トルコ旅行2006雑感
 (4) トルコ・ライス: エディルネ 世界の美食料理といえばフランス料理、中華料理、そして三番目にトルコ料理をあげる人も多い。イスラムの国ではあるが、トルコ共和国の父ムスタファ・ケマル・パシャ・アタチュルクが政治と宗教を分離したことで酒類が飲めるようになった。ビールやワインなどなかなか良いものがあるし、ラクという地酒でアブサンの一種もある。
トルコのヨーロッパ側(トラキア)からアジア側(アナトリア)の西半分まで11日間の旅行ではそのほとんどがビュッフェ式の食事であったから、何を注文するかメニューを見て迷うことは無く、目で見てうまそうな料理を必要なだけ取ることができたが、全て私の口に合うものばかりであった。一見してギタギタと反射するオリーブ・オイルの中に浮かんでいるような料理は見あたらなかった。但し、羊と鶏肉が主体で、牛肉はほとんど無く、豚肉は全く見あたらなかった。イスタンブールの新市街にあるホテルの近くに、遠くからでもそれとわかる外見をした中華料理屋が一軒あったから、イスタンブールではイスラム教徒以外の人が豚肉を食べることも可能であろう。
イスタンブールには海鮮料理専門店もあり調理前の魚を見て調理法を指定することもできたし、エディルネ(写真)ではギリシャとの国境を流れるメリチェ河で取れたナマズのフライも出された。ただし、海鮮料理では日本の料理人を呼んで醤油の使い方を習ったらもっと良いだろうなぁと思ったし、ナマズのフライは我々一行12人がいっせいに同じものを注文した結果、いっぺんにテーブルに供されず、遅れて出て来たものは半生であった。
トルコに行く前ある情報誌で知ったのだが、長崎にトルコ・ライスというのがあって、ピラフとスパゲッティとトンカツという3種を一つのさらに盛ってある、これが基本だが市内のほとんどの洋食屋にあるメニューであって、しかも店によって多少のバラエティーがあるという。この話に旅行仲間の一人が「エッ、トンカツ?」と疑問を投げかけていた。又、私の住まいの最寄の私鉄駅ビルにある洋食屋でも、トルコ・ライスと銘打ったメニューが表看板に出たことがあった。看板につられて注文をしたら、カレー風味のピラフに、にんじん、グリーン・ピース、コーンが少々入り、辛目のミート・ソースがかけてあった。このときは、日本の米ではなくロング・ライスでピラフを作ればもっとさらりとした舌ざわりで良かったのになぁと思った。
実際にトルコに行ってみて、この、いわゆるトルコ・ライスと称するものがあるかどうか、各地のビュッフェ・テーブルをくまなく探してみたが、見あたらなかった。ある海外旅行ガイド・ブックにトルコのピラフは松の実の入ったシンプルなバターライスであって、ピラフの上にユル・イェメッキという煮込みを乗せたり、鶏肉を乗せたりしてもらう裏技的オーダーを覚えると良いと書いてあった。「トルコ・ライス」とは、日本人の発明によるものかと思う。
インドには絶対存在し得ないビーフ・カレー・ライスがあったり、中華料理的ラーメンがあったり、生魚の刺身や寿司を食べたり、さらに世界の主要都市で日本式の料理店があったりと考えてみると、「日本料理」ではなく「現代日本の料理」はトルコ料理の上に置いても良いのかもしれない。



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