荒寺で、汚れた着流しを身に付けたものすごい髪型の男から殴る蹴るの暴行を受けている、鬼丸たち柔道部員。 どうやら、柔道の特訓を受けているらしい。男は鬼丸たちに、「勝負の世界では勝った者が正しい。戦うからには反則を犯してでも勝て」と教える。
翌朝、五郎は一平から、鬼丸たちが大怪我をしたと聞かされる。 しかし、柔道部長の荒熊はここ数日風邪をひいて休んでおり、しかも最近、鬼丸たちは学校以外の場所で猛特訓をしているという。 不審に思った五郎たちは情報を集め、スクラップ置き場へ。そこには、鬼丸たちがいた。しかしそれは柔道の稽古とはとても言えないものだった。鬼丸が部員たちを思うまま投げ飛ばしているだけだ。 五郎は「ひでぇ、あれじゃ稽古じゃない。しごきだ!」と、まゆみ達の制止を振り切って飛び出し、鬼丸をスクラップの山めがけて投げ飛ばす。 そこへ、着流しの男が現れた。 男は兵藤と名乗り、落ちていた鉄骨をねじ曲げると、「いずれまた会おう」と言い残して何故かそのまま去る。
荒熊によると、兵藤は青空学園柔道部のOBだが、勝つためには手段を選ばなかったという。 五郎たちは、鬼丸が荒熊に成り代わって部長になるために兵藤の下を訪れ、兵藤が鬼丸をそそのかしているのではないかと看破。
翌日、兵藤から五郎宛てに、決斗状が届く。 まともにかかっても勝てないと見た五郎は、作戦を練る。
大粒の雨が降り、雷が空を切り裂く中、兵藤に指定された荒寺へと向かう五郎。 五郎と兵藤は雄叫びをあげて取っ組み合うかに見えたが、雷が落ちて境内の木が倒れた一瞬の間に、五郎の姿が消えていた。 いつの間にか、荒寺の屋根に登っていた五郎。兵藤も五郎を追いかけ、屋根の上で組み合ったが、崩れ落ちる瓦や雨に足を取らてしまう。 だが五郎はあらかじめ、自分の身体と屋根の尖塔をロープで結んでおり、屋根から落ちたのは兵藤だけだった。 気を失って動かなくなった兵藤。五郎の作戦勝ちということになった。
しかしその直後、屋根は五郎の体重に耐えかねて壊れる。五郎は地面に落ちて、更に破片が頭を直撃。目を回して倒れる五郎だった。
しかし何よりも、兵藤の地球の重力にとらわれない凄まじい髪型は、筆舌に尽くしがたいものがある。 これに比べたら、五郎が気を失うときの情けない表情、叔父に叩かれたときの思わず吹き出すような顔など、取るに足らない。
『ばくはつ五郎』全話リスト
何故かテニスコートでテニス部員を相手にテニスを楽しんでいる、まゆみ。その様子を柔道部長の荒熊が薄気味悪い笑みを浮かべて眺めていた。 柔道部の練習のときも、荒熊の頭からはまゆみのことが離れず、副部長の鬼丸はおろか、三下の清水にまで投げ飛ばされる始末。 取材に行っていた一平がその場面を目撃して大笑い。一平は物理法則を無視した動きで投げ飛ばされる。
荒熊はラブレターを書き、まゆみに読んでもらうために新聞部室に忍び込んでまゆみの席に置いたが、忘れ物を取りにきた五郎に発見されてしまう。 後頭部を何度も殴られ、事情を聞かれた荒熊は、仕方なく五郎に事情を打ち明ける。絶対に口外しないと約束する五郎。
翌日、手紙を読んだまゆみは、五郎を家に呼んで手紙を見せ、荒熊に突き返して「もう二度とこんな手紙を書かないで欲しい」と言ってくれるよう頼む。事情を知る五郎は断ろうとするが、迷っているうちに無理矢理渡されてしまった。 まゆみの家を出ると、二人を見かけて張り込んでいた荒熊がいた。荒熊は、返事が来るまで毎日でも手紙を書くから、まゆみに届けてくれるよう、五郎に頼む。何度も土下座され、こちらも断りきれなかった五郎。
