく物足りない感じが否めません。でもそこそこ面白いですよ。
- 個人的に一番感銘したのは、冒頭の主人公の祖父(何とクリストファー・プラマー!)が優しく孫(つまり幼き頃の主人公)に宝物探しの醍醐味を教えるシーン。いいねぇ。(^_^)
- (DVD)
2005.08.28 マイ・ボディガード
★★★
- デンゼル・ワシントン版、 「レオン」などという風評が・・・。なる ほど、ストーリー仕立は良く似ています。何といっても、将来大女優の予感を持つ子役(ダコダ・ファニング)が出ているというところがピッタリでしょうか。
第二のナタリー・ポートマンなら良いのですが、第二のドリュー・バリモアにならないことを祈るばかりです・・・。(^o^)
- 原題は 「Man On Fire」。当然ケビン・コスナーの「ボディガード」を意識したのでしょうが、安易に付けた邦題と云わざるを得ません。
とにかく前半がユル過ぎ。 あきれるほど何も起こりません。水泳のスポ根エピソードで引っ張ってどうする?まあ、これはないと後半につながらないと言えなくも無いか・・・。
で、打って変わったかのように後半は凄まじい復讐劇が。見ていてとても痛かったぞい。
ああ、あなたってそういう男だったのですね>デンゼルさん。聖書、読んでいたのにね。豹変振りにやや違和感を感じざるを得ません。
それにしても メキシコ・シティの治安の悪さ加減が強調されています。「ラテンアメリカでは60分に1人が誘拐されている。その7割が2度とは生きて帰れない!」などというテロップが流れたりします。警察も含めて殆ど悪人ばかり。あれがホントだとしたら、間違ってもメキシコなんかには住みたくありません。
ざらついた映像、 頻繁なカット割り、フラッシュ・バックで、いかにもな映像になっていますが、見にくいことは否めません。メキシコ、中南米を舞台にすると、どうしてもこんなになってしまうのですよね。
ダコダ ・ファニングの演技については、次第に巧い、巧くないというような意識を超越して見ていることに気付きます。子供の姿をした大人か・・・。死に損の父親役のマーク・アンソニーって、歌手ですよね。ジェニファー・ロペスとデュエットしているDVDを持っています。脇をクリストファー・ウォーケンとかミッキー・ロークが固めていて、ずっしり感が・・・。それにしてもミッキー・ロークの凋落感は相変わらずです。
(-.-)
- (DVD)
2005.08.15 アレキサンダー
★★★
- ラジー賞最多6部門のノミネートの上に、パッケージの上映時間を見て、恐れをなしました。何と173分!!それでもオリバー・ストーン監督作品ですから、見ない訳にはいきません。
- 「大王」をつけないとしっくりこないほど、偉大で有名な人物(ですよね?)。封切り時のキャッチ・コピーは、「何故、20歳で王になれたか?」、「一度も戦争に負けなかったというのは本当か?」、「10年でどうやって世界を征服したのか?」、「最果ての地まで侵攻を続けた目的は?」、「謎に包まれた死の真相は?」などという、興味をそそるもの。
- 丁寧ななところはやけに丁寧に、省略するところはバッサリと大胆に、というのがこの映画を見ての第一印象です。前記コピーは映画の中でおおかた解明されますが
(何故20歳で王になれたかって?、その年に父親が死んだから・・・(^o^))、分からないのは、権力も名誉も手に入れながら、最果ての地まで過酷な侵攻を続けた目的、理由。部下が揃って、「もう止めようよ、家族に会いたいよう」などと訴えても、いっこうに言うことを聞かないのです。まあ、そうでしょうね、自分は妻と一緒の旅ですから・・・。結局、ウザイ母親から逃れたかったからか???(^o^)
- 前半のペルシアの王ダレイオスとの戦いが最大の見もの。早い時間帯に見せ場を持ってきたために、それ以後の展開が緩いこと、緩いこと。それでも後半のインドでのゾウさんとの戦いは、ストーン監督得意のスローモーション(「プラトーン」のウィリム・デフォーを思い出したぞい)
で、立派な絵になっていました。ここでのゾウさんは、LTOR二作目のゾウさんの怪物より、恐かった・・・。
- 上昇志向、目的意識のつよ〜い人物としている一方で、直接的なシーンはなかったものの、しっかりゲイとして描かれています。しかも随所随所に・・
・。ひょっとして本作品が不評なのはそのせいか?私も少なくとも余り気持ち良くは観賞出来ませんでした。(-.-)
- コリン・ファレル 、巧いのですが、オーバー・アクションが鼻につきます。張り切る気持ちは分かりますが、もっと抑えて欲しい・・・。それにしても、コリン・ファレルにそっくりな子役を選んだものです。
- 物凄い迫力と妖艶さでファレルを完全に喰っていたのが、母親役のアンジェリーナ・ジョリー。下唇は益々強大化しています。でも、老け顔メーキャップをしないのはずるいぞ。あんたはメドゥーサのモデルか?
