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静寂の鬼子母神
〔鬼子母神〕
No8

ゴールデンウィーク初日、その日は朝から快晴。
早すぎる夏を感じさせるような暑さだった。
4月下旬というのにほんとに暑い。

お墓参りへ

昨年10月、祖父が亡くなった。100歳だった。ここ1,2年は祖父も耳が遠くなりあまりゆっくり話すことも出来なかったが祖父にとって僕は初孫だったこともありとても可愛がってもらった。祖父は亡くなったその日までアクティブで活動的だった。そんな祖父をとても尊敬していた。あんなふうに歳をとっても元気でいたいといつも思う。

そしてあれから半年が経った。天気もいいし彼岸にはお墓参りに行けなかったので母とふたりで墓参りに行くことにした。祖父が亡くなり一番悲しかったのは母でありその兄弟であるおじさん達であろう。時々、母が寂しそうに『もうおじいちゃんはいないのだね』と言う。『もっといろいろなことができたのに』とか『優しくしてあげればよかった』って。そういう思いもあると思う。けど充分、母は親孝行したと思う。

お墓は巣鴨にある。染井霊園といい高村光太郎や二葉亭四迷など著名人が眠っていることでも有名な墓地だ。墓地と言っても高台にあり昼間の天気のいい日に行けばそこら辺の公園よりもずっと穏やかでいいところだ。祖父、そして14年前に亡くなった祖母のお参りをして家に帰ろうと思ったがせっかくここまで来たのだからどこかに行ってみようということになり、今、僕が働いている会社を母に見せることにした。

やはり少ない交通量
巣鴨から白山通りを南下し不忍通(しのばずどおり)に入る。いつも仕事で通るこの道はたいてい混んでいる。特に夕方は混む。しかしゴールデンウィーク初日の今日はガラガラ。ゴールデンウィークの都心はやはり車が少ないと実感した。もちろんお台場など観光地を除いてのことではあるが…何かいつもと違う景色に見えてきた。
閑静な住宅街、雑司が谷

護国寺の前を通り鬼子母神までの裏道を通る。雑司が谷は池袋のすぐそばであるが池袋の喧騒とは打って変わって静寂な、とても落ちついた住宅地だ。小路に昔ながらの商店街がありそこを通過して目的地、鬼子母神へ向かう。

鬼子母神へ

そして鬼子母神へ着いた。境内前に車を置き祈願してもらっている人がいた。他は数人、人がいるだけだ。静寂の空間、鬼子母神へ入ってみる。

鬼子母神
鬼子母神
この日もここ鬼子母神はとても静かだった。新緑がとてもきれいで明るい気持ちになれた。

今、働いている会社は鬼子母神付近にあります。
この会社を受けたとき『僕はここで働くのだな』という予感がありました。
そしてその通りになりました。

面接が終わりまだ陽も高かったのでこの鬼子母神に来て
無事、採用されるようお願いしてきました。そしてそのご利益はありました。
だからここは初心に戻れる場所です。
でも本当はここは子育ての神様なのです(笑)

鬼子母神 (きしもじん)

子育てと子授けの神様。鬼子母神とは人間の子を食う鬼女だったが、改心して子どもを守る神様となった。本堂は寛文4年(1664)の創建で区内最古の建造物。樹齢600年とされる【子育て銀杏】は都の天然記念物に指定されている。

〒171-0032
東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20
TEL:03-3982-8347
大きな銀杏(いちょう)

境内に入るとすぐ左手に大きな銀杏の木が見えてくる。幹が太く本当にどっしりとしています。

大公孫樹 大公孫樹
大公孫樹(おおいちょう)
スペーサーイメージ
大公孫樹

大公孫樹
(おおいちょう)

東京都指定天然記念物。高さ約33m、みきの周囲は約11m、樹齢600年という神木、雄株の公孫樹(いちょう)。

(鬼子母神オフィシャルサイト参照)