翌日、荒熊は五郎に手紙を持ってきた。まゆみに渡そうとしたら、「昨日はありがとう。うまく渡してくれた?」と先手を打たれ、結局どうにもできない五郎。 仕方なく手紙をポケットに入れたままにしていたが、上着を脱いだ際に落としてしまう。 手紙を見つけた一平は、いつも彼を馬鹿にする荒熊に復讐するつもりで、手紙を掲示板に張り出す。
何故か一平が犯人だと睨んだ五郎は、一平を屋上に呼び出してフェンスに投げつけ、「本当のことを言うんだ」と迫る。 それでも「たとえ僕がやったとしたって、大石君にとやかく言われる筋合いはない」と言う一平を、五郎は「爆発だーっ!」と叫んで張り倒す。 とうとう白状した一平に、五郎は「あの手紙を貼ったのはお前だってことを誰にも喋っちゃいけないぞ」と約束させ、柔道部室へと向かう。
五郎が犯人だと思い込んでいる荒熊は、五郎を殴り飛ばし、更にその場にいた柔道部員全員で取り囲んで蹴りつける。 様子を見ていた一平は、五郎の言葉の意味を悟り、柔道部室に飛び込んで自分がやったと打ち明ける。 しかし五郎は、そんな一平を「いい格好をするな! お前みたいなヘナチョコに何ができるんだよ」と張り倒す。
ようやく解放され、謝る一平に向かって五郎は「元はといえば、両方の頼みをちゃんと断らなかった自分が悪い」と反省。そこへまゆみが来て、事情を問いただす。 そのとき荒熊は柔道部室に座り込み、「元はといえば、自分が手紙を頼んだのが悪かった。そのせいで、まゆみにも迷惑をかけた」と反省していた。
さっきは一平に「さあ、帰ろうか」と言っていたのに、何故か校庭をまゆみと二人きりで歩いている五郎。 五郎は荒熊のラブレターを「なかなか感じが出てた」と評価し、荒熊のことも「乱暴だけど、根はとってもいい奴だぜ」と褒める。 それも荒熊に頼まれたのかと迫られ、慌てて手を振って否定する五郎。 そして何故か大笑いする、五郎たちだった。
新聞部長のはずなのに、何故か他のテニス部員達を差し置いてテニスコートにいるまゆみ。しかも服装は、テニス部員と同じユニフォーム。 う〜ん。
上着を脱いだとき近くにいたというだけで、一平を犯人扱いする五郎。しかもその推測(?)は当たっていた。 う〜ん。
上記の他にもあちこち細かい部分が気になるし、演出の方も気になる部分が結構…。 そして最大の疑問は、サブタイトルの「男はつらい」というもの。いったい誰の何がつらいのか、さっぱり不明。 どうしたもんでしょ。
青空学園に、3歳くらいの幼児が入り込んでいた。 その「坊や」は授業中の教室や職員室にも侵入。いたずらをしても教師もあまり強く叱れず、学校中が大騒ぎに。 遊び場が無いから学校へ来るのは仕方がないと言い、邪魔をしないようにと優しく諭すまゆみと、優しくしたりちやほやするから学校に来る、厳しく言うべきだと主張する五郎は激しく対立する。 坊やの悪戯は、次第にエスカレート。授業や部活の邪魔をしたり、生徒の私物を入れているロッカーを勝手に開けて中身をぶちまけたりと、やりたい放題。それでも「坊やがかわいそう」というまゆみは、孤立してしまう。
坊やは野球部の練習にも闖(ちん)入。転がってきたボールを持って、走り去ってしまう。 しかし、坊やが逃げ込んだ先は、土管の積んである空き地。坊やは土管の上へと登ったが、そのとき、土管が崩れて、生き埋めになってしまう。 知らせを受けた五郎は、自ら瓦礫の中へと潜り込み、坊やを救出。 五郎は「悪いことは悪いと教えるんだ」と悪戯をした坊やを叱るが、まゆみは「五郎さん、あなたって元々意地が悪いのね」と、またも坊やを甘やかす。
