トルコ旅行２００６雑感
(３) チューリップと七面鳥：
トルコの地中海沿岸がチューリプの原産地である。
１５４４年神聖ローマ帝国の大使がトルコの道端に咲くこの花を見つけ球根をウィーンに持ち帰ったのが、西ヨーロッパへの第一歩であったという。
原種の一つは「シンシア」という薄いピンクの花で、花弁は開かず、形はユリ科のカンゾウの蕾に似たものであった。
トルコ語ではラーレといっているがトルコの帽子チュウルクリップに似ているので英語ではチューリップと呼ばれることになったようだ。ドイツではトゥルペ、長い間オスマンの属領であったルーマニアではラーレア、日本語では初期に欝金紅（うっこんこう）と呼ばれたこともあった。
地味が合っていたのか、オランダ、ベルギー、ハンガリーが生産し、国の花に制定しており、日本では主生産地である新潟県、富山県が県の花としている。
日本には文久３年（１８６３）フランスから球根がもたらされたのが最初であるが、本格的な球根輸入は明治後期であった。
トルコもチューリップを国の花に制定しており、陶器の皿やタイルの模様から、観光宣伝のパンフレットの表紙、果ては、新しい紙幣にまで様々のデザインが用いられている。写真は２００５年名古屋愛地球博の時のトルコ館の入口に掲げられたタイル製のものである。
日本でチューリップの花の絵といえば赤い色で卵の頭が三つに分かれた形が一般的であるが、トルコではもっと細長く、花びらも細く２枚から４枚描くようである。日本では栽培種、トルコでは原種に近く描くためであろうか。
一方、北アメリカ原産の七面鳥を英語ではターキーといい、トルコと同じスペルと発音である。なぜ七面鳥をトルコというのか、少し調べてみたが、分らない。私が想像するに、オスマン時代の、植木鉢を伏せたような形の赤いトルコ帽で、先端に紐が付いているのがいかにも七面鳥の頭に似ていたので、トルコすなわちターキーと呼んだのではないか。そもそもそのトルコ帽といわれる帽子はオスマン朝のスルタン、マフムト�鏡ぁ複隠牽娃�-１８３９）がモロッコのフェス地方の帽子を国民帽と定めたからで、本来トルコ人の帽子はターバンであった。たしかにスルタンたちは皆頭より一回りも二回りも大きくて白いターバンを巻いている。このターバンの方がチューリップに似ていると思うし、一方、赤色のフェスの帽子は１９世紀のオスマン兵などがかぶっていて、七面鳥の頭に似ていると思う。
ちなみに、現地のガイドに聞いたところ、トルコでは七面鳥のことをヒンディ、つまりインドといい、トルコへはインド経由で入ったという。一方トルコに詳しいある日本女性は、確かにヒンディというがホロホロ鳥と混同されたのではないかという。一説によれば、七面鳥はコロンブスのアメリカ大陸発見以前にシルクロードを経てトルコに入ったとある。
英米では七面鳥をトルコといい、トルコではインドという。我々が七面鳥というのは顔が七つある異邦人ではなく、鳴く時に顔色を七色に変えるように見えるからであろう。他人種にこじつけない所が良い。
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