- 第一夫人役はロザリオ・ドーソンですが、きつい表情に終始していてイマイチですね。でも、脱ぎっぷりが良いので許します。
- で結局、ラジー賞は「キャットウーマン」がことごとく持って行ってくれました。良かったね、ストーン監督。(^o^)
- (DVD)
2005.08.13 ロング・エンゲージメント ★★★★
- 「アメリ」と同じコンビのジャン=ピエール・ジュネ監督とオドレイ・トトゥを主人公にした、ミステリー恋愛映画です。第一次世界大戦で兵士となり、行方不明となった恋人を、自らの直感を頼りに探し求める女性(オドレイ・トトゥ)の姿が描かれます。原作はフランスの大ベストセラー作品なのだそうな。英題は「A Very Long
Engagement」ですから、「とても長い婚約」というような意味でしょうか。
- どこか古い活動写真を想起させる独特の映像表現です。回想シーンと今の時点とで、色合を変えたりし て。ユーモラスな部分とドキッとするようなセクシーな部分と少々残酷な部分を取り混ぜての展開です。
- 登場人物が 多く、(覚えにくい)名前が沢山セリフに出てくるので、混乱しないように気をつけましょう。かてて加えて、多くのエピソードが複雑に絡まっているので、私にはついていけないところもあったりしました。ま、そんなときはチャプターを戻して再見すれば良し。(^o^) ただ、恋人探しとその周辺のエピソードが、やはりうまくつながっていないようには思われました。
- 壮絶、残酷でいて、ところどころユーモラスな戦闘シーンからは、強烈な反戦メッセージが伝わってきます。それらを背景にして、一途な思いを恋人に寄せる女性の愛が如何に素晴らしいものかを謳った一大恋愛映画に仕上がっていると思いま
す。結末は分かっていても、ラストシーンでは泣かされる・・・。
- オドレイ・トトゥは、 「アメリ」の時のような「何考えているか分からない飛 んでいる少女」的要素を残しながら、しっかり落ち着いた演技に終始しています。サービス・ショ
ットのオマケもありますよ。途中でジョディ・フォスターに激似の女優が出て、大胆なベッドシーンをこなしたりするのですが、エンド・クレジッ
トでやはり本人であることが分かりました。(^o^) この人の体当たり演技は相変わらずです。ジュネ監督作品にはお馴染みの、ドミニク・ピノンの出演も楽しい限り。
- 見応えは十分。でも、色々な意味で巻き戻し必須の作品です。(^o^)
- (DVD)
2005.08.13 ボーン・スプレマシー ★★★
- ハリウッドのジミー大西こと、マット・デイモンがスパイを演じて話題となった「ボーン・アイデンティティ」の続編。原題は「The
Bourne Supremacy」ですが、「ボーンの優位性」というような意味なのでしょうか? 主人公は絶対死にません、ということ?(当たり前だ)
- 前作では 余りスパイらしくないジミー君がスピーディなアクションを見事に演じて、ビックリさせてくれました。本作ではどうなんでしょう?
- 前作から引き続き、記憶が完全には戻らず、時々悪夢に悩まされているジェイソン・ボーン(ジミー君)。恋人(フランカ・ポテンテ)と新しい生活を始めようとしているのですが、そこに刺客が現れます・・・。
- 相変わらず地味目なジミー 君(^o^)ですが、アクションの切れは更に増しているようです。特に後半のカーチェイス は、ちっとやそっとでは驚かなくなっている目にも、一段と抜きん出た凄まじさを感じます。一体どうやって、ロケを敢行した?
- 場所をインドのゴア、モスクワ、ベルリン、ナポリなどと転々と移して、まるで観光案内映画のような側面もあります。一方でそれがアダとなって、どこかまとまりきらないようなもどかしさも・・・。
- ボーンの計算し尽くされたかのような行動も、時にして御都合主義に映ったりもします。また、かつての被害者の子供と会うシーンなど、イマイチ彼の心理がよく分からないところもあったりして。これらは前作にも共通したところがありました。
- 前作を上回るという評判もあったようですが、私としては前作のような新鮮さを感じられなかっただけに、標記のような点数と相成りました。原作は3部作とのことですから、当然更に続編があるのでしょうが、何か斬新なアイディアがないと次回は辛いかもしれません。
- (DVD)
2005.07.26 オーシャンズ
12 ★★
- 前作「オーシャンズ11」のラストからそのままつながったかのような冒頭で、おお、これはいいぞ、などと思ったもので
した。悪役のアンディ・ガルシアが、まるで前作の登場人物を一人ひとり紹介するかのようなイントロです。
- 別にアルコールを飲んでいたわけでもないのですが、その後の展開がどうもよく理解できません。一つ 一つのエピソードはそれなりに判るのですが、その繋ぎがどうもしっくり来ません。前作のようなミス・リードは当然あると身構えて見ていたのですが、それにしても説明不足で、不親切過ぎませんか?分かってくれる人だけで結構、分からないなら分からないでしょうがありません、というような突き放した感じがしてならなかったのですが、それは僻みというものか・・・?
- おいおい、それはありか?と思ったのは劇中配役人 物が、その人本人を装うシーン。おまけに、大(ダイ)俳優が、
カメオ出演してそのシーンに絡むという設定。パロディ、ここに極まれリという感じではありますが、どういうもんでしょう
・・・。監督のスティーブン・ソダーバーグだけが、楽しんでいる?
- 前回の11人から12人に増えた一人はジュリア・ロバーツなのでしょうが、キャサリン・ゼタ=ジョーンズも似たような配役になっています。キャサリンは腰砕け。いいのか、そんなことで!!
- 盗みのテクニックもイマイチ切れがないし、説明不足だし、レーザかいくぐりなどは、お笑い以外の何ものでもありません。
- 思うに、12人という登場人物が多過ぎるのだ思います。加えて、前作のような各々の特技が本作では全くクローズ・アップされずに、ただ、ゴチャゴチャと皆が右往左往するだけ・・・。
- メジャー俳優(ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、 ジュリア・ロバーツ、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル、ブルース・ウィ リス)の顔見せ映画というふうに割り切りますか?