しかし次の日から、坊やは学校に来なくなった。来れば邪魔だが、来なければなんとなく寂しく思う生徒達。 坊やの住所を知ったまゆみ達は、取材を兼ねて様子を見に行き、坊やが大型トラックにはねられて入院していると知る。 坊やは、両親を事故で亡くし、祖母に育てられていた。学校に来るのを何よりも楽しみにしていたが、学校に来る途中で事故にあったのだという。 話を聞いた五郎は、「畜生、爆発だーっ!」と叫んで何故かいきなり新聞部室のゴミ箱や椅子を蹴り倒し、校庭の鉄棒で何回転もして、「だから厳しくしろって言ったんだ、バカヤロー!」と涙を浮かべる。
坊やの手術のためには、輸血用の血液が大量に要るという。 まゆみ達は、学校で「私たちも献血しようではありませんか」と呼びかけるが、学内には反対意見が多い。 五郎はやおら立ち上がると、「バカヤロー! お前達は何ちゅうバカを言うんだい!」とクラスメイトの胸ぐらを掴み上げて、「血を分けてやろうじゃないか」と涙を流しながら叫ぶ。 16歳未満は献血できないと知っても、五郎たちはあきらめない。新聞の号外を出し、兄姉や父母に献血を頼もうと運動を繰り広げる。 手術は成功し、手を取り合って喜ぶ五郎とまゆみだった。
生徒の多くから支持されたように、子供が悪いことをしたら叱るという五郎の意見は、ごく当たり前のものだ。 しかしまゆみはそれを快く思わず、ただただ甘やかす。その様子は、子供の精神面の成長を望むのではなく、縫いぐるみやペットを可愛がっているかのようだ。 五郎とまゆみの意見の相違が決定的になろうとしたところで、事故のことが分かり、結局その辺りの決着はうやむやに。 …つまり言い換えれば、まゆみの考え方は、正される機会を失ってしまったということだ。
相手の見た目の可愛さに正常な判断力を失い、悪いことを悪いことだと思えなくなるような者が、新聞部の長という地位にあって良いものか。
青空学園野球部の練習中、バットを磨いたり、部室に花を飾ったり、怪我をした部員の世話をしている秋山京子。 彼女は正式な部員ではないが、とにかく野球が好きで、毎日グラウンドに入り浸っている。 そんなとき、マネージャーが転校することに。本来ならばサブマネージャーが昇格するのだが、マネージャーは後任に京子を推薦する。 どちらを新しいマネージャーにするか、野球部内で意見がまとまらず、投票で決めることになった。 結果は、26票対3票で京子が圧勝。
だが、エースの三沢は、「京子をやめさせなければ練習にも試合にも出ない」と言う。 三沢は、自分が人望の無さのせいでキャプテンになれなかったことを根に持っており、普段からキャプテンの藤川に反対してばかりだったが、自分の子分だったサブマネが落選したことで、ますますいじけてしまったのだった。 三沢に対する反感は学校中に広まり、新聞部でも三沢を非難する記事を書く。
京子は、自分がマネージャーになったせいで野球部がガタガタになったと思い込み、マネージャーをやめると言い出す。 キャプテンの藤川と共に新聞部を訪れた京子は、五郎たちに、新聞でも三沢を非難しないよう頼む。 並々ならぬ京子の野球への思い入れには、何か事情があると睨んだ五郎たちは、京子を追いかける。
野球部から京子がいなくなり、三沢は口笛を吹きながら練習に向かう。そこへ現れた五郎。 三沢は「何も話すことはない」と去ろうとするが、五郎はいきなり腕をねじり上げて引き留め、京子から託されたノートを渡す。 そのノートには、今度の大会で対戦するチームの主力打者のデータが記されていた。
昨年、春と秋の大会で優勝した中学に、秋山という投手がいた。彼は、京子の弟だった。 そのノートも、元々は京子が弟のために準備したものだったが、弟は交通事故でこの世を去ってしまったのだという。 京子の気持ちを無にするなと言い残し、五郎は涙を浮かべる三沢を残して去る。
