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体力とトレーニング


(9月18日)

 野遊びをする為には、ずば抜けた体力は必要有りません。 自分の体力に合った遊び方をすれば良いのです。 と言いましても、多少はトレーニングをして置いた方が、実際の行動時に余裕を持って快適に楽しめるのは明かです。 それと、エネルギーの補給も体力を維持する為には、努めてしなければ成らない作業の一つです。 普段は、「お腹が空いた」と云う信号で、叉は「時間だから」と云う事で 何気なくしている事ですが、ハイキングや登山等の長時間にわたる継続した運動状態では、その信号を巧く感じられなかったり 又消耗が激し過ぎて補給が追い着かなかったりしてしまいます。 そこで此を予め科学的に理解し、先手を打って補給してやらなければ成りません。 と言う事で、今回は此等の内、体力とトレーニングについて考えてみたいと思います。
 体力には力を直接発揮する筋力と、その筋肉が動き続けられる様に、エネルギーや酸素を送り続け、老廃物を回収排泄という、一連の補助的作業をする心肺機能とが有ります。 長時間の山歩きをする為には、此等の機能がバランス良く、しかも持久的な運動に適したように強化されなければ成りません。
 筋肉は過度の運動を継続しますと、機能を徐々に損なって来て仕舞います。 先ず一つは「きつい」と感じる運動を継続すると、「無酸素運動」という状態に成り、通常の「エネルギーと酸素補給」 「二酸化炭素排泄」と云う循環をせずに、筋肉の中だけで処理をして仕舞い、筋肉内の備蓄エネルギーを使い、乳酸と言う排泄物を筋肉内に蓄積して仕舞います。 これが溜まると筋肉は正常に作動しなくなって仕舞い、いわゆる「バテ」と言う状態に成って仕舞います。 この乳酸の排泄には時間が掛かり、その間正常な運動が出来なく成って仕舞います。 したがって、この様な状態に成る事は避けなければ成りません。 では「どの様にしたら良いか」と言いますと、無酸素運動状態に成らない様に、ちょっとした段差を蹴り上がったり、「そこまでだから」と無理をして駆け上がって仕舞ったりしない。 つまり短距離走的な運動状態を避ける。 感覚的には「きつい」と思う状態は避け 「ややきつい」以下の状態、 つまり「有酸素運動」状態で歩き続ける様に心掛けると良いと思います。
次に 下降時には心肺機能面では楽な運動状態に有りますが 筋肉や靱帯及び関節に取っては大変きつく、疲労というより損傷という形でダメージを受けて仕舞います。 筋肉や靭帯の繊維が 極僅かですが切れて炎症を起こして仕舞う様で 痛みを覚えてさえ来ます。 これを避ける為には 急な段差を飛び降りる様な加速度がつく降り方は避けて、上半身を巧く使い腰の屈伸も利用して、膝に負担が集中しない様にします。 最近、良く見掛けるストック等を、補助的に使うのも良い方法だと思います。 しかし、これは何処でも使えるわけでは無く、根本的な解決はやはり普段のトレーニングに勝る物は無いと思います。
 比較的楽に行えるトレーニングとしては、速歩や自転車等で「ややきつい」位の程度で30分程継続し、体が温まって来たら階段の登り降りや軽いランニングを自分の体の状態に合わせて徐々に増やして行くと良いと思います。 でもやはり一番良いトレーニングは野山を歩く事です。 時間の許す限り近場のフィールドでトレーニング山行をすると良いと思います。 しかし、これも過ぎると疲労が蓄積し、故障の原因とも成りますので、特に年輩の方は適度な休養を挟んで、無理の無いように楽しんで戴きたいと思います。