- スティーブン・ソダーバーグ、焼きが回ったか?(-.-)
- (DVD)
2005.07.17 宇宙戦争 ★★★
- 暑くせわしない日中の時間帯を避けて、レイト・ショーを観賞するのが慣わしとなりつつあります。もちろん、経済効果も見逃すことが出来ません(レイト・ショ
ーは1,200円也)。(^_^;)
- で、スティーヴン・スピ ルバーグ の宇宙戦争です。原作は言わずと知れたH・G・ウエルズのSFの
古典。 1953年にジーン・バリー主演で既に映画化されていますから、これはリメイク作品ということになります。し
かも、ジーン・バ リーがラストでカメオ出演 もしているというオマケ
付き。
- 前半のトライポッドが出現するまでの迫力は、特筆もの。 地面が裂け、高架の道路が崩壊していく様は、 CGなのでしょうが、大画面、大音響ならではで、仰天してしまいます。
トライポッドが怪しげな光線で人を襲う様は、レトロな感じですが、敢えてこれはそうしているのでしょう。地下室で、触手(目玉?)
やエイリアンが主人公らを探すシーンは既視感たっぷり。「ジュラシック・パーク」 とか、「アビス」とか。
- 中盤以降は御都合主義や設定に無理があったりして、やや脱力してしまいます。触手が斧にあっさりやられてしまうとか、主人公らが常に無傷であるとか・・・。原作に忠実な終わり方もあれはあれで良いのでしょうが、 少しヒネリや新解釈を入れても良かったように思います。あれだけ周到な準備をしていた高度な知性を持つエイリアンが、「あんなこと」に気が付かなかったというのはね。ナレーションでそれを簡単に説明してしまうというのも、知恵がありません。
布石も何もないし・・・。
- トム・クルーズを父親とした家族関係は、アメリカ映画に嫌というほど良く出てくる設定です。離婚した男が自分の子供達(ダコタ・ファニング)と会う設定とか、父親と息子の確執とか・・・。トムは中盤までは、ただひたすら自分の家族を災難から逃すだけという無力な父親を演じていますが、後半は地下にかくまってくれた男
(ティム・ロビンス)に対して非情な行動に出たり、 手榴弾を駆使したり、 と唐突にハリウッド的行動に出たりします。これがどうも腑に落ちない。
- 別れた妻役はどかこで見た顏だと思っていたのです が、 LOTRのエオウィン姫役のミランダ・オットーなのでした。ダコタ・ファニング、やはりキャーキャーとウルサイ です。悲鳴をあげるタイミングを間違っているような気もしますし。(^o^)
- (劇場)
2005.07.04 スター・ウォーズ
エピソード3/シスの復讐 ★★★★
- 休日でも 昼間の時間は中々取れないので、レイトショー(22時から上映開始)の「宇宙戦争」を見に行ったら、何と満席。仕方なく(?)、先行ロード・ショーの本作を急きょ観賞することにしたのでした。こちらもほぼ満席の状態で、前から4列目という余り良くないポジション。
しかし、さすがにお子様達はいないので、その点安心して見ることが出来ました。
- 何と言っても本作の興味は、いかにしてアナキンがダーク・サイドに落ち、ダース・ベイダーに成り果てたのか?、はたまた、いかに破綻無くエピソード4につなげていくのか?ということでしょう。そして泣いても笑っても(誰が?)これが1977年からスタートした全6部作の完結編。いやでも興
味は尽きないと言わざるを得ません。
- アナキンの転落に関しては、ファンの同情を買うことには(かろうじて)成功したのでしょうが、どうも納得がいきません。あそこまで
行き着く布石がまだまだ足りないと思いますし、アナキンの揺れ動く心 理描写にも時間をかけるべきであったと思います。ライト・セーバーによるチャンチャン
・バラバラの時間を少々削ったとしても・・・。終盤のアナキンのパドメへの仕打ちにも、理解が及ばないところです。多分、原作者であるジョージ・ルーカスは、アナキンがダース・ベイダーになる、或いはダース・ベイダーがルークの父
親であるという設定をしておいたことに、相当後悔をし、苦悩したのではないでしょうか?(^o^)
- 冒頭の戦闘シーンは、これまでのシリーズの類似シーンの中で最も優れていたと断言できます。多分このシーンを見ただ けで、観客の本作に対する満足感はかなり得られたことでしょう。その後の肝心の展開が、やや腰砕けであったとしても・・・。(^_^;) 前半のコミカルな味付けから、中盤以降は悲劇色を増していき、ラストは残酷そのもの、という風に見事にパターン化されています。
やや、単純・・・。しかし、ストーリー展開はその分判りやすくなっています。
- ヘイデン・クリステンセンとナタリー・ポートマン、演技が硬い。ユアン・マクレガーは流石に巧い。フルCGのヨーダもついでに巧い。
(^o^)
- エンド・ロールが終わるまで、誰一人として席を立ちません でした。さすがは、SWの最終章。
- (劇場)
2005.06.20 Ray/レイ
★★★★
- ソウル・ミュージックで一世を風靡し、2004年に亡くなったレイ・チャールズの伝記映画。本年度アカデミー賞でジェイミー・フォックスが主演男優賞のオスカーに輝き、話題となりました。
- あの「くぐもっ た」声に好き嫌いはあるとしても、私らの年代は「我が心のジョージア」や「アンチェイン・マイ・ハート」などは、たまりません。近年ではサザン・オールスターズの「愛しのエリー」のカバー曲も、中々魅力的なのものでした。
- ふ〜む、女性、麻薬、金への執念をドラマチックに描いていますが、レイの生前に映画化が進められていましたから、事実に忠実なのでしょうね。
ただ、ヒット曲の生まれるきっかけとなったエピソードは、いささか作り上げたという感が否めません。特に「ホワッド・アイ・セイ」は、ちょっと出来すぎ。初演であんな風に演奏できる?「ヒット・ザ・ロード・ジャッ
ク」のレイレッツのソロを取る女性が彼の愛人だったなんて、大笑い。手首や二の腕で美人かそうでないかを見極める、なんていうのも面白い(しかし、盲目の男が美形に拘る必要があるか?)。
