黄鉄鉱プレゼントは以外に希望者が少ないのでがっかりしています。とはいっても皆さん興味が無いわけではなさそうです。
理由は”見たことも無いもの作れない!”
ということが大きな原因でしょうと忠告を頂きました。
今回は”自作の勧め”です。
鉱石検波器は金属の酸化皮膜(錆びと考えても良いでしょう)の整流作用を使っていることはお話しました。つまり酸化皮膜を電流が通過するとき整流(検波)されるのです。
金属の酸化皮膜は金属の種類によって機械的電気的性質が違ってきます。
たとえば鉄の赤錆は不安定で大気中でどんどん錆びていきます。アルミニュウムの酸化皮膜は丈夫で、大気中ではすぐに皮膜が出来ますが進行しません。これを人工的に強固のしたものがアルマイトで硬くて完全に絶縁物になってしまいます。
この両者の中間的存在のものが整流作用を示すようです。鉄の黒錆び、亜酸化銅、などいろいろ研究されたのが前回お話した19世紀後半です。
その結果電気的な丈夫さ(絶縁性)が弱からず強からずちょうどちょうど良い・・・鉱石ラジオには方鉛鉱と言うのが常識的になったようです。
そしてさらに金属中の電子の動きについて研究して出来上がったのがゲルマニウムダイオードです。その構造は虫眼鏡でのぞいてみれば固定されてはいるものの探り式鉱石検波器と同じであることがわかります。
鉱石検波器は分解してはいけない。
探り式の検波器は構造が丸見えですから分解するまでもないのですがFOXTONのような固定式は分解したくなります。私もやったことがありますがあけるたびに調子が悪くなります。
最近実験していて気が付いたのですが”夕鶴”のおつうと同じで中をのぞいてはいけないのです。
理由は定かではありませんが間違いないと思います。ネジを閉めたり緩めたりすると押しバネもいっしょに回ってしまいそれを繰り返すことにより皮膜の破壊が起こり整流作用がなくなるものと思います。壊れたものをテスターで測ると抵抗値が低くなっています。またテスターの低抵抗レンジは数10mAも流れることがあり測定によって壊れる可能性もあるようです。インピーダンスの高いデジタルテスター以外では測定しないようにしましょう。デジタルテスターにあるダイオードチェックもやってはいけません。
昔から調整用の穴が横にあいてました。そこから針などをいれて調整してください。(バネをはじくようにして石の位置をずらします。)
*鉱石検波器はゲルマニウムダイオードに比べ感度が落ちます。電波の弱いところでは大きなアンテナとアースが必要になります。
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【市販の部品で作る固定式検波器】
黄鉄鉱原石(2mm程度の小粒)・・・1個
4×20絶縁カラー(タップつき)・・・1個
4×3真鍮カラー・・・2個
4×8ビス・・・2本
3×10コイルスプリング・・・1本
フューズホルダ・・・1個
黄鉄鉱(方鉛鉱)は鉱物標本屋さんで購入できます。(\300~\1000)
その他ビス、スプリング等はは模型屋さん、ホームセンタ、秋葉原で入手できます。
全部揃えて\200でおつりが来ると思います。組み立てのときタマゴラグを入れればフューズホルダは不要ですがホルダを使うと交換や実験に便利です。
スプリングは柔らかいものを使います。最後の1巻きは中央に折り曲げ鉱石が中に落ち込まないようにします。
鉱石とスプリングを中に入れ両端からカラーを嵌めてビス止めすれば出来上がりです。
絶縁カラーの中央付近に小穴をあけておけば完成後針などを差込み調整が出来ます。
フューズホルダは少し口を開いてしっくり検波器が入るように金具を調整します。
原石プレゼント欄参照
【探り式検波器】
探り式を作る場合は大きな鉱石が必要です。鉱石を鉛などでベースに固定したり、簡単にビスで固定したり製作者の工夫が決め手になります。次回に制作例を発表します。
【制作上の注意】
鉱石の表面の酸化皮膜が重要な役割をします。磨いたり硬いものに当たったりすると皮膜が破れ検波作用がなくなることがあります。固定式の場合何回もネジを動かすと検波しなくなることがあります。テスターの低抵抗レンジで測定すると電流が流れすぎ検波作用をしなくなることがあります。いずれも酸化皮膜の破壊が原因と思われます。
【ja1cvf 0103】
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