装備の手入れ・B


(9月11日)

 定期的な台風の通過と供に徐々に残暑も和らぎ 高原では涼しさの増す時期となり 野遊びに於いてもウエアーや道具の性能が 益々重要度を 増す時期と成って来ました。 前章より 色々な道具の特殊な効果、性能を出来るだけ永く良い状態で維持出来るような手入れ方法に就いて話をすすめて居りますが 今回は靴やガスバーナー叉はテント等について 考えて観たいと思います。
 先ず靴の手入れです。 最終的な処理は素材に拠って異なりますが 最初にする事は共通で 泥などの表面の汚れを水で洗い流します。 この時に草の種などを他の地域に持ち込まないようにする為に 靴底も一緒に洗い流して置きます。 乾かないうちでしたら簡単に落ちますので 現地(使用後すぐ)の水場でして仕舞えば 後々楽に手入れが済む事に成ります。 それから此を陰干しに拠り乾かし その後は素材に応じた手入れをします。
 一部が革で補強されたナイロン製の靴は 繊維用の撥水剤で処理をします。 全体が革で出来て居る靴は 革用の保革防水クリーム等を用いますが あまり塗り過ぎも良くありませんので 表面に残らない程度にし 指で直に体温で溶かしながら擦り込む様に塗ると良く延びて 表面に均一なワックスの皮膜が出来ます。 又 最近ヌバックと呼ばれる起毛処理をした革を使った軽登山靴が多く成って来ました。 此の革は油脂やパラフィンで艶を出さずに 其のままの風合いで使用した方が善い革ですので 
専用(ヌバック用)の防水スプレーか又は”フッ素系防水ジェル”と云うゼリー状の塗り物で処理をします。 何れの場合にしても 色々な素材を複合的に使用した物が増えて来ましたので 手入れ方法も難しく成って来たのが現状です。 新しい靴を求められる時には 間違った扱いで寿命を縮めない様に 手入れ方法に就いても納得のいくように説明を求めると良いと思います。
次に 最近日帰り山行でもよく使われる様に成った ガスバーナーですが 実際に使用して居る時に具合を観ておき 調子が悪ければ安全に関わる事ですので専門店で点検をして貰うとよいと思います。 故障では無いのだがどうも調子が悪い」と云う場合の原因に 「ガスの供給が巧くいって無い」と云う事がよくあります。 此は低温下で使用した場合によく有る事で 安全の為に気化温度の違うガスを混ぜて 使用条件に応じたカートリッチを製造して居り 製品の特性と使用条件が合わない為に起こる事で 思い当たる方は燃料を求める時に相談をしてみると良いと思います。
 次にテントですが 此は基本的には乾燥させるだけで充分で 其の際 もし破損が有れば修理に出し 縫い目部分のシームテープが剥がれて居れば アイロンで加熱接着したり 専用の接着剤で目止めをして置くと良いと思います。 又アルミ等のポールは乾拭きして ショックコードの点検もして置きます。
色々上げてみましたが此でもまだ充分では有りません しかし此等を一々して居たのでは大変で 遊びに行くのが億劫に成って仕舞います。 そこで我々は改めて点検しなくてよい様に 使用時に具合をチェックしておき 使用後の始末も現地で済ませられるものはして置き 家での手入れが簡単に済む様に心がけて居ります。 
 此等道具は 幾ら研究が進み拠り良い物に変わったとしても 所詮道具で 使う人の手入れや利用技術に拠って 効果や結果に大きな差が出て仕舞います。 是非その事を理解して 巧く道具とつき合って頂きたいと思います。