- 幼少の頃の気丈な母親の教えに支えられている一方、弟を失ったことがトラウマとなった彼の半生は、ドラマとしても十分な見応えがあります。女性や麻薬もさることながら、お金にあれだけ執着を持っていたことにビックリ。一方で、如何にピア
ノと歌をマスターしたかという描写が殆ど無かったり、黒人差別と如何に戦ったかというような掘り下げが少ないのが、やや残念。
- 生前のレイ・チャールズから指名されたというジェイミー・フォックス。ジェイミーは「そっくりな物真似」と言われたくないと語ったとのことですが、あの体の揺らし方などは、ホントに
そっくりだと思います(もっとも、私はレイ本人の映像をそう多くは見ていないの で、多分あんなだろう、という想像からなのですが・・・(^_^;))。ピアノ演奏や歌も、ジェイミー自身のものを採用している曲もあるとのこと。ただし、
後半の有名ヒット曲は、すべてレイ本人というか、最も有名なレコーディングのテイクですね (「ホワッド・アイ・セイ」の歌の出だしを、巧くマイクが
拾わないところとかね)。
- レイのドラマチックな私生活に驚きましたが、一番驚いたのはエンド・クレジットで流れた「12人の子供に恵まれ・・・」という件(くだり)。なんだ、ちっとも反省してなかったのか・・・。
(^o^)
- (DVD)
- 【蛇足】DVDでは「劇場公開版」と 「エクステンデッド ・エディション版」があり、最初は後者で見始めたのですが、シーンのつなぎが不自然だったので、途中で「劇場公開版」に切り替えて観賞したので
した。
2005.06.04 ミリオンダラー・ベイビー ★★★★☆
- 本年度アカデミー賞で、作品賞 、監督賞(クリント・イーストウッド
)、主演女優賞(ヒラリー・スワンク )、助演男優賞(モーガン・フリーマン)の主要4部門でオスカーを獲得した話題作。
- 予備 知識は殆ど無しに見たので、タイトルから想像して、老トレーナーがハングリー精神溢れる女性をボクシングで成功させるお話かと思ったら、さにあらず。典型的なアメリカン・ドリーム達成映画かな、と呑気に思っているふやけた頭を、後半の展開が一撃してくれました。中盤でヒラリーが語る昔のエピソードが布石になって、とても重い結末が到来します。ああ、そう来るのですか、この映画は・・・。
- クリント演ずる老トレーナーの行動が 正しいか、正しくないかは余り重要ではなく、彼がひたすら彼女の意思に沿うことを良しとしたか・・・。つまり、クリントがいかに彼女を(娘のように)愛していたか、ということでしょう(やや、意味不
明)。後味は決して良くはありませんが、こ の結末には納得です。ただ、老トレーナーのその後の生末はぼかされています。
- 立っているだけで絵になるクリントとモーガンを起用し、演技力は「ボーイズ ・ドント・クライ」で実証済みのヒラリーの3人を使ったこの作品は、ある意味ずるい
映画です。「ミスティック・リバー」でもそうでしたが、計算尽くされた無駄の無い演出は、クリント監督ならではのもの。しかもお約束の、ジャズを中心としたセンス溢れる音楽も・・・。そこに加えて、モーガンのモノローグと来たもんだ。(^o^)
- やや納得できないの は、敵方ボクサーのああまでして行う反則が甘く許されているように見えること。彼女の母親を中心とした家族の仕打ちが余りにも酷すぎること。この2点だけが私としてはややテンポを阻害する要因でした。実の娘がクリントを嫌っている理由も知りたかったし・・・。
- クリントは御年75歳。やや曲がった背中と益々嗄(しわが)れた声が気になるところではありますが、ホントに良いですね、この人は・・・。ただ、これ以上年を取ってもらいたくありません。さすがに今回はヒラリーとのそういう関係のシーンはありませんが。
- シミジミとエンド・クレジットを眺めながら、涙を拭き拭き、どっしりとした余韻に浸れます。 「自分を守れ」、肝に銘じましょう。4つのオスカー、文句ありません。(^_^)
- (劇場)
2005.05.23 キングダム
・オブ・ヘブン ★★★☆
- 聖地エルサレムの奪還を巡るキリスト教諸国とイスラム教諸 国の戦いを描いた、リドリー・スコット監督の最新話題大作。キリスト教諸国側が派遣した十字
軍を中心に物語が展開されますが、イスラム教諸国側を敢えて悪者にせずに、中立的な視点で描かれています。まあ、確かにイスラム教諸国側から見れば、十字軍というのは侵略軍ですからね。昨今の国際状況からすれば、正しい(無難な)判断だと思います。
- ざらついた墨絵のような、スローモーションを多用した映像のイメージは、 「ブラックホーク・ダウン」 にそっくり。加えて、エンタメ性を重視せず、歴史の一シーンを切り取ったような淡々とした描き方も、随分似たところがあります。つまり
けっこう退屈なのです・・・。(^o^)
- また、火の玉をとばすなどの戦闘シーンはそれなりの迫力ですが、私には余りにも既視感が有り過ぎでした。スコット監督自身の「グラディエータ」を初め、「ブレイブハート」、「トロイ」、「キング・アーサー」などの歴史作品で視たことのあるような戦闘シーンのオンパレード。特に敵方のヤグラを倒すシーンなどは、「LOTR」
まんまという感じ。戦争が始まる前に、主人公(オーランド・ブルーム)が 若い兵士らを鼓舞するシーンも、「LOTR」でもありましたね。
- それでも「LOTR」と違って、ウジャウジャの大兵士軍が余り CGくさく見えないところは流石です。まさかあれ全部エキストラってこと、有りませんよね?イスラム側の大群に、主人公率いる少数軍の突入シーンの俯瞰映像は、素晴らしいと言っていいでしょ
う。
- すこぶるエキゾチックな顔立ちの王女(エヴァ・グリーン )が登場し、主人公と何やら怪しげな関係になるのですが、どうもこの人のキャ
ラの掘り下げがイマイチ。 後半、短髪になって奉仕活動に専念するのも、それがどうした?という感じです。 どこか、シーンをカットしてませんかね?