大公孫樹
お参り

そしてお参りをする。天気のいいゴールデンウィーク初日だったが人はほとんどいなかった。この都会の中の静寂さがここの魅力だと思う。

それでも毎年10月に行われる御会式(おえしき)の時にはこのあたり一帯がたくさんの人で溢れるそうです。

御会式大祭

御会式(おえしき)は、もともと日蓮聖人の忌日の法会で、法明寺では10月13日に宗祖御会式を行っていますが、これとは別に毎年10月16日〜18日に鬼子母神御会式を営み、江戸時代から伝わる年中行事としていまも地域全体の人々が待ちわびる大祭となっています。 たくさんの人々が一緒になって供養のお練りをするその3日間は、静かな雑司ヶ谷の街一帯に、太鼓が響き渡り、参道は露店で大にぎわいとなります。 18日は西武百貨店前を出発し、明治通りから目白通りを経て鬼子母神堂へ向い、最後に日蓮聖人を祀った法明寺の祖師堂(安国堂)へとお参りします。 「威光山」の墨書も鮮やかな高張り堤灯を先頭に、500の桜花を25本の枝に結んだ枝垂れ桜様の万灯が何台も練り歩くその様は、幻想的な秋の風物詩として親しまれています。
(鬼子母神オフィシャルサイトより)

2005年10月18日、御会式の画像へ

鬼子母神堂 鬼子母神堂
鬼子母神堂
法不動堂 斜めから見た鬼子母神堂
法不動堂 (のりふどうどう) 斜めから見た鬼子母神堂

境内には稲荷堂もあります。
ここはお参りするの忘れた(笑)

武芳稲荷堂 武芳稲荷堂 武芳稲荷堂
武芳稲荷堂 (たけよしいなりどう)
参道のケヤキ並木へ

境内をひと通り歩いた後は鬼子母神付近を歩くことにした。雑司が谷は下町の情緒が残っており心が和む。このケヤキ並木も風情があり独特の雰囲気を持っていた。

ケヤキ並木入口 ケヤキ並木の参道
ケヤキ並木入口 ケヤキ並木の参道
木陰になっていて涼しかったです。数軒のお店もありました。
  
  
都電、鬼子母神前駅へ

ケヤキ並木を越えると商店街に出る。焼き鳥屋や肉屋など昔からの老舗を感じさせるたたずまいだ。僕自身も会社がここから近いこともありよくこの商店街で買い物をする。年配の方も多くどこか巣鴨を思い出させる。そして都電、鬼子母神前駅へ。今は東京で唯一の都電荒川線の鬼子母神最寄り駅だ。写真は鬼子母神前駅と踏切から大塚駅方面を撮ったもの。

鬼子母神前駅 大塚方面を望む
鬼子母神前駅 大塚方面を望む

近い将来、この真下に地下鉄が走るという。東京メトロ13号線だ。駅名は雑司が谷(仮称)。駅が出来れば便利になる。池袋〜渋谷間のピーク時の混雑も減るだろう。しかしそれにより人の流れが変わり、もしかしたら便利になることでここ雑司が谷にもたくさんの人が訪れるようになり街の様(さま)も変わっていくかもしれない。それがいいことか悪いことかは分からない。ただ今の静寂さ、昔ながらのいいところは残ってほしいものである。

そして僕が働いている会社へ母を案内し、その後、少しブラブラして最後にもう一度、鬼子母神へ戻り家路についた。おじいちゃん孝行はもうできないが親孝行はまだまだできる。そう思えた日だった。

鬼子母神
鬼子母神へのアクセス

■電車
◎JR池袋駅東口より明治通りを南へ。南池袋3丁目歩道橋を左折、約15分。
◎JR目白駅より目白通りを東へ約15分。

■都電
◎都電荒川線(三ノ輪・早稲田間)「鬼子母神前」下車。

■バス
◎JR池袋駅東口より都バス、西武バスで、目白方面行または新宿・渋谷方面行、
 「東京音大前」または「千登世橋」下車。
◎JR目白駅より、都バス新宿駅西口行「鬼子母神前」下車。

(2005年5月8日UP)
御会式 御会式の風景
御会式(おえしき) 明治通りを歩く人たち
これは2005年10月18日、会社が終わってから会社の前を通る人たちの写真です。
御会式の景色 御会式の景色
鬼子母神境内を進む御会式 踊る人たち
鬼子母神境内を進む御会式 踊る人たち
御会式 御会式
御会式 (2005年10月18日)
仕事が終わり社長と一緒に飲みながら御会式を見た。その活気に驚いたしお祭りはいいなと思いました。また来年も行きたいです。
(御会式の画像は2005年10月22日UP)