試合当日、青空学園は決勝戦まで進んだが、疲れが出たのか、最終回になって突然三沢はコントロールを崩す。 ノーアウト満塁のピンチで、ますます焦る三沢。 京子はその様子を見て観客席を飛び出し、マウンドへと向かう。 審判に注意されたが、「彼女はマネージャーだ」と言う三沢。
京子のアドバイスのおかげで三沢の焦りが消え、トリプルプレーでゲームセット。 ウイニングボールを京子に手渡す三沢。見つめ合う二人を見ながら、喜ぶ五郎たちだった。
女子がマネージャーになるということで大騒ぎになっていたが…う〜ん。 部員はおろか、審判までもが「女の子がこんな所に出てきては困る」と平気で言ってのける。 マネージャーが女の子でもおかしくないという私の感覚は、あるいは「タッチ」に影響されたものなのか。 息をするのも面倒だ(謎) そして今回は、特筆すべきことが! 野球部でゴタゴタが起きたのは自分の記事のせいだと落ち込んでいた五郎を、まゆみが慰める場面がある。 そのとき、まゆみが言った。
「しっかりしろ、ばくはつ五郎!」
なんていうか、面白味も『五郎』らしさも無い、ごく普通の話。
余談だが、三沢の声は、ルパンIII世でお馴染みの山田康夫氏。 …あの声で女の子を邪険に扱われると、ものすごく違和感がある。(笑)
何故かまた学園祭の準備をしている、青空学園の生徒達。 新聞部は各クラブの催しを取材するが、どこも前年と代わり映えのしない内容で、面白味がない。 唯一、生物部は何か大きなことを企画しているらしいが、秘密主義を貫き通し、取材を拒む。
生物部長の北川の父親は、趣味で様々な骨董品をコレクションしており、彼は家の地下室からエジプトのミイラを持ち出して展示しようと計画。 その様子を、怪しい男が物陰から覗いていた。
学校祭当日。 生物部は、エジプトのピラミッドを真似て、大きな迷路を部室に作っていた。 迷路の中には、隠し扉や落とし穴などがあり、その中の部屋にミイラが展示されていた。仕掛けの大きさに驚き、賞賛する五郎たち。 その様子を見ていた怪しい男が怪しい呪文を唱えると、突然ピラミッドが崩れ、一平が生き埋めになってしまい、ミイラも消えてしまった。
学校に駆けつけた北川の父によると、ミイラは紀元前のエジプト王子のもので、それまでミイラを持っていた者はみな不吉な死に方をしたという曰く付きの「呪いのミイラ」だという。 北川の父は戦争中に南方でミイラを入手、その美しさに手元に置いていたが、ずっと地下室にしまい込み、20数年間誰の目にも触れさせず、そのおかげで呪いを免れていたと告げる。 急いでミイラを探す五郎たち。
呪いは、更にエスカレート。肖像画の口から血のような赤い液体が流れ落ちたり、燐を燃やして火事に見せかけたり、突然天井からミイラ(中身は一平)が落ちてきたりと、学園祭はめちゃめちゃになる。 隠されていたミイラを見つけた五郎は、それを囮に、犯人をおびき出す。 犯人は、昨日からいた、あの怪しい男だった。「神秘の術と呼ばれるヨガの術を身に付けている」と自称する男は、投げナイフと催眠術を武器に五郎に襲いかかる。 何故学園祭を荒らすのかと訊ねる五郎に、男は「そのミイラは我々アラブ民族の尊い宝だ、返さぬとお前を殺す」と迫るが、隙をついて五郎が反撃。 男は投げ飛ばされて頭を石にぶつけ、気を失う。
学園祭も再開され、生物部の展示室は多くの観客で賑わう。 北川の父は「民族の遺産は一個人が自分のものにするべきではなかった」と、学園祭後にミイラをアラブに返すことを決意。 安心する五郎たちだった。
今回もツッコミ点がいっぱい。 もう、「爆発だーっ!」と叫ばないどころの問題じゃない。(笑)