- ハンセン病に罹って仮面を被ったエルサレム王は、何とエドワード・ノートンであることを後で知りました。流石に巧い、眼だけの演技です。(^_^;)
- オーランド・ ブルーム、大作での初めての主役ですが、少し迫力に欠けるな・ ・・。しかも途中で、オーランド・ブルームなのか、コリン・ファレルなのか、区別がつかなくなることがしばしばでしたぞい。
- なお、この作品もエンドロールが終わるまで、席を立たない方が良いと思います。
- (劇場)
2005.05.16 エビータ
★★★★
- レンタル半額キャンペーンで一週間借りて、楽々見られると思っていたら、時間が無くて日をおいて細切れ観賞という有り様。それでも以前から気になっていたアンドリュー・ロイド・ウェーバー
(ALW)作曲による本作品を観ることが出来て安心しました。
- アルゼンチンで私生児として生まれ、娼婦まがいのことを行いつつ、ペロン大統領夫人となったエバ・デュアルテの33歳の生涯を描いたミュージカル映画。本作品は、セリフも殆ど歌われますので、「いきなり歌いだしたり踊りだしたりするミュージカル映画は苦手」という人は、敬遠した方が良さそうで
す。(^o^)
- しかしこの映画は、妾の子として育った貧民の出の一少女がいかにして成り上がって行き、アルゼンチンのファースト・レディに成り得たかという興味深い展開を、ALWの魅力的なメロディーを持った音楽とともに存分に楽しませてくれると私は思います。もちろん、エビータを演ずるマドンナの魅力と歌唱力も見逃せません(演技力はともかく・・・)。
- マドンナはもちろん、ペロン大統領役のジョナサン・プライスも、狂言回し役のアントニオ・バンデラスもしっかり歌
っています。バンデラスって、歌が歌えるんですね。(^o^) (私の持っているALWの バースデー・コンサートのDVDでは、彼の歌唱力の高さが証明されています。シーク
レット・ブーツを履いているので、背の低さも証明されていますが・・・。(^o^))
- さすがに ALW、良い曲を書いています。「Don't Cry for Me Argentina」が有名なのでしょうが、私は何と言っても「I'd
Be Surprisingly Good for You」のセクシーなメロディー・ラインに魅せられました。 まあ、殆ど歌謡曲的とも言えますが・・
・。(^o^)
- この映画を観 て、ここなどを見るとエビータの数奇な半生が一層浮き彫りにされ、興味が尽きません。
- (DVD)
2005.05.06 シークレット・ウィンドウ ★★☆
- 本作品の予告編は、随分映画館で見せられたという印象があります。配給元(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)がお金をかけても元が取れると判断したのでしょう。もちろん、そういう映画が必ずしも良い映画とは限りません。
私はどちらかというと映画の先は読めない方(頭が悪いとも言う)なのですが、 この映画だけは、しっかり早い時期から先が分かりました
。 おお、よくありそうなお話ではないの、と。おお、それならば辻褄が合う、いいぞ、 いいぞ、などと・・・。でも、意外性の無いサスペンス映画は退屈なものです。
何でも原作とオチは違うらしい。それでも終盤はしっかりスティーブン・キングらしさを残した後味の悪さです。 「ミザリー」と「シャイニング」を足して、3で割った感じというところでしょうか・・・。(^o^)
ボサボサの頭髪で袖の破れたガウンを着た小汚いジョニー・デップですが、この 映画は彼を観るための映画なのでしょう。眼鏡を外した横顔などは、女性からはハッとするようなキリリとした良い男に見えるはずです(わたしゃ、何とも感じませんが・・・)。
謎の男を演ずるジョン・タトゥーロが、ここでも怪演しています。この人はこのような得体のしれないシュールな役をやらせたら、天下一品。
もっと、壊れても良いかも・・・。不満の一つは、妻役のマリア・ベロに余り華がないこと。彼女がもっと魅力的でないと、本作品の展開が成り立ちません。
思わせぶりなタイトル (「Secret Window」)ですが、ちっとも効 果的に使われていないのは、どうしたことなのでしょうか。
- (DVD)
2005.04.25 ヴィレッジ
★★
- 「シックス・センス」以来、幸か不幸か、ビックリ仰天どんでん返しが売り物になったナイト・シャマラン監督ですが、「アンブ
レイカブル」、「サイン」とその後の作品では大分不評を買っています。さて、本作品ではどうなのでし ょうか?
19世紀末のアメリカのとある小さな村。ところがこの村の隣の町へ続く森には何か得体のしれない「彼ら」が棲んでい て、村人を密かに狙っているらしいのです。いったいその「彼ら」の正体は?「彼ら」の目的は?
