トルコ旅行２００６雑感
　(７) 鎖と大砲： 鎖 オスマンのスルタン、メフメト�鏡い�コンスタンティノープルを攻略しようとした時、ビザンツ帝国側 は海からの攻撃に対応して金角湾の入口に鉄製の鎖を張った。所々にブイを付けて鎖を浮かせて船が金 角湾に進入できないようにした。その鎖は今一部錆びて細くなっているところもあるが、イスタンブー ルの軍事博物館に展示されている。鎖の一環の長さは目測で40センチ、重さは５キログラムほどであろ う。その横には金角湾の入口にどう鎖を張ったか、模型の立体地形が示されている。
トプカプ宮殿の下、スィルゲジ駅のあるあたりから、新市街のガラタ橋横、ボスポラス海峡を渡ってユ スキュダルへ行くフェリーの発着所のあるカラキョイ桟橋あたりに鎖を渡したようだ。これでコンスタ ンティノープルは海側からは不落の要塞都市となった。
この鎖の内側にビザンツ防衛にきたヴェネツィアの数隻の軍艦を引き入れたので、大型船を持っていな かったメフメト�鏡い離椒好櫂薀抗ざ�からの攻撃は失敗した。
そこでメフメト�鏡い蝋佑┐拭�あるいは、その15年前にヴェネツィアが北イタリーでポー河からガルダ 湖まで艦隊を陸上輸送したことを誰かから聞いた。当時中立の態度を示していたガラタ地区のジェノヴ ァ人居住区を廻る城壁の外側に木材を並べて軌道を造り金属製の足の付いた荷台の上にオスマン艦隊の 船を乗せて牛と人の手で丘に押し上げた。ボスポラス海峡側で船を陸に上げた地点は、当時アヤソフィ ア大聖堂からは見えないドルマバフチェの辺りだったという。又、ジェノヴァ人居住区の城壁の外側の 丘を回って船を下ろしたところは金角湾内の地、カスムパシャであったという。
ドルマバフチェの宮殿の横に行ってみた。そこは以前は低地で海岸線はもっと引っ込んだところにあっ たそうだ。陸地の奥の方に次第に高くなっているが、丘と丘の間のようなところであった。今はボスポ ラス海峡に面した石畳の小さな広場になっていたが、何の案内図も記念碑も建っていなかった。ただ、 ガイドがここだというのを信じるほかに無い。コンスタンティノープルの金角湾側の城壁は西側の城壁 よりもかなり薄く弱いものであったようだ。金角湾内に入ったオスマン艦隊の砲撃によって、城壁は少 しずつ崩されていったという。
大砲 メフメト�鏡い�最後の攻撃に使ったのは、当時世界最大の大砲であった。あるハンガリー人がビザンチ ン帝国に巨大な大砲の図面を見せに行ったが簡単に断られた。「そんな巨大な大砲が造れるわけはな い」とでもいったのだろうか。次に彼はメフメト�鏡い鯔�問し、「コンスタンティノープルの城壁を破 壊できるほど強力な大砲を造れる」といって注文を取って帰った。砲身の長さが8メートル、直径が外 径で50センチもあり、石の砲丸の重さは600キロはあったようだ。その大砲そのものか、後のコピーか は分らないが、軍事博物館の正門を入ったところに砲身と石の砲丸が一個飾ってある。砲身は銅特有の 青錆に覆われていた。メフメト�鏡い呂海竜靄い魄�っ張り出してテオドシウスの城壁を狙わせた。
自分たちの大砲の射程外から打ち込んできて西側の陸路を隔てる三重の城壁が少しづつ崩されてゆくの を唯見ているだけのコンスタンティノープル防衛軍、及び市民たちの気持ちが手に取るように分る。彼 らができることは砲撃の合間に崩された城壁を人海戦術で組みなおすことだけだった。その三重の城壁 は、結局50日を超えるオスマン軍の攻撃に耐えた。しかし、一番外側の外壁にオスマン軍が取り付いた とき、その外壁と内壁とをつなぐ城門のかんぬきを閉め忘れてしまった。かくして城壁を完全に崩され ること無くコンスタンティノープルはメフメト�鏡い亮蠅僕遒舛拭�千年続いたビザンツ帝国は終焉し た。時は1453年、日本は室町幕府第8代将軍、足利義政の時世であった。ちなみに、足利義政の夫人が 日野富子である。



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