(10月2日)毎年この時期 栃木県では山岳連盟主催のフリークライミング競技会が開催されます。 此のフリークライミングと言う遊びは まだ一般の人達には馴染みの薄い遊びで 「とてもハードな岩登りだ」と言う位の認識で 普通の人には無縁の様に思われて居るでしょうが 実際には 整備されたゲレンデや 最近増えてきた人工壁等で しっかりとしたベテランの指導の基でやれば 初めての人でも 比較的安全に楽しめる遊びなのです。 涼しくなったこの時期に向いた遊びでも有りますので 今回はこの一見「危険で怖そう」な遊びについて ふれてみたいと思います。
山登りでは 「速さや高さを 人と競う」という事は あまり無いのですが このフリークライミングは「岩登り」の限定された極一部の要素を取り出し 一つの遊びとしたもので 次第に難易度を競う様になり やがて人工的な壁の出現により”競技”として成り立つ様に成りました。
しかし 此を競技として捉えて居る人は極一部で 私も含めて 競技としてで無く「クライミング」そのものを楽しんで居る人が大多数でしょう。 高さにすると僅か15メートル程度(登ると高度感がある)の壁でも 今まで登れ無かったルートを登れた時等は なんとも言えない達成感が得られます。
では 具体的に「どの様に遊ぶのか」と言いますと 「フリークライミング」と言う呼び方で現されているので 直訳すると「自由登攀」と成りそうですが 此は少し違い「道具を用いず素手で登る」と言う意味で「フリー」と言い 特例の二つを除いて 登るためにはまったく道具を使用しません。 此の特例とは クライミングシューズと呼ばれる 底がF1のレーシングタイヤの様に平で柔らかなゴムが貼って在り きつい位足にフィットした靴と 通常「チョーク」と呼ばれる 体操などで滑り止めに使う炭酸マグネシュウムの粉末で 此等を手と足の滑り止めとして 其れだけで岩(壁)を攀じ登ります。 他の一切の道具を使ったり 人工的な物をホールドとして掴んだりすると 「フリー」では無くなって仕舞います。 でもこれでは力尽きて落ちたら「怪我」は勿論致命傷にも成りかねません。 それでは怖くて楽しむどころでは有りませんので 予め「トップロープ」と言う方法でクライミングロープをセットして置いたり または「リード」と言う 自分でセットしながら登る方法で 落ちても安全に止まる様にしてあります。 これ等一連の確保技術は 登る技術より大切な事で 登れなくても怪我はしませんが 確保技術がいい加減では 命が幾つ在っても足りません。 少し登れる様に成った方でも 充分な確保技術が身について居らず 漫然とロープをつないで居るだけと言う方も見受けられます。 これからやってみようと思われる方は 自己流は避け 最新の安全理論を身につけた ベテランの指導の基に始め そして先ず最初に 納得した確保技術を身につける事により初めて”確保してくれるパートナー”と”一本のロープ”に安全を託して 自分のクライミングが楽しめる様に成るのではないかと思います。