- 雰囲気や構成は、何となく「アザ ーズ」に似ているところがあります。似ていないのは、こちらは
展開が緩くひどく退屈であるということ。最初から「彼ら」というのがどうも子供だましみたいに思えて、中盤でホントに子供だましであったことが判るという展開。(^o^)
- ただし、シャマラン監督の意図は「彼ら」の正体を明かすことにあるのではなく、何故「彼ら」が必要であったかということ。終盤でその事情が種明かしされ、ふ〜む、目の不自由な娘を敢えて町に使いに出したのは、
そういう趣旨であったか、と合点がいきます。でも、最初に一緒同行した青年二人が途中で怖じ気づかずに町まで辿り着いたら、どういうことになっていたのでしょうね。この辺がよく判らないところです。
- 村人である長老達のかつての悲劇には、同情するものの、そうまでしなければならない(見方によっては、とても滑稽)ところが納得できません。シャマラン監督には、すごいアイディアに思えたのでしょうか?
- エイドリアン・ブロディ(「戦場のピアニスト」)がやや知恵遅れの微妙な役どころを巧く演じていると思います。盲目のヒロイン役のブライス・ダラス・ハワードも熱演。ロン・ハワードの娘らしい(良かったね、
父親に似なくて)。
- 「彼ら」の造形に、脱力。そして、もっと脱力したのが、シガニー・ウィーバーの老け振り・・ ・。(-.-)
- (DVD)
2005.04.24 コンスタンティン
★★★★
- タイトルは主人公であるジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)のこと。殆ど予備知識無しで見始めたのですが、どうやらコンスタンティンさんは、エクソシスト(悪魔祓い)らしいのです。(^_^;)
- キリスト教世界の一定のルールも頭に入れておく必要があるようです(ただし、定説とこの映画の創作との区別が私にはつきませんが)。曰く、自殺者は天国に行けず地獄に落ちる、ただし自分を犠牲にすると天国に行ける(これがこの映画の最大のポイント)、神もサタンも人間界に入り込めず、
入れるのはハーフ・ブリードという存在だけ、それで天国と地獄のバランスが取れている、悪魔退治は聖水に限る、キリストの死を確認した槍(ロンギヌスの槍)の血とセットでサタンの子が甦る・・・、等々。
- ストーリーは比較的判りやすく、オチもなるほどと納得がいくものです。敢えてツッコむとしたら、サタンがそれまで何故自分の子が甦ろうとしているのに気が付かないか?ということ。ガブリエル(大天使)はややルール違反的ではあるのでしょうが、面白い扱いにしています。
- 黒のスーツにノーネクタイのワイシャツ姿のキアヌ様がとにかくカッコ良く決まっています。「マトリックス」を彷彿させるスタイリッシュな映像。マシンガンで悪魔退治をするなどというのは、まるで「メン・イン・ブラック」
みたいだなどと思っていたら、本作の監督であるフランシス・ローレンスは、ウィル・スミスのMTVを作っていたのだそうな(関係ないか)。
- VFXはかなり見もの。特に灼熱の地獄絵は圧倒的です。虫の集団は、コッポラ 版「ドラキュラ」のネズミの集団のパクりかな。ハーフ・ブリードの顏半分状態は、
やや正視に耐えないほど気色悪し・・・。終始画面が茶色っぽく、暗い のが気になり ますが・・・。
- 冴えない神父役のプルイット・ テイラー・ビンスが例の瞳演技で、圧倒します。サタン役のピーター・ストーメアもとぼけていて、ちっともサタンに見えないところがよろし
い・・・。(^o^) ヒロインのレイチェル・ワイズは、大きい造作の顏がここでも印象的です。脱ぎっぷりの悪さが残念ですが・・・。(^_^;)
- オカルトものが好きで、CGを駆使した仰天映像に興味のあるお方は必見でしょう。おまけにキアヌ様の無表情演技を好むお方も・・・。(^o^)
- なおこの映画もエンドロールが終わるまで、席を立ってはいけません。
- (劇場)
2005.04.18 エイリアンvs.プレ
デター ★★★★
- この二つのクリーチャを対決させることを考えついた、ポール・W・S・アンダーソン監督に拍手。ただし、これまでのエイリアン4作品、プレデター2作品を見る限り、どう考えてもエイリアンに歩があるように思えるのですが、どうなのでしょう。
- 二つのクリーチャを対決といっても、そこに人間が絡まないと面白くありません。映画の前半は、 人間が絡まざるを得ない背景が、結構時間をかけて説明されます。おいおい、まだどちらか出ないのかい?という位、じらされます。(^o^)
- 舞台は南極にある古代ピラミッド、というかなり強引な設定。時代が現代ですから、宇宙の彼方というわけにはいかないので、これは止むを得ないのでしょう。従って本作品は時系列的には、エイリアン0、プレデター3という感じになります。
