夏山の技術A

(7月10日)

 梅雨明けも間近 もうすぐ夏本番と言う事で 前回より夏山の計画に就いてお話をして居りますが 今回は夏の高山で予想される危険とその回避方法に就いて考えてみます。
 先ず一つは強い日差しが挙げられます 当然”夏”ですから強い日差しは予想されると思いますが 此の強い光には熱をもたらす赤外線と 高山では平地より数段強い紫外線を含んで居ります 従って短時間でも すごい日焼けをします。 酷い時には火傷の様に赤く腫れ上がり 触る事が出来ない位に成る事もあります。 半袖や半ズボンでの行動は控えるか 敢えて肌を出す場合は日焼け止めクリーム等の使用をお勧め致します。 又 紫外線により目を傷める事も有ります。 残雪上を長時間歩きますと照り返し(直接太陽光を受けなくても 雪に拠り反射した紫外線)に由り目が焼かれ”雪目”と云う状態に成る事で サングラス等を用いて防止します。
 それから赤外線の方ですが これを受けると熱を生じ暑いと感じ 汗を流す訳ですが 此に拠ってダメージを受けるのは 頭から首筋にかけてです。 長時間日差しを受け続けますと 日射病や熱射病等の危険な病気に成る事も有ります。 普通 頭は帽子を被って保護しますが 首筋は無防備な事が多い様です 特に太陽に背を向けて歩くときには首筋に直射を受け易いので 帽子のつばを後ろに向けるかバンダナ等を巻く様にして 日差しを防ぐ様工夫したいものです。
 其れから強い日差しの日の午後に予想されるのが雷です。 強い日差しで温められた空気の上昇に拠って発生する訳ですが 上空に若干の寒気が有ると更に発生の確率が高く成りほぼ毎日連続して発生します。  此の雷に対しては遭遇した時の対処方などとして 「金属を体から外し狭い稜線は避け 廻りより低い部分で姿勢を低くしてやり過ごす」等と言われて居りますが 此は気休め程度の対処方で 本当に肝心なのは 発生時に危険な場所 詰まり痩せ尾根や逃げ場の無い稜線上に居ない様にする事です。 それには計画段階から想定して 予想発生時刻には安全な場所に移動しているか その日の行動予定が終了して居る様に計画しなければ成りません。 例えば発生予想時刻が午後3時位で有れば余裕を観て2時には行動を終了する様に計画します 行動時間8時間とすると 朝のスタートは6時と言う事に成ります、 実際には 稜線上の行動としては遅い方で2時半起床 4時スタート等と言うのも珍しくは有りません。
 此は安全の為にする事ですが 早発ちにはおまけに良い事も付いて来ます。 稜線上で素晴らしい日の出を観れる事も有りますし 少しでも涼しい時間帯に行動を消化する事も出来ます。
 私も含めて 早起きはどうも苦手だと言う方も多いと思いますが 野遊びや山歩きでは安全につながると云う事も有りますので 是非 早起き早立ちをお勧め致します。