- お目当て(?)のエイリアンは、女王を含めて(多分)部分ショット以外はフルCGで、 これは見ものです。動きも滑らかで余りCG臭さがありません。プレデターの方は、もう少しオリジナルの特徴である独特の視覚描写などに拘って欲しかった気がします。
しかし、ヘルメットの下の顏の醜さは相変わらず。主人公(サナ・レイサン )がよく顏をしかめなかったものだ・・・。
(^o^)
- 何てことはない、「敵の敵は、味方」などという理屈で、 プレデターを人類の味方にしてしまう展開にはやや脱力。しかも、主人公のために、楯と槍を作ってあげたり、爆発装置であることを手で表現してやったりする場面には笑いました。後半、ああいう方向に持っていくならば、前半のプレデターによる人間の殺戮は無しにしておく必要があると思います。
- サナ・レイサンは、 「タイムリミッ ト」でデンゼル・ワシントンの不倫相手を演じていた黒人女優ですね。
リプリーばりの強さで頼もしいかぎりです。エイリアン2でのビショップ(人造人間)役のランス・ヘンリクセンの出演は、愛嬌か。
- ラストはお約束で、続編を暗示させます。しかも、新種なのだ・・・。(^_^;)
- (DVD)
2005.04.11 キャットウーマン ★★★
- 第25回 (2004年度)ゴールデン・ラズベリー賞(ワースト映画賞ね)で、作品賞、主演女優賞(ハル・ベリー)、監督賞
(ピトフ)、 脚本賞の4部門に輝いた話題作。おまけにハル・ベリーは授賞式にも出席し、オスカーを手にしたときのスピーチをパロッて
喝采を浴びました。う〜む、彼女の勇気に拍手です。(^o^)
- キャッ トウーマンと言えば、「バットマン・リターンズ」でミシェル・ファイファーが演じたのが記憶に残っています。あのスピン・オフ作品ということらしい。
- 企業秘密を知ったが故に殺されてしまった主人公(ハル)が猫の霊力によりキャットウーマンとして甦り、復讐を遂げていくという判りやすい展開です。ただ、変身過程であるとか、ビルの屋上を跳躍する様
は、女版スパイダー・マンという感じかな。ハルの褐色の引き締まった体を包むコスチューム姿はそれなりに見せてくれますが、露出度は高いとはいえません。むしろ刑務所でのジャージ姿(後ろ姿ね)の方がセクシーだったり・・
・。どなたかも指摘していたように、仮面を 被った顏がいけません。眼と眼がくっつき過ぎで、変。まあ、ミシェル・ファイファーが離れ過ぎだったとも言えますが・・
・。(^o^)
- ストーリーに新鮮さはなく、先が読めたりしますが、悪役のシャロン・ストーン の存在感の大きさがそれらをカバーしていると思います。出た瞬間、悪役であることが判ってしまう「マトリックス リローデッド」に出ていたランバート・ウィルソンも、中々よろしい。
- 何と云っても主人公の友人が良い味を出していました。ラストではちゃっかり医師をゲッ トしていましたし・・・。
- まあ、頭を使わず気楽に楽しむには、 悪くない映画ではないでしょうか?ラジー賞4部門というのは、いささか気の毒で
す。
- (DVD)
2005.03.28 アビエイター
★★☆
- 第77回アカデミー賞で最多の11部門でノミネートされ、5部門でオスカーを獲得した話題作。「ギャング・オブ・ニューヨーク」に引き続いて、マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオがコンビを組んだ作品ですが、肝心の
作品賞、監督賞、主演男優賞は取れませんでした。つまり、これがこの作品の出来を表しているのだと思います。(^_^;)
- 大富豪で映画監督であったハワード・ヒューズの波乱万丈の半生を描いたものですが、タイトルは彼がとてつもない飛行機キチガイで、自らが飛行士(「Aviator」)であったことによります。
- 2時間49分もの長尺でありながら、何となく各エピソードが中途半端でまとまりに欠けているように思います。全体的にメリハリが無く、ハッキリ言って私には退屈でした。花粉症の薬も効いていて、途中でウトウト。高いお金を
払ったのに(レンタルと比べてネ)何たることか・・・。
- 事実は小説よりも奇なり、とは往々にしてならないのがこのような伝記物映画。ストーリーに筋が通らず、一つひとつのエピソードは面
白くても、つながりが悪いのです。飛行機墜落事故シーンはさすがに凄く、ここでのVFXは見もの。また、航空会社TWAを初めとした買収劇は、昨今の日本のホリエモン騒動を彷彿とさせられました。極度の潔癖症である彼は、殆ど狂人としか思えません。映画にもありましたが、買収したラスベガスのホテルの最上階のスイート・ル
ームで、裸で椅子に座って過ごしたとのこと。映画では、幼い頃の母親の影響によるものという感じで描かれていました。
- キャサリン・ヘプバーン (ケイト・ブランシェット)、エヴァ・ガードナー(ケイト・ベッキンセール)などとの浮き名の数々のエピソードも。それにしても洗面所のタオルにも触れないような潔癖症の彼は、女性とはどうしていたのでしょうね?
(^_^;)
- レオ様が頑張っているのはヒシヒシと感じられますが、空 回りという感じです。眉間の縦じまを終始作っている表情は、やや力み過ぎではないでしょうか?それとどうもあの童顔がいけま
せん。少年が大人の役を背伸びして演じている、というように見えてしまうのです。
- 助演女優賞のオスカーを獲得したケイト・ブランシェット。 すっかりオバサンになっちゃいましたね。キャサリン・ヘプバーンがあんな喋り方をしたのかどうか私には判りませんが、良く似せていたのではないかと思います。(^o^)
- この映画の教訓。今更ながらですが、お金は必ずしも人間を幸せにはしない、でしょうか。でも、わたしゃ欲 しいけどね。(-.-)
- (劇場)
2005.03.27 CODE46 ★★★
- マイケル ・ウインターボトム監督の近未来SF作品。タイトルの「法規46」というのは、同じ遺伝子を持つ者の結婚や出産を禁ずる法律を指しています(もちろん、架空の法律です)。
- 「パペル」(パスポートとビザの機能を併せ 持つカード)の偽造事件を追う調査員(ティム・ロビンス)は、上海のパぺ
ルの発行所の従業員である女性(サマンサ・モートン)と出会い、彼女が犯人であると確信します。当然(?)二人は愛し合うようになりますが、CODE46の規制が障壁に
・・・、と言うラブ・ストーリー。
- クローン人間以外にSF的要素というと、主人公のティムが服用してるという 「共鳴ウィルス」。相手の情報を会話で少し知ってしまうと、相手のパスワードなどが判ってしまうというもの。嘘も判るので、サマンサが犯人だと判るのですが、彼はそれを報告しないのです。彼は彼女に恋をしてしまい、そこに「法規46」が絡み、切ない禁断の恋の出来上がり・・・。
- 何となく不可思議な雰囲気を漂わせている映画 です。全体的にブルーの靄(もや)が掛かったような感じ。ウインターボトム監督らしいとも言えるのかも。現実的でありそうな、なさそうな近未来の上海の街に、これまた無機質なサマンサ・モートンがピッタリ溶け込みます。キャップを被ったサマンサは正に中性的で色気は感じられませんが、中々良い味を出しています。
- ラストは万人が納得いくように無難にまとめてしまったという感じです。ただ、カタルシスは無いし、見終えてフラストレーションを少なからず感ずるのは私だけでは無いでしょう。
- 本作は全くの予備知識が無いと少々面食らうかも知れません。上述のような、クローン人間が出現している世界であること、「法規46」や「パペル」の持つ意味、「共鳴ウィルス」の存在などを知っているとより一層理解が深まると思います。つまりわたしゃ、一回
見ただけではよう判らん部分があったということ。(^_^;)
- ティム・ロビンスが大男であることがよく判ります。良い俳優ですね、この人は。
- (DVD)
2005.03.14 砂と霧の家
★★★☆
- 終盤に大悲劇が起こるとのことで、覚悟しての観賞です。(・・;) アカデミー賞主要3部門にノミネートされた話題作。
- 主人公(ジェニファー・コネリー)が税金未納のために差し押さえられた海辺の家を、イランからアメ リカに亡命した大佐(ベン・キングスレー)一家が購入する、という一見大したことのないようなお話なのです。郵便物を全くチェックしないような怠惰な生活を送る主人公や、生活の表と裏を使い分けるステレオタイプの元軍人一家の暮らしぶりが淡々描かれているのですが、後半から次第に常軌を逸してきて、最後にとんでもないことが起きてしまうという、ある意味ショッキングな作品です。
- 親から譲り受けた家を何としてでも取り戻したいという彼女。差別の中で生活をしていくために投資を目的で家を購入する大佐。それぞれの事情も判るし、どちらにも幸せになって欲しい、という観客の気持ちをどんどん揺さぶり、裏切ってくれます。相当意地悪ですね、この原作者は・・・。
- 後半で、このまま行けば双方ともに納得で、ハッピー・エンドかなというシーンがありますが、そこから逆方向に進める演出は、やや事を作りすぎたという感が否めません。前半に比べてどんどん急展開になってしまうというバランスの悪さもあります。
- 特に大佐の息子の突然の行動が説明不足で、 不自然に感じられます。一番肝心なシーンなのに・・・。
- 悲痛な祈りとその直後のシーンのベンの演技は神がかり的。涙無くては観られません。ジェニファーも息を飲むほど美しく、演技も言うことなし。この二人のオスカー俳優に加えて、片言の英語を話す大佐の妻役のショーレ・アグダシュルーが光ります。彼女の純朴さも涙を誘います。何でも実際に祖国のイランで革命家だったので、
未だに故郷の国の土を踏めないのだとか。
- この映画の教訓。郵便 物はしっかりチェックしましょう。 (-.-)
- (DVD)
2005.02.28 リディック
★★★★
- 低予算映画ながら、私としてはけっこう興味深く見れた「ピッチブラック」のこれは続編
です。この第一作でブレイクしたヴィン・ディーゼルが、何と170億円をかけて自ら制作・主演した話題大作。例えB級テイストがプンプンであっても、SF好きな私としてはこの第二作目もけっこう楽しめました。
- 主人公・リディック(ヴィン)がお尋ね者の極悪人という設定は、そのまま。宇宙征服を企む種族や賞金稼ぎなどを相手 に、とにかく暴れまくります。ヴィンが嬉々として(?)演じている、という感じ。
- 映像はややアニメ的な部分も少なくありませんが、それなりに見 応えは十分と言っていいでしょう。特に刑務所のある惑星での、日が当たるに連れて灼熱地獄となるシーンなど、昼と夜での温度差の描写や設定などは良く
出来ている思います。
- ただ、前作同様の御都合主義は健在。まあ、この手の映画では仕方がないでしょうが・・・。どこか宗教めいた件(くだ り)もあったりして、SFといいながらどこか古代の神話的でもあります。そういえば大魔神みたいなものも出てくるし・・・。(^o^)
- 暗闇でも見 える白い瞳が特徴のリディックですが、 本作では余りそれが活かされていません。マッチョな体での超人的なアクションだけが目立っています。その割には肝心な所で、2回も他人に救われるというのが何とも情けないとも言えます。
- 前作で少女だったキーラが成人して出てきますが、これを演じているアレ クサ ・ダヴァロスが中々よろしい。本作が映画デビューとのこと。
- 何とジュディ・デンチが特徴的なキャラで出演していますが、ヴィンが頼み込んで出演してもらったのだそうな。殆どカメオ出演です。
- 脇役で一番印象的だったのは、気弱な亭主叱咤する妻を演じているタンディ・ニュートンでしょう。彼女はこのような悪女ぶりがとてもよく似合います。
- オチはやや脱 力しますが、最終作につなげるには恰好の状況設定ではないでしょうか。期待します。(^_^)
- (DVD)
|